JP2578114B2 - 高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、窒化アルミニウム焼結体およびその製造方
法に関し、さらに詳しくは、緻密で高熱伝導性を有する
窒化アルミニウム単相からなる窒化アルミニウム焼結体
およびその製造方法に関する。
(従来技術) 窒化アルミニウム(AlN)は高温まで強度低下が少な
く、化学的耐性にも優れているため、耐熱材料として用
いられる一方、その高温伝導性、高電気絶縁性を利用し
て半導体装置の放熱板材料、回路基板用絶縁体材料とし
ても有望視されている。こうした窒化アルミニウムは常
圧下では融点を持たず、2500℃以上の高温で分解するた
め、薄膜などの用途を除いては焼結体として用いられ
る。
かかる窒化アルミニウム焼結体は通常、窒化アルミニ
ウム、粉末を成形、焼結して得られる。超微粉(0.3μ
m以下程度)のAlN粉末を用いた場合には単独でも緻密
な焼結体が得られるが、原料粉末表面の酸化層中の酸素
が焼結時にAlN格子中に固溶したり、Al−O−N化合物
を生成し、その結果無添加焼結体の熱伝導率はたかだか
100w/mk程度である。また粒径0.5μm以上のAlN粉末を
用いた場合は焼結性が良好でないために、ホットプレス
法による以外には無添加では緻密な焼結体を得ることは
困難である。そこで常圧で焼結体を得ようとする場合、
焼結体の高密度化およびAlN原料粉末の不純物酸素のAlN
粒内への固溶を防止するために、焼結助剤とて希土類酸
化物、アルカリ土類金属酸化物等を添加することが一般
に行なわれている(特開昭60−127267号、特開昭61−10
071号、特開昭60−71575号等)。これらの焼結助剤はAl
N原料粉末の不純物酸素と反応し液相を生成し焼結体の
緻密化を達成すると共に、この不純物酸素を粒界相とし
て固定(酸素トラップ)し、高熱伝導率化を達成すると
考えられている。
このように焼結助剤を添加することにより確かに焼結
体は緻密化、高熱伝導率化するが、他方で、結果的に残
存する粒界相(主相であるAlN相に対し副相)の存在、
完全にトラップしきれなかった酸素等の存在により、窒
化アルミニウム焼結体のそれは高々190w/mK程度と、AlN
の理論熱伝導率320w/mKに対しかなり低いものであっ
た。
そのため、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の向上
を目的として種々の試みがなされているが、未だ十分満
足すべきものは得られていない。
(発明が解決しようとする問題点) 現在半導体搭載用の回路基板、放熱基板等ではより高
い熱伝導率を有する材料が望まれている。しかしながら
酸素その他の不純物特に、助剤添加の結果として粒界に
生成する粒界相の存在により、窒化アルミニウム焼結体
の高熱伝導度化には限界があった。
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、熱伝
導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を提供することを
目的とする。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段及び作用) 本発明者等は上記目的を達成すべく窒化アルミニウム
粉末に添加する焼結助剤や焼結条件、焼結体組成、焼結
体微細構造等と熱伝導率の関係について実験・検討を進
めた結果、以下に示す新規事項を発見し、本発明を完成
するに至った。
すなわち、添加物としてアルカリ土類金属化合物およ
び希土類化合物をAlN粉末に添加し、窒素を含む還元雰
囲気中で長時間焼成したところ、粒界相(例えばY−Al
−O化合物、Ca−Al−O化合物など)の存在量が従来の
窒化アルミニウム焼結体に比べて減少するということが
わかった。そして十分長時間焼結すると実質的に副相が
なくAlN単相からなり、多結晶体として非常に高い熱伝
導率を有する窒化アルミニウム焼結体が得られるという
事実をみいだした。
この事実に基づいて高熱伝導率化を達成する最適条件
を種々検討した結果が本発明であり、 a)窒化アルミニウムを主成分とし、これにアルカリ土
類金属化合物および希土類化合物からなる添加物を、各
々の元素重量換算で0.05〜25%添加した成形体もしくは
この成形体を、1550〜2050℃、4時間未満で焼成し、Al
