JP2546952Y2 - ディスカードのハンドリング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は押出プレスで製品を押出
した後のディスカードを含有合金成分に応じてディスカ
ード回収容器に振り分けるディスカードのハンドリング
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】押出プレスは，エンドプラテンに摺動自
在に取付けられたダイスライドと，このダイスライドに
保持されたダイスと，このダイスに一端を密着させうる
中空円筒状のコンテナと，このコンテナ内で摺動する押
出ステム等を備えており，素材である円柱状または円筒
状等のビレットをコンテナの中に入れてダイスの反対側
から押出用ステムで押すことによりビレットをダイスの
孔から押して壁材や円管等特定の断面形状を有する連続
材または長尺材を得るものである。

【０００３】この種の押出プレスにおいては，ビレット
が限度量まで押出された段階で押出ステムの前進を停止
し，その後，押出ステムを後退させ，続いてコンテナを
後退させてディスカードがダイスから突出した状態とす
る。次いで，エンドプラテンの上側に固設されたシャー
装置のシャーシリンダを作動させ，シャー本体を下降さ
せディスカードと製品とを切断，分離する。こうして，
製品と分離されたディスカードはシュートを介して下部
に落下し，コンベアを通って所望の位置まで搬送されて
いた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら，従来で
はディスカードの合金成分が変わる度に予め決められた
ディスカード回収容器を移動させコンベアの排出端下部
位置に置いてディスカードの回収を行なっていた。この
ため，多品種少量生産には適さず常に作業が煩雑になる
といった欠点があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような問題点を解決
するため，本考案では，押出プレスの製品押出用ダイス
の下方に設けられたシュートと，前記シュート内に落下
したディスカードを低い位置から高い位置へ搬送するエ
ンドレスコンベアと，前記エンドレスコンベアの上端排
出部に設けられたシュートと，前記ディスカードを含有
合金成分に応じてディスカード回収容器に振り分けるデ
ィスカード振り分け装置を配した構成にする。

【０００６】

【作用】ディスカードを第１シュートを介してコンベア
で搬送し，適宜，第２シュートおよび第４シュートを傾
転させ，予め合金成分に応じて決められたディスカード
回収容器に貯留する。

【０００７】

【実施例】まず，実施例に係る押出プレス装置の全体構
成について図１ないし図５を用いて説明する。図１は押
出プレス装置の要部平面図，図２は押出方向に沿って採
った断面図，図３はディスカード振り分け装置の斜視
図，図４はディスカード振り分け装置の正面図，図５は
コンベアの搬送体の斜視図である。符号１０はマシンベ
ースであり，一端側にエンドプラテン１２が固設され，
他端側にシリンダ取付ブロック１４が設置され，前記シ
リンダ取付ブロック１４に押出シリンダ１６が固設され
ている。エンドプラテン１２は，押出シリンダ１６に対
面する側の下部が突出してダイス支持部２０となってお
り，前記ダイス支持部２０上にはダイスライド２２がマ
シン幅方向にスライド自在に設置されている。このダイ
スライド２２にダイス２４が保持されている。

【０００８】ダイスライド２２は，エンドプラテン１２
の側方に設けられたシリンダ２５によりマシン幅方向に
移動される。そして，エンドプラテン１２の背面（押出
シリンダ１６側の面）に位置された押出運転位置と，エ
ンドプラテン１２の背面から抜出されたダイス交換位置
との間を往復可能とされている。エンドプラテン１２の
押出シリンダ１６と対面する側の上部にはブラケット２
６が固設されており，前記ブラケット２６に切断装置２
８が設けられている。前記切断装置２８は，後述するダ
イスのディスカードと製品部とを切断するためのもので
あり，シリンダ３０により上下方向にストロークされる
切断刃３２を備えている。

【０００９】前記エンドプラテン１２とシリンダ取付ブ
ロック１４とはコラム３４により連結されている。前記
コラム３４のエンドプラテン１２側の部分にはコンテナ
ガイド（図示略）が設けられており，該コンテナガイド
に沿って押出方向に移動自在にコンテナ３８が設置され
ている。前記コンテナ３８を押出方向またはそれと反対
方向に移動させるためにコンテナシリンダ（コンテナ移
動用シリンダ）４０がエンドプラテン１２に設けられて
いる。コンテナシリンダ４０のピストンロッド４２の先
端がコンテナホルダ３８Ａに連結されており，コンテナ
シリンダ４０のピストンロッド４２を前進および後退さ
せることにより，コンテナホルダ３８Ａを図１および図
２の左右方向に移動させることができる。なお，コンテ
ナホルダ３８Ａに装着されているコンテナ３８はビレッ
ト装填孔４４を有しており，前記ビレット装填孔４４内
にはコンテナスリーブ４６が装着されている。

