JP2574109B2 - (メタ)アクリル酸の重合防止方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸の重合防止方法

Info

Publication number
JP2574109B2
JP2574109B2 JP863093A JP863093A JP2574109B2 JP 2574109 B2 JP2574109 B2 JP 2574109B2 JP 863093 A JP863093 A JP 863093A JP 863093 A JP863093 A JP 863093A JP 2574109 B2 JP2574109 B2 JP 2574109B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic acid
polymerization
meth
distillation
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP863093A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06211735A (ja
Inventor
一彦 坂元
隆裕 武田
正敏 上岡
陽治 赤沢
将夫 馬場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP863093A priority Critical patent/JP2574109B2/ja
Publication of JPH06211735A publication Critical patent/JPH06211735A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2574109B2 publication Critical patent/JP2574109B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、(メタ)アクリル酸
(この明細書中では、アクリル酸とメタクリル酸に共通
な事柄を述べる場合に、これらの酸を「(メタ)アクリ
ル酸」と総称する。)の重合防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル化合物は、光や熱等により重合し
やすい性質を有する。ビニル化合物の中でも、特に(メ
タ)アクリル酸は、非常に重合しやすい。そのため、従
来、(メタ)アクリル酸の重合を防止するために、(メ
タ)アクリル酸の置かれる条件に応じて、種々の重合防
止剤が単独で、あるいは、複数種組み合わせて用いられ
ている。
【0003】従来、(メタ)アクリル酸を製造する方法
としては、たとえば、プロピレンおよび/またはアクロ
レインの接触気相酸化反応によりアクリル酸を製造する
方法、イソブチレンおよび/またはメタクロレインの接
触気相酸化反応によりメタクリル酸を製造する方法、等
がよく用いられている。これらの方法では、接触気相酸
化反応で得られた反応生成ガスを冷却し水で捕集して、
酢酸およびアルデヒド等の副生成物を含む(メタ)アク
リル酸の水溶液を得た後、この水溶液から(メタ)アク
リル酸を、蒸留、溶剤抽出等の工程を組み合わせること
により分離、精製するようにしており、上記接触気相酸
化反応による(メタ)アクリル酸の製造方法には、蒸留
により(メタ)アクリル酸を分離、濃縮、精製等する工
程が含まれている。また、上記以外の(メタ)アクリル
酸の製造方法としては、レッペ法によりアクリル酸を製
造する方法や、アセトンシアンヒドリン法によりメタク
リル酸を製造する方法等も知られている。これらの製造
方法においても、蒸留により(メタ)アクリル酸を分
離、濃縮、精製等する工程が含まれている。
【0004】(メタ)アクリル酸は、前述したように、
光や熱等により非常に重合しやすい性質を持つ。そのた
め、特に、上述した蒸留工程等のような高温状態での処
理においては(メタ)アクリル酸の重合性が極めて大き
くなる。したがって、このように重合性の大きい(メ
タ)アクリル酸を工業的に製造する場合、蒸留工程での
これらの酸の重合によるトラブルを防止することは、プ
ロセス操作上、非常に重要な項目であり、特に、これら
の酸を高温下で扱う蒸留工程において有効な重合防止技
術を確立することは、そのプロセスを長期間連続的に、
かつ、安定して運転する上で必要不可欠の事項である。
本発明者らの知見によれば、上述した蒸留工程のうち、
脱水工程(水分離工程)時が最も重合が起こりやすく、
このことが蒸留塔を含む製造装置の連続操業を妨げる主
要因となっている。
【0005】(メタ)アクリル酸を蒸留塔を用いて分
離、濃縮、精製等の操作に付した際に、これらの酸が重
