JP2590404C - - Google Patents

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JP2590404C
JP2590404C JP2590404C JP 2590404 C JP2590404 C JP 2590404C JP 2590404 C JP2590404 C JP 2590404C
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帝人製機株式会社
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は産業ロボットの関節装置、詳しくはロボットの駆動系が所定範囲の固
有振動数を生じて駆動源としての電動モータが所定の最高回転数で使用される産
業ロボットの関節装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 産業ロボットにおいては、ロボットの駆動系が所定範囲の固有振動数を生じる
と共に、駆動源としての電動モータが所定の最高回転数で使用される場合が多い
。 このような産業ロボットにおいては、一般に、作業に適した出力トルクを得るた
め、アーム等の関節部の駆動系には、高速低トルクの電動サーボモータまたは電
動パルスモータと、この出力を低速高トルクに変換する減速装置とを用いている
。 また、そのような減速装置は、例えば、減速比1/120程度の大減速比を有
していること、また、歯車間のガタ、すなわち、いわゆるバックラッシュが小さ
いこと、さらに、慣性を小さくするため軽量であること等が要求される。 【0003】 このような要求を満たす従来の減速装置としては、例えば、特開昭59−17
5986号公報に開示されているような調和歯車装置(撓み噛合い式の遊星歯車
装置)および特開昭59−106744号公報に開示されているような偏心揺動
型の遊星歯車装置がある。前者の減速比は一般に1/80〜1/320程度であ
り、後者の減速比は一般に1/6〜1/200程度である。また、前者は後者に
比し減速比当たりの外径、 重量が小さく、かつ、ほとんどのロボットアームの関節部の駆動用減速装置とし
て必要な減速比および機械的強度を満足している。したがって、ロボットアーム
の関節部駆動用減速装置のほとんどは調和歯車装置単体が適用され、まれに、調
和歯車装置でも得られないほどの大減速比を必要とするもの、すなわち、小容量
高速回転(例えば、出力が1000ワット以下で回転数が5000rpm)型の
モータをロボットアームの駆動に用いる場合のように1/625程度の減速比を
必要とするもの、については特開昭56−152594号公報に開示されている
ように調和歯車装置に前段減速装置を結合したものが用いられている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上述した各減速装置をロボットの関節装置に用いた場合、減速
装置に入力する電動モータ回転数が低い領域で減速装置とロボットアーム等とが
ねじり共振を起こすという問題点があった。共振現象としては、ロボットアーム
の関節部近傍にねじり振動が現われることが多く、その結果、ロボットアームの
先端位置が定まらなくなり、ロボットによる作業のうち溶接、シーリング、組立
等、、一般に電動モータの低回転数領域で行われる作業において、正確な作業軌
跡を得られない等の問題が生じる。 【0005】 このような問題に対し、特開昭58−211881号公報には、発生した振動
を打ち消すように電動モータの速度指令信号を変化させる電気的制御方式が提案
されている。しかしながら、このような方式においてはフィードバックゲインを
大きくすると系が不安定となり、特に剛性の低いロボット駆動系においては、逆
に発振し易くなるという問題を生じるため、ゲインを大きくできず、したがって
、充分な振動打ち消し効果を得られない。また、特開昭59−175986号公
報には高張力を与えたタイミングベルトで減速機を駆動し、該ベルトで振動を吸
収する方式のものが提案されている。しかしながら、この方式においてはタイミ ングベルトが破断するという危険がある。また、特開昭59−115189号公
報には減速機の主軸にばねとおもりから成る吸振器を取付ける方式が提案されて
いる。しかし、この方式においては遠心力により吸振器が破損したり、ロボット
の負荷荷重に対応しておもり等を調整しなければならないという問題点がある。 【0006】 そこで、本発明は、ロボットの駆動系が所定範囲の固有振動数を生じて駆動源
としての電動モータが所定の最高回転数で使用される産業ロボットの関節装置に
おけるロボット作業効率を向上すること、詳しくは最も大きな振動がロボットに
生じる時のポイントをロボットによる作業のうち溶接作業等のように正確な作業
軌跡を要する作業の領域外にシフトし実用域での過大な振動を生じずに、ロボッ
ト作業効率が向上できる産業ロボットの関節装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 特許請求の範囲第1項記載の発明は、ロボットの第1部材と、第1部材に回動
自在に支持されたロボットの第2部材と、第1部材に一体的に取り付けられた電
動モータの回転を減速して第2部材に伝達する減速装置とを備え、該電動モータ
、該減速装置および該第2部材を含んで構成される駆動系が所定範囲の固有振動
数を生じると共に、該電動モータが所定の最高回転数で使用される産業ロボット
の関節装置において、前記所定範囲の固有振動数が5ヘルツ乃至9ヘルツであり
、前記電動モータの所定の最高回転数が1000回転/分(rpm)であって、
前記減速装置が、前記電動モータの回転を減速する前段回転伝導手段および前段
回転伝導手段の出力回転を減速する後段回転伝導手段を有し、前記電動モータが
、前記駆動系の固有振動数に対応する回転数を通常制御域内に有し、前記後段回
転伝導手段が、1/25乃至1/60の減速比を備えて、前記前段回転伝導手段
の出力が入力されるカム軸、カム軸の回転により駆動される外歯歯車、および外
