JP2566103Y2 - 複式筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業状の利用分野】本考案は、複数の筆記体の先端を
先軸先端口に於いて交互に出没自在とし、且つキャップ
後端から消しゴムを出没自在とした複式筆記具の提供に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、複式筆記具の一例としては、同出
願人による実開昭６４−３４９１号公報に見られるよう
に、２本の筆記体を案内する摺動溝を有して先軸に対し
固着されるガイド筒と、当該ガイド筒に嵌装される二本
の筆記体に取付けられた摺動コマに接するカム斜面を前
端部に有すると共に、後端はノック部となしてキャップ
に対し軸方向に移動自在に、且つ円周方向の回転は一体
となるよう装着された円筒カムを備え、先軸に対するキ
ャップの回転操作により二本の筆記体を先軸先端口に於
いて選択的に出没可能とした複式筆記具が存在する。
又、本願の引用例として、同出願人による実開昭６０−
１２０８８９号公報に見られるように、キャップ後端か
ら突出した天冠を回転させて消しゴムを出没させるよう
にした複式筆記具が存在する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記の引用例には、多
くの部位に金属部品が使用され、構造も複雑で、部品点
数も多くなりコスト高となる第１の問題点がある。又、
キャップの後端から突出した天冠が短い為に、指で摘み
にくく、消しゴムの出没操作がしずらいという第２の問
題点がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する為
に案出された本考案の複式筆記具は、樹脂製の先軸と樹
脂製の中軸の先方を互いに回転不能且つ抜け止め状態に
嵌着する係合部を夫々設けて両者を固定したこと。中軸
のガイド部に設けた複数の案内溝に摺動コマを後端に止
着した少なくとも一本をシャープペンシル筆記体とした
複数の筆記体をリターンスプリングを介して夫々前後動
自在に嵌装し、軸方向に変位するカム斜面を前端部に円
周状に設けた円筒カムとその後方に一体に延設した筒部
にスリットを設けた樹脂製のキャップをガイド部ならび
に中軸に被嵌して、キャップを中軸に対して回動且つ抜
け止め状態で軸推移可能に止着したこと。又、キャップ
の上記筒部のスリットの両側には突起と溝が交互に設け
られており、後方に消しゴムを止着した消しゴムホルダ
ーがその外周に設けた突起をスリットの溝に係脱可能に
嵌入して取付けられたことである。以上により、各摺動
コマを円筒カムのカム斜面に当接させることにより、先
軸又は中軸に対するキャップの回転によって各摺動コマ
を前後方向に交互に移動させて各筆記体の先端を先軸先
端口より選択的に出没自在と成し、シャープペンシルの
選択時にはキャップの後端をノックして芯を繰り出し、
キャップに対して消しゴムホルダーの外周に設けた突起
を前後動させて消しゴムをキャップの後端より出没させ
る。

【０００５】

【実施例】以下実施例を図面に基づき説明する。本考案
の複式筆記具はガイド部２を一体に備えた中軸１、先軸
３、円筒カム４を一体に備えたキャップ３１、一対の摺
動コマ５、５｀、シャープペンシル筆記体６、ボールペ
ン等筆記体７、消しゴムホルダー３６、消しゴム４１を
主な構成要素とする。先ず、中軸１は樹脂製で、図１に
示すように、略中央部から後端まで側面に開口した軸方
向に長い案内溝８とそれと反対側の側面に同様の案内溝
８｀を有したガイド部２が設けられている。ガイド部２
の前半部には、各案内溝８、８｀と連通して孔４２、４
２｀を有した仕切り部１５を備えて前端を開口した筒部
９が設けられ、筒部９の後端に段部３０を有して、段部
３０の前方外周部には膨出状の係合部１２が形成されて
いる。又、中軸１の後端孔１８の内壁には部分的又はリ
ング状の突起１７が形成され、後端には後述する円筒カ
ム４の回動範囲を規制する壁１９が設けられている。

【０００６】先軸３は、前方が先細状で、内孔部先端に
は内段部２６を有して先端口が設けられている。又、後
端孔には、前記ガイド筒の筒部９の外周部に設けられた
係合部１２と迎合して中軸１の筒部９と抜け止め且つ回
転止めされる係合溝１１が設けられている。尚、筒部９
と先軸２は適宜な力で着脱可能に固定される。（実開昭
６４−３４９１号公報の先軸の構成と同じ）

【０００７】キャップ３１は樹脂製で、先端に円筒カム
４を一体に有している。円筒カム４は筒状を成し、前端
縁に円周状に前後に変位するカム斜面１３を有し、カム
斜面１３の最前端部には切欠１４が形成されている。
又、側面には前記中軸１の突起１７を弾性的に乗り越え
て中軸１に抜け止めする部分的又はリング状の突起１６
が形成され、円筒カム４の後端には前記中軸の壁１９と
当接して略１８０゜に回動規制するリブ２０が設けられ
ている。