合して重合物を生成しやすい箇所は、トレーの裏側、泡
鐘の内側、ダウンカマーの裏側、塔の内側の窪み等のよ
うに液にぬれにくい場所や、トレー組み込み用の金具
(ボルト、ナット等)やパッキング部等のように液の淀
みがちな箇所がほとんどである。前記重合物は、(メ
タ)アクリル酸、水、通常の有機溶媒等に溶けにくく、
また、一度塔内に生成すると、それが重合の核となって
次第に蓄積し、最後には、塔内がそれによって閉塞され
てしまい、製造装置の運転続行が不可能となる。しか
も、これらの蓄積された重合物は、その除去に非常な困
難を伴う。
【0006】従来、(メタ)アクリル酸を製造する際の
蒸留工程における(メタ)アクリル酸の重合を防止する
対策としては、重合防止剤の存在下で蒸留を行う方法が
採られている。そのような重合防止剤としては、ハイド
ロキノン、メトキノン(p−メトキシフェノールとも言
う)、クレゾール、フェノール、t−ブチルカテコー
ル、ジフェニルアミン、フェノチアジン、およびメチレ
ンブルーからなる群の中から選ばれた少なくとも1種の
化合物と、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジ
チオカルバミン酸銅、およびジブチルジチオカルバミン
酸銅からなる群の中から選ばれた少なくとも1種のジチ
オカルバミン酸銅塩と、分子状酸素とからなる重合防止
剤(A)が知られている(アクリル酸については特開昭
49−85016号公報参照、メタクリル酸については
特公昭57−61015号公報参照)。また、(メタ)
アクリル酸の上記以外の重合防止剤としては、酢酸マン
ガン等のマンガン塩からなる重合防止剤(B−1)、酢
酸マンガン等のマンガン塩とハイドロキノンおよび/ま
たはメトキノンとからなる重合防止剤(B−2)、酢酸
マンガン等のマンガン塩と分子状酸素とからなる重合防
止剤(B−3)、酢酸マンガン等のマンガン塩とハイド
ロキノンおよび/またはメトキノンと分子状酸素とから
なる重合防止剤(B−4)が知られている(いずれも特
開昭51−98211号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、その後の検
討で、前述した公知の重合防止剤(A)および(B−
1)〜(B−4)は、以下のような問題点を有すること
がわかった。すなわち、前述した特開昭49−8501
6号公報および特公昭57−61015号公報に記載の
重合防止剤(A)は、接触気相酸化反応により(メタ)
アクリル酸を製造する際の蒸留工程における(メタ)ア
クリル酸の水溶液の共沸分離塔(水分離塔)のように、
フィード組成中に水、酢酸、およびアルデヒド類を含む
ために(メタ)アクリル酸の重合が極めて起こりやすい
場合においては、重合防止効果が低く、そのため、蒸留
中にポップコーンポリマーや粘性ポリマーが発生して、
蒸留塔を含む製造装置の長期連続操業ができなくなると
いう問題があった。
【0008】一方、前記特開昭51−98211号公報
に記載の重合防止剤(B−1)〜(B−4)は、(メ
タ)アクリル酸の製品に対しては充分な重合防止効果は
あるが、上記重合防止剤(A)の場合と同様に、接触気
相酸化反応により(メタ)アクリル酸を製造する際の蒸
留工程における(メタ)アクリル酸の水溶液の共沸分離
塔のように(メタ)アクリル酸の重合が極めて起こりや
すい場合においては、重合防止効果が充分でなく、その
ため、蒸留中にポップコーンポリマーや粘性ポリマーが
発生して、製造装置の長期連続操業ができなくなるとい
う問題があった。
【0009】このような事情に鑑み、この発明は、ビニ
ル化合物の中でも特に重合しやすい(メタ)アクリル酸
に対し、その製造装置の長期連続操業を可能にするとと
もに、(メタ)アクリル酸製品の輸送時や貯蔵時等の重
合防止にも優れた方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、発明者らは、種々検討を重ねた。その結果、重合防
止剤として、後で詳しく述べる、マンガン塩と、ジアル
キルジチオカルバミン酸銅塩と、フェノール系化合物
と、フェノチアジンとの4者を併用することとし、この
ようにすれば、前述した従来の重合防止方法に比べて、
前記4者の重合防止剤の、予想をはるかに超えた相乗作
用により重合防止効果が向上し、製造装置の長期連続操
業が可能になることを実験により確認して、この発明を
完成した。
【0011】したがって、この発明にかかる(メタ)ア
クリル酸の重合防止方法は、酢酸マンガンおよびオクタ
ン酸マンガンのうちの少なくとも1種からなるマンガン
塩と、ジメチルジチオカルバミン酸銅塩、ジエチルジチ
オカルバミン酸銅塩、ジプロピルジチオカルバミン酸銅
塩およびジブチルジチオカルバミン酸銅塩のうちの少な
くとも1種からなるジアルキルジチオカルバミン酸銅塩
