JP2610474B2 - 面状発熱体およびその製造方法 - Google Patents

面状発熱体およびその製造方法

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JP2610474B2 JP63092030A JP9203088A JP2610474B2 JP 2610474 B2 JP2610474 B2 JP 2610474B2 JP 63092030 A JP63092030 A JP 63092030A JP 9203088 A JP9203088 A JP 9203088A JP 2610474 B2 JP2610474 B2 JP 2610474B2
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直樹 山田
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Description

【発明の詳細な説明】 (1)発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は、面状発熱体およびその製造方法に関し、特
に自己温度調節機能ならびに過熱防止機能を有しており
反復使用による電気抵抗の変化が抑制されてなる面状発
熱体およびその製造方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、この種の面状発熱体としては、(i)結晶性高
分子化合物に対して導電性粒子(たとえばカーボンブラ
ックあるいは金属粒子など)を分散せしめて電気抵抗の
温度係数が正である発熱層を形成するものが提案されて
おり、また(ii)エラストマに対して導電性粒子(たと
えばカーボンブラックあるいは金属粒子など)を分散せ
しめて形成した発熱層に対しバイメタルなどの温度調節
部材を組込むものも提案されていた。
[解決すべき問題点] しかしながら従来の面状発熱体は、(i)結晶性高分
子化合物によって電気抵抗の温度係数が正である発熱層
を形成する場合、マトリックスたる結晶性高分子化合物
が加熱に伴って膨張し流動し易くなるので、反復使用回
数が増加するとマトリックスたる結晶性高分子化合物中
の導電性粒子の連鎖が徐々に破砕され電気抵抗が徐々に
増大してしまう欠点があり、また硬度が大きかったの
で、折曲ないし折畳が容易でなく、ひいては曲率半径の
小さな場所へ弯曲して配設することが困難で収納のため
に大きなスペースを必要とする欠点があり、加えて(i
i)エラストマによって発熱層を形成する場合、バイメ
タルなどの温度調節部材を組込む必要があったので、部
品点数が増加する欠点があり、また可撓性があっても曲
率半径の小さな場所に弯曲した状態で配設することが困
難で収納に多大のスペースを必要とする欠点があった。
そこで本発明は、これらの欠点を除去するために、自
己温度調節機能ならびに過熱防止機能を有し強度および
柔軟性に富みかつ反復使用に際しても電気抵抗の変化が
十分に抑制されてなる面状発熱体およびその製造方法を
提供せんとするものである。
(2)発明の構成 [問題点の解決手段] 本発明により提供される問題点の解決手段は、「発熱
層に対して電極が配設されてなる面状発熱体において、
前記発熱層が、 (a)側鎖にカルボキシル基を有する第1の高分子化合
物と、前記第1の高分子化合物に対して分散された導電
性粒子とを含むPTC組成物からなり、電気抵抗の温度係
数が正であるPTC領域と、 (b)前記PTC領域の周囲に配置されており、主鎖およ
び側鎖の少なくとも一方に不飽和結合を有する第2の高
分子化合物と、前記第2の高分子化合物に対して分散さ
れた他の導電性粒子とを含む導電性エラストマ組成物か
らなる導電性エラストマ領域と、 (c)前記第1の高分子化合のカルボキシル基に対しカ
ルボキシル基が多価金属を介して架橋結合され、かつ不
飽和結合がイオウを介して前記第2の高分子化合物の不
飽和結合に対し架橋結合された不飽和カルボン酸と を含有してなることを特徴とする面状発熱体」 である。
本発明により提供される問題点の他の解決手段は、 「(a)側鎖にカルボキシル基を有する結晶性高分子化
合物に対し少なくとも導電性粒子を分散せしめることに
よりPTC組成物を作成する第1の工程と、 (b)前記PTC組成物を溶媒に溶解せしめてPTC組成物溶
液を作成する第2の工程と、 (c)前記PTC組成物溶液を貧溶媒に滴下し沈殿せしめ
てPTC粒子を作成する第3工程と、 (d)前記PTC粒子を多価金属塩および不飽和カルボン
酸とともに溶媒に分散せしめることにより、前記第1の
高分子化合物のカルボキシル基を多価金属によって前記
不飽和カルボン酸中のカルボキシル基に対して架橋結合
せしめる第4の工程と、 (e)主鎖および側鎖の少なくとも一方に不飽和結合を
有する第2の高分子化合物に対して少なくとも他の導電
性粒子を分散せしめた導電性エラストマ配合物を溶媒に
溶解せしめて導電性エラストマ溶液を作成する第5の工
程と、 (f)前記導電性エラストマ溶液に対し前記多価金属に
よって前記カルボキシル基が前記不飽和カルボン酸中の
カルボキシル基に対して架橋結合されたPTC粒子を分散
したのち乾燥することにより、前記不飽和カルボン酸中
の不飽和結合を前記第2の高分子化合物中の不飽和結合
に対しイオウを介して架橋結合されたPTCエラストマ粒
子を作成する第6の工程と、 (g)前記PTCエラストマ粒子を加圧成形することによ
り、電気抵抗の温度係数が正であるPTC領域の周囲に導
