JP2603011Y2 - 生理用ナプキン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、着用者に対するフィッ
ト性に優れた生理用ナプキンに関する。

【０００２】

【従来の技術】生理用ナプキンに要求される品質として
は、より多くの液分を、表面においてスポット的に速や
かに吸収し、内部において拡散させて保持性に優れるこ
と、また、および液分の逆戻りや横漏れ・前後漏れ等を
防止することである。

【０００３】従来より、実用に供されている多くの生理
用ナプキンは、排液の吸収・保持のための吸収体は、使
用面の全面に均一に入っているのが一般的である。

【０００４】近年、スポット吸収性を高め、逆戻りを防
止するためには、吸収体の排液部に相当する部分の吸収
性能を高めることが有効であることから、使用面側に凸
状に突出する中高部を形成し、該部分での吸収能力を図
った生理用ナプキンが提案されている。また、特に就寝
時の漏れを防止するために、股間部の割れ目に密着させ
るべく、生理用ナプキンの全長に渡って中高部を形成し
たナプキンも提案されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】通常、製造された生理
用ナプキンは、長手方向に３つ折りされた状態で一つず
つ包装され、さらにある枚数単位で梱包、包装され販売
されるが、たとえば前述の如く、吸収体に中高部が形成
された生理用ナプキンの場合には、中高部の厚みが他に
比べて厚いため、折り畳まれた状態で圧力を受けて潰さ
れ、型崩れを起こすとともに、その影響でサイドの非中
高部が膨出するなどして全体に平坦化される傾向にあ
る。また、図６に示されるように、中高部２１Ａが形成
されると、その段部Ｂのために吸収体２１表面の透液性
シート２０が非中高部と離間し易くなり、透液性シート
２０部分にシワや重なりができる場合がある。このよう
な透液性シート２０に形成される離間・シワ・重なりは
排液が吸収体に速やかに吸収されるのを阻害し、排液吸
収性の低下の原因となる。さらに、前記中高部の横ズレ
等も防止する必要がある。

【０００６】以上の説明においては、吸収体の排液部に
相当する部分の吸収性能を高めるために中高部を形成す
ることについての問題点を中心にして述べたが、中高部
の形成の有無に関係なく一般的に言えるこの種の生理用
ナプキンにおいて重要なことは、当該生理用ナプキンを
股間部においていかに良好にフィットさせるかの点であ
る。生理用ナプキンが股間部において良好にフィットで
きれば、大部分の場合、前述の横漏れ・前後漏れを防止
できる。

【０００７】そこで、本考案の主たる課題は、生理用ナ
プキンを股間部において良好にフィットできる構造を提
供することにある。

【０００８】他の課題は、吸収体の使用面側に凸状に突
出する中高部を形成するに際して、その中高部のズレを
防止でき中高部の形状保持に優れ、かつ吸収性に優れた
生理用ナプキンを得るとともに、生理用ナプキンを股間
部において良好にフィットできる構造を提供することに
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本考
案は、透液性シートと、不透液性シートと、両シート間
に介装される排液を吸収する吸収体とを備えた生理用ナ
プキンにおいて、前記吸収体の幅方向および長手方向中
間の排液部分に、吸収体より幅狭でかつ短長の使用面側
に凸状に突出する中高部を形成するとともに、前記中高
部の幅方向両側部分において長手方向に沿って透液性シ
ートを介してヒートシールによる圧着固定線をもって非
中高部に対して圧着固定し、前記圧着固定線の長手方向
領域に対してその圧着固定線より同じか長い区間にわた
って、各圧着固定線の幅方向外側において、弾性伸縮部
材をそれぞれ設け、ナプキンの両側部を使用時において
長手方向に沿って収縮するように構成したことを特徴と
する生理用ナプキンである。

【００１０】

【作用】本考案では、吸収体の幅方向両側縁よりそれぞ
れ内側位置であって、かつ吸収体の中間の排液部分に、
長手方向に沿って透液性シートをヒートシールによる圧
着固定線をもって前記吸収体に圧着したものである。

【００１１】したがって、横断面において、その圧着固
定線を境界として、圧着固定線より幅方向外側が脚内側
に括れ易くなり、結果として、装着状態においては、両
圧着固定線の間の部分が変形し難くなり、その両圧着固
定線の間の部分が横断面上湾曲円弧状を描きながら股間
の局部に良好にフィットする。なお、圧着固定線がない
場合には、吸収体の長手方向に沿う皺が生じやすく、そ
の皺が生じる個所が一定でない。

