JP2597849B2 - リゾチーム阻害物質 - Google Patents

リゾチーム阻害物質

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、蛋白性リゾチーム阻害物質に関する。
従来の技術 リゾチーム(lysozyme)は、ムラミダーゼ、ムコペプ
チドグリコヒドロラーゼとも呼ばれる細菌細胞壁溶解酵
素(EC 3.2.1.17)である。即ち、該酵素は細菌細胞壁
のムコペプチド等に存在するN−アセチルムラミン酸と
N−アセチルグルコサミンとの間のβ1→4−ムラミド
結合を加水分解を触媒し、このため生菌に直接作用させ
ると細胞壁による抗浸透圧作用を失ない、溶菌をひき起
こす。動植物界に広く分布しているこの酵素は、上記作
用を有する点より細胞壁の構造解析、ペプチドグルカン
の生理機能の解析、プロトプラストの調製などに利用さ
れるのみならず、殺菌剤、微生物細胞内容物の抽出等に
も広く利用されている。一方、オートリシンと呼ばれる
細菌の細胞壁自己溶解酵素は、細胞の伸長、***等に重
要な役割を演じていると考えられている。従ってこのよ
うなリゾチームの活性を阻害する物質が見つかれば、細
胞壁が起こる色々な生理現象の解明、リゾチームの動物
体での生理的役割の解明を始めとして、各種細菌学、蛋
白質化学、酵素反応機構等の研究分野での利用が考えら
れるが、現在かかるリゾチーム阻害物質は報告されてい
ない。
発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、リゾチーム阻害作用、殊に動物起源
のリゾチームに対して特異的にこれを阻害する作用を有
する有用物質を提供することにある。
問題点を解決するための手段 上記目的は、下記性質を有するリゾチーム阻害物質に
より達成される。
性状:白色結晶状粉末 呈性反応:フェノール・硫酸法、エルソン−モルガン
(Elson−Morgan)反応、ヒスチジン(histidine)反応
に陽性を示す 等電点:pH約5.04である 分子量:セファデックスG−100(フォルマシア社
製)及びセファクリールS−200(社製)を用いたゲル
過法により測定される分子量は、いずれも約54000で
あり、またSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法に
よる分子量は、約13500〜14000である pH安定性:37℃、30分間の処理によりpH3〜9の範囲で
失活は認められない 熱安定性:pH7、10分間の処理により、80℃までは安定
である リゾチーム阻害特異性:動物起源のリゾーチームに対
して特異的にこれを阻害する作用を有する。
本発明のリゾチーム阻害物質は、微生物の培養によ
り、即ちリゾチーム阻害物質の生産能力を有する菌株
(以下リゾチーム阻害物質生産菌と称する)を適当な条
件下で培養することにより、製造することができる。
本発明リゾチーム阻害物質の製造に用いる菌株の具体
例としては、本発明者らが新たに土壌中より分離したバ
チルス属に属する菌株OFC453株を例示できる。該株は、
通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所に受託番号
「微工研菌寄第9434号」(FERM P−9434)として寄託
されている。その菌学的性質は次の通りである。
(a)形態 細胞の形及び大きさ:桿菌であり、2.5〜3.5×0.7〜
0.9μmの大きさを有する。
内生胞子:菌体中央部に大きさ0.7〜0.8×1.5〜1.7μm
の楕円形内生胞子を形成する。
グラム染色:陽性 (b)各種培地における生育状態 普通寒天培地(25℃、20時間): 表面は粗でしわがある。端が不規則な波形で濁ったク
リーム色の円形コロニーを形成する。
ゼラチン搾刺培養で生育し、ゼラチンの液化状態は上
部で広がっている。
20〜50℃の温度範囲で良好に生育するが、55℃以上及
び7℃以下の温度範囲では生育しない。