【００１０】コンテナ３８の押出シリンダ１６側にはビ
レットローダ５２が設けられている。ビレットローダ５
２は駆動装置（図示略）によってステム進退域から退避
可能とされている。前記押出シリンダ１６はラム５８を
備えており，前記ラム５８の先端にヘッドプレート５６
および取付部材５４を介してステム６０が取付けられて
いる。シリンダ１６の上側にはオイルリザーバタンク６
２が設けられており，前記オイルリザーバタンク６２と
押出シリンダ１６の後端の作動油導入口６４とはプレフ
ィルバルブ６６にて接続されている。このプレフィルバ
ルブ６６にはバタフライバルブ６８が設置されている。
導入口６４には，前記導入口６４を開閉するための弁７
０が設置されている。この弁７０はシリンダ７２により
開閉作動される。押出シリンダ１６の側方にはサイドシ
リンダ７６，７８が設けられており，それらのピストン
ロッド８０，８２は前記ヘッドプレート５６に固着され
ている。

【００１１】符号９０はディスカードのハンドリング装
置であり，第１シュート９１，コンベア９２，第２シュ
ート１１１，およびディスカード振り分け装置９３から
構成される。後記するようにダイス２４より押出される
ビレット９６から押粕（以下ディスカードという）９７
を切断装置２８で切り離されたものは，第１シュート９
１を通って押出プレス１から排出されるディスカード９
７を搬送するディスカード搬送用のコンベア９２があ
る。そして，かかるコンベア９２の搬送面を提供する搬
送体９４は両端部に張架されるチェーン９５に取着され
ている。図５に示すように複数のスラット２を結合部に
係合部を設けて回転自在になるようそれぞれ結合するこ
とによって無端状に形成され，コンベア９２の両端の反
転部で屈曲して反転することができるように構成されて
いる。

【００１２】さらに，本実施例の場合には，コンベア９
２の最大傾斜角度が大きいため，搬送体９４の上面にデ
ィスカード９７の反搬送方向へのずり落ちを防止するウ
ェア８が，一定間隔で取着されている。無端状に形成さ
れたコンベア９２の一端は第１シュート９１に接続され
ており，ディスカード９７を第１シュート９１を介して
コンベア９２に供給可能となっている。また，コンベア
９２は途中から例えば４５度の傾斜角度を有した状態で
起立保持されている。コンベア９２の他端には第２シュ
ート用シリンダ１１０のロッド１１０ａの先端部に回動
自在に枢着された第２シュート１１１が傾転自在に配設
され，コンベア９２で搬送されたディスカード９７を後
記するディスカード振り分け装置９３を介してディスカ
ード回収容器９８Ａ，９８Ｂ，９８Ｃに貯留されるよう
に構成されている。

【００１３】また，コンベア９２の駆動は，スプロケッ
ト９９とモータ１００間にチェーン１０１を張架して行
なわれており，エンドレス状の搬送コンベア９２の傾斜
部の上端面に設置されたスプロケット９９の駆動によ
り，コンベア９２の上面が水平搬送側から傾斜搬送側へ
と移動されるようになっている。モータ１００は無段変
速機能を有している。コンベア９２の外周面は，コンベ
ア９２の搬送機能の主要部を直接回動に支持収納してい
る箱桶状の支持枠１０２内に収納されている。

【００１４】コンベア９２の傾斜搬送端部の下方にはコ
ンベア９２で搬送されたディスカード９７を含有する合
金成分に応じて予め決められたディスカード回収容器９
８に振り分けるディスカード振り分け装置９３が配設さ
れている。ディスカード振り分け装置９３は第３シュー
ト１２０，第４シュート１２１，第５シュート１２２お
よびシリンダ１０５から構成される。架台１２５の上部
をハの字状に形成し，その上に第３シュート１２０を一
方に，また第５シュート１２２を他方に配設し，両者を
離間させたまま反対方向に傾斜させて固設してある。前
記第３シュート１２０と第５シュート１２２間には第４
シュート１２１が傾転自在に配設されている。

【００１５】前記第４シュート１２１は架台１２５上に
固設されたブラケット１０６に回動自在に枢着されてお
り，一端を架台１２５の側方に縦方向に配設されたシリ
ンダ１０５のロッド１０５ａ先端部に回動自在に枢着さ
れている。このため，シリンダ１０５の伸縮により第４
シュート１２１は左右どちらか一方に傾転されるように
構成されている。なお，符号１０８は台車を示す。

【００１６】このように構成されるディスカードのハン
ドリング装置の作用は次のようになる。図１および図２
に示す状態から押出しを行なうには，まず押出シリンダ
１６のラム５８を前進させてステム６０を前進させ，ビ
レット９６をコンテナ３８のビレット装填孔４４内に装
填する。このラム５８の前進時には弁７０が開放され，
ラム５８はサイドシリンダ７６，７８により前進され
る。ラム５８の前進に伴って，オイルリザーバタンク６
２から多量の作動油がプレフィルバルブ６６を経て押出
シリンダ１６内に流入する。次に，ビレットローダ５２
をコンテナ３８と押出シリンダ１６との間の位置から退
避させる。なお，コンテナ３８は予めコンテナシリンダ
４０によりダイス２４と密着（接触）するように移動さ
れている。このようにビレット９６の装填が終了した
後，ラム５８をさらに前進させ，ビレット９６を強力に
押圧してダイス２４から押出す。このラム５８の強力な
前進に際しては，弁７０は閉弁され，代わりに別のバル
ブを経由して作動油圧が押出シリンダ１６内に供給され
る。

