JP2555009Y2 - 燃圧レギュレータのガス抜き通路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、エンジンの燃料供給装
置の電磁燃料噴射弁に供給する燃料の圧力を一定に保つ
燃圧レギュレータ内に、該燃圧レギュレータの機能を損
なう空気又は燃料蒸気が溜るのを防止するため、燃圧レ
ギュレータ内部に設けるガス抜き通路に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３、図４、図５の各図は本出願人が実
願平２−５８５３４号を以て提案した燃圧レギュレータ
の、異なった取付姿勢を示す図であって、燃圧レギュレ
ータの取付姿勢によっては、該燃圧レギュレータに燃料
の導入を開始する前から存在した空気、燃料流入口から
侵入した空気、或は燃料自体から発生した蒸気が燃料流
出口から流出されないで燃圧レギュレータ内部に残存し
て溜ることを示す。

【０００３】先ず図３によって該燃圧レギュレータの構
成を説明する。図３において符号１は弁筐体で、該弁筐
体１は底面２の中心部から該弁筐体１の開放側に向って
柱状部３が立設され、該柱状部３は図示してない中心線
に沿って燃料流出通路４が形成され、前記柱状部３の前
記弁筐体１の開放側の端面に開口し、前記弁筐体１の内
周面に燃料流入口５が開口している。６は後述する弁体
と前記柱状部３の弁筐体１の開放側の端面に開口する燃
料流出口との同心を確保するためのスライド弁座体で、
前記柱状部３の、前記弁筐体１の開放側の端面上を気密
を保ちながら摺動する。７は前記スライド弁座体６の滑
り面を形成するため前記柱状部３内部に配置した筒状部
材であるが、前記スライド弁座体６と共に前記柱状部３
の一部と做す。８はダイアフラムで該ダイアフラム８は
外周縁が前記弁筐体１と蓋体９とによって挾持され中心
部に球状の弁体１０が配置されている。該弁体１０と前
記燃料流出通路４の開口端、具体的に云えば前記スライ
ド弁座体６の内周縁が形成する弁座とを以て前記燃料流
出通路４の開閉弁を形成する。１１は蓋体９内に配置さ
れたコイルスプリングで、前記弁体１０が着座する方向
にダイアフラム８を付勢する。１２はエンジンの吸気負
圧を蓋体９内に導びく吸気負圧取入口であるが本考案と
は関係がないから説明を省略する。前記燃料流入口５は
図示してない燃料ポンプ出口と電磁燃料噴射弁との間の
燃料配管に、燃料流出通路４は同様図示してない燃料タ
ンクに導びかれ、燃料配管内の圧力が所定の圧力を超え
ると、燃料の圧力によってコイルスプリング１１の力に
抗してダイアフラム８が押し上げられ、弁体１０が離座
し、燃料流出通路４から燃料タンクに燃料が戻されて圧
力上昇が阻止され、燃料配管内の圧力が燃料流量に関係
なく一定に保たれる。

【０００４】而して上述の構成の燃圧レギュレータが図
３に示す様に蓋体９が弁筐体１の上に位置する姿勢で取
付けられたときは、燃料流出通路４の開口部は弁筐体１
の内部の上側に位置するから、弁筐体１内部に空気又は
燃料蒸気が存在しても、開弁時に燃料と共に燃料流出通
路４から排出されるが、図４又は図５の様に、蓋体９と
弁筐体１とが互に横方向に、或は蓋体９が弁筐体１の下
に位置する姿勢で取付けられたときは、空気、又は気泡
が集って生じた燃料蒸気の塊りが燃料流出通路４の開口
部から離れた位置に溜って燃料圧力制御機能が損われ
る。

【０００５】図４、図５中に示す符号は図３中に示す符
号と同一の部分を示すほか、１３は空気又は燃料蒸気の
塊りを示す。空気又は燃料蒸気が取付姿勢によって排出
されなくなる問題は上述の構成の燃圧レギュレータに限
定されるものではなく特公昭４９−３７０４９号開示の
燃圧レギュレータにおいても同様問題となる。図６は特
公昭４９−３７０４９号開示の燃圧レギュレータが、弁
筐体１と蓋体９とが互に横方向に取付けられた場合に空
気又は燃料蒸気が排出されないで弁筐体１内に溜った状
態を示す。図６中の符号で図３から図５に至る各図中の
符号と同一の符号は同一の部分を示す。