と、メトキノンおよびハイドロキノンのうちの少なくと
も1種からなるフェノール系化合物と、フェノチアジン
との4者の重合防止剤を併用する方法である。
【0012】この発明では、前述のように、マンガン塩
と、ジアルキルジチオカルバミン酸銅塩と、フェノール
系化合物と、フェノチアジンとの4者の重合防止剤を併
用する。これら4者の重合防止剤のうち、フェノチアジ
ン以外の重合防止剤の詳細は、下記の通りである。
【0013】マンガン塩としては、酢酸マンガンおよび
オクタン酸マンガンのうちの少なくとも1種が用いら
れ、これらは有水塩であっても無水塩であってもよい。
ジアルキルジチオカルバミン酸銅塩としては、ジメチル
ジチオカルバミン酸銅塩、ジエチルジチオカルバミン酸
銅塩、ジプロピルジチオカルバミン酸銅塩およびジブチ
ルジチオカルバミン酸銅塩のうちの少なくとも1種が用
いられる。
【0014】フェノール系化合物としては、メトキノン
およびハイドロキノンのうちの少なくとも1種が用いら
れる。この発明では、重合防止剤として前述の4者のみ
を用いても充分優れた重合防止効果が得られるが、必要
に応じ、重合防止剤としてさらに分子状酸素を用いても
よく、その場合は、相乗効果により、さらに優れた重合
防止効果が得られる。
【0015】この発明は、ビニル化合物の中でも特に重
合しやすい(メタ)アクリル酸に対して好適に用いられ
る。この発明が適用される(メタ)アクリル酸の置かれ
る条件については、特に限定はされないが、たとえば、
(メタ)アクリル酸の製造時の反応器、蒸留塔、凝縮
塔、あるいは、精製した(メタ)アクリル酸の貯蔵槽等
に適用できる。より具体的には、たとえば、接触気相酸
化反応により(メタ)アクリル酸を製造する場合に関し
て説明すれば、(メタ)アクリル酸の精留塔、(メタ)
アクリル酸の共沸分離塔、(メタ)アクリル酸と酢酸等
の軽質分との分離塔などの諸蒸留工程、アクロレインや
メタクロレイン等の軽質分のストリッパー等の蒸留操作
を含む諸工程において、重合防止剤を(メタ)アクリル
酸と共存させることによって有効に適用される。
【0016】この発明では、通常、各重合防止成分を
(メタ)アクリル酸またはその溶液に添加して用いる。
各重合防止成分の添加方法は、特に限定されない。たと
えば、固体または粉体等の形で直接添加してもよいし、
適当な有機溶剤に溶解した形で添加してもよい。なお、
必要に応じて用いられる分子状酸素については、エアー
バブリング法等により(メタ)アクリル酸またはその溶
液に直接混入してもよいし、他の重合防止成分の溶液に
溶けた形で(メタ)アクリル酸またはその溶液に間接的
に混入してもよい。また、各重合防止成分は、(メタ)
アクリル酸またはその溶液に別個に添加してもよいし、
複数の重合防止成分の混合物の形で添加してもよい。
【0017】具体的には、たとえば、(メタ)アクリル
酸の製造時の蒸留工程においては、分子状酸素以外の重
合防止成分は、(メタ)アクリル酸、および、これらの
酸の製造工程において用いられる有機溶剤に比較的溶解
しやすいので、供給液や還流液に溶かして工程中へ導入
することができる。また、分子状酸素は、蒸留塔や分離
塔やストリッパーの塔底および/またはリボイラーから
ガス状で送入される。
【0018】この発明で使用される重合防止剤の量につ
いては、一般に、操作条件等により変化し、特に限定は
されないが、具体的には、前述の、マンガン塩と、ジア
ルキルジチオカルバミン酸銅塩と、フェノール系化合物
と、フェノチアジンとの4者の重合防止剤の総量が、
(メタ)アクリル酸の蒸発蒸気量に対して100〜10
00ppm (重量基準)とするのが好ましい。
【0019】さらに、これら4者の重合防止剤の個々の
使用量については、マンガン塩として15〜300ppm
、ジアルキルジチオカルバミン酸銅塩として10〜2
00ppm 、フェノール系化合物として30〜600ppm
およびフェノチアジン30〜600ppm の範囲が好まし
い(「ppm 」はいずれも(メタ)アクリル酸の蒸発蒸気
量に対する重量割合)。
【0020】また、この発明を実施する場合、前述した
ように、分子状酸素の存在下で行うと効果が著しく増加
する傾向にある。したがって、(メタ)アクリル酸の蒸
発蒸気量に対して0.1〜1.0容量%程度の分子状酸
素を投入するのが望ましい。
【0021】
【作用】重合防止剤として、前述した、マンガン塩と、
ジアルキルジチオカルバミン酸銅塩と、フェノール系化
合物と、フェノチアジンとの4者を併用すると、これら
4者の重合防止剤のうちの少なくとも1者が欠けた場合
に比べて、4者の重合防止剤の併用による相乗効果によ
り重合防止効果が大幅に向上し、(メタ)アクリル酸が
極めて重合しやすい条件下でも(メタ)アクリル酸の重
合を充分防止するため、(メタ)アクリル酸の蒸留塔を
