JP2544552B2 - アルコ―ルの製造法 - Google Patents

アルコ―ルの製造法

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JP2544552B2 JP3234651A JP23465191A JP2544552B2 JP 2544552 B2 JP2544552 B2 JP 2544552B2 JP 3234651 A JP3234651 A JP 3234651A JP 23465191 A JP23465191 A JP 23465191A JP 2544552 B2 JP2544552 B2 JP 2544552B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油脂又は脂肪酸エステ
ルを原料とし、エステル還元触媒の存在下、水素で接触
還元するに際し、予めNi触媒で硫黄化合物濃度を低減し
た原料を使用することにより、エステル還元触媒の活性
寿命を高めることを可能とするアルコールの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】油脂
(本発明において、油脂とはトリグリセライドを言
う。)およびそれから誘導される脂肪酸エステル(本発
明において、脂肪酸エステルとは、トリグリセライド以
外の、脂肪酸と低級又は高級アルコールとのエステルを
いう。)は、通常少なくとも数ないし数10ppm の硫黄分
を含有している。これらの原料油をエステル還元触媒の
存在下、水素で接触還元し、アルコールを製造する場
合、原料油中に含まれる微量の硫黄化合物は触媒毒とし
て作用し、エステル還元触媒の活性寿命を著しく低下さ
せる。
【0003】そこで、本発明者らはアルコール製造原料
となる油脂又は脂肪酸エステル中に含まれる硫黄化合物
濃度を低減すべく、前述の精製処理方法について検討を
加えたところ、以下のような問題点が明らかとなった。
【0004】(1) 蒸留精製処理の問題点 天然油脂から常法によって誘導した脂肪酸メチルエステ
ルを蒸留した場合、90%収率で硫黄化合物は初期含有濃
度の10%に、また98%収率で20%に低減可能である。し
かし、通常入手あるいは製造し得る脂肪酸メチルエステ
ルで合目的レベルに硫黄化合物濃度を低減しようとする
場合、5%以上の蒸留ロスは不可避であり、また原料ア
ルキル分布も大きく変化するという問題が生じる。
【0005】また、油脂又は脂肪酸と高級アルコールと
のエステルの蒸留の場合、これらは沸点が高いので、蒸
留方法によってこれらに含有される硫黄化合物を除去す
ることは、実質的に困難であった。
【0006】(2) 脱硫触媒による精製処理の問題点 モリブデン又はタングステン系触媒は、石油精製の分野
において、軽油あるいは重油中の硫黄化合物の除去に使
用されている(触媒プロセス化学、東京化学同人出
版)。
【0007】しかし、これらの触媒は、脱硫活性を得る
ためには、 300℃以上の高温を必要とする。
【0008】このような高温で油脂や脂肪酸エステルを
水素化処理した場合、エステル基の水素化分解に伴い、
酸価(AV)の上昇や原料分解物が著しく増加するという
問題が生じるとともに、生成脂肪酸により脱硫触媒成分
の溶出が起き、エステル還元反応時に選択性の面で悪影
響を与えるという問題を生ずる。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは油
脂およびそれから誘導される脂肪酸エステルを還元し、
アルコールを製造する工程において、原料油中の硫黄化
合物濃度を合目的レベルに低減するための精製技術を確
立すべく、鋭意研究を重ねた結果、油脂又は脂肪酸エス
テルをNi触媒により、水素又は水素と不活性ガスとの混
合ガス雰囲気下で、さらに好ましくは炭素数1ないし18
の一価又は多価アルコールの存在下で処理することで、
目的に適った原料油を歩留り良く製造できることを見出
し、本発明を完成した。
【0010】即ち、本発明は油脂又は脂肪酸エステルを
原料とし、エステル還元触媒の存在下、水素で接触還元
してアルコールを製造するに際し、油脂又は脂肪酸エス
テルを水素又は水素と不活性ガスとの混合ガス雰囲気
下、予めNi触媒の存在下、50〜200 ℃の温度で処理して
処理油中の硫黄分濃度を0.6ppm以下とした低硫黄分濃度
の原料を使用することを特徴とする高品質なアルコール
の製造方法を提供するものである。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。油脂およ
