JP2595467B2 - 合成樹脂製卵容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数の卵を一定の間隔
を保持したままパックができる合成樹脂製卵容器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の合成樹脂製卵容器１′は、例えば
図８に示すように、上容器２′に卵の上半分を収める上
凹所４′を複数設け、下容器３′に卵の下半分を収める
下凹所５′を複数設け、上容器２′と下容器３′の各一
端縁を枢支部１０′にて開閉自在に枢支すると共に、卵
を納めた後で上容器２′と下容器３′の各他端縁をホッ
チキス５０等で止めるようにしたものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、卵容器１′
を店頭で展示する場合は上下多段に積み重ねて展示され
るのが一般的であるが、従来の卵容器１′の前面部は平
坦面が殆どなく、このため、卵容器１′の前面部を利用
して例えば商品のバーコードやキャッチフレーズ、商品
名等の商品に関する情報を表示した比較的大きなラベル
を直接貼着したりすることはできず、また仮りに貼着し
てもすぐ剥がれてしまうため、消費者側に商品の良さを
十分にアピールできないという問題があり、一方、消費
者側にとっても商品を選別する際の目安となる商品名や
品質内容を十分に把握できないのが現状である。

【０００４】本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、簡単な改良でしか
も卵容器のデッドスペースを有効利用して商品のバーコ
ードやキャッチフレーズ、商品名などを表示できるよう
にした合成樹脂製卵容器を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、卵の上半分を収める上凹所４を複数有す
る上容器２と、卵の下半分を収める下凹所５を複数有す
る下容器３との各一端縁２ａ，３ａを枢支部１０にて開
閉自在に枢支して成る合成樹脂製卵容器であって、上容
器２の他端縁２ｂがわの複数の上凹所４のうちの隣合う
上凹所４の間に、該上凹所４の上面４ａと略面一となっ
た帯状の上側貼着面６ａが形成されると共に、上容器２
の他端縁２ｂに帯状の前側貼着面８が形成され、上容器
２の他端縁２ｂがわの複数の上凹所４から上容器２の一
端縁２ａがわの複数の上凹所４に至る上面側にラベル７
が貼着されないスペースが設けられ、このスペース内で
下段側の上容器２の上凹所４の間に上段側の下容器３の
下凹所５を差し込むようにして卵容器１を上下に積み重
ねて展示可能として成ることに特徴を有している。

【０００６】また、上記上容器２の他端縁２ｂがわの上
凹所４の前面に上下方向に延びた当接面２０が形成され
ており、下容器３の他端縁２ｂには上容器２と下容器３
とを閉じた状態で上容器２の前側貼着面８と略面一とな
る前側貼着面８が形成されているのが好ましい。

【０００７】

【作用】本発明によれば、上容器２の他端縁２ｂがわの
複数の上凹所４のうちの隣合う上凹所４の間に、該上凹
所４の上面４ａと略面一となった帯状の上側貼着面６ａ
を形成すると共に、上容器２の他端縁２ｂに帯状の前側
貼着面８を形成するようにしたから、商品のバーコード
やキャッチフレーズ、商品名等を表示したラベル７を上
側貼着面６ａから前側貼着面８に亘って貼着することに
より、卵容器１のデッドスペースとなる上容器２の他端
縁ｂがわの複数の上凹所４から上容器２の他端縁２ｂに
至る前面側のスペースを有効に利用して、商品に関する
情報を一目瞭然で表示できるようになる。しかも、上容
器２の他端縁２ｂがわの複数の上凹所４から上容器２の
一端縁２ａがわの複数の上凹所４に至る上面側にラベル
７が貼着されないスペースが設けられ、このスペース内
で下段側の上容器２の上凹所４の間に上段側の下容器３
の下凹所５を差し込むようにして卵容器１を上下に積み
重ねて展示可能としたから、上容器２の他端縁２ｂがわ
の複数の上凹所４から上容器２の一端縁２ａがわの複数
の上凹所４に至る上面側のスペースにはラベル７は貼着
されないので、卵容器１を上下多段に積み重ねて展示す
る場合にはこのスペースを利用して従来通り、上段側の
卵容器１を載置でき、卵容器１の展示には別段支障はき
たさないものである。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本発明は、卵の上半分を収める上凹所４を複数有
する薄肉の上容器２と、卵の下半分を収める下凹所５を
複数有する薄肉の下容器３とから成る合成樹脂製卵容器
１であって、上容器２の前面側にラベル７を貼着できる
ようにしたものである。

