JP2618471B2 - アンモニアと二酸化硫黄の製造方法 - Google Patents

アンモニアと二酸化硫黄の製造方法

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JP2618471B2
JP2618471B2 JP1056497A JP5649789A JP2618471B2 JP 2618471 B2 JP2618471 B2 JP 2618471B2 JP 1056497 A JP1056497 A JP 1056497A JP 5649789 A JP5649789 A JP 5649789A JP 2618471 B2 JP2618471 B2 JP 2618471B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は硫酸アンモニウムからアンモニア(NH3)と
二酸化硫黄(SO2)を製造する方法に関する。さらに詳
しくは、硫酸アンモニウムを200℃以下の温度でNH3と硫
酸金属塩に分解し、さらに該硫酸金属塩を還元剤の存在
下にさらに分解して金属酸化物およびSO2を生成させる
ことから成るNH3とSO2の製造方法に関する。
[従来の技術] 有機物のアンモ酸化生成物を硫酸で処理する工業、例
えばε−カプロラクタム工業、アセトンシアンヒドリン
法メチルメタクリレート工業、エチレンシアンヒドリン
法アクリロニトリル工業等の化学工業、原油等の硫酸に
よる脱硫廃液のアンモニア中和液を排出する工業及び排
煙脱硫をアンモニア水で実施している工業等において多
量の硫酸アンモニウム(硫安)が製出されている。これ
らの硫安は主として肥料に使用されているが、需要の割
に供給が過剰であるため硫安価格が低下し、経済的に大
きな問題となつている。又、廃液の残留硫酸を中和する
ためのアンモニアの量は膨大であり、大きな負担となつ
ている。しかも硫安中には不純物が含まれているので、
使用に適した状態にするための労力も多大である。この
ように、硫安が製出される工業においては、硫安を経済
的に見合う形態として回収することは緊急な課題であ
る。従つて、かかる硫安を分解し、NH3及び硫酸として
効率的に回収できれば、上記課題の有望な解決策となり
うる。
従来、硫安を分解してNH3、SO2(又は硫酸)等として
回収する方法は多く知られており、例えば別冊化学工業
第15巻第2号(1971)p119〜128には、硫安の分解排ガ
ス中に含まれるSO2を酸化マグネシウム(MgO)で吸収し
て亜硫酸マグネシウムとし、該亜硫酸マグネシウムを二
酸化マンガン等を触媒として硫酸マグネシウムとし、75
0℃以上で炭素を用いてMgOとSO2とに分解し、SO2を回収
する方法が開示されている。
また、特公昭37−8251号公報には、約300〜500℃の温
度で硫安を酸化亜鉛と反応させてNH3を発生させ且つ硫
酸亜鉛を生成させ、次にこの最初の反応からの残部とコ
ークスを600℃以上の温度で反応させてSO2を生成するこ
とから成るNH3とSO2の製造方法が記載されている。さら
に、特開昭47−30599号公報には、硫酸アンモニウムを3
50〜450℃で熱分解し、その後850〜1250℃で燃焼分解し
てSO2を得る方法が、特開昭56−73619号公報には、硫安
を250℃以上の温度で熱分解して酸性硫安を含有する組
成物およびNH3を生成させ、該組成物を250〜440℃の温
度で熱分解してSO2とNH3からなる分解ガスを生成させ、
該分解ガスを精製し、該精製分解ガスを水またはアンモ
ニア水溶液に吸収させて亜硫酸アンモニウムおよび酸性
亜硫酸アンモニウムの水溶液とする高純度亜硫酸アンモ
ニウムおよび酸性亜硫酸アンモニウム水溶液の製法が、
特開昭50−101294号公報には、硫安と炭酸を480〜630℃
で反応させ、NH3とSO2の混合ガスを得る方法が開示され
ている。
[発明が解決しようとする課題] 上述した従来の硫安分解技術においては、硫安を高温
で分解するため、回収されるNH3やSO2中には分解の際に
生ずる不純物が含有されることは不可避である。とく
に、原料となる硫安中に例えばジアセトンスルホン酸や
その重合物等の有機物を含む場合にはこの傾向は著し
い。従つて、回収したNH3やSO2を高純度が要求されると
ころに利用する場合には、さらに煩雑な精製工程を必要
とし、上述の従来技術は必らずしもコスト的に有利な方
法であるとはいい難い。
一方、硫安を低温度で分解することも排煙脱硫の分野
で知られている。この技術は、排煙脱硫で得られた硫安
を水酸化カルシウムと反応させ、石コウを回収するもの
であるが、NH3は水酸化アンモニウムとして得られる。
該水酸化アンモニウムは吸収工程へ循環再使用されるも
のであり、それ程の高純度は要求されないし、NH3ガス
として回収する思想もない。
また、硫安に消石灰または生石灰を加えて加熱し、NH
3を揮散させる方法も考えられる。しかしながら、かか
る方法は通常の公害対策の分野において考えられること
である。すなわち、経済性が殆んど度外視される排煙脱
硫等の公害対策の分野においては、SO2を除去すること
が目的であり、NH3とSO2との効率的に回収して再使用す
る思想はないし、現在まで工業化された例もない。NH3
