JP2534630Y2 - 自動尿検査装置の試験紙供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、集団検診などにおける膨大な量の尿検査
を、人手によらずに迅速かつ高精度に行うことができる
自動尿検査装置の試験紙供給装置に関する。

〔従来技術〕

周知のように、尿検査は、尿の物理的性質及び化学的
性質を検査するもので、具体的には、尿の比重，混濁
度，色調,pHなどの物理量、尿中のグルコース，乳糖，
果糖ガラクトース等の糖，尿酸，アミノ酸，タンパク，
潜血，尿素，ビリルビン，アルコール，塩類等の化学成
分を、試験紙などの手段を用いて検査するものである。

ところで、近年、臨床検査の自動化が急速に進む中
で、学童、成人、婦人、老人等の集団検診における前記
尿検査は、依然として多くの人手によって処理されてい
るのが現状である。

この自動化が遅れている原因として考えられるのは、
第１に、一度の検体数が数千件から数万件と膨大である
こと、第２に、集団検診時のみの稼働となるため機械稼
働効率が極めて低くなること、第３に、一施設だけの検
査料金で専用装置の償却ができないこと、第４に、検査
間隔が長く空くと装置の保守が困難になること、などの
理由が考えられる。

しかし、一方において検診時の尿検査の実態をみる
と、第１に、検体受付，検査作業に膨大な人手と費用と
を必要とし、しかも、検査結果が出るまでに多くの日数
がかかること、第２に、日々の検査作業以外に集団検診
が入ることで検査作業員に過剰労働を強いることとなる
こと、第３に、人手によるため一度の検診人数に限界が
あること、第４に、同一検査施設内であっても検査結果
の個人差によるバラツキが発生すること、第５に、検査
結果の施設間のバラツキが発生すること、第６に、検査
結果の報告が遅くなるため医師による指導が後日郵送と
なること、など多くの問題を有しており、これらの問題
を全て解決できる尿検査の全自動化装置の開発が強く望
まれているのが現状である。

このような要請に応えるべく、従来、数種類の全自動
尿検査装置が既に提案されているが、これら従来の全自
動尿検査装置は、試験紙を一枚毎に尿に浸漬する方式の
もの、或は、ピペットで尿を所要量吸引した後これを試
験紙に尿を滴下する方式のもの、のいずれかの方式を採
用しており、これらのいずれの方式を採用しても、１装
置・１時間当りの検体処理件数が８項目測定で最大約20
0検体と非常に少なく、前記集団検診には全く適合しな
い構成であるとともに、この従来の装置を前記集団検診
に適用しようとする場合には、同機種のものを複数台設
置しなければならないため、トータル的には設備費が非
常に嵩むという問題を有しており、前記要請には充分応
えていないのが実状である。

そこで、本出願人は、かかる従来の問題点を一掃する
ため、先に、第６図に示す自動尿検査装置を提案した。

この自動尿検査装置は、採取尿が収容された一列５本
の採尿容器10を所定間隔毎に保持しこれを移送する容器
移送装置１と、この容器移送装置１と平行に設けられ上
記採尿容器10の本数に対応する試験紙スティック５を移
送するスティック移送装置２と、上記試験紙スティック
５を把持するクランプ装置３と、から構成されている。

容器移送装置１は、公知の無端ベルト体で構成されて
おり、該無端ベルト体に脱落しないように保持された採
尿容器10は、所定の間欠タイミングでサンプリング位置
ｂまで順次移送される。

スティック移送装置２は、無端ベルト体で構成されて
おり、該無端ベルト体には、５本の試験紙スティック５
が載置される部位と、この試験紙スティック５が載置さ
れる部位に近接して開設された複数個の尿吸引孔21と、
が所定間隔毎に配設されてなる受皿体が所定間隔毎に取
り付けられている。

