JP2536914Y2 - シャワー付き洗面台 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、洗顔及び洗髪の双方に
利用できるシャワー付きの洗面台に係り、特にシャワー
ホースを伝う水を回収するためのトレーの取付け構造に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の洗面台は、洗顔等の用途を主とし
たものが一般的であり、キャビネット，洗面器及び湯水
混合栓等の水栓を備えた構造である。

【０００３】近来になって、洗顔のみでなく洗髪等も行
えるように機能を拡充したものとして、シャワーを付属
したものが開発され、広く市場に出回るようになった。
このシャワー付きのものは、従来の湯水混合栓に代え
て、ホースに接続されて引き出し可能なハンドシャワー
等を洗面器に備え付けたものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】このようなシャワーを
付属する場合には、ホースが自在にスライドできると共
にシャワー本体を支持するスリーブ状の支持具が必要で
ある。この支持部は、洗面器を上下に貫通して固定さ
れ、その上部側からシャワー本体を挿入して支持すると
共に、前記のようにホースが自在にスライドできるよう
にガイドする機能を持たせた構造である。

【０００５】ところで、ホースを引き出してシャワー本
体から吐水すると、水がホースを伝って流れ落ちる。こ
のため、ホースが支持具を通って洗面器の下にあるキャ
ビネットに水が入り込むことになる。この水の浸入に対
しては、たとえば実開昭６２−１３８７７２号公報に記
載されているように、ホースが挿通する際に水を回収す
る貯水タンクを備える等の対策が講じられている。この
貯水タンクは、シャワー本体からキャビネットの中に垂
らしたホースを受け入れ可能な縦長のトレー状であっ
て、その下端にはホースから回収した水を洗面器に接続
した排水管に導く排水ホースを接続したものである。

【０００６】このような貯水タンクを備えるものでは、
貯水タンクをキャビネットの中に新たに組み込むので、
この貯水タンクをホースの動きに合わせて受け入れるこ
とができる位置と姿勢に設定して固定することが必要と
なる。この場合、最も簡単な組み込みは、キャビネット
の底板に貯水タンクを載せて専用の固定具によって固定
したり、貯水タンク自身の下端にフランジを設けておい
てこれにビスを通して底板にねじ込み固定する等の施工
である。

【０００７】しかしながら、キャビネットに対する洗面
器の位置関係や洗面器自身の仕様は様々であり、このた
めシャワー本体とキャビネットとの位置関係も様々に変
わる。このため、仕様に準じた貯水タンクの配置の施工
上の管理が煩わしくなり、誤って取り付けてしまうとホ
ースの落とし込みが不十分となり、付着した水がキャビ
ネットの中に滴となって落ちてしまう。また、特に底板
の上に貯水タンクを載せるものでは、この貯水タンクが
占める面積に相当してキャビネット内への品物の収納空
間が減ることになり、収納の面で好ましくない影響もあ
る。

【０００８】更に、貯水タンクのみをキャビネットやま
たはその上面のカウンターに固定するようにし、シャワ
ー本体との位置関係を適切にした施工も可能である。と
ころが、貯水タンクの固定だけの施工が新たに加わるた
め、施工の負担が大きいだけでなく、先の場合と同様に
シャワー本体との間での適切な位置関係を保った施工も
難しい。

【０００９】本考案において解決すべき課題は、ホース
を伝う水を回収するためのトレー等の部材を簡単にキャ
ビネットの中に組込み施工できしかもシャワー本体との
位置関係も適正に設定できるシャワー付き洗面台を提供
することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本考案は、洗面台のカウ
ンターの上面に水栓を配置すると共に、シャワー本体を
着脱可能な筒状の支持具を前記カウンターに貫通させて
設け、前記シャワー本体に一端を接続したホースを前記
支持具に差し通すと共に、他端を前記水栓に接続して前
記カウンターの中に垂れ下げ、前記ホースの垂れ下がっ
た部分を受け入れ可能な水回収用のトレーを備えた洗面
台であって、前記トレーは、前記支持具の下端及び前記
カウンターを貫通して前記水栓に接続する配管の少なく
とも一方に連接可能な固定具を上端に備え、前記固定具
を前記支持具及び水栓の少なくともいずれか一方と一体
に前記カウンターに固定可能としてなることを特徴とす
る。

【００１１】このような構成において、固定具は、支持
具の下端及び配管をそれぞれ差し込み可能な孔を上端部
に備え、支持具の下端及び配管のそれぞれに螺合可能な
ナットを固定具の下方からねじ込み、ナットと支持具及
び供給用の配管とによるカウンターの上下面に対する挟
持力を介してトレーを支持具及び配管と共にカウンター
に一体に固定したものとしすることができる。