として取り出すことの意味あいが硫安を精製する工業に
おけるそれとは全く異なるこのような公害対策分野の技
術から、SO2を吸収した液からNH3を取り出すことが考え
られたとしても、さらに硫酸金属塩を分解する工程を組
み合わせて純度のよいNH3とSO2とを効率的に製造して再
使用しようという考えは容易に出て来ない。
従つて本発明の目的とするところは、比較的穏和な操
作条件で、硫酸アンモニウムを分解して純度のよいNH3
とSO2とを効率的に製造する方法を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ね
た結果、各種化学工業で製出される硫酸アンモニウムを
金属酸化物または金属水酸化物と200℃以下の温度で反
応させてNH3と硫酸金属塩を生成させ;さらに該硫酸金
属塩を還元剤の存在下に分解し、金属酸化物およびSO2
を生成させるという比較的簡便な方法により、純度のよ
いNH3及びSO2を効率よく製造することができることを見
出し、本発明に至つた。
すなわち本発明は、硫酸アンモニウム塩からアンモニ
アと二酸化硫黄を製造する方法において、(i)硫酸ア
ンモニウム塩と金属酸化物または金属水酸化物を200℃
以下の温度で反応させてNH3、水および硫酸金属塩を生
成させ、該NH3は回収し、(ii)該硫酸金属塩を還元剤
の存在下に分解して金属酸化物およびSO2を生成させ、
該SO2は回収し、(iii)該金属酸化物はそのまま、また
は金属水酸化物に変えた後工程(i)へ循環することを
特徴とするNH3とSO2の製造方法を提供するものである。
本発明の方法において出発原料となる硫酸アンモニウ
ムには、硫酸アンモニウム、酸性硫酸アンモニウム、硫
酸を含む酸性硫酸アンモニウム又はこれらの混合物が包
含されるが、これは例えば不燃カーボン、アツシユや、
ε−カプロラクタム排液、アセトン−シアンヒドリン法
メチルメタクリレート排液、エチレン−シアンヒドリン
法アクリロニトリル排液、原油精製廃液等に含まれる例
えばε−カプロラクタム、アセトンジスルホン酸、パラ
トルエンスルホン酸やその重合物、硫黄等の不純物を10
重量%までの濃度で含むことは何らさしつかえない。
本発明の方法において、第(i)工程で硫酸アンモニ
ウムは通常は反応媒体、例えば水中で、金属酸化物また
は金属水酸化物と200℃以下、好ましくは60℃〜120℃の
範囲内の温度で反応させられる。
本発明の方法によれば金属酸化物または金属水酸化物
は再使用されるため、比較的高価な金属の酸化物または
水酸化物でも使用可能であるが、一般には、Mg、Ca及び
Baから選ばれる金属の酸化物または水酸化物を使用する
のが本発明の効果が良好であり、実用的で好ましい。な
かでもMgを使用すると生成する硫酸金属塩を還元剤の存
在下に分解する際の還元温度を低くすることができるの
でさらに好ましい。このような金属の酸化物または水酸
化物は単独で使用してもよいし、混合物で使用してもよ
い。なかでも金属の酸化物が好ましく使用される。
さらに、上記好適に使用されるMg、Ca及びBaから選ば
れる金属の酸化物又は水酸化物(A)は、Mn、Cu、Ni及
びZnから選ばれる金属の酸化物又は水酸化物(B)の1
種又は2種以上と組合わせて使用することができる。そ
の場合の後者の金属酸化物又は水酸化物(B)は、前者
の金属酸化物又は水酸化物(A)に対して一般に50モル
%以下の量で使用するのが好ましく、殊に、金属酸化物
又は水酸化物(A)対金属酸化物又は水酸化物(B)の
モル比が一般に1:0.01〜1:0.5、より好ましくは1:0.1〜
1:0.3の範囲で組合わせたものが、不純物として含まれ
る有機化合物や硫酸金属塩の分野を助け、分解温度を下
げ得るという観点から好ましい。
この反応は、通常水溶液中で実施することができ、そ
のときの水溶液のpHを8〜13程度、好ましくは9〜10の
範囲内に保つことが反応器の腐食を抑える点及びアンモ
ニアの回収率増大の点で望ましい。従って、一般には、
金属の酸化物または水酸化物と硫酸イオンのモル比を1
〜2、好ましくは1.03〜1.4にすることが望ましい。
反応に使用される反応器はとくに限定されるものでは
なく、通常用いられる攪拌槽、蒸留塔付攪拌槽等の反応
器が用いられる。反応器材質についてもとくに限定はな
いが、耐食性の点からはステンレスを使用するのが好ま
しい。
硫酸アンモニウムは金属酸化物または金属水酸化物と
反応し、NH3、水および硫酸金属塩を生成するが、NH3
公知の手段、例えば蒸留等により回収される。
硫酸アンモニウム塩と金属酸化物または金属水酸化物
との反応は少なくとも2基以上の連続した反応器で行な
い、第1段目の反応器における反応温度を60〜100℃、
好ましくは70〜90℃で実施するのがNH3回収率向上の点
やエネルギー消費の点で好ましく、又硫酸アンモニウム
と金属酸化物または金属水酸化物との反応を少なくとも
2基以上の連続した反応器で行ない、反応温度が一番高
い反応器に与熱し、発生する蒸気を次に反応温度が高い
反応器の熱源として供給し、該反応器で発生する蒸気を
そのまた次に反応温度が高い反応器の熱源として順次供
給して反応を実施するいわゆる“多重効用法蒸発方式”
で行なうとさらに好ましい。ここで第1段目の反応器と
