JP2614124B2 - 一体型多層分析要素 - Google Patents

一体型多層分析要素

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JP2614124B2 JP1319509A JP31950989A JP2614124B2 JP 2614124 B2 JP2614124 B2 JP 2614124B2 JP 1319509 A JP1319509 A JP 1319509A JP 31950989 A JP31950989 A JP 31950989A JP 2614124 B2 JP2614124 B2 JP 2614124B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は,生物体液中,例えば血液成分の生化学分析
法又は免疫分析法により定量分析するための乾式の一体
型多層分析要素に関するものである。
[従来技術とその欠点] 体液,特に血液の中に存在する各種の代謝成分,例え
ばグルコース,ビリルビン,BUN(尿素窒素),尿酸,コ
レステロール,LDH(乳酸脱水素酵素),クレアチンキナ
ーゼ,ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ),AST
(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)等の定量
分析は臨床医学上重要で,疾患の診断と確定,治療経過
の追跡,予後の判定などに不可欠である。血液等の体液
を試料とする臨床化学検査では,微量の液体試料で精度
の高い検査を行うことができることが望ましい。従来,
溶液状の分析試薬を用いて湿式分析法が広く用いられて
いるが,迅速性に欠ける傾向がある。乾式分析,すなわ
ち実質的に乾燥状態の生化学分析試薬又は免疫分析試薬
を含む試験片,非一体型の多層分析要素,一体型多層分
析要素(これらを総称して乾式分析要素ということがあ
る)等を用いる臨床分析法が提案され実用に供されてい
る。乾式分析は湿式法による分析法に比べて例えば分析
操作の簡易さ,分析の迅速さ,総合コストの安さ等の点
で優れている。
乾式の一体型多層分析要素は,微量の液体試料で,精
度の高い検査を迅速に行うことができる分析手段として
開発された。一体型多層分析要素は特開昭49−53888
(特公昭53−21677),特開昭55−164356,特開昭60−22
2769等で知られている。一体型多層分析要素の1例をあ
げれば,透明支持体の上に試薬層,光反射層,展開層が
この順に積層一体化された構造である。透明支持体は,
例えば薄い透明有機ポリマーシートである。透明支持体
の上に塗布された試薬層には,液体試料中に含まれる被
検成分(アナライト;analyte)と反応し,その量に対応
した光学濃度に発色又は変色する試薬組成物が含まれ
る。光反射層は試薬層の発色光学濃度を測定する際に展
開層に点着した液体試料の色(例,全血に含まれる赤血
球の赤色)の影響を受けないようにする役割を主として
持つ。展開層は,点着された液体試料を一様に,液の容
量にほぼ比例する面積に広げて試薬層に供給する。この
ような多層分析要素を用いて定量分析するには,液体試
料,例えば約5μL〜約20μLの全血を展開層表面に点
着する。展開層で展開された血液は光反射層を通過して
試薬層に達し,ここで試薬と反応し,発色又は変色を生
じる。液体試料の点着後,多層分析要素を適当な時間一
定温度(例,37℃,6分)に保って発色反応又は変色反応
を充分に進行させた後の発色又は変色の光学濃度(終点
法)を,あるいは発色反応又は変色反応の進行にともな
い生じる発色又は変色の光学濃度変化の速度(速度法)
を透明支持体側から光を試薬層に照射し,特定波長域で
反射光量を測定して反射光学濃度又はその変化速度を求
め,予め求めておいた検量線に基づいて被検成分の液体
試料中の含有量に換算して,被検成分の含有量が求めら
れる。
最近,一体型多層分析要素に工夫がなされ血液試料と
して稀釈しない全血を用いることが可能になった。例え
ば特開昭57−66359には全血試料の一様な展開が可能な
展開層として,表面が物理的活性化処理された織物が記
載されており,また特開昭60−111960には多層分析要素
に設けられた濾過層により全血から血球成分を除去する
方法が記載されている。また濾過により効率よく血球成
分を除去するために,全血試料中に赤血球表面の極性を
変化させ,かつそれにより赤血球を凝固させるために,
スペーサーとして役立つ連結基で連結された強極性基か
らなる赤血球保留基質を含有させる方法が特開昭60−36
961に記載されている。しかし,この方法は,血球を濾
別するために保留基質を担持させた濾材中を比較的長い
距離にわたって全血試料を通過させなければならない。
しかも例示された保留基質の多くは溶血を生じさせる傾
向を有する。
さらに効率よくかつ正確に血球成分を分離できる一体
型多層分析要素が特開昭62−138756,特開昭62−138757,
特開昭62−138758で提案された。この多層分析要素は,
支持体の上に,支持体から遠い側から繊維質微多孔性
層,非繊維質微多孔性層,第2の繊維質又は非繊維質微
多孔性層がこの順に一体に積層されており,前記3層の