電性エラストマ領域の配置された発熱層を形成する第7
の工程と、 (h)前記発熱層に対して電極を配設する第8の工程と を備えてなることを特徴とする面状発熱体の製造方法」 である。
[作用] 本発明にかかる面状発熱体は、発熱層が、(a)側鎖
にカルボキシル基を有する第1の高分子化合物と第1の
高分子化合物に対して分散された導電性粒子とを含んで
おり、多価金属によって前記カルボキシル基が不飽和カ
ルボン酸中のカルボキシル基に対して結合されたPTC組
成物からなり、電気抵抗の温度係数が正であるPTC領域
と、(b)前記PTC領域の周囲に配置されておりイオウ
を介して前記不飽和カルボン酸中の不飽和結合に対して
不飽和結合が結合された第2の高分子化合物と第2の高
分子化合物に分散された他の導電性粒子とを含む導電性
エラストマ組成物からなる導電性エラストマ領域とを含
有してなるので、(i)バイメタルなどの温度調節部材
を追加配設することなく、自己温度調節機能ならびに過
熱防止機能を達成する作用に加え、(ii)柔軟性を確保
し、ひいては曲率半径の小さな場所への配設を可能と
し、併せて収納のためのスペースを削減する作用、およ
び(iii)反復使用に際して流動性の増大を阻止し電気
抵抗の変化を十分に抑制する作用をなす。
また本発明にかかる面状発熱体の製造方法は、側鎖に
カルボキシル基を有する第1の高分子化合物に対し少な
くとも導電性粒子を分散せしめたPTC組成物を溶媒に溶
解せしめてPTC組成物溶液を作成し、前記PTC組成物溶液
を貧溶媒に滴下し沈殿せしめてPTC粒子を作成し、前記P
TC粒子を多価金属塩および不飽和カルボン酸とともに溶
媒に分散せしめることにより前記第1の高分子化合物の
カルボキシル基を多価金属によって前記不飽和カルボン
酸中のカルボキシル基に対して架橋結合せしめ、そのの
ち主鎖および側鎖の少なくとも一方に不飽和結合を有す
る第2の高分子化合物に対し少なくとも多の導電性粒子
を分散せしめた導電性エラストマ配合物を溶媒に溶解せ
しめて作成した導電性エラストマ溶液に対して前記PTC
粒子を分散せしめかつ前記不飽和カルボン酸中の不飽和
結合を前記第2の高分子化合物中の不飽和結合に対しイ
オウを介して架橋結合せしめてPTCエラストマ粒子を作
成し、更にPTCエラストマ粒子を加圧成形することによ
り発熱層を形成してなるので、上記(i)〜(iii)の
作用に加え、(iv)発熱層の安定化作業を容易化する作
用をなす。
[実施例] 次に本発明について、実施例を挙げ具体的に説明す
る。
第1図は、本発明にかかる面状発熱体の一実施例を示
すI−I線にそった拡大断面図である。
第2図は、第1図実施例の微細構造を示す拡大断面図
である。
第2図は、第1図実施例の平面図である。
まず第1図ないし第3図を参照しつつ、本発明にかか
る面状発熱体の一実施例について、その構成および作用
を詳細に説明する。
10は、本発明にかかる面状発熱体であって、自己温度
調節機能ならびに過熱防止機能を有する発熱層11と、前
記発熱層11に対し互いに離間して配設された電極12,13
とを備えている。
発熱層11は、側鎖にカルボキシル基を有する第1の高
分子化合物(好ましくは結晶性高分子化合物;以下この
場合について主として説明する)と、第1の高分子化合
物に混合されており主鎖および側鎖の少なくとも一方に
不飽和結合を有する第2の高分子化合物(好ましくはエ
ラストマ;以下この場合について主として説明する)
と、前記第1,第2の高分子化合物に対しそれぞれ分散せ
しめられる適宜の導電性素材と、適宜の多価金属(たと
えばカルシウム)を介して末端のカルボキシル基が第1
の高分子化合物のカルボキシル基に対し架橋結合されか
つイオウを介して不飽和結合が第2の高分子化合物の不
飽和結合に対して架橋結合される不飽和カルボン酸とを
包有している。
第1の高分子化合物は、適宜の導電性素材が分散され
ることによってPTC特性(すなわち電気抵抗の温度係数
が正である特性)を示している。換言すれば、第1の高
分子化合物と適宜の導電性素材とは、PTC特性を示す組
成物すなわちPTC組成物を形成しており、本発明にかか
る面状発熱体10の発熱層11中のPTC領域11Aとして機能
し、結果的に自己温度調節機能ならびに過熱防止機能を
なしている。
第2の高分子化合物は、適宜の導電性素材が分散され
ることによって導電性を示している。換言すれば、第2
の高分子化合物と適宜の導電性素材とは、導電性エラス
トマ組成物を形成しており、本発明にかかる面状発熱体
10の発熱層11中の導電性エラストマ領域11Bとして機能
し、柔軟性を確保している。
多価金属、イオウおよび不飽和カルボン酸は、上述よ
り明らかなように、第1の高分子化合物のカルボキシル
基と第2の高分子化合物の不飽和結合との間に架橋結合
を順次形成するための架橋剤として機能しており、本発
明にかかる面状発熱体10を反復使用するに際して劣化し
流動性が増大することを防止して電気抵抗などが変化す
ることを阻止している。
本発明にかかる面状発熱体10には、所望により、表面
層として絶縁層(たとえば塩化ビニルシートなどの絶縁
性の高分子フィルム層)14が配設されているが、用途に
よってはこれを除去してもよい。すなわち発熱層11およ
び電極12,13の外表面には、周辺部材と直接に接触する
ことを回避するために、絶縁層14が配設されているが、
本発明にかかる面状発熱体10の用途によっては周辺部材
との接触を考慮する必要がなく、また本発明にかかる面