は連続した反応器のうち、原料である硫酸アンモニウ
ム、反応媒体、例えば水及び金属酸化物または金属水酸
化物が最初に投入される反応器をいう。反応温度が一番
高い反応器へ与熱するには、例えばスチーム等の熱媒を
反応器の内部チユーブ又は外部チユーブやジヤケツトに
供給すればよい。
本発明の方法は2基以上の連続した反応器を用いて実
施する場合、第1段目の反応器における反応温度が60〜
100℃であることのみが重要であり、第2段目以降の反
応器における反応温度は200℃以下である限りとくに制
限はない。
しかして、上記反応で得られる硫酸金属が例えばMgSO
4のように水溶性である場合には、反応媒体に不溶なカ
ーボン、硫黄化合物等の不純物が除去できる。これらの
カーボンは燃料として、又還元剤として再利用でき、又
硫黄化合物はSO2として回収できる。一方、硫黄金属塩
が例えばCaSO4のように水不溶性である場合には、アセ
トンジスルホン酸等の水溶性不純物が除去でき、これは
濃縮して還元剤として回収できる。いずれにしても不純
物が分離、回収、再利用できるので、産業廃棄物を大巾
に減少させることができる。
生成する硫酸金属塩は、i)水溶性の場合、濃縮又は
溶解温度差により晶析し、固−液分離機にて分離し、i
i)水に不溶の場合、固−液分離機にて分離することに
より固体の硫酸金属塩として回収することができる。
硫酸アンモニウムと金属酸化物または金属水酸化物と
の反応において、金属がマグネシウムの場合に得られる
反応物は通常硫酸マグネシウムを15重量%以上の濃度で
含む硫酸マグネシムウの水溶液またはスラリーである
が、これをそのまま次の工程へ供給すると脱水のための
消費エネルギーが大きくなり、工業的には好ましいこと
ではない。通常、硫酸マグネシウムの無機塩または硫酸
マグネシムウの一水和物は、硫酸マグネシウム七水和物
を開放下赤熱脱水、熱風乾燥すること等により得られて
いるが、結晶水を蒸発除去するための消費エネルギーが
極めて大きいことはよく知られていることである。
そこで、本発明者らは次の式: MgSO4・7H2O→MgSO4・H2O+6H2O()−17.2kcal/mol MgSO4・7H2O→MgSO4・H2O+6H2O(g)−75.4kcal/mol により、液の状態で水を除去できれば58.3kcal/モル、
換言すれば硫酸マグネシウム−水和物1kgを得るのに必
要なエネルギーが422.5kcalも減少させることができる
ことに着目して検討し、このような水溶液またはスラリ
ーを密閉系で100〜200℃、好ましくは120〜170℃に昇温
して固形物を分離、回収すると、液の状態で水を除去で
きるため、主として硫酸マグネシウムの一水塩からなる
水分率17〜30重量%の固形物を低エネルギー消費で得る
ことができ、これを次の工程へ供給すれば熱負荷が少な
くなることを見出した。200℃以上に昇温しても、昇温
のためのエネルギーが非常に大きくなり、本発明の効果
が低下する傾向にあり、望ましくない。
硫酸マグネシウム七水和物、または硫酸マグネシウム
を15重量%以上の濃度で含む水溶液またはスラリーを密
閉系で100〜200℃、好ましくは120〜170℃の温度に昇温
し、100〜200℃、好ましくは120〜170℃の温度に60分以
上保持して固形物を分離、回収するか、または120〜170
℃に昇温した後、速やかに80℃以上120℃未満の温度に
降温して固形物を分離、回収するか、あるいは120〜170
℃に昇温し、120〜170℃に60分以上保持した後、速やか
に80℃以上120℃未満の温度に降温して固形物を分離、
回収する方法によるとさらに効率よく水分率17〜30重量
%の固形を得ることができる。昇温して固形物を分離、
回収するにはそのまま加圧下で分離、回収してもよい
が、大気圧にもどして分離、回収する方が操作性の点で
実用的である。本発明でいう速やかにとは、硫酸マグネ
シウム−水和物またはそれに近い状態の硫酸マグネシウ
ム水和物及び/又は無水物が硫酸マグネシウム七水和物
にもどらない範囲の時間をさすが、通常は5分以内を意
味する。また、硫酸マグネシウムを15重量%以上の濃度
で含む水溶液またはスラリーを100〜200℃、好ましくは
120〜170℃に昇温する時点、この温度範囲に60分以上保
持する時点及び80℃以上120℃未満の温度に降温する時
点において過剰の硫酸マグネシウム−水和または硫酸マ
グネシウム無水塩を添加すると、水分率17〜30重量%の
固形物をさらに効率よく得ることができ、好ましい。な
お、100〜200℃、好ましくは120〜170℃に保持する時間
は60分以上あればよいが、通常1〜3時間以内で実施す
るのが実用的である。硫酸マグネシウム七水和物の固体
自体を昇温処理する場合においても、該固体を100〜200
℃に昇温すれば液状の水が併存するので上述の方法が適
用できる。また、前工程で水を使用しない場合にはその
まま次工程へ供給される。この硫酸金属塩には有機物を
含有していても何らさしつかえない。
該硫酸金属塩は還元剤の存在下に分解して金属酸化物
およびSO2を生成させるが、かかる還元剤としては例え
ば石炭、活性炭、コークス、ペトロコークス、グラフア
イト、カーボンブラツク等の炭素、一酸化炭素、水素、