微多孔性層がそれぞれ隣接する界面の間で,液体の一様
通過が実質的に妨げられないような微少貫通部を形成す
るように部分的に配置された接着剤により実質的に密着
して接着されて一体化されている多層分析要素であり,
発色又は変色を生ずる試薬組成物は前記3層の微多孔性
層の何れかに含まれ,非繊維微多孔性層の平均有効孔径
を0.8μmから30μmとしたものである。しかしこの多
層分析要素を用いて全血の分析を行うとき,血球成分の
分離除去がまだ不充分で血液のヘマトクリット値(血液
中に占める血球の容積百分率)の大小により血漿の反応
層への透過性が異なったり,また全血試料の状態によっ
ては赤血球の溶血が起こり血漿中の被検成分の含有量が
同じ血液でも分析結果に差異が生じることが判明した。
臨床化学分析を行う場合,従来より湿式分析法,乾式
分析法いずれの方法によって分析する場合においても,
検出の反応を再現よく安定に起こさせるために検体試料
にpH緩衝剤を加えてpH値の変化を実質的になくし,pH値
を一定に保つよう工夫がなされてきた。一体型多層分析
要素を用いて乾式分析法によって分析する場合,pH緩衝
剤は展開層又は被検成分と反応する試薬組成物を含む反
応層に含有され,点着された全血試料に溶解して,検出
反応の場の周囲pHの安定化を実現している。従来のよう
に赤血球を除去した血漿又は血清を試料として分析が行
われる場合には用いられるpH緩衝剤に特に制限はなかっ
かたが,全血試料の場合,pH緩衝剤の種類によっては赤
血球の溶血が起こることが判明し,pH緩衝剤の選択の重
要性が認識されるようになった。
全血試料を用いた場合,血液のヘマトクリット値によ
る分析結果の変動を改良する試みは特願平1−30408
(特開平3−16651)に提案されている。この分析要素
は支持体上のに,支持体から遠い側から繊維質微多孔性
層,非繊維質微多孔性層,第2の繊維質がこの順に一体
に積層されており,前記3層の微多孔性層がそれぞれ隣
接する面の間で液体の一様通過が実質的に妨げられない
ような微少貫通部を形成するように部分的に配置された
接着剤により実質的に密着して接着されて一体化されて
いる多層分析要素である。しかしこの多層分析要素を用
いて全血分析を行うとき,血液のヘマトクリット値が約
55%を超え60%になると,血漿中の被検成分の定量分析
値が(被検成分の含量が同じ血液でも60%ヘマトクリッ
ト値の血液の方)が低下することが見出された。さらに
第2の微多孔性層は繊維質であるため,非繊維質の場合
に比べて検出層の発色光学濃度が低い(低感度である)
ことも見出された。
本発明は,点着される血液試料が他の液体,例えば生
理食塩水,等で稀釈されていても(未稀釈全血の)血漿
や血清に相当する液体成分のpH値が約6.5〜約9.5の範囲
の水素イオン濃度値を持っていれば,稀釈された血液試
料が多層分析要素の微多孔性層中を通過する際に赤血球
の溶血は起こらない,という新しい知見に基づいてなさ
れたものである。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明はの目的は,血漿中の被検成分の試薬層への拡
散が速やかに行なわれ,全血試料中の測定対象である被
検成分を,血液のヘマトクリット値に拘わらず,高感度
・高精度で定量分析することができる一体型多層分析要
素を提供することである。さらに一体型多層分析要素中
で全血中の赤血球を溶血を起こすことなく血漿から分離
除去して赤血球による発色光学濃度の測定時の光学的妨
害及び化学的妨害を回避した定量分析を実施することが
できる一体型多層分析要素を提供することでもある。
本発明の他の目的は,特開昭62−138756及び特願平1
−30408(特開平3−16651)に記載の隣接する3層の微
多孔性層の間に液体の一様通過が妨げられない程度に微
小貫通部が形成されるように部分的に配置された接着剤
により実質的に密着して接着され一体化(この接着を部
分接着又は多孔性接着という)された一体型多層分析要
素をさらに改良することである。
[問題点を解決するための手段] 上記の問題点は,下記の2つの態様いずれによっても
解決された。
2つの態様において,一体型多層分析要素はいずれも
支持体の上に呈色試薬組成物を含む少なくとも1層の試
薬層,非繊維質微多孔性層,最上層をなす繊維質微多孔
性層がこの順に積層されている一体型多層分析要素,又
は支持体の上に呈色試薬組成物を含む少なくとも1層の
試薬層,繊維質又は非繊維質微多孔性層,非繊維質微多
孔性層,最上層をなす繊維質微多孔性層がこの順に積層
されている一体型多層分析要素であって,前記2層又は
3層の微多孔性層は隣接し,その界面が部分接着されて
いる一体型多層分析要素である。試薬層は親水性ポリマ
ーバインダーと呈色試薬組成物を含む少なくとも1層の
実質的に無孔性の試薬層又は呈色試薬組成物を含む少な
くとも1層の繊維質又は非繊維質微多孔性層からなる試
薬層のいずれかを含む。
第1の態様は,少なくとも前記最上層をなす繊維質微
多孔性層に水に溶解したとき水がpH値6.5〜9.5の範囲の
水素イオン濃度値を示すpH緩衝剤が含有されていること
を特徴とする一体型多層分析要素である(第1の発
明)。
第2の態様は,少なくとも前記最上層をなす繊維質微
