JP2574607B2 - 歪取り焼鈍による鉄損劣化がなく被膜特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

歪取り焼鈍による鉄損劣化がなく被膜特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法

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JP2574607B2 JP4237058A JP23705892A JP2574607B2 JP 2574607 B2 JP2574607 B2 JP 2574607B2 JP 4237058 A JP4237058 A JP 4237058A JP 23705892 A JP23705892 A JP 23705892A JP 2574607 B2 JP2574607 B2 JP 2574607B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器その他の電気
機器の鉄心などの用途に用いて好適な方向性けい素鋼板
に関し、特に被膜特性が良好でしかも歪取り焼鈍に伴う
鉄損劣化が少ない方向性けい素鋼板を有利に製造する方
法を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板に求められる特性とし
ては、鋼板自体としての良好な磁気特性ばかりでなく、
鉄心加工で重ねられる鋼板相互の良好な絶縁性を確保す
るため、鋼板表面被膜における絶縁性及び加工時の耐は
く離性といった被膜特性がある。このような鋼板の被膜
特性を改善するためには、仕上焼鈍時に生成するフォル
ステライト被膜の密着性を改善することが重要である。
【0003】フォルステライト被膜の改善に関して、仕
上焼鈍に先立って鋼板表面に塗布する焼鈍分離剤に、主
成分であるMgO に加えてTiO2等のTi化合物を含有させる
技術が数多く開示されている。例えば特公昭51-12451号
公報には、Mg化合物 100重量部に対しTi化合物が2〜40
重量部となるように配合することにより、また特公昭49
-29409号公報には、重質低活性微粒MgO 100 部に対し2
〜20重量部TiO2を混合することにより、いずれもフォル
ステライト被膜の均一性と密着性が向上することが開示
されている。さらに特開昭50-145315 公報には、焼鈍分
離剤に用いるTiO2を微細粒とすることによりTi化合物か
らなる黒点状付着物を消滅させる技術、特開昭54-12892
8 号公報においてはMgO にTiO2及びSiO2、さらには硼素
化合物を複合含有させてフォルステライト被膜の張力を
強化する方法、特開平1-168817号公報には、MgO にTiO
2と硫酸アンチモンと窒化マンガン又は窒化フェロマン
ガンとを複合混入させて鉄損を改善する技術へと発展し
てきている。
【0004】このように焼鈍分離剤中にTi化合物を含有
させる技術は、優れた被膜特性を得るための有力な方法
ではあるが、特開平2-93021号公報にも記述があるよう
に、歪取り焼鈍に伴って鉄損が劣化するという重大な問
題がある。
【0005】ここに方向性けい素鋼板が用いられている
トランス鉄心のうち約半数は巻コアと呼ばれる小型の内
鉄型鉄心である。この巻コアは、製作途中の変形工程に
おいて機械的な外力を受けて歪を生じ、その結果磁気特
性が劣化するので、この加工による歪を回復させる目的
で、歪取り焼鈍を通常 800℃前後で行うことが不可避で
ある。しかるに前記した如く焼鈍分離剤中にTi化合物を
含有させると、歪取り焼鈍でTiの炭化物、あるいはTiの
セレン化物、硫化物が、地鉄表層の加工歪が導入された
部分に優先的に析出し、磁壁の移動が部分的に阻止され
るために鉄損が劣化することが知られている。そのため
巻コア用の素材鋼板としては歪取り焼鈍を施しても鉄損
の劣化が小さいことが望まれていた。
