JP2554762Y2 - ユニバーサルジョイントの保護構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はステアリングシャフトと
ステアリングギヤ機構との間に設けられるユニバーサル
ジョイントの保護構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車のステアリングシャフトと
ステアリングギヤ機構の入力軸とが一直線上になくても
操作力を円滑に伝達できるようにするため、ステアリン
グシャフトとステアリングギヤ機構との間にはユニバー
サルジョイントが設けられている。ユニバーサルジョイ
ントは車室内外を仕切るパネルに形成されたコラムホー
ルに挿通配置され、このユニバーサルジョイントを非接
触で外包するようにゴム製のコラムホールカバーがコラ
ムホールに取り付けられている。このコラムホールカバ
ーは車室外からの水やダストの侵入を防止する機能を有
する。この種の自動車の場合、ユニバーサルジョイント
を挿通するためのコラムホールの近傍にはブレーキペダ
ルやクラッチペダルが配置されるため、運転者の足が誤
ってコラムホールカバーに干渉すると、コラムホールカ
バー内に配置されたユニバーサルジョイントに当たって
ステアリング操作に支障を来す恐れがあった。また、コ
ラムホールカバーに頻繁に足が当たると、ゴム製のコラ
ムホールカバーが破れる恐れもあった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このような問題を解決
するため、ゴム製のカバーの外側を剛性の高い金属製カ
バーで覆い、ユニバーサルジョイントを保護したものも
ある（実開平３−１００５７１号公報参照）。ところ
が、このように２種類のカバーを取り付けるのは部品数
が多くなるとともに、取付工数が増え、かつ重量増加を
招く欠点があった。また、金属製カバーはカップ形状で
あるため、その製作に当たって深絞り加工を行う必要が
あり、加工コストがかかる欠点がある。そこで、本考案
の目的は、金属製コラムホールカバーを使用することな
く、ペダルブラケットの取付部材を兼用してコラムホー
ルカバー、ひいてはユニバーサルジョイントを保護でき
るユニバーサルジョイントの保護構造を提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案は、ステアリングシャフトとステアリングギ
ヤ機構とをユニバーサルジョイントを介して連結し、車
室内と車室外とを仕切るパネルに上記ユニバーサルジョ
イントを挿通配置するためのコラムホールを形成すると
ともに、コラムホールとステアリングシャフトとの間に
ユニバーサルジョイントを外包する可撓性コラムホール
カバーを取り付けた車両において、ペダルを枢支するペ
ダルブラケットの下端部を上記コラムホールカバーの近
傍へ延設するとともに、このペダルブラケットの下端部
を上記コラムホールカバーの車体後方側を取り囲む形状
の取付部材を介して上記パネルに取り付けたものであ
る。

【０００５】

【作用】ペダルブラケットの下端部は床パネルあるいは
ダッシュパネルに取付部材を介して取付られるが、この
取付部材がコラムホールカバーの車体後方側を取り囲ん
でいるので、運転者の足がコラムホールカバーに干渉す
ることがない。そのため、コラムホールカバー内に配置
されたユニバーサルジョイントに当たってステアリング
操作に支障を来すおそれもない。また、この取付部材が
ユニバーサルジョイントの保護部材を兼ねるので、従来
の金属製コラムホールカバーを省略でき、部品数が少な
くて済む。

【０００６】

【実施例】図１，図２は本考案をキャブオーバ型自動車
に適用した一例を示す。ステアリングシャフト１の上端
部にはステアリングホイール２が固定され、下端部はユ
ニバーサルジョイント３を介してステアリングギヤ機構
４に連結されている。ステアリングギヤ機構４は図示し
ない前輪に連結されている。ユニバーサルジョイント３
は床パネル５に形成されたコラムホール６に挿通配置さ
れており、このコラムホール６にはゴム製コラムホール
カバー７の下端部周縁が嵌合されている。コラムホール
カバー７はユニバーサルジョイント３を非接触で外包す
るようにカップ型に形成されており、コラムホールカバ
ー７の上端部はステアリングシャフト２に摺動可能に取
り付けられている。

