JP2616129B2

JP2616129B2 - スクロール圧縮機

Info

Publication number: JP2616129B2
Application number: JP9728890A
Authority: JP
Inventors: 純一郎小岩
Original assignee: Daikin Industries Ltd
Current assignee: Daikin Industries Ltd
Priority date: 1990-04-11
Filing date: 1990-04-11
Publication date: 1997-06-04
Anticipated expiration: 2012-06-04
Also published as: JPH03294686A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、ヘリウムガスなどを圧縮するために使用す
るスクロール圧縮機に関する。

（従来の技術）従来、この種圧縮機は、例えば特開昭61−126396号公
報に記載され、かつ、第５図に示したように、鏡板
（ａ）にラップ（ｂ）を立設して成る固定スクロール
（Ａ）と、同じく鏡板にラップ（ｃ）を立設させた可動
スクロール（Ｂ）とを備え、これら各スクロール（Ａ）
（Ｂ）を互いに対設させて、前記各ラップ（ｂ）（ｃ）
の対向面間に２系統の圧縮室を形成すると共に、前記固
定スクロール（Ａ）の鏡板（ａ）で、そのラップ（ｂ）
の巻回方向中間位置に、前記圧縮室に開口される冷却用
油の注入口（Ｄ）を形成して、該注入口（Ｄ）から前記
圧縮室内に冷却用油を注入することにより、該圧縮室で
圧縮されるガスの冷却を行うようにしている。

（発明が解決しようとする課題）所が、以上のスクロール圧縮機では、前記可動スクロ
ール（Ｂ）の固定スクロール（Ａ）に対する公転駆動時
に、前記可動スクロール（Ｂ）のラップ（ｃ）が前記注
入口（Ｄ）を閉塞することがあり、このとき、該注入口
（Ｄ）から前記圧縮室への油注入が中断されてウォータ
ハンマーに似た現象が発生し、油注入配管側で圧力脈動
が生じ、この配管などの折損を招くことがあった。

また、前記スクロール圧縮機では、前記固定スクロー
ル（Ａ）の鏡板（ａ）でラップ（ｂ）の巻回方向中間位
置に前記注入口（Ｄ）を設け、この注入口（Ｄ）から前
記各ラップ（ｂ）（ｃ）の閉じ込み終了後に形成される
前記圧縮室内に冷却用油を注入するようにしているた
め、換言すれば、冷却用油で冷却される以前のガスを前
記圧縮室内に吸入し、この圧縮室内の吸入ガスを冷却用
油で冷却するようにしているため、冷却用油による吸入
ガスの効果的な冷却を行うことができず、特に吸入ガス
が高温の場合には、前記圧縮室への吸入量が少なくなっ
て、圧縮効率が低下する問題もあった。

本発明は以上のような問題に鑑みてなしたもので、そ
の目的は、ウォータハンマーに似た現象の発生を未然に
阻止し、油注入配管などの折損事故を確実に防止するこ
とができ、また、冷却用油による吸入ガスの効果的な冷
却を行って、圧縮効果を向上させることができるスクロ
ール圧縮機を提供することにある。

（課題を解決するための手段）上記目的を達成するために、本発明では、鏡板（21）
（31）にラップ（22）（32）を立設した固定スクロール
（２）と可動スクロール（３）とを備え、冷却用油を注
入する油注入手段を備えたスクロール圧縮機において、
前記固定スクロール（２）に、該固定スクロール（２）
に対する可動スクロール（３）の公転軌跡よりも径方向
外方位置で、前記各スクロール（２）（３）におけるラ
ップ（22）（32）の閉じ込み始端位置に向かい、かつ、
固定スクロール（２）のラップ（22）のインボリュート
接線方向に向かって開口する一対の油噴射通路（５）
（５）を設けたのである。

（作用）前記各油噴射通路（５）は、前記固定スクロール
（２）に対する可動スクロール（３）の公転軌跡よりも
径方向外方位置で、前記固定スクロール（２）と可動ス
クロール（３）とのラップ（22）（32）の閉じ込み始端
位置に向かい、かつ、固定スクロール（２）のラップ
（22）のインボリュート接線方向に向かって開口するか
ら、前記可動スクロール（３）のラップ（32）によって
閉塞されることなく、前記各噴射通路（５）の先端側か
ら、前記各ラップ（22）（32）の閉じ込み始端位置に向
け、かつ、固定スクロール（２）のラップ（22）のイン
ボリュート接線方向に向けて冷却用油が噴射されること
になる。

つまり、前記各油噴射通路（５）が、前記可動スクロ
ール（３）の公転時、該可動スクロール（３）のラップ
（32）で閉塞されることなく常時開放されながら、これ
ら各油噴射通路（５）からの冷却用油が前記各ラップ
（22）（32）間に吸入される吸入ガスに間断なく注入さ
れるのである。