【０００８】ところで、キャップ３１は前記円筒カム４
の後方に延設した筒部を有し、筒部の側面にはスリット
３２が穿設され、スリット３２の両側には突起３３と溝
３４が交互に設けられている。又、筒部内には後端に消
しゴム４１を止着した消しゴムホルダー３６がその外周
に設けた係合突起３９を上記スリット３２の溝３４に係
脱可能に嵌入させて取付けられている。係合突起３９は
消しゴムホルダー３６の側面に設けた弾性片３８の先端
に形成され、摺動と共に溝３４に弾性変位しながら係合
して消しゴム４１の突出状態を保持する。又、係合突起
３９の中央をやや突出させて操作突起４０と成し、操作
突起４０を押圧前後動させて係合突起３９と溝３４との
係合を解除させながら消しゴムホルダー３６を移動可能
とする。又、上記筒部の後端には天冠３５が固着され
る。

【０００９】摺動コマ５は、外面に突起２１を有して、
突起２１の後端面には中央部が突出してその両側が前述
した円筒カム４のカム斜面１３と略同勾配のカム斜面を
有している。又、芯パイプ２２のフランジ部２３に当接
して、芯パイプ２２の後方を長く突出して嵌着する孔が
設けられている。又、摺動コマ５｀は摺動コマ５と同様
に突起２１｀とカム斜面を有し、先端にはボールペン等
筆記体７の後端を止着する係止部２５が設けられてい
る。尚、係止部はパイプ状に成して筆記体の後端を嵌着
することも可能である。

【００１０】シャープペンシル筆記体６は、一般的なチ
ャック機構を内蔵し、後端にチャック機構と連結した継
手２８を介して芯パイプ２２に接合し、芯パイプ２２の
後方に設けたフランジ部２３に当接して摺動コマ５が嵌
着され、摺動コマ５の後端から突出した芯パイプ２２の
後端孔は尾栓２４等で閉塞されている。芯の繰り出し
は、シャープペンシル筆記体６の先端段部２７が先軸２
の内段部２６に当接した状態で、摺動コマ５の軸推移に
よりチャックを移動して行われる。

【００１１】次に、組立順序で説明すると、シャープペ
ンシル筆記体６、ボールペン等筆記体７は後端に夫々の
摺動コマ５、５｀を接続させて、前述の中軸のガイド部
２の各案内溝８、８｀に移動自在に嵌装され、各摺動コ
マ５、５｀の前端面と案内溝８、８｀前面の仕切り部１
５との間に介装したリターンスプリング２９、２９｀に
より後方へ附勢される。キャップ３１は円筒カム４を中
軸１の後端孔１８に弾性的に嵌入させて、中軸１に対し
て円周方向に略１８０゜で回転自在且つ抜け止めして止
着される。又、シャープペンシル筆記体６が突出した状
態で、キャップ３１は中軸１に対して芯繰り出しに必要
なストローク分軸推移可能と成され、筆記体の収納時又
はボールペン等筆記体７の突出した状態で、リブ２０が
中軸の後端に当接して軸推移を不可と成される。各摺動
コマ５、５｀は常時リターンスプリング２９、２９｀に
よって後方へ附勢されているので、常にその突起２１、
２１｀のカム斜面を円筒カム４のカム斜面１３に接触し
た状態を保っている。

【００１２】又、中軸１の段部３０の前面に先軸３の後
端面が当接状態で、筒部９の係合部１２が先軸３の係合
溝１１に弾性的に嵌着して、先軸３と中軸１が回転止め
且つ抜け止め状態に固定される。尚、先軸３は、適宜な
力で着脱可能になっている。この状態で、先軸３又は中
軸１に対してキャップ３１を一方に回転すると、摺動コ
マ５が前進して円筒カム４のカム斜面１３の最前端の切
欠１４が一方のシャープペンシル筆記体６の摺動コマ５
の突起２１に係止して筆記先端部が先軸先端口から突出
状態になる。又、先軸３又は中軸１に対してキャップ３
１を他方に回転すると、摺動コマ５が後退してシャープ
ペンシル筆記体６の筆記先端部が先軸先端口から没入す
ると共に、摺動コマ５｀が前進して他方のボールペン等
筆記体７の筆記先端部が先軸先端口から突出する。

【００１３】一方、キャップ３１の筒部の後端から消し
ゴムホルダー３６を嵌装して、消しゴムホルダー３６の
突起３３を筒部に設けたスリット３２の溝３４に係合さ
せて消しゴムホルダー３６を筒部に対して摺動自在に成
している。又、筒部の後端に天冠３５が固着され、消し
ゴム４１は天冠３５後端の開口部から挿入されて、消し
ゴム４１の後端が消しゴムホルダー３６に止着される。
以上により、消しゴムホルダー３６を前後動させると消
しゴム４１が天冠３５の開口部から出没する。尚、天冠
３５の開口部の内径は消しゴム４１の外径より僅かに大
きく設けられている。

