JP2561062B2 - 過電流継電器 - Google Patents

過電流継電器

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JP2561062B2
JP2561062B2 JP7091932A JP9193295A JP2561062B2 JP 2561062 B2 JP2561062 B2 JP 2561062B2 JP 7091932 A JP7091932 A JP 7091932A JP 9193295 A JP9193295 A JP 9193295A JP 2561062 B2 JP2561062 B2 JP 2561062B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は過負荷保護に用いられる
反限時特性を有する過電流継電器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子回路を用いて電動機や変圧器
の過負荷保護を行なうものが種々提案されている。例え
ば特開昭56−1728号で提案されている電子式過負荷保護
装置は、保護対象機器の熱的挙動を正確にシミュレート
する目的で、機器の電流iの2乗i2 を時間積分し、そ
の積分結果、
【0003】
【数1】 が機器により定まる許容値より大きくなった場合に、主
回路をしゃ断する方法である。
【0004】そして、発明者が前記公開公報図3を用い
て説明しているように、比較的大きな過電流が少時間続
いた後、定格電流近くに変化していくような場合に、従
来の方法に比較して有効な方法であることがわかる。
【0005】上記提案によれば、積分演算がi>in
なってから開始されるため、積分演算結果には過負荷と
なる以前に機器を加熱していたはずの、定常時電流の大
きさが何ら加味されていないと言える。
【0006】即ち、一般に機器は定常時の負荷が小さい
程、大きな短時間過負荷を許容する特性を有しているに
も拘らず、前記提案方法では、過負荷前の運転状態が無
負荷であろうと定格負荷であろうと、等しい動作時間で
保護動作を行なうものであり、これは過負荷保護を行な
ううえで重大な問題である。
【0007】そこで発明者達は上記問題点を解決するた
めに、先に特願昭60−122734号として「電流の2乗に比
例した値KI2 を算出する第1の手段と、前記第1の手
段の算出値を用いて加算してその加算結果Sn を算出す
る第2の手段と、前記第2の手段の算出値が所定値以上
となったとき出力を生ずる第3の手段とを夫々備え、前
記第2の手段の加算は、前記第1の手段の算出値KI2
と第2の手段の現時点以前の算出値Sn-1 との差に比例
する値K′(KJ2 −Sn-1 )、但しK,K′は正の定
数)と現地点以前の算出値Sn-1 とを加算するものであ
ることを特徴とする過電流継電器」を要旨とする発明を
出願した。
【0008】上記出願(以下先願発明という)は温度上
昇値が電流の2乗に比例する電力機器の過負荷保護を行
なうに際して、過負荷発生前の事前負荷状況に応じて動
作時間を変化させるなど、保護される電力機器の温度上
昇に適合した優れた保護を行なうものである。しかしこ
の先願発明にも若干の改善の余地がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、前記先願発
明では、温度上昇値が電流の2乗に比例する電力機器の
保護を高性能で行ない得るが、電流との関係が異なる他
の電力機器の保護には不適切である。
【0010】例えば、参考文献1(「変圧器専門委員
会:油入変圧器運転指針」電気学会技術報告99号、昭和
46年6月発行、p.30) では変圧器の定常状態の巻線最
高温度θH は下式で与えられる。
【0011】
【数2】 但し、θa :周囲温度、θON:定格負荷時の最高油温上
昇、θqN:定格負荷時の巻線最高温度と最高油温の差、
R:定格負荷時の負荷損と無負荷損の比、K:実負荷の
定格負荷に対する比、m:冷却方式により定まる定数で
一般に 0.8として良い、n:油強制循環では安全のため
1.0とするが自然循環の場合は 0.8とする。
【0012】上記でR》1,m=n=0.8 としK=I/
N (但しIN は定格電流)とすると、(1)式は
【0013】
【数3】 となり温度上昇が電流の 1.6乗に比例する。
【0014】また、電流の2乗に比例した値KI2 を算
出するのにハード構成の乗算器またはデジタル形計算器
における2乗演算を必要とし、ハード回路または演算が
複雑となる。その他前記先願発明には若干の補足改善を
要する欠点がある。
【0015】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、温度上昇が電流の2乗に比例するよう
なもの以外の電力機器に対しても適切な過負荷保護を行
なう反限時過電流継電器を提供するとともに、温度上昇
が電流の2乗に比例するような電力機器に対しても2乗
を模擬することより簡単な構成(演算負荷を軽減)で過
負荷保護を行なうことのできる反限時過電流継電器を提
供し得るようにすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は電流
Iを入力とし保護される電力機器または電力線の電流対
温度上昇特性を模擬する電流値Iの関数f(I)を得、
この得られた関数f(I)と内部に保持されている現時
点以前の加算値Sn-1 とからK′(f(I)−Sn-1
+Sn-1 (但しK′は正の定数)を計算して、この加算
値をSn とし、この加算値Sn を用いて動作・不動作を
判定するようにし、この処理を繰り返すようにしたもの
である。
【0017】そして、保護対象もしくは保護対象収納物
の周囲温度補正、演算の初期値の適正化,演算の桁数圧
縮,試験時間短縮を図るものである。
【0018】関数f(I)は例えば温度上昇特性がI
1.8 またはI2 の場合に、これを直接演算するものも含
むが、更に図3のように、電流値Iの大きさに応じて異
なる関数f1 (I)〜f7 (I)を適用することにより
簡易な演算を実行し得るもの、更には図5のように電流
値が特定値以下ではI1.6 に比例し、特定値以上ではI
