JP2564618Y2 - 圧力容器用永久磁石式安全弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、真空溶解炉、圧力試験器、圧力鍋等の圧力
容器に用いる圧力容器用永久磁石式安全弁に関する。

（考案の概要） 本考案は、真空溶解炉、圧力試験器、圧力鍋等の圧力
容器に用いる永久磁石式安全弁であって、永久磁石の磁
気吸引力を利用して弁体を吸着保持する構造を採用する
ことにより、異常発生時に圧力容器内部を大気圧まで下
げることができ、なおかつ容易に再使用可能な構造とし
たものである。

（従来の技術） 第４図及び第５図は第１従来例であって、圧力容器用
スプリング式安全弁を示す。これらの図において、圧力
容器壁10に固定されたフランジ付き筒部１の開口を閉塞
する如く弁体２が配置され、この弁体２は伸長スプリン
グ３によりフランジ付き筒部１の先端面に気密に圧接す
るように取り付け、付勢されている。

圧力容器内の圧力が正常値であれば、第４図の如く弁
体２はフランジ付き筒部１の開口を気密に閉じた状態で
あるが、何等かの異常により圧力容器内の圧力が異常に
高くなると、第５図の如く容器内側の圧力により弁体２
が押されて開き、開口より内部の流体（気体、液体、粉
体等）が放出される。

第６図及び第７図は第２従来例であって、圧力容器用
薄膜式（破壊板式）安全弁を示す。これらの図におい
て、圧力容器壁10に設けた開口４に対しこれを気密に閉
塞する金属製薄膜５が設けられている。この金属製薄膜
５は容器内側に向かって凸面となるように予め形成され
ている。また、圧力容器外側の薄膜５の背後にはナイフ
６が配置されている。

圧力容器内部の圧力が正常の範囲内であれば、第６図
の如く金属製薄膜５は内側に凸の状態を保っている。一
方、圧力容器内部が異常に高くなった場合には金属製薄
膜５が内側に凸の状態を保持できず、内部の圧力に押さ
れて外側に向いた凸面となり、第７図の如くナイフ６で
突き破られた状態となる。この結果、薄膜５が破られて
形成された穴７から容器内部の流体が放出され容器内部
は大気圧まで下がることになる。

（考案が解決しようとする課題） ところで、第４図及び第５図の第１従来例のスプリン
グ安全弁では、圧力容器内の圧力が少し下がるとスプリ
ング３の作用により弁体２が自動的に閉じてしまうた
め、容器内は大気圧まで下がることができず危険であ
る。

一方、第６図及び第７図の第２従来例である薄膜式安
全弁は、容器内部を大気圧まで下げることができるが、
一旦開いた後は再使用できず、薄膜５の交換等の手間が
かかる不都合があった。

本考案は、上記の点に鑑み、一旦開いた後は容器内部
を大気圧まで下げることが可能であり、かつまた再使用
可能な構造とした圧力容器用永久磁石式安全弁を提供す
ることを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、圧力容器壁に
設けられて該圧力容器壁内側と連通するフランジ付き筒
部と、該フランジ付き筒部の先端面に固定された永久磁
石と、該永久磁石の先端側磁極で吸着されて前記フラン
ジ付き筒部の開口を気密に閉塞する磁性体の弁体と、前
記フランジ付き筒部に係合自在で前記弁体に固定される
穴あきのカバー部材と、前記弁体を前記フランジ付き筒
部の先端面から離間する向きに付勢するスプリングとを
備え、前記カバー部材の少なくとも一部が前記弁体の離
間時に前記永久磁石の先端側磁極の反対側となる背後側
磁極に吸引される磁性体部となっている。

（作用） 本考案の圧力容器用永久磁石式安全弁においては、圧
力容器内部の圧力が異常に高まった場合には永久磁石に
より開口を閉じるように吸着されていた磁性体の弁体が
永久磁石から離れて開口を開き容器内部を大気圧まで下
げることができる。また、この弁体の開放状態は該弁体
を離間方向に付勢するスプリングの作用及びカバー部材
の磁性体部が前記永久磁石の背後側磁極に吸引されるこ
とにより継続される。また、再使用時には永久磁石から
離間している磁性体の弁体をスプリングの力に抗して永
久磁石に押し付けて再度永久磁石に吸着保持された状態
に戻してやればよい。

