JP2618159B2 - 中空トーションバー - Google Patents
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Description
ンション機構などに用いる中空トーションバーに関す
る。
と、この有効部の両端側に位置する一対の端末つかみ部
とを備えており、端末つかみ部を介して有効部にねじり
荷重が負荷されるようになっている。端末つかみ部には
セレーション等の回り止め部が設けられている。端末つ
かみ部の外径は有効部の外径よりも大きく、有効部と端
末つかみ部との間にテーパ部が形成されている。
用車両などのサスペンション機構に中実のトーションバ
ーが用いられてきた。中実トーションバーは十分な使用
実績があるが、重量が大であるため、サスペンション機
構を軽量化する上で不利である。このため、中空トーシ
ョンバーの採用が望まれている。
鋼製の中空材からなる中空トーションバーの研究がなさ
れてきた。しかしながら中空トーションバーは、疲労破
壊や腐食等に関して中実トーションバーに比べて厳しい
条件となるため、単に中空材を用いただけでは到底使用
に耐えることができない。
の端部に端末つかみ部とテーパ部を成形した中空トーシ
ョンバーの場合、耐久試験において、端末つかみ部とテ
ーパ部付近から破損することがあった。その原因は、ア
プセット加工時に発生した微細な内面傷や脱炭あるいは
スケール等の発生によると考えられる。中空材としてシ
ームレス管や電縫管などが知られており、シームレス管
は溶接部が存在しないため折損しにくいと思われがちで
あるが、実際には、シームレス管はその造管工程におい
て内表面に多数の傷が生じるため、トーションバーのよ
うに大きなねじれ荷重が加わるばね部材に使用するのは
問題である。これに対し電縫管もしくは電縫引抜き管
は、溶接シーム部以外の内表面の傷をきわめて少なくす
ることができるが、溶接シーム部を疲労起点として早期
折損となるケースが多かった。このため従来は、車両の
サスペンション機構等に使われる応力条件の厳しいトー
ションバーの材料に電縫管を用いることは実用上不可能
であると考えられていた。
ては、上記のような端部付近での破損や内面の溶接シー
ム部からの折損を回避することにより、中実トーション
バーに匹敵する耐久性をもたせる必要がある。従って本
発明の目的は、耐久性と耐腐食性に優れた中空トーショ
ンバーを提供することにある。
開発された本発明は、使用時にねじり荷重が加わる有効
部と、この有効部の端部に位置しかつ有効部よりも肉厚
の大きい端末つかみ部と、上記有効部と端末つかみ部と
の間に位置するテーパ部とを有する鋼製中空材からなる
直管状の中空トーションバーであって、上記中空材に鋼
製の直管状の電縫管もしくは電縫引抜き管が使われ、上
記中空材の内部にはその軸線方向に沿いかつ上記端末つ
かみ部の端面において開口する貫通孔が設けられてお
り、上記貫通孔の内面の軸線方向に沿う溶接シーム部に
内面ショットピーニングが施されかつ上記貫通孔の内面
に防錆のための塗膜が施されていることを特徴とするも
のである。この明細書でいう内面ショットピーニング
は、鋼製ショットを使用した通常のピーニング処理以外
に、非金属粒子を用いたサンドブラストやガラスビーズ
を用いた液体ホーニングなどであってもよい。
ーションバーと同様に、端末つかみ部を介して有効部に
ねじり荷重が負荷される。本発明の中空トーションバー
は、貫通孔の内面に実施された内面ショットピーニング
によって、耐久性向上に効果のある改質がなされてい
る。例えば電縫管からなる中空トーションバーの場合に
は、溶接シーム部付近に内面ショットピーニングを実施
することによって、従来の電縫管や電縫引抜き管を用い
た中空トーションバーに比較して耐久性が大幅に向上す
る。また、端末つかみ部およびテーパ部を含む領域に内
面にショットピーニングを実施することによっても耐久
性の向上が認められる。この中空トーションバーは中実
トーションバーに比べて30%ないし50%の軽量化が図れ
る。
いし図5を参照して説明する。図1に示した中空トーシ
ョンバー10は、使用時にねじり荷重が負荷される長さ
L1 の有効部(本体部)11と、この有効部11の両端
側に位置する端末つかみ部12,13と、各端末つかみ
部12,13と有効部11との間に位置するテーパ部1
4,15とを備えている。この中空トーションバー10