2 に比例する温度上昇特性を模擬するような種々の関数
をも含む。また、関数f)I)は図6のように、次式の
形で表わされ、
【0019】
【数4】 f(I)=f′(I)+f”(I) …(3) 複数の関数f′(I)とf”(I)の和で表わされるも
のをも含む。
【0020】
【実施例】
(第1の実施例)以下図面を参照して実施例を説明す
る。図1は本発明による過電流継電器の一実施例のハー
ドウェア構成を示す図である。図において、1は入力変
換器で、過負荷保護される図示しない電力系統から交流
電流Iを入力し、その入力の振幅に比例した直流電圧e
1 を生ずる。この変換器は公知であるので詳細な説明を
省略するが、例えば電流/電圧変換器(トランスアクト
ルTL)で交流電流Iに比例する交流電圧を発生させ、
この電圧を全波整流器Rf で整流した後低域濾波器LP
Fを通過させることにより電圧e1 を得るように構成さ
れている。2はデータ取得器であり、電圧e1 を予定周
期でサンプルしたうえサンプル値に比例したデータd2
を生ずる。このデータは電流Iの振幅値Iとなる。3は
処理装置であり、データd2 を用いて後述の処理を行な
い処理結果に応じて出力e3 を生ずる。この出力e3
例えば被保護部分を遮断して電流を遮断するか、または
被保護部分より電流を供給される負荷の一部を遮断して
被保護部分の電流が減少させるのに用いられる。
【0021】図2は処理装置3の一実施例の処理を示す
フロー図、図3は本発明の演算に用いられる関数の一例
を示す図である。図2においてまず処理ステップ4は初
期化手続に関するステップであり、加算値Sn の初期値
を関数f(I)の想定電流値IN に対応する値〔f
(I)〕INにする。この処理の内容は第9の実施例の項
で後述する。加算処理5は本発明の骨子をなす加算処理
の部分を表わし、処理ステップ5−1〜5−5での処理
を順次行なう。先ず処理ステップ5−1で加算値Sn
n-1 として保存し、処理ステップ5−2でデータd2
の値Iを読み込む。処理ステップ5−3では振幅値Iが
図3の横軸のr1 〜r6 で区分されたどの部分にあるか
を区分する。処理ステップ5−4では前記の区分に従
い、図3の関数f1 (I)〜f7 (I)を選択し、f
(I)の値を算出する。処理ステップ5−5では次式に
従い加算値Sn を算出する。
【0022】
【数5】 Sn =K{f(I)−Sn-1 }+Sn-1 …(4) 但しKは定数で0<K《1 続いて処理ステップ6に移り加算値Sn を用いて判定処
理する。この判定処理の一例を次式で示す。
【0023】
【数6】 Sn ≧Lt …(5) 但しLt は定数で、定格電流値IR を若干上まわる値例
えば1.15IR に対する関数f(I)の値が選ばれる。
【0024】判定処理ステップ6で(5)式が成立すれ
ば、処理ステップ7で出力e3 を生じ、その後処理ステ
ップ5−1に戻る。判定ステップ6で(5)式が成立し
なければ直ちに処理ステップ5−1に戻り前記と同じ処
理を繰り返す。
【0025】上記で振幅値Iの区分と適用される関数f
(I)の関係を示すと下記となる。
【0026】
【数7】 1 〜r6 の値および関数f1 (I)〜f7 (I)の例
を、値Iを例えば被保護機器の定格電流値IR で正規化
して示すと下記となる。
【0027】
【数8】 r1 =0.2 ,r2 =0.46,r3 =0.8 ,r4 =1.1 ,r5 =1.56,r6 =2 …(7) f1 (I)=0.2 I …(8) f2 (I)=0.66I−0.092 …(9) f3 (I)=1.26I−0.368 …(10) f4 (I)=1.9 I−0.88 …(11) f5 (I)=2.66I−1.716 …(12) f6 (I)=3.56I−3.12 …(13) f7 (I)= 12 I− 24 …(14) 次に前記実施例の作用を図面を用いて説明する。前記実
施例の関数f(I)はI2 の値を模擬・近似するもので
ある。I2 の値は図3破線で示されており、関数f
1 (I)〜f7 (I)は各々の区分範囲でI2 の値を直
線で近似している。一方、加算値Sn は(4)式で示さ
れており、これを変形すると、
【0028】
【数9】 Sn −Sn-1 =K(f(I)−Sn-1 ) …(15) となる。前述のように関数f(I)はI2 を模擬・近似
しているので、
【0029】
【数10】 となる。(16)式の左辺は、図2の処理が一巡する時間
(Δt)における加算値Sn の増減を表わしている。
【0030】ここでこの時間Δtを極めて短い時間とす
ると、(16)式は次式により近似できる。
【0031】
【数11】 この近似式を用い電流の値Iが変化したときに加算値S
n がどのように変化するかを説明する。電流Iの値が
I′に長時間保持されたとすると加算値Sn の値はやが
てI′に収斂する。この後、電流値IがI”に変化した
とすると、(17)式のSの値は、
【0032】
【数12】 S={(I”)2 −(I′)2 }(1−e-Kt )+(I′)2 …(18) 但し、tは電流変化後の時間となる。
【0033】この変化状況は図4に示される。(a)図
はI′=0すなわち無負荷の後I”になった場合であ
り、(b)図はI′=IR すなわち定格負荷の後にI”
になった場合である。(c)図は断続的に過負荷となた
場合である。いずれの場合もSの値は電流の値I2 に指
数関数的に追従し、温度上昇が電流の値の2乗に比例す
る機器の温度変化を模擬する。Sの値が出力e3 を生ず
る値すなわち動作値Ltに達する時間T0 は事前電流
I′の値が大きいほど短くまた事前に過負荷があって短
時間回復した後は更に短い。
【0034】以上説明したように、本実施例は特に定常
時負荷の大小により、動作特性が被保護機器の温度が想
定された一定の危険値に達する時間の特性と同様の傾向
で変化する特長を備えている。しかもデータ処理(8)
〜(14)式に示すような一次関数のみを扱っているため
先願発明のように二次関数を扱う必要がなく、処理が簡
便であるという特長を有するものである。
【0035】(第2実施例)以上述べた実施例は関数f
(I)を電流値Iの2乗(I2 )を模擬するものとした
が、電流値の 1.6乗(I1.6 )など他の種々の特性を模