5%及び7%NaCl中で生育する。
0.001%リゾチーム中では生育する。
0.02%アジド中では生育しない。
嫌気性寒天上で生育しない。
サブローデキストロース培地上で生育する。
リトマス・ミルク:色素脱色がみられ、ミルクは凝固な
しに消化する。
(c)生理学的性質 1)カタラーゼ:陽性 2)オキシダーゼ:陽性 3)澱粉の加水分解:陽性 4)ゼラチンの液化:陽性 5)アルギニンデハイドロラーゼ:陰性 6)オルニチンデカルボキシラーゼ:陰性 7)インドールの生成:陰性 8)硝酸塩の還元:陽性 9)エスカリン:陽性 10ウレアーゼ:陰性 11)クエン酸の利用:陽性 12)フェニルアラニンデアミナーゼ:陰性 13)エッグヨーク反応:陰性 14)グルコースからのガスの生成:陰性 15)アセトインの生成:陽性 16)下記糖からの酸の生成: グルコース + フクルトース + マルトース + ガラクトース − キシロース + マンニトール + シュクロース + ラクトース ± β−ガラクトシダーゼ + 以上の菌学的性質に基づいて、バージーズ マニュア
ル オブ ディターミネィティブ バクテリオロジー第
八版(Bergey′s Manual of Determinative Bacteriolo
gy)に従い検索を行なった結果、本菌株は、好気的に生
育する有胞子性桿菌で、グラム陽性、カタラーゼ陽性で
あることからバチルス属に属する細菌であると確認され
た。更に内性胞子の位置はセントラルでその部分が膨張
しないこと、グルコースから酸を生成しないこと、アセ
トインを生成すること、キシロース、マンニトールから
酸を生成すること、卵黄反応陰性であること、7%NaCl
中及びサブローデキストロース寒天培地に生育すること
等の点で、本菌株はバチルス スピーシーズ1−3(B.
subtilus.B.pumilus及びB.licheniformis)の性質と良
く一致していた。しかし之等三菌種の内B.pumilusとは
澱粉の加水分解、硝酸還元性において相違が認められ、
B.licheniformisとは嫌気条件下での生育、アギニンデ
ハイドロラーゼの有無において相違が認められた。しか
るにB.subtilisとはその生理的諸性質、培養初見等の点
でいずれも一致が認められた。従って、本菌株をバチル
ス ズブチリスと同定し、これをバチルス ズブチリス
(Butilus subtillis)OFC453株と命名した。
本発明のリゾチーム阻害物質は、例えば上記バチルス
ズブチリスOFC453株、その変異株等のバチルス属に属
する各種のリゾチーム阻害物質生産菌を適当な培地で培
養することにより製造される。
上記微生物の培養方法は、原則的には一般微生物の培
養方法に準ずるが、通常は液体培養による振盪培養法、
通気攪拌培養法等の好気的条件下で行なうのが好適であ
る。
培養に用いられる培地としては、バチルス属に属する
リゾチーム阻害物質生産菌が利用できる栄養源を含有す
る培地であればよく、各種の合成培地、半合成培地、天
然培地等のいずれも用いることができる。培地組成とし
ては炭素源としてのグルコース、シユークロース、フラ
クトース、グリセリン、デキストリン、澱粉、糖蜜、コ
ーン・ステイープ・リカー、有機酸等を単独又は組合せ
て用い得る。窒素源としてはフアーマメデイア、ペプト
ン、肉エキス、酵母エキス、大豆粉、カゼイン、アミノ
酸、尿素等の有機窒素源、硝酸ナトリウム、硫酸アンモ
ニウム等の無機窒素源を単独又は組合せて用い得る。ナ
トリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩、
その他の重金属塩等も必要に応じて添加使用され得る。
尚、培養中発泡の著しい時は、公知の各種消泡剤を適宜
培地中に添加することもできるが、その添加利用は目的
とするリゾチーム阻害物質の生産に悪影響を与えないも
のとする必要がある。
培地のpHは、中性付近とするのが好ましい。培養温度