歯歯車に噛み合う内歯歯車を有し、 前記カム軸の一回転当たりに一定回数の実質トルク変動を生じ前記駆動系を実質
的に加振する特性を有する偏心揺動型遊星歯車装置によって構成され、前記前段
回転伝導手段が、前記電動モータの回転軸線上に位置して設けられたピニオンと
、該ピニオンに噛み合うと共に前記後段回転伝導手段のカム軸に結合された歯車
とからなる平行軸型歯車装置によって構成され、 該平行軸型歯車装置の減速比が、該減速比に前記電動モータの通常制御域におけ
る毎秒当たりの最高回転数と前記カムの軸の一回転当たりにおける前記遊星歯車
装置の実質トルク変動回数とを乗じた値が前記駆動系の固有振動数以下となるよ
うに、1/1.9乃至1/6に設定され、前記減速装置の総減速比が、前記前後
段回転伝導手段の減速比の選択に基づいて、1/60乃至1/320に設定され
たことを特徴としている。 【0008】 特許請求の範囲第2項記載の発明は、ロボットの第1部材と、第1部材に回動
自在に支持されたロボットの第2部材と、第1部材に一体的に取り付けられた電
動モータの回転を減速して第2部材に伝達する減速装置とを備え、該電動モータ
、該減速装置および該第2部材を含んで構成される駆動系が所定範囲の固有振動
数を生じると共に、該電動モータが所定の最高回転数で使用される産業ロボット
の関節装置において、前記所定の範囲の固有振動数が5ヘルツ乃至9ヘルツであ
り、前記電動モータの所定の最高回転数が2000回転/分(rpm)であって
、前記減速装置が、前記電動モータの回転を減速する前段回転伝導手段および前
段回転伝導手段の出力回転を減速する後段回転伝導手段を有し、前記電動モータ
が、前記駆動系の固有振動数に対応する回転数を通常制御域内に有し、前記後段
回転伝導手段が、1/25乃至1/60の減速比を備えて、前記前段回転伝導手
段の出力が入力されるカム軸、カム軸の回転により駆動される外歯歯車、および
外歯歯車に噛み合う内歯歯車を有し、前記カム軸の一回転当たりに一定回数の実
質トルク変動を生じ前記駆動系を実質的に加振する特性を有する偏心揺動型遊星
歯車装置によって構 成され、前記前段回転伝導手段が、前記電動モータの回転軸線上に位置して設け
られたピニオンと、該ピニオンに噛み合うと共に前記後段回転伝導手段のカム軸
に結合された歯車とからなる平行軸型歯車装置によって構成され、 該平行軸型歯車装置の減速比が、該減速比に前記電動モータの通常制御域におけ
る毎秒当たりの最高回転数と前記カムの軸の一回転当たりにおける前記遊星歯車
装置の実質トルク変動回数とを乗じた値が前記駆動系の固有振動数以下となるよ
うに、1/3.7乃至1/6.7に設定され、前記減速装置の総減速比が、前記
前後段回転伝導手段の減速比の選択に基づいて、1/110乃至1/320に設
定されたことを特徴としている。 【0009】 特許請求の範囲第3項記載の発明は、ロボットの第1部材と、第1部材に回動
自在に支持されたロボットの第2部材と、第1部材に一体的に取り付けられた電
動モータの回転を減速して第2部材に伝達する減速装置とを備え、該電動モータ
、該減速装置および該第2部材を含んで構成される駆動系が所定の範囲の固有振
動数を生じると共に、該電動モータが所定の最高回転数で使用される産業ロボッ
トの関節装置において、前記所定範囲の固有振動数が10ヘルツ乃至15ヘルツ
であり、前記電動モータの所定の最高回転数が1000回転/分(rpm)であ
って、前記減速装置が、前記電動モータの回転を減速する前段回転伝導手段およ
び前段回転伝導手段の出力回転を減速する後段回転伝導手段を有し、前記電動モ
ータが、前記駆動系の固有振動数に対応する回転数を通常制御域内に有し、前記
後段回転伝導手段が、1/25乃至1/60の減速比を備えて、前記前段回転伝
導手段の出力が入力されるカム軸、カム軸の回転により駆動される外歯歯車、お
よび外歯歯車に噛み合う内歯歯車を有し、前記カム軸の一回転当たりに一定回数
の実質トルク変動を生じ前記駆動系を実質的に加振する特性を有する偏心揺動型
遊星歯車装置によって構成され、前記前段回転伝導手段が、前記電動モータの回
転軸線上 に位置して設けられたピニオンと、該ピニオンに噛み合うと共に前記後段回転伝
導手段のカム軸に結合された歯車とからなる平行軸型歯車装置によって構成され
、該平行軸型歯車装置の減速比が、該減速比に前記電動モータの通常制御域にお
ける毎秒当たりの最高回転数と前記カムの軸の一回転当たりにおける前記遊星歯
車装置の実質トルク変動回数とを乗じた値が前記駆動系の固有振動数以下となる
ように、1/1.5乃至1/4に設定され、前記減速装置の総減速比が、前記前
後段回転伝導手段の減速比の選択に基づいて、1/80乃至1/240に設定さ
れたことを特徴としている。 【0010】 【実施例】 発明者らは、ロボットアームの関節装置に用いる減速機のばね定数、固有ねじ
り振動数、トルク変動等と共振現象との関係につき種々研究を行った。 【0011】 先ず、回転ばね定数の高い減速機をロボットアームの関節装置に用いることに
よりロボットの駆動系の固有ねじり振動数f0 を格段に高めることが可能か否か
について試算した。しかし、減速機の中立位置付近の回転ばね定数は大きなもの
でもロボットアーム自体の回転ばね定数の1/10〜1/5であるため、駆動系
全体のばね定数を大して大きくできず、その結果、駆動系の固有ねじり振動数も
大して大きくできない。したがって、既存の減速機によっては固有ねじり振動数
f0 を格段に高めることが不可能であるとの結論に達した。 【0012】 そこで、発明者らは、振動発生の原因である減速機のトルク変動を無くすこと
を試みた。具体的には偏心揺動型の遊星歯車減速装置機を用い、トルク変動を阻
止ないし減ずるよう、この減速装置の内歯車と外歯歯車の歯に高精度の仕上げ加
工を施し、かつ、トルク変動が生じてもこれを吸収するよう、偏心入力軸の軸受
部やトルク取出ピンの軸支部等に環状 溝を設け、該溝にゴムリングを装着した。 しかしながら、このような対策を施しても、実用域での共振を防ぐことはでき
