JP2547131B2 - 電動機の固定子用積層鉄心 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電動機の固定子に用い
る積層鉄心に係り、特に分離積層したそれぞれの積層磁
極鉄心部と、該積層磁極鉄心部を装着する積層ヨーク鉄
心部で構成された固定子の積層鉄心に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電動機の固定子鉄心は図４に示す
ように、プレス成形によって内側の多数の磁極１０と、
カシメ用突起１１とをプレス成形した固定子鉄心片１２
を多数枚積層重合して形成されていたが、磁極１０が内
側にあるので、巻線が困難となり、巻線作業の自動化も
困難となっていた。そこで、本出願人は先に特公昭５７
−１２３７８号公報に示すように、固定子鉄心を外側の
積層ヨーク鉄心部と、該積層ヨーク鉄心部に装着されて
各磁極毎に分割された積層磁極部とに分離し、巻線の自
動化を図れる回転電機の固定子の製造方法を提案した。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
公昭５７−１２３７８号公報において提案された回転電
機の固定子に用いた積層鉄心においては、内側の積層磁
極部が全部バラバラであるので、巻線及び装着の際に該
積層磁極部を所定位置に保持する為に治具を必要する等
して装置が複雑化し、更にはその製造工程も複雑化する
という問題点があった。本発明はかかる事情に鑑みてな
されたもので、特別に治具を必要とすることなく、各積
層磁極が所定間隔で保持され、しかもプレス作業や巻線
及び装着など組立を容易にした電動機の固定子用積層鉄
心を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項第
１項記載の電動機の固定子用積層鉄心は、内側に多数の
装着溝を備えたヨーク鉄心片をカシメ用突起で順次積層
重合してなる積層ヨーク鉄心部と、分割された複数の歯
状の磁極が形成され、しかも各群の隣合う磁極が部分的
に連結された磁極鉄心片をカシメ用突起で順次積層重合
し、前記装着溝に該磁極の外側が装着される積層磁極鉄
心部とを有し、前記積層磁極鉄心部は、前記磁極鉄心片
を順次積層して各群間に隙間を有する主部と、該主部の
上下に固着され、該主部に積層した磁極鉄心片と同一形
状の磁極鉄心片が円周方向に位相をずらして転積接合さ
れて、前記主部の隙間を連結している連結磁極部とを備
えている。

【０００５】

【作用】請求項第１項記載の電動機の固定子用積層鉄心
においては、積層磁極鉄心部の全磁極が２群以上に分割
され、しかも隣合う磁極を部分的に連結して形成された
磁極鉄心片を順次積層した主部と、該主部の上下に固着
された磁極鉄心片を転積接合した連結磁極部によってな
っているので、積層磁極鉄心部が組上がった状態では、
分割された主部が上下の連結磁極部によって金型内で結
合されて一体となる。従って、組上がった状態での各磁
極は一定の間隔を保ち、更には積層磁極鉄心部の外側は
開放されているので、巻線の際に治具を使用することな
く容易に巻線し得る作用がある。また、前記主部を構成
する磁極鉄心片と、上下の連結磁極部を構成する磁極鉄
心片とを同一形状としているので、プレス工程が簡略化
されるという作用を有する。

【０００６】

【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明
を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここに、図１は本発明の一実施例に係る電動機の固
定子用積層鉄心の製造工程を説明する為の概略斜視図、
図２は同平面図、図３は同斜視図である。

【０００７】まず、図１、図２を参照しながら、本発明
の一実施例に係る電動機の固定子用積層鉄心の製造及び
組立工程について説明する。図２はプレス成形によって
形成される磁極鉄心片及びヨーク鉄心片の形成工程を示
す珪素鋼板などからなるストリップ１５である。まず、
図２（Ａ）、（Ｂ）に示すようにパンチャー１６にて４
個のギャップ１７を形成し、次に、図２（Ｃ）に示すよ
うに磁極片を分割線１８によって磁極鉄心片１９ａ〜１
９ｅ（図１に示す）を打抜き、下部のブランクダイ（図
示せず）に抜き込む。なお、ここで打ち抜かれた磁極鉄
心片１９ａ〜１９ｅは同一形状となってそれぞれ３個の
磁極を有し、該磁極鉄心片内１９ａ〜１９ｅのそれぞれ
の隣合う磁極は部分的に連結されている。従って、この
実施例においては１２個の磁極を４群に分割して、各磁
極鉄心片１９ａ〜１９ｅには３個の磁極が形成されてい
ることになる。なお、それぞれの磁極鉄心片１９ａ〜１
９ｅには図示しない周知のカシメ用突起が磁極の割り出
し角度に応じて形成されて順次積層重合できるようにな
っている。