【００１２】また、水栓を湯と水を混合する湯水混合栓
とし、配管を湯水混合栓に接続した水用または湯用の供
給管とすることもできる。

【００１３】

【作用】カウンターの下に組み込まれるトレーは、カウ
ンターの上面に配置するシャワー本体用の支持具または
水栓のいずれか一方と一体にカウンター側に固定される
ので、トレーの設置が水栓または支持具の取付けと同時
に行われ、作業工数の低減が図られる。

【００１４】また、トレーは支持具または水栓と一体に
カウンターに固定されるので、これらの支持具または水
栓との位置関係も決めて設置することができる。このた
め、水栓からシャワー本体までのホースを確実にトレー
に落とし込むことができ、ホースがトレーの外側で垂れ
下がるようなことがなく、トレー自身の施工も簡単にな
る。

【００１５】

【実施例】図１は本考案の一実施例を示す洗面台の概略
正面図、図２は概略側面図である。

【００１６】洗面台は、従来と同様にキャビネット１及
びその上端に配置したカウンター２を備え、このカウン
ター２の下面に洗面器３を固定したものである。そし
て、カウンター２の奥側には、湯水混合栓４を備えると
共に、その側方にはシャワー用の支持具５を配置してい
る。

【００１７】支持具５は、従来技術の項でも既に述べた
ように、カウンター２を貫通するように配置され、これ
にシャワー本体６をセットして洗顔等が通常の水栓の場
合と同様に行えるように洗面器３を覗くように上端側を
屈曲させている。そして、その内部は中空状であり、湯
水混合栓４とシャワー本体６とを接続するホース７が自
在にスライド可能である。

【００１８】更に、カウンター２の下面には、ホース７
に伝わる水を回収するためのトレー８を組み込む。この
トレー８は、図３の斜視図に示すように、薄肉の合成樹
脂プレートを利用した容器８ａ及びその上端に一体化し
た金属プレートの固定具８ｂにより構成されている。

【００１９】固定具８ｂは、上面，背面及び図示の例で
は左側面を囲むように形成され、上面には湯水混合栓４
の給湯管４ａ及び支持具５が挿通する孔９ａ，９ｂをそ
れぞれ開設している。また、容器８ａは、湯水混合栓４
側部分を大きく切除した形状を持ち、その内部をホース
７の収納及び水の回収空間として利用している。そし
て、下端には図４に示すようなバルブ１０を設けると共
に可撓性のチューブを利用した排出管１１をこのバルブ
１０に接続し、更に排出管１１は、図１及び図２に示す
ように、洗面器３の排水管３ａに接続されている。

【００２０】バルブ１０は、流路断面を横切る円筒体状
の弁体１０ａを摘み１０ｂによって回転可能としたもの
で、この弁体１０ａに設けた孔１０ｃを流路に整合させ
ることにより、トレー８からの水を排出管１１に送り込
むことができる。図４の状態は、孔１０ｃがトレー８内
と排出管１１とを連通させる姿勢であり、トレー８から
の水抜きが可能である。そして、この状態から摘み１０
ｂをほぼ９０度回転させると、流路が遮断され、排水管
３ａからトレー８への異臭の逆流が防止される。

【００２１】トレー８は、図１に示すようにその上端の
固定具８ｂをカウンター２の下面に突き当て、容器８ａ
の下端がカウンター１の底板よりも上に位置するように
浮かせた状態で固定する。そして、トレー８のカウンタ
ー２への固定は、固定具８ｂの位置を湯水混合栓４及び
支持具５の位置に合わせ、固定具８ｂの孔９ａ，９ｂに
給湯管４ａ及び支持具５を差し通し、ナット４ｂ，５ａ
によって締め付けることによって行う。

【００２２】すなわち、カウンター２に固定する湯水混
合栓４はその給湯管４ａがカウンター２を貫通してその
下方まで突き出し、支持具５も同様にカウンター２を貫
通して配置される。このような湯水混合栓４や支持具５
のカウンター２の固定構造としては、カウンター２の下
面から突き出た部分に雄ネジを形成しておきこれらにそ
れぞれナット４ｂ，５ａを螺合することにより、カウン
ター２の上下面を狭圧して湯水混合栓４及び支持具５の
固定が可能である。

【００２３】このような固定構造に対して、固定具８ｂ
の孔９ａ，９ｂに給湯管４ａ及び支持具５の下端を差し
込み、孔９ａ，９ｂの下方側からナット４ｂ，４ａを螺
合するようにすれば、湯水混合栓４と支持具５の固定と
同時にトレー８もカウンター２の下面に固定することが
できる。

【００２４】以上の構成において、トレー８をキャビネ
ット１の中に組み込むときには、カウンター２の上面側
に配置される湯水混合栓４の給湯管４ａ及び支持具５の
下端部に固定具８ｂの孔９ａ，９ｂを位置合わせし、ナ
ット４ｂ，５ａを螺合することでトレー８はカウンター
２に固定される。