びそれから誘導される脂肪酸エステルを、エステル還元
触媒の存在下、水素で接触還元し対応する脂肪族アルコ
ールを製造する場合、原料油の品質により触媒寿命が大
きく影響を受ける。そこで、本発明者らはこれら原料油
中の不純物で、エステル還元触媒の寿命に大きく影響を
与える物質について詳細に検討したところ、触媒毒とし
て従来公知の硫黄化合物、ハロゲン化物以外に遊離の脂
肪酸が極めて強い触媒毒性を示すことを見い出した。硫
黄化合物およびハロゲン化物は一般に水素化反応用触媒
の触媒毒として良く知られており、反応に際してはこれ
らの触媒毒を極力低減することが望ましい。ここで、通
常入手し得る原料油はハロゲン化物をごく微量しか含有
しないため、硫黄化合物濃度の低減が最も重要となる。
また、工業的に用いられているエステル還元触媒は銅−
クロム系あるいは銅−亜鉛系触媒であり、このため遊離
の脂肪酸による腐食を受けやすい。従って、原料油中の
脂肪酸濃度も極力低減することが重要である。
【0012】そこで、原料油中の硫黄化合物および遊離
脂肪酸の許容濃度を調べるため、ヤシ油あるいはパーム
核油から常法によって誘導されたメチルエステルを原料
に、銅−クロムおよび銅−亜鉛触媒を用い、検討を行っ
た。ここで、比較には上記原料を蒸留した(蒸留収率90
%)、硫黄分が 0.3ないし0.4ppmで、酸価 (AV, KOHmg
/g)が 0.1以下のメチルエステルを使用している。この
結果、硫黄分が0.6ppm以下、更に好ましくは0.3ppm以
下、また酸価(AV)が2以下の原料であれば、蒸留メチル
エステルとほぼ同等の触媒寿命を確保できることを見い
出した。
【0013】油脂およびそれから誘導される脂肪酸エス
テル中に含まれる硫黄化合物は、吸着剤処理、アルカリ
処理あるいはスチーミング処理等の通常の精製処理を経
ても完全に除去することはできない。これらの方法によ
り、充分な精製処理を行った場合でも、3ないし5ppm
程度の硫黄分が残留する。このため、硫黄分をこれ以上
低減しようとしても、通常の精製処理では無理であり、
従って現状では、蒸留精製を行う以外には手段が無かっ
たものと言える。一方、遊離の脂肪酸は吸着剤処理、ア
ルカリ処理あるいはスチーミング処理等の通常の精製処
理で容易に低減可能である。
【0014】本発明は、油脂およびそれから誘導される
脂肪酸エステル中に含まれる硫黄分を低減するための、
蒸留精製法に代わる安価で効率的な精製処理方法を提供
するものである。尚、本発明において使用される脂肪酸
エステルについては、Ni触媒存在下、特定条件にて処理
する工程に先立って、予め蒸留した脂肪酸エステルを使
用してもよいことは言うまでもない。ここでいう脂肪酸
エステルとしては、脂肪族カルボン酸の低級又は高級ア
ルコールエステルが挙げられる。また、このようなアル
コールとして、例えば炭素数が1以上の直鎖又は分岐鎖
の飽和又は不飽和アルコールが用いられる。
【0015】本発明において使用される油脂としては、
例えばヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ
油、牛脂、豚脂、若しくは魚油等の動植物油脂、又はこ
れらの硬化油が挙げられる。又、本発明において使用さ
れる脂肪酸エステルにおいて、酸部分としては、ラウリ
ル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エ
イコサン酸、ドコサン酸、オレイン酸又はエルカ酸等が
挙げられ、アルコール部分としては、メタノール、エタ
ノール、 1−プロパノール、 2−プロパノール、 1−ブ
タノール、 2−ブタノール、 2−エチルヘキサノール、
2,2−ジメチル− 1.3−プロパンジオール、エチレング
リコール、プロピレングリコール、 1,4−プタンジオー
ル、 1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、
シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレン
グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が
挙げられる。
【0016】〔脱硫工程〕本発明において使用されるNi
触媒は、通常担体に担持あるいは担体と混合されたもの
であり、Ni含量は担体成分に対し10ないし200 重量%と
する。ここで用いられる担体は、シリカ、アルミナ、シ
リカアルミナ、ゼオライト、珪藻土、活性白土、チタニ
ア、ジルコニア、活性炭などの公知の担体から選ばれ