この尿吸引孔21は、図示はしないが、上記受皿体の所
定位置に載置された試験紙スティック５から流下する尿
を吸引し、これを図示しない尿貯溜体内へと排尿するも
ので、各尿吸引孔21には真空吸引ポンプが連通接続され
ている。

クランプ装置３は、上記採尿容器10の本数に対応する
複数本（本実施例では５本）の試験紙スティック５を、
試験紙スティック供給位置ａから上記容器移送装置１の
サンプリング位置ｂへと90度回転して移送し、該サンプ
リング位置ｂで上記各試験紙スティック５を各採尿容器
10内の尿中に浸漬した後、これら各試験紙スティック５
を上記スティック移送装置２へと供給するように駆動制
御される。

即ち、上記クランプ装置３は、後記する試験紙スティ
ック供給装置４によって供給された各試験紙スティック
５を上記試験紙スティック供給位置ａで把持するアーム
30と、このアーム30を上下方向に回動自在に保持する継
手部材31と、この継手部材31を水平方向に回動自在に保
持する支持部材32と、上記アーム30を上下方向に回動さ
せるアーム駆動装置（図示せず）と、上記継手部材31を
水平方向に回動させる継手駆動装置（図示せず）と、か
ら構成されている。

従って、上記クランプ装置３は、アーム30が上記試験
紙スティック供給位置ａで各試験紙スティック５を水平
に把持した後、水平方向に90度回転してサンプリング位
置ｂまで移送した後、該アーム30を略90度下方へ回動さ
せ、上記アーム30に保持された各試験紙スティック５を
該サンプリング位置ｂにある各採尿容器10内へと浸漬さ
せる。

この後、上記アーム30は、尿が含浸された各試験紙ス
ティック５を採尿容器10から抜き出し、該各試験紙ステ
ィック５を所要の傾斜角度で保持したまま再び90度回動
して各試験紙スティック５を前記受皿体20の試験紙ステ
ィック５が載置される部位へと載置した後、上記把持状
態を解除した後、180度旋回して上記アーム30を原位
置、即ち、試験紙スティック供給位置ａへと水平移送
し、再び上記手順に従って試験紙スティック５の移送を
連続的に行うように構成されている。

〔従来技術の課題〕

しかしながら、上記本出願人が先に提案した自動尿検
査装置にあっては、集団検診時における尿検査を、全く
人手を要することなく自動的に処理することができ、し
かも、１装置・１時間・８項目測定当りの検体処理件数
も、従来のこの種のものの少なくとも約10倍以上となす
ことができるので、この種の検査に要する時間を大幅に
短縮化し、かつ迅速化することができると共に、測定結
果の統一化も容易に行うことができるので、この種の検
査精度に対する信頼性も大幅に向上させることができ
る、という利点を有してはいるが、クランプ装置３によ
って試験紙スティック５をスティック移送装置２に供給
する構成であるため、該クランプ装置３の構成及び制御
が非常に複雑となり、コスト高となる他、メンテナンス
も煩雑となるという虞れを有していた。

この考案は、本出願人が先に提案した自動尿検査装置
の試験紙供給を、より簡単な構成により確実に供給する
ことができる自動尿検査装置の試験紙供給装置を提供し
ようとするものである。

〔課題を解決するための構成〕

上記目的を達成するため、この考案にあっては、ロー
ル状に巻装された台紙と、この台紙の表面側にスティッ
ク上の試験紙を供給するスティック供給手段と、を有し
て構成し、上記試験紙の裏面側には接着剤層を形成して
なる自動尿検査装置の試験紙供給装置を技術的前提と
し、上記スティック供給手段の下面であって、上記試験
紙が供給される孔の両側に溝を形成すると共に、上記台
紙の下方には、上記溝と嵌合する凸部を有する台紙成形
体を配設したことを特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、添付図面に示す一実施例に基きこの考案を詳細
に説明する。

