JP2621871C - - Google Patents

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JP2621871C
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、レーザー光の反射や透過によって信号の記録や読み取りを行う光デ
ィスク用のポリカーボネート成形材料であり、記録膜の腐食による劣化、破壊を
大幅に改善したものである。 〔従来の技術〕 光ディスクの基板材料としては、ガラス、エポキシ樹脂等が当初用いられてい
たが、射出成形により容易に基板が得られる熱可塑性樹脂が求められている。 この要求を満たす光学用熱可塑性樹脂としては、メチルメタクリレート樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネートポリスチレン共重合体、ポリメチルペ
ンテン樹脂、ポリノボルネン系樹脂などが挙げられる。 これらの中でポリカーボネート樹脂は、コンパクトディスクにおける実績など
より最も可能性のある材料として開発、改良が行われているが、アルミニウム、
白金、テルル、テルビニウム、鉄、コバルト、アンチモン、セレン、ガドリニウ
ム及びこれらの合金をポリカーボネート基板上に蒸着又はスパッタリングして形
成される記録膜の長期信頼性の点では必ずしも満足されるものてはなかった。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明者らは、長期信頼性の向上についてポリカーボネート樹脂製の光ディス
ク用成形品に記録膜用の金属を蒸着し、高温多湿環境下での試験をし、記録膜の
破壊部分を分析検討した。その結果、孔食或いは全面腐食によって破壊された記
録膜の近傍に接する基板上に遊離の塩素が存在することを見出した。又、この腐 食箇所には、塩素と共にナトリウムも検出されることもあり、遊離塩素は食塩又
は塩化水素の形で存在するものと推定された。 従って、通常、ビスフェノールとホスゲンの界面重合反応によって得られる芳
香族ポリカーボネート樹脂のハロゲン化炭化水素溶液中に含まれる副生成物であ
る食塩或いは塩化水素を除去することにより上記の問題点が大幅に解消されるも
のと考えられる。 従来のビスフェノールとホスゲンの界面重合反応によって得られる芳香族ポリ
カーボネート樹脂の精製方法としては、純水を用いて回分洗浄操作を繰り返し、
水層が中性を示すようになった時点で水層と樹脂溶液層との分離を静置や遠心分
離により行う方法、ポリカーボネート樹脂溶液を活性炭と接触処理してモノマー
およびオリゴマーを除去する方法(特公昭41−8475号公報)、ポリカーボネート
樹脂溶液と水との混合溶液を水との接触角が40度以下の親水性の濾過材層(木綿
、濾紙、珪藻土、硝子布等)を通して、水溶液層と樹脂溶液層とを相分離して水
溶解不純物を除去する方法(特公昭46-41622号公報)等がある。 しかし、純水による洗浄のみで遊離塩素を完全に取り除くことは困難であり、
従って、樹脂溶液に含まれる水量を少なくすることが必要となる。ところが、洗
浄水と樹脂溶液との分離を遠心分離により行い、樹脂溶液中の含水率を0.2%
以下とすることは、極めて大きな遠心力と処理時間とを必須とするものとなり装
置が大型化し、工業的実施は困難である。又、濾過材層を通過させる方法では、
樹脂溶液中の含水率を1%以下とすることは困難であった。従って、従来法にお
いては、遊離塩素として0.5ppm程度は必然的に含む結果となり、結果として高温
多湿下での記録膜の孔食或いは全面腐食による損傷を防止することは困難であっ
た。 この解決のために遊離塩素の除去に代えて、遊離塩素を取込み安定で無害なも
のに変換す方法が考えられる。この典型的な方法として、既存のポリカーボネー
ト用安定剤類を配合する方法があるが、有効な安定剤が見出されるには至ってい
ないものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、安定剤によらず、遊離塩素を除去することによりこの問題を解 決する方法を鋭意検討した結果、遠心分離と濾過とを組み合わせることによりポ
リカーボネート溶液の水含有量を工業的実用性を有する方法で大幅に減少できる
ことを見出した。その結果、遊離塩素の含有量が0.2ppm以下となった場合に初め
て記録膜の長期信頼性が得られることを見出し本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、ビスフェノールとホスゲンとの反応によって得られる樹
脂溶液を遠心分離と濾過を組み合わせて精製された芳香族ポリカーボネート樹脂
であって、該ポリカーボネート樹脂中に含有される遊離塩素が0.2ppm以下である