【００１４】

【作用】先軸３又は中軸１に対してキャップ３１を一方
に回転すると、図１に示すように円筒カム４のカム斜面
１３の先端に設けた切欠１４が一方のシャープペンシル
筆記体６の摺動コマ５と係合してその筆記先端部を先軸
先端口から突出する。この時キャップ３１のリブ２０が
中軸１後端の壁１９に当接している。この状態で天冠３
５の後端をノックして軸推移すると、その動作が摺動コ
マ５、芯パイプ２２、シャープペンシル筆記体６に伝達
され、筆記先端部の段部２７が先軸３の内段部２６に当
接した状態から継手２８と共にチャックが軸推移して芯
が繰り出される。又、先軸３又は中軸１に対してキャッ
プ３１を他方に回転すると、シャープペンシル筆記体６
が後退し、代わりにボールペン等筆記体７の筆記先端部
が先軸先端口から突出する。

【００１５】次に、キャップ３１に対して消しゴムホル
ダー３６の操作突起４０を押圧後退させると、係合突起
３９がスリット３２の溝３４から離脱して移動するの
で、徐々に消しゴムホルダー３６が後退して、消しゴム
４１が天冠３５の開口部から繰り出される。又、操作突
起４０を押圧前進させると消しゴムホルダー３６が前進
し、それと共に消しゴム４１が天冠３５の開口部から没
入する。

【００１６】

【考案の効果】本考案は以上のように、先軸、ガイド部
を一体に備えた中軸、円筒カムを一体に備えたキャップ
を樹脂成形品として、中軸に先軸及びキャップと接合す
る係合部を一体的に設け、キャップ後方の筒部に突起と
溝を交互に備えたスリットを形成して筒部内に嵌装した
消しゴムホルダーの突起をスリットの溝に係合するよう
に構成したことで、従来の引用例に対して金属部品が樹
脂に代替され、部品数が減少する。又、組立が容易とな
るのでコスト低減が達成されて安価に製品の提供が可能
となる。又、操作突起を前後動可能に設けたことで、消
しゴム繰り出しの操作がし易く使い勝手が良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す全体の要部透視の縦断面
図である。

【符号の説明】

１ 中軸 ２ ガイド部 ３ 先軸 ４ 円筒カム ５ 摺動コマ ５｀ 摺動コマ ６ シャープペンシル筆記体 ７ ボールペン等筆記体 ８ 案内溝 ８｀ 案内溝 ９ 筒部 １０ ノックスプリング １１ 係合溝 １２ 係合部 １３ カム斜面 １４ 切欠 １５ 仕切り部 １６ 突起 １７ 突起 １８ 後端孔 １９ 壁 ２０ リブ ２１ 突起 ２１｀ 突起 ２２ 芯パイプ ２３ フランジ部 ２４ 尾栓 ２５ 係止部 ２６ 内段部 ２７ 段部 ２８ 継手 ２９ リターンスプリング ２９｀ リターンスプリング ３０ 段部 ３１ キャップ ３２ スリット ３３ 突起 ３４ 溝 ３５ 天冠 ３６ 消しゴムホルダー ３７ 嵌合部 ３８ 弾性片 ３９ 係合突起 ４０ 操作突起 ４１ 消しゴム ４２ 孔 ４２｀ 孔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 樹脂製の先軸と樹脂製の中軸の先方を互
   いに回転不能且つ抜け止め状態に嵌着する係合部を夫々
   設けて両者を固定し、中軸に設けたガイド部の複数の案
   内溝に、摺動コマを後端に止着した少なくとも一本をシ
   ャープペンシル筆記体とした複数の筆記体をガイド部と
   摺動コマとの間にリターンスプリングを附勢して、夫々
   軸方向に前後動自在に嵌装し、軸方向に変位するカム斜
   面を前端部に円周状に設けた円筒カムとその後方に一体
   に延設した筒部にスリットを設けた樹脂製のキャップを
   ガイド部ならびに中軸に被嵌して、キャップを中軸に対
   して回動且つ抜け止め状態で軸推移可能に止着し、又、
   キャップの上記筒部のスリットの両側には突起と溝が交
   互に設けられており、後方に消しゴムを止着した消しゴ
   ムホルダーがその外周に設けた突起を上記スリットの溝
   に係脱可能に嵌入させて取付けられ、以上により、各摺
   動コマを円筒カムのカム斜面に当接させることにより、
   先軸又は中軸に対するキャップの回転によって各摺動コ
   マを前後方向に交互に移動させて各筆記体の先端を先軸
   先端口より選択的に出没自在と成し、シャープペンシル
   の選択時にはキャップの後端をノックして芯の繰り出し
   を可能とし、キャップに対して消しゴムホルダーの外周
   に設けた突起を前後動させて消しゴムをキャップの後端
   から出没自在としたことを特徴とする複式筆記具。