【０００９】合成樹脂製卵容器１は、図１〜図４及び図
７に示すように、合成樹脂シート材を真空成形等にて成
形されるものであって、上容器２及び下容器３の各一端
縁２ａ，３ａが横長の枢支部１０にて開閉自在に枢支さ
れ、上容器２には、卵の上半分を収める上凹所４が複数
個（本実施例では３個）２列にして列設されると共に、
下容器３には卵の下半分を収める下凹所５が上凹所４に
対応させて複数個２列にして列設されている。上記横長
の枢支部１０の上縁及び下縁には、枢支部１０の全長に
亘って断面Ω状に曲成した曲成部分が形成され、これら
曲成部分から上容器２と下容器３とが連出されている。
尚図２中、１１は上容器２側に設けられる円筒状の嵌合
突起、１２は下容器３側に設けられる円筒状の嵌合孔１
２ａを有する被嵌合部であり、嵌合突起１１を嵌合孔１
２ａに嵌合させることで上容器２と下容器３とを閉じた
状態で保持でき且つ上容器２と下容器３とを開く方向に
引張って嵌合突起１１を嵌合孔１２ａから離脱させるこ
とで卵を取り出せるようになっている。

【００１０】また、上容器２の前列の各上凹所４の相互
間には、ラベル７の上部が貼着される連設部分６が夫々
形成されている。連設部分６は、本実施例では、中空の
断面逆Ｕ字状に形成され、上部に上凹所４の上面４ａと
略面一となった帯状の上側貼着面６ａが形成され、上側
貼着面６ａから隣合う両側の上凹所４の上面４ａに至る
平坦面に沿ってラベル７の上部を貼着できるようになっ
ている。また、連設部分６の両側部６ｂ間の幅は上凹所
４よりも小さく形成されており、上凹所４内の卵の上半
分が連設部分６内に倒れ込むのが防がれている。一方、
上容器２の枢支部１０が設けられる一端縁２ａとは反対
側の他側縁２ｂには、ラベル７の下部が貼着される前側
貼着面８が横方向に沿う帯状に形成されている。本実施
例では、下容器３の枢支部１０が設けられる一端縁３ａ
とは反対側の他側縁３ｂにも、上容器２と下容器３とを
閉じた状態で上容器２の前側貼着面と略面一となる前側
貼着面９が横方向に沿う帯状に形成されており、これら
前側貼着面８，９、上側貼着面６ａ、上凹所４の上面４
ａ等によりラベル貼着部Ｌが構成されている。

【００１１】さらに、上容器２の前列の各上凹所４の前
面には、上下方向に細長く延びた当接面２０が夫々形成
されている。これら当接面２０は、図６に示すように、
上側貼着面６ａにラベル７の上部を貼着し且つ前側貼着
面８にラベル７の下部を貼着した状態で、ラベル７の中
間部が面接触できる角度に傾斜しており、ラベル７の中
間部を裏面から支持できるように構成してある。また、
この当接面２０にはラベル７の中間部を貼着することが
でき、この場合、当接面２０は上側貼着面６ａと前側貼
着面８との間に位置する中間貼着面を構成するものであ
る。

【００１２】しかして、卵容器１の表面に、商品のバー
コードやキャッチフレーズ、商品名等が表示された四角
形状のラベル７を貼着するにあたっては、ラベル７の裏
面に部分的（少なくともラベル７の上部と下部）或いは
全面的に接着剤を塗布し、ラベル７の上部を上容器２の
上側貼着面６ａに押し当て接着し、ラベル７の中間部を
上凹所４の前面の当接面２０に押し当てながらラベル７
の下部を前側貼着面８，９に押し当てて接着する。この
ようにしてすべての卵容器１に個々にラベル７を貼着す
る。そして、これら卵容器１を、図５及び図６に示すよ
うに、下段側の上容器２の上凹所４の間に上段側の下容
器３の下凹所５を差し込むようにして卵容器１を密に積
み重ねて展示する。このとき、上容器２の他端縁２ｂが
わの複数の上凹所４から上容器２の一端縁２ａがわの複
数の上凹所４に至る上面側のスペースにはラベル７は貼
着されないので、このスペースを利用して従来通り、上
段側の卵容器１を載置でき、卵容器１の展示には別段支
障はきたさないものであり、さらに、卵容器１のデッド
スペースとなる上容器２の他端縁２ｂがわの複数の上凹
所４から上下各容器２，３の各他端縁２ｂ，３ｂに至る
前面側のスペースを有効利用して、商品のバーコードや
キャッチフレーズ、商品名等を表示したラベル７が貼着
されているので、ラベル７を一目瞭然で表示することが
でき、消費者側に商品の良さを十分にアピールできる一
方で、消費者側にとっても商品を選別する際の目安とな
る商品名や品質内容を十分に把握できるという利点があ
る。

