JP2573136B2 - 脱灰高濃度石炭水スラリーの製造方法 - Google Patents

脱灰高濃度石炭水スラリーの製造方法

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JP2573136B2
JP2573136B2 JP7777993A JP7777993A JP2573136B2 JP 2573136 B2 JP2573136 B2 JP 2573136B2 JP 7777993 A JP7777993 A JP 7777993A JP 7777993 A JP7777993 A JP 7777993A JP 2573136 B2 JP2573136 B2 JP 2573136B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重油などと同様に流体
燃料として、ポンプ輸送、積出、貯蔵などの取扱いが簡
便で、かつ、ボイラ用バーナで燃焼させることが可能な
高濃度の脱灰石炭−水スラリーを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】石炭を微粉砕して石炭−水スラリーとす
ることは従来から行われているが、この石炭中の灰分の
処理が問題となる。石炭は通常地下に存在することもあ
って、Al2 3 ,SiO2 あるいはFe2 3 などの
不燃焼分(灰分)を若干含んでいる。この灰分は燃焼時
においてボイラ壁を摩耗したり、燃焼効率を低下をさせ
るばかりか、輸送コストも非経済なものにする。そこ
で、高濃度石炭−水スラリーの製造において灰分含有量
の多い原炭を使用する場合、比較的粗い粒度で選炭し、
低灰分の石炭のみをスラリー用原料として微粉砕し、ス
ラリーを製造する方法も行われている。しかしながら、
この方法では低灰分以外の石炭はスラリー用原料として
使用しないことになり、石炭の利用効率が低下するとい
う問題があった。
【0003】また灰分の比較的高い原炭を使用する場
合、灰分の含有量を低下させるために石炭を微粉砕した
後、この全量を脱灰処理する方法もあるが、この方法を
採用すると、脱灰処理設備が大型化し、それに伴って処
理費が高くなるばかりか、脱灰工程における石炭の損失
が大きくなるという問題もある。
【0004】上記の問題点を解消するために、特開昭5
9−215391号公報には、予め破砕された原炭を篩
で細粒炭と粗粒炭とに分級し、粗粒炭を粗粒選別機に送
って低灰分炭と中灰分炭と高灰分炭(硬)とに比重選別
し、この中灰分炭を細粒炭とともに微粉砕機で微粉砕し
て石炭−水スラリーとした後、浮選機に導いて脱灰処理
を施して脱灰スラリー(フロス)を得、このフロスを脱
水機に導入して比較的高濃度の脱灰スラリーとし、一
方、前記低灰分炭を脱水機からの脱灰スラリーと微粉砕
機で微粉砕・混合して固体濃度60重量%を越える脱灰
高濃度スラリーを製造するプロセスが記載されている。
【0005】また、特開昭61−123699号公報に
は、粗粒炭を低灰分炭、中灰分炭、高灰分炭に比重選別
し、中灰分炭を微粉砕して石炭−水スラリーを得、これ
を浮遊選別した後、脱水して、固体濃度40〜60wt%
に調整し、この石炭−水スラリーと前記粗粒低灰分炭と
を微粉砕し、最終製品の高濃度スラリーの固体濃度の設
定値に基づき、最終微粉砕工程に導く粗粒炭と、石炭−
水スラリー中の石炭量との混合比を調整するため、比重
選別で得た低灰分炭の一部を中灰分炭に混合して固体濃
度60wt%を越える脱灰石炭−水スラリーを製造する方
法が記載されている。
【0006】特公平3−21596号公報には、一般式
CH2 =C(R)COO−(XO)1 −Y (ただし式中、Rは水素またはメチル基、Xは炭素数2
〜4のアルキレン基、1 は平均で1〜100の数であ
り、Yは水素、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基
または炭素数1〜9のアルキル基を1〜3個置換基とし
て持つアルキルフェニル基を示す。)で表わされるポリ
アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系単量
体(I)と、一般式CH2 =C(R)COOZSO3 M (ただし式中、Rは水素またはメチル基、Zは炭素数1