【００１２】しかし、両圧着固定線の間の部分が横断面
上湾曲円弧状を描きながら股間の局部にフィットするこ
とは、生理用ナプキン（吸収体）を前後方向に関して上
膨出円弧状に反らせる結果となり、前後漏れを生じ易く
なる。

【００１３】そこで、本考案においては、前記圧着固定
線の長手方向領域に対してその圧着固定線より同じか長
い区間にわたって、各圧着固定線の幅方向外側におい
て、弾性伸縮部材をそれぞれ設け、ナプキンの両側部を
使用時において長手方向に沿って収縮するように構成し
た。したがって、弾性伸縮部材をそれぞれ設けることに
より、ナプキンは長手方向に収縮するので、長手方向に
関して下湾曲の舟形を呈するようになり、股間部全体に
前後方向に関して良好にフィットし前後漏れを防止でき
る。

【００１４】一方、両圧着固定線の間の部分が横断面上
湾曲円弧状を描きながら股間の局部に対してフィットす
る変形に伴って、生理用ナプキン（吸収体）が前後方向
に関して上膨出円弧状に反らせる力が作用する。この生
理用ナプキン（吸収体）に作用する前後方向に関して上
膨出円弧状に反らせる力に対して抗するように、弾性伸
縮部材の収縮力が作用するとしても、弾性伸縮部材はナ
プキンの幅方向中央部にあるのではなく、各圧着固定線
の幅方向外側において設けられているのであるから、そ
の各外側部分を介して両圧着固定線の間の部分より前部
および後部を持ち上げるようになり、ナプキン全体とし
てみれば、前後方向に関して下湾曲の舟形を呈しながら
股間部に沿う形状を維持する。

【００１５】さらに、圧着固定線を形成した結果、その
圧着固定線より幅方向外側が脚内側に括れ易くなり横漏
れが生じ易くなるのに対して、圧着固定線より幅方向外
側には、弾性伸縮部材を設けたので、その部分が着用者
の肌に当たるように起立し、横漏れを防止できる。

【００１６】このように、圧着固定線の形成と弾性伸縮
部材の設置によって、ナプキン全体としてきわめて優れ
たフィット性を与える。

【００１７】また、本考案においては、吸収体の使用面
側に中高部を形成するに際し、その中高部の幅方向両側
部分において長手方向に沿って透液性シートを介してヒ
ートシールによる圧着固定線をもって非中高部に対して
圧着固定したものである。したがって、中高部吸収体
は、現位置に固定されるためズレることが無くなり、中
高部吸収体の形状が保持されるため、圧力を受けても容
易に型崩れを起こすことがなくなり、横断面段状の中高
形状が保持される。かかる中高部の固定のための圧着固
定線は、前述のように、ナプキンのフィット性を向上さ
せる。

【００１８】

【実施例】次に、実施例に基づいて本考案を詳細に説明
する。図１は、本考案生理用ナプキンの第１実施例を使
用面側から見た平面図であり、装着時には図１の上方が
腹側（前側）で、下方側が背側（後側）となる。同図に
おいて、１は不織布または孔開きプラスチックシートな
どからなる透液性シートであり、２はポリエチレンシー
トなどからなる不透液性シートであり、その間に吸収体
３が介装されている。このナプキンの平面形状は全体と
して細長く、吸収体３の長手方向中央部分、すなわち股
間相当部分が若干括れている。

【００１９】また、透液性シート１と不透液性シート２
は、吸収体３の周縁から外方に延在して、両シート１、
２がホットメルトなどの接着剤またはヒートシールなど
により重ね合わされ、フラップ部Ｆが形成されている。
不透液性シート２の下面には、ズレ止めホットメルト接
着剤７が適宜のパターンで塗布されており、これは剥離
紙８により被覆されている。装着時には、この剥離紙８
を剥離し、ホットメルト接着剤７部分をショーツに圧着
させて、ナプキンのズレ止めを図っている。

【００２０】前記吸収体３は、図２の横断面図に示され
るように、下部吸収体３１と上部吸収体３２とが積層さ
れる二層構造となっている。上部吸収体３２は、ナプキ
ン長手方向中間部であって、かつ幅方向中間部分に設け
られ、使用面側に凸状に突出する中高部Ｄが形成されて
いる。この二層構造によれば、経血が排出される部分の
吸収体の総量が多いので吸収性能が高まる。また、上部
吸収体３２と下部吸収体３１は、その形態保持力の補強
のために、テッシュなどからなる紙綿台紙９等によって
被包することができる。