燃料の分解ガス、メタノール等を分解して得られるオキ
ソガス等をあげることができる。
還元剤として水素や一酸化炭素のようなガスを使用す
る場合、硫酸金属塩に対するガスのモル比は好ましくは
1.0〜20、さらに好ましくは1.5〜15とすることができ
る。また、還元剤として炭素を使用する場合、硫酸金属
塩に対する炭素のモル比は好ましくは0.5〜2、さらに
好ましくは1.1〜1.6とすることができる。
硫酸金属塩の還元反応に係る反応は次の3つの反応式
で示すことができる。ここでMは金属をあらわす。
MSO4+H2→MO+SO2+H2O (1) MSO4+CO→MO+SO2+CO2 (2) MSO4+1/2C→MO+SO2+1/2CO2 (3) 反応後のガス量を少なくする観点からは、硫酸金属塩
の分解反応を(3)式で実施することが有利であろうこ
とは容易に考えられる。しかしながら、(3)式の反応
は固体−固体の反応であり、本発明者らが検討してみた
ところでは還元効率が必ずしもよくないことが判明し
た。
本発明者らは、上述した目的を達成すべく(3)式に
着目し、固体−固体反応による硫酸金属塩の還元効率の
高い分解方法について鋭意検討を重ね、硫酸金属塩と炭
素を混合して硫酸金属塩の分解反応に供すると還元効率
の高い分解反応を実施することができることを見出し
た。
硫酸金属塩と混合される炭素としては、例えば石炭、
ペトロコークス、活性炭、カーボンブラツク等の炭素が
あげられるが、H2の含有量の少ない炭素を使用するのが
好ましい。価格の点からは石炭またはペトロコークスが
好ましい。上述した炭素は混合して使用しても何らさし
つかえない。
本発明において、硫酸金属塩と炭素は混合されて硫酸
金属塩の分解反応に供されるが、この混合方法としては
ほぼ同じ粒径の硫酸金属塩と炭素とを単にニーダー等で
混合してもよいし、微粉炭素を硫酸金属塩と混合しても
よい。硫酸アンモニウムに前述の有機不純物を含むとき
はその不純物も還元剤として働く。
本発明においてはこの還元温度が低く、かつ前記の硫
酸アンモニウムの分解反応が速いことが好ましい。とく
に、完全温度が約2000℃以上になると炉材選定が問題と
なり、経済的に問題となる。一方、低温になりすぎる
と、不純物として含まれる有機化合物の分解を妨げるの
で、一般に、650〜1800℃、好ましくは750〜1600℃の範
囲内で実施するのが望ましい。
還元炉としては流動床、固定床、移動床(ロータリー
キルンなど)等の通常の炉が使用されるが、大規模の処
理の場合には流動床が操業効率、価格等の点で有利とな
る。
流動槽を用いて硫酸金属塩の分解反応を実施する場
合、硫酸金属塩と炭素の混合物はスラリー状で使用して
もよいし、これらを造粒して使用してもよい。造粒物の
場合、この粒子径は0.1〜50mm程度が実用的であり、好
ましい。又、造粒物はペレツト状であつてもよい。
本工程において、前工程からの処理物中に含まれる残
存水分(結晶水を含む)が帰化されるとともに、硫酸金
属塩が金属酸化物とSO2とに分解されるが、排出される
ガス中に随伴しうる金属酸化物は、サイクロン、コツト
レル等を使用して常法で回収し、還元炉底より回収され
る金属酸化物とともに冷却し、水と混合して再度硫酸ア
ンモニウムの分解工程へ使用するのが工業的見地から好
ましい。
本発明においては、硫酸金属塩と炭酸の混合物を、固
形物粒子を流動させた中へ供給しつつ硫酸金属塩の分解
反応を行ない、生成した金属酸化物を気流により系外へ
搬送する方式で行なうのがより効率的であり、さらに好
ましい。
このような固形物粒子は耐熱性があり、飛散性が少な
いものであれば特に制限はなくいずれも使用可能である
が、一般には、Knoop hardnessが600kg・f/mm2以上のも
のが好ましい。このような固形物粒子のなかでもシリ
カ、アルミナまたはこれらの混合粒子は本発明の効果が
よく発現される粒子であり好ましく使用される。このよ
うなシリカ、アルミナ等の粒子には、本発明の効果を阻
害しない程度に他の粒子が含まれていても何らさしつか
えない。また、固形物粒子の耐摩耗性の点からは球状の
粒子が好ましく、これらの粒子の平均粒子径は、あまり
大きすぎると流動しにくく、又あまり小さすぎると飛散
する傾向にあるので、通常、平均粒径が0.1〜5mmのもの
が好ましく、0.5〜1.5mmのものがさらに好ましい。
本発明における硫酸金属塩の分解反応は吸熱反応であ
るので、反応温度を維持するために炭素を燃焼する等の
手段により加熱する必要があるが、そのためには、還元
剤に対する酸素とモル比を一般に0.6〜0.95、好ましく
は0.7〜0.9となるように空気を供給するのが、反応温度
と還元雰囲気の維持の両面から好ましい。
回収されるSO2含有ガスは空気を吹き込んで還元性ガ
スを燃焼し、SO2の収率を増大させた後、そのまま各種
の反応の原料に使用してもよいが、それ自体既知の技術
により硫酸として一旦回収し、市販するか、ε−カプロ
ラクタムやアセトンシアンヒドリン法メチルメタクリレ
ート製造工程等で再使用すれば硫酸が有効に活用できプ
ロセス上好ましい。とくに、アンモニアと硫酸とが原料
として使用できるアセトンシアンヒドリン法メチルメタ
ルクリレート製造において本発明方法を実施すれば完全