状発熱体10への印加電圧が低いときには感電の虞もない
ので、これを除去してもよい。
電極12,13は、直流もしくは交流の電源(図示せず)
に対し接続可能とされている。
しかして本発明にかかる面状発熱体10は、電極12,13
間に適宜の電圧が印加されたとき、発熱層11を介して電
流が流れ発熱する。温度が低い間は、PTC領域11Aの熱膨
張が殆ど生じず導電性粒子の連鎖が十分に維持されてお
りその電気抵抗が小さく維持され発熱層11に大きな電流
が流れるので、時間経過とともに発熱層11の発熱量が増
加し、本発明にかかる面状発熱体10の温度が上昇する。
温度が上昇すると、PTC領域11Aの熱膨張が大きくなっ
て導電性粒子の連鎖が徐々に破壊されその電気抵抗が増
大し、電流を制限する。このため発熱層11の発熱量は減
少し、本発明にかかる面状発熱体10の温度が低下する。
温度が低下すると、PTC領域11Aの熱膨張が小さくなっ
て導電性粒子の連鎖が回復されその電気抵抗が減少し、
電流が増加する。このため発熱層11の発熱量は増加し、
本発明にかかる面状発熱体10の温度が再び上昇する。
以上の動作を反復することにより、本発明にかかる面
状発熱体10は、発熱量が放熱量に一致する温度に落ちつ
き、自己温度調節機能ならびに過熱防止機能を示す。
また本発明にかかる面状発熱体10では、PTC組成物に
含まれた高分子化合物の側鎖にあるカルボキシル基が多
価金属,不飽和カルボン酸およびイオウによって導電性
エラストマ組成物に含まれた高分子化合物の不飽和結合
に対し上述の如く架橋結合されているので、電圧印加が
反復されてもそのマトリックスの構造が変化することを
抑制しており、ひいては発熱層11の流動性および電気抵
抗が変化することを抑制している。
更に本発明にかかる面状発熱体10では、PTC組成物と
導電性エラストマ組成物とが互いに混合されPTC領域の
周囲に導電性エラストマ領域が配置(換言すれば導電性
エラストマ領域内にPTC領域が島状に分散)されている
ので、柔軟性が確保されており、曲率半径の小さな場所
に対し弯曲して困難なく配置可能である。
次に第1図ないし第3図を参照しつつ、本発明にかか
る面状発熱体の製造方法の一実施例について、その詳細
を説明する。
(導電性エラストマ組成物の調製) 導電性エラストマ組成物は、主鎖および側鎖の少なく
とも一方に不飽和結合を有する高分子化合物(たとえば
エラストマ)に対し、(i)電気抵抗を調節して発熱量
(ひいては発熱温度)を適宜に設定するための導電性素
材と、(ii)ゴム配合剤(すなわち必須成分としての加
硫剤および選択成分としての補強用充填剤,可塑剤,加
硫促進剤,加硫調節剤,加工助剤,老化防止剤および難
燃剤など)とを、混練機(たとえばオープンロール)に
よって混練し分散混合せしめることにより、調製する。
エラストマとしては、所望のものを使用できるが、本
発明にかかる面状発熱体10が空気中で使用されることが
多いことを考慮すれば、空気酸化によって劣化されない
ものが、好ましい。すなわち不飽和結合をあまり多く含
まないもの、たとえば(i)エチレンプロピレンゴム,
アクリロニトリルブタジエンゴム,アクリルゴム,シリ
コーンゴム,フッ素ゴム,ブチルゴム,塩素化ポリエチ
レンなどのゴム類のうちの少なくとも1種、あるいは
(ii)DOPすなわちジオクチルフタレートなどの可塑剤
を含有したポリ塩化ビニル,樹脂族ポリアミドなどの樹
脂類のうちの少なくとも1種を使用すれば、好適であ
る。
導電性素材としては、粒子状素材および繊維状素材の
うちの少なくとも一方を採用すればよい。
粒子状素材としては、(i)ケッチエンブラック,ア
セチレンブラック,ECFカーボンブラック,スターリング
V,グラファイトあるいはカーボン繊維などのカーボンブ
ラック系素材のうちから選ばれた少なくとも1種の素
材、あるいは(ii)ニッケル粉,銅粉,金粉,銀粉,ア
ルミニウム粉,黄銅粉,金属コートした雲母粉,金属コ
ートしたガラス粉などの金属系素材のうちから選ばれた
少なくとも1種の素材を使用すれば、好適である。カー
ボンブラック系素材の添加量は、エラストマの添加量10
0重量部に対し5〜50重量部が好ましく、また金属系素
材の添加量は、エラストマの添加量100重量部に対し10
〜90重量部が好ましい。所望によっては、カーボンブラ
ック系素材と金属系素材とを互いに組み合わせて使用し
てもよい。この場合のそれぞれの添加量は、本発明にか
かる面状発熱体10の重量ならびに導電度に対する要求に
応じて適宜に選択される。
繊維状素材としては、カーボン繊維,金属コートした
高分子繊維,金属コートしたガラス繊維あるいは金属繊
維(たとえばアルミニウム繊維,黄銅繊維,ニッケル繊
維)などが好適である。繊維状素材の添加量は、エラス
トマの添加量100重量部に対し10〜90重量部であること
が、好ましい。
補強用充填剤としては、たとえばホワイトカーボン,
沈降炭酸カルシウム,微細な粉末状の雲母,合成繊維
(たとえばナイロンあるいはテトロン)の短繊維,ウィ
スカおよびハードクレーなどのうちの少なくとも1種を
使用すれば、好適である。
加硫剤としては、たとえばイオウもしくは過酸化物を
使用すれば、好適である。ここで過酸化物としては、ジ
クミルパーオキサイド,第三ブチルクミルパーオキサイ
ドおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキ
シ)ヘキサンなどのうちの少なくとも1種を使用すれば
好適であり、所望によってエチレンジメタクリレート,