その結果、前記各油噴射通路（５）を可動スクロール
（３）のラップ（32）の公転運動に関係なく常時開放状
態にできるのでウォータハンマーに似た現象の発生を未
然に阻止して、油注入配管などの折損事故を確実に防止
することができ、しかも、前記油噴射通路（５）が各ラ
ップ（22）（32）の閉じ込み始端位置に向け、かつ、固
定スクロール（２）のラップ（22）のインボリュート接
線方向に向けて開口されるので、吸入終了直前まで吸入
ガスに対し冷却用油が効率良く噴射されることから、吸
入ガスの効果的な冷却が行え、圧縮機の圧縮効率を向上
できる。

（実施例）第１図に示したスクロール圧縮機は、密封ケーシング
（１）の内方上部に、鏡板（21）にラップ（22）を立設
して成る固定スクロール（２）と、同じく鏡板（31）に
ラップ（32）が立設して成る可動スクロール（３）を上
下対向状に配設すると共に、該各スクロール（２）
（３）の下部側に、その可動スクロール（３）に連動連
結される駆動軸（41）をもったモータ（４）を配設し、
該モータ（４）の駆動に伴う駆動軸（41）の回転によ
り、前記可動スクロール（３）を固定スクロール（２）
に対し公転駆動させて、吸入管（11）か導入されるヘリ
ウムなどのガスを、前記各ラップ（22）（32）間に形成
される２系統の圧縮室（Ｘ）（Ｙ）で圧縮して、高圧ガ
スを前記固定スクロール（２）の中心に設けた吐出孔
（12）から前記ケーシング（１）の上方向頭部位に接続
した吐出管（13）を経て外部へと吐出させるようにして
いる。

また、前記吐出管（13）には、吐出ガス中に混入した
油を回収する油分離器（14）を接続して、この分離器
（14）を通過したガスを膨張器ユニット（図示せず）に
吐出させるようになすと共に、前記油分離器（14）に油
注入配管（15）を介して冷却器（16）を接続し、該冷却
器（16）で冷却された油を前記各スクロール（２）
（３）間により圧縮されるヘリウムなどの作動ガスの冷
却を行うようにしている。尚、前記冷却器（16）は、吐
出管（13）と油分離器（14）間に介設してもよい。

しかして、以上のスクロール圧縮機において、前記固
定スクロール（２）の鏡板（21）で、この固定スクロー
ル（２）に対する可動スクロール（３）の公転時に、そ
のラップ（32）の公転軌跡よりも径方向外方位置に、前
記各圧縮室（Ｘ）（Ｙ）を閉じ込める前記各ラップ（2
2）（32）の閉じ込み始端位置に向かい、かつ、固定ス
クロール（２）のラップ（22）のインボリュート接線方
向に向かって開口される一対の油噴射通路（５）（５）
を設け、該各油噴射通路（５）を前記油注入配管（15）
に接続して、この注入配管（15）から前記各噴射通路
（５）を介して冷却用油を、前記各圧縮室（Ｘ）（Ｙ）
へのガス吸入が終了する直前までガスに対し噴射させる
ようにしたのである。

具体的には、第2,第３図で示したように、前記固定ス
クロール（２）の鏡板（21）で、該固定スクロール
（２）のラップ（22）の巻き終り端部（22a）近くと、
可動スクロール（３）のラップ（32）の終り端部（32
a）近くとに、上部側が開放された噴射口（5a）と、該
噴射口（5a）の下部側に接続された噴射管（5b）とから
成る油噴射通路（５）（５）をそれぞれ設けて、前記各
噴射管（5b）を前記固定スクロール（２）のラップ（2
2）のインボリュート接線方向に向けて指向させ、か
つ、前記各噴射管（5a）の先端部を、前記固定スクロー
ル（２）に対する可動スクロール（３）の公転時に、そ
のラップ（32）の公転軌跡よりも径方向外方位置に開口
させて、前記各圧縮室（Ｘ）（Ｙ）を閉じ込める前記各
ラップ（22）（32）の閉じ込み始端位置よりも径方向外
方に位置する前記各噴射管（5a）の開口側から、閉じ込
み始端位置に向けて冷却用油を噴射させるのである。

以上の構成とすることにより、前記固定スクロール
（２）に対する可動スクロール（３）の公転時に、該可
動スクロール（３）のラップ（32）が前記各油噴射通路
（５）を閉塞することはなく、各油噴射通路（５）は常
に開放され、該各油噴射通路（５）から冷却用油が前記
各ラップ（22）（32）間に吸入される吸入ガス間断なく
噴射され、このため、ウォータハンマーに似た現象の発
生が未然に阻止される。

