JP2545642C - - Google Patents

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JP2545642C
JP2545642C JP2545642C JP 2545642 C JP2545642 C JP 2545642C JP 2545642 C JP2545642 C JP 2545642C
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glass
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film
protective film
fluorocarbon
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ガラスに関するものである。さらに詳しくは、家、または自動車、
電車、飛行機等の乗り物に用いられている窓ガラスや鏡、またはガラス容器や眼
鏡等のガラス表面が、直接、または保護膜を介して、フッ素を含む界面活性剤よ
りなる単分子膜状の被膜で覆われている、撥水撥油性に優れたガラスを提供する
ものである。 従来の技術 従来より、ガラス表面の撥水撥油性を改善する方法には、ガラス表面にSi系
界面活性剤を塗布したり(たとえば特開昭55−9652号公報)、フルオロカ ーボン系ポリマーの懸濁液を塗布する方法が用いられてきた。 発明が解決しようとする課題 しかしながら、前記従来の塗布方法は、製造が容易である反面、シリコン系界
面活性剤では撥油性が乏しく、フルオロカーボン系ポリマー膜は表面エネルギー
が極めて小さく、ガラスに対して反応に乏しいため、ガラス表面と塗膜の密着性
を良くすることには限界があり、耐久性のよい塗膜は得られないという課題があ
った。特に、塗膜にピンホールが混在した場合、このピンホールが引金となり膜
剥がれが生じ易かった。 以上のような従来法の欠点に鑑み、本発明の目的は、表面に均一に且つピンホ
ール無くフルオロカーボン基を含む界面活性剤よりなる単分子膜状の耐剥離強度
の高い撥水撥油膜を備えた防汚性ガラスを提供することにある。 課題を解決するための手段 前記目的を達成するため、本発明のガラスは、下記一般式[1] (式中、m=1〜15、n=0〜15、ただしm+n=10〜30の各整数を表
わす) または下記一般式[2] (式中、m=1〜8、n=0〜2、ただしm+n=1〜10、p=5〜25の各
整数を表し、Aはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わす。) で表わされる有機基がナノメーターレベルの膜厚の単分子膜で、親水性基を表面
に有するガラス基材の最表面または親水性基を有する保護膜で覆われたガラス基
材の最表面に酸素または窒素原子を介して化学結合してなることを特徴とする。 前記した本発明のガラスを得るには、下記一般式[3] F(CF2m(CH2nSiRq3-q [3] (式中、m=1〜15、n=0〜15、ただしm+n=10〜30の各整数を示 し、Rはアルキル基を表し、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表わす) または下記一般式[4] F(CF2m(CH2nA(CH2pSi(CH3q3-q [4] (式中m=1〜8、n=0〜2、ただしm+n=1〜10、p=5〜25、q=
0〜2の各整数を示し、Aはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わし
、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表わす。) で表わされるシラン系界面活性剤を用いて、ガラス表面と反応一体化させる。 作用 本発明のガラスでは、表面にはフッ化炭素基が露出し、ガラスや保護膜との界
面ではガラスや保護膜と共有結合した、すなわち基材と一体になった実用上剥離
しないナノメーターレベルの膜厚の撥水撥油性の被膜が形成されている。したが
って、ガラス本来の透明性や光沢が生かされ、且つ耐久性に優れた防汚効果を発
揮できる作用がある。 さらに、本発明のガラスでは、表面がフッ化炭素の有機基で覆われているため
、表面の摩擦係数が低くなりガラス自体の耐擦傷性が向上する作用もある。 実施例 以下、実施例を第1〜6図を用いて説明する。以下の実施例において%は重量
%を意味する。 例えば、第1図に示すように、あらかじめよく洗浄したガラス基材1(例えば
強化ガラス板)を用意しておく。一方、80%n−ヘキサデカン、12%四塩化
炭素、8%クロロホルムよりなる有機溶媒の混合溶液にビニル基2(CH2=C
H−)を含むシラン界面活性剤、たとえば、CH2=CH−(CH2n−SiC
3(n:整数。10〜20程度が最も扱いやすい)を3×10-3〜5×10-2
