JP2551617Y2 - 医療用滅菌装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は医療器具を滅菌する医療
用滅菌装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】医療分野における滅菌装置は、蒸気やエ
チレンオキサイドガスなどを用いて手術用道具や歯科用
道具等の医療器具を滅菌するものが一般的であり、医療
器具を容器等に入れてその容器内を蒸気やエチレンオキ
サイドガス雰囲気にすることにより医療器具に付着して
いる菌が滅菌される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上述の滅菌
装置では、洗浄装置で医療器具を洗浄してから滅菌を行
うために作業性が悪い。また、蒸気による滅菌では装置
が大きいことに加え熱に弱い器具の滅菌を行えないこ
と、及びエチレンオキサイドガスでは、ガス自体に毒性
があり人体に有害であるので、取扱に注意する必要があ
った。

【０００４】そこで、本考案は、このような事情を考慮
してなされたものであり、その目的は、作業性がよく、
取扱いが容易な医療用滅菌装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本考案の医療用滅菌装置は、滅菌すべき医療器具を
格納する容器に、洗浄水を医療器具に噴射して洗浄し、
次いで、オゾン水を噴射して滅菌する噴射ノズルと、こ
の噴射ノズルにオゾン水を供給すると共に、上記容器で
使用された後のオゾン水を回収して再利用するオゾン水
製造装置と、上記容器内のオゾンガスを回収して放出す
るオゾンキラーとを備えたものである。

【０００６】

【作用】噴射ノズルから洗浄水が医療器具に噴射されて
医療器具が洗浄され、次いで、オゾン水が噴射されて滅
菌される。そのオゾンは、食品、プール、下水処理等で
殺菌の効果が実証されているので、十分に医療器具を滅
菌することができると共に、短時間で分解するのでエチ
オキサイドガスに比して安全性もあり、簡易に扱える。
従って、医療器具を移動させることなく医療器具の洗浄
と滅菌を行えるので、作業性が良く、取り扱いが容易な
滅菌装置を提供することが可能となる。また、この容器
に、上記噴射ノズルにオゾン水を供給すると共に使用後
のオゾン水を回収して再使用するオゾン水製造装置を備
えたため、使用後のオゾン水の処理工程が不要となる上
に、使用後のオゾン水を有効利用することが可能となっ
て経済性も向上する。さらに、この容器にオゾンガスを
回収して大気中に放出するオゾンキラーを備えたため、
洗浄後の医療器具を容器から取り出す際等に、容器内に
発生したオゾンガスが周囲に拡散してオゾンガス臭によ
る周辺環境の悪化や作業員に対しての悪影響を未然に防
止することができる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【０００８】図１において、１は滅菌すべき手術用道具
や歯科用道具等の医療器具２を格納する容器を示し、こ
の容器１にはオゾンキラー３が接続されており、容器１
内で発生したガス（オゾンガス）がオゾンキラー３に回
収されてオゾンガスの大気への漏洩が防止されるように
なっている。

【０００９】容器１内の下方には、医療器具２を格納す
るための格納網４が設けられていると共に、その下部に
網体５が設けられている。また、容器１の下部には、容
器１内に溜った液を排出するための二つの第１及び第２
排出管６，７が接続され、これら排出管６，７には、そ
れぞれ第１及び第２調節弁８，９が設けられている。さ
らに、容器１内の上方には、格納網４上の医療器具２に
向けて洗浄水及びオゾン水を噴出させる噴射ノズル１０
が回転自在に設けられている。噴射ノズル１０には、液
を供給するための導管１１が接続され、この導管１１に
は、洗浄水としての水道水を供給するための第３調節弁
１２を有する水供給管１３が接続されていると共に、オ
ゾン水を供給するための第４調節弁１４を有するオゾン
水供給管１５が接続されている。

【００１０】オゾン水供給管１５は、ポンプ１６を介し
てオゾン水製造装置１７に接続され、このオゾン水製造
装置１７には、上記容器１内の液がオゾン水製造装置１
７に導かれるように上記第２排出管７が接続されてい
る。オゾン水製造装置１７は、オゾン発生装置１８が接
続され、このオゾン発生装置１８からのオゾンによって
例えばオゾン濃度が1ppm以上のオゾン水が製造されるよ
うように構成されており、製造されたオゾン水がポンプ
１６によってオゾン水供給管１５を介して容器１に供給
されるようになっている。

