JP2591266Y2 - 金属製中空ゴルフヘッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ウッドタイプ又はアイ
アンタイプの金属製中空ゴルフヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】中空ゴルフヘッドは、ウッドタイプクラ
ブ、アイアンタイプクラブにおいて一般的であり、ステ
ンレス鋼、チタン及びその合金、アルミニウム及びその
合金、銅合金、鉄マンガン合金、カーボン繊維強化プラ
スチック等を材質として広く作られている。

【０００３】この中空ゴルフヘッドは、図８に示すよう
に、上面本体部１１と、ソール部１２との２部品で構成
されており、これら２部品を鋳造、鍛造等で製造した
後、図中１３で示される部分を溶接して接合している。

【０００４】また、近年、フェース面に、チタン合金、
アルミニウム合金、カーボン繊維強化プラスチックなど
の、本体より軽い部材を接合したゴルフヘッドが知られ
ている。このようなゴルフヘッドでは、打球時の慣性モ
ーメントが大きくなり、打たれたボールの方向性が改善
されることが知られている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】図８に示した従来の中
空ゴルフヘッドでは、フェース面１１ａに本体より軽い
部材を取付けようとした場合、ソール部１２の開口部か
ら金型を挿入することが困難であるため、フェース面１
１ａを金型で挟んで部材を圧入するなどの方法を採用す
ることができなかった。

【０００６】このため、従来の中空ゴルフヘッドでは、
フェース面１１ａに本体より軽い部材を取付けようとす
る場合、フェース面１１ａに凹部を作っておき、そこに
カーボン繊維強化プラスチック等の有機素材を一体に成
形したり、有機素材、軽量金属、セラミックス等からな
るプレートを接着したりしている。

【０００７】しかしながら、上記のようなゴルフヘッド
では、使用している途中でフェース面が剥れたり、キズ
がつき易かったりする欠点があった。

【０００８】したがって、本考案の目的は、フェース面
に異種材料からなる部材を圧入、嵌合できるようにした
金属製中空ゴルフヘッドを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案の金属製中空ゴルフヘッドの１つは、フェー
ス面を構成する部品と、その他の部分を構成する部品と
で形成され、これら２部品が溶接されて一体化されてお
り、かつ、前記フェース面に、フェース面の外周を構成
する金属よりも軽い異種材質の金属部材が嵌合して取付
けられていることを特徴とする。

【００１０】また、本考案の金属製中空ゴルフヘッドの
もう１つは、フェース面及びネック部を構成する部品
と、その他の部分を構成する部品とで形成され、これら
２部品が溶接されて一体化されており、かつ、前記フェ
ース面に、フェース面の外周を構成する金属よりも軽い
異種材質の金属部材が嵌合して取付けられていることを
特徴とする。

【００１１】

【作用】本願考案の金属製中空ゴルフヘッドは、フェー
ス面を構成する部品とその他の部分を構成する部品との
２部品、又は、フェース面及びネック部を構成する部品
とその他の部分を構成する部品との２部品で構成される
ので、フェース面側の部品において、例えば図３〜５に
示されるように、フェース面の外側及び内側に金型を当
てて異種材質の金属部材を金型で押圧することにより、
フェース面に予め形成された孔や凹部に圧入、嵌合させ
て取付けることが可能となる。

【００１２】このように、フェース面に異種材質の金属
部材を取付けることができるので、カーボン繊維強化プ
ラスチック等の有機素材を用いた場合に比べるとキズが
つきにくく、また、上記金属部材を圧入、嵌合により取
付けることができるので、使用している途中でフェース
面が剥れたりする虞れもなくなる。

【００１３】そして、フェース面に、フェース面の外周
を構成する金属よりも軽い異種材質の金属部材を取付け
ることにより、打球時の慣性モーメントが大きくなり、
打たれたボールの方向性を改善することができる。ま
た、フェースが軽くなるため、ヘッド重心位置がフェー
ス面から遠く離れ、ヘッド自体の重心深度が深まり、ス
イートスポットをはずれた打球でも、いわゆるギア効果
が大きくなって方向性が改善される。更に、重い金属と
軽い金属を様々に組合わせることによって打球感や打球
音も様々なものをつくり出すことができる。

【００１４】一方、図８に示した従来の中空ゴルフヘッ
ドでは、上面本体部１１と、ソール部１２との２部品で
構成されているため、フェース向き角度やロフト角度の
異なるものを作ろうとすると、それぞれに応じた金型を
用意する必要があった。

【００１５】ところが、本考案の１つにおいて、フェー
ス面を構成する部品と、その他の部分を構成する部品と
の２部品でゴルフヘッドを構成する場合は、２部品の溶
接の際に、フェース向き角度とロフト角度をある範囲で
変えることができる。このため、ロフト角度の異なるヘ
ッドを同じ金型で製造できるという付加的な利点も得ら
れる。