光ディスク用ポリカーボネート成形材料である。 本発明において、遊離塩素が0.2ppmを越えて例えば、0.8ppmとなった場合には
、初期の記録膜の欠陥個数に対して、環境テスト後の欠陥個数は10〜100 倍程度
に増加するものであり、この増加は既存のホスファイト系等の安定剤によっては
解消されないものである。 本発明の芳香族ポリカーボネートの製造法は、洗浄精製されたポリカーボネー
ト樹脂溶液と洗浄水との分離を遠心分離及び濾過を併用して行うことを除き従来
の光学用芳香族ポリカーボネートの製法と同様である。 重合反応後の樹脂溶液よりアルカリ水溶液を分離した後、少なくとも水洗/リ
ン酸水溶液洗浄/水洗の3段階の中和精製をする。この各段階の洗浄後の層分離
を500G以上の遠心力で行い、最終段階の水洗は遠心分離した水の導電率が10μs/
cm以下、好ましくは9μs/cm以下となるまで洗浄するとともに、樹脂溶液中の含
水率が0.5%以下とする。 次に、この樹脂溶液を0.5〜10μmの細孔フィルターを通過させて、樹脂溶液
中の水の一部をフィルター濾過面上で凝集させ、直径 1mm以上の水滴として樹脂
溶液から分離してくるので、これを取り除き、樹脂溶液の含水率を0.2%以下
、好ましくは0.15%以下とする。 ここに樹脂溶液の最終段階の水洗に用いる水は実質上遊離塩素を含まないイオ
ン交換水であり、該水は、強塩基性イオン交換樹脂と強酸性イオン交換樹脂との
同量混合相を通過させることにより容易に得られ、現状の比色法及び電位差滴定
法でのClイオンの定量分析下限である0.1ppm以下であるものが好適である。樹脂
溶液に対する使用量は、樹脂溶液1に対して0.05〜2.0 容量倍の範囲、特に樹脂 溶液中に水が乳化状態で分散する量が好適である。また、遠心分離は500G以上、
好ましくは3000G 以上の遠心力である。ここに遠心力が小さい場合には、樹脂溶
液中の含水率が大きくなり、洗浄/遠心分離の操作を多数回繰り返したり、又は
繰り返しても水洗は遠心分離した水の導電率が10μs/cm以下とすることが困難と
なり、結果として遊離塩素の量を0.2ppm以下とすることが出来なくなるので好ま
しくない。 また、フィルターは細孔径が小さいもの程分離効率が良好となるので含水分の
分離の点からは好ましいが、圧力損失等の実用面から0.5〜10μmの細孔を有す
るものが好ましく、材質としてはポリ−パーフロロエチレン、ポリ−パーフロロ
エチレン−パーフロロプロピレン、ポリ−フッ化ビニリデンなどの弗素樹脂、ポ
リエステル、ポリプロピレンなどの疎水性のものが好ましく、ポリアミド、セル
ロース、ステンレスなどの比較的親水性のものも使用可能であるが、ガラス繊維
、活性炭、ケイソウ土のような濾過材はダスト混入の原因となるので本発明では
好ましくない。フィルターの形式は、上記の材料による繊維、連続多孔質フィル
ム或いは粒状体の焼結体などであり、1段または材質或いは所望の含水率により
多段として使用する。 以上の方法で得た芳香族ポリカーボネート樹脂溶液から、ポリカーボネートを
分離し、通常、適宜所望の添加剤類を配合し、押し出しペレット化して本発明の
光ディスク用ポリカーボネート成形材料とする。 なお、本発明のポリカーボネート樹脂としては、通常のビスフェノール類を使
用しなるホモ−、コ−ポリカーボネート樹脂、更に分岐化されたもの、端末に長
鎖アルキル基を導入したもの、ポリカーボネート樹脂にスチレンなどをグラフト
したもの、又はポリスチレンにポリカーボネート樹脂をグラフト重合したものな
ど何れでも使用可能である。 〔実施例〕 以下、実施例等により本発明を説明する。 なお、実施例等中の%、部などは特に断らない限り重量基準である。 実施例1及び比較例1芳香族ポリカーボネート樹脂の重合 . 容量5m3の反応槽に、ビスフェノールA 300kg、10%苛性ソーダ1,400 L、塩
化メチレン650 L、ハイドロサルファイト0.5kg を仕込み、撹拌した。これにp
−tert−ブチルフェノール12.3kgを投入し、ホスゲン147kg を約45分間で吹き込
んだ。 ホスゲン吹き込み終了後0.2kgのトリエチルアミンを加え、強撹拌下で30℃に
保ちつつ60分間重合した。樹脂溶液の洗浄・遠心分離 . 重合終了後、反応液を連続式の遠心分離機に送り、5,000Gの遠心力で水層を分
離した。樹脂溶液は撹拌槽に送り、純水300 Lを加えて30分間撹拌し、撹拌終了
後、前記と同様にして水層を遠心分離し、得られた樹脂溶液をリン酸中和槽に送
り、1%リン酸水溶液300 Lを加えて撹拌し、撹拌終了後、前記と同様にしてリ
ン酸水溶液層を遠心分離した。 ついで、最終段階の水洗槽に前記で分離した樹脂溶液を送り、純水300 Lを加
えて撹拌・遠心分離した。 このとき、分離した水層の導電率は 8.6μs/cmであり、樹脂溶液の含水率は0.