は、リゾチーム阻害物質生産菌が良好に生育する温度、
通常20〜40℃、特に好ましくは30℃付近に保つのがよ
い。培養時間は、液体培養の場合、一般に1〜3日間程
度とされる。上記培養によって目的とするリゾチーム阻
害物質が生成蓄積される。勿論上述した各種の培養条件
は、使用微生物の種類や特性、外部条件等に応じて適宜
変更でき、またそれぞれ応じて上記範囲から最適条件を
選択、調節される。
上記培養により生産されるリゾチーム阻害物質の単離
は、該物質の蓄積が最大となる頃に、発酵生産物を採取
する一般的な方法に準じて、例えば硫酸アンモニウム沈
澱法等の塩析法、透析法、各種ゲルクロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラ
フィー等の各種手段を単独又は任意の順序で組合せるこ
とにより実施できる。
より詳しくは、上記培養により生産されるリゾチーム
阻害物質は主として培養液体(液)中に存在するの
で、過、遠心分離等の手段で、まず培養液と菌体固
形分とを分離後、得られる液に硫酸アンモニウム等公
知の塩析剤を添加して塩析して、目的とするリゾチーム
阻害物質を含有する沈澱物を遠心分離するか、珪藻土等
を過助剤を添加して過する。上記塩析の際、沈澱物
の回収を容易にするために、例えば硫酸第二鉄、塩化第
二鉄、硫酸アルミニウム等の凝集剤を添加することもで
きる。また上記凝集剤の添加により、溶液がpHが大巾に
変化するときは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン
酸一ナトリウム等の中和剤を凝集剤の添加直前に添加し
てpHを5〜8に保持することもできる。上記塩析は繰返
し行なうこともできる。
得られた沈澱物は、次いでこれを透析等の手段により
脱塩処理後、水又は適当な緩衝液、例えばトリス−塩酸
緩衝液、リン酸塩緩衝液等に溶解させた形態で、更に精
製することができる。この精製は、例えばDEAE−セファ
デックスA−50(ファルマシア社製)カラムクロマトグ
ラフィー、セファクリールS−200(ファルマシア社
製)ゲルクロマトグラフィー、DEAE−トヨパール650M
(東洋曹達社製)カラムクロマトグラフィー、フォルミ
ル−セルロファイン(チッソ社製)アフィニティクロマ
トグラフィー等により実施できる。その詳細は、後記実
施例に示す。
上記精製操作により得られる目的のリゾチーム阻害物
質は、白色結晶状粉末として収得でき、これはスラブゲ
ル電気泳動で単一バンドを示すこと、焦点等電点電気泳
動において単一バンドを示すこと、セファデックスG−
100、セファクリールS−200カラムクロマトグラフィで
対称型の単一ピークを示すこと等によって証明される。
本発明のリゾチーム阻害物質は、上記各種の性質を有
する点において特徴付けられると共に、例えばニワトリ
の卵白リゾチーム、七面鳥の卵白リゾチーム、人乳リゾ
チーム等の動物起源のリゾチームに選択的な阻害特異性
を有し、微生物や植物起源のリゾチームに対しては阻害
活性を実質的に示さない点において特徴づけられる。こ
のことは後記する試験例において詳述する通りである。
以上の通り、本発明のリゾチーム阻害物質は、動物起
源のリゾチームを特異的に阻害する活性を有しており、
従ってこれは、リゾチーム阻害剤として有用であり、例
えば細菌細胞壁溶解酵素としてのリゾチームの生理的機
能の解明、該酵素の関与する細胞壁で起こる種々の生理
現象の研究等に役立つものである。
実施例 以下、本発明のリゾチーム阻害物質の製造例及び得ら
れる阻害物質の試験例を実施例として挙げる。なお、リ
ゾチーム阻害活性は以下の方法により測定した。
〈リゾチーム阻害活性の測定〉 1) 基質の調製 a.凍結乾燥細胞壁標品 ミクロコッカス リゾディクチカスIFO3333(Micoroc
occus lysodeikticus IFO3333)の凍結乾燥菌を水に2
〜3%に懸濁させ、ジノミル(Dyno−mill)(0.01〜0.
