JP2571219Y2 - パンチリテーナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はパンチリテーナに関す
る。

【０００２】

【従来の技術及びその技術的課題】プレス打抜き加工用
の金型において、パンチリテーナにパンチを挿着し、そ
のパンチリテーナを上型(ダイシューやベース)にボルト
で固定することが行われている。その場合、パンチリテ
ーナはパンチと下型のダイブッシュの軸心とが正確に合
致しているように上型に固定することが必要である。上
型のボルト穴や位置決めピン穴は、ＮＣ工作機等の採用
によってかなり精度を高くすることが可能になったが、
種々の要因によりある程度の誤差の発生は避けがたく、
したがって、現合によってパンチリテーナの位置決め調
整が不可欠である。

【０００３】この方法として、特公昭５４−４０７９８
号公報には、パンチリテーナをダイブッシュの上に配し
て予めパンチとダイ穴とを芯合せし、パンチリテーナの
上面に接着剤を塗布し、上型を下降して圧着することで
接着剤によってパンチリテーナを仮止めし、次いで上型
を上昇させてボルトでパンチリテーナを締付けし、ノッ
クピンを打ち込む方法が提案されている。しかし、この
方法は、面倒な接着剤の塗布作業が必要であるととも
に、接着力が充分に発生するまで待っていなければなら
ないため作業性が悪く、特に一つの上型に多数のパンチ
を装着する場合に問題がある。また、パイチリテーナを
接着するため、ボルト締めとノックピンの打ち込みによ
ってパンチリテーナを固定した後、上型を下して芯合せ
が微妙に狂っていた場合に、パンチの位置修正が困難で
あるという問題があった。実開昭５８−１５７２２７号
公報にピアスポンチの軸線上の一点を回動中心として回
動できるリテーナにピアスポンチを摺動自在に支持させ
たはカムピアス装置が提案されているが、このものはピ
アスポンチの位置調整は可能であっても、その前提とな
るポンチとダイとの軸線が一致するか否かの判別や確認
には効果がなく、ストローク中に行なうことはできない
ので、煩雑な手間と時間を要することを避けられなかっ
た。またピアスポンチの位置調整後の芯合せ確認も簡単
に行なえず、芯合せが微妙に狂っていた場合に、パンチ
の位置修正が困難であるという問題があった。

【０００４】本考案は前記のような問題点を解消するた
めに考案されたもので、その目的とするところは、芯合
せの適否をパンチのストローク中に外部から簡単に視認
判定しながら、パンチとダイ穴との芯合せ、位置調整及
び固定を簡単に行うことができる実用的なパンチリテー
ナを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本考案は、ブロック状本体にパンチを挿脱可能に装着す
るパンチ挿入穴とブロック状本体を上型に固定するため
のボルトを挿通するボルト穴を設けたものにおいて、前
記パンチ挿入穴とボルト穴の近傍のブロック状本体に複
数の縦穴を間隔をおいて設け、それら各縦穴に、弾性体
とこれにより付勢されてブロック状本体上面からそれぞ
れ同長で突出し、要時に先端が前記上型に当接した状態
でブロック状本体上面と面一になるまで没入可能なプラ
ンジャピンとからなる芯合せ用治具を備えている構成と
したものである。

【０００６】

【実施例】以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明
する。図１と図２は本考案をつば付きパンチ用パンチリ
テーナに適用した実施例を示している。１はブロック状
本体であり、高さ方向にパンチ挿入穴１０を有し、この
パンチ挿入穴１０と異なる位置に少なくとも２本の座付
きボルト穴１１，１１を有している。この実施例では、
パンチ挿入穴１０は上面側に座穴１００を有している。
２はパンチであり、前記パンチ挿入穴１０に貫挿され、
上部のつば２０によって座穴１００に保持される。必要
に応じて、パンチ２にセンターノックピン用の穴が形成
されるか、あるいは、図示のように、つば上面にはバッ
キングプラグ２ａが重合され、これに設けたピン穴２０
０にノックピン２０１の下部を嵌め、上型に予め設けた
ピン穴にノックピンをはめることにより位置決めされ
る。４，４は前記座付きボルト穴１１，１１に貫挿され
るボルトであり、上型に予め設けためねじ穴にねじ込ま
れることでブロック状本体１を固定する。