【００２５】すなわち、トレー８を単独でカウンター２
に固定するのに代えて、湯水混合栓４及び支持具５をカ
ウンター２に取り付ける作業と併行してトレー８を組み
込むようにすることで、トレー８の施工を湯水混合栓４
や支持具５の取付けと共に一緒に行う。このような施工
であれば、それぞれ別個に固定する場合に比べると、ト
レー８の取付けだけの作業は不要となり、作業工数の低
減が図られる。

【００２６】また、固定具８ｂの孔９ａ，９ｂに通す給
湯管４ａ及び支持具５の下端によって固定具８ｂの位置
は２点で拘束される。このため、カウンター２の下面に
対する固定具８ｂの位置及び姿勢は湯水混合栓４及び支
持具５によって決められ、これらの湯水混合栓４と支持
具５のそれぞれに対する位置関係は施工の良否に関係な
く常に一定に保たれる。したがって、トレー８は支持具
５に対する位置がずれたりすることなくカウンター２に
固定されることになり、湯水混合栓４から支持具５との
間で垂れ下がるホース７の落とし込みに最適な位置に設
定することができる。このため、トレー８の施工位置の
不良等を全く伴うことのない組込みが可能となり、ホー
ス７に付着した水の回収漏れを生じることがない。

【００２７】このようにトレー８をその適正な位置に簡
単に組み込めるので、ホース７を引き出して使った後に
支持具５に戻すときには、ホース７に付着した水は全て
トレー８の容器８ａに溜り、キャビネット１の内部を濡
らすことはない。

【００２８】なお、容器８ａに溜る水の量に合わせて定
期的にバルブ１０を開けば、この溜まった水は排出管１
１から排水管３ａに排出される。また、バルブ１０を閉
じておけば、トレー８の内部は排水管３ａと遮断されて
排水による異臭がトレー８内に逆流することもない。

【００２９】

【考案の効果】本考案では、トレーをカウンターに取り
付けるに際して、カウンターの上面側に配置する水栓及
び／またはシャワー本体用の支持具と一緒にカウンター
に固定するので、これらの部材のカウンターへの固定作
業が簡単になり、施工性が向上する。

【００３０】また、トレーのみを単独でカウンターに固
定するのではなく、カウンター上での位置が決められて
いる水栓または支持具との間での位置関係を拘束してト
レーが固定されるので、トレーとこれらの水栓や支持具
との間の位置関係にも整合性を持たせることができる。
したがって、たとえばトレーを支持具の真下に正しく位
置させて水栓側との間のホースをトレーの外に垂れるこ
となく確実に落とし込むことができ、ホースに付着した
水がキャビネット中に及ぶことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す洗面台の概略正面図で
ある。

【図２】図１の概略側面図である。

【図３】トレーの斜視図である。

【図４】バルブの一例を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ キャビネット ６ シャワー
本体 ２ カウンター ７ ホース ３ 洗面器 ８ トレー ３ａ 排水管 ８ａ 容器 ４ 湯水混合栓 ８ｂ 固定具 ４ａ 給湯管 ９ａ 孔 ４ｂ ナット ９ｂ 孔 ５ 支持具 １０ バルブ ５ａ ナット １１ 排出管

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗面台のカウンターの上面に水栓を配置
   すると共に、シャワー本体を着脱可能な筒状の支持具を
   前記カウンターに貫通させて設け、前記シャワー本体に
   一端を接続したホースを前記支持具に差し通すと共に、
   他端を前記水栓に接続して前記カウンターの中に垂れ下
   げ、前記ホースの垂れ下がった部分を受け入れ可能な水
   回収用のトレーを備えた洗面台であって、前記トレー
   は、前記支持具の下端及び前記カウンターを貫通して前
   記水栓に接続する配管の少なくとも一方に連接可能な固
   定具を上端に備え、前記固定具を前記支持具及び水栓の
   少なくともいずれか一方と一体に前記カウンターに固定
   可能としてなるシャワー付き洗面台。
2. 【請求項２】 前記固定具は、前記支持具の下端及び前
   記配管をそれぞれ差し込み可能な孔を上端部に備え、前
   記支持具の下端及び前記配管のそれぞれに螺合可能なナ
   ットを前記固定具の下方からねじ込み、前記ナットと前
   記支持具及び供給用の配管とによる前記カウンターの上
   下面に対する挟持力を介して前記トレーを前記支持具及
   び配管と共に前記カウンターに一体に固定してなる実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のシャワー付き洗面台。
3. 【請求項３】 前記水栓を湯と水を混合する湯水混合栓
   とし、前記配管を前記湯水混合栓に接続した水用または
   湯用の供給管としてなる実用新案登録請求の範囲第１項
   または第２項記載のシャワー付き洗面台。