は、鋼製中空材20からなる一体物である。中空材20
の一例はSAE4130の電縫引抜き管であり、外径φ34m
m、肉厚 6mm、硬さHRC50±2 のものを用いたが、外径
や肉厚、硬さ等は必要に応じて適宜に選定するものとす
る。この中空トーションバー10は、例えば自動車のサ
スペンション機構の構成要素として使われる。
向に沿う貫通孔21が設けられている。貫通孔21の両
端は、端末つかみ部12,13の端面22,23におい
て開口している。図中の符号25,26は、貫通孔21
の開口端を示している。
代表して示したように、端末つかみ部12の外径D2
は、有効部11の外径D1 よりも大きい。また、端末つ
かみ部12の内径D4 は有効部11の内径D3 よりも大
きい。端末つかみ部12の肉厚T2 は有効部11の肉厚
T1 よりも大である。従ってテーパ部14の肉厚は、有
効部11側の肉厚T1 から端末つかみ部12側の肉厚T
2 へと漸増している。中空トーションバー10の他端側
も同様の端部形状に成形されている。
テーパ部14,15は、中空材20の両端部に熱間アプ
セット加工を実施することによって成形される。熱間ア
プセット加工は、中空材20の端部を加熱した状態で、
中空材20の端部に成形用の型をセットし、中空材20
の端部に軸線方向から荷重を加えることにより、型に応
じた形状に中空材20の端部を塑性変形させる。
2,13の外周部分に、セレーション30(一部のみ図
示する)が設けられている。セレーション30は転造に
よって成形するとよい。セレーション30の代りに、切
削等の歯切り加工によってスプラインを設けるようにし
てもよい。
12の内径D4 が有効部11の内径D3 よりも小さくな
るようにアプセット加工してもよい。この場合、端末つ
かみ部12をアプセット加工によって中実化したのち
に、ドリル等の機械加工によって内径D4 の部分を穿孔
するようにしてもよい。また、図7に示される端末つか
み部35のように、角形に加工されてもよい。
に、周知のショットピーニング装置を用いてショットピ
ーニングが施される。貫通孔21の内面31には、図4
に示されるような内面ショットピーニング装置40を用
いて、内面ショットピーニングが実施される。
置40は、中空材20の一方の開口端25に挿入される
ショット投射用ノズル41と、このノズル41と対向す
る位置に設けられたショット反射部材42とを備えてい
る。ノズル41には図示しないショット供給装置によっ
て多数のショットが供給され、ショットを空気流と共に
ショット反射部材42に向って噴出するようになってい
る。
対し、その全周にわたってほぼ密接した状態で挿入され
ており、ショットが開口端25から飛び出ないようにし
ている。中空材20の他端側開口端26には、図示しな
いショット回収装置が接続され、投射後のショットを回
収して再びショット供給装置に送り込むようになってい
る。
部に挿入されたロッド45の先端に取付けられている。
このロッド45は、図示しない駆動機構によって中空材
20の軸線方向に移動させることができるようになって
いる。
反射面46を有している。この反射面46は、ノズル4
1から投射されたショットを貫通孔21の内面31に向
って直角に近い方向から打ち当てることができるような
角度としている。図4中に矢印Aで示されるように、反
射面46で跳ね返ったショットは、貫通孔21の内面3
1に高速で打付けられることにより、内面31の表層部
に圧縮残留応力を生じせしめる。
21の内面31の全長にわたって行うことが望ましい
が、中空材20の両端部、すなわち、主に端末つかみ部
12,13とテーパ部14,15の内面に実施するよう
にしてもかなりの効果がある。この場合、端末つかみ部
12,13の端面22,23からテーパ部14,15に
わたって、少なくとも端末つかみ部12,13の長さH
の約1.5 倍から2.0 倍の範囲にわたる領域に内面ショッ
トピーニングを実施するとよい。
の製造工程の一例が示されている。材料切断工程50に
おいて、前述した電縫引抜き管を切断することにより、
所定長さの中空材20を得る。端部拡管工程51では、
上記中空材20の両端部を塑性加工によって拡管する。
加熱工程52において中空材20の端部を加熱したの
ち、アプセット工程53を実施することによって、前述
した肉厚パターン(図2あるいは図6に示す形状)とな
るように中空材20の端部を成形する。
ン成形工程54を実施することによって端末つかみ部1