この実施例に係る自動尿検査装置の試験紙供給装置
は、第１図に示すように、採取尿が収容された一列５本
の採尿容器10を所定間隔毎に保持しこれを移送する容器
移送装置１と平行に設けられ、上記採尿容器10の本数に
対応する試験紙（以下、試験紙スティックという。）５
を移送するように構成されている。

容器移送装置１は、本出願にが先に記したように、公
知の無端ベルト体で構成されており、該無端ベルト体に
脱落しないように保持された採尿容器10は、所定の間欠
タイミングでサンプリング位置（図示せず）まで順次移
送される。

一方、上記試験紙供給装置は、ロール状に巻装された
台紙20と、この台紙20の表面側に試験紙スティック５を
供給するスティック供給装置21と、試験紙スティック５
が供給された台紙20を所定寸法毎に切断するカッター22
と、から構成されている。

台紙20は、メッシュ性の材質で構成されており、ロー
ル状に巻装された一端が、図示しない台紙引き出し手段
によって、第２図に示すように、スティック供給装置21
側へと水平に引き出されるように構成されていると共
に、上記試験紙スティック５の裏面側には、第３図に示
すように、上記メッシュ状に形成された台紙20の表面に
貼着する接着剤層23が形成されている。尚、この接着剤
層23の上面には試験紙部24が設けられている。

スティック供給装置21は、その本体部に５個の逆凹状
孔が開設されており、該逆凹状孔内には、試験紙スティ
ック５が所要枚数積層された状態で収納されている。勿
論、この試験紙スティック５は、最下層の試験紙スティ
ック５が台紙20に貼着されるときに、最下層の試験紙ス
ティック５より上層にある試験紙スティック５の接着剤
層23が、剥離紙などを介して試験紙部24に接着しないよ
うに構成されている。従って、試験紙スティック５が最
下層に来る直前に上記剥離紙は取り除かれるように構成
されている。

このように構成されたスティック供給装置21の本体部
は、図示しない昇降装置によって上下動し、最下層にあ
る試験紙スティック５を台紙20の表面に押圧して貼着す
る。

このとき、上記スティック移送装置２の下面であっ
て、該スティック移送装置２の試験紙スティック５が供
給される孔の両側には、第４図に示すように、溝25が形
成されていると共に、上記台紙20の下方には、上記ステ
ィック移送装置２に形成された溝25と嵌合する凸部26を
有する台紙成形体27が配設されているので、試験紙ステ
ィック５を台紙20に押圧するときに、第５図に示すよう
に、該試験紙スティック５の両側にダム部が形成される
ので、他人の尿が相互に干渉せず、クロスコンタミネー
ションを有効に防止することができる。

このようにして台紙20に試験紙スティック５が貼着さ
れ、かつ、両側にダム部が形成された後は、該台紙20は
所定寸法分下流側へと送り出され、カッター22によって
切断された後、さらに下流の尿吐出位置まで移送され、
該位置で、採尿容器10内から所要量の尿を吸引したピペ
ット装置Ｐから上記尿の供給を受ける。

このとき、台紙20は、上記したように、メッシュ状に
形成されているため、台紙20上に流下した尿は、台紙20
の下面に配設された図示しない真空吸引ポンプによって
吸引され、尿貯溜体内へと排尿される。

尚、上記ピペット装置Ｐは、例えば、１列に５本並べ
られた採尿容器10内から尿を吸引し、これを台紙20に並
べられた試験紙スティック５へと供給するものであるた
め、その方向を90度回転できるように構成されている他
は、他の構成は公知のピペット装置と同様に構成されて
いるため、その詳細な説明はここでは省略する。

また、試験紙スティック５は、例えば、各種尿検査に
対応する試薬が含浸された７種類の試験紙片と１つの検
査ブランク用試験紙片を１列として構成されており、１
人分の尿検査用として用いられる。尚、上記検査ブラン
ク用試験紙片は、尿が、採尿容器10から確実に供与され
たか否かを判別するために用いられるものである。