トリメチロールプロパントリメタクリレートあるいはポ
リアリール化合物(たとえばトリアリールイソシアヌレ
ート)などのうちの少なくとも1種を併用してもよい。
加硫促進剤としては、加硫剤としてイオウを用いる場
合、ベンゾチアゾール類(たとえば2−メルカプトベン
ゾチアゾール),ジチオカルバミン塩酸類およびチウラ
ム類(たとえばテトラメチルチウラムモノスルフィド)
などのうちの少なくとも1種を使用すれば、好適であ
る。加硫促進剤とともに加硫促進助剤(たとえば亜鉛華
など)を添加すれば、加硫促進剤が十分に機能するので
好ましい。
老化防止剤としては、たとえばN,N′−ジフェニール
−P−フェニレンジアミン,P−イソプロポキシジフェニ
ルアミンおよびN,N′−ジ−O−トリルエチレンジアミ
ンなどのうちの少なくとも1種を使用すれば、好適であ
る。
難燃剤は、老化防止剤とともに商品の寿命および安全
性を確保する作用をなしている。難燃剤としては、有機
リン系化合物(たとえばトリクレジルフォスフェート,
ジフェニルクレジルフォスフェート,トリオクチルフォ
スフェート,トリフェニルフォスフェートあるいはトリ
ス(クロロエチル)フォスフェートなどのうちの少なく
とも1種)と、有機ハロゲン系化合物(たとえばヘキサ
ブロモビフェニル,ペンタブロモクロロシクロヘキサン
あるいはトリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イ
ソシアヌレートなどのうちの少なくとも1種)と、金属
酸化物(たとえば酸化アンチモンなど)と、金属水酸化
物(たとえば水酸化アルミニウムあるいはホウ酸亜鉛な
どのうちの少なくとも1種)などよりなる群から選ばれ
た少なくとも1種を使用すれば、好適である。
加工助剤としては、ステアリン酸などを使用すれば、
好適である。
(PTC組成物の調製) PTC組成物は、側鎖にカルボキシル基を有しておりマ
トリックス樹脂として機能する高分子化合物(たとえば
結晶性高分子化合物)に対し、たとえば10-2〜103Ωcm
程度の導電性を発揮するよう導電性粒子を分散せしめる
ことにより、調製する。すなわちPTC組成物は、側鎖に
カルボキシル基を有した高分子化合物(たとえば結晶性
高分子化合物)と適宜の導電性粒子とを混練機(たとえ
ばオープンロールあるいはニーダなど)に投入し、側鎖
にカルボキシル基を有した高分子化合物(たとえば結晶
性高分子化合物)の軟化点まで過熱しつつ混練すること
により、調製する。
結晶性高分子化合物としては、融点が103℃と低く側
鎖にカルボキシル基を有しており多価金属(たとえばカ
ルシウム)を介して不飽和カルボン酸の末端に存在する
カルボキシル基に結合できるエチレンアクリル酸共重合
体が、好ましい。
また導電性粒子としては、カーボンブラック(ファー
ネスカーボンブラック,チャンネルカーボンブラック,
サーマルカーボンブラック,アセチレンカーボンブラッ
ク,スターリングV,ケッチエンブラックなど),グラフ
ァイト粉末,カーボン繊維,金属繊維あるいは金属粉な
どのうちの少なくとも1種を使用すれば、好ましい。導
電性粒子の添加量は、所望により適宜選択すればよい
が、高分子化合物(結晶性高分子化合物)100重量部に
対し特に10〜85重量部であれば、好ましい。
(PTC組成物の溶解) PTC組成物は、適宜の溶媒中で撹拌されて溶解され、P
TC組成物溶液とされる。
PTC組成物溶液は、後続の粒子化工程における滴下作
業を滴下ロートなどで実行しかつ滴下作業に所要とされ
る時間を短縮するために、粘度が100〜1000cp程度とな
るよう、10重量%以下の濃度とされていることが、好ま
しい。
(PTC組成物の粒子化) PTC組成物溶液は、撹拌中の適宜の貧溶媒(たとえば
トルエン)に対して滴下ロートなどを用いて滴下し、微
小な粒子として沈澱せしめることにより、PTC粒子とさ
れる。
貧溶媒の撹拌速度は、PTC粒子が1〜100μmとなるよ
う、適宜に調節する。ここでPTC粒子が1〜100μmとさ
れている根拠は、(i)1μm未満となると、後続の工
程における取扱が困難となり、また(ii)100μmを超
えると、体積に比べ表面積が小さくなり過ぎ、後続の多
価金属との反応がPTC粒子の内部まで達成されるに多大
の時間を要することとなることにある。
(PTC粒子における架橋形成) PTC粒子は、多価金属塩および不飽和カルボン酸とと
もに適宜の溶媒中に分散され、加熱しつつ撹拌される。
ここで不飽和カルボン酸の末端に存在するカルボキシル
基の量は、PTC粒子中の高分子化合物(たとえば結晶性
高分子化合物)の側鎖に存在するカルボキシル基の量と
同等以上であれば、好ましい。また多価金属塩中の多価
金属の量も、PTC粒子中の高分子化合物(たとえば結晶
性高分子化合物)の側鎖に存在するカルボキシル基の量
と同等以上であれば、好ましい。
これにより、PTC粒子中の高分子化合物(たとえば結
晶性高分子化合物)の側鎖にあるカルボキシル基と不飽
和カルボン酸の末端にあるカルボキシル基との間に多価
金属を介して架橋結合が形成されるので、PTC粒子は、
安定化される。
そののちPTC粒子は、水洗しかつトルエンによって洗
浄することにより、過剰の多価金属塩が除去される。
(導電性エラストマ組成物の溶解) 導電性エラストマ組成物は、適宜に溶媒(たとえばト
ルエン)中で撹拌されることにより溶解され、導電性エ
ラストマ溶液とされる。
導電性エラストマ溶液は、後続のPTC粒子の分散工程
における撹拌を効率良く実行するために粘度が10000cp