ず、しかも、共振が生じる時の電動モータ回転数は、そのような対策を施さない
場合とほとんど同じであることがわかった。 【0013】 このような実験結果から、一定の機構の減速機であれば、ほぼ一定のトルク変
動特性、すなわちロボットの駆動系に対する加振周波数特性を有するとの結論が
導かれた。また、斯かる推論から、ロボット駆動系に組み込む減速装置の機構を
変更すれば、トルク変動特性が変わり、ロボットに共振が生じる時の電動モータ
回転数を精密作業領域の外に置くことができるとの仮設のもとに種々の実験を行
った。 これらの実験の内容および結果については後述するが、これらの実験結果から
仮設は実証された。 【0014】 以下、本発明に係る産業ロボットの関節装置を図面に基づいて説明する。第1
図ないし第3図は本件発明の第1実施例を示す図である。 【0015】 まず、構成について説明する。第1図は本発明に係る産業ロボットの関節装置
を用いたロボットの関節部の全体概略図である。1は電動モータであり、電動モ
ータ1のフランジ2は減速装置3の筒体4に固定されている。筒体4は第1部材
としての第1アーム5の先端部5aに固定されている。電動モータ1の出力の回
転軸7は減速装置3の入力回転軸8に連結され、減速装置3の出力は軸10に伝
達され、軸10は円筒体11を貫通して第2部材としての第2アーム12に固定
されている。第2アーム12の端部の筒状体13と第1アーム5の先端部5aの
下面から下方に突出する円筒型の突出体15との間には一対のベアリング16が
介装され第2アーム12は第1アーム5に回転自在に支持されている。突出体1
5の内周面と円筒体11の中央部の外周面との間には一対のベアリング17が介
装されている。円筒体11の上部および下部の内面と 軸10との間にはそれぞれ一対のベアリング18が介装されている。したがって
、減速装置3は電動モータ1の回転数を減速してロボットの被駆動部すなわち第
2アーム12を回動させる。また、電動モータ1、減速装置3、第2アーム12
および第2アームに接続された負荷は駆動系を構成する。 【0016】 減速装置3は第2図および第3図に示すように、電動モータ1の回転数を減速
する前段回転伝導手段としての前段減速機20と、前段減速機20に連結され、
回転数をさらに減速する後段回転伝導手段としての後段減速機21と、から構成
されている。前段減速機20は平行軸型歯車装置である。後段減速機21は固定
している内歯歯車28と内歯歯車28に噛み合う外歯歯車29と、外歯歯車29
に係合して外歯歯車29を揺動回転させるカム軸としての入力クランク軸30と
、を有する偏心揺動型の遊星歯車装置によって構成されている。また、内歯歯車
28はピン歯31を用いたピン歯て構成され、かつ外歯歯車29の歯数より1つ
だけ多い歯数を有している。また、前段減速機20は平歯歯車により構成されて
いる。 【0017】 前段減速機20の減速比i1 と後段減速機21の減速比i2 とは、電動モータ
1の通常制御回転数(ロボットの通常作業時、例えば溶接ロボットに主作業たる
溶接作業を行わしめる時、のモータ回転数)の範囲内でロボットすなわち、第1
アーム5および第2アーム12と、後段減速機21との共振が起きないように選
択している。すなわち、電動モータ1の通常制御回転数領域あるいはロボットに
よる正確な作業軌跡を要する領域(溶接作業等を行う作業領域)では、前段減速
機20の毎秒当たり最高回転数、すなわち、電動モータ1の毎秒当たり最高回転
数に前段減速機20の減速比を乗じた値(その値に更に後述するクランク軸30
の一回転当たりのトルク変動回数である1を乗じた値に相当する)が、電動モー
タ1、減速装置3、第2アーム12に接続された負荷から構成 される駆動系のねじり発振周波数(固有ねじり振動数f0 )以下になるよう、前
段減速機20の減速比i1 を選択する。この実施例においては、電動モータ1の
通常制御回転数が0〜1000rpm、前段減速機20の減速比i1 が1/3お
よび後段減速機21の減速比i2 は1/40であり、減速装置3の全体の減速比
iは1/120になるように選択されている。前記駆動系の固有ねじり振動数f
0 は、共振ピーク点における電動モータ1の回転数、前段減速機20の減速比i
1 および減速装置3に関して後述するトルク変動特性から逆算でき、この実施例
においては約8.4Hzである。 【0018】 前段減速機20の減速比i1 が1/5未満(分母が大きくなることを意味する
。以下同じ)または後段減速機21の減速比i2 が1/25を超える(分母が小
さくなることを意味する。以下同じ)と、前段減速機20に構造の簡単な平行軸
歯車装置を採用して1/120の総減速比iを得ることは困難となるので、設計
的に不利となる。また、後段減速比21の減速比i2 が1/60未満または前段
減速機20の減速比i1 が1/2を越えて1/120の総減速比iを得る場合は
、電動モータ1の通常制御域において、前段減速機20の毎秒当たり最高回転数
が、前記駆動系の固有ねじり振動数f0 (8.4Hz)に近づきあるいはそれ以
上となるので、共振を防止できる範囲が狭くなる。 【0019】 次に、作用について説明する。 電動モータ1を0〜1000rpmの通常回転数で回転させると、減速比i1
が1/3の前段減速機20の出力回転数は0〜333rpmとなり、減速比i2
が1/40の後段減速機21の出力回転数は0〜8.3rpmとなり、この範囲
では大きな振動は生じない。電動モータ1の出力回転数が1500rpm近辺(
この時の前段減速機20の出力回転数は1500rpm×1/3=500rmp
近辺、遊星歯車減速機21の出力回転数は1500rpm×1/3×1/40=
12.5rpm近 辺)で最大共振現象が生じ、この時の振動が最も大きい。このような共振現象が
電動モータ1の通常制御回転数領域外で生じる理由は明らかではないが、実験結
果から推定すると、そのような共振現象の主因となるトルク変動が前段減速機2
0ではなく後段減速機21に生じ、そのトルク変動が実施例のような偏心揺動型
の遊星歯車装置では入力軸(クランク軸30)1回転当たり1回(一定回数)生