【0006】かかる焼鈍分離剤にTi化合物を含有させる
と歪取り焼鈍後の鉄損が劣化するという問題に対して上
掲特開平2-93021 号公報においては、仕上焼鈍後の炭素
量を0.0015wt%以下に低減させることにより、析出する
Tiの炭化物を低減するという解決策を提案している。し
かしながらこの技術は、MgO 中ヘの二酸化炭素の吸収を
抑えることが実操業では困難なこと、Ti炭化物以外のTi
の硫化物、Tiのセレン化物等の析出物については低減す
ることが原理的に不可能なことから、歪取り焼鈍での鉄
損劣化を完全に抑えることはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、焼鈍分離
剤中にTi化合物を含有させた場合に、歪取り焼鈍後に鉄
損が劣化するという問題を解決するもので、歪取り焼鈍
に伴う鉄損劣化のない、被膜特性の良好なけい素鋼板の
製造方法を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、Ti化合物を
含有させた焼鈍分離剤を用いても、歪取り焼鈍により鉄
損の劣化を来すことがない方策について種々実験、検討
を重ねた結果、鋼板表面に被膜が形成される純化焼鈍の
初期段階を窒素含有雰囲気にすることにより、鋼板表層
にTiの炭化物あるいはTiのセレン化物、硫化物が析出す
ることを有利に抑制でき、ひいては鉄損劣化を有利に防
止できることを見出した。この発明は、上記の知見に立
脚するものである。
【0009】すなわちこの発明は、脱炭焼鈍後のけい素
鋼板表面上に、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
た後、二次再結晶焼鈍、次いで純化焼鈍を施す方向性け
い素鋼板の製造方法において、この焼鈍分離剤にTi酸化
物又は加熱によりTi酸化物になるTi化合物を、MgO :10
0 重量部に対するTiO2換算で1.0 〜40重量部の範囲で含
有させること、及び純化焼鈍を1150〜1250℃の範囲で、
最初から少なくとも下記式で与えられる時間t(分)ま
では窒素濃度10 vol%以上の非酸化性雰囲気中で、その
後は窒素濃度3 vol%未満の水素雰囲気中で行い地鉄中
のTi含有量を30ppm 以下に低減することを特徴とする、
歪取り焼鈍による鉄損劣化がなく被膜特性に優れる方向
性けい素鋼板の製造方法である。 記 t(分)=668 −19.1x+0.171 x2 −4.42×10-43 ここにx:雰囲気中の窒素濃度(vol %)
【0010】以下この発明を導いた実験について述べ
る。 C:0.078wt%(以下単に%で示す)、Si:3.3%、Mn:0.0
83%、Se:0.025%、Al:0.020%、N:0.0089%、Sb:0.0
25%、Cu:0.09 %を含み残部実質的にFeの組成になるけ
い素鋼素材を、1420℃で20分加熱した後、熱間圧延を施
して板厚2.2 mmに仕上げた。次いで1000℃で30秒の熱延
板焼鈍を行い、冷間圧延にて板厚1.5 mmにし、続いて11
00℃で2分の中間焼鈍後30℃/秒で急冷し、さらに冷間
圧延にて板厚0.22mmの最終板厚に仕上げた。
【0011】その後脱炭焼鈍を 840℃で2分間湿潤水素
雰囲気中にて行い、続いてMgO 100重量部に対してTiO2
を10重量部添加した焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布形成し
た後、二次再結晶焼鈍を窒素25 vol%、水素75 vol%の
混合雰囲気中で20℃/秒の速度にて1150℃まで昇温して
行い、続いて1180℃で純化焼鈍を、純化焼鈍の最初から
60分間までの種々の時間を窒素75 vol%、水素25 vol%
の混合雰囲気で行い残り5時間を水素中で行った。この
純化焼鈍後、りん酸マグネシウムを主体とする絶縁コー
ティングを施した。
【0012】かくして得られた製品板に 800℃、3時間
の歪取り焼鈍を施して、歪取り焼鈍前後の鉄損(W17/50)