〜4のアルキレン基、Mは水素、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属、アンモニウム基またはアミン塩基を示
す。)で表わされるスルホアルキル(メタ)アクリレー
ト系単量体(II)とを必須成分とし、該単量体(I)
と該単量体(II)とのモル比が1:5から1:500
の範囲にあり、かつ該単量体(I)と該単量体(II)
の合計が全単量体中50モル%以上である原料単量体よ
り得られる水溶性共重合体からなる分散剤、及びポリス
チレンスルホン酸塩またはスチレン−スチレンスルホン
酸塩共重合体から選ばれる分散剤を石炭−水スラリーに
添加することが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開昭59−2153
91号公報記載のプロセスを石炭の微粉砕の面から考慮
すると、比較的低濃度の微粉炭スラリーを得、これと粗
粉砕した低灰分とを湿式微粉砕機に投入し、所望の高濃
度のスラリーを製造する方法、つまり二段粉砕法を用い
ている。この方法は、微粉砕した石炭の粒度構成を広範
囲にさせることが可能となり石炭−水スラリーの固体濃
度を増大させ得るものであり、そのため湿式微粉砕機へ
投入する微粉炭スラリーの濃度は40〜60重量%の範
囲が望ましい。したがって粗粒選別と微粉炭浮選との組
合せの二段粉砕法による脱灰高濃度スラリー製造におい
ても、固体濃度70重量%程度の高濃度化スラリーの製
造が可能であり、かつ浮選・脱水工程から得られるスラ
リー濃度は特定の範囲、40〜60重量%に実質上限定
される。
【0008】高濃度スラリーを製造する場合、その重要
な因子であるスラリー濃度が通常設定される。この濃度
が設定された上で、上記の浮選・脱水工程で得るスラリ
ー濃度が限定されると、最終の微粉砕工程(微粉砕機)
へ送る低灰分炭量と、浮選・脱水工程からのスラリー中
の石炭量との混合比が一定の範囲に入っていなければな
らない。しかしながら特開昭59−215391号公報
では、この混合比は石炭の性状、さらに粗粒選別の石炭
粒度や粗粒選別条件で一義的に決定されるので、上述の
二段粉砕法に適する粉砕条件を必ずしも満足するもので
はない。
【0009】特開昭61−123699号公報記載の方
法は、浮選工程後に脱水工程及びスラリー濃度調整工程
等を必要とするので、工程が複雑になるとともに、脱水
機の消費動大が大きく、また、スケールアップに限界が
あるなどの問題がある。
【0010】また、上記従来の公報には、酸性の水によ
り洗浄した後浮選を行うか、又は浮選した後、酸性の水
により洗浄を行い、石炭中の溶出成分と灰分を同時に除
去すると共に、浮選処理で得られた脱灰炭(フロス)と
比重選別で得られた低灰分炭とを混合し、脱灰高濃度石
炭水スラリー化する方法、及びその際、ポリスチレン系
分散剤とポリ(メタ)アクリル酸系分散剤とを配合した
添加剤を用いる方法については、何も開示されていな
い。
【0011】高濃度石炭−水スラリーを製造する際に、
上述のように、予め比重選別や浮選や水中造粒法などの
脱灰処理を行うことは従来から検討されており、一部実
用化している。しかし、低品位炭の高濃度石炭水スラリ
ーを製造する場合、カルシウム、マグネシウム、鉄など
の元素の多価の陽イオンが石炭から溶出し、これらの溶
出イオンが高濃度石炭−水スラリーを製造する際に添加
するアニオン系分散剤の分散作用を阻害し、分散剤の添
加量が増加する原因となっており、また、溶出イオンは
スラリーの凝集性を増大させ、配管流送時の閉塞や貯蔵
タンク内での凝集沈降堆積物発生を引き起こす原因とな
っている。
【0012】以上の問題を解決するためには、予め石炭
からアルカリ土類元素などを除去し、多価の陽イオンの
溶出量を低減する必要がある。従来検討されている比重
選別法や浮選法、水中造粒法ではアルカリ土類元素など
を除去する効果が小さい。また、安定性に優れ沈降分離
の起こりにくい安定した脱灰炭高濃度石炭水スラリーを
製造するためには、原料石炭の性状や脱灰の程度に応じ
て、適切なレオロジーに調整する必要があるが、従来の
ポリスチレン系分散剤やポリ(メタ)アクリル酸系分散