【００１６】

【実施例】図１には、本考案による中空ゴルフヘッドの
更に他の実施例が示されている。図中、（ａ）は斜視
図、（ｂ）は断面図である。このゴルフヘッド４１は、
フェース面を構成する部品４２と、その他の部分を構成
する部品４３とで構成されている。フェース面を構成す
る部品４２は、中央部に透孔を有するフレーム４４と、
このフレーム４４の前記透孔に嵌め込まれた軽量金属部
材４５とで構成されている。また、その他の部分を構成
する部品４３は、ネック、バック及びソールなどをなし
ている。そして、その他の部分を構成する部品４３の開
口部に、フェース面を構成する部品４２を被せて、接合
部４６を溶接することにより製造されたものである。

【００１７】この実施例の場合、フェース面を構成する
部品４２のフレーム４４と、その他の部分を構成する部
品４３は、例えばステンレス鋼、銅合金、マンガン鉄合
金などの重い金属で形成され、フレーム４４に嵌め込ま
れる軽量金属部材４５は、例えばチタン及びその合金、
アルミニウム及びその合金などの軽い金属で形成され
る。それによって、前述したような打球の方向性を改善
する効果や、様々な打球感や打球音をつくり出すことが
できるという効果が得られる。

【００１８】図２には、図１の中空ゴルフヘッドに適用
されるフェース面を構成する部品の他の例が示されてい
る。すなわち、このフェース面を構成する部品４７は、
外面の中央部に凹部を有するフレーム４８と、このフレ
ーム４８の前記凹部に嵌着された軽量金属部材４９とで
構成されている。この場合も、フレーム４８は重い金属
で形成され、軽量金属部材４９は軽い金属で形成され
る。

【００１９】図３〜５には、図１の中空ゴルフヘッド４
１のフレーム４４に軽量金属部材４５を嵌着させる装置
が示されている。図３に示した装置は、下方の金型５１
上にフレーム４４を載せ、このフレーム４４の中央部の
透孔部分４４ａに軽量金属部材４５を挿入し、上方の金
型５２で軽量金属部材４５を加圧することにより、軽量
金属部材４５を透孔部分４４ａに嵌着させるようになっ
ている。

【００２０】この場合、フレーム４４の透孔部分４４ａ
には、その内周の下縁部に軽量金属部材４５を受けるた
めのリブ４４ｂが形成されており、かつ、内周４４ｃ
は、逆テーパー（アリ角）をなしている。そして、透孔
部分４４ａに軽量金属部材４５を挿入して載置したと
き、軽量金属部材４５がわずかにフレーム４４の外面か
ら突出するようになっている。

【００２１】この状態で、上方の金型５２で軽量金属部
材４５を加圧すると、軽量金属部材４５がフレーム４４
の内周４４ｃの形状に適合するように塑性変形する。す
なわち、内周４４ｃの逆テーパー（アリ角）に沿って底
部に行く程広がるように変形する。その結果、軽量金属
部材４５は、透孔部分４４ａから抜け出すことができな
くなり、フレーム４４に完全に一体化されて固着され
る。また、軽量金属部材４５の外面は、フレーム４４の
外面とほぼ面一となる。

【００２２】図４に示した装置は、図３の装置と基本的
には同一であるが、上方の金型５２の押圧面に平行な突
条５２ａが形成されており、上方の金型５２で軽量金属
部材４５を加圧したとき、フェースラインが形成される
ようにしてある。フェースラインの他に模様や文字も加
圧と同時に刻印できる。また、上方の金型５２で加圧す
るとき、フレーム４４も変形する虞れがあるため、フレ
ーム４４の外周部分を受けるための当て金５３を設置し
てある。

【００２３】図５に示した装置も、図３、４の装置と基
本的には同一であるが、上方の金型５２で加圧すると
き、フレーム４４の変形を防止するため、上方の金型５
２の周縁部５２ｂ及び下方の金型５１の周縁部５１ａ
に、フレーム４４の外周形状を受けるガイド面を設けて
ある。

【００２４】なお、フェース面には、通常フェースラウ
ンドが設けられているので、軽量金属部材４５を平板状
に形成しておき、これを加圧して塑性変形させる際に、
上方の金型５２と下方の金型５１とにフェース表面のラ
ウンドに合わせたラウンドをつけておき、加圧によって
フレーム４４のフェースラウンドに沿って面一となるフ
ェースラウンドをつけることが可能である。勿論、前も
って軽量金属部材４５にフェースラウンドやフェースラ
インをつけておいてもよい。

