JP2588428B2 - 駆動回路の異常検出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は半導体素子を通して印加した交流電源により
ソレノイド等の負荷を駆動する駆動回路の異常検出装置
に関する。

［従来の技術］ スイッチ，補助リレ等の開閉器によりON−OFFされる
交流電源を印加してソレノイド等負荷を駆動するいわゆ
る駆動回路が広く知られている。

ところで、例えばプレス機械のクラッチブレーキ用エ
アーを供給するソレノイド弁を駆動させるような場合に
は、その適時で正確な駆動が要請されかつ一層の安全性
向上の観点から駆動回路の構成要素が慎重に吟味されて
いる。その一つとして、上記ソレノイド弁の駆動回路の
開閉器としてはロータリーカムスイッチや継電器が採用
されている場合が多い。この理由は、半導体素子が対称
故障性つまり導通側に壊れまたは遮断側に壊れる性質を
有するからである。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、400〜1000Spmという高速・超高速化が
求められるプレス機械等においては、追従速度の点から
開閉器に半導体素子を採用せざるを得なくなる。

かくして、半導体素子を用いた駆動回路では、半導体
素子、回路系の信頼性を上げることはもとより安全で円
滑な運転をするためには確実でしかもフェイルセイフな
異常検出装置が必要となる。

ここに本発明の目的は、異常を迅速かつ正確に検出す
るとともにその故障内容を判定できる駆動回路の異常検
出装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、とりわけ半導体素子が負荷電流を遮断する
場合に他の安全装置との関係等からフェイルセイフ側つ
まり異常検出信号を発生するように形成したものであ
る。

すなわち、半導体素子を通して印加した交流電源によ
り負荷を駆動する駆動回路において、 前記半導体素子に並列接続され半導体素子が負荷電流
を遮断する状態で交流電源に同期したパルス信号を生成
するよう形成された異常検出回路と、 前記半導体素子の異常検出回路を流れる電流または負
荷電流の識別信号を検出する識別信号検出回路と、 該異常検出回路と識別信号検出回路との出力信号から
異常内容を判定する判定回路とを備えた構成である。

［作用］ 上記構成による本発明では、半導体素子が負荷電流を
遮断するとパルス信号が生成されかつ負荷電流を流し続
けると異常検出回路がパルス信号を生成しなくなる。す
ると、判定回路は瞬時的にその異常を判定する。また、
判定回路は、識別信号検出回路から識別情報に基づきそ
の異常内容を具体的に知らしめることができる。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明
する。

この実施例は第１図に示される。

図において、１は交流電源、２は双方向３端子制御整
流用半導体素子としてのトライアック（商品名）、３は
電路、４はプレス機械のクラッチブレーキ動作用のソレ
ノイド弁であり、これら機器（1,2,3,4）から駆動回路
が構成されている。

ここに、この駆動回路の異常検出装置は、異常検出回
路10、識別信号検出回路20および判定回路30とから形成
されている。

まず、異常検出回路10は、半導体素子２に並列接続さ
れ負荷電流の遮断時にパルス信号を生成するフェイルセ
イフ側に形成される。具体的には、第１図に示す如く、
非対称故障素子たる抵抗11とホトカプラ12とからなる電
源同期パルス検出方式である。

なお、13は逆耐圧保護用のダイオードである。また、
抵抗14とコンデサ15からなる半導体素子２とホトカプラ
12との保護回路が設けられている。

したがって、異常検出回路10は、半導体素子２が負荷
たるソレノイド弁４に負荷電流を流すことができないよ
うに遮断状態となった時にパルス信号を出力する。パル
ス信号は、交流電源１の周波数と等しい周波数の短形波
である。一方、導通状態に故障したときにはパルス信号
は発生しない。

同様に、異常検出回路10つまり抵抗11が遮断状態に破
損し、ホトカプラ12が破損したとき、さらには電路３、
ソレノイド４が故障したときにもパルス信号を発生する
ことはない。換言すれば、異常検出回路10,電路3,ソレ
ノイド４が故障することは確率的に低く、また、半導体
素子２が導通状態に壊れた場合に不都合が多いことから
いわゆるフェイルセイフに形成したのである。

次に、識別信号検出回路20は、異常検出回路10を流れ
るローレベル電流と半導体素子２のハイレベル負荷電流
を識別し、検出する手段であり、この実施例では、電路
３中に接続されたコイルを含む変成器21とダイオード22
とから構成されている。