【０００６】本来燃圧レギュレータは空気又は燃料蒸気
が燃料流出通路４から排出される姿勢で取付けるべきも
のであるが、車両又はエンジンのレイアウト上必ずし
も、空気又は燃料蒸気の排出可能の姿勢で取付けること
が出来るとは限らないと云う問題がある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】取付姿勢の如何に拘ら
ず、空気又は燃料蒸気（以下まとめてガスと云う）を燃
料流出通路に導くことができるガス抜き通路を得ること
が本考案の課題である。

【０００８】

【課題を解決するための手段】弁筐体の底面中心部か
ら、該弁筐体の開放端に向って柱状部が立設され、該柱
状部の中心線にそって燃料流出通路が形成されて、前記
弁筐体の開放側の前記柱状部端面に開口し、前記弁筐体
の内周面に燃料流入口が開口し、前記弁筐体の開放側に
配置された蓋体と前記弁筐体との間に前記燃料流出通路
の開口端を開閉する弁体を備えたダイアフラムの外周縁
が挾持され、前記弁体が前記開口端を閉じる方向に前記
ダイアフラムを付勢するコイルスプリングが、前記蓋体
内に配置されてなる燃圧レギュレータにおいて、前記柱
状部に前記燃料流出通路をめぐらして、該燃料流出通路
の開口端周辺に開口する環状空間を形成し、該環状空間
と前記弁筐体底面に近接する前記柱状部外周面との間を
連通する透孔を穿設してガス抜き通路を形成する。

【０００９】

【作用】燃圧の上昇によって弁体が離座し、燃料流出通
路の開口端に集中する燃料の流れによって、環状空間が
開口する燃料流出通路開口端周辺の圧力が低下し、弁筐
体底面附近に開口する透孔から環状空間に向う燃料の流
れを生じ、該燃料の流れと共に弁筐体の底面附近の透孔
開口部周辺のガスが引き込まれ、環状空間を経て、燃料
流出通路に流入してガスが排出される。弁筐体と蓋体と
が互に横方向となる取付姿勢に対しては柱状部外周面の
最高位置に透孔を開口させる。

【００１０】

【実施例】図１及び図２は本考案のガス抜き通路を設け
た燃圧レギュレータの実施例を示し、図１は蓋体が弁筐
体の下側に位置する姿勢、図２は蓋体と弁筐体とが互に
横に位置する姿勢の取付状態を示す。而して本考案のガ
ス抜き通路が、弁構成に関係なく適用できることを示す
ため図１と図２とは異った弁構成の燃圧レギュレータを
掲げてある。

【００１１】図１及び図２において１から１２に至る各
符号（図２では６を欠く）は図３中の符号と同一又は相
当する部分を示すほか１４は燃料流出通路４をめぐらし
て、該燃料流出通路４の開口端周辺に開口して柱状部分
３に形成された環状空間、１５は前記環状空間１４と弁
筐体１の底面２に近接する柱状部３の外周面との間を連
通する透孔である。環状空間１４と透孔１５とを以てガ
ス抜き通路を構成する。燃圧レギュレータが図１に示す
姿勢で取付けられる場合は、透孔１５が柱状部３の外周
面に開口する位置は底面２に近接していれば、周方向何
れの位置でも良いが、図２に示す姿勢で取付けられる場
合は、取付姿勢で柱状部３の外周面の最高位置に開口さ
せる。

【００１２】図１及び図２に示す実施例では、筒状部材
７を挿入する柱状部３の孔を燃料流出通路４の開口端側
で大径に形成して、該大径部内周面と筒状部材７の外周
面との間に環状空間１４を形成することができる。図１
に示す燃圧レギュレータでは燃料流出通路４を開閉する
弁体１０として球状の弁体が使用されていて、該弁体１
０と燃料流出通路４との同心を期待することが困難であ
るから、筒状部材７の端面に形成される固定弁座と弁体
１０との間に、図３で説明した通りスライド弁座体６を
使用してあるが、図２に示す構成の燃圧レギュレータで
は弁体１０として円板状の弁体が使用され、筒状部材７
の端面が弁座を形成していて平面同志の接触によって閉
弁されるから図１の構成で使用されているスライド弁座
体６は不要である。