【００１７】ビレットの押出しが終了した後，コンテナ
シリンダ４０を作動させてコンテナ３８をダイス２４か
ら離反させるように移動させ，ディスカード９７がコン
テナ３８から外れた位置からメインラム５８を後退させ
る。次いで，切断装置２８のシリンダ３０を作動させ，
切断刃３２を下降させることにより製品とディスカード
９７とを切断する。切断終了後，シリンダ３０により切
断刃３２を図２の待機状態まで上昇させる。また，その
後，ラム５８を所定の待機位置まで後退させるととも
に，コンテナ３８をダイス２４に密着させ，次回の押出
プレス工程に移行する。

【００１８】一方，切断装置２８によって製品と分離，
切断されたディスカード９７は第１シュート９１を介し
てコンベア９２の水平搬送端部に落下する。コンベア９
２は前もって回動しており，コンベア９２上に落下した
ディスカード９７は傾斜搬送側へ移動される。本実施例
において，まず３つのディスカード回収容器９８Ａ，９
８Ｂ，９８Ｃを用い，予め各ディスカード回取容器９８
に貯留される合金成分を決めておく。すなわち，ディス
カード回収容器９８の数はビレット９６に含有される主
な合金成分によって決定される。まず，ディスカード９
７をディスカード回収容器９８Ａに貯留する場合につい
て述べる。まず予め，図３および図４に示すようにシリ
ンダ１０５に圧縮空気を導入して第４シュート１２１を
傾転させ，第３シュート１２０と第４シュート１２１を
連接する。さらに，第２シュート用シリンダ１１０のロ
ッド１１０ａ側に圧縮空気を導入して後退させ図３に示
すような位置に第２シュート１１１の傾転角度を決め
る。

【００１９】一方，搬送コンベア９２は押出プレス１に
てディスカード９７が排出される限り継続して回動して
おり，コンベア９２の傾斜搬送端側へ搬送されたディス
カード９７は第２シュート１１１→第４シュート１２１
→第３シュート１２０を介してディスカード回収容器９
８Ａに次々と貯留される。ここで，ビレット９６の合金
成分が変わると，第２シュート用シリンダ１１０のロッ
ド１１０ａを伸張させて図３の二点鎖線で示す位置まで
第２シュート１１１を傾転させ，コンベア９２から落下
したディスカード９７を第２シュート１１１を介して，
直接，ディスカード回収容器９８Ｂに貯留される。

【００２０】本実施例では，さらに，ビレット９６の合
金成分が変わると，シリンダ１０５のロッド１０５ａ側
に圧縮空気を導入してロッド１０５ａを後退させ，第４
シュート１２１を傾転する。このため，第４シュート１
２１と第５シュート１２２は連接される。また，第２シ
ュート１１１は図３に実線で示す状態に再度保持され
る。この状態で前記同様にコンベア９２の傾斜搬送端側
へ搬送されたディスカード９７は第２シュート１１１→
第４シュート１２１→第５シュート１２２を介してディ
スカード回収容器９８Ｃに次々と貯留される。ディスカ
ード回収容器９８に貯留されたディスカード９７は合金
成分毎に再溶解して再使用に供される。

【００２１】

【考案の効果】以上述ベたことからも明らかなように，
本考案では，押出プレスの製品押出用ダイスの下方に設
けられたシュートと，前記シュート内に落下したディス
カードを低い位置から高い位置へ搬送するエンドレスコ
ンベアと，前記エンドレスコンベアの上端排出部に設け
られたシュートと，前記ディスカードを含有合金成分に
応じてディスカード回収容器に振り分けるディスカード
振り分け装置を配したことにより，ディスカードの回収
作業が容易となり，多品種少量生産にも容易に対応でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】押出プレス装置の要部平面図である。

【図２】押出プレスを押出方向に沿って採った断面図で
ある。

【図３】ディスカード振り分け装置の斜視図である。

【図４】ディスカード振り分け装置の正面図である。

【図５】コンベアの搬送体の斜視図である。

【符号の説明】

１ 押出プレス ２ スラット ８ ウェア １６ 押出シリンダ ２４ ダイス ２８ 切断装置 ３８ コンテナ ５２ ビレットローダ ９０ ディスカードのハンドリング装置 ９１ 第１シュート ９２ コンベア ９３ ディスカード振り分け装置 ９５，１０１ チェーン ９６ ビレット ９７ ディスカード ９８Ａ，９８Ｂ，９８Ｃ ディスカード回収容器 １００ モータ １０５ シリンダ １１１ 第２シュート １２０ 第３シュート １２１ 第４シュート １２２ 第５シュート

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 押出プレスの製品押出用ダイスの下方に
   設けられたシュートと，前記シュート内に落下したディ
   スカードを低い位置から高い位置へ搬送するエンドレス
   コンベアと，前記エンドレスコンベアの上端排出部に設
   けられたシュートと，前記ディスカードを含有合金成分
   に応じてディスカード回収容器に振り分けるディスカー
   ド振り分け装置を配したことを特徴とするディスカード
   のハンドリング装置。