以下となるよう、20重量%以下の濃度とされていること
が、好ましい。
(PTC粒子の分散および沈澱) 多価金属を介して不飽和カルボン酸との間で架橋結合
されたPTC粒子は、導電性エラストマ溶液中に分散した
のち、充分に撹拌する。PTC粒子の分散され充分に撹拌
された導電性エラストマ溶液は、撹拌中の適宜の貧溶媒
に対して滴下ロートなどを用いて滴下し、微小な粒子と
して沈澱せしめることにより、適宜の粒径の粒子とされ
る。
これにより、PTCエラストマ粒子すなわち周囲に導電
性エラストマ組成物が配置されたPTC粒子を作成する。
(PTC組成物シートの作成) PTCエラストマ粒子は、キャストして乾燥したのち、
加熱しつつ加圧成形することにより、不飽和カルボン酸
の不飽和結合と導電性エラストマ組成物中の高分子化合
物の不飽和結合との間にイオウを介して架橋結合が形成
され、PTC組成物シートとされる。
したがってPTC組成物シートは、微視的には、PTC領域
の周囲に導電性エラストマ領域が配置(換言すれば導電
性エラストマ領域内にPTC領域が島状に分散)されてお
り、かつPTC領域中の高分子化合物(たとえば結晶性高
分子化合物)の側鎖にあるカルボキシル基が多価金属を
介して不飽和カルボン酸の末端にあるカルボキシル基に
対し架橋結合し、前記不飽和カルボン酸中の不飽和結合
がイオウを介して導電性エラストマ領域中の高分子化合
物にある不飽和結合に対し架橋結合されているので、PT
C領域が熱膨張しても流動化することがなく、安定化さ
れている。このためPTC組成物シートは、電圧印加を反
復しても電気抵抗が変化することが抑制されている。
(電極の配設) PTC組成物シートは、所望により適宜の大きさに切断
され、発熱層素体とされる。発熱層素体の表面には、適
宜の導電性接着剤を使用し、あるいは加硫接着もしくは
圧着によって電極12,13が配設され、発熱層11とされる
(第1図および第3図参照)。
これにより、本発明にかかる面状発熱体10を形成す
る。
ここで電極12,13は、銅,真鍮,ステンレス,アルミ
ニウムなどの金属板,金属箔,金属棒,金属糸,金属撚
糸あるいは金属網などで形成されていることが好まし
く、特に本発明にかかる面状発熱体10の可撓性を確保す
る必要がある場合には、金属線あるいは金属箔で形成さ
れていることが、好ましい。
(絶縁層の配設) 本発明にかかる面状発熱体10では、所望により発熱層
11および電極12,13の外表面に対して絶縁層14を配設し
てもよい。
加えて本発明にかかる面状発熱体およびその製造方法
の一実施例について、一層良く理解するために、具体的
な数値などを挙げて説明する。
(実施例1) 結晶性高分子化合物としてのエチレンアクリル酸共重
合体100重量部に対し導電性粒子としてのスターリング
Vを80重量部だけ配合し、80〜100℃に加熱されたオー
プンロールによって混練し、そののち厚さ300μmのシ
ートとし、最終的に3mm×3mmの小片に切断することによ
り、PTC組成物を調製した。
PTC組成物は80〜100℃に加熱されたデカリンに溶解
し、5重量%の濃度をもつPTC組成物溶液とされた。
PTC組成物溶液は、撹拌されている約10倍量のトルエ
ンに対して滴下し、PTC粒子とされた。PTC粒子は、過
されたのち乾燥されることにより、粒径が1〜100μm
とされた。
PTC粒子粉末は、水とエチルアルコールとの混合溶媒
1に対し100gだけ分散されたのち、多価金属塩として
の水酸化カルシウム3gと不飽和カルボン酸としてのリノ
ール酸15gとを添加し、室温で4時間にわたり撹拌され
た。これによりPTC粒子は、それに含まれたエチレンア
クリル酸共重合体の側鎖に存在するカルボキシル基がカ
ルシウムイオンによってリノール酸の末端に存在するカ
ルボキシル基に対し架橋結合され安定化された。
カルシウムイオンで安定化されたPTC粒子は、水洗さ
れたのちトルエンで洗浄された。
カルシウムイオンで安定化されたPTC粒子は、導電性
エラストマ溶液すなわち導電性エラストマ配合物のトル
エン溶液中に分散したのち、メチルアルコールに対して
滴下して沈澱せしめ、別し水洗して乾燥することによ
り、周囲に導電性エラストマ配合物が配置せしめられ、
PTCエラストマ粒子とされた。ここで導電性エラストマ
溶液は、100重量部のNBRすなわちアクリロニトリルブタ
ジエンゴムと、30重量部のケッチェンブラックECと、5
重量部の亜鉛華と、1.5重量部のステアリン酸と、1.5重
量部のテトラメチルチウラムモノスルフィドと、0.5重
量部のテトラチウラムジスルフィドと、2重量部のイオ
ウとを互いに混練機で分散混合せしめて作成した導電性
エラストマ組成物を、45gだけ10重量%となるよう適当
量のトルエンに溶解することにより作成された。
PTCエラストマ粒子は、180℃の温度に6分間だけ加熱
し加圧成形されることにより、PTC領域の周囲に導電性
エラストマ領域の配置された厚さ300μmで縦10cm×横1
1cmのPTC組成物シートとされた。このときPTCエラスト
マ粒子では、アクリロニトリルブタジエンゴム中の不飽
和結合とリノール酸中の不飽和結合との間にイオウを介
して架橋結合が形成されていた。
PTC組成物シートは、破断点引張強さTBが130kg/cm2
大きく充分の強度を有しており、また破断点伸びEBも10
0%と大きく充分の柔軟性を有していた。
更にPTC組成物シートは、そのまま発熱層素体とさ
れ、その両側縁部に幅5mmの銅箔が電極として接着され
ることにより、本発明にかかる面状発熱体とされた。