じ、前記駆動系に対する加振作用をなすためと考えられる。 【0020】 調和歯車装置(撓み噛み合い式遊星歯車装置)の場合は、実験結果から推定す
ると、入力軸(ウェーブジェネレータ)の1回転当たり2回(一定回数)のトル
ク変動が生じる。したがって、これに減速比1/3の前段減速機を取り付けると
、電動モータの回転数が750rpm付近で750×1/3×2=500の毎分
当たりトルク変動が生じ、駆動系の固有振動数f0 が上記実施例と同様8.4Hz
(500振動/毎分)であるならば電動モータの回転数が実用域内である750
rmp付近で共振が生じるものと考えられる。この場合、毎分当たり加振数がお
およそ500のときに共振が生じるのであるから、調和歯車減速機に減速比i1
=1/6程度の前段減速機を設けることにより共振時の電動モータの回転数を実
用域外である1500rpmを中心とする付近にまで上げることができる。 なお、電動モータ1および前段減速機20の振動が駆動系の発振に影響をおよ
ぼさないのは、これらの振動は小さいこと、後段減速機21を介することにより
吸収されること等によるものと考えられる。 【0021】 前述の実施例の減速装置の他に次表の比較例1〜3に示す減速装置について実
施した振動測定試験について説明する。前述の実施例および比較例1、2の偏心
揺動型の遊星歯車装置は、クランク軸および外歯歯車の揺動によるアンバランス
を防いで振動の振幅を小さくするため、後述する第2〜第3実施例同様に外歯歯
車を2枚とし、これらを180度の 位相差をもって組み付けたもので、かつ、内歯歯車が外歯歯車の歯数より1つ多
い歯数を有するものを用いた。また、調和歯車装置は内歯歯車が外歯歯車の歯数
より2つ多き歯数を有するものを用いた。それぞれ、減速装置の減速段数、減速
比i1 、i2 、回転ばね定数K1 (第9図参照)および慣性モーメントJは次表
に示してある。 【0022】 【表1】 【0023】 実験は第5図に示す全体構成図によって実施した。すなわち、電動サーボモー
タ51の出力軸51aに減速装置52を取付け、減速装置52に主力軸52aに
ロボットの被駆動部(第2アーム)の慣性モーメントJに相当する慣性負荷とし
てフライホイール53が取付けられた。フライホイール側面53aの半径上の位
置に、円周方向の加速度および振幅を測定できる圧電素子を利用した加速度ピッ
クアップ54を取り付けた。この加速度ピックアップ54の出力はインジケータ
56に連結されている。モータ51、減速装置52およびフライホイール53か
ら成る駆動系の固有振動数f0 は約8.4Hzになるよう調整してある。電動モー
タの回転数を変化させて、その時のフライホイールの加速度の大きさを測定した
。測定結果は第4図に示す。横軸は電動サーボモータ51の回転数であり、縦軸
は加速度ピックアップ54で検出された円周方向の加速度(単位:G)を示す。 【0024】 比較例1、比較例2および比較例3においては、共振のピークはそれぞれ、電
動モータ51の回転数が、略750rpm、略500rpmおよび250rpm
のときであり、電動モータ51の通常制御回転数0〜1000rpmの範囲で最
も大きな振動が生じている。しかしながら、本発明に係る減速装置を用いた実施
例の場合には、電動モータの通常制御領域外である1500rpmを中心とする
近傍で共振ピークが生じ、この時の振動が最も大きい。 また、実施例、比較例1、および比較例2の対比から、共振時における電動モ
ータ51の回転数が前段減速機の減速比i1 に反比例していることが認められる
。 【0025】 次に本発明の第2実施例として、前述した第1実施例の減速装置3を改良した
場合について第6図、第7図に基づいて説明する。なお、第1実施例と同一構成
については、第1実施例と同一の符号を用いて説明する。 第6図、第7図において、40は第1図に示した電動モータによって駆動され
る減速装置であり、減速装置40は電動モータ1の回転軸7に連結された平行軸
型の前段減速機20と、この前段減速機20に連結された後段の遊星歯車装置2
1と、から構成されている。 【0026】 電動モータ1の回転軸7の先端部7aはテーバ軸であり、先端にねじ7bを有
する。ねじ部7bにはモータ出力軸の一部を構成する連絡軸7cが螺合されてい
る。8は入力回転軸てあり、入力回転軸8は先端部8aに前段減速機20のピニ
オン22を設けると共に、基部にモータ回転軸7を貫通させる孔8bを有し、且
つ孔8bに回転軸7のテーバ部と係合するテーバ孔部を有している。入力回転軸
8は電動モータ1の回転軸7の先端部7aにナット23によりねじ止めされる。
回転軸7の先端部7aは入力回転軸8に半月キー24により固定されている。こ
のような構成により、入力回転軸8の先端部8aの軸径はモータ回転軸7の軸径
より小さくすることができ、したがって、ピニオン22の歯数はモータ回転軸7
に歯車を直接装着させる場合に比べ、少なくすることができ、容量の割に回転軸
径の大きい市販電動モータ1を用いる場合であっても、所定の前段減速比を得る
ことができる。ピニオン22に噛み合う3個の平歯車25は、後述する3本の入
力クランク軸30にそれぞれ結合している。 【0027】 遊星歯車装置21は筒体4に固定して設けられた内歯歯車28と、内歯歯車2
8に噛み合う一対の外歯歯車29と、外歯歯車29に嵌合して外歯歯車29を揺
動回転させるカム軸としての3本の入力クランク軸30と、から構成されている
。また、内歯歯車28はピン歯31を用いたピン歯車で構成され、かつ外歯歯車
29の歯数より1つだけ多い歯数を有している。33は円板部であり、円板部3
3は遊星歯車装置21の前端部を構成し、かつ、入力クランク軸30を円周上に
等配してベアリング34を介して軸支している。35はブロック体であり、ブロ
ック体35はその中心部に軸方向の円筒状孔36を有し、入力回転軸8が遊嵌さ
れている。同様に外歯歯車29および円板部33の中心部にも孔が設けられてい
る。ブロック体35はその後端部35aに凹みを有し、軸10のフランジ部39
に対向している。凹み36とフランジ部39とによって形成された空洞内には、