多孔性層に,第3アミン又は/及び第4級アンモニウム
塩,及び水に溶解したとき水がpH値6.5〜9.5の範囲の水
素イオン濃度値を示すpH緩衝剤が含有されていることを
特徴とする一体型多層分析要素である(第2の発明)。
[問題点を解決するための手段の詳細な説明] 本発明の一体型多層分析要素の特徴は,相互に隣接す
る少なくとも2層の微多孔性層(2層の微多孔性層は繊
維質又は非繊維質何れでもよいが,好ましい配置は支持
体側から非繊維質,繊維質の順)が隣接する界面の間
で,液体の一様通過が実質的に妨げられない程度に微少
貫通部が形成されるように部分的に配置された接着剤に
より,実質的に密着して接着され一体化された複合微多
孔性層を含み,その最上層(支持体から最も遠い最外側
の層)の繊維質微多孔性層に『点着された全血試料に溶
解してその全血(又は分離された血漿)がpH値約6.5〜
約9.5の水素イオン濃度値を持つ』ようなpH緩衝剤を含
有すること(第1の発明),及び前記のpH緩衝剤と第3
アミン又は/及び第4級アンモニウム塩を含有すること
(第2の発明)である。
本発明の一体型多層分析要素は,少なくとも相隣接す
る2層の微多孔性層を有していて例えば支持体の上に,
順に, (1)呈色試薬層,非繊維微多孔性層,最上層をなす繊
維質微多孔性層, (2)吸水層,呈色試薬層,非繊維微多孔性層,最上層
をなす繊維質微多孔性層, (3)検出層,呈色試薬層,非繊維微多孔性層,最上層
をなす繊維質微多孔性層, (4)呈色試薬層,下側繊維質微多孔性層,非繊維微多
孔性層,最上層をなす繊維質微多孔性層, (5)吸水層,呈色試薬層,下側繊維質微多孔性層,非
繊維微多孔性層,最上層をなす繊維質微多孔性層, (6)検出層,試薬層,下側繊維質微多孔性層,非繊維
微多孔性層,最上層をなす繊維質微多孔性層, をそれぞれ有している。
積層されている呈色試薬層,非繊維微多孔性層,最上
層をなす繊維質微多孔性層が自己支持性である場合には
支持体は必須ではない,あるいは支持体がこれらの複数
の層から剥離しうるものであってもよいが,支持体の上
にこれらの複数の層が接着積層されている態様が好まし
い。支持体を有する態様においては支持体は光透過性
(透明)で水不透過性のものが好ましい。水不透過性光
透過性支持体の材料として好ましいものは,ポリエチレ
ンテレフタレート,ポリスチレン,ビスフェノールAの
ポリカルボネートである。セルローストリアセセテート
等のセルロースエステル類でもよい。親水性層を強固に
接着させるために支持体には通常,下塗層を設けるか表
面に親水化処理を施す。検出層は,一般に,被検成分の
存在下で生成した色素が拡散し,光透過性支持体を通し
て光学的に検出される層で,親水性ポリマーを主成分と
して構成することができる。媒染剤(例,アニオン性色
素に対してカチオン性ポリマー)を含んでもよい。吸水
層は,一般に,被検成分の存在下で生成する色素が実質
的にその層の内部に拡散しないような層を言い,膨潤し
やすい親水性ポリマーを主成分として構成することがで
きる。試薬組成物には,被検成分の存在下に,光学的に
検出し得る物質,例えば色素を生成し得る組成物を含
む。酸化によって色素を生成するロイコ色素を含む組成
物(例,米国特許4089747等に記載のトリアリールイミ
ダゾールロイコ色素,特開昭59−193352等に記載のジア
リールイミダゾールロイコ色素);ジアゾニウム塩,酸
化されたときに特定の色原体化合物とカプリングにより
色素を生成するカプラー化合物を含む組成物(例,4−ア
ミノアンチピリン類(色原体化合物)とフェノール類又
はナフトール類(カプラー化合物)の組合せ);還元型
補酵素と電子伝達剤の存在下で色素を生成することので
きる化合物からなる組成物等を用いることができる。ま
た,酵素活性を測定する分析要素の場合には,例えばp
−ニトロフェノール,p−ニトロフェニルホスフェートの
ような有色物質を遊離しうる自己顕色性基質を,呈色試
薬として試薬層又は非繊維微多孔性層に含ませることが
できる。
被検成分の存在下に色素を生じて発色する試薬組成物
又は変色する試薬組成物を微多孔性層の少なくとも1つ
に含有させるには,試薬組成物の適当な溶液又は分散液
を予め含浸又は塗布した微多孔性展開層を,他の水浸透
性層,例えば検出層や吸水層の上に特開昭55−164356に
記載の方法で接着させる方法も有用である。
微多孔性層を他の水浸透性層(例えば下塗り層,接着
層,吸水層)の上に前記特開昭55−164356に記載の方法
で接着させた後,試薬組成物の溶液又は分散液を微多孔
性層に塗布することもできる。微多孔性層への含浸又は
塗布には公知の方法を利用できる。塗布は例えばディッ
プ塗布,押し出し塗布,ドクター塗布,カーテン塗布等
の公知の塗布法から適宜選択して用いる。試薬組成物は
総てを一つの微多孔性層に含ませてもよく,複数の微多
孔性層に成分ごとに分けて含有させてもよい。総ての試
薬組成物を複数の微多孔性層に含有させてもよい。試薬
組成物の一部又は全部を,微多孔性層より支持体に近く
設けられた親水性ポリマーをバインダーとする実質的に
一様な層(試薬層)に含ませてもよい。親水性ポリマー
として例えばゼラチン,ゼラチン誘導体(例,フタル化
ゼラチン),セルロース誘導体(例,ヒドロキシプロピ
ルセルロース),アガロース,ポリアクリルアミド,ポ
リメタアクリルアミド,アクリルアミド又はメタアクリ
ルアミドと各種ビニル性モノマーとのコポリマー等を用
いることができる。親水性ポリマーをバインダーとする
試薬組成物を含む一様層を塗布した後,試薬組成物を含
まない繊維質微多孔性層を特開昭55−164356に記載の方
法で接着させることによっても試薬組成物を微多孔性層
に実質的に含有させることができる。試薬組成物には必
要に応じ酵素活性化剤,架橋剤,界面活性剤等を含有さ
せることができる。試薬層に含有させることができるpH
緩衝剤は最上層に含有させるpH緩衝剤と同じでなくても
よく,むしろ試薬層での化学的又は生化学的反応に適し
たpH値に調整されるようにpH値又は成分を選択すること
ができる。
非繊維微多孔性層として特公昭53−21677,米国特許14
21341等に記載のセルロースエステル類(例,セルロー
スアセテート,セルロースアセテートブチレート,硝酸
セルロース)からなる微多孔性膜(メンブランフィル
タ,ブラッシュポリマーの層)が好ましい。6−ナイロ
ン,6,6−ナイロン等のポリアミド,ポリエチレン,ポリ
プロピレン,特開昭62−27006に記載のポリスルホン等
の微多孔性膜も用いることができる。その他特公昭53−
21677,特開昭55−90859等に記載のポリマー微粒子,ガ
ラス微粒子,珪藻土等が親水性又は非吸水性ポリマーで
結合された連続空隙をもつ微多孔性層も用いることがで
きる。非繊維微多孔性層の有効孔径は約0.8μmから約3
0μmの範囲が好ましい。非繊維微多孔性層の有効孔径
はASTMF316−70に準拠した限界泡圧法(バブルポイント
法)により測定した孔径で示される。非繊維微多孔性層
が層分離法により作られたいわゆるブラッシュ・ポリマ
ーからなるメンブランフィルターである場合,厚さ方向
の液体通過経路は膜の製造時の自由表面側(光沢面)で
最も狭くなっているのが普通で,液体通過経路の断面を
円に近似したときの孔径は,自由表面の近くで最も小さ
くなっている。単位の通過経路における膜の厚さ方向に
関する最小孔径の最大値が粒子に対する濾過性能を決定
する。通常,それは限界泡圧法で測定される。本発明の
分析要素の非繊維微多孔性層としてこの種の膜を用いる
場合には,支持体側にメンブランフィルターの光沢面を
向けることが好ましい。
繊維質微多孔性層を構成する材料としては瀘紙,不織
布,織物布地(例,平織布地),編物布地(例,トリコ
ット編布地),ガラス繊維瀘紙等を用いることができ
る。これらのうち織物布地,編物布地が好ましい。布地
は特開昭57−66359に記載のグロー放電処理などの物理
化学的活性化処理を施すことができる。
非繊維微多孔性層を繊維質微多孔性層の上に液体の一
様通過が実質的に妨げられないようにして接着固定する
には,接着剤を部分的に配置し接着剤が存在しない部分
に微小貫通部が形成されるようにする。その方法として
特開昭62−138756等に記載の方法が有用である。
最上層をなす繊維質微多孔性層は全血試料の血球類を
濾過する層として機能するほかに全血試料を展開する展
開層としても機能するので,液体計量(メータリング)
作用を有する層であることが好ましい。液体計量作用と
は,層の表面に点着供給された液体試料を,その中に含
有している成分を実質的に偏在させることなく,面方向
に単位面積当りほぼ一定量の割合で広げる作用である。
最上層をなす繊維質微多孔性層には,展開面積,展開速
度等を調節するため,特開昭60−222770,特開昭63−219
397,特開昭63−112999,特開昭62−182652に記載の親水
性ポリマー又は界面活性剤を含浸させることができる。
全血中に溶解させた時に,その全血(又は分離された
血漿)がpH値約6.5〜約9.5の範囲内の水素イオン濃度値
を持つpH緩衝剤として,水に溶解したときに水がpH値約
6.5〜約9.5範囲内の実質的に一定の水素イオン濃度値を
維持できる諸種の公知のpH緩衝剤組成物を用いることが
できる。用いられるpH緩衝剤として井村伸正(イムラノ
ブマサ)等編『生化学ハンドブック』(丸善,1984年発
行)474−484頁, 堀尾武一(ホリオタケカズ)等編『蛋白質・酵素の基礎
実験法』(南江堂,1981年発行), 『Biochemistry』(2),467−477(1966), 『Analytical Biochemistry』104,300−310(1980)等
に記載のpH緩衝剤組成物が例示できる。
これらの公知のpH緩衝剤のうちで,無機化合物を主体
とする,すなわち重量分率で約80%以上の無機化合物よ
りなるpH緩衝剤の多くが一体型多層分析要素の最上層を
なす繊維質微多孔性層に含有させて赤血球の溶血を実質
的に防止する点で好ましい。pH緩衝剤の例として炭酸
塩,硼酸酸塩,メタ硼酸塩,燐酸塩,ピロ燐酸塩等の無
機塩類を主成分とするpH緩衝剤組成物がある。pH緩衝剤
組成物のうちで,重量分率で約80%以上の無機化合物よ
りなり,構成陰イオン種のうち少なくとも約5モル%が
B4O7 2-であるか,又は少なくとも約20モル%がHPO4 2-
あるか,又は前記の割合で両者を含むpH緩衝剤組成物が
特に好ましい。陰イオン種の対イオンとしては通常例え
ばNa+,K+,NH4 +があげられるが,これらに限定されるも
のではない。好ましいpH緩衝剤組成物の具体例として,N
aH2PO4−Na2PO4;H3BO3−NaB4O7がある。
第2の発明に用いられる第3アミン基を有するポリマ
ーのうち,例えばポリマーの主鎖に第3アミン窒素を有
するポリマー(例,ポリエチレンイミン);側鎖に第3
アミン基を有するポリマー(例,モノマーCH2=CH−(C
H2)−NH−N−(CH3のホモポリマー,モノマーCH2
=CH−CO−(CH2)−NH−N−(CH3のホモポリマ
ー,モノマーCH2=CH−CO−NH−(CH2−N−(C
H3のホモポリマー;前記のモノマーとメチルメタア
クリレート又はCH2=CH−CO−NH2との共重合物)があ
る。第4級アンモニウム塩を有するポリマーの場合モノ
マーの状態で4級化し,その後重合させるのが一般的で
あるが,このようにして生成させた第4級アンモニウム
基を含むポリマーに限定されるわけではない。N,N,N′,
N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミンに1.3−ジク
ロロプロパンを縮合させた第4級アンモニウム塩オリゴ
マーも用いることができる。また生体系から得られるホ
スファチジルコリン(レシチン)のような界面活性剤も
用いることができる。第3アミン又は第4級アンモニウ
ム塩は低分子化合物も充分に有用であるが,高分子化合
物の場合は最上層をなす繊維質微多孔性層から隣接する
非繊維多孔質層やさらにその下側の試薬層や吸水層や吸
水層や検出層に第3アミン又は第4級アンモニウム塩が
移行することが少ないので全血(又は分離された血漿)
に含まれる被検成分の検出反応等に対する影響が少ない
ので好ましい。
本発明の一体型多層分析要素においては最上層である
繊維質微多孔性層にpH緩衝剤を(第1の発明),又は前
記のpH緩衝剤と高分子化合物の第3アミン又は高分子化
合物の第4級アンモニウム塩(第2の発明)を含有させ
る。pH緩衝剤は最上層の他に最上層から2番目の層又は
さらに下側の層にも添加されていてもよい。
本発明の一体型多層分析要素は全血中のグルコース,
尿素,尿酸,クレアチニン等の低分子成分の定量はもち
ろん,総蛋白,アルブミン,各種酵素等の高分子成分,
ビリルビン等の蛋白質と結合した成分,コレステロー
ル,トリグリセリド等の疎水性成分の定量に特に有用で
ある。微多孔性層に抗原又は抗体の少なくとも一方を含
有させて,免疫学的方法による抗原又は抗体の定量にも
用いることができる。
[発明の効果] 本発明の高分子化合物の第3アミン及び/又は高分子
化合物の第4アンモニウム塩とpH値6.5〜9.5のpH緩衝剤
の組合せを含む一体型多層分析要素においては全血(又
は分離された血漿)に含まれる被検成分の検出反応等に
対する影響が少ないという効果を有しており,かつ測定
値にヘマトクリット値の相違による影響(誤差)が実質
的にないという効果が顕著である。さらに本発明の一体
型多層分析要素においては全血を試料としても,血漿・
血清試料の場合と同様に,諸種の被検成分の測定値に溶
血による影響(誤差)が極めて少なく,実質的にないと
いう効果も有している。また全血試料のヘマトクリット
値が約25%から約60%の広い範囲にわたり,血漿・血清
試料の場合と同様に,諸種の被検成分の測定値にヘマト
クリット値の相違による影響(誤差)が極めて少なく,
実質的にないという効果も有している。
参考例1(第1の発明) 総コレステロール定量用一体型多層分析要素 1−1ロイコ色素分散液の調製 下記組成Aのロイコ色素溶液を調製した。
A: 2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−
4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネ
チルイミダゾール酢酸塩 5.7g 2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−
4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネ
チルイミダゾール塩酸塩 0.8g N,N−ジエチルラウリルアミド 104 g 下記組成Bのゼラチン水溶液を作成した。
B: アルカリ処理ゼラチン 300g 水 1900g ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)−アミ
ノ]メタン 3.0g 乳化液の調製 ゼラチン水溶液Bをホモジナイザミキサーで約5700回
転/分で撹拌しながらロイコ色素溶液Aずつ添加し,約
30分撹拌を続けて分散し,乳化液を調製した。
1−2発色試薬層の塗布 工程1−1で調製した乳化液を,ゼラチン下塗りさ
れている厚さ180μmの透明ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)シート(支持体)の上に1m2当たり150gの割合
で塗布し乾燥させて無孔性の発色試薬層を形成した。
1−3 第1非繊維質微多孔性層の積層と試薬組成物の含浸処
理 前記の工程で形成した発色試薬層の表面を約25℃の水
で一様に湿らせ(約30g/m2の割合),有効孔径5μm,厚
さ140μm,空隙率約80%のセルロースアセテートメンブ
ランフィルターの光沢面と無孔性試薬層の表面とを重ね
合わせて積層し接着させて乾燥させた。次にこのメンブ
ランフィルターの上から,別に調製した下記のコレステ
ロール分析試薬組成物を,メンブランフィルター1m2
り下記の成分被覆量(Distribution Parameter)になる
ようにして塗布し含浸し乾燥させて第1非繊維質多孔層
(微多孔性の反応層として機能する)とした。
コレステロール分析試薬組成物の成分被覆量(1m2
り) メチルセルロース 3.0g 二酸化チタン微粒子(平均粒径0.3μm) 24 g リポプロテインリパーゼ 2000IU コレステロールエステラーゼ 2500IU コレステロールオキシダーゼ 2500IU ペルオキシダーゼ 2500IU 燐酸二水素カリウム 7.3g フェロシアン化カリウム 700 mg (IUは酵素国際単位) 1−4最上層をなす繊維質微多孔性層の(展開層)の含
浸処理 50デニール相当のPET紡績糸を36ゲージ編みしたトリ
コット編物布地(厚さ約250μm)を下記の組成の硼酸
−四硼酸pH緩衝剤組成物の水溶液に浸漬し,空隙に液を
満たした後,取り出して乾燥させて固形成分を含浸させ
た。
硼酸−四硼酸pH緩衝剤含浸液の組成 ポリエチレングリコール(平均分子量5万) 2.0g 硼酸 2.0g 四硼酸ナトリウム 1.0g 精製水 95.0g 1−5展開層と第2非繊維質微多孔性層の積層 工程1−4で含浸処理したトリコット編物生地を温度
80℃に予熱し,その表面に温度130℃に加熱溶融したホ
ットメルト型接着剤を,グラビア印刷法によりグラビア
ローラーから転写させてドット状に付着させた。グラビ
アローラーのパターンは,ドットは直径0.3mmの円形,
ドットの中心間距離は0.6mm,ドット面積率は約20%であ
った。付着したホットメルト型接着剤の量は約3g/m2
あった。
接着剤が転写された直後の高温の布地の表面に,有効
孔径3μm,厚さ140μm,空隙率約80%のセルロースアセ
テートメンブランフィルターの非光沢面を向い合わせて
ラミネートローラーの間を通し,両者をラミネート(接
着一体化)した。
1−6一体型多層分析要素の完成 前記の積層物(展開層として機能する繊維質微多孔性
層と第2非繊維質微多孔性層)を前記と同じドット状接
着法により工程1−3で一体化させた第1非繊維質微多
孔性層の表面に接着し一体化させた。すなわち,前記の
積層物の第2非繊維質微多孔性層であるメンブランフィ
ルターの表面に,加熱したホットメルト型接着剤を,グ
ラビア印刷法によりグラビアローラーから転写させてド
ット状に付着させた後,直ちに前記第1非繊維質微多孔
性層(支持体及び試薬層の上にある)の表面と向かい合
わせ,両者をラミネートローラーの間を通し,ラミネー
ト(接着一体化)した。
こうして完成した総コレステロール定量用多層分析要
素は,最上層をなす繊維質微多孔性層(展開層としても
機能する),第2非繊維質微多孔性層,第1非繊維質微
多孔性層(微多孔性の反応層として機能する),発色試
薬層,透明支持体の順に一体に積層されていた。最上層
をなす繊維質微多孔性層(展開層)と第2非繊維質微多
孔性層とは協同して血球濾過層として作用する。第1非
繊維質微多孔性層はコレステロールの存在下に第2鉄イ
オンを生成する微多孔性反応層として作用する。発色試
薬層はコレステロールの存在下に第1非繊維質微多孔性
層で生成した第2鉄イオンにより色素を形成し,色素は
透明支持体を通して光学的に検出される。
1−7分析スライドの調製 得られた総コレステロール定量用多層分析要素を15mm
×15mmの正方形チップに裁断し、特開昭58−32250に記
載のスライドに収めて総コレステロール定量用生化学分
析スライドを完成した。
比較例1 従来技術による総コレステロール定量用多層分析スライ
ド 参考例1の第2繊維質微多孔性層の含浸処理に用いた
硼酸−四硼酸pH緩衝剤系の代わりにTris緩衝剤系を用い
たほかは参考例1と同様にして分析スライドを作成し
た。
Tris緩衝剤含浸液の組成 ポリエチレングリコール(平均分子量5万) 2.0g トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 2.0g 2N−塩化水素酸 1.0g 精製水 95.0g 性能評価試験 参考例1と比較例1の総コレステロール定量用スライド
を用いた場合の赤血球の溶血状態 両スライドの最上層をなす繊維質微多孔性にそれぞれ
20μLのヘマトクリット値40%の全血を点着し,全血が
展開された時に透明支持体側から観察したところ,本発
明の一体型多層分析要素では溶血に起因する着色は認め
られなかったが,従来技術による一体型多層分析要素で
は溶血に起因する着色が明らかにみられた。
実施例1(第2の発明) 総コレステロール定量用一体型多層分析要素 1−1ロイコ色素分散液の調製 下記組成Aのロイコ色素溶液を調製した。
A: 2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−
4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネ
チルイミダゾール酢酸塩 5.7g 2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−
4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネ
チルイミダゾール塩酸塩 0.8g N,N−ジエチルラウリルアミド 104 g 下記組成Bのゼラチン水溶液を作成した。
B: アルカリ処理ゼラチン 300 g 水 1900 g ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)−アミ
ノ]メタン 3.0g 乳化液の調製 ゼラチン水溶液Bをホモジナイザミキサーで約5700回
転/分で撹拌しながらロイコ色素溶液Aを少量ずつ添加
し,約30分撹拌を続けて分散して,乳化液を調製した。
1−2発所試薬層の塗布 上記乳化液を,ゼラチン下塗りされている厚さ180μ
mの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート
(支持体)の上に1m2当り150gの割合で塗布し乾燥させ
て発色試薬層とした。
1−3 下側繊維質微多孔性層の積層と処理[実施例1−1] 上記発色試薬層の表面を約25℃の水で一様に湿らせ
(約30g/m2の割合),50デニール相当のPET紡績糸を36ゲ
ージ編みしたトリコット編物布地(厚さ約250μm)を
重ね合わせ乾燥させて発色試薬層に布地を接着一体化さ
せた。次にこのトリコット編物布地の上から,下記のコ
レステロール分析試薬組成物を,メンブランフィルター
1m2当り下記の成分被覆量になるようにして塗布し含浸
して含浸して乾燥させて(微多孔性の反応層として機能
する)下側繊維質多孔層とした。
下側非繊維質微多孔層の積層と処理[実施例1−2] トリコット編物布地の代わりに有効孔径5.0μm,厚さ1
40μm空隙率約82%のセルロースアセテートメンブラン
フィルターの光沢面を発色試薬層に向けて発色試薬層に
接着させ,次にメンブランフィルターの上から下記のコ
レステロール分析試薬組成物を,メンブランフィルター
1m2当り下記の成分被覆量になるようにして塗布し含浸
し乾燥させて下側非繊維質多孔層(微多孔性の反応層と
して機能する)とした。
コレステロール分析試薬組成物の成分被覆量(1m2
り) メチルセルロース 3.0g 二酸化チタン微粒子(平均粒径0.3μm) 24 g リポプロテインリパーゼ 2000IU コレステロールエステラーゼ 2500IU コレステロールオキシダーゼ 2500IU ペルオキシダーゼ 2500IU 燐酸二水素カリウム 7.3g フェロシアン化カリウム 700 mg 1−4最上層をなす繊維質微多孔性層(展開層)の含浸
処理 50デニール相当のPET紡績糸を36ゲージ編みしたトリ
コット編物布地(厚さ約250μm)を,下記組成のアミ
ン系pH緩衝剤水溶液に浸漬し,空隙に液を満たした後,
取り出して乾燥させて固形成分を含浸させた。
[実施例1−1;1−2]アミン系pH緩衝剤含浸液の組成 ポリエチレングリコール(平均分子量5万) 2.0g 硼酸 2.0 g 四硼酸ナトリウム 1.0 g 第3アミン含有ポリマー水溶液 250 mg 精製水 94.75g CH2=CHCONH2とCH2=CHCO(CH22N(CH3との1:1
(モル比)コポリマーの20%水溶液(粘度400cps) 1−5展開層と比繊維質微多孔性層の積層 工程1−4で含浸処理したトリコット編物生地を温度
80℃に予熱し,その表面に温度130℃に加熱溶融したホ
ットメルト型接着剤を,グラビア印刷法によりグラビア
ローラーから転写させてドット状に付着させた。グラビ
アローラーのパターンは,ドットは直径0.3mmの円形,
ドットの中心間距離は0.6mm,ドット面積率は約20%であ
った。付着したホットメルト型接着剤の量は約3g/m2
あった。
接着剤が転写された直後の高温の布地の表面に,有効
孔径3μm,厚さ140μm,空隙率約80%のセルロースアセ
テートメンブランフィルターの非光沢面を向い合わせて
ラミネートローラーと間を通し,両者をラミネート(接
着一体化)した。
1−6一体型多層分析要素の完成 前記の積層物(最上層をなす繊維質微多孔性層と非繊
維質微多孔性層)を前記と同じドット状接着法により下
側微多孔性層(繊維質又は非繊維質の)の表面にそれぞ
れし接着し一体化させた。すなわち前の記積層物のメン
ブランフィルター面に,加熱したホットメルト型接着剤
をグラビア印刷法を利用してグラビアローラーからの転
写によりドット状に付着させた後,直ちに下側微多孔性
層(繊維質又は非繊維質の微多孔性層よりなり支持体及
び発色試薬層の上にある)の面と向かい合わせ,両者を
ラミネートローラーの間を通し,ラミネート(接着一体
化)した。
こうして完成した総コレステロール定量用多層分析要
素は,最上層をなす繊維微多孔性層(展開層としても機
能する)、非繊維微多孔性層、下側微多孔性層、発色試
薬層、透明支持体の順に一体に積層されていた。最上層
をなす繊維微多孔性層と非繊維質微多孔性層とは協同し
て血球濾過層として作用する。下側微多孔性層はコレス
テロールの存在下に第2鉄イオンを生成する微多孔性反
応層として作用する。発色試薬層はコレステロールの存
在下に下側微多孔性層で生成した第2鉄イオンにより色
素を形成し、色素は透明支持体を通して光学的に検出さ
れる。
1−7分析スライドの調製 得られた総コレステロール定量用多層分析要素を15mm
×15mmの正方形チップに裁断し、特開昭58−32250に記
載のスライドに収めて総コレステロール定量用生化学分
析スライドを完成した。
比較例2 実施例1−1及び1−2の最上層をなす繊維質微多孔
性層の含浸に用いた高分子化合物の第3アミンと硼酸系
pH緩衝剤を含む含浸液の代わりに下記の含浸液を展開層
に含浸させるほかは実施例1−1及び1−2と同様の手
順で総コレステロール定量用生化学分析スライドを調製
した。
pH緩衝剤含浸液の組成 ポリエチレングリコール(平均分子量5万) 2.0g 四硼酸ナトリウム 2.0g 精製水 96.0g 性能評価試験1 各分析スライドの全血中総コレステロールによる発色
を下記のようにして評価した。
総コレステロール145mg/dLを含むヒト血漿と、同じ総
コレステロール含有量でヘマトクリット値が25%;40%,
55%,60%のヒト全血試料を用意し、各20μLを実施例
1−1,1−2,比較例2の各分析スライドに収められた一
体型多層分析要素の最上層である繊維質微多孔性層にそ
れぞれ点着し、37℃で3分及び6分インクベーション
後、中心波長640nmの可視光で透明支持体側から反射側
光により分析要素の発色光学濃度を測定したところ、第
1表に示す結果が得られた。
第1表から明らかなように、実施例1−1及び1−2
ではヘマトクリット値0%(血漿)から60%にわたりヘ
マトクリット値にかかわらずほぼ同じ発色(光学濃度)
が得られたが、比較例2ではヘマリクリット値が高くな
るにつれて発色が著しく低下した。
性能評価試験2 全血中総コレステロール含有量と一体型多層分析要素
の発色濃度のコレステロール濃度依存性を次のようにし
て評価した。
全血試料として、総コレステロール濃度検定値63mg/d
Lから310mg/dLの範囲、ヘマトクリット値29%から44%
の範囲にあるヒト全血8検体を用いた。総コレステロー
ル濃度0の試料としては、ヒトアルブミン7.0g/dL含有
生理食塩水を用いた。全血試料と生理食塩水の各20μL
を実施例2の分析スライドの多層分析要素の最上層をな
す繊維質微多孔性層にそれぞれ点着し、37℃で6分間イ
ンクベーションし、中心波長640nmの可視光で透明支持
体側から反射測光により分析要素の発色光学濃度を測定
した。結果を第2表及び第1図に示す。
第2表にデータ及び第1図のグラフから、本発明の多
層分析要素においては全血試料のヘマトクリット値の広
い範囲にわたり発色濃度が検体中の総コレステロール濃
度と良好な相関関係を持つので、広い範囲のヘマトクリ
ット値の全血試料について、血漿、血清試料の場合の同
様に、ヘマトクリット値に依存せずに総コレステロール
濃度を高い精度で定量できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1−1及び1−2の全血試料用
の総コレステロール定量用一体型多層分析要素における
全血中の総コレステロール含有量と要素の発色の反射光
学濃度値がヘマトクリット値に依存しないことを示すグ
ラフである。 グラフの横軸は全血中の総コレステロール濃度,縦軸は
反射測光による一体型多層分析要素の発色光学濃度値で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 雅司 埼玉県朝霞市泉水3丁目11番46号 富士 写真フイルム株式会社内 審査官 亀田 宏之 (56)参考文献 特開 昭63−50756(JP,A) 特開 昭62−138758(JP,A) 特開 昭62−165152(JP,A) 特開 昭63−119694(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体の上に呈色試薬組成物を含む少なく
    とも1層の試薬層、非繊維質微多孔性層、最上層をなす
    繊維質微多孔性層がこの順に積層されており、前記2層
    の微多孔性層は隣接し、その界面が部分接着されてお
    り、かつ少なくとも前記最上層をなす繊維質微多孔性層
    に高分子化合物の第3アミン又は/及び高分子化合物の
    第4級アンモニウム塩、及び水に溶解したとき水がpH値
    6.5〜9.5の範囲の水素イオン濃度値を示すpH緩衝剤が含
    有されていることを特徴とする一体型多層分析要素。
  2. 【請求項2】前記試薬層と前記非繊維質微多孔性層との
    間に、繊維質又は非繊維質微多孔性層が隣接する前記非
    繊維質微多孔性層との界面で部分接着により積層されて
    いる請求項1に記載の一体型多層分析要素。
  3. 【請求項3】前記試薬層が親水性ポリマーバインダーと
    呈色試薬組成物を含む少なくとも1層の実質的に無孔性
    の試薬層である請求項1又は2に記載の一体型多層分析
    要素。
  4. 【請求項4】前記pH緩衝剤が重量分率で80%以上の無機
    化合物を含み、かつ構成陰イオン種のうち少なくとも5
    モル%がB4O7 2-又は/及び少なくとも20モル%がHPO4 2-
    である請求項1ないし3のいずれかに記載の一体型多層
    分析要素。
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