N以外の構成相を含む焼結体を、(b)カーボンガスを
生成する焼成容器及び/又は焼成時にカーボンガスを生
成する物質を焼成容器内に含むことで還元雰囲気を具体
化する窒素ガスを含む還元雰囲気中で、(c)焼成容器
の内容積と、前記成形体または焼結体との体積比が1×
100〜1×107であって、1550〜2050℃で12時間以上焼成
し、AlN以外の構成相を実質的に含まず、密度が3.120〜
3.285g/cm3、25℃における熱伝導率が230W/m・kを超え
るものであることを特徴とした高熱伝導性窒化アルミニ
ウム焼結体の製造方法である。この様な方法で得られた
窒化アルミニウム焼結体は、X線回折及び電子顕微鏡を
用いて構成相を観察してもAlN結晶粒のみ認められ、他
の相は観察されない。また成分分析を行なったところAl
Nが主成分で、希土類元素そしてアルカリ土類元素の合
計量10〜3000ppm、不純物酸素2000ppmを含有し、その他
の不純物陽イオン元素は1000ppm以下という新規な窒化
アルミニウム焼結体であった。
本発明の高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方
法は、窒化アルミニウム原料粉、添加物の種類とその添
加量、焼成雰囲気、そして焼成温度とその時間を骨子と
するものである。
主成分である窒化アルミニウム原料粉末としては、焼
結性、熱伝導性を考慮して酸素を7重量%以下、実用上
は0.01〜7重量%含有し、平均粒径が0.05〜5μmのも
のを使用する。
添加物としてはアルカリ土類金属化合物および希土類
化合物を用いる。これら元素の化合物としては、酸化
物、窒化物、フッ化物、酸フッ化物、酸窒化物、もしく
は焼成によりこれらの化合物となる物質が最適である。
焼成によって例えば酸化物となる物質としては、これら
元素の炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物などをあ
げることができる。
これら添加物の添加量は、アルカリ土類金属および希
土類元重の重量換算で0.05〜25%の範囲で添加する。添
加量が0.05重量%未満であると添加物の効果が十分に発
揮されず、焼結体が緻密化されなかったり、AlN結晶中
に酸素が固溶し高熱伝導性焼結体が得られない。また、
添加量が過度に多いと、粒界相が焼結体中に残存し、こ
の結果、熱伝導率上昇の効果が充分に望めない場合が生
ずる。
本発明方法においては前述の様にAlN粉末と添加物の
混合された成形体を後述の条件で焼成しても良いし、
又、従来の方法(例えば特開昭61−117160等)で製造さ
れたAlN以外の構成相として(アルカリ土類金属元素)
−Al−O化合物、および(希土類元素)−Al−O化合物
などを含む焼結体を上述した成形体の代りに用いてもよ
い。焼成雰囲気に関しては、窒素ガスを含む還元性雰囲
気中で行なう。還元性雰囲気は、CO,H2ガスおよびカー
ボン(気相および又は固相)などを少なくとも1種以上
存在させることによって作ることができる。
このうち、最も簡便なのは焼成容器としてカーボン製
容器を用いることである。焼成容器に関しては、単に焼
結体を得ることが目的であれば窒化アルミニウム、アル
ミナ、Mo製等でも十分である(特開昭61−146769号
等)。しかし、これらの容器を用いたものでは、焼結体
中に、(添加物元素)−Al−O化合物相などが存在した
ままの状態となり、高熱伝導率な焼結体は得られない。
本発明では、焼成中にカーボンガス雰囲気をつくり出す
容器を用いる。この様な焼成容器としては容器全体がカ
ーボン製の物、容器全体がカーボン製で試料を設置する
箇所にAlN板、BN板、W板等を敷いたもの、窒化アルミ
ニウム製の容器で上部蓋がカーボン製の物等を用いるこ
とができる。本発明でいうカーボンガス雰囲気とは、15
50〜2050℃の焼結温度範囲で蒸気圧が1×10-6〜5×10
-2Pa程度生成するガスをさす。このカーボンガスが、焼
成中のAlN焼結体を還元するという作用が得られ、さら
に具体的には(添加物元素)−Al−O三元系化合物等の
粒界相を焼結体中より除去する作用が働らき、窒化アル
ミニウム焼結体はAlN単相となり、高熱伝導性の焼結体
に変化していく。
この容器の内容積は、その内容積と窒化アルミニウム
成形体との体積の比(内容積/成形体の体積)が1×10
0〜1×107が良い。これ以上大きな容積を用いた場合、