擬するようにすることができる。図5はこのような関数
f(I)の一例を示すものである。図で一点鎖線はI
1.6 、破線はI2 の特性を示し、区分点r1 〜r5 で適
用する関数をf1 (I)〜f6 (I)のいずれかに選択
する。電流値Iが区分点r3 以下のときの関数f
1 (I)〜f3 (I)はI1.6 を模擬するものであり、
3 以上のときの関数f4 (I)〜f6 (I)がI2
模擬する。
【0036】このような関数f(I)の選択は、保護さ
れる機器の電流対温度上昇特性を模擬する範囲で自由で
あり、他の種々の選択が考えられる。また関数f(I)
は必らずしも電流値の一次式で表わされるものには限ら
れず、二次式など比較的容易に演算し得るものとするこ
とができる。
【0037】すなわち、f(I)=I2 は一次式よりも
複雑ではあるが、それほど演算が困難なわけではなく、
図2の模擬の場合処理5−3を省略して電流値の全範囲
をf(I)=I2 で演算することも可能である。また、
図5の場合区分点r3 以上の電流値に対する関数f
(I)をI2 として算出することも可能である。この場
合、I1.6 の算出が簡易であるという点には変わりがな
い。
【0038】(第3の実施例)図6は関数f(I)に関
する他の実施例を示す図である。図は電流値が区分点r
3 以下のときI1.6 を模擬し、r3 以上のときI2 を模
擬するもので、破線はI1.6 を示す。関数f(I)は
【0039】
【数13】 f(I)=f′(I)+f”(I) …(19) で表わされ、右辺の関数f′(I)は電流値Iの全領域
にわたって
【0040】
【数14】 であり、関数f”(I)は
【0041】
【数15】 とするものである。
【0042】(20)式と(21)式の値を図6上にプロッ
トすると、図示×印となり、破線のI1.6 曲線と良く一
致する。以上のように温度上昇を模擬する関数f(I)
は電流値Iの各領域ごとに単一の関数とする必要はな
く、複数の関数から合成するようにすることができる。
【0043】(第4の実施例)第4の実施例を図面を用
いて説明する。図7はこのハードウェア構成を示す図
で、図1と同一部分は同一記号を示す。8は入力変換器
で交流入力電流Iに比例する交流電圧e8 を生ずる。こ
の電圧e8 がデータ取得器2に導かれ、電圧e8の瞬時
値を予定周期でサンプルしたうえサンプル値に比例した
データd2 を生ずる。このデータd2 が処理装置3で処
理される。すなわちデータd2 が電流値Iを直接示すも
のでない点が図1と異なる。
【0044】この実施例の処理は図2の処理と比べ加算
処理の内容のみが異なる。図8はこの加算処理5′のみ
を示すフロー図であり、データd2 より電流値Iを算出
する処理ステップ5−6が処理ステップ5−2の後に加
わるほかは図2と同様である。
【0045】処理ステップ5−6の例を、データd2
力電流Iの1サイクルに12回得られるとして示すと、次
式となる。
【0046】
【数16】 但し、X-nは最新のサンプル時よりもn回前のサンプル
時のデータである。処理ステップ5−6では電流値の2
乗(I2 )を必要に応じて算出するが、その処理の例に
は次のものがある。
【0047】
【数17】 I2 =X0 2 +X-3 2 …(23) 但し、X0 は最新のサンプル、X-3は3回前の(サンプ
リング間隔を30°とすると90°前)のサンプル時のデー
タ。
【0048】これらが電流値Iまたはその2乗(I2
を表わすことは参考文献2(電気学会大学講座 保護継
電工学昭和56年刊行)に示されているので簡単のため説
明を省略する。以上のほか、前記参考文献1にも示され
る種々の算出手段がある。
【0049】以上のように入力電流値Iは、交流波形の
ままサンプルしてデータを取得し、そのデータより演算
することができ、このような方法としても図1および図
2の実施例と同様の効果を有するものであり、他の実施
例にこの方法を実施しても同様の効果が得られる。
【0050】(第5の実施例)第5の実施例は前記まで
の実施例の動作値Lt を周囲温度値θで補正するもので
ある。これを図面を用いて説明する。図9はハードウェ
ア構成を示す図で、図1と同一部分を同一記号で示す。
Pは電源、CTは変流器、Mは電力用変圧器等の被保護
機器、9は温度センサ、10はデータ取得器である。被保
護機器Mまたはその収納物の周囲温度が温度センサ9で
検出され、温度に対して直線特性を示す電圧e9 が、電
流Iの大きさに比例する電圧e1 とともにデータ取得器
10に加えられる。データ取得器10は電流値Iを示すデー
タd2 と温度値θを示すデータd9 を処理装置3に供給
する。
【0051】処理装置3の処理内容を図10に示す。図10
で図2と同一部分を同一記号で示す。図2に対する相異
点は加算処理5の後に処理ステップ11によるデータd9
の読み込みと、処理ステップ12による動作値処理が加わ
る点である。動作値処理ステップ12では動作値Lt を次
式により算出する。
【0052】
【数18】 Lt =L0 −K0 θ …(24) 但し、L0 は周囲温度が基準値のときの動作値、K0
定数、θは(周囲温度値−周囲温度基準値)。
【0053】動作値Lt の値は周囲温度が高いときは小
さな値となり、これにより動作時間が短くなる。また周
囲温度が低いときは逆に変化する。
【0054】以上のようにこの実施例は周囲温度の変化
に対して適切な過負荷保護を行ない得る効果を有するも
のである。
【0055】(第6の実施例)第6の実施例は第4の実
施例までの関数f(I)を周囲温度値θで補正した上加
算値を求めるようにするもので、これを図面を用いて説
明する。この実施例のハードウェアの構成は第5の実施
例と同様であり、図9で示される。第5の実施例との相
異点は処理装置3の処理内容であり、図11はこの処理内
容を示すフロー図である。図2および図11の対応部分に
は同一記号を用いて示す。
【0056】図11では初期処理にあたって、先ず処理ス
テップ11で周囲温度値θを表わすデータd9 が取り込ま
れる。次いで処理ステップ13で加算値Sn が次式にセッ
トされる。
【0057】
【数19】 Sn =〔f(I)〕IN+f(θ) …(25) 但し、f(θ)は周囲温度値θの関数で、θが高いほど