る。担体成分を含むNi触媒は、処理反応方式に応じて、
粉末触媒あるいは球状もしくは円柱状等に成形された触
媒から適宜選ばれ、使用に供される。これらの触媒は水
素で還元活性化し、使用する。また、場合によっては公
知の方法で予め還元活性化および安定化処理を施した触
媒をそのまま、あるいは再度還元活性化した後に使用し
ても良い。
【0017】該処理反応方式については、連続、半回分
あるいは回分のいずれの方法も採用可能であるが、大量
に処理を行う場合は、特に連続方式が適する。連続方式
の場合、固定床、移動床、流動床方式等、例えば石油精
製における接触脱硫、接触分解もしくは接触改質等、広
く実用化されている反応方式が適用できる。一般に、原
料油中の硫黄分濃度が比較的低い場合、高濃度の触媒が
利用できる固定床方式が特に好ましく、また原料油中の
硫黄化合物濃度が高い場合、性能の低下した触媒を連続
的に交換できる移動床および流動床方式でも行なうこと
ができる。
【0018】油脂あるいはそれから誘導される脂肪酸エ
ステルは、Ni触媒の存在下、例えば固定床連続反応方式
にて次のような条件のもとで処理される。
【0019】処理流通ガスは、水素あるいは水素を1容
量%以上含む不活性ガス混合物であり、不活性ガスとし
て、窒素、アルゴン、ヘリウム及びメタン等が挙げられ
る。水素あるいは水素混合ガスの流量は、処理原料油の
鹸化価(SV)から計算されたエステル基のモル数に対す
る水素のモル比で 0.1ないし300 倍になるような範囲で
任意に決定される。また、流通ガス圧力は 0.1Kg/cm2
ないし500 Kg/cm2、より好ましくは1Kg/cm2 ないし3
00 Kg/cm2 とする。エステル基に対する水素のモル比
が小さくなると、酸価(AV)の増加が顕著となる。
【0020】処理温度は50ないし250 ℃の範囲内におい
て決定されるが、温度が低い場合、硫黄化合物の除去効
率およびNi触媒寿命が低下する。また、高温になると酸
価(AV)の増加が認められる上、原料油の分解に伴う副
生成物量が多くなるため、 200℃以下で処理を行うこと
が望ましい。
【0021】処理原料油である油脂あるいは脂肪酸エス
テルの流通速度は、1時間当り反応塔容積比で0.1 ない
し 5.0(LHSV:液空間速度、以下LHSVと略す。)とする
が、小さくなるほど硫黄化合物の除去効率は上がるもの
の、逆に酸価(AV)の増加が顕著となり、また生産性の
点でも不利となる。
【0022】以上のような条件のもとで、油脂およびそ
れから誘導される脂肪酸エステル中の硫黄化合物の精製
除去を行った場合、硫黄分を0.6ppm以下に維持するため
には、精製処理条件の選定において、酸価(AV)が高く
なることが予想される条件での運転も当然考えられる。
従って、酸価(AV)の増加を抑制する必要があるような
条件で精製処理を行う場合、原料油中に予め炭素数1な
いし18の一価もしくは多価アルコールを混合しても差し
支えない。この方法によると、原料油の精製処理中に生
成した遊離の脂肪酸とアルコールのエステル化反応が進
行することにより、合目的レベル迄酸価(AV)を低下さ
せることが可能となる。原料油中へのアルコールの添加
量は、当該反応条件で生成あるいは予想される遊離脂肪
酸に対し10ないし1000モル倍、より好ましくは20ないし
500 倍とすることができる。ここで用いられる、炭素数
1ないし18の一価もしくは多価アルコールとは、例えば
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、ブタノール、2級ブタノール、3級ブタノール、
ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノ
ール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、
ヘキサデカノール、オクタデカノールあるいはエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、
およびグリセロール等をいう。
【0023】〔接触還元によるアルコール生成工程〕本
発明において開示された精製処理に従い、得られた硫黄
分0.6ppm以下および酸価(AV)2以下の油脂あるいは脂
肪酸エステルは、次に銅系のエステル還元触媒を用いて
水素で接触還元することにより対応するアルコールへ誘
導される。銅系のエステル還元触媒とは、例えば銅−ク
ロム、銅−亜鉛、銅−鉄−アルミ、銅−シリカ等の公知
の触媒に代表される銅を主成分とする触媒を指す。エス