試料近傍におけるカーボン蒸気圧が低く、カーボンによ
る粒界相除去効果が小さくなる。
焼結時間については、従来種々の助剤を用い1〜3時
間の短時間で行なわれているが、この程度の時間では、
上記焼成容器中で焼成したとしても、窒化アルミニウム
焼結体の緻密化、そして原料粉末表面の酸素を粒界相に
固定することは可能であるが、AlN粒間の陵および三重
点に粒界相が存在し、AlN単相の焼結体は得られない。
また前述の如くのカーボンガス雰囲気が得られない焼成
容器を用いた場合は、長時間の焼成によっても粒界相の
除去の効果は現われない。実質的AlN単相にするために
は、焼結助剤にもよるが12時間以上あれば最も望まし
い。
焼成温度については、1550〜2050℃が好ましい。1550
℃より低温で焼成すると、原料粉末の粒径、酸素量にも
よるが緻密な焼結体が得られない。また焼成容器からの
カーボンガスの発生が少なくなり、粒界相を残したまま
となる。また2050℃より高温で焼成すると、AlN自体の
蒸気圧が高くなり、緻密化が困難になると共に、焼結体
中に添加元素の窒化物と推定される副相が残存し、結果
として熱伝導率が低下する場合がある。
次いで本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法の
一例を以下に述べる。
まず、AlN粉末に添加物を所定量添加したのちボール
ミル等を用いて混合する。焼結には常圧焼結法を使用す
る。この場合、混合粉末にバインダーを加え、混練、造
粒、整粒を行なったのち成形する。成形法としては、金
型プレス、静水圧プレス或いはシート成形などが適用で
きる。続いて、成形体を非酸化性雰囲気中、例えば窒素
ガス気流中で加熱してバインダーを除去したのち常圧焼
結する。この時用いる焼成容器は、焼成中カーボンガス
雰囲気をつくり出す。例えばカーボン製容器で、容器内
容積と成形体体積の比が、1×100〜1×107のものを用
いる。焼結温度は1550〜2050℃に、焼結時間は4時間以
上に設定する。この様な方法により本発明焼結体を得る
ことができる。
次に本発明の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導の向上
効果および(添加物元素)−Al−O系化合物相等の粒界
の除去による窒化アルミニウム焼結体の純化作用につい
て説明する。緻密なメカニズムは現在のところで完全に
解明されているわけではないが、本発明者らの研究によ
れば高熱伝導率化の要因として次のように推定される。
まず、添加物によるAlN原料粉末の不純物酸素のトラ
ップ効果である。すなわちアルカリ土類金属および希土
類元素化合物を添加することにより、不純物酸素を(添
加物元素)−Al−O化合物等の形でAlN流界の稜および
三重点に固定するため、AlN格子中への酸素の固溶が防
止され、Alの酸窒化物(AlON)、そしてAlNのポリタイ
プ(27R型)の生成を防止する。発明者らの研究結果に
よれば、AlONそして27Rが生成した焼結体は、いずれも
熱伝導率が低いことがわかっている。この様な低熱伝導
率化の原因を抑制することが高熱伝導度化の一因として
挙げられる。
例えば、添加元素としてYを選んだ場合は原料粉末の
不純物酸素が、3Y2O3・5Al2O3,Y2O3・Al2O3,2Y2O3・Al2
O3、Y2O3などの化合物としてトラップされる。この状態
は、焼結初期、すなわち、焼結時間の0〜3時間で起こ
り、熱伝導率が最高190w/mK程度に達する。
これ以降の焼結過程でカーボン雰囲気が粒界相を還元
し、さらに粒界相を除去し始める。次第に粒界相は窒化
アルミニウム焼結体中には存在しなくなり、焼結体の系
外へと移動する。そして最終的に焼結体は他の相を実質
的に含有しないAlN単相となり、熱伝導率は大巾に上昇
する。これは熱伝導率が小さく熱抵抗として働いていた
粒界相が除去されるためである。また長時間の焼成によ
り焼結体の粒子が成長する。AlN粒子が成長すると熱抵
抗となる粒界の数が結果的に少なくなることを意味し、
フォノンの散乱が小さな焼結体になる。
又、上述のような副相の除去、そして粒成長以外に、
還元雰囲気下で長時間焼成することにより、AlN結晶粒
の純化、例えば格子欠陥の減少による熱伝導率上昇効果
も考えられる。
〔発明の実施例〕
次に、本発明の実施例を説明する。
実施例1 不純物として酸素を0.86重量%含有し、平均粒径が1.