剤の添加のみでは、レオロジーの調整が困難であった。
【0013】高濃度石炭−水スラリーを製造する際の添
加剤(分散剤)の添加量の低減、到達濃度の向上、製造
したスラリーの凝集性の低減及び燃焼灰の融点の上昇を
達成するためには、原料石炭中に含まれるカルシウム、
マグネシウム、鉄、ナトリウム、カリウムなどの元素を
除くことが有効であり、これらアルカリ及びアルカリ土
類元素を選択的に除去するためには、酸性の水で洗浄し
た後浮選処理を行うか、又は浮選処理をした後酸性の水
で洗浄する方法が効果が大きいという知見を本発明者ら
は得た。また、酸洗浄に加えて、得られた脱灰炭の高濃
度スラリーを製造する際に、ポリスチレン系分散剤とポ
リメタアクリル酸系分散剤を配合して用いることによっ
て、適切なレオロジーの安定性の良好な脱灰炭高濃度ス
ラリーを製造できることを本発明者らは知見した。
【0014】本発明はこれらの知見に基づきなされたも
ので、上記の課題を解決し、分散剤の添加量の低減を図
ることができ、安定性に優れ、レオロジーの調整の容易
な脱灰高濃度石炭水スラリーを製造することができる方
法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の脱灰高濃度石炭水スラリーの製造方法
は、比重選別で得られた中灰分炭を酸性水によってpH5
〜1の範囲で洗浄した後浮選によって脱灰するか、又は
浮選によって脱灰した石炭を酸性水によってpH5〜1の
範囲で洗浄し、ついで、比重選別で得られた低灰分炭と
添加剤(分散剤)及び水と混合して湿式粉砕し脱灰高濃
度石炭水スラリーを製造する方法で、添加剤としてポリ
スチレンスルホン酸系分散剤とポリ(メタ)アクリル酸
系分散剤の配合添加剤を用いることを特徴としている。
【0016】以下、図面に基づいて、本発明を説明す
る。図1は、本発明の方法の一実施例を示している。1
0は比重選別機、12は第1湿式粉砕機、14は酸洗浄
槽、16は浮選機、18は第2湿式粉砕機である。湿式
粉砕機としては、ボールミル、ロッドミルなどが用いら
れる。図1における脱灰高濃度石炭水スラリーの製造方
法は、つぎの(a)〜(d)の工程からなっている。 (a) 原料石炭を低灰分炭、中灰分炭及び高灰分炭に
比重選別する比重選別工程、(b) 比重選別された中
灰分炭を湿式粉砕して水スラリー化する第1湿式粉砕工
程、(c) 第1湿式粉砕工程からのスラリーに捕集剤
及び起泡剤を添加するとともに気体を吹き込んで浮選し
て脱灰する浮選工程、(d) 浮選工程からの脱灰炭及
び前記比重選別工程からの低灰分炭に、ポリアルキレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート系単量体とスルホ
アルキル(メタ)アクリレート系単量体とを必須原料単
量体とする水溶性共重合体からなる分散剤(A)と、ポ
リスチレンスルホン酸塩及びスチレン−スチレンスルホ
ン酸塩共重合体から選ばれた分散剤(B)とを主成分と
する分散剤、及び水を添加して湿式粉砕し、固体濃度6
0重量%を越える脱灰石炭−水スラリーを得る第2湿式
粉砕工程、
【0017】また、図1において、第1湿式粉砕工程か
らのスラリーに酸又は酸性水を添加混合し、スラリーを
pH5〜1の範囲に調整して攪拌洗浄した後、このスラリ
ーを浮選工程に導入する。この場合の方法は、つぎの
(a)〜(e)の工程からなっている。 (a) 原料石炭を低灰分炭、中灰分炭及び高灰分炭に
比重選別する比重選別工程、(b) 比重選別された中
灰分炭を湿式粉砕して水スラリー化する第1湿式粉砕工
程、(c) 第1湿式工程からのスラリーに酸又は酸性
水を添加混合し、スラリーをpH5〜1の範囲に調整して
攪拌洗浄する酸洗浄工程、(d) 酸洗浄工程からのス
ラリーに捕集剤及び起泡剤を添加するとともに気体を吹
き込んで浮選して脱灰する浮選工程、(e) 浮選工程
からの脱灰炭及び前記比重選別工程からの低灰分炭に、
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系
単量体とスルホアルキル(メタ)アクリレート系単量体
とを必須原料単量体とする水溶性共重合体からなる分散
剤(A)と、ポリスチレンスルホン酸塩及びスチレン−
スチレンスルホン酸塩共重合体から選ばれた分散剤