テル還元反応は、上記触媒の存在下、液相懸濁床あるい
は固定床のいずれの反応方式で行っても良い。
【0024】接触還元条件については、従来公知の方法
で良いが、液相懸濁床の反応方式を採用する場合、触媒
量は油脂又は脂肪酸エステルに対し 0.1ないし20重量%
が好ましいが、反応温度あるいは反応圧力に応じ、実用
的な反応速度が得られる範囲内において任意に選択でき
る。反応温度は 160ないし350 ℃、好ましくは 200ない
し280 ℃である。反応圧力は1ないし350 Kg/cm2 、好
ましくは30ないし300Kg/cm2 である。
【0025】また、固定床反応方式を採用する場合、円
柱状、ペレット状あるいは球状に成形された触媒が用い
られる。反応温度は 130ないし300℃、好ましくは 160
ないし270 ℃である。反応圧力は 0.1ないし300 Kg/cm
2 である。ここで、反応条件に応じ液空間速度(LHSV)は
任意に決定されるが、生産性あるいは反応性を考慮した
場合、 0.5ないし5の範囲が好ましい。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 参考例1〔脱硫工程〕 直径 1.5mm、長さ3〜6mmに押し出し成形された市販の
ニッケル・シリカ−アルミナ触媒〔日産ガードラー
(株)製、Ni含量は50重量%〕270cc を、内径28mmの高
圧反応管に充填し、 150ないし155 ℃の温度で、5ない
し60容量%の水素を含有する窒素ガスを常圧下、流速約
140 l/1時間で 7.5時間流通し、触媒の前処理を行
う。この後、ヤシ脂肪酸メチルエステルと水素含有ガス
を下向き並流に流通させながら、原料エステル中に含ま
れる硫黄化合物の除去を種々の条件下で行った。ここで
用いたヤシ脂肪酸メチルエステルは以下のような分析値
を有する。硫黄分濃度は、Rosemount Analytical,Inc.
製,Dohrmann型低濃度硫黄分析計(System 701)により測
定した。
【0027】SV(鹸化価, KOHmg/g)=255.7 AV(酸価, KOHmg/g)=0.04 OHV (水酸基価, KOHmg/g)=5.8 IV(ヨウ素価)=8.4 水分=0.05重量% 硫黄分=3.3pppm 〔反応温度の効果〕水素圧力が 100Kg/cm2 、原料エス
テルのLHSVが1.5 、原料エステルに対する水素流通モル
比が1の条件下、反応温度の効果を調べた。得られた結
果を以下の表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】〔反応圧力の効果〕原料エステルのLHSVが
1.5 、原料エステルに対する水素流通モル比が1、反応
温度が 150℃の条件下、反応圧力の効果を調べた。得ら
れた結果を以下の表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】〔水素流通モル比の効果〕水素圧力が 100
Kg/cm2 、原料エステルのLHSVが1.5 、処理温度が 150
℃の条件下、原料エステルに対する水素流通モル比の効
果を調べた。得られた結果を以下の表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】参考例2〔脱硫工程〕 参考例1に記載された反応器を用い、ヤシ脂肪酸メチル
エステルの代わりに脱酸精製処理ヤシ油中の硫黄化合物
の除去を行った。ここで用いたヤシ油は以下のような分
析値を有する。 SV=243.9 AV=0.02 OHV =4.9 IV=17.7 水分=0.05重量% 硫黄分=4.0ppm 水素圧力が 150Kg/cm2 、原料油脂のLHSVが1.5 、原料
油脂のエステル基のモル数に対する水素のモル比が50の
条件下、反応温度の効果を調べた。得られた結果を以下
の表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】参考例3〔脱硫工程〕 参考例1に記載された反応器を用い、実施例1で用いた
ヤシ脂肪酸メチルエステル中の硫黄化合物の除去を以下
のような条件で行った。
【0036】水素と窒素の混合ガスを用い、原料エステ
ルのLHSVが1.5 、原料エステルに対する水素のモル比が
13となるように混合ガス流量を変え、圧力 200Kg/c
m2 、温度 150℃で処理を行った。水素ガス濃度の効果
について得られた結果を以下の表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】参考例4〔脱硫工程〕 実施例1に記載された反応器を用い、原料エステル中に