M程度の濃度で溶かした化学吸着液を調整しておき、前記ガラス基材1を室温で
1時間程度浸漬する(このとき、ガラス基材は必ずしも化学吸着液に浸漬する必
要はなく、液を塗布したりスプレーして、化学吸着液とガラス基材を接触させて
おけば良い)と、第1図に示したようにガラス基体1表面は水酸基を含んでいる
ため、クロロシラン系界面活性剤のクロロシリル基と水酸基とが反応して表面に
下記式[5]の結合が生成され、ビニル基2を含んだ単分子膜状の保護膜3a が酸素原子を介して化学結合した形で、一層の保護膜として形成された。厚さは
20〜30オングストローム(2〜3nm)であった。 次に、酸素またはN2を含んだ雰囲気中で(空気中でもよい)、このガラス基
体をエネルギー線(電子線、X線、γ線、紫外線若しくはイオン線)で3Mra
d程度照射し、第2図に示したようにビニル基部2に水酸(−OH)基4(酸素
雰囲気の場合)、または第3図に示したようにアミノ(−NH2)基5(窒素雰
囲気の場合)を導入した。なお、雰囲気が空気の場合はこの両者が生成する。 なお、これらの官能基がビニル基に付加することは、FTIR分析により確認
された。 また、このとき表面に並んだビニル基は、O2及び/またはN2を含んだプラズ
マ中で処理する方法でも、第2図に示したような−OH基を付加させた単分子吸
着保護膜3b、または第3図に示したような−NH2基を付加させた単分子吸着
保護膜3cを形成できる。 最後に、フッ化炭素基を含むシラン系の界面活性剤として下記一般式[6] F(CF2m(CH2nSiRq3-q [6] (式中、m=1〜15、n=0〜15、m+n=10〜30、q=0〜2の各整
数を示し、Rはアルキル基を表わし、XはF,Cl,Br,I等のハロゲン原子
またはアルコキシ基を表わす。なお前記において、m+nが10未満であると分
子鎖がみじか過ぎて配向しにくくなり、また30を越えると流動性が失われる。
またRはメチル基のような低級アルキル基である。) または下記一般式[7] F(CF2m(CH2nA(CH2pSi(CH3q3-q [7] (式中、m=1〜8、n=0〜2、m+n=1〜10、p=5〜25、q=0〜
2の各整数を示し、Aはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わし、X
はF,Cl,Br,I等のハロゲン原子またはアルコキシ基を表わす。なお前記 において、m+nが1未満及びpが5未満であると分子鎖がみじか過ぎて配向し
にくくなり、またm+nが10を越えかつpが25を越えると流動性が失われる
。) で表わされる物質、例えばフッ化炭素基とクロロシリル基を含む下記式[8] CF3CH2O(CH215SiCl3 [8] を用い、あらかじめ作製しておいた80%n−ヘキサデカン、12%四塩化炭素
、8%クロロホルムよりなる有機溶媒の混合溶液に2×10-3〜5×10-2M程
度の濃度で溶かした化学吸着液を調製し、前記単分子吸着保護膜3b、もしくは
3cが形成されたガラス基体1を1時間程度室温で浸漬すると(このときも、ガ
ラス基材は必ずしも化学吸着液に浸漬する必要はなく、液を塗布したりスプレー
して、化学吸着液とガラス基材を接触させておけば良い)、第2図に示したよう
に表面に−OH基や、第3図に示したように表面に−NH2基が露出しているた
め、フッ化炭素基を含むクロロシラン系界面活性剤のクロロシリル基と−OH基
または−NH2基とが脱離反応して表面に下記式[9] の結合、または下記式[10] の結合が生成され、ガラス基体の表面にフッ化炭素基を含む単分子吸着膜6が、
第4図に示したような下層の単分子吸着保護膜3dと層間で化学結合した状態で
単分子累積膜7として形成でき、もしくは第5図に示したような下層の単分子吸
着保護膜3eと層間で化学結合した状態で単分子累積膜8として形成できた。 なお、表面の撥水撥油性膜とガラス基体の間に保護膜を必要としない場合には
、第1回目の化学吸着工程で、フルオロカーボン基を含むクロロシラン界面活性
剤を用いて、ガラス表面にフルオロカーボン基を含む単分子吸着膜のみ1層形成 することができた。 一方、複数層の単分子保護膜を必要とする場合には、吸着試薬としてCH2
CH−(CH2n−SiCl3を用い、化学吸着と放射線照射の工程を繰り返し
た後、最後に吸着試薬としてフルオロカーボン基を含むクロロシラン系界面活性
剤を吸着すれば、必要とする層数の保護膜を介して最表面にフルオロカーボン基
を含む単分子吸着膜が累積形成されたガラスを作製できた。 なお、上記実施例では、最表面に形成すべきフッ化炭素基を含むシラン系界面
活性剤としてCF3CH2O(CH215SiCl3を用いたが、これ以外にも例え
ば CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3 F(CF24(CH22Si(CH32(CH29SiCl3 CF3COO(CH215SiCl3 CF3(CF27(CH22SiCl3 等が利用できた。また、上記物質においてクロロシリル基をアルコキシシリル基