含む(メタ)アクリル酸の製造装置の長期連続操業を可
能にするとともに、(メタ)アクリル酸製品の輸送時や
貯蔵時等にも優れた重合防止効果を発揮する。
【0022】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を比較例
と併せて示すが、この発明は、下記実施例に限定されな
い。なお、下記実施例および比較例中の単位ppm は、い
ずれも重量を基準とする。 −実施例1〜2および比較例1〜4− あらかじめ蒸留により重合防止剤を除去した製品アクリ
ル酸を試験ブランク液として用いた。このブランク液2
mlを試験管に取り、これに、表1に示す種類および量の
重合防止剤を添加して、調製液とした。次いで、この試
験管内を減圧にした後、100℃に保ったオイルバスに
試験管を浸漬し、この浸漬開始からアクリル酸が重合す
るまでの時間(重合時間)を目視により測定した。その
結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】上記表1中、重合防止剤の添加量(ppm)は
重合前のアクリル酸量を基準とするものであり、CB、
HQ、MnAcおよびPTZはそれぞれジブチルジチオ
カルバミン酸銅塩、ハイドロキノン、酢酸マンガンおよ
びフェノチアジンを表す。表1にみるように、重合防止
剤としてCB、HQ、MnAcおよびPTZの4者のう
ちのいずれか1者が欠けても、これらを4者とも用いた
場合と比べて重合時間が短くなり、重合防止効果が低下
している。このことから、上記重合防止剤を4者とも用
いることが好適であることが確認された。特に実施例2
では、比較例1〜4に比べて、重合防止剤の総量が少な
いのにも関わらず重合時間が長くなっており、重合防止
効果が高い。
【0025】−実施例3および比較例5〜8− 上部に留出管を備え、中央部に原料供給管を備えた充填
塔を用い、分子状酸素とそれ以外の重合防止剤の存在下
でアクリル酸水溶液の共沸分離の蒸留実験を行った。操
作圧160mmHgで操作し、8時間の運転時間において塔
内に発生したポリマーを減圧乾燥して恒量にした後、そ
の量を測定することにより、重合防止剤の効果をみた。
【0026】分子状酸素以外の重合防止剤は表2に示す
種類および量を添加溶解した形で還流液から塔内に投入
し、分子状酸素は表2に示す量を塔底部に供給した。な
お、分子状酸素以外の重合防止剤と分子状酸素の各量は
アクリル酸の蒸発蒸気量を基準とするものである。供給
原料としては、プロピレンの接触気相酸化反応によって
得られた、水30重量%および酢酸2.5重量%を含む
アクリル酸水溶液を用い、還流液としてはメチルイソブ
チルケトンを用い、塔頂温度49℃、塔底温度97℃の
条件下で蒸留した。
【0027】定常状態における塔底抜き出し液組成は、
アクリル酸97重量%、酢酸0.5重量%、その他2.
5重量%であった。還流液は留出組成をリサイクルして
用いた。結果を表2に示した。
【0028】
【表2】
【0029】上記表2中、CM、HQ、MnOcおよび
PTZはそれぞれジメチルジチオカルバミン酸銅塩、ハ
イドロキノン、オクタン酸マンガンおよびフェノチアジ
ンを表す。表2にみるように、分子状酸素以外の重合防
止剤CM、HQ、MnOcおよびPTZのうちのいずれ
か1者が欠けても、これらを4者とも用いた場合と比べ
てポリマーの発生量が多くなり、重合防止効果が低下し
ている。このことから、CM、HQ、MnOcおよびP
TZを4者とも用いることが好適であることが確認され
た。
【0030】−実施例4〜5および比較例9〜12− あらかじめ蒸留により重合防止剤を除去した製品メタク
リル酸を試験ブランク液として用いた。このブランク液
2mlを試験管に取り、これに、表3に示す種類および量
の重合防止剤を添加して、調製液とした。次いで、この
試験管内を減圧にした後、130℃に保ったオイルバス
に試験管を浸漬し、この浸漬開始からメタクリル酸が重
合するまでの時間(重合時間)を目視により測定した。
その結果を表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】上記表3中、重合防止剤の添加量(ppm)は
重合前のメタクリル酸量を基準とするものであり、C
E、MQ、MnAcおよびPTZはそれぞれジエチルジ
チオカルバミン酸銅塩、メトキノン、酢酸マンガンおよ
びフェノチアジンを表す。表3にみるように、重合防止
剤としてCE、MQ、MnAcおよびPTZの4者のう
ちのいずれか1者が欠けても、これらを4者とも用いた
場合と比べて重合時間が短くなり、重合防止効果が低下
している。このことから、上記重合防止剤を4者とも用
いることが好適であることが確認された。特に実施例5
では、比較例9〜12に比べて、重合防止剤の総量が少
ないのにも関わらず重合時間が長くなっており、重合防