また、判定回路30は、異常検出回路10からのパルス信
号と識別信号検出回路20からの識別信号とから半導体素
子２はもとより駆動回路全体の異常内容を判定する手段
である。そして、異常検出信号、識別信号が第１図に簡
便に表示されているが、これらの信号を交流電源電圧と
関係付けて表現すると第４図の如くになる、第４図にお
いて、（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は異常検出信号、識別
信号の状態によって判断される異常の種類を示してい
る。この異常の種類は第２図のそれと対応している。

具体的には、第２図に示す如く、判定する。即ち、
（ａ）異常検出回路からのパルスが有りで、識別信号検
出回路からのパルスが無い場合は、半導体素子がしゃ断
した故障であると言える。（ｂ）異常検出回路からのパ
ルスが無しで識別信号検出回路からのパルスが有りの場
合は、半導体素子が導通になった故障であると言える。
（ｃ）異常検出回路からのパルスが無しで、識別信号検
出回路からのパルスが無しの場合は、電路が断線した故
障であると言える。（ｄ）異常検出回路からのパルスが
無しで識別信号検出回路からのパルスがある場合は、上
記（ｂ）の故障と言える。更に、異常検出回路からのパ
ルスが無しで識別信号検出回路から異常検出回路を流れ
る電流のローレベル（パルスの山の高さが低いこと）の
パルスが来れば、（ｃ）の電路の断線ではなく、異常検
出回路の不良による故障と言える。

しかして、この実施例によれば、半導体素子２と並列
に半導体素子２が遮断状態でパルス信号を発する異常検
出回路10が設けられた構成であるから、フェイルセイフ
となり、対処策を確実かつ迅速にとることができる。つ
まり、プレス機械では、半導体素子２が導通状態に故障
するとクラッチブレーキが切れずにプレスが停止できな
い重大事項となるので、このようにすることにより遮断
状態をパルス信号で確認でき、普通状態の場合にはパル
ス信号が発生されず、すなわち、信号断となるからフェ
イルセイフとなる。したがって、プレス機械のクラッチ
ブレーキ用のソレノイド弁４の駆動回路の高速化を図る
ことができる。

また、異常検出回路10に識別信号検出回路20、判定回
路30を設けた構成であるから、半導体素子２の導通状態
や電路３の断線さらには異常検出回路10自体の故障をも
知ることができる。したがって、一層の具体的対処策を
施すことが可能となる。

なお、以上の実施例では、半導体素子２はトライアッ
ク（商品名）とされていたが、第３図に示す如くサイリ
スタ２′、２′でもよい。この実施例においては、第１
図の実施例の半導体素子２、即ち相方向（双方向）半導
体素子を２個の単一方向半導体素子に置き換えている。
上記相方向半導体素子２の場合、片方が故障すると出力
が全波にならず半波になるためその検出が不完全になる
おそれがある。この点を考慮して、本実施例において
は、第１図の実施例の相方向半導体素子を２個の単一方
向半導体素子で置き換えただけで、その他の作用効果は
第１図の実施例と変わらない。

また、識別信号検出回路20は、変成器21等から構成さ
れたが、ホトカプラ等他の手段で形成してもよい。但
し、変成器とした場合には故障が少ないという利点があ
る。

［発明の効果］ 本発明は、半導体素子が遮断状態のときにパルス信号
を発する異常検出回路を設けかつ識別信号検出回路と判
定回路とを設けた構成であるから、故障内容を具体的に
把握できフェイルセイフに迅速で確実な対処策を施すこ
とができる、とともにプレス機械等を安全かつ高速に運
転できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す全体構成図、第２図は
同じく動作説明をするための図および第３図は半導体素
子の他の実施例を示す図であり、第４図は異常検出信号
等と交流電源電圧との関係を示す説明図である。 １……交流電源、 ２……半導体素子、 ３……電路、 ４……ソレノイド弁、 10……異常検出回路、 20……識別信号発生回路、 30……判定回路。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】半導体素子を通して印加した交流電源によ
   り負荷を駆動する駆動回路において、前記半導体素子に
   並列接続され、前記半導体素子が負荷電流をしゃ断する
   状態で交流電源に同期したパルス信号を発生するよう形
   成された異常検出回路と、前記半導体素子の異常検出回
   路を流れる電流と負荷電流を識別する識別信号検出回路
   と、該異常検出回路と識別信号検出回路との出力信号か
   ら異常内容を判定する判定回路とを備えてなる駆動回路
   の異常検出装置。