含まれる硫黄化合物を除去するに際し、副生酸価(AV)
を抑制するため、原料エステルに添加するアルコールの
効果について調べた。反応条件は、水素圧力が 100Kg/
cm2 、原料エステルのLHSVが1.5 、原料エステルに対す
る水素流通モル比が1であり、添加アルコールとしてメ
タノールを用いた。その結果を以下の表6に示す。
【0039】
【表6】
【0040】参考例5〔脱硫工程〕 実施例1に記載された市販のニッケル・シリカ−アルミ
ナ触媒15ccを内径10mmの高圧反応管に充填し、5容量%
の水素を含む窒素ガス気流中、 100℃から190℃に昇温
した後、水素濃度を段階的に上げて行き、最終的に 100
%濃度で 200℃、4時間処理することにより、触媒の前
処理を行う。この後、パーム核脂肪酸メチルエステルと
水素ガスを上向き並流に流通させながら、原料エステル
中に含まれる硫黄化合物の除去を種々の条件で行った。
ここで用いたパーム核脂肪酸メチルエステルは、以下の
ような分析値を有する。
【0041】SV=242.9 AV=0.07 OHV =8.1 IV=18.5 水分=0.02重量% S=2.20ppm 〔反応温度の効果〕水素圧力が 230Kg/cm2 、原料エス
テルのLHSVが2.0 、原料エステルに対する水素流通モル
比が50の条件下、反応温度の効果を調べた。得られた結
果を以下の表7に示す。
【0042】
【表7】
【0043】〔原料流通速度の効果〕水素圧力が 230Kg
/cm2 、原料エステルに対する水素流通モル比が50、反
応温度が 120℃の条件下、原料エステルの流通速度(LHS
V)効果を調べた。得られた結果を以下の表8に示す。
【0044】
【表8】
【0045】〔水素流通モル比の効果〕水素圧力が 230
Kg/cm2 、原料エステルのLHSVが3.0 、反応温度が 150
℃の条件下、原料エステルに対する水素流通モル比の効
果を調べた。得られた結果を以下の表9に示す。
【0046】
【表9】
【0047】以上、実施例1から5に示された処理条件
において得られた原料エステルの精製収率は実質的に 1
00%であり、精製ロスは全くなかった。
【0048】比較参考例1〔脱硫工程〕 パーム核脂肪酸メチルエステル中の硫黄化合物を除去す
るに際し、比較参考例1として通常の蒸留精製を試み
た。ここで用いたパーム核脂肪酸メチルエステルは以下
のような分析値を有する。 SV=242.6 AV=0.02 OHV =4.9 IV=17.8 水分=0.03重量% S=3.6ppm 6Kgの原料メチルエステルを10 lの蒸留器に仕込んだ
後、減圧度1ないし2mmHgの条件で蒸留を行う。3Kg程
度の原料が留出した後、再度原料メチルエステルを加
え、引き続き蒸留を行うことにより、合計8.02Kgのメチ
ルエステルの精製を行った。この際、留出したメチルエ
ステル中に含まれる硫黄分を測定することにより、留出
率に対する硫黄分濃度を調べた。得られた結果を以下の
表10に示す。
【0049】
【表10】
【0050】尚、原料留出率が95%の場合、蒸留ボトム
残渣として残った原料エステルのアルキル組成はC18
チルエステルが80%以上であった。従って蒸留精製法で
はC16 ないしC18 の長鎖長メチルエステルのロスが多く
なるという不利益性を避けることが困難となる。
【0051】実施例1 〔エステル還元触媒に対する原料メチルエステル中の硫
黄分濃度許容量〕エステル還元触媒の還元活性寿命に対
する原料メチルエステル中の硫黄分濃度の許容量を求め
るため、ニッケル・シリカ−アルミナ触媒で処理したメ
チルエステルを原料に用い、検討を行った。その結果を
以下の表11に示す。
【0052】
【表11】
【0053】評価に用いたエステル還元触媒は、特開平
1−305042号公報に開示されたチタニア担持銅−亜鉛触
媒であり、CuO :ZnO :TiO2=47.5%:2.5 %:50.0%
の組成を有している。
【0054】〔エステル還元活性および活性寿命の評価
法〕上記原料メチルエステル150gと触媒3.75g (エステ
ルに対し2.5 重量%)を回転攪拌式で容量が 0.5 lのオ
ートクレーブに仕込み、水素圧10Kg/cm2、温度 200℃、
水素流通下で2時間触媒の還元活性化を行った。 230℃
に昇温した後、水素圧を 120Kg/cm2に昇圧し、攪拌速度
800rpm 、水素流速5 l/分で反応を開始した。反応途
中で適宜サンプリングを行い、ガスクロマトグラフィー
にて原料エステルの転化率を求めることにより、活性を