大きな値となるものであり、例えば(24)式と同様の関
数K0 θが用いられる。この初期処理に続いて加算処理
5”を行う。
【0058】加算処理5”における処理ステップ5−1
から5−4までの内容は図2の処理5と同様であり、こ
の後に処理ステップ5−7、5−8および5−9を順次
おこなう。まず処理ステップ5−7でデータd9 を読み
込み、処理ステップ5−8で次式の関数f(I,θ)を
算出する。
【0059】
【数20】 f(I,θ)=f(I)+f(θ) …(26) すなわち、電流値の関数f(I)は周囲温度値θの関数
f(θ)で補正され、関数f(I,θ)は周囲温度が高
いほど大きな値となる。
【0060】処理ステップ5−9では加算値が次式で算
出される。
【0061】
【数21】 Sn =K{f(I,θ)−Sn-1 }+Sn-1 …(27) この加算処理に関数f(I,θ)が用いられるほかは、
前述までの実施例((4)式)と同様である。
【0062】この実施例も周囲温度が高ければ動作時間
が短くなり、低ければ長くなるものであり、第5の実施
例と同様の効果を有するものである。
【0063】(第7の実施例)第7の実施例は前述まで
の実施例に対して、加算値Sn を外部制御により強制的
に特定の値とすることが可能なようにし、継電器の試験
を便利にするものである。すなわち前述までの継電器を
試験する際、動作時間を試験するには電流値Iが零およ
び定格電流値IR に長時間保たれた後の動作時間を測る
ことが多い。しかし、動作時間は 700秒といった長い時
間であり、或る電流を流した後電流値を前記の値として
も、加算値Sn がその値に対応した値に達するには非常
な長時間を要する。また動作値を試験する場合には、加
算値Sn が動作値に達するのに非常な長時間を要する。
この実施例はこのような問題点を解決するのを目的とす
るものである。
【0064】この実施例を図面を用いて説明する。図12
は本実施例のハードウェア構成を示す図で、図1と同一
部分は同一記号で示す。図の図1と異なる部分は指令器
14が追加され、この指令器14よりの信号s14が処理装置
3に加えられる。
【0065】図13は本実施例の処理内容を示すフロー図
である。図2と同一部分は同一記号で示す。図の図2と
異なる部分は加算処理5の前に処理ステップ15および16
が追加される点である。処理ステップ15では指令器14よ
りの信号s14の有無を検出する。信号s14が無ければ、
そのまま加算処理5に移り図2の実施例と同様に応動す
る。信号s14が有るときは処理16で加算値Sn を予定値
Aとし、処理6の判定処理に移る。すなわち信号s14
ある時、加算値Sn が予定値Aに急変され、信号s14
取り去られると加算値Sn が予定値Aである状態から通
常の処理に移る。
【0066】予定値Aを零または定格電流値IR に対応
する関数f(I)の値とすると、電流が零または定格電
流値IR に長時間保たれた後の動作時間の測定を長時間
待つこと無しに実施することができる。また、予定値A
を加算値の動作値Lt (1−0.02)またはLt (1+0.
02)とすれば、電流の動作値It を測定するのに都合が
良い。以上のように本実施例は、外部制御により強制的
に加算値Sn を予定値Aに急変させるものであり、これ
により試験を能率化し得る利点がある。
【0067】(第8の実施例)第8の実施例は、(5)
式の条件で生ずる出力e3 のほかに、次式の条件で生ず
る出力e3 ′を設け、出力e3 により遮断器を引はず
し、出力e3 ′により遮断器の投入を阻止するようにす
るものであり、電動機の過負荷保護を目的とするもので
ある。
【0068】
【数22】 Sn ≧Lc …(28) 但し、Lc はLt より小さい正の定数 すなわち、電動機の起動時には定格電流の数倍以上にも
及ぶ大電流が若干時間流れる。したがって、電動機の起
動のため遮断器を投入するには、電動機の温度が十分低
い状態にある必要がある。このため、電動機の温度が十
分低くなく、直ちに起動させたのでは過熱が著しく、し
たがって起動途中に出力e3 を生じ、遮断器を遮断され
ることが予想されるような場合に、出力e3 ′が生ずる
ようにし遮断器の投入を阻止する。
【0069】この実施例を図面を用いて説明する。図14
はこの実施例に用いられる過電流継電器のハードウェア
の構成を示す図で出力e3 のほかに出力e3 ′を生ずる
点を除いて図1と同様である。図15はこの実施例の制御
部分の構成例を示す図である。図で17,18は各々補助継
電器で、17aは17の常開接点、18bは18の常閉接点であ
る。19aは手動操作開閉器の常開接点、20tおよび20c
は各々遮断器の引外機構および投入機構、21は電源装置
である。
【0070】加算値Sn が一定値Lc 以上のとき、出力
3 ′が生じ継電器18が動作し、接点18bが開く。この
状態では開閉器の接点19aを閉じても遮断器は投入され
ない。加算値Sn が動作値Lt 以上のとき、出力e3
生じて継電器17が動作して接点17aを閉じる。これによ
り引外機構20tが動作し、遮断器が遮断される。
【0071】遮断器の投入は、加算値Sn が一定値Lc
より小さいときのみ可能であり、接点19aの閉路操作に
より投入機構が付勢されて行なわれる。
【0072】図15の制御部分では、出力e3 ′が有ると
きの遮断器投入のブロックを、投入回路を解放すること
によって行なったが、他の種々の手段が可能である。す
なわち、遮断器の投入を機械的にロックする機構を設
け、この機構を電磁マグネットで操作するなどはその例
である。
【0073】図16は制御部の他の例を示す図である。図
で図15と同一部分は同一記号で示す。22はランプ、23は
表示文字であり、図示の文字が表示される。図示を省略
するが、これらの近傍に遮断器の操作ハンドルがある。
図15と異なる部分を説明すると、出力e3 ′が生じ接点
18bが開かれると、ランプ22が消灯する。このランプ22
の近傍に例えば“ランプが消えている時は投入しないで
下さい”という表示文字があり、投入禁止であることが
表示される。このような投入禁止を意味する表示は他に
も種々あり、以下にその例を示す。