(B)とを主成分とする分散剤、及び水を添加して湿式
粉砕し、固体濃度60重量%を越える脱灰石炭−水スラ
リーを得る第2湿式粉砕工程、 上記の方法において、酸洗浄すべき石炭スラリーのpHが
1未満の場合は酸濃度が濃くなりすぎて十分洗浄するこ
とができず、また、装置の材質選定がきわめて困難にな
る。一方、pHが5を越える場合は酸濃度がうすくなりす
ぎて十分洗浄することができない。
【0018】図2は、本発明の方法の他の実施例を示し
ている。本実施例は、比重選別工程からの低灰分炭を、
ボールミル、ロッドミルなどの低灰分炭湿式粉砕機20
に導入して予め湿式粉砕した後、第2湿式粉砕工程へ導
入する低灰分炭湿式粉砕工程を設けたものである。
【0019】図3は、本発明の方法の他の実施例を示し
ている。本実施例の方法は、図1における酸洗浄工程と
浮選工程とを入れ替えたもので、浮選工程からの脱灰炭
に酸又は酸性水を添加混合し、脱灰炭をpH5〜1の範囲
に調整して攪拌洗浄した後、この脱灰炭を第2湿式粉砕
工程に導入するものである。この場合の方法は、つぎの
(a)〜(e)の工程からなっている。 (a) 原料石炭を低灰分炭、中灰分炭及び高灰分炭に
比重選別する比重選別工程、(b) 比重選別された中
灰分炭を湿式粉砕して水スラリー化する第1湿式粉砕工
程、(c) 第1湿式粉砕工程からのスラリーに捕集剤
及び起泡剤を添加するとともに気体を吹き込んで浮選し
て脱灰する浮選工程、(d) 浮選工程からの脱灰炭に
酸又は酸性水を添加混合し、脱灰炭をpH5〜1の範囲に
調整して攪拌洗浄する酸洗浄工程、(e) 酸洗浄工程
からの脱灰炭及び前記比重選別工程からの低灰分炭に、
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系
単量体とスルホアルキル(メタ)アクリレート系単量体
とを必須原料単量体とする水溶性共重合体からなる分散
剤(A)と、ポリスチレンスルホン酸塩及びスチレン−
スチレンスルホン酸塩共重合体から選ばれた分散剤
(B)とを主成分とする分散剤、及び水を添加して湿式
粉砕し、固体濃度60重量%を越える脱灰石炭−水スラ
リーを得る第2湿式粉砕工程、 本発明において用いられる酸としては、塩酸、硝酸、酢
酸、硫酸などが用いられる。
【0020】図4は、本発明の方法のさらに他の実施例
を示している。本実施例は、比重選別工程からの低灰分
炭を、ボールミル、ロッドミルなどの低灰分炭の湿式粉
砕機20に導入して予め湿式粉砕した後、第2湿式粉砕
工程へ導入する低灰分炭湿式粉砕工程を設けたものであ
る。
【0021】上記の本発明の方法において、前記分散剤
(A)と分散剤(B)との添加割合を、A/B=1/2
0〜10/1の範囲とするのが好ましい。A/Bが1/
20未満又は、A/Bが10/1を越える場合は、満足
な効果を奏することができない。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例に基づいて
さらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限
定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲にお
いて、適宜変更して実施することが可能なものである。 実施例1 表1に示す性状の中国炭について、原炭を従来の浮選法
により脱灰処理を行った処理炭(比較例2)、本発明に
よるpH=4.0の酸性水(塩酸水)により洗浄した後浮
選処理を行った脱灰処理炭及び原炭(比較例1)の性状
を比較した。供試中国炭はCaの含有率が高く、高濃度
石炭水スラリーを製造する場合、溶解するCa2+イオン
によって分散剤の作用が阻害され、分散剤の添加率が石
炭に対して0.9wt%必要であり、経済性を低下させる
要因となっている。
【0023】
【表1】
【0024】本実施例における酸性水による洗浄と浮選
法による処理の方法及び条件は、つぎの通りである。 (1) 原料石炭を粗粉砕した後、四塩化炭素−ベンゼ
ン混合比重液を使用し、比重1.20−1.50の範囲
で3段階に分離した。分離した比重1.20〜1.30
の石炭を低灰分炭、比重1.30〜1.40の石炭を中
灰分炭、比重1.40〜1.50の石炭を高灰分炭とし
