JP2560093Y2 - 連続鋳造設備の排滓装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は連続鋳造設備の排滓装置
に関する。さらに詳しくは、鋳型へ注湯した後タンディ
ッシュから排出される残鋼及びノロ（以下、滓という）
を排出する排滓装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】連鋳鋳型に溶湯を注湯した後のタンディ
ッシュの内部には滓が残されるが、この滓は金属成分の
他にＣａＯ、燐分、硫黄分等からなるもので、滓量が多
くなり過ぎると鋳込みのためにタンディッシュに注湯さ
れた溶湯内に燐分、硫黄分等が溶出して、鋳込製品の品
質上に悪影響を与えるので除去しなければならない。こ
のような排滓の頻度は、同鋼種の連鋳時では４〜６チャ
ージ毎に、また異鋼種の連鋳時ではその都度実施されて
いる。そして、残滓の排出が終了したタンディッシュは
その内壁が清掃され、必要に応じて内壁にボードまたは
耐火物の張替え、吹付作業等が実施され、待機タンディ
ッシュカー上でガス加熱等の加熱処理が施されて、次の
鋳造時の後退の為に備えられる。

【０００３】従来の排滓装置としては、例えば特開平２
−１５５５５１号公報に記載された装置がある。この従
来例は、図４に示すように、タンディッシュ１の下方に
ピット１０２を設け、該ピット１０２内に架構体１０３
を設置して昇降フレーム１０５をウインチ１０６で昇降
させるようにし、該昇降フレーム１０５に搭載した横行
台車１０７に滓ポット１０８を支持させている。そし
て、滓ポット１０８を搭載した昇降フレーム１０５をほ
ぼ作業床１０４と同じ高さに上昇させた状態でタンディ
ッシュ１から滓を滓ポット１０８に注ぎ込むと、ウイン
チ１０６を操作して昇降フレーム１０５を下降させ、ピ
ット１０２内底部に待機させている搬送台車１１０に滓
ポット１０８を積み換え、搬送台車１１０は排滓処理位
置まで滓ポット１０８運び、そこで排滓処理を行なうよ
うになっている。この従来装置によれば、タンディッシ
ュ１からの残鋼を滓ポット１０８に排出する際、滓ポッ
ト１０８がタンディッシュ１の近くまで上昇するので、
排出時にスプラッシュ、粉じん等が多く発生しないとい
う利点を有する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかるに、前記従来装
置では、タンディッシュから残鋼を滓ポット１０８に排
出した後、昇降フレーム１０５の下降、搬送台車１１
０へ滓ポット１０８の積み換え、搬送台車１１０によ
る搬出、残鋼処理場での残鋼処理、ピット１０２への再
搬入、昇降フレーム１０５への滓ポット１０８の積み
変え、昇降フレーム１０５の上昇、という各動作によっ
て１サイクルが終了する。そして、前記の搬送台車１
１０に滓ポット１０８が搭載されている間は、タンデイ
ッシュ１から滓を排出することができない。したがっ
て、前記１サイクルの時間よりタンディッシュ１からの
残鋼排出サイクルの時間の方が短いと、排滓に時間待ち
を生ずる等作業能率を阻害するという問題がある。ま
た、設備として、滓ポット１０８の形状は種々である。
例えば、新しいものと古いものによる相違、処理する金
属による相違、残鋼を扱うものや鋳込中のトラブルによ
ってタンディッシュ１内の溶鋼を取扱うもの等による相
違があるからである。しかるに、前記従来装置では滓ポ
ットとして一定の型のものしか取扱うことができないと
いう問題がある。

【０００５】本考案はかかる事情に鑑み、滓の排出が安
全確実であり、早い排出ピッチに対応でき、滓ポットの
形状に制約されない排滓装置を提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案の排滓装置は、タ
ンディッシュを傾転させる排滓位置の下方に設けられた
上下に延びる昇降ガイドおよび該昇降ガイドに案内され
昇降駆動装置によって昇降される昇降フレームと、該昇
降フレーム上に反転自在に搭載された、前記タンディッ
シュより排出される滓を受ける排滓ポットおよび該排滓
ポットを反転させるため前記昇降フレームに取付けられ
た反転駆動装置と、前記昇降ガイドの下方の転滓位置
と、残鋼処理場との間を往復する転滓車および該転滓車
に搭載されており、前記排滓ポットより排出される滓を
うける転滓鍋とからなることを特徴とする。

【０００７】

【作用】本考案では、昇降フレームが昇降ガイドの上端
位置まで上昇した排滓位置でタンディッシュから排出さ
れた滓を排滓ポットで受け取り、ついで昇降フレームを
下降させ、昇降ガイドの下端位置の転滓位置で排滓ポッ
トを反転させて、滓を転滓鍋に移す。ついで転滓車を残
鋼処理場へ移動させて転滓鍋内の残鋼を処理する。この
転滓車が移動している間、排滓ポットを搭載した昇降フ
レームは前記排滓位置まで上昇して、つぎの排滓に備え
る。本考案では、タンディッシュから排滓ポットへの排
滓は排滓ポットが上昇した位置で行われるので、スプラ
ッシュや粉じんの発生が少なく、かつ排滓ポットから転
滓鍋への排出は下降した位置で行われるので、安全確実
である。また、排滓ポットを搭載した昇降フレームと転
滓鍋を搭載した転滓車とは別個独立に動き、転滓車が残
鋼処理場へ出ている間に昇降フレームを上昇させて排滓
ポットを排滓位置で待機させうるので、排滓ピッチが速
くなっても対応できる。さらに、転滓鍋の形状は種々で
あっても排滓ポットからの排出は可能であるので、転滓
車の転滓鍋の形状を問わず本考案の装置を適用しうる。