前段減速機20が収納されている。ブロック体35には入力クランク軸30を円
周上に等配しベアリング41を介して軸支している。入力クランク軸30の延在
部30aは凹み36内に突出し、平歯車25の固定されている。 【0028】 入力クランク軸30は円板部33とブロック体35の円周上に軸支され、入力
クランク軸30の中央には180°の位相差をもつ一対のクランク部42を有し
、各クランク部42はベアリング43を介して外歯歯車29を偏心揺動させるよ
うにしている。ここで、前述した円板部33と、ブロック体35とは支持体44
を構成する。円板部33、ブロック体35およびフランジ部39は複数のボルト
46および固定ナット47により互いに固定されている。 【0029】 電動モータ1の回転は回転軸7および入力回転軸8を介して前段減速機20の
ピニオン22に伝達され、前段減速機20で減速される。前段減速機20の出力
は平歯車25により後段減速機21のクランク軸30に入力される。次いで、ク
ランク軸30の回転により偏心揺動させられ る外歯歯車29と、この外歯歯車29と噛み合う内歯歯車28とによりさらに減
速され、外歯歯車29のゆっくりした自転運動はキャリアとして作用するし自体
44から軸10に伝達されアーム12が回動される。 【0030】 本実施例においては、電動モータ1の通常制御回転数は0〜1000rpm、
前段減速機20の減速比i1 は1/3、遊星歯車装置21の減速比i2 は1/4
0、減速装置3の総減速比iは1/120、電動モータ1、減速装置3および第
2アーム12を含んで構成される駆動系の固有ねじり振動数f0 は約8.4Hzで
ある。したがって、電動モータ1は産業ロボット駆動系の固有ねじり振動数に対
応する回転数(8.4Hzに相当する500rpm)を通常制御域(0〜1000
rpm)内に有している。また、前段減速機20は電動モータ1の通常制御域に
おける毎秒最高回転数(1000rpmに相当する毎秒16.7回転)を、駆動
系の固有ねじり振動数f0 以下になるよう(毎秒5.6回転)に減速する減速比
i1 (1/3)を有している。 減速装置40の回転ばね定数K1 は約37.5kg・m/分である。この実施例
の場合の作用および振動特性は、前述の第1実施例と同様になる。 【0031】 次に、本発明の第3実施例を図面に基づいて説明する。 第8図において、60は減速装置である。減速装置60は電動モータ1、前段
減速機20および遊星歯車装置21が軸方向に順次配設され、電動モータ1の回
転軸7には入力回転軸8が取着されている。入力回転軸8のモータ1側端には前
段減速機20の入力歯車22が一体に設けられ、その中間には大歯車61aと小
歯車61bを有する第1のアイドルギヤ61が回転自在に支持されている。遊星
歯車装置21のクランク軸30の一端はモータ1側に突出した延在部30aを有
する。延在部30aのモータ1側端には第2のアイドルギヤ62が回転自在に支
持され、その中間には前段減速機20の出力歯車25が固着されている。第2の アイドルギヤ62は入力歯車22と噛み合いこれより歯数の多い大歯部62aお
よび第1アイドルギヤ61の大歯部61aと噛み合いこれにより歯数の少ない小
歯部62bを有する。出力歯車25は第1アイドルギヤ61の小歯部61bと噛
み合いこれより多い歯数を有する。入力回転軸8、入力歯車22、出力歯車25
、延在部30a、および第1、第2のアイドルギヤ61、62は前段減速機20
としての平行軸減速機を構成する。アイドルギヤ61、62を入れることにより
、容量の割に回転軸径の大きい市販電動モータ1を用いる場合であっても、所定
の減速比i1 を得ることができる。他の構成および作用は前述した第1および第
2の実施例と同じであるので、該実施例の説明に用いた符号を第8図に付け、そ
の説明を省略する。 【0032】 次に、第9図に示す産業ロボット65に用いた本発明に係る産業ロボットに関
節装置の実施例を図面を用いて説明する。 第9図において、産業ロボット65は第1関節66と、第1関節66に連結す
る第2関節67と、第2関節67に連結する第1アーム83および第2アーム6
8とから構成されている。第1関節66は支柱71の上側の旋回盤73を矢印P
方向に回動し、第2関節67は旋回盤73に固定されたブラケット81の上側の
第1アーム83を矢印Q方向に回動し、第2アーム68の先端部68aの3次元
移動を可能にする。 【0033】 第10図は本発明の第4実施例を示す図であり、前述の第3実施例と同一構成
については、同一符号を用いて説明する。 第10図において、70は減速装置であり、減速装置70は、第9図に示す産
業ロボットの第1関節66において、第1部材としての筒状の支柱71の内側に
内装されている。減速装置70は電動モータ1に連結された平行軸型の前段減速
機20と、この前段減速機20に連結された後段の遊星歯車装置21とから構成
されている。 【0034】 電動モータ1のフランジ2は、筒体4を介して支柱71にボルト4bを用いて
固定されている。電動モータ1の上側のほぼ垂直な回転軸7は前段減速機20の
ピニオン22に固定され、ピニオン22に噛み合う3個の平歯車25は、後述す
る3本の入力クランク軸30の延在部30aにそれぞれ固定されている。遊星歯
車装置21は前段減速機20の上側に配置され、筒体4に固定して設けられた内
歯歯車28と、内歯歯車28に噛み合う一対の外歯歯車29a、29b(以下、
添字をつけない29で代表する)と、外歯歯車29に嵌合して外歯歯車29を用
導回転させるカム軸としての3本の入力クランク軸30と、から構成されている
。入力クランク軸30は遊星歯車装置21の下端部を構成する円板部33にベア
リング34を介して軸支され、遊星歯車装置21の上端部および外歯歯車29の
円周上に等配して設けられた貫通孔を貫通したブロック体35にベアリング41
を介して軸支されている。ブロック体35と円板部33とは円周上に等配された
3つのボルト46により一体的となり、支持体(キャリア)44を構成し、支柱
71の上側に設けられた第2部材としての円筒状体の旋回盤73の底部73aに