を比較した。さらに製品板の地鉄内部のTi量を湿式分析
にて求めた。
【0013】かかる実験データを整理して、図1に、窒
素75 vol%、水素25vol %混合雰囲気中での純化焼鈍時
間が歪取り焼鈍前後の鉄損変化量に及ぼす影響につい
て、また図2には、窒素75 vol%、水素25 vol%混合雰
囲気中での純化焼鈍時間が製品板地鉄中のTi量に及ぼす
影響について、さらに図3には、製品板地鉄中のTi量と
歪取り焼鈍前後の鉄損変化量との関係についてそれぞれ
示す。
【0014】これらの実験結果(図1〜3)から、製品
板地鉄中のTi量が30ppm 以下であれば、歪取り焼鈍によ
る鉄損の劣化量を0.02 W/kg 未満にできること、及び純
化焼鈍前半に窒素75 vol%、水素25 vol%の混合雰囲気
中で、焼鈍時間を30分以上とすれば、地鉄中のTi量を30
ppm 以下に低減できることが明らかになった。
【0015】以上の結果を基に、さらに純化焼鈍前半に
おける雰囲気中の窒素濃度を種々に変化させて、製品板
地鉄中のTi量を30ppm 以下にするために必要なその雰囲
気での最少保持時間について調べてみた。その結果につ
いて、窒素濃度と必要保持時間との関係で図4に示す。
【0016】同図から、必要な保持時間t(分)は、雰
囲気中の窒素濃度x( vol%)との関係で、 t(分)=668 −19.1x+0.171 x2 −4.42×10-43 と表されることがわかった。このように、必要な保持時
間は、窒素分圧が75%以上の場合では30分であるが、窒
素分圧が25%程度の場合には5時間を必要とする。これ
らの実験結果に基づきこの発明を達成するに至ったので
ある。
【0017】
【作用】この発明により歪取り焼鈍による鉄損劣化が防
止できる理由については必ずしも明らかでないが、発明
者らは以下のように考えている。すなわち焼鈍分離剤中
に含有しているTi化合物は、MgO と混合した形でSiO2
反応し黒色を帯びた下地被膜を形成する役割がある。と
ころが被膜形成に使われたTiの残存部分は、純化焼鈍に
よる高温により拡散し地鉄中へと移動することになる。
かくして地鉄中にTiが存在することにより、鋼中のC、
Se又はN等と結合して加工歪が導入された部分は歪取り
焼鈍後にTiの炭化物あるいはセレン化物、窒化物が優先
的に析出し磁性劣化を起こす。これに対してこの発明で
は、純化焼鈍の前半で窒素を導入することにより、残存
しているTiが被膜内部にて窒素と化合し、TiN として被
膜中に固定されるために地鉄中への拡散が抑えられ、そ
の結果Tiの炭化物、セレン化物又は窒化物の析出が抑制
されて鉄損劣化が防止できるものと思われる。
【0018】この発明の対象とするけい素鋼素材の成分
組成については、方向性けい素鋼板として通常用いられ
ている範囲のものを用いることができ、例えばC:0.02
〜0.10%、Si:2.0 〜4.0 %、Mn:0.02〜0.20%を含
み、かつS及びSeのうち少なくとも一方を単独または合
計量で0.010 〜0.040 %を含む組成が好ましい。その他
必要に応じてAl:0.010 〜0.065 %、N:0.0010〜0.01
50%、Sb:0.01〜0.20%、Cu:0.02〜0.20%、Mo:0.01
〜0.05%、Sn:0.02〜0.20%、Ge:0.01〜0.30%、Ni:
0.02〜0.20%を含むことができる。
【0019】Cは、0.02%に満たないと良好な一次再結
晶組織を得られず、0.10%を超えると脱炭不良となり磁
気特性が悪化するので0.03〜0.10%程度が好ましい。Si
は、製品の電気抵抗を高め、渦電流損を低減させる上で
必要な成分であり、2.0 %に満たないと最終仕上焼鈍中
にα−γ変態によって結晶方位が損なわれ、4.0 %を超
えると冷延性に問題があるために、 2.0〜4.0 %程度が
好ましい。Mn とSeおよびSはインヒビターとして機能
するもので、Mn量が0.02%未満又はS、Seの単独もしく