72μm(遠心沈降径、堀場製作所製CAPA−500使用、分
散媒n−ブチルアルコール)のAlN粉末に添加物として
平均粒径0.9μmのY2O3を5重量%(Y換算で39重量
%)そして平均粒径2.0μmのCaCO3を1重量%(Ca換算
で0.40重量%)添加し、ボールミルを用いて混合を行な
い原料を調整した。ついで、この原料に有機系バインダ
ーを4重量%添加して造粒したのち500kg/cm2の圧力で
プレス成形して38×38×10mmの圧粉体とした。この圧粉
体を窒素ガス雰囲気中で700℃まで加熱してバインダー
を除去した。更に、BN粉末を塗布したAlN板を底板とし
てひいたカーボン製容器(焼成用容器A)に脱脂体を収
容した。このとき容器Aのの形状および大きさは、12cm
φ×6.4cmで内容積が720cm2程度である。すなわちこの
容器Aの内容積とAlN成形体の体積の比が約5×101程度
となっている。この容器を用い窒素ガス雰囲気中(1気
圧)1900℃,96時間の条件で常圧焼結した。得られたAlN
焼結体の密度を測定した。また焼結体から、直径10mm,
厚さ3.3mmの円板を研削し、これを試験片としてレーザ
ーフラッシュ法により熱伝導率を測定した(真空理工製
TC−3000使用)。測定温度は25℃である。
上記焼結条件から得られた焼結体の特性を第1表に示
した。また、この焼結体のX線回折(理学電機製ロータ
フレックスRU−200、ゴニオメータCN2173D5,線源Cu50k
V,100mA使用)を行なった結果を第1図に、焼結体破面
のSEM写真を第2図に示した(日本電子製JSM−T20使
用)。
実施例2〜27 実施例−1で用いたAlN粉に各種の添加物を加えて、
又、焼成の温度時間を変化させて実施例−1と同様の方
法で各種の焼結体を得た。その評価結果を表−1に合わ
せて示した。
実施例28〜37 焼成雰囲気の組成および圧力を変化させて実施例−1
と同様な方法で各種の焼結体を得た。その焼結体の評価
結果を表−1に合わせて示した。
実施例38〜43 各種のAlN粉を用いて、焼成条件、添加物の組成とそ
の量を変えて、実施例−1と同様な方法により各種焼結
体を得た。その焼結体の評価結果を表−1に合わせて示
した。
実施例44〜50 実施例−1と同様な方法で得た成形体を容器と成形体
の容積比が異なる他は、実施例−1と同様な方法により
各種の焼結体を得た。その焼結体の評価結果を表−2に
示した。
実施例48 BN板を底板としてひいたカーボン製容器(焼成容器
B)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして、Al
N焼結体を製造した。同様の評価を行ない。結果を表−
2に示した。
実施例49 内側の全体がカーボン製の容器(焼成容器C)を用い
たことを除いて、実施例1と同様にしてAlN焼結体を製
造した。同様の評価を行ない結果を表−2に示した。
実施例50 実施例46で用いたカーボン製容器(43×44×15mm)内
に、平均粒径0.02μmのカーボン粉末をつめ、その中に
実施例−1と同様な成形体を入れ1900℃,96時間で焼成
した。得られた焼結体を実施例1と同様に評価し、結果
を表−2に示した。
比較例1〜3 AlN粉末そして添加物の種類および量が異なる他は実
施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼結用容器
A,BおよびCに種々セットし、1900℃、2hr,N2雰囲気中
で常圧焼結し、焼結体を得た。これらの焼結体の特性を
表−3に示した。さらに、比較例1の焼結体を用い、X
線回折を行なった結果を第3図に、焼結体の破面のSEM
写真を第4図に示した。これらの結果および同様の評価
の結果より、副相としてイットリウムを含む化合物が観
察され、AlN単相でないことがわかり、その結果として
熱伝導率も170w/mk以下の低い値である。
このように焼結時間が4時間未満と短い場合、カーボ
ン製容器を用いることによる粒界相の除去が十分でない
ことがわかり、高熱伝導率を有するAlN焼結体を得るた
めには長時間(4時間以上)の焼結が必要であることが
わかる。
比較例4〜6 実施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を、比較
例4では内側の全体がAlN製の容器(焼結容器D)、比
較例5では内側の全体がアルミナ製の容器(焼結容器
E)、比較例6では内側の全体がタングステン製の容器
(焼結容器F)を用い、1900℃,96hr,N2気流中で常圧焼
結し、焼結体を得た。これらの焼結体の特性を表−3に
示す。さらに、比較例4の焼結体を用い、X線回折を行
