JP2568966Y2 - 液圧プレスの油圧駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ＦＲＰプレス、深絞り
プレス、鍛造プレス等の液圧プレスの油圧駆動装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】通常、液圧プレスでは、その加圧成形時
および高速上昇時に最もエネルギ−を消費する。そし
て、近年のプレスの高速化にともなって、加圧速度や上
昇速度のスピ−ドアップが要求され、より大容量の油圧
ポンプが設置されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、プレス成形に
おける加圧下降や高速上昇の時間は、１サイクル中の極
めて短時間であり、このために大型、大容量の油圧ポン
プ、電動機を設置するのは無駄が多く、経済的でない。

【０００４】そのため、油圧回路の一部にアキュムレ−
タ−を接続して油圧ポンプの補助をはかって省エネルギ
−を行なっている。しかし、これらのアキュムレ−タ−
はあくまで油圧ポンプの容量の不足分の補充をはかるも
ので、油圧ポンプはなお大容量であり、ポンプユニット
の騒音も大きく、エネルギ−ロスも多いものであった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記のような
点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、上金
型、下金型間に装填した成形材料をスライドを介して加
圧する主シリンダーと、加圧に先立って上記スライドを
高速下降して上金型を下金型に近接するアプローチシリ
ンダーと、加圧成形後にスライドを高速上昇する上昇シ
リンダーを具備してプレス成形するようにした液圧プレ
スにおいて、上記加圧工程の油圧回路に高圧の加圧容量
に足る加圧用アキュムレーターを電磁比例式流量調整弁
を介して接続し、上記高速下降工程の油圧回路に大流量
のアプローチ容量に足るアプローチ用アキュムレーター
を電磁比例式流量調整弁を介して接続し、上記高速上昇
工程の油圧回路に大流量の上昇用容量に足る上昇用アキ
ュムレーターを接続するとともに、小容量の油圧ポンプ
で上記各工程用のアキュムレーターに油圧油を補給する
ようにし、上記各工程用の各アキュムレーターに上記油
圧ポンブから所定量の油圧油を供給するように油圧回路
形成して、高速下降するときに上記アプローチ用アキュ
ムレーターで電磁比例式流量調整弁を介してアプローチ
シリンダーを駆動制御するようにし、加圧するときに上
記加圧用アキュムレーターで電磁比例式流量調整弁を介
して主シリンダーを加圧制御するようにし、高速上昇す
るときに上記上昇用アキュムレーターで介して上昇シリ
ンダーを駆動制御するようにして、油圧制御自在に回路
形成したことを特徴とする液圧プレスの油圧駆動装置を
提供するにある。

【０００６】

【作用】本考案によれば、小容量の油圧ポンプで各プレ
ス工程の油圧シリンダーを作動する所要容量の各アキュ
ムレーターに油圧油を供給し、これらの各アキュムレー
ターによって各工程の油圧シリンダーを適正に作動でき
る。そのため、従来のように油圧ポンプを大型化するこ
となく、できるだけ小型の、小容量のものとして、無駄
なエネルギーを消費することなく、電力量を大輻に低減
でき、しかもポンプユニットの騒音もきわめて小さくで
きる。

【０００７】特に、上記所定のアキュムレーターをプレ
ス工程に対応して電磁比例式流量調整弁を制御して油圧
シリンダーを作動することによって、アキュムレーター
の蓄圧油を容易に所定の圧力や流量で流出できて、各油
圧シリンダーの所定作動を円滑に行なって、プレス形成
することができる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案を実施例にもとづいて説明す
る。図１、図２は、本考案の一実施例である。液圧プレ
ス１はＦＲＰプレス用の一例で、図１のように周知の油
圧プレス構造のスライド２に所定数の加圧用の主シリン
ダ−３を配設し、その両側部に高速下降用のアプロ−チ
シリンダ−４を配設して、スライド２を所定の位置まで
高速で下降してプレス成形できるようにしている。

【０００９】また、下部のベッド５には、図１のように
上昇シリンダ−６をベッド５の両側に配設し、上金型７
を下金型８から離型してスライド２を高速上昇できるよ
うに支持している。