（実施例） 以下、本考案に係る圧力容器用永久磁石式安全弁の実
施例を図面に従って説明する。

第１図乃至第３図において、圧力容器壁10にはステン
レス、アルミ等の非磁性材のフランジ付き円筒部11がボ
ルト12で固定され、容器壁10の穴13と円筒部11の貫通穴
14とが連通している。また、円筒部11の取付側フランジ
16Aの取付面と容器壁10との間はＯリング15が配設され
て気密封止されている。フランジ付き円筒部11の先端側
フランジ16Bにはその先端面側より円柱状永久磁石17が
多数埋設されている。この場合、フランジ付き円筒部11
の先端面に各永久磁石17の一方の磁極、つまり先端側磁
極が露出しており、また、該先端面の環状溝19にはＯリ
ング18が配設されている。

一方、前記円柱状永久磁石17により吸着自在な如く円
板状磁性体の弁体20が配置され、この弁体20にはフラン
ジ付き円筒部11の周囲を囲みかつこれに係合自在な円筒
状カバー部材21がビス22で固定されている。この円筒状
カバー部材21は全体が磁性体であっても良いが、少なく
ともフランジ16Bの背後の面に対向する円環部23が磁性
体で構成されることが望ましい。また、円筒状カバー部
材21の側壁には穴24が複数個形成されている。さらに円
筒部11の取り付け側フランジ16Aに形成された環状溝25
と円筒状カバー部材21の円環部23との間には圧縮コイル
ばね26が配設されている。この圧縮コイルばね26は弁体
20を永久磁石17から離間させる向きに付勢する。

この実施例の構成において、圧力容器内の圧力が正常
範囲（設定圧力値以下）であれば、第１図の如く圧縮コ
イルばね26の弾性力に抗して弁体20が各円柱状永久磁石
17の磁極により吸着され、フランジ付き円筒部11の先端
面と弁体20の間に介在するＯリング18により円筒部11の
開口は気密に閉塞されている。

何等かの原因で圧力容器内の圧力が異常に高くななっ
て設定圧力値を越えると、第３図の如く弁体20が高圧で
押されて永久磁石17から離れ、容器内の流体（気体、液
体等）は円筒部11の開口及び円筒状カバー部材21の穴24
を通して外部に放出される。設定圧力値は、永久磁石17
の大きさ、材質、配置数を変えることにより任意の値に
設定することができる。

一旦、弁体20が永久磁石17から離れると、その吸引力
は極めて微弱となり、一方、圧縮コイルばね26の弾性力
及び磁性体の円環部23が永久磁石17の背後側磁極に吸引
されることにより、圧力容器内の異常圧力がなくなった
後も第３図の開いた状態を継続する。この結果、圧力容
器内部は大気圧まで確実に下げられる。

圧力容器を再使用する場合には、弁体20を再び外力で
円柱状永久磁石17に吸着される如く円筒部11先端面に押
し当てればよい。これにより再び弁体20は永久磁石17で
吸着保持され、開口は気密に閉塞されることになる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の圧力容器用永久磁石式
安全弁によれば、永久磁石の磁気吸引力を利用して弁体
を保持する構造を採用することにより、圧力容器内部の
異常高圧発生時には確実に開き、その弁体の開放状態は
該弁体を離間方向に付勢するスプリングの作用及びカバ
ー部材の磁性体部が前記永久磁石の背後側磁極に吸引さ
れることにより確実に継続することができる。また、異
常発生の処理後はそのまま簡単に再使用できる利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る圧力容器用永久磁石式安全弁の実
施例であって弁体が閉じた状態の正断面図、第２図は同
平面図、第３図は弁体が開いた状態の同正断面図、第４
図は第１従来例であって弁体が閉じた状態の正断面図、
第５図は弁体が開いた状態の同正断面図、第６図は第２
従来例であって薄膜が閉じた状態の正断面図、第７図は
薄膜が破れて開いた状態の同正断面図である。 10……圧力容器壁、11……円筒部、15,18……Ｏリン
グ、17……永久磁石、20……弁体、21……円筒状カバー
部材、24……穴、26……圧縮コイルばね。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】圧力容器壁に設けられて該圧力容器壁内側
   と連通するフランジ付き筒部と、該フランジ付き筒部の
   先端面に固定された永久磁石と、該永久磁石の先端側磁
   極で吸着されて前記フランジ付き筒部の開口を気密に閉
   塞する磁性体の弁体と、前記フランジ付き筒部に係合自
   在で前記弁体に固定される穴あきのカバー部材と、前記
   弁体を前記フランジ付き筒部の先端面から離間する向き
   に付勢するスプリングとを備え、前記カバー部材の少な
   くとも一部が前記弁体の離間時に前記永久磁石の先端側
   磁極の反対側となる背後側磁極に吸引される磁性体部と
   なっていることを特徴とする圧力容器用永久磁石式安全
   弁。