なった結果を第5図に示した。これらの結果および、評
価の結果より、副相としてイットリウムを含む化合物が
観察され、AlN単相でないことがわかった。その結果熱
伝導率も168w/mK以下の比較的低い値である。
この様に少なくとも内部の一部が、カーボンよりなる
焼結容器を用いない場合も高熱伝導率を有するAlN焼結
体が得られず、カーボン雰囲気の有効さがわかる。
比較例7 実施例1で用いたAlN粉末を、500kg/cm3の圧力でプレ
ス成形して、30×30×10mmの圧粉体とし、この圧粉体を
カーボン型中に入れ窒素ガス雰囲気中、温度1900℃,400
kg/cm3の圧力下で1時間ホットプレス焼結し、焼結体を
得た。この焼結体の特性を表−3に示した。さらにX線
回折を行なった結果を第6図に示した。この結果より副
相としてAl−O−N系化合物が観察され、AlN単相では
ないことがわかった。結果として熱伝導率も80w/mKとい
う低い値であった。
この様に希土類およびアルカリ土類金属元素化合物を
添加しないと、AlN原料粉末表面の不純物酸素とAlNが反
応し、熱伝導をさまたげるAl−O−N化合物が生成して
しまうことから、添加物の有効さがわかる。
[発明の効果] 以上のべた如く、本発明の窒化アルミニウム焼結体
は、実質的にAlN単相からなるもので、高純度かつ、高
熱伝導率を示すなど、優れた性質を有するものであり、
その工業的価値は極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
第1図、第3図、第5図および第6図は焼結体のX線回
折パターン図、第2図および第4図は焼結体破面の結晶
構造を(SEM写真により)表した図である。 1……AlNの回折ピーク 2……Y−Al−O化合物の回折ピーク 3……Al−O−N化合物のピーク 4……AlN粒 5……Y−Al−O化合物(粒界相)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 佳子 川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝 総合研究所内 (72)発明者 堀口 昭宏 川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝 総合研究所内 (72)発明者 柘植 章彦 川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝 総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−132776(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)窒化アルミニウムを主成分とし、こ
    れにアルカリ土類金属化合物及び希土類化合物をから成
    る添加物を、各々の元素の重量換算で0.05〜25%添加し
    た成形体、もしくはこの成形体を1550〜2050℃、4時間
    未満で焼成し、AlN以外の構成相を含む焼結体を (b)カーボンガスを生成する焼成容器及び/又は焼成
    時にカーボンガスを生成する物質を焼成容器内に含むこ
    とで還元雰囲気を具体化する窒素ガスを含む還元雰囲気
    中で、 (c)焼成容器の内容積と、前記成形体または焼結体と
    の体積比が1×100〜1×107であって、1550〜2050℃で
    12時間以上焼成し、AlN以外の構成相を実質的に含まな
    い熱伝導率が230W/m・kを超える焼結体を得ることを特
    徴とした高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】アルカリ土類金属元素がCa,Sr,Baのうち少
    なくとも1種であり、希土類元素がY,Sc,Dy,Ce,のうち
    少なくとも1種である特許請求の範囲第1項記載の高熱
    伝導性窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】焼結体の密度が3.120−3.285g/cm3,25℃に
    おける熱伝導率が230W/m・k以上であることを特徴とし
    た特許請求の範囲第1項記載の高熱伝導性窒化アルミニ
    ウム焼結体の製造方法。
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JPS62132776A (ja) * 1985-12-02 1987-06-16 株式会社トクヤマ 窒化アルミニウム組成物

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