JP2576841Y2 - 穀類搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 本考案は、例えば、圃場にて刈
取りし脱穀した籾などの穀類を圃場において運搬車に搭
載せる収納容器に回収し、これを建屋内に設置した乾燥
機などの処理装置に移注搬送する装置の改善に関する。

【０００２】

【考案の技術的背景】 一般に圃場で回収した穀類は、
圃場で運搬車に搭載した剛性の収納容器に回収して一般
農家の建屋に搬送される。そして、乾燥機などの処理装
置と収納容器とをオーガなどの搬送体にて接続し、収納
容器内の穀類が処理装置に移注搬送される。

【０００３】また、穀類収納容器を布などによって袋状
に構成し、これを運搬車に搭載せる支持枠に吊持して搬
送する手段もある。この場合は、布製の穀類収納袋をリ
フトカーに吊架して床に設けられたピットまで搬送し、
穀類収納袋の底部排出口を閉塞している紐を解いてピッ
ト内に穀類を一挙に排出させ、ピット内の穀類を昇降機
にて処理装置に移注搬送する、いわゆる大きな処理能力
をもつ共同処理設備とがある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 上述した後者の規模
の大きな共同処理設備は別として、前者のオーガなどの
穀類搬送体を使用する手段においては、運搬車の停止位
置と処理装置３との位置関係により穀類搬送体のセット
ができないことがある。この場合には、運搬車の切り返
し運転を行って調整したりする煩雑さがあるし、器物に
よって邪魔される場合などには運搬車の操作も不可能な
ことから、必要以上に長尺なオーガが要求される結果と
なる。

【０００５】本考案の目的は、処理装置と運搬車の停止
位置に距離的なズレがあっても、オーガなどの可撓性を
もつ穀類搬送体と処理装置との接続が容易になしうる穀
類搬送装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 上記目的は、穀類収納
容器の下底部中央に形成せる導穀路の略全長に、両端を
容器壁に軸支したスクリュー搬送体３を配設し、導穀路
の一端部にスライド可能なシャッターをもつ穀類の排出
口を設けた穀類搬送容器において、前記導穀路に形成し
た排出口の下部に、この排出口に連なる開口を一側上部
にもつ水平旋回可能で比較的長尺の案内筒を設け、一
方、案内筒中に、これに形成した開口に連通する長尺の
穀類受入口を上部に形成せる比較的長尺のスライド筒を
スライド可能に嵌挿し、該スライド筒内には、両端をス
ライド筒の端板に軸支され、かつ、モータにより回転駆
動するスクリュー搬送体１５を軸架せしめ、前記スライ
ド筒を構成する外側方の端板の下部に穀類の給出口を形
成するとともに、この給出口を形成した側の前記スライ
ド筒端に、オーガなどの穀類搬送体を着脱可能に接続し
たことにより達成される。

【０００７】

【作用】 スライド筒を介して収納容器内の穀類を、穀
類搬送体によって乾燥機などの処理装置に移注搬送する
ことができる。スライド筒のスライド調整により、穀類
搬送装置、つまり穀類収納容器を移動調整することなく
スライド筒と処理装置とがオーガなどの穀類搬送体によ
って連結することができ、穀類の搬送移注効率の向上が
図れる。

【０００８】

【実施例】 次に、図面について本考案実施例の詳細を
説明する。図１は本考案装置の正面図、図２はスライド
筒と穀類搬送体の分離状態を示す要部の一部切欠正面
図、図３はスライド筒と穀類搬送体の結合状態を示す要
部の一部切欠正面図、図４は図３の正面図、図５は図３
Ａ−Ａ線部の断面図である。

【０００９】図１に示す１は、平面形状が方形の比較的
大容量で、かつ、上部を開口したホッパー構造の穀類収
納容器で、この穀類収納容器１の中央下底の谷部には、
図５に示すようにＵ字形の導穀路２が形成してあり、更
にこの導穀部の略全長に両端を容器壁に軸支したスクリ
ュー搬送体３が収容してある。前記スクリュー搬送体３
の一側軸４端には伝動機構５を介してモータ６が接続さ
れている。また、スクリュー搬送体３の搬送終端部に対
応する前記導穀路２の下部には穀類を下方に落下する排
出口７を形成するとともに、この排出口７に対応する導
穀路２の上部には外部操作可能なシャッター８がスライ
ド可能に配設してある。