【００１３】エンジンの燃料噴射装置の、図示してない
燃料噴射ポンプから電磁燃料噴射弁に至る燃料配管内の
圧力が所定圧力よりも上昇して弁体１０が離座すると、
弁筐体１内の燃料が矢印１６で示す様に燃料流出通路４
内に流入する流れを生じて環状空間１４の開口部の圧力
が低下するから、弁筐体１内には矢印１７で示す様に透
孔１５及び環状空間１４を通る燃料の流れを生じ、それ
ぞれの取付姿勢において最高位置に溜っている空気及び
燃料蒸気（ガスと総称する）と共に燃料流出通路４に流
入して排出される。弁体１０のダイアフラム８への取付
けは、ダイアフラム８を挾持するダイアフラムプレート
１８を介して行なわれているから燃料流出通路４に流入
する燃料の流れ１６は柱状部３の端面外周縁と、ダイア
フラムプレート１８の外周縁とによって絞られて、環状
空間開口部の圧力低下、従って矢印１７で示す流れによ
るガス抜き効果が確実となるが、ダイアフラムプレート
１８によるガス抜き効果は本考案を限定するものではな
い。

【００１４】図１及び図２に示した実施例の構成では柱
状部３の大径に形成した内周面と柱状部３に挿入した筒
状部材７の外周面とによって環状空間１４を形成した
が、該環状空間１４は筒状部材７を使用することなく、
柱状部３の端面側から鋳抜きによって、或は切削加工に
よっても形成することができる。

【００１５】

【考案の効果】本考案のガス抜き通路によって車両又は
エンジンのレイアウトに応じて任意の姿勢で燃圧レギュ
レータの取付けを行っても、弁筐体１内に残留する空気
又は燃料蒸気（ガス）の存在によって燃料圧力制御機能
が損なわれない燃圧レギュレータを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のガス抜き通路を有する燃圧レギュレー
タの、蓋体が弁筐体の下側となる取付姿勢を示す図。

【図２】本考案のガス抜き通路を有する燃圧レギュレー
タの、蓋体と弁筐体とが互に横になる取付姿勢を示す
図。

【図３】本考案のガス抜き通路を有しない従来構成の燃
圧レギュレータのガス抜き可能な取付姿勢を示す図。

【図４】本考案のガス抜き通路を有しない従来構成の燃
圧レギュレータが、蓋体と弁筐体とが互に横となる姿勢
ではガス抜きが正常に行われないことを示す図。

【図５】本考案のガス抜き通路を有しない従来構成の燃
圧レギュレータが、蓋体が弁筐体の下側となる姿勢では
ガス抜きが正常に行われないことを示す図。

【図６】図３、図４、図５で示した構成以外の構成の燃
圧レギュレータでも、本考案のガス抜き通路を有しない
と、取付姿勢によってガス抜きが正常に行われないこと
を示す図。

【符号の説明】

１ 弁筐体 ２ 弁筐体の底面 ３ 柱状部 ４ 燃料流出通路 ５ 燃料流入口 ６ スライド弁座体 ７ 筒状部材 ８ ダイアフラム ９ 蓋体 １０ 弁体 １１ コイルスプリング １２ 吸気負圧取入口 １３ ガスの塊り １４ 環状空間 １５ 透孔 １６ 燃料の流れを示す矢印 １７ ガスを伴う燃料の流れを示す矢印 １８ ダイアフラムプレート

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 弁筐体（１）の底面（２）中心部から、
   該筐体（１）の開放端に向って、柱状部（３）が立設さ
   れ、該柱状部（３）の中心線にそって燃料流出通路
   （４）が形成されて前記弁筐体（１）の開放側の前記柱
   状部（３）端面に開口し、前記弁筐体（１）の内周面に
   燃料流入口（５）が開口し、前記弁筐体（１）の開放側
   に配置された蓋体（９）と前記弁筐体（１）との間に前
   記燃料流出通路（４）の開口端を開閉する弁体（１０）
   を備えたダイアフラム（８）の外周縁が挾持され、前記
   弁体（１０）が前記開口端を閉じる方向に前記ダイアフ
   ラム８を付勢するコイルスプリング（１１）が前記蓋体
   （９）内に配置されてなる燃圧レギュレータにおいて、
   前記柱状部（３）に前記燃料流出通路（４）をめぐらし
   て、該燃料流出通路（４）の開口端周辺に開口する環状
   空間（１４）を形成し、該環状空間（１４）と前記弁筐
   体（１）の底面（２）に近接する前記柱状部（３）外周
   面との間を連通する透孔を形成してなる燃圧レギュレー
   タのガス抜き通路。