【0074】 出力e3 ′無しでランプ点灯:“投入可”“投入OK” 出力e3 ′有りでランプ点灯:“投入不可”“投入禁
止” 図17はこの実施例の処理を示すフロー図である。図2と
異なる部分は加算処理5の後に判定処理24および出力e
3 ′発生処理が加えられた点のみである。処理24は(2
8)式の判定を行なう部分であり、(28)式が成立せず
n <Lc であれば、直ちに処理5に戻る。Sn ≧Lc
であれば処理25で出力e3 ′を生じ、その後図2と同様
の処理を行なう。
【0075】以上の実施例の作用を図面を用いて説明す
る。図18はこの第8の実施例の応動を説明するための図
である。図で時刻t1 で停電が起き、不足電圧保護によ
り、遮断器が解放される。これにより関数f(I)は零
となり、加算値Sn が徐減する。停電は時刻t2 で回復
するが、加算値Sn が一定値Lc より大きいため、遮断
器の投入はSn <Lc となる時刻t3 まで禁止される。
【0076】投入禁止が解けた直後の時刻t4 に遮断器
が投入され、電動機の起動電流が流れる。このため、関
数f(I)は短時間図示のような大きな値となり、加算
値Sn もかなりの速度で大きくなる。しかし、加算値S
n は動作値Lt を超えることはなく、遮断動作は行なわ
れない。
【0077】以上で時刻t3 は、もしこれより投入が早
ければ加算値Sn が動作値Lt を超すであろうぎりぎり
の限界を示しており、出力e3 ′の消失を頼りに投入を
行なうことによって、投入失敗の恐れがなく且つ最も速
かに運転を再開することができる。
【0078】以上のように(28)式の条件にある間、遮
断器の投入を阻止する(か、または禁止することを表示
する)ことにより、投入失敗(投入時の起動電流によっ
て遮断される)の恐れがない投入を行なうことができ
る。
【0079】(第9の実施例)第9の実施例は処理4の
初期化手続に関するものである。先願発明においては、
初期化手続きで加算値Sn を0としている。これは継電
器用制御電源瞬断で再起動する際、被保護機器の運転状
態に関係なく常に初期値の加算値Sn が0になり、この
直後に過負荷が起きた場合、適切な保護を行ない得ない
欠点がある。本実施例はこの点を改善し、被保護機器お
よび制御電源に応じて、初期化手続きの際の加算値Sn
の初期値を好ましい値となし得るよう改善するのを目的
とする。
【0080】加算値Sn の初期処理の第1の例は、初期
値をその時の電流値Iに対応する関数f(I)の値とす
る方法である。図19のフロー図はこの処理の例で図2と
同一部分は同一記号で示し、図2とは処理4のみ異な
る。
【0081】まず処理ステップ4−1で電流値Iを示す
データd2 が取り込まれる。次いで処理4−2でこの電
流値Iが初期電源値IINとして取り込まれ、処理4−3
で関数f(I)の電流値IINに対する値〔f(I)〕IN
が算出される。この処理で、関数f(I)が図3のよう
に電流値Iで区分されるときは、電流値Iを処理5−3
のように区分したうえ適当な関数を用いて算出する。続
いて処理ステップ4−4で加算値Sn の値を〔f
(I)〕INの値とし、初期処理4を終わる。
【0082】この実施例では加算値Sn の初期値(以下
初期加算値〔Sn INという)は、初期処理が行なわれ
る際の被保護機器の電流値Iに対応する関数f(I)の
値となり、この値のSn から加算処理5が始まる。
【0083】このような初期処理は、被保護機器が大形
変圧器などのように通常は負荷の変動が緩やかなもので
あり、且つ過電流継電器の電源は蓄電池から供給される
ような場合に適している。このような場合、継電器が初
期処理を行なうのは次のような場合であり、いずれの場
合も下記のように最も適切な保護を行なうことができ
る。
【0084】(i)継電器および被保護機器とも長時間
の休止状態から起動される場合。 …先ず継電器が起動され初期加算値〔Sn INが電流値
0に対応した値となった後に、被保護機器が起動する。
【0085】(ii)被保護機器の運転中に、二重化され
た継電器の一方を点検し、しかる後運用を開始する。
【0086】(iii )被保護機器の運転中に、継電器の
電源が作業誤りなどにより瞬断し復旧する。 …(ii)(iii )の場合とも、初期加算値〔Sn IN
運転中の被保護機器の電流値Iに対応するf(I)の値
となる。
【0087】いずれの場合も、初期加算値〔Sn IN
運転中の被保護機器の、初期処理時の温度上昇値を模擬
するものである。継電器の加算値Sn は運用開始と同時
に被保護機器の温度上昇を模擬したものとなり直ちに適
切な過負荷状態を開始することができる特長を有する。
もし初期加算値に特別な考慮が払われていないときは、
加算値Sn は加算処理5の長時間の処理の後に上記の値
に達するので、適切な過負荷保護を行なえる状態となる
時間が遅れることになる。
【0088】加算値Sn の初期処理の第2の例は、初期
値を被保護機器の定格電流値IR に対援する関数f
(I)の値とする方法である。図20はこの処理の例を示
すフロー図で、図19と同一部分は同一記号で示す。図19
の処理4−1および4−2が処理4−5に置き換えられ
ているほかに、図20は図19と同様である。
【0089】処理4−5では、定格電流値IR が初期電
流値IN して取り込まれ、処理4−3および4−4で初
期加算値〔Sn INが、関数f(I)の定格電流値IR
に対応する値にセットされる。
【0090】このような処理は被保護機器が負荷変動の
激しい電動機であり、且つ過電流継電器の電源が蓄電池
のような無停電電源のような場合に適している。このよ
うな場合、定格負荷状態が続いた直後に殆んど無負荷状
態になることも多く、初期処理時の電流値を基準とした
のでは危険な場合も多い。したがって、継電器の制御電
源に異常があった直後など、事前に定格電流状態が続い
たとして過負荷保護を行なうことが最も安全であり適切
である。
【0091】加算器Sn の初期処理の第3の例は、初期
値を動作値Lt とする方法である。図21はこの処理の例
を示すフロー図で図19と異なる部分は処理ステップ4の
内容のみである。
【0092】処理ステップ4は処理4−6のみを実行
し、その処理は加算値Sn を動作値Lt の値とするもの