にクローズドシステム化することができ、本発明の効果
が著しい。本発明において、硫酸金属塩が硫酸マグネシ
ウムの場合もつとも効率よく実施できるので好ましい。
以下、添付図面を参照しつつ本発明をさらに具体的に
説明する。第1図は本発明の一態様を示すフローシート
である。1、2及び3は硫酸アンモニウム塩と金属酸化
物または金属水酸化物との反応を行なうための反応器で
あり、4から金属酸化物または金属水酸化物が、5から
硫酸アンモニウム塩の水溶液またはスラリーが供給され
る。第1図は3基の反応器を使用し、第三段目の反応器
3をスチーム等の熱媒10で加熱する場合の例であるが、
後述する実施例から明らかなように、熱源と供給順等の
反応形式は種々の形態をとり得る。第1図において、第
三段目の反応器3から発生した蒸気は第二段目の反応器
2の熱源として供給され、第二段目の反応器2から発生
した蒸気が第一段目の反応器1の熱源として供給され
る。第三段目の熱源として使用された熱媒はスチームの
場合、ドレンは排水11そして廃棄されるか必要に応じて
回収される。オイル等の場合は再加熱して熱源として使
用される。又、第三段目反応器から発生した蒸気は第二
段目反応器2で熱源として使用された後、アンモニア水
として凝縮し、これは同じく第1段目反応器1の熱源と
して使用された蒸気が凝縮して生成したアンモニア水と
混合され、9からさらに常法により、アンモニアとして
回収される。第一段目反応器1から発生した蒸気はクー
ラー6を介して減圧下凝縮され、前記アンモニア水と混
合される。8は気液分離器である。反応器としては通
常、ジヤケツトを有し、攪拌機を有するものが使用され
る。
第三段目反応器3から得られる反応液は、金属酸化物
または金属水酸化物として酸化マグネシウムまたは水酸
化マグネシウムを使用した場合、主として硫酸マグネシ
ウム及び水からなつているが、これは昇温昇圧器12、降
温降圧器13及び遠心沈降分離機14において主として硫酸
マグネシウム一水塩に転換される。遠心沈降分離機14か
ら得られる母液15は第一段目反応器1へリサイクルされ
る。母液はさらに処理して廃棄してもよい。
次いで硫酸金属塩は炭素混合機16により炭素17と混合
され、冷却又は乾燥により固化する固化機18及び粉砕分
級機19を経て、流動層等の還元炉20へ導入される。炭素
混合機で炭素と混合された硫酸金属塩は固化機18及び粉
砕分級機19を経ずにそのまま還元炉20へ導入してもよ
い。還元炉下部からは空気21が供給され、硫酸金属塩は
還元される。還元炉からの気流はサイクロン22によりMg
O等の金属酸化物を主として23より捕集し、24よりSO2
回収する。なお、必要に応じて還元炉下部から金属酸化
物等を抜き出してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明の範囲はこれらにより何ら限定されるもので
はない。
実施例1 攪拌機、還流冷却器を備えた内容1の4つ口フラス
コに、MgO 40gと水250gを仕込み、80℃で60分攪拌し
た。その後、フラスコ上部より硫安粉末(和光純薬製試
薬1級)110gを添加し、80℃で60分反応させた。反応終
了後冷却し、加圧濾過することにより未反応のMgO及びM
g(OH)を分離した。母液を蒸留したところ、NH3が97
%の収率で得られた。
NH3除去後のMgSO4溶液を濃縮−冷却−固液分離により
MgSO4・7H2O 200gを回収し、さらに100℃の熱風乾燥機
にて乾燥し、粉体115gを得た。この粉体を内径40mmの石
英製カラムを仕込み、水素を150Nml/秒の流量で通じ800
℃で30分間還元した。得られた粉体33gを分析したとこ
ろ、MgOとして98%であつた。このMgOは硫酸アンモニウ
ム塩と金属酸化物または金属水酸化物との反応工程に再
使用できた。
回収したNH3はメタンと反応させてシアン化水素を生
成し、さらにアセトンを反応させてアセトンシアンヒド
リンとした。又、SO2は硫酸として回収し、これらはア
セトンシアンヒドリン法メチルメタクリレートの製造に
充分使用できるものであつた。
実施例2 実施例1において、MgOスラリーと硫安の反応を上部
に蒸留塔を設置した反応器を用いて102℃で実施するこ
と以外は実施例1と同様にして実験を行つた。蒸留塔頂
からアンモニア水として、アンモニアの97%を回収する
ことができた。回収したMgOは再使用でき、NH3及びSO2
は実施例1と同様、充分に再使用できるものであつた。
実施例3 実施例1の還元剤をCOとする以外は実施例1と同様に
実験を行つたが、実施例1とほぼ同様の結果を得た。
実施例4〜8 実施例1の硫安のかわりに、硫安60gと硫酸37gの混合
物、硫安60g、硫酸37g及び水50gの混合物、硫安60g、硫
酸37g、水50g及び無水パラトルエンスルホン酸(和光純
薬製試薬1級)5gの混合物、硫安60g、硫酸37g、水50g
及びアセトンジスルホン酸(和光純薬製試薬1級)6.33
gの混合物、及び硫安60g、硫酸37g、水50g及びε−カプ
ロラクタム(和光純薬製試薬1級)3.29gの混合物を使
用する以外は実施例1と同様に実験を行つた(各々実施
例4、5、6、7及び8)。NH3回収率は各々96%、98
%、96%、96%及び96%、SO2の回収率は各々98%、98