以上により作成された本発明にかかる面状発熱体は、
その電極間ひいては発熱層の室温(すなわち20℃)にお
ける電気抵抗値R20および80℃における電気抵抗値R80
をそれぞれ測定し、その間のR80/R20を抵抗変化率とし
て計算したところ、13であり、自己温度調節機能を充分
に有していた。
また以上により作成された本発明にかかる面状発熱体
は、電極間すなわち発熱層に対し、5分間の通電期間と
5分間の遮断期間とを交互に反復する試験電圧を印加し
て80℃の温度に加熱された。その試験電圧の印加時間が
100時間となっても、電極間の電気抵抗値の変化は、1
%未満であって、実質的に無視できた。
(実施例2) 導電性エラストマ溶液が、100重量部のエチレンプロ
ピレンゴムと、30重量部のケッチェンブラックECと、5
重量部の亜鉛華、と1.5重量部のステアリン酸と、1.5重
量部のテトラメチルチウラムモノスルフィドと、0.5重
量部のテトラチウラムジスルフィドと、2重量部のイオ
ウとを互いに混練機で分散混合せしめて作成した導電性
エラストマ組成物を、45gだけ10重量%となるようトル
エンに溶解することにより作成されたことを除き、実施
例1が反復された。
PTC組成物シートは、破断点引張強さTBが160kg/cm2
大きく充分の強度を有しており、また破断点伸びEBも12
0%と大きく充分の柔軟性を有していた。
本発明にかかる面状発熱体の抵抗変化率R80/R20は、1
5であり、自己温度調節機能を充分に有していた。
また本発明にかかる面状発熱体は、電極間すなわち発
熱層に対し、5分間の通電期間と5分間の遮断期間とを
交互に反復する試験電圧を印加して80℃の温度に加熱さ
れた。その試験電圧の印加時間が100時間となっても、
電極間の電気抵抗値の変化は、1%未満であって実質的
に無視できた。
(実施例3) 導電性エラストマ溶液が、100重量部のエチレンプロ
ピレンゴムと、30重量部のケッチェンブラックECと、5
重量部の亜鉛華と、1.5重量部のステアリン酸と、1.5重
量部のテトラメチルチウラムモノスルフィドと、0.5重
量部のテトラチウラムジスルフィドと、2重量部のイオ
ウとを互いに混練機で分散混合せしめて作成した導電性
エラストマ組成物を、25gだけ10重量%となるようトル
エンに溶解することにより作成されたことを除き、実施
例1が反復された。
PTC組成物シートは、破断点引張強さTBが150kg/cm2
大きく充分の強度を有しており、また破断点伸びEBも75
%と大きく充分の柔軟性を有していた。
本発明にかかる面状発熱体の抵抗変化率R80/R20は、2
7であり、自己温度調節機能を充分に有していた。
また本発明にかかる面状発熱体は、電極間すなわち発
熱層に対し、5分間の通電期間と5分間の遮断期間とを
交互に反復する試験電圧を印加して80℃の温度に加熱さ
れた。その試験電圧の印加時間が100時間となっても、
電極間の電気抵抗値の変化は、1%未満であって、実質
的に無視できた。
(実施例4) 導電性エラストマ溶液が、100重量部のエチレンプロ
ピレンゴムと、30重量部のケッチェンブラックECと、5
重量部の亜鉛華と、1.5重量部のステアリン酸と、1.5重
量部のテトラメチルチウラムモノスルフィドと、0.5重
量部のテトラチウラムジスルフィドと、2重量部のイオ
ウとを互いに混練機で分散混合せしめて作成した導電性
エラストマ組成物を、70gだけ10重量%となるようにト
ルエンに溶解することにより作成されたことを除き、実
施例1が反復された。
PTC組成物シートは、破断点引張強さTBが180kg/cm2
大きく充分の強度を有しており、また破断点伸びEBも18
0%と大きく充分の柔軟性を有していた。
本発明にかかる面状発熱体の抵抗変化率R80/R20は、
6であり、自己温度調節機能を充分に有していた。
また本発明にかかる面状発熱体は、電極間すなわち発
熱層に対し、5分間の通電期間と5分間の遮断期間とを
交互に反復する試験電圧を印加して80℃の温度に加熱さ
れた。その試験電圧の印加時間が100時間となっても、
電極間の電気抵抗値の変化は、1%未満であって、実質
的に無視できた。
(比較例1) 結晶性高分子化合物としてのエチレンアクリル酸共重
合体100重量部に対し導電性粒子としてのスターリング
Vを80重量部だけを配合し、80〜100℃の加熱されたオ
ープンロールによって混練し、そののち厚さ300μmの
シートとし、最終的に3mm×3mmの小片に切断することに
より、PTC組成物を調製した。
PTC組成物は、80〜100℃に加熱されたデカリンに溶解
し、5重量%の濃度をもつPTC組成物溶液とされた。
PTC組成物溶液は、撹拌されている約10倍量のトルエ
ンに対して滴下し、PTC粒子とされた。PTC粒子は、過
されたのち乾燥されることにより、粒径が1〜100μm
とされた。
PTC粒子は、100gだけ導電性エラストマ溶液すなわち
導電性エラストマ配合物のトルエン溶液に分散したの
ち、メチルアルコールに対して滴下して沈澱せしめ、
別し水洗して乾燥することにより、周囲に導電性エラス
トマ配合物が配置せしめられ、PTCエラストマ粒子とさ
れた。ここで導電性エラストマ溶液は、100重量部のNBR
すなわちアクリロニトリルブタジエンゴムと、30重量部
のケッチェンブラックECと、5重量部の亜鉛華と、1.5
重量部のステアリン酸と、1.5重量部のテトラメチルチ
ウラムモノスルフィドと、0.5重量部のテトラチウラム
ジスルフィドと、2重量部のイオウとを互いに混練機で