は合計量が0.010 %未満であるとインヒビター機能が不
十分であり、Mn量が0.20%を超え又はS、Seの単独もし
くは合計が0.040 %を超えるとスラブ加熱温度に要する
温度が高すぎて実用的でないので、Mnは0.02〜0.20%、
S又はSeは単独あるいは合計として0.010 〜0.040 %と
するのが好ましい。
【0020】その他インヒビター構成成分として公知で
あるAlN を利用することができ、良好な鉄損を得るため
にはAlは0.010 〜0.065 %、Nは0.0010〜0.0150%の範
囲が好ましい。これを超える量では、AlN の粗大化を招
き抑制力を失い、これ未満ではAlN の量が不足である。
【0021】さらに磁束密度を向上させるためにSb、Cu
を低下させることが可能である。Sbは0.20%を超えると
脱炭性が悪くなり、0.01%に満たないと効果がないので
0.01〜0.20%が好ましい。Cuは0.20%を超えると酸洗性
が悪化し0.01%に満たないと効果がないので0.01〜0.20
%が好ましい。
【0022】表面性状を改善するためにMoを添加でき
る。0.05%を超えると脱炭性が悪くなり、0.01%に満た
ないと効果がないので0.01〜0.05%が好ましい。
【0023】鉄損を向上させるためにSn、Ge、Niを添加
することができる。Snは0.30%を超えると良好な一次再
結晶組織が得られず、0.01%未満では効果がないので0.
01〜0.30%が好ましい。Geは0.30%を超えると良好な一
次再結晶組織が得られず、0.01%未満では効果がないの
で0.01〜0.30%が好ましい。Niは0.20%を超えると熱間
強度が低下し、0.01%未満では効果がないので0.01〜0.
20%が好ましい。
【0024】この発明の対象としている方向性けい素鋼
板の製造においては、従来用いられている製鋼法で得ら
れた溶鋼を連続鋳造法あるいは造塊法で鋳造し、必要に
応じて分塊圧延工程を挟んでスラブを得、続いて熱間圧
延をし、必要に応じて熱延板焼鈍を行った後、1回ない
しは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚
の冷延板を得る。
【0025】この最終冷延後に脱炭焼鈍を行った後、鋼
板表面に焼鈍分離剤を塗布する。この際、焼鈍分離剤と
してTi酸化物又は加熱によりTi酸化物になるTi化合物を
MgO:100 重量部に対するTiO2換算で1.0 〜40重量部の
範囲で含有させることが肝要である。Ti酸化物又は加熱
によりTi酸化物になるTi化合物としては、例えばTiO2
TiO3・H2O 、 TiO・(OH)2 、Ti(OH)4 などが挙げられ
る。また焼鈍分離剤中のTi酸化物又は加熱によりTi酸化
物になるTi化合物の量がTiO2換算でMgO 100 重量部に対
して1.0 重量部に満たないと被膜特性改善効果に乏し
く、40重量部を超えると急激にぜい性が悪化するので
1.0〜40重量部とする。
【0026】次いで二次再結晶焼鈍を行い、続いて純化
焼鈍を、1150〜1250℃の範囲で、最初から少なくとも下
記式で与えられる時間t(分)までは窒素濃度10 vol%
以上の非酸化性雰囲気中で、その後は窒素濃度3 vol%
未満の水素雰囲気中で行う。 記 t=668 −19.1x+0.171 x2 −4.42×10-43 ここに純化焼鈍の温度は1150℃に満たないとSeないしS
等の除去が不十分となって磁気特性が劣化し、一方1250
℃を超えると熱間強度が低下しコイル形状が悪化して巻
取りができなくなるので、純化焼鈍の温度は1150℃〜12
50℃とする。純化焼鈍の前半の雰囲気の窒素濃度が10 v
ol%に満たないと地鉄中にTiが侵入して歪取り焼鈍によ
って鉄損が劣化するので窒素濃度は高い方が好ましく、
10 vol%以上とする。残余の雰囲気成分はTiN を優先的
に形成させるために非酸化性であればよく、水素雰囲
気、不活性ガス雰囲気、が挙げられる。かかる窒素濃度