止効果が高い。
【0033】−実施例6− 50段のステンレス製シーブトレイを段間隔147mmで
内装し、上部に留出管を備え、中央部に原料供給管を備
えた内径105mmの蒸留塔を使用し、アクリル酸水溶液
の共沸分離の連続運転を行った。使用した重合防止剤
は、酢酸マンガン、ジブチルジチオカルバミン酸銅塩、
ハイドロキノン、フェノチアジンおよび分子状酸素であ
った。酢酸マンガン、ジブチルジチオカルバミン酸銅
塩、ハイドロキノンおよびフェノチアジンはいずれも塔
頂から塔内へ導入した。分子状酸素は塔底部に所定量供
給した。各重合防止剤の使用量は、アクリル酸蒸発蒸気
量に対して、酢酸マンガンが45ppm 、ジブチルジチオ
カルバミン酸銅塩が30ppm 、ハイドロキノンが100
ppm 、フェノチアジンが100ppm であった。また、投
入酸素量は、アクリル酸蒸発蒸気量に対して0.3容量
%とした。
【0034】重合防止効果は、塔内の圧損失、フラッデ
ィングまたは塔の解体点検によって確認した。供給原料
として、プロピレンの接触気相酸化反応によって得られ
た、水を30重量%および酢酸を2.5重量%含むアク
リル酸を用い、還流液としてメチルイソブチルケトンを
用い、塔頂温度46℃、塔底温度97℃、塔頂圧112
mmHg、供給液量10.56リットル/hr、還流比(R/
D)=0.92(モル基準)の条件下で蒸留した。
【0035】定常状態における塔底抜き出し液組成は、
アクリル酸97.0重量%、酢酸0.5重量%、その他
2.5重量%であった。還流液は、留出油相をリサイク
ルして用いた。この条件で約14日間連続運転したとこ
ろ、常に安定した状態が得られ、運転停止後、蒸留塔内
の点検を行った結果においてもポリマーの発生は全く認
められなかった。
【0036】
【発明の効果】この発明によれば、前記特定の重合防止
剤4者を併用するため、それらのうちの少なくとも1者
が欠けた場合と比べて、ビニル化合物の中でも特に重合
しやすい(メタ)アクリル酸に対する重合防止効果が大
幅に向上し、(メタ)アクリル酸が極めて重合しやすい
条件下でさえも(メタ)アクリル酸の重合が充分に防止
されて、(メタ)アクリル酸の蒸留塔を含む(メタ)ア
クリル酸の製造装置の長期連続操業が可能になる。ま
た、この発明は、(メタ)アクリル酸の製造時ばかりで
なく、その製品の輸送時や貯蔵時等にも適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤沢 陽治 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 姫路製造所内 (72)発明者 馬場 将夫 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 姫路製造所内 (56)参考文献 特開 平2−209842(JP,A) 特開 昭64−42443(JP,A) 特開 昭51−98211(JP,A) 特開 昭50−101313(JP,A) 特開 昭49−85016(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸マンガンおよびオクタン酸マンガン
    のうちの少なくとも1種からなるマンガン塩と、ジメチ
    ルジチオカルバミン酸銅塩、ジエチルジチオカルバミン
    酸銅塩、ジプロピルジチオカルバミン酸銅塩およびジブ
    チルジチオカルバミン酸銅塩のうちの少なくとも1種か
    らなるジアルキルジチオカルバミン酸銅塩と、メトキノ
    ンおよびハイドロキノンのうちの少なくとも1種からな
    るフェノール系化合物と、フェノチアジンとの4者の重
    合防止剤を併用する(メタ)アクリル酸の重合防止方
    法。
JP863093A 1993-01-21 1993-01-21 (メタ)アクリル酸の重合防止方法 Expired - Fee Related JP2574109B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP863093A JP2574109B2 (ja) 1993-01-21 1993-01-21 (メタ)アクリル酸の重合防止方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP863093A JP2574109B2 (ja) 1993-01-21 1993-01-21 (メタ)アクリル酸の重合防止方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06211735A JPH06211735A (ja) 1994-08-02
JP2574109B2 true JP2574109B2 (ja) 1997-01-22