35%であった。樹脂溶液の濾過 . この樹脂溶液を孔径1.2 μmのポリ−パーフロロエチレン製のメンブランフィ
ルターで濾過した。フィルター濾過面には、水滴が凝集し、大きな液滴となって
フィルターハウジング上部に集まるので適宜これを抜き出した。この結果、濾過
後の樹脂溶液中の含水率は0.12%となった。ポリカーボネートの分離 . この樹脂溶液1,000 Lに対してn−ヘプタンを200 L混合し、温度55℃の強撹
拌下の水中に常圧下で滴下し、滴下終了後、温度を95℃以上に上げ、溶媒を留去
し、得られたポリカーボネート樹脂の水スラリーを濾過し、樹脂粉末を取り出し
、この粉末を粉砕して平均粒子径1〜1.5mm とし、140 ℃で3時間乾燥した。 乾燥粉体中の遊離塩素は0.2ppmであった。成形材料の調製 . 上記で得たポリカーボネート粉体に、第1表に示した添加剤を加え混合した後 、ベント付き押出機で 270℃で押出してペレット化し、光ディスク用成形材料を
得た。光ディスクの製造および信頼性評価 . 上記のペレットを使用し、射出成形して片面にラセン状のグルーブをもつ厚み
1.2mm のデータファイル用光ディスク基板を得た。 この基板上に光磁化膜であるTe/Fe/Co合金をスパッタリングにより蒸着し、記
録膜上には光硬化型のアクリル系樹脂をコートし、紫外線で硬化させた。 この光ディスクの円周方向に沿って30μm以下の欠陥が全ディスク表面に何個
存在するかを測定し、又、このディスクを80℃,90 %RH,300hrs 放置して同様の
測定をした結果を第1表に示した。 又、比較のため、遠心分離精製のみで、メンブランフィルターによる水分離を
行わずに得たポリカーボネート成形材料によって同様にした結果を比較例1とし
て示した。 尚、第1表中のペレット中の遊離塩素の測定は、試料5gを精秤量し、塩化メチ
レン150ml に溶解し、アセトン50mlを加え、0.0005M 硝酸銀/アセトン溶液を滴
定試薬として用い、電位差滴定によって求めた。 又、ディスクの庇欠陥数の検査は、日本電子光学(株)製、自動庇検査装置I
型を使用した。 実施例2及び比較例2 実施例1で得たポリカーボネート樹脂粉末に蜜蝋0.1 %を添加し、ベント付き
押出機で同様にしてペレット化した。このペレット中の遊離塩素は0.2ppmであっ
た。 このペレットを原料として厚み1.2mmのコンパクトディスクを成形し、この基
板上にアルミニウム蒸着膜を形成し、光硬化型のアクリル系樹脂をコートし、紫
外線で硬化させた。 このコンパクトディスクについて50μm以上の欠陥を80℃,90%RHで環境試験
した結果を第2表に示した。 又、比較のため、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液からアルカリ水層を
静置分離し、次に樹脂溶液に樹脂溶液の 1.5容量倍の純水を加えて混合した後、
小型フィルタープレスにより水層を除去した。濾布の材質は木綿であった。 この純水混合、フィルタープレス分離を計5回行って精製樹脂溶液を得た。 この時の最終洗浄水の導電率は60ps/cm、含水率 1.2%であった。 上記による精製樹脂溶液からポリカーボネートの固形化、乾燥を実施例1と同
様にして行い、上記と同様にしてペレット化し、同様にしてコンパクトディスク
の製造、試験をした結果を第2表に示した。尚、成形に使用したペレット中の遊
離塩素は1.2ppmであった。 〔発明の作用および効果〕 以上、本発明のポリカーボネート樹脂成形材料による光ディスクは、記録膜の
材質によらず長期信頼性に優れたものとなることが明瞭であり、高温多湿環境下
において使用することを余儀無くされる場合にも、安心して使用可能なものであ
り、その工業的意義は極めて高いものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 ビスフェノールとホスゲンとの反応によって得られる樹脂溶液を遠心分離と濾
    過とを組み合わせて精製された芳香族ポリカーボネート樹脂であって、該ポリカ
    ーボネート樹脂中に含有される遊離塩素が0.2ppm以下である光ディスク用
    ポリカーボネート成形材料。

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