を10vol%以上にして焼鈍する時間は、その雰囲気中の
窒素濃度によって異なり、窒素濃度x( vol%) との関
係で、上掲した式に示される時間t(分)以上とする。
この時間がt(分)に満たないと、地鉄中にTiが侵入し
て歪取り焼鈍によって鉄損が劣化する。純化焼鈍の後半
の窒素濃度が3 vol%以上であると焼鈍後に地鉄中に窒
素が残留して磁気特性がかえって悪化するので後半の窒
素濃度は3 vol%未満とする。
【0027】その後絶縁コーティング好ましくは張力を
も付与する絶縁コーティングを施して製品とする。
【0028】
【実施例】
実施例1 C:0.044 %、Si:3.23%、Mn:0.075 %、Se:0.021
%、Sb:0.026 %を含み残部実質的にFeの組成からなる
けい素鋼スラブを、1420℃で30分間加熱後、熱間圧延を
施して板厚2.0 mmの熱延板とした。次いで1000℃で1分
間焼鈍した後、冷間圧延にて板厚0.60mmとし、975 ℃、
2分間の中間焼鈍を行った後、冷間圧延を施して最終板
厚0.20mmに仕上げた。次いで 820℃2分間の脱炭焼鈍を
行い、MgO 100 重量部に対して表1に示す重量部になる
TiO2を含有させた焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布した後、
850 ℃、50時間窒素雰囲気中で二次再結晶焼鈍を行っ
た。続いて表1で示した雰囲気と時間で1200℃にて純化
焼鈍を行った。純化焼鈍後、コロイド状SiO2、りん酸マ
グネシウム及び無水クロム酸からなる絶縁コーティング
を施した。その後鋼板をトロイド状に塑性加工し、さら
に直線状に伸ばした後、 800℃で3時間の歪取り焼鈍を
行った。コーティング後と歪取り焼鈍後の鉄損を表1に
併記する。
【0029】
【表1】
【0030】実施例2 C:0.071 %、Si:3.34%、Mn:0.069 %、S:0.021
%、Al:0.025 %、N:0.0083%、Cu:0.12%、Sb:0.
029 %を含み残部実質的のFeの組成からなるけい素鋼ス
ラブを1430℃で30分間加熱後、熱間圧延を施して板厚2.
2 mmの熱延板とした。次いで1000℃、1分間の熱延板焼
鈍をした後、冷間圧延で板厚1.5 mmとし、1100℃、2分
間の中間焼鈍を行い、30℃/秒の速度にて冷却した後、
冷間圧延を施して最終板厚0.23mmに仕上げた。次いで 8
20℃、2分間の脱炭焼鈍を行い、MgO 100 重量部に対し
て表2に示す重量部になるTiO2を含有させた焼鈍分離剤
を鋼板表面に塗布し、その後 850℃、20時間窒素雰囲気
中で保定し引続いて水素75vol%、窒素25 vol%の雰囲
気中で12℃/hの速度で1150℃まで昇温する二次再結晶
焼鈍を行った。続いて表2で示した雰囲気と時間で1200
℃にて純化焼鈍を行った。純化焼鈍後コロイド状SiO2
りん酸マグネシウム、無水クロム酸からなる絶縁コーテ
ィングを施した。その後鋼板をトロイド状に塑性加工
し、さらに直線状に伸ばした後、800 ℃で3時間の歪取
り焼鈍を行った。コーティング後と歪取り焼鈍後の鉄損
を表2に併記した。
【0031】
【表2】
【0032】実施例3 表3で表される種々の成分組成からなるけい素鋼スラブ
を用意した。
【0033】
【表3】
【0034】これらのけい素鋼スラブを、1430℃、30分
間加熱後、熱間圧延を施して板厚2.2 mmの熱延板とし
た。1000℃で1分間の熱延板焼鈍をした後、冷間圧延に
て板厚1.5mm とし、1100℃、2分間の中間焼鈍を行った
後、さらに冷間圧延をして最終板厚0.23mmに仕上げた。
次いで 820℃、2分間の脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤と
してMgO 100 重量部に対してTiO2を10重量部含有させた
ものを塗布して、その後850 ℃、20時間窒素雰囲気中で