また、前記各油噴射通路（５）は、前記各ラップ（2
2）（32）のインボリュート接線方向に向け、かつ、こ
の各ラップ（22）（32）の閉じ込み始端位置に向かって
開口されているため、前記各油噴射通路（５）からの冷
却用油が、前記各圧縮室（Ｘ）（Ｙ）に吸入されるガス
に対し効率良く噴射され、又、該各圧縮室（Ｘ）（Ｙ）
へのガス吸入が終了する直前までガスが前記冷却用油で
冷却されるため、該油による吸入ガスの効果的な冷却が
行われ、即ち、たとえ吸入ガスが高温の場合でも、この
ガスが吸入直前に前記油で冷却されるため、前記各圧縮
室（Ｘ）（Ｙ）へのガス吸入量を大として、圧縮効率を
向上できるのである。

第２図に示す前記固定スクロール（２）の鏡板（21）
で、可動スクロール（３）のラップ（32）における巻き
終り端部（32a）近くに設ける油噴射通路（５）として
は、第３図に示すように、前記鏡板（21）の上部から斜
め下方に向けて貫通する第１ドリル孔（5c）と、前記鏡
板（21）の上部側から上下方向に向けて延び、先端が前
記第１ドリル孔（5c）に連通される第２ドリル孔（5d）
とを形成し、前記第１ドリル孔（5c）の上部側をプラグ
（5e）で閉鎖し、また、第１ドリル孔（5c）の下部側に
前記噴射管（5b）を接続すると共に、前記第２ドリル孔
（5d）の上部側を前記注入配管（15）に接続させて、前
記第１及び第２ドリル孔（5c）（5d）で形成される噴射
口（5a）から直管状の前記噴射管（5b）を介して冷却用
油の噴射を行うようにしている、また、前記固定スクロール（２）のラップ（22）の巻
終り端部（22a）近くに設ける油噴射通路（５）は、前
記鏡板（21）に上下方向に貫通する前記噴射口（5a）を
ドリルなどで形成し、該噴射口（5a）の下部側に曲杆状
の前記噴射管（5b）を接続しているが、何れの構造でも
よいことは云うまでもない。

また、前記油噴射通路（５）は、必ずしも前記噴射管
（5b）を使用する必要はなく、例えば第４図で示したよ
うに、前記固定スクロール（２）における鏡板（21）の
外周壁部に、径方向に向かって貫通する第３ドリル孔
（5f）を形成し、かつ、前記鏡板（21）の上部側から上
下方向に向けて延び、先端が前記第３ドリル孔（5f）に
連通される第４ドリル孔（5g）を形成すると共に、前記
第３ドリル孔（5f）の外周側をプラグ（5h）で閉鎖し
て、前記第３及び第４ドリル孔（5f）（5g）で形成され
る油噴射通路（５）から冷却用油の噴射を行うことも可
能である。

（発明の効果）以上説明したように、本発明のスクロール圧縮機で
は、固定スクロール（２）に、該固定スクロール（２）
に対する可動スクロール（３）の公転軌跡よりも径方向
外方位置でも、前記各スクロール（２）（３）における
ラップ（22）（32）の閉じ込み始端位置に向かい、か
つ、固定スクロール（２）のラップ（22）のインボリュ
ート接線方向に向かって開口する一対の油噴射通路
（５）（５）を設けたから、前記各油噴射通路（５）を
可動スクロール（３）のラップ（32）の公転運動に関係
なく常時開放状態にしてウォータハンマーに似た現象の
発生を未然に阻止し、油注入配管などの折損事故を確実
に防止することができ、また、冷却用油による吸入ガス
の効果的な冷却を行い、圧縮効率を向上できるに至った
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかるスクロール圧縮機の全体構造を
示す一部切欠正面図、第２図は固定スクロールの底面
図、第３図は同断面図、第４図は他の実施例を示す固定
スクロール一部の断面図、第５図は従来例を示す図面で
ある。（２）……固定スクロール（３）……可動スクロール（21,31）……鏡板（22,32）……ラップ（５）……油噴射通路

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】鏡板（21）（31）にラップ（22）（32）を
立設した固定スクロール（２）と可動スクロール（３）
とを備え、冷却用油を注入する油注入手段を備えたスク
ロール圧縮機であって、前記固定スクロール（２）に、該固定スクロール（２）
に対する可動スクロール（３）の公転軌跡よりも径方向
外方位置で、前記各スクロール（２）（３）におけるラ
ップ（22）（32）の閉じ込み始端位置に向かい、かつ、
固定スクロール（２）のラップ（22）のインボリュート
接線方向に向かって開口する一対の油噴射通路（５）
（５）を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。