に置換した物質をそれぞれ用いてもガラス基体表面に同様の被膜を形成できた。 次に、吸着形成した種々の単分子膜の臨界表面エネルギーを求めるために、い
ろいろな表面張力を持った各種液体を用い、液滴の濡れ角度による評価(自動接
触角計(協和界面科学(株)製))を行った。結果を第6図に示す。なお、第6
図では測定した接触角のcosθと液滴の表面張力との関係で示した。前記第6
図を用いると、各種被膜の臨界表面エネルギーを、それぞれのデータをcosθ
が1.0になるまで外挿することで求めることができる。 第6図より明らかなように、臨界表面エネルギーは被膜に含まれるフッ素の数
が多くなるほど小さくなり、フッ素の数が9以上では約17dyne/cm以下
となった。この値は、ポリ4フッ化エチレン(約18dyne/cm:機能性含
ふっ素高分子、日刊工業新聞社刊)のそれより小さく、これら被膜の表面では撥
水撥油性が極めて高いことが確認できた。 さらに、この表面の水に対する濡れ角度を測定すると、基材表面の粗さにも依
存するが100〜150度となった。 従って、このガラス窓を用いれば乗り物の窓ガラスをワイパーレス化できたり 、眼鏡表面の曇を防止できる。 なお第6図中、 F17は、F(CF28Si(CH32(CH29SiCl3、 F9は、F(CF24(CH22O(CH215SiCl3、 F3は、CF3COO(CH215SiCl3、 NTSは、CH3(CH219SiCl3、 でそれぞれ作成された被膜を示す。 なお、上記実施例では、基材に強化ガラスを用いたが、本発明の方法は、家、
または自動車、電車、飛行機等の乗り物に用いられている窓ガラスや鏡、または
ガラス容器やレンズ等のガラス表面、その他撥水撥油性を必要としたガラス表面
の改質を目的とする全てのガラスに応用できる。また、無色透明なガラスに限定
されるものでもなく、例えば表面を粗面化したすりガラスや、さらに着色された
色ガラス、またはガラス繊維等でもよい。 要するに本発明は、親水性基を表面に有するガラスと、フルオロカーボン基を
含有するシラン界面活性剤とを化学吸着法を用いてガラス表面に化学結合させる
技術であれば、全て範疇にはいる。 なお保護膜は必ずしも単分子膜である必要はない。塗装された有機薄膜、その
他ゾルゲル法を用いたシリカコート膜や透明性の蒸着膜でもよい。ただし、表面
が親水性でない場合には、コロナ照射或はスパッタリング等の通常の手法により
表面を親水性にした後、本発明のフルオロカーボン基含有シラン界面活性剤を作
用させる必要がある。 発明の効果 本発明のガラスでは、ガラスまたは保護膜を有したガラスの表面にフルオロカ
ーボン基を含むクロロシラン系またはフルオロカーボン基を含むアルコキシシラ
ン系界面活性剤を吸着反応させて、表面にはフッ化炭素基が露出し、ガラスや保
護膜との界面ではガラスや保護膜と共有結合した、すなわち基材と一体になった
ナノメーターレベルの膜厚の撥水撥油性の被膜を形成できるので、ガラスの透明
性や光沢を損なうことなく、防汚性が高く且つ実用上剥離しない耐久性に優れた
ガラスを提供できる効果がある。 さらに、本発明のガラスでは、表面がフッ化炭素の有機基で覆われているため
、表面の摩擦係数が低くなりガラス自体の耐擦傷性が向上するので、基材ガラス
そのものよりもさらに強靭性を向上できる効果もある。
【図面の簡単な説明】 第1図〜第5図は、本発明の一実施例の化学吸着膜作成時のガラス表面の状態
を分子レベルまで拡大した工程断面概念図、第6図は各種化学吸着膜の表面エネ
ルギーを求めるためにそれぞれの被膜上で測定した、各種表面張力を有する液滴
に対する接触角のcosθをプロットした図である。 1 ガラス基体 2 ビニル基 3a,3b,3c 単分子吸着保護膜 3d,3e 下層の単分子吸着保護膜 4 水酸基 5 アミノ基 6 フルオロカーボン基を含む単分子吸着膜 7,8 単分子累積膜

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)下記一般式[1] (式中、m=1〜15、n=0〜15、ただしm+n=10〜30の各整数を表
    わす) または下記一般式[2](式中、m=1〜8、n=0〜2、ただしm+n=1〜10、p=5〜25の各
    整数を表し、Aはジメチルシリル基(−Si(CH32−)を表わす。) で表わされる有機基がナノメーターレベルの膜厚の単分子膜で、親水性基を表面
    に有するガラス基材の最表面または親水性基を有する保護膜で覆われたガラス基
    材の最表面に酸素または窒素原子を介して化学結合してなることを特徴としたガ
    ラス。

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