Family

ID=11698277

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP863093A Expired - Fee Related JP2574109B2 (ja) 1993-01-21 1993-01-21 (メタ)アクリル酸の重合防止方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2574109B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW407145B (en) * 1995-10-02 2000-10-01 Idemitsu Pertrochemical Co Ltd Process for inhibiting polymerization of a vinyl compound
US6046357A (en) * 1998-10-02 2000-04-04 Celanese International Corporation Stabilization and transport of α,β-unsaturated carboxylic acid and removal of stabilizer
DE10064641A1 (de) * 2000-12-22 2002-06-27 Basf Ag Verfahren zur Herstellung von Acrylsäure
JP5318374B2 (ja) 2007-06-13 2013-10-16 株式会社日本触媒 重合防止方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06211735A (ja) 1994-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1041062B1 (en) Method for refining (meth)acrylic acid
JP2725593B2 (ja) (メタ)アクリル酸およびそのエステルの重合防止方法
US7368602B2 (en) Process for producing (meth) acrylic acid
US20070167650A1 (en) Method of manufacturing (meth) acrylic acid
JPH08239342A (ja) 混合物から(メタ)アクリル酸を単離する方法
JP2001340701A (ja) 蒸留塔のスタートアップ方法
JP2001348359A (ja) (メタ)アクリル酸およびそのエステルの重合防止方法ならびにこれらの製造方法
EP0485169B1 (en) Polymerization inhibitor and inhibiting method for vinyl compound
US6787001B2 (en) Method for distilling (meth) acrylic acid solution
JP4601772B2 (ja) (メタ)アクリル酸およびそのエステルの重合防止方法ならびにこれらの製造方法
US7015357B2 (en) Processes for producing (meth)acrylic acid
JP4456730B2 (ja) (メタ)アクリル酸またはそのエステルの重合防止方法ならびにこれらの製造方法
JP3905810B2 (ja) アクリル酸製造プロセスにおける重合防止方法
JP2574109B2 (ja) (メタ)アクリル酸の重合防止方法
JP4361995B2 (ja) アクリル酸の精製方法
US20020002253A1 (en) Method for preventing polymerization of (meth) acrylic acid and esters thereof and method for the production thereof
JPS61218556A (ja) アクリル酸の精製方法
JP3031365B2 (ja) アクリル酸の製造方法
JPH0772204B2 (ja) ビニル化合物の重合防止剤および重合防止方法
DE102005005439A1 (de) Verfahren zur Rückgewinnung von organischer Verbindungen von (Meth)Acrylsäurehaltigen Gemischen durch Extraktion mit einem protischen Lösungsmittel
JP4687843B2 (ja) メタクリル酸の精製方法
JP2014133719A (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法
JP3312638B2 (ja) (メタ)アクリル酸の重合防止剤組成物および該組成物を用いた(メタ)アクリル酸の重合防止方法
JP2001316326A (ja) アクリル酸の製造方法
JPS6314752A (ja) メタクリル酸の精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091024

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091024

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101024

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 14

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101024

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024

Year of fee payment: 16

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees