JP2573865B2 - 永久磁石の製造方法 - Google Patents

永久磁石の製造方法

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JP2573865B2 JP63150040A JP15004088A JP2573865B2 JP 2573865 B2 JP2573865 B2 JP 2573865B2 JP 63150040 A JP63150040 A JP 63150040A JP 15004088 A JP15004088 A JP 15004088A JP 2573865 B2 JP2573865 B2 JP 2573865B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規な機械的配向による磁気異方性を有す
る永久磁石の製造方法、特にR(ただしRはYを含む希
土類元素のうち少なくとも1種),M(ただし遷移金属元
素のうち少なくとも1種)及びX(ただしIII b族元素
のうち少なくとも1種)からなる永久磁石の製造方法に
関するものである。
[従来の技術] 永久磁石は、一般家庭の各種電気製品から大型コンピ
ューターの周辺端末機器まで、幅広い分野で使用されて
いる重要な電気・電子材料の一つであり、最近の電気製
品の小型化、高効率化の要求にともない、永久磁石も益
々高性能化が求められている。
永久磁石は、外部から電気的エネルギーを供給しない
で磁界を発生するための材料であり、高透磁率材料とは
逆に保磁力が大きく、また残留磁束密度も高いものが適
している。
現在使用されている永久磁石のうち代表的なものはア
ルニコ系鋳造磁石、Baフェライト磁石及び希土類−遷移
金属系磁石である。
特に、希土類−遷移金属系磁石であるR−Co系永久磁
石やR−Fe−B系永久磁石は、極めて高い保磁力とエネ
ルギー積を持つ永久磁石として、高い磁気性能が得られ
るので、従来から多くの研究開発がなされている。
従来、これら希土類−鉄(遷移金属)系の高性能異方
性永久磁石の製造方法には、次のようなものがある。
(1)まず、特開昭59−46008号公報やM.sagawa,S.Fuji
mura,N.Togawa,H.Yamamoto and Y.Matsuura;J.Appl,Phy
s,Vol,55(6)15Maroh 1984,p2083,等には、原子百分
比で8〜30%のR(ただしRはYを含む希土類元素の少
なくとも1種)、2〜28%のB及び残部Feから成る磁気
異方性焼結体であることを特徴とする永久磁石が粉末冶
金法に基づく焼結によつて製造されることが開示されて
いる。
この焼結法では、溶解.鋳造により合金インゴットを
作製し、粉砕して適当な粒度(数μm)の磁石粉を得
る。磁石粉は成形助剤のバインダーと混練され、磁場中
でプレス成形されて成形体が出来上がる。成形体はアル
ゴン中で1100℃前後の温度で1時間焼結され、その後室
温まで急冷される。
焼結後、600℃前後の温度で熱処理することにより永
久磁石は更に保磁力を向上させる。
(2)また、特開昭59−211549号公報やR.W.Lee;Appl,P
hys,Lett.Vol,46(8),15 April 1985,p790には、 非常に微細な結晶性の磁石相を持つ、溶融スピンニン
グされた合金リボンの微細片から形成され、接着された
永久磁石で上記合金は、ネオジム、プラセオジム、およ
びミッシュメタルよりなる群から選ばれた一つまたはそ
れ以上の希土類元素;遷移金属元素、鉄;およびホウ素
を含む合金である永久磁石において、上記磁石中に微細
片がその間に分布した接着剤により所望の磁石の形に保
持され、また上記微細片が磁気的に等方性であり、また
磁石の成形物が接着された磁石を形づくるために適当な
磁界中で任意の望む方向に磁化され得ること、上記接着
された磁石が合金密度の少なくとも80%の粒子成形密度
を持ち、飽和磁化において少なくと9メガガウスエルス
テッドの残留磁気エネルギー積を持つことを特徴とする
接着された希土類−鉄磁石が開示されている。
が開示されている。
この永久磁石は、アモルフアス合金を製造するに用い
る急冷薄帯製造装置で、厚さ30μm程度の急冷薄片を作
り、その薄片を樹脂結合法で磁石にするメルトスピニン
グ法による急冷薄片を用いた樹脂結合方法で製造され
る。
このメルトスピニング法による急冷薄片を用いた樹脂
結合方法では、先ず急冷薄帯製造装置の最適な回転数で
R−Fe−B合金の急冷薄帯を作る。得られた厚さ30μm
のリボン状薄帯は、直径が1000Å以下の結晶の集合体で
あり、脆くて割れ易く、結晶粒は等方的に分布している
ので、磁気的にも等方性である。この薄帯を適当な粒度
に粉砕して、樹脂と混練してプレス成形すれば7ton/cm2
程度の圧力で、約8体積%の充填が可能となる。
(3)さらに、特開昭60−100402号公報やR.W.Lee;App
l,Phys,Lett.Vol,46(8),15 April 1985,p790には、
高温処理によって異方性の永久磁石を作る方法におい
て、永久磁石が鉄−希土類金属であり、方法が、鉄,ネ
オジムおよび/あるいはプラセオジムおよびホウ素を含
む無定形ないし微細な結晶性の固体材料を高温処理し、
微細な粒子の微細構造を持つ塑性的に変形された物体を
作り、その物体を冷却し、高温処理の継続時間と冷却速
度とを、得られる物体が磁性的に異方性であり、永久磁
石特性を示すようにすることからなることを特徴とする
永久磁石の製造方法が開示されている。
これらの磁石の製造方法は、前記(2)におけるリボ
ン状急冷薄帯あるいは薄片を、真空中あるいは不活性雰
囲気中で2段階ホットプレス法と呼ばれる方法で緻密で
異方性を有するR−Fe−B磁石を得るものである。
このプレス過程では一軸性の圧力が加えられ、磁化容
易軸がプレス方向と平行に配向して、合金は異方性化す
る。
尚、最初のメルトスピニング法で作られるリボン状薄
帯の結晶粒は、それが最大の保磁力を示す時の粒径より
も小さめにしておき、後のホットプレス中に結晶粒の粗
大化が生じて最適な粒径になるようにしておく。
(4)最後に、特開昭62−276803号公報には、R(ただ
しRはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)8原
子%〜30原子%,B 2原子%〜28原子%,Co50原子%以
下、Al15原子%以下、及び残部が鉄及びその他の製造上
不可避な不純物からなる合金を溶解および鋳造後、該鋳
造インゴットを500℃以上の温度で熱間加工することに
より結晶粒を微細化しまたその結晶軸を特定の方向に配
向せしめて、該鋳造合金を磁気的に異方性化することを
特徴とする希土類−鉄系永久磁石が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] 叙上の(1)〜(4)の従来のR−Fe−B系永久磁石
の製造方法は、次の如き欠点を有している。
(1)の永久磁石の製造方法は、合金を粉末にするこ
とを必須とするものであるが、R−Fe−B系合金は大変
酵素に対して活性を有するので、粉末化すると余計酸化
が激しくなり、焼結体中の酸素濃度はどうしても高くな
ってしまう。
又粉末を成形するときに、例えばステアリン酸亜鉛の
ような成形助剤を使用しなければならず、これは焼結工
程で前もって取り除かれるのであるが、成形助剤中の数
割は、磁石体の中に炭素の形で残ってしまい、この炭素
は著しくR−Fe−Bの磁気性能を低下させ好ましくな
い。
成形助剤を加えてプレス成形した後の成形体はグリー
ン体と言われ、これは大変脆く、ハンドリングが難し
い。従って焼結炉にきれいに並べて入れるのには、相当
の手間が掛かることも大きな欠点である。
これらの欠点があるので、一般的に言ってR−Fe−B
系の焼結磁石の製造には、高価な設備が必要になるばか
りでなく、その製造方法は生産効率が悪く、結局磁石の
製造コストが高くなってしまう。従って、比較的原料費
の安いR−Fe−B系磁石の長所を活かすことが出来な
い。
次に(2)並びに(3)の永久磁石の製造方法は、真
空メルトスピニング装置を使用するが、この装置は、現
在では大変生産性が悪くしかも高価である。
(2)の永久磁石は、原理的に等方性であるので低エ
ネルギー積であり、ヒステリシスループの角形性もよく
ないので、温度特性に対しても、使用する面においても
不利である。
(3)の永久磁石を製造する方法は、ホットプレスを
二段階に使うというユニークな方法であるが、実際に量
産を考えると非能率であることは否めないであろう。