02mmガラスビーズ、シンマルエンタープライス社製)で
菌体を破壊し、1000rpm 5分間遠心して、未破壊菌体と
雑質とを除去し、その上清を8000rpmで30分間遠心た
後、破壊菌体を集め、この沈澱の色が消えるまで水洗し
た(約3回)。かくして得られた沈澱を凍結乾燥して凍
結乾燥細胞壁標品を調製した。尚、上記操作は氷水上、
4℃で実施した。得られた標品の回収率は約20%であっ
た。
b.細胞壁懸濁液の調製 上記a.で得られた標品を50mMリン酸カリウム緩衝液
(pH7.7)に懸濁させ、室温で6時間以上攪拌後、均一
な細胞壁懸濁液を調製し、これを上記緩衝液で適宜希釈
して基質の吸光度測定に供した。
2) 酵素(ニワトリ卵白リゾチーム)の調製 a.ニワトリ卵白リゾチーム(生化学工業社製) 10mgを、水10mlに溶かして0.1%酵素液を調製した。
これを冷蔵保存した。
b.活性測定の直前に、上記a.で調製した0.1%酵素液を
氷水上で冷却した50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)に
て200倍希釈(2.5μg酵素/0.5ml)し、同氷水で冷却し
ながらサンプリングした。
3) 阻害活性の測定 培養液中の阻害物質の生産量の測定は、卵白リゾチー
ムに培養液試料を作用させ、卵白リゾチームのミクロコ
ッカス リゾディクチカス細胞壁溶解活性に対する阻害
率により求めた。上記活性は次の方法により測定した。
a.阻害活性 卵白リゾチーム溶液0.5mlに阻害物質試料溶液(50mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7)にて適宜希釈したもの)
1.0mlを37℃、10分間作用させた後、基質(細胞壁懸濁
液)1.5mlを加え、37℃、30分間酵素反応させ、これよ
り660nmの吸光度を測定する。かくして得られる吸光度
を「A」とする。
b.酵素活性 上記a.において、阻害物質試料溶液の代りに50mMリン
酸カリウム緩衝液(pH7)1.0mlを加え、同様に操作し、
吸光度を求める。この吸光度を「B」とする。
c.基質の盲験 上記において、阻害物質試料溶液及び酵素(卵白リゾ
チーム)溶液の代りに、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH
7)1.5mlを加え、同様に操作して吸光度を求める。この
吸光度を「C」とする。
以上の結果より、試料の阻害率は、次式によって算出
される。
阻害率(%)=(A−B)/(C−B)×100 尚、本発明者の研究によれば、卵白リゾチームに対す
る阻害率と阻害物質試料の濃度との間には、阻害率約10
〜60%の範囲内で直線関係が認められ、従って、上記に
おいては卵白リゾチームに対する阻害率が10〜60%にな
るように阻害物質試料溶液を適宜希釈して利用する。
上記測定条件下で求められた阻害率が50%となる阻害
物質試料溶液の濃度を「1阻害単位」とする。
実施例1 1 微生物の培養 a. グルコース0.65%、グルタミン酸ナトリウム0.5
%、肉エキス1.0%及びポリペプトン4.0%を含有する培
地(以下「GMMP培地」という、pH7.0)100mlを500mlの
肩付振盪フラスコに分注し、120℃で10分間殺菌処理を
行なった後、これにバチルス ズブチリスOFC453株(微
工研菌寄第9434号)の保存斜面培養物の一白金耳量を接
種し、30℃、110rpmで振盪培養した。
尚、上記保存斜面培養物は、肉エキス1%、ポリペプ
トン1%、塩化ナトリウム0.3%及び寒天1.5%を含有す
るブイヨン(スラント)斜面培地(pH7.0)で上記OFC45
3株を30℃下に16〜20時間培養したものである。
b. また、GMMP倍地150mlを入れた振盪フラスコに、OFC
453株を上記a.と同様にして接種し、30℃、150rpmの条
件下に振盪培養した。
上記a.法に従えば、培養開始30〜35時間で培養物液
のリゾチーム阻害活性は最高に達し、以後この値を維持
した。また、上記b.法に従えば、培養開始50〜60時間で
培養物液のリゾチーム阻害活性は最高に達し、以後こ
の値を維持した。
2 阻害物質の精製 a. 上記1の培養により阻害活性が最高に達する時点
(b.法による場合50〜60時間後)で培養物を過し培養
液100を得た。
b. 上記培養液に、固形アンモニウム61kgを攪拌しな
がら徐々に添加し、低温室にて一夜放置し、析出したリ
ゾチーム阻害活性の認められる沈澱を遠心分離(9000rp
m、20分間)して集めた。また上記遠心分離に代えてセ
ライト過を行なって、同様にリゾチーム阻害活性の認
められる沈澱を集めた。
上記沈澱を最少量の50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.