【０００７】以上の構成は従来のパンチリテーナと同様
であるが、本考案は、ブロック状本体１に芯合せ用治具
５を設けている。この芯合せ用治具はブロック状本体１
の２個所以上(好ましくは３カ所以上)に配された複数本
の細いプランジャピン６と、これを常時ブロック状本体
１から上方に突出するようにそれぞれ付勢するコイルス
プリング７からなっており、コイルスプリング７はブロ
ック状本体１に内蔵され、プランジャピン６はそれぞれ
同等の突出長さを有している。この実施例では、パンチ
挿入穴１０と座付きボルト穴１１，１１のそれぞれの近
傍に２つずつ縦穴１２，１２を穿設しており、それら縦
穴１２，１２はおのおのブロック状本体１の上面に近く
段部を有し、その段部の中心から細いピン穴が伸びてい
る。プランジャピン６は前記細いピン穴に嵌まり、かつ
下部には、縦穴１２に摺動自在に嵌まるピストン６０を
有している。そして、穴１２の下端側にはプラグ８がね
じ込まれ、そのプラグ８とピストン６０との間にばね定
数の比較的弱いコイルスプリング７が配されている。図
３は治具５の別の実施例を示しており、筒状ケーシング
９にプランジャピン６とコイルスプリング７をアッセン
ブリーし、その筒状ケーシング９をめねじ付きの縦穴１
２に螺着したものである。

【０００８】なお、コイルスプリング７はすべてが同じ
ばね定数でもよいし、異なってていてもよい。また、コ
イルスプリングに代えてウレタンゴムなどを用いること
もできる。また、図１や図２は本考案の単なる一例であ
り、種々の形式や構造のパンチリテーナに適用すること
ができる。すなわち、ねじ付きノックピンを貫挿するピ
ン穴と、パンチ挿入穴に交差する回り止めピン挿入溝を
備えたつば付き異形状パンチ用のリテーナ、パンチ挿入
穴に斜めに通じる穴を持つボールロックパンチ用リテー
ナ、複数のパンチを装備できる集合リテーナ、ねじ止め
リテーナ、さらに、つばがなくシャンクのテーパ面によ
ってパンチを保持する形式のパンチリテーナなどあらゆ
るパンチリテーナに適用できる。

【０００９】

【実施例の作用】次に本考案によるパンチリテーナの使
用方法と作用を説明する。上型３にはＮＣ工作機などに
よってめねじ穴３１，３１やピン穴３０が加工されてい
る。下型１３にはボタンダイ１４が取付けられている。
この状態でパンチをパンチリテーナを介して上型３に締
付け固定するにあたっては、図４のように、パンチ２を
ブロック状本体１のパンチ挿入穴１０に貫挿保持させ
る。次に、ブロック状本体１の座付きボルト穴１１，１
１にボルト４，４を貫挿させ、そのボルト４，４を上型
３のめねじ穴３１，３１に軽くねじ込む。そのねじ込み
量は、ブロック状本体１を吊り持ちすることができ、か
つプランジャピン６，６の先端が上型３の下面に当接す
るだけの量が必要である。各プランジャピン６，６が同
長でかつコイルスプリング７，７で付勢されている。こ
のため、ボルト４，４の各頭部４０が座付きボルト穴１
１，１１の座部１１０に所定のセット荷重で当接し、か
つ、ブロック状本体１はプランジャピン６，６で姿勢が
補正され、上型３の下面と間隔ｈをおいて平衡度を保っ
て位置する。

【００１０】次に、プレスを作動して上型３を静かに下
降させる。そうすれば、ブロック状本体１は、パンチ２
を装着している状態で、ボルト４，４に吊られたまま下
降し、パンチ２の刃先２１がボタンダイ１４のダイ穴１
４０に差し込まれてゆく。このときに、パンチ２とダイ
穴１４０との軸芯が合致していれば、パンチ２はダイ穴
１４０に触れないため、パンチ２はスムーズに下降を続
け、持ち上げ力が働かない。すなわち、ブロック状本体
１と上型３との間隔ｈは図４のままである。したがっ
て、きわめて簡単に芯合せの適否を確認、判定すること
ができる。このように芯が合っている場合には、上型３
を上昇させたのち、ボルト４，４を回動し締め付ければ
よく、プランジャピン６，６はコイルスプリング７のば
ね力に抗してブロック状本体１と面一になるまで押し込
まれ、以後は緊張要素としてボルト４，４の緩みを防止
する。