また、試験紙スティック５に含浸された尿成分の比色
定量測定を行う検出器は、図示はしないが、上記スティ
ック供給装置の下流側に配設されており、測定対象によ
って適宜異なる波長を光源から各試験紙スティック５へ
と照射し、各試験紙スティック５からの反射光を受光素
子（図示せず）で受けて、この吸光度を測定するもの
で、その原理は公知の光学比色装置と同様である。尚、
尿の濁度を測定する場合には、一の試験紙スティック５
を濁度比較用とし、この試験紙スティック５に所定波長
の光を反射させて、その受光の強度の変化からその濁度
が得ることができる。勿論、尿の色の影響を避けるため
には、尿により吸収されない波長の光をフィルター等で
選択し測定すればよい。

また、尿の色調の測定は、前記検査ブランク用試験紙
片によって行われ、分光装置を備えた光源から特定波長
の光を照射して反射させ、受光器でその強度を測定すれ
ば特定波長に対する吸光係数を求めることができる。ま
た、光源からの光の波長を連続的に可変することができ
れば、尿の吸収スペクトルを得ることができる。

尚、本実施例に係る自動尿検査装置には、尿が各試験
紙片に確実に付着したか否かを判別する手段が配設され
ている。この手段は、各試験紙片が濡れているか否かに
よって各試験紙片からの反射光度に強弱の差が生ずるこ
とを利用し、これらの光度差を予め測定しておいて、実
測値が一定の測定値以上となった場合には、『ルーチン
・エラー』として処理するように構成されている。

一方、前記サンプリング位置で試験紙スティック５に
尿を供給した採尿容器10は、この後、前記容器移送装置
１により後処理位置（図示せず）まで移送されてストッ
クされる。

このようにして採尿容器10を後処理位置でストックす
ることにより、この自動尿検査装置Ａによって、『陽
性』，『偽陽性』，『偽陰性』又は『ルーチン・エラ
ー』と判別された尿を後で再検査することができる。

尚、上記実施例では、容器移送装置１にセットされる
採尿容器10を１列に５個とした場合を例にとり説明した
が、この考案にあっては、これに精度管理用の尿が収容
された１の採尿容器を１列毎にセットして１列６個とな
すことで、試験紙スティックの変色・変質状態をチェッ
クすることができる。勿論、容器移送装置１にセットさ
れる採尿容器10の内の１容器を精度管理用のものと代え
ることも可能である。

〔考案の効果〕

この考案に係る自動尿検査装置の試験紙供給装置は、
以上説明したように構成されているので、試験紙供給機
構を大幅に簡易化することができ、その結果、コストを
大幅に軽減できる他、メンテナンスも容易となり、しか
も、試験紙スティックの両側にダム部が形成されるの
で、他人の尿が相互に干渉せず、クロスコンタミネーシ
ョンを有効に防止することができる、という効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係る自動尿検査装置の試
験紙供給装置の構成を概略的に示す斜視図、第２図は試
験紙スティックの移送状態を示す説明図、第３図は試験
紙スティックが貼着された台紙の断面図、第４図は同試
験紙供給装置の要部の構成を示す説明図、第５図は同供
給装置によって成形された台紙の断面図、第６図は本出
願人が先に提案した自動尿検査装置の構成を示す概略平
面図である。 〔符号の説明〕 ２……試験紙スティック移送装置 ５……試験紙スティック、10……採尿容器 20……台紙、22……カッター 21……スティック供給装置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ロール状に巻装された台紙と、この台紙の
   表面側にスティック上の試験紙を供給するスティック供
   給手段と、を有して構成し、上記試験紙の裏面側には接
   着剤層を形成してなる自動尿検査装置の試験紙供給装置
   において、上記スティック供給手段の下面であって、上
   記試験紙が供給される孔の両側に溝を形成すると共に、
   上記台紙の下方には、上記溝と嵌合する凸部を有する台
   紙成形体を配設したことを特徴とする自動尿検査装置の
   試験紙供給装置。