た。 (2) 中灰分炭を200mesh以下50重量%に粉砕し
た50重量%の石炭水スラリー2kgに水を混合し10重
量%のスラリーを調製した。 (3) 上記スラリーを攪拌層内で攪拌しながら塩酸を
添加しpH=4に調整した。 (4) 塩酸添加後20分間攪拌を続けた後、全量浮選
機に移し、これに捕集剤のケロシンを10g 、起泡剤の
MIBC(メチルイソブチルカルビノール)を1g 添加
し、これに空気を吹き込まずに10分間攪拌混合した
後、空気を吹き込みながら気泡を発生させ10分間浮選
を行い、オーバーフローする脱灰炭(フロス)を回収し
た。 (5) 回収した脱灰炭と(1)で分離した低灰分炭と
を混合し、これに所定のスラリー濃度となるよう水を加
え、さらにポリスチレンスルホン酸ナトリウム系分散剤
とポリ(メタ)アクリル酸系分散剤を1/1の重量比で
混合した添加剤(分散剤)を有効成分基準で固形分に対
して0.6重量%添加し、これを湿式ボールミルで湿式
粉砕し、200mesh pass(メッシュ通過)82wt%、
固形分濃度65重量%の石炭水スラリーを調製した。こ
のときのスラリーの性状を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】比較例1 原炭に分散剤(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)を
石炭に対して0.9重量%添加し、水を添加して湿式粉
砕し、200mesh pass 80%、固形分濃度61重量
%の石炭水スラリーを調製した。このときのスラリーの
性状を表2に示す。
【0027】比較例2 つぎの処理方法及び処理条件で浮選処理炭のスラリーを
調製した。 (1) 原炭を200mesh以下50重量%に湿式粉砕し
た50重量%の石炭水スラリー2kgに水を混合し10重
量%のスラリーを調製した。 (2) 次に起泡剤としてMIBC(メチルイソブチル
カルビノール)を1g と捕集剤としてケロシンを10g
添加し、空気を吹き込まずに10分間攪拌混合した後、
空気を吹き込み気泡を発生させて10分間浮選を行い、
オーバーフローする石炭分の水スラリー(フロス)を回
収した。 (3) ついで浮選機に空気を導入して10分間浮選を
行った。 (4) 浮選処理の際に回収したフロスを加圧ろ過し、
処理炭を得た。 (5) 回収した処理炭に分散剤(ポリスチレンスルホ
ン酸ナトリウム)を石炭に対して0.7重量%添加し、
湿式粉砕し、200mesh pass 81wt%、固形分濃度
62重量%の石炭水スラリーを調製した。
【0028】原料炭水スラリー(比較例1)、従来の浮
選処理炭の水スラリー(比較例2)及び本発明による酸
性水での洗浄処理後浮選処理した後の処理炭の水スラリ
ー(実施例1)の分析結果を表2に比較して示す。従来
の浮選処理炭の場合、溶出するCa2+,Mg2+イオン量
は原炭と比較し低下したが、本発明の酸性水による洗浄
後浮選処理を行った処理炭は、Ca2+,Mg2+などのア
ルカリ土類元素がさらに大幅に低下した。さらに、スラ
リーの粘度がほぼ同レベルであることから、本発明の方
法による石炭水スラリーが最も高濃度化できており、ま
た凝集沈降量が低減していることから安定性も改善され
ていることが確認できた。
【0029】実施例2 実施例1で得られた酸性水による洗浄処理後浮選処理を
行った処理炭と、従来の浮選処理炭及び原炭とを用いて
高濃度石炭水スラリーを調製し、到達濃度(25℃、1
0poise となる濃度) 及び分散剤の必要添加率を比較し
た。調製方法はつぎの通りであった。
【0030】(1) 本発明(実施例2)の方法 中灰分炭を酸性水(塩酸水)による洗浄後浮選処理を行
った処理炭の場合、実施例1に示した方法によって得ら
れた処理炭に対し、30重量%の低灰分炭を加え、さら
に、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム系分散剤とポリ
(メタ)アクリル酸系分散剤とを2/1(重量比)で配
合した添加剤及び水を所定量添加した後、ボールミルで
湿式粉砕し、ミルより取り出したスラリーをホモミキサ
ーにより3000rpm で10分間高速攪拌し、高濃度石