%、102%、102%及び102%であり、その他は実施例1
とほぼ同様の効果であつた。
実施例9 実施例1の還元剤として市販の炭素(活性炭、コーク
ス、ペトロコークス、グラフアイト、カーボンブラツ
ク)6gを第1工程で得た乾燥粉体115gと混合し、窒素15
0Nml/分気流下、800℃で30分処理した。得られた粉体3
3.7gを分析したところ、96%のMgOが確認できた。この
炭素残留MgOを再使用したが各工程は順調であつた。こ
の際残留炭素は加圧濾過時MgO、Mg(OH)と共に分離
できた。この分離固形物に硫酸を20g加え、20分攪拌し
た後、固液分離した。液は第1工程に循環し、固形物は
乾燥後還元剤として再使用できた。
実施例10 実施例1のMgO40gに代替してMgO30gとMnO217.7gの混
合物を使用した。他は実施例1に従つて処理を行い、水
素150Nml/秒気流下で750℃で還元(30分)し、MgOとMnO
2の混合物46.3gを回収した。他の実施例1と同様の結果
であつた。
実施例11 攪拌機、還流冷却器を備えた内容1の4つ口フラス
コにCaO56gと水275gを仕込み、80℃で60分攪拌した。そ
の後、フラスコ上部より硫安粉末110gを添加し、80℃で
60分反応させた。反応終了後冷却し、加圧濾過してCa
O、Ca(OH)、CaSO4混合物と母液を分離した。母液は
蒸留し、NH3を追いだした後、その80%は再使用し、20
%は蒸発乾固し還元剤として使用した。NH3回収率は98
%であつた。分離した固形物を100℃の熱風乾燥機にて
乾燥し粉体155gを得た。粉体に炭素6gをよく混合した
後、アルミナ製内径40mm管に仕込み、窒素150Nml/分気
流下、1100℃で30分間還元した。硫黄化合分として収率
は95%であつた。還元によつて得られたCaOを再使用し
ても各工程は問題なく順調であつた。
実施例12 内容積1の粉体混合器にMgO40gを硫安粉末110g及び
水60g100℃で90分混合した。粉体混合器下部より窒素を
50Nml/分で流し、上部より回収されるアンモニアを冷却
器にて回収した。この時アンモニア回収率は90%であつ
た。この粉体を150℃で30分粉体混合器で乾燥させた
後、石英製内径40mm管に粉体を仕込み、水素150Nml/秒
気流下、800℃で30分間還元した。得られた粉体33gの98
%がMgOであつた。又、出口ガス中にNH3ガスを硫安に対
して8%含まれていた。
実施例13 1ガラス製の攪拌機および還流冷却器付4つ口フラ
スコに和光純薬製試薬1級BaO154gと水250gを仕込み、8
0℃で60分攪拌した。その後、フラスコ上部より硫安粉
末を110g添加し、80℃で60分反応させた。
反応終了後冷却し、加圧濾過し、未反応BaO及びBa(O
H)とBaSO4を分離した。母液は蒸留し、NH3を追いだ
した。NH3回収率は97%であつた。分離した固形分を100
℃の熱風乾燥機にて乾燥し、粉体220gを得た。粉体に炭
素6gをよく混合した後、アルミナ製の内径50mmの管に仕
込み、窒素150Nml/分気流下、1,600℃で30分間還元し
た。硫黄化合物として80℃の収率であつた。還元によつ
て得られたBaOを再使用しても各工程は問題なく順調で
あり、又回収NH3はメタン、シクロヘキサンのアンモ酸
化触媒を被毒しなかつた。
実施例14 実施例10のMnO217.7gをCuO26gにかえる以外は、実施
例10と同様にして処理を行い、水素150Nml/秒気流下、8
20℃で還元(30分)したところ、MgOとCuOの混合物55.4
gが回収できた。他は実施例10と同様であつた。
実施例15 実施例10のMnO217.7gをNiO22gにかえる以外、実施例1
0と同様にして処理を行い、水素100Nml/秒気流下、800
℃で還元(30分)したところ、MgOとNiOの混合物51.4g
が回収できた。他は実施例10と同様であつた。
実施例16 実施例10のMnO217.7gをZnO12.2gにかえる以外、実施
例10と同様にして処理を行い、CO50ml/秒と窒素100Nml/
分混合気流下、800℃で還元(30分)したところ、MgOと
ZnOの混合物41gが回収できた。他は実施例10と同様であ
つた。
比較例1 ZnO40.68gと硫安粉末55gと活性炭6gを混合し石英製内
径40mm管に仕込み410℃にて加熱した。反応中窒素を150
Nml/分で20分通気した。排気ガスを冷却凝縮し水に吸収
させた。この回収水柱のNH3回収率は95%であつたが、
該アンモニアを再使用したところ、メタン、シクロヘキ
サンのアンモ酸化反応の触媒が被毒された。
比較例2 比較例1の原料にアセトンジスルホン酸3gを添加した
以外、比較例2と同様に反応させた。回収NH3水にアセ
トン、SO2が含有されており、該アンモニアを再使用し
たところ、アンモ酸反応の触媒活性が低下した。
実施例17 攪拌機、ジヤケツト付10のステンレス製反応器3基
を直列に接続し、一段目反応器に80℃に予熱したMgO及
び35.3重量%硫安水溶液をスクリユーフイーダー及び供
給ポンプで各々1.5kg/nr及び13.3kg/nrの速度で供給し
た。二段目反応器ジヤケツトに4kg/cm2Gのスチームを2.