2,13の外周部にセレーションを成形し、更に焼入れ
工程55と焼戻し工程56を実施したのち、外面ショッ
トピーニング工程57において中空材20の外面にショ
ットピーニングを実施する。そののちセッチング工程5
8において、使用荷重よりも大きなセッチング荷重を加
えて所定時間のセッチングを実施することにより、永久
ひずみを与え、耐へたり性を向上させる。
において、中空材20の内面に前述の内面ショットピー
ニングを実施したのち、低温焼鈍工程60を実施し、更
に塗装工程61において中空材20の外面と内面に防錆
のための塗膜を施す。この塗装は中空材20の全長にわ
たって行い、内面と外面の耐腐食性を向上させる。
場合、図8に模式的に示すような溶接シーム部65が中
空材20の軸線方向に沿っている。この溶接シーム部6
5を含む領域に、前述の内面ショットピーニングを集中
的に実施するようにしてもよい。
ニングを実施する場合には、図9に示されるように、ノ
ズル41から投射されたショットを主に溶接シーム部6
5に向って反射させるような反射面66をもつショット
反射部材42を用いるようにしてもよい。この場合、シ
ョット反射部材42を中空材20の軸線方向に移動させ
ながらショットを投射することにより、溶接シーム部6
5の全長にわたって内面ショットピーニングを行う。
料 No.1 )の破断繰返し数と、本実施例による内面ショ
ットピーニングが施された中空トーションバー(試料 N
o.2〜No.4)の破断繰返し数を調べた実験結果である。
試料 No.2 は、電縫管を用いた中空トーションバー10
の場合に、主に溶接シーム部65付近に、その全長にわ
たって内面ショットピーニングを施したものである。こ
の試料 No.2 の場合、従来の中空トーションバーに比べ
て破断繰返し数が2倍程度になっている。
バーの端部、すなわち端末つかみ部12,13とテーパ
部14,15とを含む領域の内面に、内面ショットピー
ニングを実施したものである。この場合、端末つかみ部
12,13の端面22,23から端末つかみ部12,1
3の長さHの約1.5 倍から2.0 倍の範囲まで内面ショッ
トピーニングを実施することにより、従来の中空トーシ
ョンバーに比較して耐久性が大幅に向上することが確認
された。
全域にショットピーニングを実施したものであり、従来
の中空トーションバーに比較して耐久性が更に大幅に向
上することが確認された。
実験用の中空トーションバーに比較して破断繰返し数が
約2倍に増加し耐久性が大幅に向上するため、シームレ
ス管に比べて安価に入手可能な電縫管もしくは電縫引抜
き管を、トーションバーのように応力条件の厳しいばね
部材に用いることが実用上可能となる。直管状電縫管の
溶接シーム部は管の軸線方向にまっすぐに延びているか
ら、このトーションバーはいずれの方向にねじっても問
題ない。そして電縫管は溶接シーム部以外の内表面をシ
ームレス管に比べて平滑に製造できるため、内面傷など
の欠陥が少なく、しかもショットピーニングを管の軸線
方向に沿う溶接シーム部に実施するため、ショットピー
ニングに要する時間を短縮化できかつショット量も少な
くてすむため生産性が高く、低コスト化に寄与できるな
ど、実用上大きな効果がある。
の正面図。
面図。
置の一部の断面図。
を示す図。
の端部の断面図。
す断面図。
内面ショットピーニングを実施する装置の一部の断面
図。
ーニングを施した中空トーションバーの耐久性を示す
図。
…端末つかみ部、14,15…テーパ部、20…中空
材、21…貫通孔、31…内面、40…ショットピーニ
ング装置、41…ショット投射用ノズル、42…ショッ
ト反射部材。
Claims (1)
- 【請求項1】使用時にねじり荷重が加わる有効部と、こ
の有効部の端部に位置しかつ有効部よりも肉厚の大きい
端末つかみ部と、上記有効部と端末つかみ部との間に位
置するテーパ部とを有する中空材からなる直管状の中空
トーションバーであって、上記中空材に鋼製の直管状の
電縫管もしくは電縫引抜き管が使われ、この鋼製中空材
の内部には軸線方向に沿いかつ上記端末つかみ部の端面
において開口する貫通孔が設けられており、この貫通孔
の内面の軸線方向に沿う溶接シーム部に内面ショットピ
ーニングが施されているとともに、上記貫通孔の内面に
防錆のための塗膜が施されていることを特徴とする中空
トーションバー。
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