【００１０】このように配設した主シリンダ−３の油圧
供給回路に、図１のように電磁比例式リリ−フ弁９、圧
抜弁１０、電磁比例式流量調整弁１１、パイロットオペ
レ−ト付きのチェック弁１２を接続して加圧油圧回路１
３を形成している。また、アプロ−チシリンダ−４の油
圧供給回路に、図１のように電磁比例式流量調整弁１
４、１５、パイロットオペレ−ト付きのチェック弁１
６、逆止弁１７、減圧弁１８を接続してアプロ−チ油圧
回路１９を形成している。さらに、上昇シリンダ−６の
油圧供給回路に、図１のようにパイロットオペレ−ト付
きのチェック弁２１、逆止弁２２、減圧弁２３を接続し
て離型を兼ねる上昇油圧回路２４を形成している。

【００１１】そして、図１のように上記した加圧油圧回
路１３に高圧の加圧容量に足るように加圧用アキュムレ
ーター２５を適宜数（図上２本）接続し、また上記アプ
ローチ油圧回路１９にも大流量のアプローチ容量に足る
ようにアプローチ用アキュムレーター２６を接続し、さ
らに上記離型を兼ねる上昇油圧回路２４にも大流量の上
昇用容量に足るように上昇用アキュムレーター２７を適
宜数（図上２本）接続し、これらのアキュムレーター２
５、２６、２７によって上記した各シリンダー３、４、
６を円滑に順次作動できるようにしている。

【００１２】そして、上記した各油圧回路１３、１９、
２４は図１のようにチェック弁２８、リリ−フ弁２９を
介して小型、小容量の高圧出力の油圧ポンプ３０に接続
し、油圧タンク３１からの作動油を上記したそれぞれの
各油圧回路１３、１９、２４の各アキュムレ−タ−２
５、２６、２７に供給して各油圧シリンダ−３、４、６
を駆動してプレス成形できるようにしている。

【００１３】なお、主シリンダ−３は、図１のように油
圧タンク３１にそれぞれプレフィル弁３２を介して接続
し、スライド２が高速下降した場合に主シリンダ−３内
に作動油を油圧タンク３１から直接補給して充満できる
ようにしている。また、図１のようにアプロ−チシリン
ダ−４についても、油圧タンク３１に逆止弁３３を介し
て接続し、工程切換する場合などに作動油を補給できる
ようにしている。

【００１４】しかして、油圧ポンプ３０で加圧用アキュ
ムレ−タ−２５、アプロ−チ用アキュムレ−タ−２６、
上昇用アキュムレ−タ−２７に油圧油をそれぞれ所定
量、所定圧に蓄圧して、アプロ−チ油圧回路１９のチェ
ック弁１６を開くと、アプロ−チ用アキュムレ−タ−２
６に蓄圧した油圧油が電磁比例式流量調整弁１４を通っ
てアプロ−チシリンダ−４に流れ、スライド２を押し下
げて、図２で示すように高速で下降していく。

【００１５】そして、スライド２が加圧開始位置に近づ
くと、電磁比例式流量調整弁１４を絞って減速してい
く。スライド２が加圧位置にくると加圧用のチェック弁
１２を開き、加圧用アキュムレ−タ−２５に蓄圧した油
圧油が主シリンダ−３に電磁比例式流量調整弁１１で流
量制御されながら流れ、図２のようにスライド２を所定
通りに下降して加圧していく。

【００１６】上金型７、下金型８内に投入した成形材料
を加圧後、加圧油圧回路１３のチェック弁１２およびア
プロ−チ油圧回路１９のチェック弁１６を閉じ、圧抜弁
１０で加圧油圧回路１３の圧力を抜く。

【００１７】次いで、離型を兼ねる上昇油圧回路２４の
チェック弁２１を開き、アプロ−チ油圧回路１９側の電
磁比例式流量調整弁１５で小流量の流量制御して離型を
行なった後、アプロ−チ油圧回路１９側の電磁比例式流
量調整弁１５で大流量の流量制御をしながら上昇用アキ
ュムレ−タ−２７に蓄圧の油圧油を上昇シリンダ−６に
流出し、スライド２を図２のように高速上昇し、上限で
電磁比例式流量調整弁１５を閉じてスライド２を停止す
る。このようにして、プレスの１サイクルが完了する。
なお、上記したスライド２の位置制御や加圧力の圧力制
御等は、公知の制御手段を介して行なえるものである。