である。加算値Sn のこの値は判定処理6での(5)式
を成立させ処理7で出力e3 を発生させるものである。
しかし、電流値Iに対するf(I)の値が動作値Lt
り小さければ、加算処理5で加算値Sn の値が動作値L
t より小さくなるため出力e3 を生ずることはない。
【0093】このような処理は、被保護機器が電動機で
あり、且つ継電器の電源が電動機を駆動する電源と同一
電源より供給されるような場合に適している。すなわ
ち、例えば停電があり多数の電動機が一斉に起動するよ
うな場合、起動時の過電流によって、他の場所で過電流
継電器が動作しより電源側で遮断され、しかも短時間の
後に電源が再供給される場合がある。このような場合、
被保護機器は一度起動時の過負荷を経験した直後である
ので、電源の再供給により継電器が初期処理を行なう場
合の初期加算値〔Sn INを動作値Lt とするのが最も
安全であり且つ適切である。
【0094】以上は初期加算値〔Sn INを初期処理時
の電流値I、定格電流値IR または動作値Lt に関連さ
せて定める方法の僅かな例に過ぎない。例えば初期処理
時の電流値Iに関連させる方法としては、図19の処理4
−2で初期電流値IINを例えば次式として与える方法が
ある。
【0095】
【数23】 IIN=1.2 I …(29) これは、若干安全側で保護しようとするものである。こ
のように安全側で保護しようとするものとしては下記の
ような例もある。
【0096】
【数24】 IIN=Iと0.5 IR の大きい方 …(30) この例は、初期処理時の電流値Iが小さいときは、初期
電流値IINを定格電流値IR の 0.5倍とすることによっ
て、危険を避けようとするものである。
【0097】定格電流値IR は継電器の記憶データとし
て保持されておらず、動作電流値It または加算値Sn
の動作値Lt のみが記憶されている場合も多い。動作電
流値It が記憶されている場合には、図20の処理4−5
で定格電流値は例えば次式で与えられる。
【0098】
【数25】 IR = 0.85 It …(31) また、加算値Sn の動作値Lt が記憶されている場合に
は、図21の処理ステップ4−6で例えば
【0099】
【数26】 Sn =0.7 Lt …(32) とすることにより、初期加算値〔Sn INを定格電流値
R に関連する値にすることができる。
【0100】以上のように本実施例は初期加算値
〔Sn INを初期処理時の電流値I、定格電流値IR
動作電流値It に比例する値に対応する関数f(I)の
値または加算値の動作値Lt の値のうち少くとも1つの
値とすることにより、継電器の制御電源瞬断などにより
再起動する際、最も適切な保護を行ない得るものであ
る。
【0101】(第10の実施例)上記いた各実施例では、
説明の簡素化のために単相電流を用いたが、この代りに
2相または3相の電流を導入し、例えば図1の入力変換
器1を2相全波整流器を用いて3相電流中の最大のもの
の振幅値に比例する出力e1 を得るようにしても良い。
【0102】また、図7の入力変換器8を3相の各相に
設け、その出力をすべて入力変換器2に導入して各相の
電流のデータを得られるようにし、図8の処理5−6で
各相の電流値の最大値を導出するかまたは逆相分電流の
値を導出するようにして適用することができる。
【0103】(第11の実施例)第11の実施例は処理ステ
ップ5−5の加算値Sn の算出処理に関するものであ
り、演算に要する桁数を圧縮しようとするものである。
すなわち、(4)式で定数Kの値は、1秒間に50回加算
し且つ時定数を10分とすると1/30,000という小さい値
となる。したがって、{f(I)−Sn-1 }の値の1/
30,000の値を精度良く演算し得る桁数を用意する必要が
ある。関数f(I)をI2 とした場合、短絡電流が通過
する時の電流値Iを公称動作値Is の20倍としてこの時
の温度上昇を十分模擬するようにすると{f(I)−S
n-1 }の値は 400Is 2 に達する。また電流値Iが公称
動作値Is の1.01倍のとき確実に動作し得るようにする
には、{f(I)−Sn-1 }の値が
【0104】
【数27】 の時にも(4)式 {f(I)−Sn-1 }の値が加算さ
れる必要がある。このためには 400Is 2 から0.02Is
2 /30,000までの演算の桁数が用意されなければならな
い。
【0105】本実施例は、この点を改善しより少い桁数
で十分な精度を行ない得るようにするのを目的とする。
図22は本実施例の処理を示すフロー図であり、図の部分
が図2または図8の処理5−5の加算値Sn の算出処理
の代わりに用いられ、他の部分は図2または図8と同様
の構成とする。
【0106】処理5−5−1では、保存されていた差分
値加算値ΔSn をΔSn-1 として保存する。処理5−5
−2で差分値加算値ΔSn を次式により算出する。
【0107】
【数28】 ΔSn =f(I)+ΔSn-1 −Sn-1 …(33) 処理5−5−3では、この差分値加算値ΔSn が次式を
満足するか否かを検出する。
【0108】
【数29】 |ΔSn |≧Ks …(34) 但し、加算しきい値Ks は正の定数 この条件が成立したときは、処理5−5−4および5−
5−5で加算値Sn および差分値加算値ΔSn を次式の
値に変える。
【0109】
【数30】 Sn =KΔSn +Sn-1 …(35) ΔSn =0 …(36) また、処理5−5−2で(34)式の条件が満足されなか
った時は、処理5−5−6で加算値Sn-1 をSn として
保存し、差分値加算値ΔSn は(33)式の値のまま保存
される。尚、図示は省略したが、差分値加算値ΔSn
初期処理でΔSn =0とされる。
【0110】以上で、処理5−5−1で保存された差分
値加算値ΔSn-1 の値が零である場合は、処理5−5−
4で算出される(35)式の加算値Sn の値は(4)式で
算出される加算値Sn の値と等しい。すなわち、差分値
加算値の絶対値|ΔSn |の値が大きく処理5−5−4
および5−5−5が行なわれる状態が繰り返されるとき
は、第1の実施例すなわち図2と全く同様に応動する。
【0111】しかし、(33)式で算出された差分値加算