【００１０】前記導穀路２に形成した排出口７の下部に
は、この排出口７を囲うフランジ９をとりつける。更に
このフランジ９の下部には、前記排出口７に連る開口１
０を一側上部にもつ案内筒１１が水平旋凹可能に設けら
れている。前記案内筒１１は図１〜図４から明らかなよ
うに、比較的長尺であって、その他側端は前記穀類収納
容器１の側壁近傍に至っている。そして、前記案内筒１
１の外側部下半分に欠除部１２を形成し、この欠除部１
２によって形成された水平端面１２ａが後述するオーガ
などの穀類搬送体Ｂ，中継搬送手段Ａを構成するスライ
ド筒体の回り止め作用を、また、垂直端面１２ｂがスラ
イド筒体のスライドストロークの最上限設定作用をなす
ように前記欠除部１２は形成されている。

【００１１】次に、穀類の中継搬送手段Ａの構成につい
て説明する。１３は、前記案内筒１１中にスライド可能
に嵌挿されたスライド筒体であって、該スライド筒体１
３の上部には両端を若干残し、かつ、前記案内筒１１に
設けた開口１０に連る長尺の穀類受入口１４が形成して
ある。前記スライド筒体１３内には、両端を端板１３
ａ，１３ｂに軸支したスクリュー搬送体１５が収容して
あり、一方の端板１３ａの下部には穀類の給出口１６
が、また、他方の端板１３ｂにはモータ１７の軸１８が
ベアリング１９を介して軸支され、この軸１８に前記ス
クリュー搬送体１５の軸端が係嵌されている。また、前
記モータ１７はキャスタ２０を備えた台板２１上に設置
してあり、スライド筒体１３のスライドにモータ１７が
追従しうるように構成されている。更に、前記スクリュ
ー搬送体１５の外側端には、連結機構２２が設けてあ
る。図中２３は前記台板２１のキャスター２０が転動す
るベースである。

【００１２】図４に示すように、前記スライド筒体１３
の外側端部両側面には、後述するオーガなどの穀類搬送
体Ｂと接合させるための接続金具２４が夫々止着してあ
る。この接続金具２４の取付部２４ａが、上述したよう
に前記案内筒１１に形成した切除部１２の水平端面１２
ａに当接しており、案内筒１１に対するスライド筒体１
３の回り止めをなすとともに、取付部２４ａが垂直端面
１２ｂに当接することによりスライド筒体１３のストロ
ーク長が制御されている。また、前記切除部１２の水平
端面１２ａの長さはスライド筒体１３のストロークを決
定するものであるが、接続金具２４の取付部が垂直端面
１２ｂに当接したときに、スライド筒体１３の端板１３
ａが案内筒１１の開口１０内に介入するのを防止する。
更に、スライド筒体１３の端板１３ｂの一側にストッパ
ー２５を設け、必要以上にスライド筒体１３が外側方に
引き出され、端板１３ｂが前記開口１０内に介入しない
ようにしてある。

【００１３】次に、前記オーガなどの穀類搬送体Ｂは、
一部を除いて既に公知であることからその詳細な説明は
省略する。尚、ちなみに、図中２６は可撓性構造からな
る搬送パイプ，２７はスパイラル構造の搬送体，２８は
下向きの排出口２９を形成したボックス構造の排出体，
３０は接続筒，３１は前記スクリュー搬送体１５の軸端
に設けた連結機構２２と係合接続される連結機構，３２
は接続筒３０と搬送パイプ２６との固定バンド，３３は
前記接続金具２４と接続結合する接続金具である。更
に、図中３４は乾燥機などの処理装置で、この処理装置
３４の一側下部に設けたホッパー構造の受入れ体３５
に、前記穀類搬送体Ｂの排出口２９が結合される。尚、
３６は運搬車である。

【００１４】尚、前記実施例では、中継搬送手段Ａを構
成するスクリュー搬送体１５にモータ１７が直結されて
いるが、前記穀類収納容器１に設けたスクリュー搬送体
３を駆動するモータ６からフレキシブルシャフト（図示
略）を介してスクリュー搬送体１５を回転駆動すること
も可能であるので、実施例の駆動手段に特定されること
はない。

【００１５】

【作用の説明】 上述した実施例について作用を説明す
る。圃場において刈取りし脱穀された穀類は、運搬車３
６に搭載せる穀類収納容器１内に収納されて建屋の作業
場に送られる。建屋に運行された運搬車３６は、建屋内
に設置されている乾燥機などの処理装置３４の受入れ体
３５に対応するように運転せしめられ、所定の位置で停
止する。作業場にはオーガなどの穀類搬送体Ｂがあらか
じめ準備されている。