固定されている。底部73aと支柱71の上部71aとの間にはベアリング74
が設けられ、支持体(キャリア)44の自転に伴い、旋回盤73は回転する。前
述以外の構成、作用および振動特性は第3実施例と同じであり省略する。 【0035】 第11図は本発明の第5実施例を示す図であり、前述の第3実施例と同一構成
については、同一符号を用いて説明する。 第11図において、80は減速装置であり、減速装置80は第9図に示す産業
ロボットの第2関節67に用いたものてある。第1部材としての箱型のブラット
81は前述の第1関節66の旋回盤73の上側に一体的に固定されている。減速
装置80は電動モータ1に連結された平行軸型の前段減速機20とこの前段減速
機20に連結された後段の遊星歯車装置21とから構成されている。電動モータ
1のフランジ2はブラケット81にボルト4bを用いて固定され、電動モータ1
の回転軸7は前段 減速機20のピニオン22に固定され、ピニオン22に噛み合う3個の平歯車2
5は後述する3本の入力クランク軸30の延在部30aにそれぞれ固定されてい
る。遊星歯車装置21の入力クランク軸30の前端部はベアリング41を介して
ブロック体35に軸支され、その後端部はベアリング34を介して円板部33に
軸支されている。ブロック体35と円板部33はボルト46で一体的に固定され
て支持体44を構成し、さらにボルト82によりブラケット81に固定されてい
る。遊星歯車減速機21の内歯歯車28は支持体44の外周部にベアリング84
を介して回動自在に支持されている。内歯歯車28は、第2部材としての第1ア
ーム83の端部83aに一体的に固定されている。 【0036】 電動モータ1の回転は回転軸7を介して前段減速機20のピニオン22に伝達
され、前段減速機20で減速される。前段減速機20の出力は平歯車25により
遊星歯車装置21の入力クランク軸30に入力される。次いで、入力クランク軸
30の回転により偏心揺動させられる一対の外歯歯車29a、29b(以下、2
9で代表する。)と、この外歯歯車29と噛み合う内歯歯車28とによりさらに
減速され、内歯歯車28のゆっくりした自転は第2アーム83を回動させる。前
述以外の構成、作用および振動特性は第3実施例と同じであり、同じ符号をつけ
て説明を省略する。 【0037】 第12図は本発明の第6実施例を示す図であり、これは、前述の第5実施例の
構成の一部を変更したものであり、第5実施例と同一の構成には同一の符号をつ
けて説明する。 第12図において、90は減速装置であり、減速装置90は、第5実施例と同
様に、第9図に示す、産業ロボットの第2関節67に用いたものである。 【0038】 第6実施例では、減速装置は90は電動モータ1に連結された前段減 速機20と前段減速機20に連結された後段の遊星歯車装置21とから構成され
ている。電動モータ1の出力軸の回転軸7は前段減速機20の太陽歯車91に連
結され、太陽歯車91に噛み合い円周上に等配された3個の遊星歯車92は、ブ
ロック体35の前端部から前方に連結された円筒部35aの内側に設けられた内
歯歯車93とも噛み合い遊星運動する。遊星歯車減速機21の偏心入力軸として
の入力クランク軸30は回転軸7の軸線と同一軸線上ブロック体35の軸芯上に
配置され、入力クランク軸30の延在部30aはベアリング94を介してブロッ
ク体35に軸支されている。延在部30aの前端部にはフランジ部95が設けら
れ、フランジ部95の周辺に設けられた孔96に前段前段減速機20の遊星歯車
92の軸92aが嵌合する。入力クランク軸30の後端部は、円板部33にベア
リング98を介して軸支されている。ブロック体35および円板部33はボルト
82によりブラケット81に一体的に固定されている。 【0039】 電動モータ1の回転は回転軸7を介して太陽歯車91に伝達され、太陽歯車9
1の自転運動に伴い、遊星歯車92は、太陽歯車91と内歯歯車93との間を減
速されて遊星運動する。遊星歯車92の遊星運動の中公転運動はフランジ部95
を介して入力クランク軸30に伝達される。 前述以外の構成、作用および振動特性は第5実施例と同じであり、同じ符号を
つけて説明を省略する。 【0040】 なお、後段回転伝導手段に偏心揺動型遊星歯車装置を用いた場合においては、
前段減速機の減速比は電動モータの毎秒当たり最高回転数を駆動系の固有振動数
より若干小さな値に減じる減速比であることが好ましい。例えば駆動系の固有ね
じり振動数f0が5〜9Hzの場合であって、電動モータの最高回転数が100
0rpm、総減速比iが1/60〜1/320のときは前段の最小減速比i1を
約1/1.9〜1/6、後段の減速比i2を1/25〜1/60とするのが好ま
しい。また駆動系の 固有ねじり振動数f0が5〜9Hzの場合であって、電動モータの回転数が最高
2000rpm、総減速比iが1/110〜1/320のときは、前段の最小減
速比i1を約1/3.7〜1/6.7、後段の減速比i2を約1/25〜約1/
60とするのが好ましい。同様(f0=5〜9Hz)の場合であって、電動モー
タの回転数が最高4000rpm、総減速比iが1/210〜1/640のとき
は、前段の最小減速比i1を約1/7.4〜約1/13.3、後段の減速比i2
を約1/30〜約1/60とするのが好ましい。また、駆動系の固有ねじり振動
数f0が10〜15Hzの場合であって、電動モータの最高回転数が1000r
pm、総減速比iが1/80〜1/240のときは、前段の最小減速比i1を1
/1.5〜1/4、後段の減速比i2を1/25〜1/60とするのが好ましい
。同様(f0=10〜15Hz)の場合であって、電動モータの最高回転数が4
000rpm、総減速比が1/125〜1/600のときは、前段の減速比i1
を約1/4.5〜約1/10、後段の減速比i2を約1/30〜約1/100と
するのが好ましい。 【0041】 【発明の効果】 請求項1記載の発明によれば、後段回転伝導手段が、1/25乃至1/60の
減速比を備えて、前段回転伝導手段の出力が入力されるカム軸、外歯歯車、内歯
歯車を有し、カム軸の一回転当たりに一定回転数の実質トルク変動を生じ駆動系