分散混合せしめて作成した導電性エラストマ組成物を、
45gだけ10重量%となるよう適当量のトルエンに溶解す
ることにより作成された。
PTCエラストマ粒子は、180℃の温度に6分間だけ加熱
し加圧成形されることにより、PTC領域の周囲に導電性
エラストマ領域の配置された厚さ300μmで縦10cm×横1
1cmのPTC組成物シートとされた。
PTC組成物シートは、破断点引張強さTBが130kg/cm2
大きく充分の強度を有しており、また破断点伸びEBも11
0%と大きく充分の柔軟性を有していた。
更にPTC組成物シートは、そのまま発熱層素体とさ
れ、その両側縁部に幅5mmの銅箔が電極として接着され
ることにより、面状発熱体とされた。
以上により作成された面状発熱体は、その電極間ひい
ては発熱層の室温(すなわち20℃)における電気抵抗値
R20および80℃における電気抵抗値R80とをそれぞれ測定
し、その間の比R80/R20を抵抗変化率として計算したと
ころ、14であり、自己温度調節を充分に有していた。
また以上により作成された面状発熱体は、電極間すな
わち発熱層に対し、5分間の通電期間と5分間の遮断期
間とを交互に反復する試験電圧を印加して80℃の温度に
加熱された。その試験電圧の印加時間が100時間となっ
たとき、電極間の電気抵抗値の変化は、−8%であっ
て、実質的に無視できなかった。
(比較例2) 結晶性高分子化合物としてのエチレンアクリル酸共重
合体100重量部に対し導電性粒子としてのスターリング
Vを80重量部だけ配合し、80〜100℃に加熱されたオー
プンロールによって混練し、そののち厚さ300μmのシ
ートとし、最終的に3mm×3mmの小片に切断することによ
り、PTC組成物を調製した。
PTC組成物は、80〜100℃に加熱されたデカリンに溶解
し、5重量%の濃度をもつPTC組成物溶液とされた。
PTC組成物溶液は、撹拌されている約10倍量のトルエ
ンに対して滴下し、PTC粒子とされた。PTC粒子は、過
されたのち乾燥されることにより、粒径が1〜100μm
とされた。
PTC粒子は、100gだけ導電性エラストマ溶液導電性エ
ラストマ配合物のトルエン溶液に分散したのち、メチル
アルコールに対して滴下して沈澱せしめ、別して水洗
して乾燥することにより、周囲に導電性エラストマ配合
物が配置せしめられ、PTCエラストマ粒子とされた。こ
こで導電性エラストマ溶液は、100重量部のエチレンプ
ロピレンゴムと、30重量部のケッチェンブラックECと、
5重量部の亜鉛華と、1.5重量部のステアリン酸と、1.5
重量部のテトラメチルチウラムモノスルフィドと、0.5
重量部のテトラチウラムジスルフィドと、2重量部のイ
オウとを互いに混練機で分散混合せしめて作成した導電
性エラストマ組成物を、45gだけ10重量%となるよう適
当量のトルエンに溶解することにより作成された。
PTCエラストマ粒子は、180℃の温度に6分間だけ加熱
し加圧成形されることにより、PTC領域の周囲に導電性
エラストマ領域の配置された厚さ300μmで縦10cm×横1
1cmのPTC組成物シートとされた。
PTC組成物シートは、破断点引張強さTBが150kg/cm2
大きく充分の強度を有しており、また破断点伸びEBも12
5%と大きく充分の柔軟性を有していた。
更にPTC組成物シートは、そのまま発熱層素体とさ
れ、その両側縁部に幅5mmの銅箔が電極として接着され
ることにより、面状発熱体とされた。
以上により作成された面状発熱体は、その電極間ひい
ては発熱層の室温(すなわち20℃)における電気抵抗値
R20および80℃における電気抵抗値R80とをそれぞれ測定
し、その間の比R80/R20を抵抗変化率として計算したと
ころ、14であり、自己温度調節機能を充分に有してい
た。
また以上により作成された面状発熱体は、電極間すな
わち発熱層に対し、5分間の通電期間と5分間の遮断期
間とを交互に反復する試験電圧を印加して80℃の温度に
加熱された。その試験電圧の印加時間が100時間となっ
たとき、電極間の電気抵抗値の変化は、−7%であっ
て、実質的に無視できなかった。
実施例1〜4と比較例1および2を比較すれば明らか
なように、本発明にかかる面状発熱体では、PTC領域の
高分子化合物中のカルボキシル基と導電性エラストマ領
域の高分子化合物中の不飽和結合とが、多価金属と不飽
和カルボン酸とイオウとを介して順次に架橋結合されて
いたので、柔軟性および自己温度調節機能を維持でき、
併せて電圧の反復印加に伴なうマトリックスの流動性の
増大を抑制する機能を確保できていた。
(3)発明の効果 上述より明らかなように本発明にかかる面状発熱体
は、発熱層に対して電極が配設されてなる面状発熱体で
あって、特に前記発熱層が、 (a)側鎖にカルボキシル基を有する第1の高分子化合
物と、前記第1の高分子化合物に対して分散された導電
性粒子とを含むPTC組成物からなり、電気抵抗の温度係
数が正であるPTC領域と、 (b)前記PTC領域の周囲に配置されており、主鎖およ
び側鎖の少なくとも一方に不飽和結合を有する第2の高
分子化合物と、前記第2の高分子化合物に対して分散さ
れた他の導電性粒子とを含む導電性エラストマ組成物か
らなる導電性エラストマ領域と、 (c)前記第1の高分子化合物のカルボキシル基に対し
カルボキシル基が多価金属を介して架橋結合され、かつ
不飽和結合がイオウを介して前記第2の高分子化合物の
不飽和結合に対し架橋結合された不飽和カルボン酸と を含有してなるので、 (i)バイメタルなどの温度調節部材を追加配設するこ