更にこの方法では、高温例えば800℃以上では結晶粒
の粗大化が著しく、それによって保磁力iHcが極端に低
下し、実用的な永久磁石はならない。
(4)の永久磁石を製造する方法は、粉末工程を含ま
ず、ホットプレスも一段階でよいため、最も製造工程を
簡略化されるが、性能的には(1)−(3)に比してや
や劣るという問題があった。
本発明は、以上の従来技術の欠点特に(4)の永久磁
石の性能面での欠点を解決するものであり、その目的と
するところは、高性能かつ低コストの永久磁石の製造方
法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の永久磁石の製造方法は、希土類元素(R)−
遷移金属元素(M)−III b族元素系(X)系永久磁石
の製造方法に関するものであり、具体的にはR(Pr,Nd,
Dy,Ce,La,Y,Tbのうちから選ばれた少なくとも1種以上
の希土類元素)−M(Fe,Co,Cu,Ag,Au,Ni,Zrのうちから
選ばれた少なくとも1種以上の遷移金属)−X(B,Ga,A
lのうちから選ばれた少なくとも1種以上のIII b族元
素)を原料基本成分とし、該基本成分とする合金を溶解
・鋳造し、次いで鋳造インゴットを500℃以上の温度に
て熱間加工し、前記基本成分から非磁性物であるR−リ
ッチ相の液相を排除することにより、磁性相を濃縮し、
機械的配向により磁気異方性を付与することを特徴とす
る永久磁石の製造方法である。
さらに、具体的には、原子百分比で12〜25%のR,65〜
85のM,及び3〜10%のXを原料基本成分とし、該基本成
分とする合金を溶解・鋳造し、次いで鋳造インゴットを
500℃以上の温度にて熱間加工し、前記基本成分から非
磁性物であるR−リッチ相の液相を排除することによ
り、原子百分比で10〜18%のR、72〜87%のM、3〜10
%のXからなる磁性相を濃縮し、機械的配向により磁気
異方性を付与することを特徴とする永久磁石の製造方法
であり、更に結晶粒径が0.3μm〜150μmで前記R−リ
ッチ相の比率が10%以下(0%を含まず)である上記記
載の永久磁石の製造方法である。
また原子百分比で12〜25%のPr,65〜85%のFe及び3
〜10%のBを原料基本成分とし、該基本成分とする合金
を溶解・鋳造し、次いで鋳造インゴットを500℃以上の
温度にて熱間加工し、前記基本成分から非磁性物である
R−リッチ相の液相を排除することにより、原子百分比
で10〜18%のPr、72〜87%のFe、3〜10%のBからなる
磁性相を濃縮し、結晶粒径が0.3μm〜150μmで前記R
−リッチ相の比率が10%以下(0%を含まず)とし、機
械的配向により磁気異方性を付与することを特徴とする
永久磁石の製造方法である。
更に鋳造インゴットを熱間加工後、熱処理する上記の
永久磁石の方法であり、また、ホットプレス,熱間圧延
及び押出から選ばれた1種の熱間加工を行う上記の永久
磁石の製造方法である。
[作用] 本発明者等は、数多くのR−Fe−B系鋳造合金を評価
し、Pr−Fe−B系合金に適当な熱処理を加えれば高保磁
力が得られることを見知し、更に、この合金を基に、ホ
ットプレスによる機械的配向処理、添加塩素による磁気
特性の改善効果を研究した結果、本発明に至ったもので
ある。
即ち、本発明は、R(Pr,Nd,Dy,Ce,La,Y,Tbのうちか
ら選ばれた少なくとも1種以上の希土類元素)−M(F
e,Co,Cu,Ag,Au,Ni,Zrのうちから選ばれた少なくとも1
種以上の遷移金属)−X(B,Ga,Alのうちから選ばれた
少なくとも1種以上のIII b族元素)を原料基本成分と
し、該基本成分とする合金を溶解・鋳造し、次いで鋳造
インゴットを 500℃以上の温度にて熱間加工し、前記基本成分から
非磁性物であるR−リッチ相の液相を排除することによ
り磁性相を濃縮し、機械的配向により磁気異方性を付与
することを特徴とする永久磁石の製造方法であり、鋳造
−熱間加工−熱処理という粉末工程を含まない方法で、
従来方に比肩する高性能の磁石が得られるものである。
本発明においては、後述する実施例の第3図(a)−
(c)に示す如き過程をたどり、本発明の永久磁石が製
造されるものである。最初のR−M−Xを原料基本成分
から非磁性物であるR−リッチの液相を500℃以上の温
度でホットプレス等の熱間加工することにより、第3図
(b)に示すごとく外側に押し出す結果、強磁性相粒子
が増加しその粒子相のみ微細化し配向し、磁石の磁気特
性を増加させるものである。
尚、磁石の製造に当たっては、強磁性物として、R2Fe
14B(原子比),R11.7Fe82.45.9(原子百分比)を目標
として調整するが、Rが多い場合、R−リッチ相が非磁
性物として作用し、Bが多い場合、B−リッチ相が非磁
性物として作用する。
本願発明においては、当初からRを多めに配合したこ
とよりR−リッチ相を非磁性物としたが、Bが多い場合
は同様にB−リッチ相を非磁性物とすることは勿論であ
る。
次に本発明における原料基本成分のR,M及びXの限定
理由について述べる。
R:12〜25% 12%未満だとR−リッチ相の量が少く割れやすくなっ
て熱間加工が困難となる。また25%を越えると非磁性相
の量が増え過ぎて磁性相の濃縮が不十分となり、性能が
低下するので上記の如く定めた。
M:65〜85% 85%を越えるとR−リッチ相の量が少く熱間加工が困
難となり、65%未満だと非磁性相の量が増え過ぎて磁性
相の濃縮が不十分となり、性能が低下するので上記の如
く定めた。
X:3〜10% 3%未満だと磁性相の量が少くなり高性能が得られな
い。また10%を越えると非磁性相の量が増し、熱間加工
がしにくくなるので上記の如く定めた。
以上の如く特定した原料基本成分を、本発明に適応し
た結果加工後、得られる成分値として、R:10〜18%,M:7
2〜87%,X:3〜10%は、高い磁気特性が得られる組成域
である。
又、本発明においては結晶粒径を0.3μm〜150μmの
範囲に限定するが、この理由について述べる。
結晶粒径0.3μmは、単磁区粒子の限界粒径であると
いわれており、0.3μmより粒径が小さくなると、初磁
化曲線が前述の従来法における(3)の永久磁石と同じ
になり、着磁性が悪くなる。
また結晶粒径が150μmを越えると、熱間加工しても
得られる保磁力がフェライト磁石の4KOeよりも低くなり
実用性がなくなるので、結晶粒径を0.3μm〜150μmの
範囲に定めた。
さらに、R−リッチ相は後述する第4図に示す様に、
非磁性のR−リッチ相が少ない程、4πIs(実線)は上
昇する。R−リッチ相が多くなる程4πIsは減少するの
で実用性を考慮すると10%以下が望ましい。但し0%に
なると保磁力を失うので、0%を越え10%(重量)以下
と定めた。
次に本発明の実施例について述べる。
[実施例] [実施例1] 本発明による製造法の工程図を第1図に示す。
本実施例においては、熱間加工として主にホットプレ
ス加工を1000℃で施し、磁石合金の配向処理を行なっ
た。ホットプレス加工については、極力歪み速度が小さ
くなるように、速度を調整した。また高温領域において
合金の押される方向に平行になるように結晶の磁化容易
軸は配向した。
先ず第1図に示す製造工程に従い、アルゴン雰囲気中
で誘導加熱炉を用いて、Pr17Fe76.5B5Cu1.5なる組成の
合金を溶解し、次いで鋳造した。
この時、希土類、鉄及び銅の原料としては99.9%の純
度のものを用い、ボロンはフエロボロンを用いた。
次に、この鋳造インゴットをアルゴン雰囲気中、1000
℃において、加工度80%で第2図に示すようにホットプ
レスした。この時のプレス圧力は0.2〜0.8ton/cm2であ
り、歪速度は10-3〜10-4/secであった。
この後、1000℃で24時間のアニール処理を施した後、
切断、研磨され磁気特性が測定された。
この磁石の磁気特性及びその他の諸特性値を比較例と
して、前述の従来法における(1)の焼結永久磁石(Nd
15Fe77B8)と(3)の永久磁石(Nd13Fe82.64.4)に
おける値と共に第1表に示す。
なお、磁気特性はすべて最大印加磁界25kOeでB−H
トレーサーを用いて測定した。
第1表に示す如く、本発明磁石は、従来の(1)の永
久磁石と(3)の永久磁石に比較して磁気性能は劣らず
着磁性は優れていることは明らかである。
また銅添加の鋳造磁石は保磁力の増大に有効であり、
配向性の向上にも有効であることを示している。
従来の(1)の焼結永久磁石とは、本願発明の永久磁
石はO,C含有量及び空孔率が異なり、また従来の(2)
永久磁石とは、結晶粒子の粒径が異なり、着磁性が優れ
ている。
次に、本発明の磁石の構造メカニズムについて述べ
る。
第2図は本発明の作用の説明図である。
第2図において、11はPr2Fe14B相粒子、12はα−Fe
相、13はR−リッチ相、14はR−リッチ液相である。
本発明においては、第2図に示す如き過程をたどり、
本発明の永久磁石が製造されるものである。
第2図(a)は、Pr17Fe76.5B5Cu1.5の原料合金を溶
融・鋳造し、鋳造インゴットとした場合の主相の状態を
示したものであり、図示する如く、Pr2Fe14B相粒子11内
は、α−Fe相12が少量含まれている。
そして前記のPr2Fe14B相粒子11間は、非磁性のR−リ
ッチ相13で埋められている。
第2図(b)はホットプレスにおける状態を示したも
のであい、800〜1050℃という温度では、R−リッチ相1
3は溶融してR−リッチ液相14となり、この液相14は、
ホットプレス等の外部から加えられた圧力により排除さ
れ外側へ押出される。
またα−Fe相12は拡散して消失して行き、Pr2Fe14B相
粒子11は、ホットプレス中微細化されかつ結晶主軸方向
が一定方向に配向される。
第2図(c)は磁石の状態を示したものであり、外側
にしみ出したR−リッチ相13の部分は切断されて、磁石
としては微細なPr2Fe14B相粒子11が配向している中央部
を使用する。
このPr2Fe14B相粒子11間は、R−リッチ相13と鉄およ
び銅で埋められているが、その量は鋳造インゴットに比
べ遥かに少なく、磁性相のPr2Fe14B相粒子11が最初の原
料組成から遥かに濃縮されていることは明らかである。
第3図に、磁石のR−リッチ相の含有率と4πIsとiH
cとの関係図を示す。また第4図に、Pr17Fe76.5B5Cu1.5
なる組成の磁石の4πI−Hをホットプレスした場合の
プレス平行・垂直の2方向曲線について示す。
第3図は、非磁性のR−リッチ相が少ない程、4πIs
(実線)は上昇することを示している。R−リッチ相が
多くなる程4πIsは減少するので実用性を考慮すると10
%以下が望ましいことが判る。
第4図は、典型的なホットプレスPr−Fe−B−Cu磁石
の減磁曲線を磁化容易方向と困難方向の2種類を示して
いる。
第4図より磁化容易方向は、プレス方向に対して平行
である。磁化容易方向の初磁化曲線から、この磁石はnu
cleation typeの保磁力機構を有すると考えられる。
従来の(3)の永久磁石とは、異方性方向は同じもの
の保磁力機構は異なることが判る。
[実施例2] 実施例1と同様に、第1図に示す製造工程に従い、ア
ルゴン雰囲気中で誘導加熱炉を用いて、Pr17Fe79B4成る
組成の合金を溶解し、次いで鋳造した。
この時、希土類及び鉄の原料としては実施例1と同様
に、99.9%の純度のものを用い、ボロンはフェロボロン
を用いた。
次に、この鋳造インゴットをアルゴン雰囲気中、1000
℃において、加工度80%で第2図に示す様にホットプレ
スした。この時のプレス圧力は0.2〜0.8ton/cm2であ
り、歪速度は10-3〜10-4/secであった。
そして切断、研磨された後磁気特性を測定し、1000℃
で24時間のアニール処理の熱処理した後に再び磁気特性
を測定した。
第2表にアニール前と後の磁気特性を、また第3表に
アニール後の諸特性値を示す。
更に第5図に鋳造インゴットの減磁曲線(1)とアニ
ール後の磁石の減磁曲線(2)を示す。
第3表に示す如く、原料組成がPr17Fe79B4で磁石組成
はPr14.8Fe80.34.9と磁性相が濃縮されている。そし
て磁石特性は、良好な成績を示し特に第2表並びに第5
図に示す如ぐアニールにより更に磁気特性が向上するこ
とは明らかである。
さらに、これと同じ製造条件で鋳造インゴットのPr量
またはB量を変化させた場合、出来上がった磁石の特性
値は、第6図,第7図に示す様な変化を示した。
第6図と第7図は、ホットプレス磁石の組成依存性を
示し、磁気特性の測定方向はすべてプレス方向に対して
平行である。また(BH)max(MGOe)が大幅に増加し、
異方性化されていることが判る。
[実施例3] 組成Pr12Nd5Fe79B5.5Cu1.5の合金を実施例1及び2と
同様に、溶解・鋳造し鋳造インゴットを鋳造した。
次いでこの鋳造インゴットをアルゴン雰囲気中、1000
℃において、歪速度は10-3〜10-4sec,加工度80%で第2
図に示す如くホットプレスした。
この後、1000℃で24時間のアニールを施した後、切
断、研磨し、 組成:Pr9.5Nd4Fe80.16.1Cu0.3の磁石を得て、この
磁石の磁気特性を測定した。
この磁石の磁気特性及びその他の諸特性値を第4表に
示す。
第4表に示す如く、上記の様に組成を変えてもその磁
気特性は優れていることは明らかである。
[実施例4] 第5表に示す組成の合金を実施例1〜3と同様に、溶
解・鋳造した。また用いた原料も同じものを用いた。
次に、これらの鋳造インゴットをアルゴン雰囲気中に
おいて、第2図に示す如くホットプレスした後アニール
を施し、切断・研磨後、磁気特性を測定し、第6表に磁
石の組成第7表に磁石の諸特性値を示す。
[実施例5] 実施例1〜4と同様に、原料を同じものを用いPr15Nd
2Fe76.5B5Cu1.5なる組成の合金を溶解・鋳造した。
次に、この鋳造インゴットを900〜1000℃において第
8表に示すような、ホットプレス加工、圧延加工、
押出し加工の熱間加工法によって加工した。
尚第8図および第9図に熱間圧延加工および押出し加
工の説明図を示す。図において5はロール,6は油圧プレ
ス,7はダイである。
尚、およびのホットプレスおよび熱間圧延加工に
ついては、極力歪み速度が小さくなるように、スタンプ
3,ロール5の速度を調整した。またいずれの方法でも高
温領域において矢視する如く合金の押される方向に平行
になるように結晶の磁化容易軸は配向するようにした。
次に1000℃×24時間のアニールを施した後に切断・研
磨し磁気特性を測定した。
この磁石の組成を第9表に、第10票に磁気特性値を示
す。
第8表〜第10表に示す如く、ホットプレス,圧延,押
出しいずれの加工法においても特性値が向上しているこ
とは明らかである。
[実施例5] 実施例1で製造された本発明磁石と従来磁石(焼結
法)を同じ組成(Nd15Fe77B5)及び同じ形状に加工し、
40℃,95%の恒温・恒湿槽に入れてその重量変化を調べ
た。この結果を第10図に示す。
第10図に示す如く、本発明磁石は従来磁石(焼結法)
に比較し、重量変化が少なく、磁石中の酸素濃度が低い
ことは明らかである。これは従来の磁石と大きく異なる
点である。
以上の実施例から、RがPr,Nd,Dy,Ce,La,Y,Tbのうち
から選ばれた少なくとも1種以上の希土類元素で、Mが
Fe,Co,Cu,Ag,Ni,Au,Zrのうちから選ばれた少なくとも1
種以上の遷移金属元素でXがB,Ga,Alのうちから選ばれ
た少なくとも1種以上のIII b族元素を原料基本成分と
した永久磁石は、高保磁力を示し、ホットプレス等の熱
処理加工により、異方性化され、最高(BH)maxは43.6M
GOeにも達することは明らかである。
[発明の効果] 叙上の如く本発明の永久磁石の製造方法は、次の如き
効果を奏するものである。
(1)C軸配向率を高めることができ、残留磁束密度Br
を著しく改善することができ、結晶粒を微細化すること
により、保磁力iHc及び最大エネルギー積(BH)maxを格
段に高めることができた。
(2)製造プロセスが簡単であるのでコストが安い。
(3)磁石中のO2濃度が低いので酸素に対して活性が少
なく、耐候性を向上せしめることができる。
(4)切削性が良好なのでコストを低下させる効果があ
る。
(5)従来の焼結法と比較し、加工工数及び生産設備投
資額を著しく低減させることができる。
(6)従来のメルトスピニング法による磁石の製造方法
と比較し、高性能でしかも低コストの磁石を作ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のR−Fe−B系磁石の製造工程図、第2
図は本発明の作用を示した説明図、第3図は磁石のRリ
ッチ相の含有率と4πIsとiHcとの関係図、第4図は磁
石の4πI−Hをホットプレスした場合のプレス平行・
垂直の2方向曲線についての説明図、第5図は鋳造イン
ゴットの減磁曲線とアニール後の磁石の減磁曲線を示す
説明図、第6図及び第7図は夫々Pr量またはB量を変化
させた場合の磁石の特性値との関係図、第8図は圧延加
工の説明図、第9図は押出し加工の説明図、第10図は本
発明磁石と従来焼結磁石との重量変化図である。 図において、11:Pr2Fe14B相粒子、12:α−Fe相、13:R−
リッチ相、14:R−リッチ液相である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋岡 宏治 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (72)発明者 山上 利昭 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (72)発明者 河合 伸泰 兵庫県神戸市須磨区北落合5―15―29 (56)参考文献 特開 昭62−203302(JP,A) 特開 昭62−276803(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】R(ただしRはYを含む希土類元素のうち
    少なくとも1種),M(ただし遷移金属元素のうち少なく
    とも1種)及びX(ただしIII b族元素のうち少なくと
    も1種)を原料基本成分とし、該基本成分とする合金を
    溶解・鋳造し、次いで鋳造インゴットを500℃以上の温
    度にて熱間加工し、前記基本成分から非磁性物であるR
    −リッチ相の液相を排除することにより磁性相を濃縮
    し、機械的配向により磁気異方性を付与することを特徴
    とする永久磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】RがPr,Nd,Dy,Ce,La,Y,Tbのうちから選ば
    れた少なくとも1種以上の希土類元素、MがFe,Co,Cu,A
    g,Au,Ni,Zrのうちから選ばれた少なくとも1種以上の遷
    移金属元素、XがB,Ga,Alのうちから選ばれた少なくと
    も1種以上のIII b族元素であることを特徴とする請求
    項1記載の永久磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】原子百分比で12〜25%のR,65〜85%のM,及
    び3〜10%のXを原料基本成分とし、該基本成分とする
    合金を溶解・鋳造し、次いで鋳造インゴットを500℃以
    上の温度にて熱間加工し、前記基本成分から非磁性物で
    あるR−リッチ相の液相を排除することにより、原子百
    分比で10〜18%のR、72〜87%のM、3〜10%のXから
    なる磁性相を濃縮し、機械的配向により磁気異方性を付
    与することを特徴とする永久磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】結晶粒径が0.3μm〜150μmでR−リッチ
    相の比率が10%以下(0%を含まず)である請求項3記
    載の永久磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】原子百分比で12〜25%のPr,65〜85%のFe
    及び3〜10%のBを原料基本成分とし、該基本成分とす
    る合金を溶解・鋳造し、次いで鋳造インゴットを500℃
    以上の温度にて熱間加工し、前記基本成分から不磁性物
    であるR−リッチ相の液相を排除することにより、原子
    百分比で10〜18%のPr、72〜87%のFe、3〜10%のBか
    らなる磁性相を濃縮し、結晶粒径が0.3μm〜150μmで
    前記R−リッチ相の比率が10%以下(0%を含まず)と
    し、機械的配向により磁気異方性を付与することを特徴
    とする永久磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】鋳造インゴットを熱間加工後、熱処理する
    ことを特徴とする請求項5記載の永久磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】ホットプレス,熱間圧延及び押出から選ば
    れた1種の熱間加工を行うことを特徴とする請求項5記
    載の永久磁石の製造方法。
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