【００２１】上部吸収体３２の厚みｔ₁ は８〜３０mm、
好ましくは１２〜１８mmの範囲とするのが望ましく、下
部吸収体３１の厚みｔ₂ は２〜１４mm、好ましくは２〜
６mmの範囲とするのがよい。吸収体の全厚ｔの決定に当
たっては昼用と夜用とを考慮し、昼用は装着感に重きを
置き、夜用については吸収能力に重きをおいて、前記範
囲内で適宜決定するのが望ましい。ただし、下部吸収体
３１を薄くする場合には、違和感および携帯性の点から
は好ましいのであるが、吸収体自体にコシがなくなるた
め、弾性伸縮部材４による収縮を受けて横ジワが入り易
くなるとともに、手触りでの厚感がなくなるため、紙綿
にパルプ不織布を混入したものを使用すると薄い場合で
あっても程よい剛性を付与することができる。また、水
溶性高分子樹脂バインダーやホットメルト接着剤を散布
するなどにより剛性を付与することもできる。

【００２２】さらに、本考案生理用ナプキンにおいて
は、前記上部吸収体３２を囲む全周部分、または図１に
示すようにその両側部において、上部吸収体３２に近接
する位置で透液性シート１が下部吸収体３１に対してヒ
ートシールによる圧着固定線３３，３３をもって圧着固
定されている。

【００２３】前記の固定線３３，３３によって前記上部
吸収体３２は下部吸収体３１と透液性シート１によって
形成される袋空間Ａ内部に閉じ込められることによっ
て、横および縦方向に固定されるため、容易にズレるこ
とがなくなるとともに、上部吸収体３２の変形が規制さ
れるため、圧力を受けても容易に型崩れしなくなる。さ
らに、透液性シート１のみの浮き上がりが無くなるた
め、透液性シート１上に排出された経血は、速やかに吸
収体３に吸収されるようになり、排液吸収性が極めて良
好となる。

【００２４】また、ヒートシールによる圧着固定線によ
るの固定方法としては、透液性シート１としてポリプロ
ピレン不織布などの熱溶融性のものを用い、あるいは吸
収体３中にポリエチレンなどの熱溶融性材料を含ませ
て、ヒートシールにより圧着固定することができる。固
定線３３は、連続的に線状であることが望ましいが、不
連続に点線状に固着されることでもよい。

【００２５】一方、前記ナプキンの両側部分であって、
やや腹側寄りのサイドフラップ部には、透液性シート１
と不透液性シート２との間に弾性伸縮部材４，４が介装
され、その伸長状態においてホットメルト接着剤により
固着一体化されている。弾性伸縮部材４としては、１本
または平行の複数本の糸ゴム、または帯状のゴム、ある
いはウレタンなどの弾性発泡帯などを用いることができ
る。

【００２６】前記弾性伸縮部材４は、その収縮力によ
り、半剛性体たる二重構造の吸収体３を舟形に下湾曲さ
せ、フィット感を向上させるとともに、横漏れおよび前
後漏れを防止する。

【００２７】この際、弾性伸縮部材４の長さＸを中高部
長さＳよりも長くするとともに、中高部Ｄの長手方向形
成範囲を前記弾性伸縮部材４の配設範囲内とすれば、中
高部Ｄをも含めて全体に湾曲させるため股間形状に沿っ
てフィットさせることができる。

【００２８】前記弾性伸縮部材長さＸと中高部Ｄ長さＳ
との相対差は、大きすぎると非中高部分にシワを作り易
く、逆に隙間の原因ともなるため、中高部Ｄの前後側の
それぞれに０〜２０mm、好ましくは６〜１２mm程度の余
裕を持たせるようにして弾性伸縮部材長さＸを決定する
のが望ましい。

【００２９】なお、本考案のナプキンの全長ＦＬとして
は、２２０〜３５０mmが、全幅ＦＷとしては４０〜１４
０mmであることが好ましい。

【００３０】次に、前述の作用の欄で説明した事項を、
より明瞭にするために再度、図３〜図５を参照しながら
詳述する。すなわち、本考案では、吸収体３の幅方向両
側縁よりそれぞれ内側位置であって、かつ吸収体３の中
間の排液部分に、長手方向に沿って透液性シート１をヒ
ートシールによる圧着固定線３３をもって吸収体３に圧
着したものである。

【００３１】したがって、図４に示すように（Ｍは着用
者の股間部分を示す）、横断面において、その圧着固定
線３３を境界として、圧着固定線３３より幅方向外側が
脚内側に括れ易くなり、結果として、装着状態において
は、両圧着固定線３３の間の部分が変形し難くなり、そ
の両圧着固定線３３の間の部分が横断面上湾曲円弧状を
描きながら股間の局部に良好にフィットする。