求めた。反応はエステル濃度に対し1次反応で整理さ
れ、活性化前の触媒1g 当りの速度定数を活性の尺度と
した。
【0055】反応終了後、触媒と生成アルコールを濾別
分離し、回収された触媒を再度反応に用いる。このよう
な操作を同一反応条件で合計10回繰り返し、速度定数を
それぞれ求めた後、次の計算式に従い、反応1回当りの
活性低下率を算出した。触媒回収回数に対する速度定数
は、一連の実験においていずれも良い直線性を示した。
【0056】
【数1】
【0057】〔%/回〕 k1 : 1回目の速度定数 k10: 10回回収時の速度定数 得られた結果は以下の表12に示した。
【0058】
【表12】
【0059】以上の結果から、ニッケル・シリカ−アル
ミナ触媒処理により得られた原料エステルで、硫黄分濃
度が0.6ppm以下であるA 、Bについては蒸留メチルエス
テル(使用原料D)と同等の活性低下率を示すことがわか
った。従って、エステル還元触媒に対する硫黄分濃度の
許容量は 0.6ppm 以下となる。
【0060】実施例2 〔エステル還元触媒に対する原料メチルエステル中の酸
価の許容値〕エステル還元触媒の還元活性寿命に対す
る、原料メチルエステル中の酸価(AV)の許容値を求
めるため、ニッケル・シリカ−アルミナ触媒で処理した
メチルエステルを原料に用い、検討を行った。その結果
を以下の表13に示す。
【0061】
【表13】
【0062】評価に用いたエステル還元触媒は、市販の
銅−クロム触媒である。エステル還元活性および活性寿
命の評価法は反応例1に記載の方法に従った。ただし、
触媒使用量は 7.50g(エステルに対し 5.0重量%)であ
り、反応温度は 250℃を採用している。得られた結果は
以下の表14に示した。
【0063】
【表14】
【0064】以上の結果から、エステル還元触媒に対す
る酸価(AV)の影響は、2以上になると活性低下率を顕
著に増加させることがわかる。酸価(AV)が2以下の原
料エステル(使用原料F 、G 及びH )の活性低下率は、
蒸留原料(使用原料D )と比べてほぼ同等であることが
判った。
【0065】
【発明の効果】本発明により、アルコール製造原料であ
る油脂又は脂肪酸エステル中に含まれる触媒毒成分、す
なわち硫黄化合物濃度を合目的レベル迄低減するに際
し、従来行われている蒸留精製法に比べ、精製収率 100
%でかつ硫黄化合物の除去効率が数倍上回るという効果
を奏し、極めて安価なかつ効率の良い精製プロセスを提
供することが可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300 B01J 23/74 321 (72)発明者 羽柴 域三 和歌山県和歌山市大谷845−108 (72)発明者 田端 修 和歌山県和歌山市岩橋1650−9

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂又は脂肪酸エステルを原料とし、エ
    ステル還元触媒の存在下、水素で接触還元してアルコー
    ルを製造するに際し、油脂又は脂肪酸エステルを水素又
    は水素と不活性ガスとの混合ガス雰囲気下、予めNi触媒
    の存在下、50〜200 ℃の温度で処理して処理油中の硫黄
    分濃度を0.6ppm以下とした低硫黄分濃度の原料を使用す
    ることを特徴とするアルコールの製造方法。
  2. 【請求項2】 油脂又は脂肪酸エステルを水素又は水素
    と不活性ガスとの混合ガス雰囲気下、Ni触媒で処理する
    に際し、連続反応方式を用いることを特徴とする請求項
    1記載のアルコールの製造方法。
  3. 【請求項3】 連続反応方式が、固定床連続反応方式で
    ある請求項2記載のアルコールの製造方法。
  4. 【請求項4】 処理油中の酸価(KOHmg/g) が2以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のア
    ルコールの製造方法。
  5. 【請求項5】 炭素数1〜18の一価又は多価アルコール
    の存在下で処理を行うことを特徴とする請求項1〜4の
    何れか1項記載のアルコールの製造方法。
  6. 【請求項6】 処理油中の硫黄分濃度が0.3ppm以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のア
    ルコールの製造方法。
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