【０００７】１０はブレーキペダル１１およびクラッチ
ペダル１２を枢支するペダルブラケットであり、ペダル
ブラケット１０の上端部はステー１３を介してダッシュ
パネル１４に取り付けられている。なお、ペダルブラケ
ット１０の上端部にはステアリングシャフト１を支持す
る支持部１０ａが一体形成されている。ペダルブラケッ
ト１０の下端部１０ｂは二股状に形成されており、コラ
ムホールカバー７の両側部近傍へ延設されている。これ
ら下端部１０ｂは幅方向に延びる板状取付部材１５で連
結されており、取付部材１５の中央部は床パネル５に固
定された取付ブラケット１６にボルト１７で止着されて
いる。上記取付部材１５はコラムホールカバー７の車体
後方側を取り囲んでおり、運転者の足がコラムホールカ
バー７ひいてはユニバーサルジョイント３に干渉するの
を防止している。そのため、従来用いられていた金属製
のコラムホールカバーが不要となる。

【０００８】上記実施例ではコラムホールカバー７の下
端部をコラムホール６の口縁に嵌合させて取り付けてあ
る。そのため、従来のようにゴム製コラムホールカバー
と金属製コラムホールカバーとを重ねてパネルにボルト
止めする構造に比べて、組付作業が簡単になるとともに
部品数を削減できる。また、取付部材１５を床パネル５
に取り付けるための取付ブラケット１６をコラムホール
６の後方側に設けた例について説明したが、これに限る
ものではなく、例えばコラムホール６の側方に設けても
よい。ただ、取付ブラケット１６をコラムホール６の後
方側に設けた場合には取付部材１５と取付ブラケット１
６とを１箇所でボルト止めすればよいので、構造を簡素
にでき組付が容易になる利点がある。さらに、上記実施
例ではペダルブラケット１０の下端部１０ｂをコラムホ
ールカバー７の両側部近傍に延びる二股形状としたが、
これに限るものではない。ただ、実施例のごとき形状と
すれば、コラムホールカバー７への両側からの足の干渉
を防止でき、保護効果が一層向上する利点がある。な
お、本考案はコラムホールが床パネルに形成された構造
の自動車に限らず、コラムホールがダッシュパネルに形
成された自動車にも同様に適用できる。

【０００９】

【考案の効果】以上の説明で明らかなように、本考案に
よれば、ペダルブラケットのパネルへの取付部材がコラ
ムホールカバーの車体後方側を取り囲み、コラムホール
カバーおよびユニバーサルジョイントの保護部材を兼ね
ているので、従来のような金属製コラムホールカバーが
不要となり、部品数を削減できるとともに製作コストを
低減できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案をキャブオーバ型自動車に適用した縦断
面図である。

【図２】図１の後方から見た側面図である。

【符号の説明】

１ ステアリングシャフト ３ ユニバーサルジョイント ５ 床パネル ６ コラムホール ７ コラムホールカバー １０ ペダルブラケット １０ｂ 下端部 １５ 取付部材 １６ 取付ブラケット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ステアリングシャフトとステアリングギヤ
   機構とをユニバーサルジョイントを介して連結し、車室
   内と車室外とを仕切るパネルに上記ユニバーサルジョイ
   ントを挿通配置するためのコラムホールを形成するとと
   もに、コラムホールとステアリングシャフトとの間にユ
   ニバーサルジョイントを外包する可撓性コラムホールカ
   バーを取り付けた車両において、 ペダルを枢支するペダルブラケットの下端部を上記コラ
   ムホールカバーの近傍へ延設するとともに、このペダル
   ブラケットの下端部を上記コラムホールカバーの車体後
   方側を取り囲む形状の取付部材を介して上記パネルに取
   り付けたことを特徴とするユニバーサルジョイントの保
   護構造。