を実質的に加振する特性を有する偏心揺動型遊星歯車装置によって構成され、前
段回転伝導手段が、前記電動モータの回転軸線上に位置して設けられたピニオン
と、該ピニオンに噛み合うと共に前記カム軸に結合された歯車とからなる平行軸
型歯車装置によって構成され、該平行軸型歯車装置の減速比が、該減速比に電動
モータの通常制御域における毎秒当たりの最高回転数と前記カムの軸の一回転当
たりにおける前記遊星歯車装置の実質トルク変動回数とを乗じた値が前記駆動系
の固有振動数以下となるように、1/1.9乃至1/6に設定され、減速装置の
総減速比が、前後段回転伝導手段の減速比の選択に基づ いて、1/60乃至1/320に設定されているので、ロボットの駆動系が5ヘ
ルツ乃至9ヘルツの固有振動数を生じると共に、駆動源としての電動モータが最
高1000rpmで使用される産業ロボットの関節装置の場合に、最大共振現象
を生じるポイント、若しくは最も大きな振動の生じるポイントが電動モータの通
常制御回転数領域(0〜1000rpm)の外にシフトし、実用域での過大な振
動を生じることが無い。従って、電動モータの通常制御回転数領域で行われるロ
ボット作業を正確な作業軌跡により行うことができ、ロボットの作業効率が向上
する。 【0042】 また、請求項2記載の発明によれば、後段回転伝導手段が、1/25乃至1/
60の減速比を備えて、前段回転伝導手段の出力が入力されるカム軸、外歯歯車
、内歯歯車を有し、カム軸の一回転当たりに一定回転数の実質トルク変動を生じ
駆動系を実質的に加振する特性を有する偏心揺動型遊星歯車装置によって構成さ
れ、前段回転伝導手段が、前記電動モータの回転軸線上に位置して設けられたピ
ニオンと、該ピニオンに噛み合うと共に前記カム軸に結合された歯車とからなる
平行軸型歯車装置によって構成され、該平行軸型歯車装置の減速比が、該減速比
に電動モータの通常制御域における毎秒当たりの最高回転数と前記カムの軸の一
回転当たりにおける前記遊星歯車装置の実質トルク変動回数とを乗じた値が前記
駆動系の固有振動数以下となるように、1/3.7乃至1/6.7に設定され、
減速装置の総減速比が、前後段回転伝導手段の減速比の選択に基づいて、1/1
10乃至1/320に設定されているので、ロボットの駆動系が5ヘルツ乃至9
ヘルツの固有振動数を生じると共に、駆動源としての電動モータが最高2000
rpmで使用される産業ロボットの関節装置の場合に、最大共振現象を生じるポ
イント、若しくは最も大きな振動の生じるポイントが電動モータの通常制御回転
数領域(0〜2000rpm)の外にシフトし、実用域での過大な振動を生じる
ことが無い。従って、電動モータの通常制御回転数領域で行われるロボット作業
を正確な作業軌跡により行うことができ、ロボットの作業効率が 向上する。 【0043】 さらに、請求項3記載の発明によれば、後段回転伝導手段が、1/25乃至1
/60の減速比を備えて、前段回転伝導手段の出力が入力されるカム軸、外歯歯
車、内歯歯車を有し、前記カム軸の一回転当たりに一定回数の実質トルク変動を
生じ駆動系を実質的に加振する特性を有する偏心揺動型遊星歯車装置によって構
成され、前段回転伝導手段が、前記電動モータの回転軸線上に位置して設けられ
たピニオンと、該ピニオンに噛み合うと共に前記カム軸に結合された歯車とから
なる平行軸型歯車装置によって構成され、該平行軸型歯車装置の減速比が、該減
速比に前記電動モータの通常制御域における毎秒当たりの最高回転数と前記カム
の軸の一回転当たりにおける前記遊星歯車装置の実質トルク変動回数とを乗じた
値が前記駆動系の固有振動数以下となるように、1/1.5乃至1/4に設定さ
れ、減速装置の総減速比が、前後段回転伝導手段の減速比の選択に基づいて、1
/80乃至1/240に設定されているので、ロボットの駆動系が10ヘルツ乃
至15ヘルツの固有振動数を生じると共に、駆動原としての電動モータが最高1
000rpmで使用される産業ロボットの関節装置の場合に、最大共振現象を生
じるポイント、若しくは最も大きな振動の生じるポイントが電動モータの通常制
御回転数領域(0〜1000rpm)の外にシフトし、実用域での過大な振動を
生じることが無い。従って、電動モータの通常制御回転数領域で行われるロボッ
ト作業を正確な作業軌跡により行うことができ、ロボットの作業効率が向上する
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に係る産業ロボットの関節装置の第1実施例の全体概略説明図 【図2】 第1実施例の減速装置の一部断面図 【図3】 図2のIII−III矢視断面図 【図4】 本発明に係る産業ロボットの関節装置の実施例および比較例の性能の説明図 【図5】 図4に係る実施例の全体構成図 【図6】 本発明の第2実施例の要部断面図 【図7】 図6のVII−VII矢視断面図 【図8】 本発明の第3実施例を示すその要部断面図 【図9】 本発明に係る産業ロボットの関節装置を用いた産業ロボットの全体概念図 【図10】 図9の第1関節に用いた本発明の第4実施例の要部断面図 【図11】 図9の第2関節に用いた本発明の第5実施例の要部断面図 【図12】 図9の第2関節に用いた本発明の第6実施例の要部断面図 【符号の説明】 1 電動モータ 3 減速装置 5 第1アーム(第1部材) 12 第2アーム(第2部材) 20 前段減速機(前段回転伝導手段) 21 後段減速機(後段回転伝導手段) 28 内歯歯車 29 外歯歯車 30 入力クランク軸(カム軸)40 減速装置 60 減速装置 70 減速装置 71 第1アーム(第1部材) 73 第2アーム(第2部材) 80 減速装置 81 第1アーム(第1部材) 83 第2アーム(第2部材)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ロボットの第1部材と、第1部材に回動自在に支持されたロボ
    ットの第2部材と、第1部材に一体的に取り付けられた電動モータの回転を減速
    して第2部材に伝達する減速装置とを備え、該電動モータ、該減速装置および該