【００１３】また、本発明の合成樹脂製卵容器１は、従
来の卵容器１′（図８）に上側貼着面６ａ、当接面２
０、及び前側貼着面８等を追加するだけで済むので、本
発明の卵容器１を工場で生産するにあたっては、従来の
卵容器１′の成形金型の一部に修正を加えるだけで、上
側貼着面６ａ、当接面２０、及び前側貼着面８を備えた
卵容器１を製造でき、生産コストの低減を図ることがで
きる。また、ラベル７が貼着される上側貼着面６ａと前
側貼着面８は夫々平坦面であり、さらにラベル７の少な
くとも上下両側を上側貼着面６ａと前側貼着面８とに夫
々押さえ付けるだけでよいので、ラベル７を自動的に貼
着するための機械を工場の既存の生産ラインの途中に付
設することによって、ラベル７を自動的に上容器２に貼
着させることができるようになる。その結果、本発明の
卵容器１は、既存の設備をそのまま利用して、合理的に
製造できると共に、余分な設備投資が不要であるので、
設備コストを低減できるという利点もある。

【００１４】さらに、上凹所４の前面に上下方向に延び
た当接面２０を形成したので、上側貼着面６ａと前側貼
着面８とにラベル７を貼着した状態で、当接面２０にて
ラベル７の中間部を裏面から支持できるので、ラベル７
の中間部が容器表面から浮き上がってラベル７にしわが
発生したり、或いはラベル７が中間部から切れてしまっ
たりする心配がなくなる。そのうえ、当接面２０にラベ
ル７の中間部を貼着することもでき、この場合、上容器
２へのラベル７の貼着力をより一層高めることができる
ものである。また、下容器３の他端縁３ｂにも前側貼着
面９を形成したので、ラベル７の下部を上容器２の前側
貼着面８から下容器３の前側貼着面９に亘って貼着する
ことによって、ラベル７自体が上容器２の他端縁ｂと下
容器３の他端３ｂとを閉じる機能を兼ねるようになり、
従って、ラベル７を破らない限り卵容器１を開くことが
できないため、第三者が店内で卵容器１を開いて商品に
悪戯したりするのを未然に防止できるようになる。

【００１５】上記実施例では、連設部分６を卵容器１に
一体成形したけれど、連設部分６を卵容器１と別々に作
製してもよく、要するに上側貼着面６ａが隣合う両側の
上凹所４の上面４ａと略面一となるように形成できるも
のであれば、連設部分６の形状は問わない。その一例と
して、例えば連設部分６を薄板片から構成し、隣合う両
側の上凹所４の上面４ａ間に架け渡して接着剤などで接
着するようにしてもよい。この場合、連設部分６の分だ
け部品点数が増えるというデメリットがあるが、その反
面、成形金型を修正する必要がないというメリットがあ
る。

【００１６】また、上凹所４及び下凹所５の数、及び上
側貼着面６ａの数及び形状は上記実施例に限定されるも
のではない。さらに、ラベル７は、四角形状に限定され
るものではなく、上側貼着面６ａから前側貼着面８まで
延びて貼着できる形状であればよく、例えば円形、楕円
形、三角形状その他のあらゆる形状のものに適用でき
る。また、ラベル７に表示されるのは、商品のバーコー
ドやキャッチフレーズ、商品名に限られるものではな
く、品質、産地、販売会社名、効能、賞味期限等のよう
な商品に関連するあらゆる情報を広く含めることができ
る。