炭水スラリーを製造した。 (2) 従来の浮選処理炭の場合 中灰分炭を従来の浮選法により処理した脱灰炭に対し3
0重量%の低灰分炭を加え、さらに、所定の割合のポリ
スチレン系分散剤及び水を加え、ボールミルで湿式粉砕
した後、ホモミキサーにより3000rpm で10分間高
速攪拌し、高濃度石炭水スラリーを製造した。 (3) 原炭の場合 石炭を予め3mm以下に粗粉砕した後、所定の割合の水及
びポリスチレン系分散剤を添加し、ボールミルにより湿
式粉砕した後、上記スラリーをホモミキサーにより30
00rpm で10分間高速攪拌し、高濃度石炭水スラリー
を製造した。
【0031】以上の方法により製造した本発明の方法に
よる処理炭(実施例2)、従来の浮選処理炭及び原炭の
高濃度石炭水スラリー製造性を表3に示す。また、石炭
濃度と粘度との関係、及び分散剤添加率と粘度との関係
を図5、図6に示す。図5は、各洗浄処理によるスラリ
ー高濃度化性の向上に関する比較を示している。供試炭
として表1に示す石炭を用い、粒度は200メッシュ通
過(mesh pass)78〜82%の場合である。線(1)
は、ポリスチレンスルホン酸系の分散剤とポリ(メタ)
アクリル酸系の分散剤とを重量比(w /w )で2:1と
なるように合計で0.6wt%添加した本発明の方法によ
るものであり、線(2)は、ポリスチレンスルホン酸系
の分散剤のみを0.7wt%添加した比較例であり、線
(3)は、ポリスチレンスルホン酸系の分散剤を0.9
wt%添加した比較例を示している。
【0032】また、図6は、各洗浄処理による分散剤低
減効果を示している。供試炭として表1に示す石炭を用
い、石炭濃度は61〜65wt%、粒度は200メッシュ
通過(mesh pass)78〜82%の場合である。線
(1)は、ポリスチレンスルホン酸系の分散剤とポリ
(メタ)アクリル酸系の分散剤とを重量比(w /w )で
2:1となるように添加し、スラリー濃度を65wt%と
した本発明の方法によるものである。線(2)は、ポリ
スチレンスルホン酸系の分散剤のみを添加し、スラリー
濃度63wt%とした比較例である。線(3)は、ポリス
チレンスルホン酸系の分散剤のみを添加し、スラリー濃
度61wt%とした比較例である。本発明による方法で
は、到達濃度が原炭に比べ4重量%、スラリー単位重量
当りの発熱量が約11%向上し、分散剤必要添加率が5
0%低減でき、また製品スラリーの安定性も改善でき
た。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 (1) 製品石炭水スラリーのレオロジーを適切な範囲
にコントロールすることができ、安定性の優れた脱灰炭
石炭水スラリーを製造することができる。 (2) 酸洗浄工程を設ける場合は、Ca,Mg,F
e,Na,Kなどの元素を選択的に除去することができ
るので、分散剤添加量を低減することができ、かつ、製
品スラリーの到達濃度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱灰高濃度石炭水スラリーの製造方法
の一実施例を示す工程説明図である。
【図2】本発明の方法の他の実施例を示す工程説明図で
ある。
【図3】本発明の方法の他の実施例を示す工程説明図で
ある。
【図4】本発明の方法のさらに他の実施例を示す工程説
明図である。
【図5】実施例2における石炭濃度と粘度との関係を示
すグラフである。
【図6】実施例2における分散剤添加率と粘度との関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
10 比重選別機 12 第1湿式粉砕機 14 酸洗浄槽 16 浮選機 18 第2湿式粉砕機 20 低灰分炭湿式粉砕機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊森 義高 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 つぎの(a)〜(d)の工程、すなわ
    ち、(a) 原料石炭を低灰分炭、中灰分炭及び高灰分
    炭に比重選別する比重選別工程、(b) 比重選別され
    た中灰分炭を湿式粉砕して水スラリー化する第1湿式粉
    砕工程、(c) 第1湿式粉砕工程からのスラリーに捕