    第2部材を含んで構成される駆動系が所定範囲の固有振動数を生じると共に、該
    電動モータが所定の最高回転数で使用される産業ロボットの関節装置において、 前記所定範囲の固有振動数が5ヘルツ乃至9ヘルツであり、前記電動モータの
    所定の最高回転数が1000回転/分(rpm)であって、 前記減速装置が、前記電動モータの回転を減速する前段回転伝導手段および前
    段回転伝導手段の出力回転を減速する後段回転伝導手段を有し、 前記電動モータが、前記駆動系の固有振動数に対応する回転数を通常制御域内
    に有し、 前記後段回転伝導手段が、1/25乃至1/60の減速比を備えて、前記前段
    回転伝導手段の出力が入力されるカム軸、カム軸の回転により駆動される外歯歯
    車、および外歯歯車に噛み合う内歯歯車を有し、前記カム軸の一回転当たりに一
    定回数の実質トルク変動を生じ前記駆動系を実質的に加振する特性を有する偏心
    揺動型遊星歯車装置によって構成され、 前記前段回転伝導手段が、前記電動モータの回転軸線上に位置して設けられた
    ピニオンと、該ピニオンに噛み合うと共に前記後段回転伝導手段のカム軸に結合
    された歯車とからなる平行軸型歯車装置によって構成され、 該平行軸型歯車装置の減速比が、該減速比に前記電動モータの通常制御域にお
    ける毎秒当たりの最高回転数と前記カムの軸の一回転当たりにおける前記遊星歯
    車装置の実質トルク変動回数とを乗じた値が前記駆動系の固有振動数以下となる
    ように、1/1.9乃至1/6に設定され、 前記減速装置の総減速比が、前記前後段回転伝導手段の減速比の選択に基づいて
    、1/60乃至1/320に設定されたことを特徴とする産業ロボットの関節装
    置。 【請求項2】 ロボットの第1部材と、第1部材に回動自在に支持されたロボ
    ットの第2部材と、第1部材に一体的に取り付けられた電動モータの回転を減速
    して第2部材に伝達する減速装置とを備え、該電動モータ、該減速装置および該
    第2部材を含んで構成される駆動系が所定範囲の固有振動数を生じると共に、該
    電動モータが所定の最高回転数で使用される産業ロボットの関節装置において、 前記所定の範囲の固有振動数が5ヘルツ乃至9ヘルツであり、前記電動モータ
    の所定の最高回転数が2000回転/分(rpm)であって、 前記減速装置が、前記電動モータの回転を減速する前段回転伝導手段および前
    段回転伝導手段の出力回転を減速する後段回転伝導手段を有し、 前記電動モータが、前記駆動系の固有振動数に対応する回転数を通常制御域内
    に有し、 前記後段回転伝導手段が、1/25乃至1/60の減速比を備えて、前記前段
    回転伝導手段の出力が入力されるカム軸、カム軸の回転により駆動される外歯歯
    車、および外歯歯車に噛み合う内歯歯車を有し、前記カム軸の一回転当たりに一
    定回数の実質トルク変動を生じ前記駆動系を実質的に加振する特性を有する偏心
    揺動型遊星歯車装置によって構成され、 前記前段回転伝導手段が、前記電動モータの回転軸線上に位置して設けられた
    ピニオンと、該ピニオンに噛み合うと共に前記後段回転伝導手段のカム軸に結合
    された歯車とからなる平行軸型歯車装置によって構成され、 該平行軸型歯車装置の減速比が、該減速比に前記電動モータの通常制御域にお
    ける毎秒当たりの最高回転数と前記カムの軸の一回転当たりにおける前記遊星歯
    車装置の実質トルク変動回数とを乗じた値が前記駆動系の固有振動数以下となる
    ように、1/3.7乃至1/6.7に設定さ れ、前記減速装置の総減速比が、前記前後段回転伝導手段の減速比の選択に基づ
    いて、1/110乃至1/320に設定されたことを特徴とする産業ロボットの
    関節装置。 【請求項3】 ロボットの第1部材と、第1部材に回動自在に支持されたロボ
    ットの第2部材と、第1部材に一体的に取り付けられた電動モータの回転を減速
    して第2部材に伝達する減速装置とを備え、該電動モータ、該減速装置および該
    第2部材を含んで構成される駆動系が所定の範囲の固有振動数を生じると共に、
    該電動モータが所定の最高回転数で使用される産業ロボットの関節装置において
    、 前記所定範囲の固有振動数が10ヘルツ乃至15ヘルツであり、前記電動モー
    タの所定の最高回転数が1000回転/分(rpm)であって、 前記減速装置が、前記電動モータの回転を減速する前段回転伝導手段および前
    段回転伝導手段の出力回転を減速する後段回転伝導手段を有し、 前記電動モータが、前記駆動系の固有振動数に対応する回転数を通常制御域内
    に有し、 前記後段回転伝導手段が、1/25乃至1/60の減速比を備えて、前記前段
    回転伝導手段の出力が入力されるカム軸、カム軸の回転により駆動される外歯歯
    車、および外歯歯車に噛み合う内歯歯車を有し、前記カム軸の一回転当たりに一
    定回数の実質トルク変動を生じ前記駆動系を実質的に加振する特性を有する偏心
    揺動型遊星歯車装置によって構成され、 前記前段回転伝導手段が、前記電動モータの回転軸線上に位置して設けられた
    ピニオンと、該ピニオンに噛み合うと共に前記後段回転伝導手段のカム軸に結合
    された歯車とからなる平行軸型歯車装置によって構成され、 該平行軸型歯車装置の減速比が、該減速比に前記電動モータの通常制御域にお
    ける毎秒当たりの最高回転数と前記カムの軸の一回転当たりにおける前記遊星歯
    車装置の実質トルク変動回数とを乗じた値が前記駆動系の固有振動数以下となる
    ように、1/1.5乃至1/4に設定され、 前記減速装置の総減速比が、前記前後段回転伝導手段の減速比の選択に基づいて
    、1/80乃至1/240に設定されたことを特徴とする産業ロボットの関節装
    置。

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