【００１６】次いで、穀類搬送体Ｂの接続筒３０に設け
た連結機構３１とスクリュー搬送体１５の連結機構２２
とを連結してスライド筒体１３と連結筒３０とを突き合
わせしたのち、両者を接続金具２４，３３にて接続し、
スライド筒体１３を案内筒１１を介してスライド出入、
および／または、旋回調整して穀類搬送体Ｂの向きを決
めて、これの排出口２９を処理装置３４の受入れ体３５
に結合させる。また、これとは逆に穀類搬送体Ｂと処理
装置３４の受入れ体３５の連結を行ったのち、スライド
筒体１３を案内筒１１を介してスライド出入，および／
または、旋回調整しながらスライド筒体１３と穀類搬送
体Ｂとのドッキングを行うようにしてもよい。

【００１７】以上の結合が終了したらシャッター８を開
きモータ６にてスクリュー搬送体３を駆動させると、穀
類は排出口７から順次流下してスライド筒体１３内に流
入し、モータ１７によって駆動されるスクリュー搬送体
１５の移送作用により穀類は穀類搬送体Ｂ内に供給され
る。そして、前記モータ１７によって駆動されるスパイ
ラル構造の搬送体２７で順次搬送され、排出口２９から
処理装置３４の受入れ体３５に供給せしめられる。この
ようにして穀類収納容器１内の穀類が全て移注されたの
ち、シャッター８を閉じ上述の動作と逆の作用でスライ
ド筒体１３と穀類搬送体Ｂとを分離し、運搬車３６は再
び圃場に向かう。

【００１８】上記説明によれば、圃場から建屋の作業場
へ穀類を運搬した運搬車３６は、穀類が完全に移注され
る間休止状態にあるが、若し建屋にクレーンなどの設備
があれば、穀類を満載した穀類収納容器１を作業物の所
定個所に荷降ろしし、運搬車３６を別の空容器を搭載し
て圃場に急行することもできる。

【００１９】

【考案の効果】 上述のように本考案の構成によれば、
次のような効果が得られる。 （ａ）穀類収納容器内の穀類は、オーガなどの穀類搬送
体によって連続的に乾燥機などの処理装置に移注しうる
ことは勿論のこと、 （ｂ）穀類収納容器の穀類排出口とオーガなどの穀類搬
送体とは、穀類の搬送方向にそってスライド可能とした
スライド筒を介して接続されるように構成したので、ス
ライド筒のスライド長分だけ短尺な穀類搬送体の使用が
可能となり経済的である。また、運搬車、即ち、穀類収
納容器の搬入位置にズレがあったとしても、スライド筒
のスライド調整及び水平旋回により処理装置との接合が
容易に行え、穀類の移注処理作業効率の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案装置の正面図である。

【図２】 スライド筒と穀類搬送体の分離状態を示す要
部の一部切欠正面図である。

【図３】 スライド筒と穀類搬送体の結合状態を示す要
部の一部切欠正面図である。

【図４】 図３の正面図である。

【図５】 図３Ａ−Ａ線部の断面図である。

【符号の説明】

Ａ 中継搬送手段 Ｂ 穀類搬送体 １ 穀類収納容器 ３ スクリュー搬送体 ７ 排出口 ８ シャッター １０ 開口 １１ 案内筒 １３ スライド筒体 １４ 穀類受入口 ２２ 連結機構 ２４ 接続金具 ２４ａ 接続金具の取付部 ２５ ストッパー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 穀類収納容器の下底部中央に形成せる導
   穀路の略全長に、両端を容器壁に軸支したスクリュー搬
   送体（３）を配設し、導穀路の一端部にスライド可能な
   シャッターをもつ穀類の排出口を設けた穀類搬送容器に
   おいて、 前記導穀路に形成した排出口の下部に、この排出口に連
   なる開口を一側上部にもつ水平旋回可能で比較的長尺の
   案内筒を設け、一方、案内筒中に、これに形成した開口
   に連通する長尺の穀類受入口を上部に形成せる比較的長
   尺のスライド筒をスライド可能に嵌挿し、該スライド筒
   内には、両端をスライド筒の端板に軸支され、かつ、モ
   ータにより回転駆動するスクリュー搬送体（１５）を軸
   架せしめ、前記スライド筒を構成する外側方の端板の下
   部に穀類の給出口を形成するとともに、この給出口を形
   成した側の前記スライド筒端に、オーガなどの穀類搬送
   体を着脱可能に接続したことを特徴とする穀類搬送装
   置。