【００３２】しかし、両圧着固定線３３の間の部分が横
断面上湾曲円弧状を描きながら股間の局部にフィットす
ることは、生理用ナプキン（吸収体３）を前後方向に関
して、図５の仮想線Ｘで示すように上膨出円弧状に反ら
せる結果となり、前後漏れを生じ易くなる。

【００３３】そこで、本考案においては、前記圧着固定
線３３の長手方向領域に対してその圧着固定線３３より
同じか長い区間にわたって、各圧着固定線３３の幅方向
外側において、弾性伸縮部材４，４をそれぞれ設け、ナ
プキンの両側部を使用時において長手方向に沿って収縮
するように構成した。したがって、弾性伸縮部材４，４
をそれぞれ設けることにより、図５の破線Ｙで示す力で
ナプキンは長手方向に収縮するので、ナプキンは、図５
の実線で示すように、長手方向に関して下湾曲の舟形を
呈するようになり、股間部全体に前後方向に関して良好
にフィットし前後漏れを防止できる。

【００３４】一方、両圧着固定線３３，３３の間の部分
が横断面上湾曲円弧状を描きながら股間の局部に対して
フィットする変形に伴って、生理用ナプキン（吸収体
３）には、前後方向に関して上膨出円弧状に反らせる力
が作用する。この生理用ナプキン（吸収体３）に前後方
向に関して上膨出円弧状に反らせる力に対して抗するよ
うに、弾性伸縮部材４，４の収縮力が作用するとして
も、弾性伸縮部材４，４はナプキンの幅方向中央部にあ
るのではなく、各圧着固定線３３，３３の幅方向外側に
おいて設けられているのであるから、その各外側部分を
介して両圧着固定線３３，３３の間の部分より前部およ
び後部を持ち上げるようになり（図５の矢印参照）、ナ
プキン全体としてみれば、前後方向に関して下湾曲の舟
形を呈しながら股間部に沿う形状を維持する。

【００３５】さらに、圧着固定線３３，３３を形成した
結果、その圧着固定線３３，３３より幅方向外側が、図
４に示すように、脚内側に括れ易くなり横漏れが生じ易
くなるのに対して、圧着固定線３３，３３より幅方向外
側には、弾性伸縮部材４，４を設けたので、図３に示す
ように、その部分が着用者の肌に当たるように起立るの
で、横漏れを防止できる。

【００３６】このように、圧着固定線３３の形成と弾性
伸縮部材４の設置によって、ナプキン全体としてきわめ
て優れたフィット性を与える。

【００３７】

【考案の効果】以上のとおり、本考案によれば、生理用
ナプキンを股間部において良好にフィットさせることが
できる。さらに、吸収体の使用面側に凸状に突出する中
高部を形成し、その中高部のズレを防止しながら、中高
部の形状保持に優れたものを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の生理用ナプキンの第１実施例の一部破
断平面図である。

【図２】図１のII−II線横断面図である。

【図３】本考案の生理用ナプキンの装着状態横断面図で
ある。

【図４】弾性伸縮部材を設けない場合におけるナプキン
の装着状態横断面図である。

【図５】本考案の生理用ナプキンの装着状態縦断面図で
ある。

【図６】中高部を有する生理用ナプキンの問題点を説明
するための図である。

【符号の説明】

１…透液性シート、２…不透液性シート、３…吸収体、
３１…下部吸収体、３２…上部吸収体、４…弾性伸縮部
材、３３…圧着固定線、Ｄ…中高部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61F 13/15

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】透液性シートと、不透液性シートと、両シ
   ート間に介装される排液を吸収する吸収体とを備えた生
   理用ナプキンにおいて、 前記吸収体の幅方向および長手方向中間の排液部分に、
   吸収体より幅狭でかつ短長の使用面側に凸状に突出する
   中高部を形成するとともに、 前記中高部の幅方向両側部分において長手方向に沿って
   透液性シートを介してヒートシールによる圧着固定線を
   もって非中高部に対して圧着固定し、 前記圧着固定線の長手方向領域に対してその圧着固定線
   より同じか長い区間にわたって、各圧着固定線の幅方向
   外側において、弾性伸縮部材をそれぞれ設け、ナプキン
   の両側部を使用時において長手方向に沿って収縮するよ
   うに構成したことを特徴とする生理用ナプキン。