【００１７】

【発明の効果】上述のように、請求項１記載の発明によ
れば、上容器の他端縁がわの複数の上凹所のうちの隣合
う上凹所の間に、該上凹所の上面と略面一となった帯状
の上側貼着面が形成されると共に、上容器の他端縁に帯
状の前側貼着面が形成され、上容器の他端縁がわの複数
の上凹所から上容器の一端縁がわの複数の上凹所に至る
上面側にラベルが貼着されないスペースが設けられ、こ
のスペース内で下段側の上容器の上凹所の間に上段側の
下容器の下凹所を差し込むようにして卵容器を上下に積
み重ねて展示可能として成るので、卵容器のデッドスペ
ースとなる上容器の他端縁がわの複数の上凹所から上容
器の他端縁に至る前面側のスペースを有効利用して、商
品のバーコードやキャッチフレーズ、商品名等を表示し
たラベルを貼着でき、商品に関する情報を一目瞭然で表
示できると共に、上容器の他端縁がわの複数の上凹所か
ら上容器の一端縁がわの複数の上凹所に至るスペースに
はラベルは貼着されないので、このスペースを利用して
従来通り、卵容器を上下多段に積み重ねることができ
る。その結果、上容器の他端縁がわの上凹所間に上側貼
着面を設け、上容器の他端縁に前側貼着面を設けるとい
う簡単な構造でありながら、商品のバーコードやキャッ
チフレーズ、商品名などを表示したラベルを上容器の前
面側に直接貼着して、商品に関する情報を一目瞭然で消
費者側に表示でき、低コストで高い宣伝効果を期待で
き、一方、消費者側にとっても商品を選別する際の目安
となる商品名や品質内容を容易に把握できるという効果
を奏する。

【００１８】また、請求項２記載の発明によれば、請求
項１記載の上容器の他端縁がわの上凹所の前面に上下方
向に延びた当接面が形成されており、下容器の他端縁に
は上容器と下容器とを閉じた状態で上容器の前側貼着面
と略面一となる前側貼着面が形成されているので、請求
項１の効果に加えて、上側貼着面と前側貼着面とにラベ
ルを貼着した状態で、当接面にてラベルの中間部を裏面
から支持できるので、ラベルの中間部が容器表面から浮
き上がってしわが発生したり、或いはラベルが中間部か
ら切れてしまったりする心配がなくなると共に、当接面
にラベルの中間部を貼着することができ、上容器へのラ
ベルの貼着力をより一層高めることが可能となる。さら
に、下容器の他端縁に前側貼着面を形成したから、ラベ
ルの下部を上容器の前側貼着面から下容器の前側貼着面
に亘って貼着することができ、上記当接部にてラベルの
中間部の支持力を高めることができることとあいまっ
て、ラベル自体が上容器の他端縁と下容器の他端とを閉
じる機能を兼ねるようになり、従って、ラベルを破らな
い限り卵容器を開くことができないため、第三者が店内
で卵容器を開いて商品に悪戯したりするのを未然に防止
でき、商品の高信頼性を得ることができる。

【００１９】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す斜視図である。

【図２】同上の卵容器の斜視図である。

【図３】同上の卵容器の正面図である。

【図４】同上の卵容器を開放した状態の側面図である。

【図５】同上のラベルを貼着した卵容器の展示状態を説
明する正面図である。

【図６】同上のラベルを貼着した卵容器の展示状態を説
明する側面図である。

【図７】（ａ）は図２のＣ−Ｃ線断面図、（ｂ）は図２
のＢ−Ｂ線断面図である。

【図８】従来例の卵容器の斜視図である。

【符号の説明】

１ 合成樹脂製卵容器 ２ 上容器 2a 一端縁 2b 他端縁 ３ 下容器 3a 一端縁 3b 他端縁 ４ 上凹所 4a 上面 ５ 下凹所 6a 上側貼着面 ８ 前側貼着面 10 枢支部 20 当接面

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 卵の上半分を収める上凹所を複数有する
   上容器と、卵の下半分を収める下凹所を複数有する下容
   器との各一端縁を枢支部にて開閉自在に枢支して成る合
   成樹脂製卵容器であって、上容器の他端縁がわの複数の
   上凹所のうちの隣合う上凹所間に、該上凹所の上面と略
   面一となった帯状の上側貼着面が形成されると共に、上
   容器の他端縁に帯状の前側貼着面が形成され、上容器の
   他端縁がわの複数の上凹所から上容器の一端縁がわの複
   数の上凹所に至る上面側にラベルが貼着されないスペー
   スが設けられ、このスペース内で下段側の上容器の上凹
   所の間に上段側の下容器の下凹所を差し込むようにして
   卵容器を上下に積み重ねて展示可能として成ることを特
   徴とする合成樹脂製卵容器。
2. 【請求項２】 上容器の他端縁がわの上凹所の前面に上
   下方向に延びた当接面が形成されており、下容器の他端
   縁には上容器と下容器とを閉じた状態で上容器の前側貼
   着面と略面一となる前側貼着面が形成されていることを
   特徴とする請求項１記載の合成樹脂製卵容器。