0)に溶解させ、この液をポリビニルアルコール製ホロ
ファイバーの外部に通し、該ファイバーの内部に水を通
して透析した。
c. 上記b.で得られた透析液を50mMトリス塩酸緩衝液
(pH7)で平衡化させたDEAE−セファデックスA−50
(ファルマシア社製)カラム(6.5×25cm)にのせ、同
緩衝液1で洗浄後、0.25M、0.5M及び0.1Mの塩化ナト
リウムを含む同緩衝液のそれぞれを用いて3段階で溶出
させた。
阻害活性は、1.0M塩化ナトリウムを含むトリス塩酸緩
衝液によって溶出された画分に認められた。
この画分に80%飽和となるように硫酸アンモニウムを
加え、一夜低温室に放置した後、生じた沈澱をセライト
過して集め、これを最少量の50mMリン酸ナトリウム緩
衝液(pH7)に溶解させた。
d. 予め、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)で平衡
化させたセファクリールS−200(ファルマシア社製)
カラム(4×81cm)に、上記c.で得た阻害活性画分を含
む液を負荷し、次いで同緩衝液で溶出させた。
結果を第1図に示す。図において横軸はフラクション
No.(10ml/フラクション)を、縦軸は阻害活性(単位/m
l)及び280nmでの吸光度(A280)を示し、曲線(1)が
阻害活性データであり、曲線(2)がA280を示す。
フラクションNo.31〜62の活性画分を集め、これに硫
酸アンモニウムを加えて80%飽和とした後、生じた沈澱
をセライト過して集め、20mMリン酸ナトリウム緩衝液
(pH7)に溶解させ、透析チューブを用いて水に対して1
6時間低温室で透析した。
e. 上記d.で得られた阻害活性画分に、20mMとなるよう
に酢酸ナトリウム緩衝液(pH6)を加え、これを予め同
緩衝液(20mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH6)で平衡化さ
せたDEAE−トヨパール650M(東洋曹達社製)カラム(2.
5×35cm)に負荷し、同緩衝液400mlで洗浄後、阻害活性
画分を同緩衝液500mlずつ用いた塩化ナトリウムの濃度
勾配によって溶出させた。即ち、NaCl濃度を0から0.4M
まで直線的に増加させて溶出を行ない、各画分について
阻害活性及び280nmでの吸収を測定した。
結果を第1図と同様にして第2図に示す。尚、図にお
いて曲線(3)はNaCl濃度を示す。
フラクションNo.141〜200の活性画分を集めた。
f. 上記e.で得られた活性画分を、20mMリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH7)で平衡化させた固定化リゾチームを用
いたホルミル−セルロファイン(チッソ社製)カラム
(1.5×5.2cm)にのせ、同緩衝液及び4N塩化ナトリウム
を含む同緩衝液で続いて溶出させた後、同緩衝液を用い
たSDSの濃度勾配(0〜0.5%)で溶出させて、このSDS
を含む緩衝液の溶出分画に目的とする阻害活性画分を得
た。
上記溶出結果を前期各図と同様にして第3図に示す。
尚、図には使用した上記各緩衝液を矢印にて示してあ
り、また曲線(4)はSDSの濃度(%)を示す。
上記で得られた活性画分を20mMリン酸ナトリウム緩衝
液(pH7)に対して5日間、4℃で透析を行なった。か
くして本発明のリゾチーム阻害物質を単離、精製した。
以上の各段階における、阻害活性物質の回収率とその
比活性の上昇を下記第1表にまとめた。
3 阻害物質の確認・同定 1) 均一性 上記2で得られた阻害活性画分につきスラブゲル電気
泳動を行なった〔日本生化学編、生化学実験講座1−
I、第222頁、東京化学同人、1976年〕。
その結果、上記阻害物質は、単一バンドを示し、均一
であることが確認された。
更に、上記画分は、これに80%飽和になるように硫酸
アンモニウムを加えて一夜冷室に放置後、生じた沈澱を
セライト過して集め、最少量の50mMリン酸カリウム緩
衝液(pH7)に溶解して冷室に放置すれば、阻害活性を
有する白色の結晶状沈澱を生じる。
上記沈澱はフェノール・硫酸法、エルソン・モルガン
(Elson−Morgan)反応、ヒスチジン(histidine)反応
等により糖蛋白質であることが確認される。
2) 等電点 焦点電気泳動法〔同上文献、第262頁〕に従い、担体
アンホリルアンホライン(Carrier ampholye ampholin