となく、自己温度調節機能ならびに過熱防止機能を達成
できる効果 を有し、また (ii)柔軟性を確保し、ひいては曲率半径の小さな場所
への配設を可能とし、併せて収納のためのスペースを削
減できる効果 を有し、また (iii)反復使用に際して流動性の増大を阻止し電気抵
抗の変化を十分に抑制できる効果 を有する。
また本発明にかかる面状発熱体の製造方法は、 (a)側鎖にカルボキシル基を有する結晶性高分子化合
物に対し少なくとも導電性粒子を分散せしめることによ
りPTC組成物を作成する第1の工程と、 (b)前記PTC組成物を溶媒に溶解せしめてPTC組成物溶
液を作成する第2の工程と、 (c)前記PTC組成物溶液を貧溶媒に滴下し沈殿せしめ
てPTC粒子を作成する第3の工程と、 (d)前記PTC粒子を多価金属塩および不飽和カルボン
酸とともに溶媒に分散せしめることにより、前記第1の
高分子化合物のカルボキシル基を多価金属によって前記
不飽和カルボン酸中のカルボキシル基に対して架橋結合
せしめる第4の工程と、 (e)主鎖および側鎖の少なくとも一方に不飽和結合を
有する第2の高分子化合物に対して少なくとも他の導電
性粒子を分散せしめた導電性エラストマ配合物を溶媒に
溶解せしめて導電性エラストマ溶液を作成する第5の工
程と、 (f)前記導電性エラストマ溶液に対し前記多価金属に
よって前記カルボキシル基が前記不飽和カルボン酸中の
カルボキシル基に対して架橋結合されたPTC粒子を分散
したのち乾燥することにより、前記不飽和カルボン酸中
の不飽和結合を前記第2の高分子化合物中の不飽和結合
に対しイオウを介して架橋結合されたPTCエラストマ粒
子を作成する第6の工程と、 (g)前記PTCエラストマ粒子を加圧成形することによ
り、電気抵抗の温度係数が正であるPTC領域の周囲に導
電性エラストマ領域の配置された発熱層を形成する第7
の工程と、 (h)前記発熱層に対して電極を配設する第8の工程と を備えてなるので、上記(i)〜(iii)の効果に加え (iv)発熱層の安定化作業を容易化できる効果 を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる面状発熱体の一実施例を示すI
−I線にそった拡大断面図、第2図は第1図実施例の微
細構造を示す拡大断面図、第3図は第1図実施例の平面
図である。10 ……面状発熱体 11……発熱層 11A……PTC領域 11B……導電性エラストマ領域 12,13……電極 14……絶縁層

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発熱層に対して電極が配設されてなる面状
    発熱体において、前記発熱層が、 (a)側鎖にカルボキシル基を有する第1の高分子化合
    物と、前記第1の高分子化合物に対して分散された導電
    性粒子とを含むPTC組成物からなり、電気抵抗の温度係
    数が正であるPTC領域と、 (b)前記PTC領域の周囲に配置されており、主鎖およ
    び側鎖の少なくとも一方に不飽和結合を有する第2の高
    分子化合物と、前記第2の高分子化合物に対して分散さ
    れた他の導電性粒子とを含む導電性エラストマ組成物か
    らなる導電性エラストマ領域と、 (c)前記第1の高分子化合物のカルボキシル基に対し
    カルボキシル基が多価金属を介して架橋結合され、かつ
    不飽和結合がイオウを介して前記第2の高分子化合物の
    不飽和結合に対し架橋結合された不飽和カルボン酸と を含有してなることを特徴とする面状発熱体。
  2. 【請求項2】(a)側鎖にカルボキシル基を有する第1
    の高分子化合物に対し少なくとも導電性粒子を分散せし
    めることによりPTC組成物を作成する第1の工程と、 (b)前記PTC組成物を溶媒に溶解せしめてPTC組成物溶
    液を作成する第2の工程と、 (c)前記PTC組成物溶液を貧溶媒に滴下し沈殿せしめ
    てPTC粒子を作成する第3の工程と、 (d)前記PTC粒子を多価金属塩および不飽和カルボン
    酸とともに溶媒に分散せしめることにより、前記第1の
    高分子化合物のカルボキシル基を多価金属によって前記
    不飽和カルボン酸中のカルボキシル基に対して架橋結合
    せしめる第4の工程と、 (e)主鎖および側鎖の少なくとも一方に不飽和結合を
    有する第2の高分子化合物に対して少なくとも他の導電
    性粒子を分散せしめた導電性エラストマ配合物を溶媒に
    溶解せしめて導電性エラストマ溶液を作成する第5の工
    程と、 (f)前記導電性エラストマ溶液に対し前記多価金属に
    よって前記カルボキシル基が前記不飽和カルボン酸中の
    カルボキシル基に対して架橋結合されたPTC粒子を分散
    したのち乾燥することにより、前記不飽和カルボン酸中
    の不飽和結合を前記第2の高分子化合物中の不飽和結合
    に対しイオウを介して架橋結合されたPTCエラストマ粒
    子を作成する第6の工程と、 (g)前記PTCエラストマ粒子を加圧成形することによ
    り、電気抵抗の温度係数が正であるPTC領域の周囲に導
    電性エラストマ領域の配置された発熱層を形成する第7
    の工程と、 (h)前記発熱層に対して電極を配設する第8の工程と を備えてなることを特徴とする面状発熱体の製造方法。
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