【００１１】そのオゾン水供給管１５の第４調節弁１
４、上記第１、第２及び第３調節弁８，９，１２には、
操作部１９が接続されている。この操作部１９は、医療
器具２を洗浄する場合には第１調節弁８と第３調節弁１
２が開、第２調節弁９と第４調節弁１４が閉となるよう
に弁を制御すると共に、洗浄後の医療器具２を滅菌する
場合には、第１調節弁８と第３調節弁１２が閉、第２調
節弁９と第４調節弁１４が開となるように制御するもの
で、このような制御が自動的に又は手動により行えるよ
うに構成されている。

【００１２】また、容器１が設置される室内には、その
室内にオゾンガスが万が一もれたときのために室内ガス
モニター２０が設置される。

【００１３】さて、手術用道具や歯科用道具等の医療器
具２を滅菌する場合には、医療器具２を容器１内の格納
網４に格納し、そして、操作部１９を介して調節弁８，
９，１２，１４を操作する。

【００１４】すると、第１調節弁８と第３調節弁１２が
開、第２調節弁９と第４調節弁１４が閉と制御される。
これにより、水道水が水供給管１３及び導管１１を介し
て噴射ノズル１０から医療器具２に向けて噴射され、医
療器具２の洗浄が行われる。医療器具２を洗浄した水は
第１排出管６から排水される。

【００１５】そして、医療器具２の洗浄が終わると、第
１調節弁８と第３調節弁１２が閉、第２調節弁９と第４
調節弁１４が開と制御される。これにより、オゾン水製
造装置１７で製造された例えばオゾン濃度が1ppm以上の
オゾン水がポンプ１６によってオゾン水供給管１５及び
導管１１を介して噴射ノズル１０に供給される。そのノ
ズル１０からオゾン水が医療器具２に向けて噴射され、
医療器具２に付着していた菌がオゾン水により滅菌さ
れ、医療器具２の滅菌が行われる。そのオゾンは、食
品、プール、下水処理等で殺菌の効果が実証されてい
る、例えばオゾン濃度が1ppmのオゾン水でブドウ球菌や
大腸菌等を殺菌することができるので、十分に医療器具
を滅菌することができると共に、短時間で分解するので
エチレンオキサイドガスに比して安全性もあり、簡易に
扱える。

【００１６】医療器具２を滅菌した水は、容器１内の下
部から第２排出管７に入り、再利用されるべくオゾン水
製造装置１７に導かれる。

【００１７】したがって、容器１に、その容器１内に格
納された医療器具２に向けて液を噴射する噴射ノズル１
０を設けることにより、第１、第２、第３及び第４調節
弁８，９，１２，１４を操作するだけで噴射ノズル１０
から水道水及びその洗浄後にオゾン水が医療器具２に向
けて噴射されるため、医療器具２を移動させることなく
医療器具２の洗浄と滅菌を行え、作業性がよくなると共
に、装置を簡易に扱うことができる。また、この容器１
に、上記噴射ノズル１０にオゾン水を供給すると共に使
用後のオゾン水を回収して再使用するオゾン水製造装置
１７を備えたため、使用後のオゾン水の処理工程が不要
となる上に、使用後のオゾン水を有効利用することが可
能となって経済性も向上する。さらに、この容器１にオ
ゾンガスを回収して大気中に放出するオゾンキラー３を
備えることにより、洗浄後の医療器具２を容器１から取
り出す際等に、容器１内に発生したオゾンガスが周囲に
拡散してオゾンガス臭による周辺環境の悪化や作業員に
対しての悪影響を未然に防止することができる。

【００１８】

【考案の効果】以上要するに本考案によれば、滅菌すべ
き医療器具を格納する容器と、洗浄水を医療器具に噴射
して洗浄し、次いで、オゾン水を噴射して滅菌する噴射
ノズルとを備えたので、作業性がよく、取扱いが容易な
医療用滅菌装置を提供できるという優れた効果を発揮す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す構成図である。

【符号の説明】

１ 容器 ２ 医療器具 １０ 噴射ノズル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 西野 洋一 東京都江東区豊洲三丁目２番16号 石川 島播磨重工業株式会社 豊洲総合事務所 内 (56)参考文献 特開 平３−106332（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−179592（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 滅菌すべき医療器具を格納する容器に、
   洗浄水を医療器具に噴射して洗浄し、次いで、オゾン水
   を噴射して滅菌する噴射ノズルと、この噴射ノズルにオ
   ゾン水を供給すると共に、上記容器で使用された後のオ
   ゾン水を回収して再利用するオゾン水製造装置と、上記
   容器内のオゾンガスを回収して放出するオゾンキラーと
   を備えたことを特徴とする医療用滅菌装置。