e)組成を(pH2.5〜4):(pH4〜6):(pH3.5〜10)
=1:2:2として、等電点測定を行なった。
その結果は第4図に示す通りであり、等電点は5.04で
あった。尚、図において曲線(1)及び(2)は前記と
それぞれ同一であり、曲線(5)はpHを示す。
3) 分子量 a. セファデックスG−100を用いた分子量測定結果を
第5図に示す。図において横軸は相対溶出容積(VE/
VO)を、縦軸は分子量(×104)を示す。また図中A〜
Eは、それぞれ以下の分子量マーカーを示す。
A……γ−グロブリン B……牛血清アルブミン(BSA) C……卵白アルブミン D……キモトリプシン E……チトクロームC 上記第5図より、本阻害物質の分子量は約54000と算
出された。
b. セファクリールS−200を用いた分子量測定を上記
a.と同様にして行なった結果、本阻害物質の分子量は約
54000と算出された。
c. SDS−PAGEを用いた分子量測定結果は、第6図に示
す通りであり、本阻害物質の分子量は、13500〜14000と
算出された。
4) 安定性 a.pH安定性 本阻害物質溶液(A280=0.37)の各20μを、各種の
緩衝液[10mM酢酸塩−塩酸(pH2〜3)、10mM酢酸塩(p
H4〜6)、10mMトリス塩酸(pH7〜8)、10mMホウ酸塩
(pH9〜10)、10mMNa2CO3−Na2B4O7(pH11)]80μ中
に添加し、37℃で30分間インキュベートし、50mMトリス
塩酸緩衝液(pH7)で希釈後、卵白リゾチームに対する
残存阻害活性を測定した。
その結果、本阻害物質はpH3〜9の範囲で失活が認め
られないものであった。
b.熱安定性 上記a.と同様にして本阻害物質溶液の20μを50mMト
リス塩酸緩衝液(pH7)80μに加え、希釈後、各種温
度条件下に10分間インキュベートし、冷却後、卵白リゾ
チームに対する残存阻害活性を測定した。
その結果、本物質は80℃までは100%の残存阻害活性
を有しており、該温度までは安定であると認められた。
4 生理活性試験 前記リゾチームの阻害活性の測定法に従い、各種起源
のリゾチームをそれぞれ3μgづつ用いて、本発明阻害
活性物質の阻害率を求めた。
結果を第2表に示す。
尚、表中、印はファン及びベックマン(D.P.Fan,M.
M.Beckman)の方法〔J.Bacteriol.,114,804(1973)〕
により調製した。また※※印はベルニールら(I.Bernie
r,F.Van Leeputten,M.Horisberger,D.A.Bush,P.Jolle
s)に方法〔FEBS Lett.,14,100(1971)〕により調製
した。
上記第2表より、本発明阻害物質は、動物起源のリゾ
チームのみ阻害し、植物及び微生物起源のリゾチームは
阻害しないことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図はセファクリールS−200を用いたゲルクロマト
グラフィーの結果を示すグラフ、第2図はDEAE−トヨパ
ール650Mを用いたカラムクロマトグラフィーの結果を示
すグラフ、第3図はホルミル−セルロファインカラムを
用いたアフィニティークロマトグラフィーの結果を示す
グラフ、第4図は焦点電気泳動法の結果を示すグラフ、
第5図はセファデックスG−100を用いて本発明物質の
分子量を測定した結果を示すグラフ及び第6図はSDS−P
AGEによる同分子量測定結果を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の性質を有する蛋白性リゾチーム阻害物
    質。 性状:白色結晶状粉末 呈性反応:フェノール・硫酸法、エルソン−モルガン
    反応、ヒスチジン反応に陽性を示す 等電点:pH約5.04である 分子量:ゲル過法により測定される分子量は約5400
    0であり、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によ
    り測定される分子量は約13500〜14000である pH安定性:37℃、30分間の処理によりpH3〜9の範囲で
    失活は認められない 熱安定性:pH7、10分間の処理により、80℃までは安定
    である リゾチーム阻害特異性:動物起源のリゾーチームに対
    して特異的にこれを阻害する作用を有する。
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