値の絶対値|ΔSn |の値が小さく、(34)式が成立し
ない時は、加算値Sn を前の値のまま保存し且つ差分値
加算値ΔSn の値を保存する。しかして、次の処理の
際、この保存された値を各々Sn-1 およびΔSn-1 とし
て再び差分値加算値ΔSn として算出する。このように
して差分値加算値の絶対値|ΔSn |が定数Ks の値に
達するまでこの処理を繰り返し、定数Ks の値に達した
後はじめて加算値Sn の値を変え且つ差分値加算値ΔS
n を零とする。
【0112】上記のような処理によって例えば差分値加
算値ΔSn の絶対値が0.02Is 2 といった小さな値のと
きは定数Kの乗算は行なわれず、この差分値を逐次加算
した差分値加算値ΔSの絶対値が例えばKS =12Is 2
に達したとき始めて定数Kを乗算するようになる。この
結果、演算に用いられるデータの最小値は30,000倍の値
となり、演算に用いる桁数を減少させることができる。
【0113】(第12の実施例)第12の実施例は本発明の
動作時間試験の所要時間を短縮し得る第7の実施例とは
異なる手段を提供するものであり、この実施例を図面を
用いて説明する。図23は本実施例の処理内容を示すフロ
ー図であり、図2と同一部分は同一記号で示す。図の図
2と異なる部分は加算処理5の後に判定処理26が追加さ
れる点である。
【0114】判定処理26ではSn 最小値処理を行なう。
この処理の内容は、 (i)加算値Sn の値が所定値LS 未満のときは、加算
値Sn の値を所定値LS に修正する。
【0115】(ii)加算値Sn の値が所定値LS 以上の
ときは、修正を行なわず加算値Snの値そのままとす
る。ものであり、この所定値LS は通常一定値とする。
【0116】この実施例の効果を図面を用いて説明す
る。図24は本実施例の継電器を一且動作させた後に入力
電流を断ち復帰させる場合の加算値Sn の変化を示す図
である。時t0 で電流を断ったとすると、加算値Sn
図示のように指数関数的に減少し、時点t1 で一定値L
s に達してその後は変化しない。この手段を設けない場
合は関数Sn の値は破線のように変化し続ける。
【0117】動作時間を高精度で測定するには、電流印
加した時点における加算値が一定でなければならない。
本実施例の場合には時刻t1 には一定値Ls に達するの
で、この時刻以後は次の動作試験を実施し得る。しかし
処理26を設けない場合は加算値Sn が零に対して無視可
能となるには更に長時間を要し、試験のための待機時間
が長くなる。
【0118】以上のように本実施例は加算値Sn が所定
値LS 未満となるとき、加算値Snを所定値LS にする
強制手段を付加することにより、動作時間測定を便なら
しめる効果を有するものである。尚、この付加は前述の
ように常時付加されるのみでなく外部指令時のみ付加さ
れるようにすることもできる。
【0119】このようなSn 最小値処理は前記した処理
手段のみでなく、例えば次のような手段によっても実施
し得る。
【0120】
【数31】 K〔f(I)Sn-1 〕+Sn-1 −Ls <0 …(37) のと加算値Sn を一定値Ls とし、(37)式が成立しな
いとき(4)式の加算を行なう。すなわち、加算値Sn
が所定値Ls 未満となるとき、加算値Sn を所定値Ls
にする強制手段である。限りにおいて、その手段は限定
されるものではない。
【0121】また、このような強制手段は前記のような
図2の実施例のみでなく、他の実施例、例えば図10、図
11、図12、図13、図17および図19〜図22の実施例につい
ても同様に付加し得るものである。また、関数f(I)
を直接2乗演算で算出する場合には、図2の実施例の処
理5−3での電流値Iの区分を省略し得、また(23)式
で電流値Iの2乗の値I2 を算出する場合は図8の処理
5−6および5−3を省略し得ることも勿論である。
【0122】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明は定常時負荷
の大小に応じて、動作時間が変化するように構成したの
で、被保護機器の許容過負荷能力に応じた適切な保護を
行ない得るものである。
【0123】加えて、第5および第6の実施例は、被保
護機器の周囲温度に応じて動作特性が変化するようにし
たので、周囲温度の変化に応じた適切な過負荷保護を行
ない得るものである。
【0124】また、第7の実施例は、加算値Sn の値を
外部制御により変化し得るようにしたので、前途の適切
な保護を行い得る本発明の過負荷継電器を試験性の優れ
たものとすることができる。
【0125】更に、第8の実施例は加算値が第1および
第2の動作値Lt およびLc 以上の値となったとき第1
および第2の出力を生ずるようにし、第1の出力で遮断
器を引はずし、第2の出力で遮断器の投入を阻止するか
または投入不可を表示するようにしたので、電動機の起
動に際して過負荷保護が行なわれる状態での起動を防止
し得るものである。
【0126】また、図9の実施例は継電器起動時の初期
加算値を適切な値とするものであり、継電器用制御電源
回復後の保護を適切なものとするものである。
【0127】また、第11の実施例は加算処理を差分値
が加算しきい値より大きいときのみ行なうものであり、
演算に用いる桁数を減少させるものである。
【0128】また、第12の実施例は加算値が小さいと
き強制的に所定値にするものであり、継電器の動作時間
等の試験所要時間を短縮させるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のハードウェア構成を示すブ
ロック図。
【図2】本発明の一実施例のデータ処理を示すフロー
図。
【図3】本発明の演算に用いられる関数の一実施例を示
す図。
【図4】本発明の一実施例の応答を説明するための図。
【図5】本発明の第2の実施例の演算に用いられる関数
を示す図。
【図6】本発明の第3の実施例の演算に用いられる関数
を示す図。
【図7】本発明の第4の実施例のハードウェア構成を示
す図。
【図8】本発明の第4の実施例の処理の加算処理部を示
すフロー図。
【図9】本発明の第5および第6の実施例のハードウェ
ア構成を示す図。
【図10】本発明の第5の実施例の処理を示すフロー