【０００８】前記ブランクダイにはブランクホルダーを
備えた回転機構が設けられ、放射状に等配列した磁極角
度に相当する角度（α度とする）回転できるようになっ
ている。図１に示すように、最下部の磁極鉄心片１９ａ
が該ブランクダイに抜き込まれるとα度回転し、２番目
の磁極鉄心片１９ｂがα度ずれて積層重合されるように
なっている。そして、２番目の磁極鉄心片１９ｂが積層
重合された後は、直ちに更に同一方向にα度回転して３
番目以降の磁極鉄心片１９ｃを積層重合している。そし
て、上部から３枚目の磁極鉄心片１９ｃを同一角度で積
層重合した後、前記ブランクダイがα度円周方向に回転
して上部から２枚目の鉄心１９ｄを積層重合し、直ちに
更にα度円周方向に回転して最上部の磁極鉄心片１９ｅ
を積層重合している。これによって、中間部に積層され
た多数の磁極鉄心片１９ｃからなる主部２０には、縦方
向に４個の隙間２１を有することになるが、上下の磁極
鉄心片１９ａ、１９ｂ及び磁極鉄心片１９ｄ、１９ｅに
よって形成される連結磁極部２２、２３によって連結さ
れているので、前記ブランクダイ内にて一体に組み立て
られた積層磁極鉄心部２４が形成されることになる。

【０００９】なお、図２（Ｄ）に示すように前記磁極鉄
心片１９ａ〜１９ｅが打ち抜かれたストリップ１５は、
図２（Ｅ）に示すようにパンチャー２５によって打ち抜
かれてヨーク鉄心片が形成される。このヨーク鉄心片を
順次積層重合して図３（Ｂ）に示すように積層ヨーク鉄
心部２６を形成する。この積層ヨーク鉄心部２６には前
記磁極の数に対応して装着溝２７が形成されているが、
該装着溝２７は例えば中拡がりのアリ溝となって、図３
（Ａ）に示す前記積層磁極鉄心部２４の外側部２８がそ
れぞれ軸方向から圧入できるようになっている。なお、
図３（Ｃ）にはこれらが組上がった電動機の固定子用積
層鉄心２９を示すが、図３（Ａ）の状態で挿入される巻
線は図示されていない。

【００１０】前記実施例は、磁極数が１２で分割群数は
４群であったが、本発明は磁極数に限定されず、更には
分割群数によっても限定されない。また、積層重合され
る磁極鉄心片のカシメ用突起の位置を微小ずらし、隣合
う磁極鉄心片によって形成される隙間（スキュー）をや
や斜めにした主部を上下の連結磁極部の間に備える場合
も本発明は適用される。

【００１１】

【発明の効果】請求項第１項記載の電動機の固定子用積
層鉄心は以上の説明からも明らかなように、積層磁極鉄
心部は上下の連結磁極部で連結されて一体となっている
ので、特別な治具を必要とせず、鉄心にコイルを装着す
ることができる。従って、設備を簡略化することができ
ると共に、作業効率を向上することができる。また、同
一形状の磁極鉄心片を主部及び該主部の上下に配置され
る連結磁極部に使用しているので、プレス工程が減少
し、設備費が削減され、またその組立の自動化も容易で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る電動機の固定子用積層
鉄心の製造工程を示す斜視図である。

【図２】同平面図である。

【図３】同斜視図である。

【図４】従来例に係る電動機の固定子用積層鉄心の斜視
図である。

【符号の説明】

１５ ストリップ １６ パンチャ
ー １７ ギャップ １８ 分割線 １９ａ 磁極鉄心片 １９ｂ 磁極鉄
心片 １９ｃ 磁極鉄心片 １９ｄ 磁極鉄
心片 １９ｅ 磁極鉄心片 ２０ 主部 ２１ 隙間 ２２ 連結磁極
部 ２３ 連結磁極部 ２４ 積層磁極
鉄心部 ２５ パンチャー ２６ 積層ヨー
ク鉄心部 ２７ 装着溝 ２８ 外側部 ２９ 電動機の固定子用積層鉄心

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内側に多数の装着溝を備えたヨーク鉄心
   片をカシメ用突起で順次積層重合してなる積層ヨーク鉄
   心部と、 分割された複数の歯状の磁極が形成され、しかも各群の
   隣合う磁極が部分的に連結された磁極鉄心片をカシメ用
   突起で順次積層重合し、前記装着溝に該磁極の外側が装
   着される積層磁極鉄心部とを有し、 前記積層磁極鉄心部は、前記磁極鉄心片を順次積層して
   各群間に隙間を有する主部と、該主部の上下に固着さ
   れ、該主部に積層した磁極鉄心片と同一形状の磁極鉄心
   片が円周方向に位相をずらして転積接合されて、前記主
   部の隙間を連結している連結磁極部とを備えることを特
   徴とする電動機の固定子用積層鉄心。