1kg/nrで供給し、二段目反応器から発生する蒸気を一段
目反応器ジヤケツトに供給し、一段目反応器から発生す
る蒸気を三段目反応器ジヤケツトに供給した。各反応器
の温度は各々80℃、100℃及び60℃であり、各反応器の
滞留時間は20分に維持した。三段目反応器及びそのジヤ
ケツトは減圧とし、蒸気は冷却凝縮し、一段目反応器ジ
ヤケツトで凝縮したアンモニア水と混合し、アンモニア
水を回収した。アンモニアの濃度は17.4重量%であり、
該アンモニア水を常法に従つてさらに精製した。アンモ
ニアの回収率は94モル%であり、回収したアンモニアを
メタンのアンモ酸化反応に使用したが触媒被毒等の問題
は生じなかつた。
又、三段目反応器からはMgSO4が4.0kg/nr、H2Oが3.9k
g/nr、硫安が0.28kg/nr及びMgOが0.16kg/nrの速度で得
られ、スチーム消費量は0.525kg/kg−MgSO4であつた。
実施例18 実施例17で使用した反応器を1基使用し、80℃に予熱
したMgO及び35.3重量%硫安水溶液を各々0.75kg/nr及び
6.65kg/nrの速度で供給した。反応器ジヤケツトに4kg/c
m2・Gスチームを3.15kg/nrで供給した。反応器を500To
rrとし、蒸気は冷却、凝縮させた。反応器の平均滞留時
間は60分とした。
アンモニアの回収率は85モル%であり。アンモニアの
濃度は16.2重量%であつた。また、スチームの消費量は
1.575kg/kg−MgSO4であつた。
実施例19 第二段目反応器のジヤケツトにスチームを供給し、10
0℃とした。第二段目反応器から発生する蒸気を第三段
目反応器の熱源とし、反応温度60℃に設定された第三段
目反応器から発生する蒸気を第一段目の反応器の熱源と
し、第一段目反応器を40℃にして操作した。アンモニア
の回収率は87モル%であり、アンモニアの濃度は16.6重
量%であつた。
実施例20 第三段目反応器のジヤケツトにスチームを供給し、第
三段目反応器から発生する蒸気を第二段目反応器のジヤ
ケツトに供給した。第二段目反応器から発生する蒸気を
第一段目反応器の熱源として、第一段目、第二段目及び
第三段目反応器の温度を各々110℃、130℃及び150℃と
して操作した。
アンモニアの回収率は78モル%であり、アンモニアの
濃度は15重量%であつた。
実施例21 攪拌機、温度計、加熱器を備え、液抜出口及びガス排
出口を有する1のガラス製反応器へ、硫酸マグネシウ
ム七水塩500g及び水20gを仕込み、攪拌しながら140℃に
昇温した。昇温後、60分間そのまま保持し、耐圧フイル
ターにて内圧2kg/cm2、差圧1kg/cm2の条件下でろ過し
た。さらにN2にて再度加圧(差圧1kg/cm2G)ろ過し、降
圧した。得られた固形物は195gであり、固形物中の水分
は18重量%であつた。又、硫酸マグネシウムの65.5が回
収できた。
実施例22 実施例21と同様に140℃に昇温し、昇温後60分間その
まま保持した。その後、約5分で降圧し、直ちにフイル
ターで減圧下でろ過した。得られた固形物は210gであ
り、固形物中の水分は27重量%であつた。又、硫酸マグ
ネシウムの63%が回収できた。
実施例23 保持する温度を170℃とする以外は実施例21と同様に
操作した。得られた固形物は250gであり、固形物中の水
分分は18重量%であつた。又、硫酸マグネシウムの84%
が回収できた。
実施例24 保持する温度を120℃とする以外は実施例21と同様に
操作した。得られた固形物は165gであり、固形物中の水
分は22重量%であつた。又、硫酸マグネシウムの53%が
回収できた。
実施例25 実施例21と同様にして170℃に昇温し、昇温後直ちに
降温、降圧した。得られた固形物は154gであり、固形物
中の水分は21重量%であつた。又、硫酸マグネシウムの
50%が回収できた。
実施例26 保持する温度を90℃とし、そのまま85℃で固液分離す
る以外は実施例21と同様にして操作した。得られた固形
物は61gであり、固形物中の水分は42重量%であつた。
又、硫酸マグネシウムの20%が回収できた。
実施例27 昇温し、保持する温度を220℃とする以外は実施例21
と同様にして操作した。得られた固形物は183gであり、
固形物中の水分は20重量%であつたが、加熱面に若干の
硫酸マグネシウムが付着する傾向にあつた。
実施例28 一段目反応器、二段目反応器及び三段目反応器の温度
を各々80℃、100℃及び120℃とし、三段目反応器ジヤケ
ツトに4kg/cm2Gのスチーム2.1kg/nrを供給し、三段目反
応器から発生する蒸気を二段目反応器ジヤケツトへ供給
し、二段目反応器から発生する蒸気を一段目反応器ジヤ
ケツトへ供給する以外は実施例17と同様にして操作し
た。
アンモニアの回収率は92モル%であり、アンモニアの
濃度は17.4重量%であつた。回収したアンモニアをメタ
ンのアンモ酸化反応に使用したがとくに問題はなかつ
た。
三段目反応器からはMgSO4が3.9kg/nr、H2Oが3.9kg/n
r、硫安が0.37kg/nr及びMgが0.08kg/nrの割合で得られ
た。
次に、該三段目反応器から得られた上記組成液140kg
を攪拌機、ヒーター付200ステンレス製のタンクから
なる昇温昇圧機へ仕込み、140℃に昇温し、60分間その
まま保持した。その後、速やかに別のタンクからなる降
温降圧機で降温、降圧して107℃とし、遠心沈降分離機
(石川島播磨重工業社製HS−204LS型)にて105℃、加速