【００１１】一方、下降時にパンチ２とダイ穴１４０と
の軸芯が合っていない場合には、パンチ２がダイ穴１４
０の壁と接触するためパンチ２に下降抵抗が生じ、それ
がブロック状本体１に伝達される。このため、図５のよ
うに、上型３によってプランジャピン６，６は押圧さ
れ、コイルスプリング７，７の付勢力に抗してブロック
状本体１に押し込まれる。これによって、ブロック状本
体１が上型３に対し接近する。したがって、パンチ２と
ダイ穴１４０との軸芯が合っているかどうかを外部から
瞬時に判別したり確認したりすることができる。そし
て、上記のようにパンチ２とダイ穴１４０との軸芯が合
っていないときには、上型３をいったん上昇させる。座
付きボルト穴１１，１１はねじなしの穴であり、ボルト
４，４外径との間にクリアランスがあるため、そのクリ
アランス内でブロック状本体１をずらし、あるいは、ボ
ルト４，４を中心としてブロック状本体１を垂直面内で
動かして位置を調整し、再度上型３を下降させる。この
ストローク中に、ブロック状本体１と上型３との間隔ｈ
が図４の状態のままであれば、パンチ２とダイ穴１４０
との軸芯が合っていることであるから、前記したように
そのままボルト４，４を締付ければよい。したがって、
簡単に正確な芯合せ状態でパンチリテーナを上型に固定
することができる。

【００１２】以上のことから、本考案を適用した場合、
パンチ２のセンターノックピンを省略することが可能に
なるが、センターノック方式を適用する場合には、芯合
せ時または芯合せ後に、バッキングプラグ２ａのピン穴
２００にノックピン２０１の下部を嵌め、そのノックピ
ン２０１の上部を上型のピン穴３０に嵌めればよい。

【００１３】

【考案の効果】以上説明した本考案によるときには、ブ
ロック状本体１にパンチを挿脱可能に装着するパンチ挿
入穴１０とブロック状本体１を上型３に固定するための
ボルト４を挿通するボルト穴１１を設けたものにおい
て、前記パンチ挿入穴１０とボルト穴１１の近傍のブロ
ック状本体１に複数の縦穴１２を間隔をおいて設け、そ
れら各縦穴１２に、弾性体７とこれにより付勢されてブ
ロック状本体上面からそれぞれ同長で突出し、要時に先
端が前記上型３に当接した状態でブロック状本体上面と
面一になるまで没入可能なプランジャピン６，６とから
なる芯合せ用治具を備えているので、パンチ挿入穴１０
にパンチ２を装着し、プランジャピン６，６の先端が上
型３の下面に当接するようにボルト穴１１からボルト４
を上型３に軽くねじ込むことによりブロック状本体１が
上型３の下面と間隔ｈをおきつつ平衡度持って対峙する
ことになり、したがって、プレスを作動して上型３を下
降ストロークしながら、前記間隔ｈを外部から視認する
（パンチ２とダイ穴の軸芯が合致していないとプランジ
ャピン６，６が弾性体７の付勢力に抗してブロック状本
体１内に押し込まれ、ブロック状本体１が上型３の下面
に接近する）ことによりパンチ２とダイ穴の軸芯が合致
しているか否かを瞬時に確認、判定することができ、位
置調整後も上型３をストロークして前記間隔ｈを外部か
ら視認することにより芯合せの再確認を行なえる。した
がって、ダイ穴との芯合せと調整作業を簡単、迅速に行
なえ、また正確な芯合せ状態でパンチリテーナを上型に
固定することができる。さらに、芯合せ後ボルト４によ
りブロック状本体１を上型３に接触固定させれば、プラ
ンジャピン６，６は弾性体７，７の付勢力に抗してブロ
ック状本体１と面一になるまで押し込まれるため、緊張
要素としてボルト４の緩みを防止することができ、しか
も構造が簡単で安価に実施できるなどのすぐれた効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるパンチリテーナの一実施例を示す
斜視図である。

【図２】本考案によるパンチリテーナの一実施例を示す
部分切欠側面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す部分的断面図であ
る。

【図４】本考案の使用状態を示す断面図である。

【図５】心が合っていないときのパンチリテーナの状態
を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ブロック状本体 ２ パンチ ３ 上型 ４ ボルト ６ プランジャピン ７ 弾性体 １０ パンチ挿入穴 １１ 座付きボルト穴 １２ 縦穴

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ブロック状本体１にパンチを挿脱可能に装
   着するパンチ挿入穴１０とブロック状本体１を上型３に
   固定するためのボルト４を挿通するボルト穴１１を設け
   たものにおいて、前記パンチ挿入穴１０とボルト穴１１
   の近傍のブロック状本体１に複数の縦穴１２を間隔をお
   いて設け、それら各縦穴１２に、弾性体７とこれにより
   付勢されてブロック状本体上面からそれぞれ同長で突出
   し、要時に先端が前記上型３に当接した状態でブロック
   状本体上面と面一になるまで没入可能なプランジャピン
   ６，６とからなる芯合せ用治具を備えていることを特徴
   とするパンチリテーナ。