    集剤及び起泡剤を添加するとともに気体を吹き込んで浮
    選して脱灰する浮選工程、(d) 浮選工程からの脱灰
    炭及び前記比重選別工程からの低灰分炭に、ポリアルキ
    レングリコールモノ(メタ)アクリレート系単量体とス
    ルホアルキル(メタ)アクリレート系単量体とを必須原
    料単量体とする水溶性共重合体からなる分散剤(A)
    と、ポリスチレンスルホン酸塩及びスチレン−スチレン
    スルホン酸塩共重合体から選ばれた分散剤(B)とを主
    成分とする分散剤、及び水を添加して湿式粉砕し、固体
    濃度60重量%を越える脱灰石炭−水スラリーを得る第
    2湿式粉砕工程、とを包含することを特徴とする脱灰高
    濃度石炭水スラリーの製造方法。
  2. 【請求項2】 つぎの(a)〜(e)の工程、すなわ
    ち、(a) 原料石炭を低灰分炭、中灰分炭及び高灰分
    炭に比重選別する比重選別工程、(b) 比重選別され
    た中灰分炭を湿式粉砕して水スラリー化する第1湿式粉
    砕工程、(c) 第1湿式工程からのスラリーに酸又は
    酸性水を添加混合し、スラリーをpH5〜1の範囲に調整
    して攪拌洗浄する酸洗浄工程、(d) 酸洗浄工程から
    のスラリーに捕集剤及び起泡剤を添加するとともに気体
    を吹き込んで浮選して脱灰する浮選工程、(e) 浮選
    工程からの脱灰炭及び前記比重選別工程からの低灰分炭
    に、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレー
    ト系単量体とスルホアルキル(メタ)アクリレート系単
    量体とを必須原料単量体とする水溶性共重合体からなる
    分散剤(A)と、ポリスチレンスルホン酸塩及びスチレ
    ン−スチレンスルホン酸塩共重合体から選ばれた分散剤
    (B)とを主成分とする分散剤、及び水を添加して湿式
    粉砕し、固体濃度60重量%を越える脱灰石炭−水スラ
    リーを得る第2湿式粉砕工程、とを包含することを特徴
    とする脱灰高濃度石炭水スラリーの製造方法。
  3. 【請求項3】 つぎの(a)〜(e)の工程、すなわ
    ち、(a) 原料石炭を低灰分炭、中灰分炭及び高灰分
    炭に比重選別する比重選別工程、(b) 比重選別され
    た中灰分炭を湿式粉砕して水スラリー化する第1湿式粉
    砕工程、(c) 第1湿式粉砕工程からのスラリーに捕
    集剤及び起泡剤を添加するとともに気体を吹き込んで浮
    選して脱灰する浮選工程、(d) 浮選工程からの脱灰
    炭に酸又は酸性水を添加混合し、脱灰炭をpH5〜1の範
    囲に調整して攪拌洗浄する酸洗浄工程、(e) 酸洗浄
    工程からの脱灰炭及び前記比重選別工程からの低灰分炭
    に、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレー
    ト系単量体とスルホアルキル(メタ)アクリレート系単
    量体とを必須原料単量体とする水溶性共重合体からなる
    分散剤(A)と、ポリスチレンスルホン酸塩及びスチレ
    ン−スチレンスルホン酸塩共重合体から選ばれた分散剤
    (B)とを主成分とする分散剤、及び水を添加して湿式
    粉砕し、固体濃度60重量%を越える脱灰石炭−水スラ
    リーを得る第2湿式粉砕工程、とを包含することを特徴
    とする脱灰高濃度石炭水スラリーの製造方法。
  4. 【請求項4】 比重選別工程からの低灰分炭を湿式粉砕
    した後、第2湿式粉砕工程へ導入する低灰分炭湿式粉砕
    工程を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載
    の脱灰高濃度石炭水スラリーの製造方法。
  5. 【請求項5】 分散剤(A)と分散剤(B)との添加割
    合が、A/B=1/20〜10/1の範囲であることを
    特徴とする請求項1、2、3又は4記載の脱灰高濃度石
    炭水スラリーの製造方法。
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