度3000G、供給速度300/nrで硫酸マグネシウム一水塩
を分離した。回収した硫酸マグネシウム中の水分は20重
量%であり、硫酸マグネシウムの70%が回収できた。母
液はさらに処理して排出した。
この硫酸マグネシウム一水塩をスラリーに、ステンレ
ス製の内容量5の炭素混合機(森山製作所製ニーダー
S5−3型)を使用してペトロコークスを硫酸マグネシウ
ム一水塩に対して1.4モル比で混合し、ホッパー付きス
クリユーフイーダーでステンレス製の固化機(直径500m
m、内容量500の回転ドラム中に、冷却水を通し、ドラ
ム表面に滴下された硫酸マグネシウムスラリーをスクレ
ーパーでかきとる方式)へ供給し、冷却、固化した。該
固形物をハンマーミル(ホソカワミクロン製ハンマーミ
ルH−12型)で粉砕し、平均粒径0.75mmの黒色硫酸マグ
ネシウムを得た。
充分に保温された内径100mmのステンレス製流動床に
平均粒径0.7mmのアルミナ粒子0.8を仕込み、LPGの燃
焼ガスにて充分に昇温させ、内温が950℃に達した後、L
PGを止め、前記黒色硫酸マグネシウムを1.57kg/nrの速
度で流動床に供給するとともに流動床下部より空気を11
60N/nr(炭素燃焼に必要な量の0.83倍の速度)で供給
した。反応が安定した約3時間後、流動床出口気流のサ
イクロンを設けて飛散するMgOを補集した。補集したマ
グネシウムは供給したマグネシウムを99重量%であり、
捕集したMgOの純度は95モル%であつた。
一方、サイクロンから流出する気流中のSO2の回収率
は94%であつた。このSO2は常法によりH2SO4として回収
した。回収したアンモニア及びH2SO4は実施例1と同様
充分に使用できるものであり、又MgOは本発明における
硫安との反応に充分再使用できた。
[発明の効果] 本発明により、硫酸アンモニウムから効率的に純度の
よいNH3とSO2とを製造することができる。このようなNH
3およびSO2は反応原料として再使用できるので単に公害
対策として有用であるのみならず、アセトンシアンヒド
リン法メチルメタクリレート工業、エチレンジアンヒド
リン法メチルメタクリレート工業やε−カプロラクタム
等の硫安を多量に製出する工業において有用であり、本
発明の産業上の意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法の一態様を示すフローシートであ
る。図中の各参照番号は次の意味を有する。 1……第一段目反応器 2……第二段目反応器 3……第三段目反応器 4……金属酸化物または金属水酸化物 5……硫酸アンモニウム塩水溶液 6……クーラー 7……減圧系 8……気液分離器 9……アンモニア水 10……入熱媒 11……出熱媒 12……昇温昇圧器 13……降温降圧器 14……遠心沈降分離器 15……母液 16……炭素混合機 17……炭素 18……固化機 19……粉砕分級機 20……流動還元炉 21……空気 22……サイクロン 23……二酸化硫黄 14……金属酸化物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−125300(JP,A) 特表 昭57−500021(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硫酸アンモニウムからアンモニアと二酸化
    硫黄を製造する方法において、(i)硫酸アンモニウム
    と金属酸化物または金属水酸化物を水性媒体中にて200
    ℃以下の温度で反応させてアンモニア、水および硫酸金
    属塩を生成させ、該アンモニアは回収し、(ii)該硫酸
    金属塩を還元剤の存在下に分解して金属酸化物および二
    酸化硫黄を生成させ、該二酸化硫黄は回収し、(iii)
    該金属酸化物はそのまま、または金属水酸化物に変えた
    後前記工程(i)へ循環することを特徴とするアンモニ
    アと二酸化硫黄の製造方法。
  2. 【請求項2】硫酸アンモニウム塩と金属酸化物または金
    属水酸化物との反応を少なくとも2基以上の連続した反
    応器中で行ない;反応温度が一番高い反応器に与熱し、
    発生する蒸気を次に反応温度が高い反応器の熱源として
    供給し、該反応器で発生する蒸気をそのまた次に反応温
    度が高い反応器の熱源として順次供給して反応を行なう
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】硫酸金属塩と炭素の混合物を固形物粒子を
    流動させた中へ供給しつつ硫酸金属塩の分解反応を行な
    い、生成した金属酸化物を気流により系外へ搬送する請
    求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】金属酸化物または金属酸化物がマグネシウ
    ムの酸化物または水酸化物である請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】硫酸アンモニウムとマグネシウムの酸化物
    または水酸化物との反応で生成した硫酸マグネシウム七
    水塩、または硫酸マグネシウムを15重量%以上の濃度で
    含む水溶液またはスラリーを密閉系で100〜200℃に昇温
    し、固形物を分離、回収する請求項4記載の方法。
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