【００１８】このように、プレス成形を、そのプレス工
程毎のアプローチ油圧回路、加圧油圧回路、上昇油圧回
路にそれぞれ配設したアキュムレーターや電磁比例式流
量調整弁によって、所定の各油圧シリンダーを所定の圧
力、流量で駆動することができ、大容量の電動機で駆動
される大吐出量の油圧ポンプを設置することなく、プレ
ス成形することができる。試算では、従来６００〜７０
０ｋｗ容量の電動機が必要であった油圧ポンプが、３０
〜５０ｋｗ位のものにすることができ、多大な省エネル
ギー効果がはかれるとともに、騒音も著しく低減でき
る。

【００１９】また、プレス成形の各工程毎に所定のアキ
ュムレーターや電磁比例式流量調整弁を設置するので、
アキュムレーターの蓄圧の最適状態で所定の圧力、流量
に油圧油をそれぞれ容易に調整できてプレス成形ができ
ることとなり、各工程の作動が円滑に行なえ、エネルギ
ー損の少ない効率的な運転が行なえるものである。

【００２０】上記では、離型を兼ねる上昇油圧回路をも
ったＦＲＰプレスについて説明したが、離型油圧回路と
上昇油圧回路を別個に設けたものにも適用でき、またス
ライドを平衡に支持する平衡支持装置を配設したものに
ついても適用できる。また、本装置は、ＦＲＰプレスや
樹脂シ−ト成形プレスなどのサイクルタイムの比較的長
いものに好ましいが、深絞りプレスや鍛造プレス等の液
圧プレスについても同様に適用することができる。

【００２１】

【考案の効果】以上のように本考案にあっては、液圧プ
レスの油圧ポンプをできるだけ小型化、小容量化するこ
とができるとともに、プレス成形の各工程毎に所定容量
のアキュムレーター、電磁比例式流量調整弁で所定の圧
力、流量で蓄圧油を流出できて、それぞれ順次円滑に作
動してプレス成形できて、油圧ポンプの電動機の容量を
従来の約１０分の１〜２０分の１に節約でき、エネルギ
ーの無駄な消費を防止できて、電力量を大輻に低減で
き、しかもポンプユニットの騒音もきわめて小さくでき
る。また、上記アキュムレーターを電磁比例式流量調整
弁で流量調整できるので、所要の加圧、アプローチ制御
を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の一部省略した概略説明用油
圧回路図、

【図２】同上のプレス成形サイクル線図。

【符号の説明】

１…液圧プレス ２…スライド ３
…主シリンダ− ４…アプロ−チシリンダ− ６…上昇シリンダ− ７
…上金型 ８…下金型 ２５…加圧用アキュムレ−タ
− ２６…アプロ−チ用アキュムレ−タ− ２７…高速上昇
用アキュムレ−タ−

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上金型、下金型間に装填した成形材料を
   スライドを介して加圧する主シリンダーと、加圧に先立
   って上記スライドを高速下降して上金型を下金型に近接
   するアプローチシリンダーと、加圧成形後にスライドを
   高速上昇する上昇シリンダーを具備してプレス成形する
   ようにした液圧プレスにおいて、 上記加圧工程の油圧回路に高圧の加圧容量に足る加圧用
   アキュムレーターを電磁比例式流量調整弁を介して接続
   し、上記高速下降工程の油圧回路に大流量のアプローチ
   容量に足るアプローチ用アキュムレーターを電磁比例式
   流量調整弁を介して接続し、上記高速上昇工程の油圧回
   路に大流量の上昇用容量に足る上昇用アキュムレーター
   を接続するとともに、小容量の油圧ポンプで上記各工程
   用のアキュムレーターに油圧油を補給するようにし、 上記各工程用の各アキュムレーターに上記油圧ポンプか
   ら所定量の油圧油を供給するように油圧回路形成して、
   高速下降するときに上記アプローチ用アキュムレーター
   で電磁比例式流量調整弁を介してアプローチシリンダー
   を駆動制御するようにし、加圧するときに上記加圧用ア
   キュムレーターで電磁比例式流量調整弁を介して主シリ
   ンダーを加圧制御するようにし、高速上昇するときに上
   記上昇用アキュムレーターで介して上昇シリンダーを駆
   動制御するようにして、油圧制御自在に回路形成したこ
   とを特徴とする液圧プレスの油圧駆動装置。