【００２５】図６には、本考案による中空ゴルフヘッド
の更に他の実施例が示されている。このゴルフヘッド６
１は、フェース面及びネック部を構成する部品６２と、
その他の部分を構成する部品６３とで構成されている。
フエース面及びネック部を構成する部品６２は、ネック
部及びフェース面外周を形成するフレーム６４と、この
フレーム６４のフェース面に嵌着された軽量金属部材６
５とで構成されている。また、その他の部分を構成する
部品６３は、バック、ソールなどをなしている。そし
て、フェース面及びネック部を構成する部品６２と、そ
の他の部分を構成する部品６３とを組み付け、それらの
接合部６６を溶接することにより製造されたものであ
る。なお、フレーム６４に軽量金属部材６６を嵌着させ
る方法は、前記と同様な方法が採用される。

【００２６】この実施例のゴルフヘッド６１は、いわゆ
るフェースプログレッションが小さく、フェース部とネ
ック部とを分離しにくい場合に好適である。また、接合
部６６を開口部の断面積が最も大きくなる位置に設定す
ることによって、金型のアンダーカット部分が全くなく
なるか極めて一部の部分に限定されるため、金型の雌型
部分を大幅に簡素化することができ、金型のコストを低
減できるという副次的効果をもたらすことができる。

【００２７】図７には、本考案をアイアンタイプに近い
形状のゴルフヘッドに適用した更に他の実施例が示され
ている。すなわち、このゴルフヘッド９１は、フェース
面を構成する部品９２と、その他の部分を構成する部品
９３とで構成され、フェース面を構成する部品９２は、
フレーム９４と、それに嵌着された軽量金属部材９５と
で構成されている。そして、フェース面を構成する部品
９２と、その他の部分を構成する部品９３とを、接合部
９６で溶接して製造されたものである。

【００２８】このように、本考案の中空ゴルフヘッド
は、アイアンタイプ又はそれに近い形状のゴルフヘッド
に適用することもできる。

【００２９】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
フェース面を構成する部品とその他の部分を構成する部
品との２部品、又は、フェース面及びネック部を構成す
る部品とその他の部分を構成する部品との２部品で構成
したので、フェース面に異種材質の軽量な金属部材を圧
入、嵌合して取付けることが可能となる。このため、使
用中にフェース面に取付けられた異種材質の部材が容易
にキズついたり、剥れたりする虞れがなくなる。また、
フェース面に異種材質の部材を取付けることにより、打
球の方向性を改善する効果や、様々な打球感や打球音を
つくり出すことができる効果がもたらされる。更に、フ
ェース面を構成する部品と、その他の部分を構成する部
品との２部品でゴルフヘッドを構成した場合は、２部品
の溶接の際に、フェース向き角度とロフト角度をある範
囲で変えることができ、ロフト角度の異なるヘッドを同
じ金型で製造できるという利点も得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による中空ゴルフヘッドの一実施例を示
す図であり、（ａ）は斜視図、（ｂ）は断面図である。

【図２】図１における中空ゴルフヘッドのフェース面を
構成する部材の他の例を示す断面図である。

【図３】中空ゴルフヘッドのフェース面を構成する部材
のフレームに軽量金属部材を嵌着させる装置の一例を示
す説明図である。

【図４】中空ゴルフヘッドのフェース面を構成する部材
のフレームに軽量金属部材を嵌着させる装置の他の例を
示す説明図である。

【図５】中空ゴルフヘッドのフェース面を構成する部材
のフレームに軽量金属部材を嵌着させる装置の更に他の
例を示す説明図である。

【図６】本考案による中空ゴルフヘッドの更に他の実施
例を示す斜視図である。

【図７】本考案による中空ゴルフヘッドの更に他の実施
例を示す斜視図である。

【図８】従来の中空ゴルフヘッドの一例を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

４１、６１、９１…中空ゴルフヘッド ４２、９２…フェース面を構成する部材 ４３、９３…その他の部分を構成する部材 ６２…フェース面及びネック部を構成する部材 ６３…その他の部分を構成する部材 ４６、６６、９６…接合部 ４４、６４、９４…フレーム ４５、６５、９５…軽量金属部材

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フェース面を構成する部品と、その他の
   部分を構成する部品とで形成され、これら２部品が溶接
   されて一体化されており、かつ、前記フェース面に、フ
   ェース面の外周を構成する金属よりも軽い異種材質の金
   属部材が嵌合して取付けられていることを特徴とする金
   属製中空ゴルフヘッド。
2. 【請求項２】 フェース面及びネック部を構成する部品
   と、その他の部分を構成する部品とで形成され、これら
   ２部品が溶接されて一体化されており、かつ、前記フェ
   ース面に、フェース面の外周を構成する金属よりも軽い
   異種材質の金属部材が嵌合して取付けられていることを
   特徴とする金属製中空ゴルフヘッド。