図。
【図11】本発明の第6の実施例の処理を示すフロー
図。
【図12】本発明の第7の実施例のハードウェア構成を
示すブロック図。
【図13】本発明の第7の実施例の処理を示すフロー
図。
【図14】本発明の第8の実施例に用いられる過電流継
電器のハードウェア構成を示すブロック図。
【図15】本発明の第8の実施例の制御部分の構成を示
すシーケンス図。
【図16】本発明の第8の実施例の制御部分の構成を示
すシーケンス図。
【図17】本発明の第8の実施例の処理を示すフロー
図。
【図18】本発明の第8の実施例の応動を説明する図。
【図19】本発明の第9の実施例の処理を示すフロー
図。
【図20】本発明の第9の実施例の処理を示すフロー
図。
【図21】本発明の第9の実施例の処理を示すフロー
図。
【図22】本発明の第11の実施例の処理を示すフロー
図。
【図23】本発明の第12の実施例の処理を示すフロー
図。
【図24】本発明の第12の実施例の応動を説明するた
めの図。
【符号の説明】
1…入力変換器、2…データ取得器、3…処理装置、4
…初期処理、5…加算処理、8…入力変換器、9…温度
センサ、10…データ取得器、14…指令器、17,18…補助
継電器、17a…17の常開接点、18b…18の常閉接点、19
a…手動操作開閉器の常開接点、20t,20c…遮断器の
引はずし機構および投入機構、21…電源、22…ランプ、
23…表示文字。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保護対象を過負過保護するための反限時
    特性を有する過電流継電器において、保護対象の電流対
    温度上昇特性を模擬する電流値Iの関数f(I)の値を
    算出する第1の手段と、この第1の手段の算出値を用い
    て加算し、その加算値Sn を算出する第2の手段と、こ
    の第2の手段の加算値Sn が所定値以上となったとき出
    力を生ずる第3の手段と、保護対象もしくは保護対象収
    納物の周囲温度値θの関数f(θ)を算出する第4の手
    段を夫々備え、前記第2の手段の加算は前記第1の手段
    の関数f(I)の値と第4の手段の関数f(θ)の和よ
    り第2の手段の現時点以前の加算値Sn-1 を減算したも
    のに比例する値K{f(I)+f(θ)−Sn-1 }(但
    し、Kは正の定数)と現時点以前の加算値Sn-1 とを加
    算するものであることを特徴とする過電流継電器。
  2. 【請求項2】 保護対象を過負過保護するための反限時
    特性を有する過電流継電器において、保護対象の電流対
    温度上昇特性を模擬する電流値Iの関数f(I)の値を
    算出する第1の手段と、この第1の手段の算出値を用い
    て加算し、その加算値Sn を算出する第2の手段と、こ
    の第2の手段の加算値Sn が所定値以上となったとき出
    力を生ずる第3の手段を夫々備え、前記第2の手段によ
    る加算は前記第1の手段の関数f(I)の値と第2の手
    段の現時点以前の加算値Sn-1 との差に比例する値K
    {f(I)−Sn-1 }(但しKは正の定数)と現時点以
    前の加算値Sn-1 とを加算するものであるとともに前記
    第2の手段の加算値の初期値を次の(i)乃至(iv)の
    値のうち少くとも1つの値とすることを特徴とする過電
    流継電器。 (i)初期処理時の電流値IINに比例する値に対する前
    記第1の手段の関数f(I)の値。 (ii)当該保護対象の定格電流値IR に比例する値に対
    する前記第1の手段の関数f(I)の値。 (iii )動作電流値It に比例する値に対する前記第1
    の手段の関数f(I)の値。 (iv)前記第3の手段の所定値。
  3. 【請求項3】 保護対象を過負過保護するための反限時
    特性を有する過電流継電器において、保護対象の電流対
    温度上昇特性を模擬する電流値Iの関数f(I)の値を
    算出する第1の手段と、この第1の手段の算出値を用い
    て加算し、その加算値Sn を算出する第2の手段と、こ
    の第2の手段の加算値Sn が所定値以上となったとき出
    力を生ずる第3の手段を夫々備え、前記第2の手段の加
    算は前記第1の手段の関数f(I)の値および現時点以
    前の差分値加算値ΔSn-1 と第2の手段の現時点以前の
    加算値Sn-1 との差分値加算値ΔSn =f(I)+ΔS
    n-1 −Sn-1 に比例する値KΔSn (但しKは正の定
    数)と現時点以前の加算値Sn-1 を加算するものである
    とともに、差分値加算値ΔSn の絶対値が所定の加算し
    きい値より小さいときには前記加算を行なうことなく待
    機したうえ、差分値加算値ΔSn を逐次加算して差分値
    加算値ΔSの絶対値が前記加算しきい値より大きくなっ
    たとき、これに比例する値KΔSと現時点以前の加算値
    n-1 とを加算して加算値Sn を算出するものであるこ
    とを特徴とする過電流継電器。
  4. 【請求項4】 保護対象を過負荷保護するための反限時
    特性を有する過電流継電器において、保護対象の電流対
    温度上昇特性を模擬する電流値Iの関数f(I)の値を
    算出する第1の手段と、この第1の手段の算出値を用い
    て加算し、その加算値Sn を算出する第2の手段と、こ
    の第2の手段の加算値Sn が第1の所定値以上となった
    とき出力を生ずる第3の手段を夫々備え、前記第2の手
    段の加算は前記第1の手段の関数f(I)の値と第2の
    手段の現時点以前の加算値Sn-1との差に比例する値K
    {f(I)−Sn-1 }(但しKは正の定数)と現時点以
    前の加算値Sn-1 とを加算するものであるとともに前記
    第2の手段の加算値が第2の所定値未満となるとき、加
    算値を前記第2の所定値にする強制手段を付加したこと
    を特徴とする過電流継電器。
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