JP2577076B2 - 花火用割薬 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は打上げ花火用玉皮の内容物の放出展開および
星等の花火内容物への着火や初速付与に用いる割薬に関
するものである。

［従来の技術］ 打上げ花火は第２図に示すように玉皮1,1を合せて球
形となし、内部に割薬２を充填してあってこの割薬２を
親導３によって爆発させて、玉皮1,1を破裂させるとと
もに、国旗やパラシュート等の内容物の放出あるいは星
等への着火や初速付与を行っている。

従来この種割薬としては、もみがら、綿実等の表面に
黒色火薬、過塩素酸カリウムを主剤とする配合薬を塗抹
し、粒状に仕上げて使用している。その配合割合は、も
みがら、綿実等の重量１に対して配合薬それぞれ4.5〜
6.5および1.3〜1.6の範囲である。

［発明が解決しようとする課題］ 従来の花火においては、打上げ後、割薬の燃焼成分お
よび配合薬の燃焼残渣を含んだ未燃物が地上に落下し、
これが車等の表面に落下して、配合薬の燃焼残渣と空気
中の水分とが反応して、アルカリ成分及び酸性成分を発
生し、車等の表面を腐食する。又、燃えながら落下した
もみがら等が着火源となり、火災の原因となることもあ
る。さらに爆発時に発生する煙の量が非常に多いため、
例えば打上げ時の量の色を不鮮明にする。

本発明は煙の発生がなく、又、未燃物の落下のない花
火用割薬を提供しようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、ニトロセルロースを主成分とする組成物で
あり、かつ多孔質であるを有する球状中空薬および／又
は該球状中空薬を変形させることにより比重を高められ
た変形薬よりなる花火用割薬である。

より具体的には、球状中空薬がニトロセルロース85〜
95重量部、硝石２〜10重量部、安定剤0.5〜3.0重量部お
よひ黒鉛２〜８重量部からなる外皮を有し、比重が0.05
〜0.30であるものである。

本発明では無煙火薬の基剤であるニトロセルロースを
主成分として用いているので、煙の発生がない。又、も
みがら等の燃焼残渣の発生するような可燃物を用いてい
ないので火災の原因となることもない。

ニトロセルロースは、自然に分解していくことがある
ので安定剤を混入するとよい。安定剤としては、セント
ラリットなどが用いられる。

又、爆発、燃焼を調整するためと多孔質の空包薬を均
一に製造するための硝石、製造保守上の帯電防止剤とし
て黒鉛を混入するとよい。

これらニトロセルロース、硝石、安定剤、黒鉛の配合
割合は前述の範囲が好適である。

又、球状中空薬は比重が0.05〜0.30の範囲のものが爆
発力、星等への着火、初速付与の見地から好ましい。さ
らに、爆発速度を調節する意味で球状中空薬を変形して
その比重を0.30〜1.0高めた変形薬を使用することもで
きる。

［実施例］ 次に実施例によって本発明を詳細に説明する。

実施例１ 下記組成の材料を混合して外皮材料を調整した。

ニトロセルロース（窒素量13.15％） 90重量部 硝石 ５重量部 安定剤 １重量部 黒鉛 ４重量部 上記外皮材料を持って比重0.10の球状中空割薬を製造
した。

そして、第１図に示すように、上記によって得た中空
割薬４を紙５につつんで、クッション材6,6…を介して
半割の玉皮１内にセットした。この中空割薬４と玉皮１
との間のクッション材6,6の間に、花火の色を発色する
星７を適宜個数セットした。そして他方の玉皮１をかぶ
せ、玉皮１同士の全体部分をクラフト紙８で多重に巻き
つけ、乾燥して大きさ2,5号の花火玉とした。３は親導
である。

これを空中に宙吊りにして親導３に着火したところ、
中空割薬４が爆発し、星７に着火するとともに玉皮１も
数ケに破断し、着火した星７を四方へ放出した。その性
能は従来のもみがら等と配合薬とからなるものと同等で
あるにも拘らず、発煙はなく、又、未燃焼物の落下もな
かった。

上記実施例は星物の例であるが、雷物、旗、袋物も同
様にして実施できる。

実施例２ 下記組成の材料を混合して外皮材料を調整した。

ニトロセルロース（窒素量13.15％） 92重量部 硝石 ４重量部 安定剤 １重量部 黒鉛 ３重量部 上記外皮材料を持って比重0.6の中空薬を圧さく変形
した変形割薬を製造した。

そして、第１図に示すように、上記によって得た変形
した中空割薬４を紙５につつんで、クッション材6,6…
を介して半割の玉皮１内にセットした。

この変形した中空割薬４と玉皮１との間のクッション
材6,6の間に、花火の色を発色する星７を適宜個数セッ
トした。そして他方の玉皮１をかぶせ、玉皮１同士の全
体部分をクラフト紙８で多重に巻きつけ、乾燥して、大
きさ３号の花火玉とした。３は親導である。

これを打上げ円筒にセットして、打上げ用黒色火薬で
打上げたところ、親導を介して、空中で変形した中空割
薬に着火爆発し、星７に着火するとともに玉皮１を数ヶ
に破断し、着火した星７を四方へ放出した。その性能は
従来のもみがら等と配合薬とからなるものと同等である
にもかかわらず発煙もなく、又未燃焼物の落下もなかっ
た。

［発明の効果］ 本発明の花火用割薬は、発煙が皆無であるため、星物
の場合は、打上げ時に星の色を鮮明にし、又、旗、袋物
の場合にもそのショー的効果は大きい。さらに、従来の
割薬のように未燃焼物が地上に落下するようなことがな
いので、薬の表面等の腐食や火災の原因をなくすことが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の断面図、第２図は従来例を
説明する断面図である。 １……玉皮、 ２……もみがら等と配合薬からなる割薬、 ３……親導、４……中空割薬及び変形薬、５……紙、 ６……クッション材、７……星、８……クラフト紙。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉井 彰 大分県大分市大字里2620番地 旭化成工 業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−145898（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−134700（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−47793（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ニトロセルロースを主成分とする組成物で
   あり、かつ多孔質である外皮を有する球状中空薬および
   ／又は該中空薬を変形させることにより比重を高められ
   た中空部を有する変形薬よりなることを特徴とする花火
   用割薬。