【０００８】

【実施例】つぎに、本考案の実施例を図面に基づき説明
する。図１は本考案の一実施例に係わる排滓装置の正面
図、図２は図１に示された排滓装置の排滓作業中の側面
図、図３は同排滓装置の転滓作業中の側面図である。

【０００９】図１〜３において、１はタンディッシュで
あり、傾転フレーム２上に搭載されている。傾転フレー
ム２は鋳造床３上に固定されたブラケット４に回転自在
に支持されており、駆動モータ５および減速機６からな
る傾転駆動装置７に連結されている。この傾転駆動装置
７によりタンディッシュ１を傾転させると内部の滓が排
出される。

【００１０】前記タンディッシュ１が傾転する排滓位置
の下方には上下に伸びる昇降ガイド８が設置されてお
り、昇降フレーム１０のガイドローラ１１がその内部を
転動するようになっている。また、昇降フレーム１０に
はワイヤロープ１２が連結され、その途中がガイドシー
ブ１３で案内されて末端がウインチ１４に連結されてい
る。このワイヤロープ１２とウインチ１４は実用新案請
求の範囲にいう昇降駆動装置を構成している。

【００１１】昇降フレーム１０上に固定されたブラケッ
ト１５には排滓ポット１６が回転自在に軸支されてお
り、その支軸には減速機付モータからなる反転駆動装置
１７が連結されている。この反転駆動装置１７によって
排滓ポット１６を反転させると内部の滓を排出すること
ができる。１８は昇降フレーム１０に形成された抜孔
で、排滓ポット１６を反転させるために設けられてい
る。

【００１２】前記昇降ガイド８の下方の床上からは図示
しない残鋼処理場までレール２１が敷設されており、転
滓車２２が走行するようになっている。転滓車２２には
転滓鍋２３が傾倒自在に搭載されている。転滓車２２お
よび転滓鍋２３は公知の装置であり、種々の形状、大き
さのものを任意に使用しうる。

【００１３】つぎに、本実施例における排滓作業を説明
する。図２に示すように、昇降フレーム１０を昇降ガイ
ド８の上端部まで上昇させた位置（排滓位置）で、タン
ディッシュ１を傾転させ、内部の滓を排滓ポット１６に
排出する。つぎに図３に示すように、昇降フレーム１０
を降下させて、昇降ガイド８の下端部の転滓位置で排滓
ポット１６を反転させ、内部の滓を転滓鍋２３に移す。
この後、転滓鍋２３は転滓車２２で残鋼処理場まで運ば
れ、排滓処理が行われる。この転滓車２２が動いている
間、前記昇降フレーム１０は直ちに上昇に移り、昇降ガ
イド８の上端部の排滓位置で次の排滓に備え待機する。
前記転滓車２２も排滓処理が終了しだい転滓位置まで帰
還する。以上が本実施例における排滓作業の１サイクル
である。

【００１４】つぎに、本実施例の利点を説明する。本実
施例では、タンディッシュ１から排滓ポット１６への排
出は、図２に示すように排滓ポット１６が上昇した位置
で行われるので、スプラッシュや粉じんの発生が少なく
安全である。また、排滓ポット１６から転滓鍋２３への
排出は、図３に示すように下降位置で行われるので、安
全かつ確実である。さらに、排滓ポット１６を搭載した
昇降フレーム１０と転滓鍋２３を搭載した転滓車２２と
は別個独立に動き、転滓車２２が残鋼処理場へ出ている
間に昇降フレーム１０を上昇させて排滓ポット１６を排
滓位置で待機させうるので、むだ時間がなく、排滓ピッ
チが速くなっても十分対応できる。さらに、転滓鍋２３
の形状は種々であっても排滓ポット１６からの排出は可
能であるので、転滓車２２の転滓鍋２３の形状を問わず
本考案の装置を適用しうる。

【００１５】つぎに、本考案の他の実施例を説明する。
上記実施例では、図示しないタンディッシュカーに載置
されたタンディッシュ１を傾転フレーム２に移し変えて
タンディッシュ１内の残鋼を排出するよう構成したが、
これをタンディッシュカーにタンディッシュ１を傾転さ
せる装置を設けて、タンディッシュ１をタンディッシュ
カーに載置した状態で、タンディッシュ１を傾転させる
ように構成してもよい。

【００１６】

【考案の効果】本考案によれば、滓の排出が安全確実で
あり、早い排出ピッチに対応でき、排滓ポットの形状に
制約されず使用しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例にかかわる排滓装置の正面図
である。

【図２】図１に示された排滓装置の排滓作業中の側面図
である。

【図３】図１に示された排滓装置の転滓作業中の側面図
である。

【図４】従来の排滓装置の側面図である。

【符号の説明】

１ タンディッシュ ２ 傾斜フレーム
８ 昇降ガイド １０ 昇降フレーム １６ 排滓ポット
２２ 転滓車 ２３ 転滓鍋

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】タンディッシュを傾転させる排滓位置の下
   方に設けられた上下に延びる昇降ガイドおよび該昇降ガ
   イドに案内され昇降駆動装置によって昇降される昇降フ
   レームと、 該昇降フレーム上に反転自在に搭載された、前記タンデ
   ィッシュより排出される滓を受ける排滓ポットおよび該
   排滓ポットを反転させるため前記昇降フレーム上に取付
   けられた反転駆動装置と、 前記昇降ガイドの下方の転滓位置と、残鋼処理場との間
   を往復する転滓車および該転滓車に搭載されており、前
   記排滓ポットより排出される滓を受ける転滓鍋とからな
   ることを特徴とする連続鋳造設備の排滓装置。