保定し引続いて水素75 vol%、窒素25 vol%の雰囲気中
で12℃/hの速度で1150℃まで昇温する二次再結晶焼鈍
を行った。次いで前半5時間を水素50 vol%、窒素50 v
ol%の雰囲気で、後半5時間を水素雰囲気で何れも1200
℃の焼鈍温度にて純化焼鈍を行った。純化焼鈍後コロイ
ド状SiO2とりん酸マグネシウム、無水クロム酸からなる
絶縁コーティングを施した。その後鋼板をトロイド状に
塑性加工し、さらに直線状に伸ばした後、 800℃で3時
間の歪取り焼鈍を行った。コーティング後と歪取り焼鈍
後の鉄損差を表3に併記した。
【0035】
【発明の効果】この発明の方向性けい素鋼板の製造方法
は、焼鈍分離剤にTi酸化物又は加熱によりTi酸化物にな
るTi化合物を、MgO :100 重量部に対するTiO2換算で1.
0 〜40重量部の範囲で含有させ、かつ純化焼鈍を1150〜
1250℃の範囲で、最初から少なくとも次式 t(分)=668 −19.1x+0.171 x2 −4.42×10-43 (ここにx:雰囲気中の窒素濃度(vol %)) で与えられる時間t(分)までは窒素濃度10 vol%以上
の非酸化性雰囲気中でその後は窒素濃度3 vol%未満の
水素雰囲気中で行い地鉄中のTi含有量を30ppm 以下に低
減することにより、歪取り焼鈍に伴う鉄損劣化のない、
被膜特性の良好なけい素鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、窒素含有雰囲気中での純化焼鈍時間が
歪取り焼鈍前後の鉄損変化量に及ぼす影響について示す
グラフである。
【図2】図2は、窒素含有雰囲気中での純化焼鈍時間が
製品板地鉄中のTi量に及ぼす影響について示すグラフで
ある。
【図3】図3は、製品板地鉄中のTi量と歪取り焼鈍前後
の鉄損変化量との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、純化焼鈍前半における窒素濃度が必要
保持時間に及ぼす影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 政孝 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通2番88号 川崎製鉄株式会社 阪神製造所内 (72)発明者 大石 哲也 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (72)発明者 吉田 成 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (72)発明者 清水 洋 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱炭焼鈍後のけい素鋼板表面上に、MgO
    を主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、二次再結晶焼
    鈍、次いで純化焼鈍を施す方向性けい素鋼板の製造方法
    において、 この焼鈍分離剤にTi酸化物又は加熱によりTi酸化物にな
    るTi化合物を、MgO :100 重量部に対するTiO2換算で1.
    0 〜40重量部の範囲で含有させること、及び純化焼鈍を
    1150〜1250℃の範囲で、最初から少なくとも下記式で与
    えられる時間t(分)までは窒素濃度10 vol%以上の非
    酸化性雰囲気中で、その後は窒素濃度3 vol%未満の水
    素雰囲気中で行い地鉄中のTi含有量を30ppm 以下に低減
    することを特徴とする、歪取り焼鈍による鉄損劣化がな
    く被膜特性に優れる方向性けい素鋼板の製造方法。 記 t(分)=668 −19.1x+0.171 x2 −4.42×10-43 ここにx:雰囲気中の窒素濃度(vol %)
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