JP2534562Y2 - 軌道用踏切構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は軌道用踏切構造に関す
る。詳細には、敷板が左右のレールの間に敷設された軌
道用踏切構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、軌道用踏切構造はレールとレール
との間の枕木の上に木製敷板をネジ釘や犬釘やボルト・
ナット等で取り付けて、この敷板の上面とレールの上面
とをほぼ等しくし、レールとこれと交差する道路との段
差をなくし、自動車、自転車、人等の交通に支障ないよ
うにしている。

【０００３】又、軌道用踏切の部分にコンクリート製の
床を設け、このコンクリート製床の上に枕木や木製の敷
板が取り付けられた部材を敷設し、これにレールを取り
付けた連接軌道踏切も用いられている。

【０００４】又、上記敷板の磨耗性を向上させるため
に、敷板の上に表面に凹凸模様を施した鋼板や、鋼板の
上に金網を溶接した板を取り付けた踏切もある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかし、かかる踏切で
は、全て木製の敷板を使用するから、長期間使用してい
る間に、木製の敷板が痩せたり、ヒビ割れが生じる。そ
して、この痩せたり、ヒビ割れは個々の敷板によって異
なるから、その結果、表面が凹凸状になり、自動車等が
この上を通るときに振動し、不愉快であった。

【０００６】又、敷板が痩せると、敷板と敷板との間に
隙間が生じて、躓くことがあり、危険である。更に、敷
板が痩せると、敷板を止めているネジ釘・犬釘等と敷板
との間に隙間が生じ、その結果、敷板が移動し、隙間が
大きくなり、躓くだけでなく、自転車等のタイヤや足が
この間に挟まり危険である。

【０００７】更に、ネジ釘・犬釘等と敷板との間に隙間
が生じていると、この部分に雨水等が溜まり、この部分
が腐朽して大きな孔となり、更に大きな隙間が生ずる。
すると、敷板の移動が大きくなり、更に危険になる。

【０００８】最近、踏切の交通量が多くなり、この敷板
の磨耗が激しくなっている。そして、この磨耗も個々の
敷板によって異なるから、表面が凹凸になり、自動車等
が振動し、不愉快である。

【０００９】特に、雪国では、最近、スパイクタイヤを
使用するようになり、この磨耗が極めて激しくなってい
る。この敷板の磨耗を防止するために、敷板の表面に凹
凸模様を施した鋼板や、鋼板の上に金網を溶接した板を
取り付けているが、かかる踏切では、前述のように、鋼
板下の敷板の痩せや腐朽によって、鋼板を止めているネ
ジ釘・犬釘等と敷板と間に隙間が生じ、その結果、鋼板
が移動するという問題がある。

【００１０】この鋼板の移動が大きくなると、鋼板が一
方のレールと他方のレールとの間に差し渡されて、レー
ルに流れている電流が短絡し、信号異常を生じることが
ある。

【００１１】そこで、本考案の目的は上記のような痩
せ、ヒビ割れ、腐朽等の欠点によって種々な問題を惹起
する木製の敷板を使用しない軌道用踏切構造を提案する
ことである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本考案は上記問題を解決
し、上記目的を達成するためになしたものであって、請
求項１に記載の考案（以下、本考案１という）は、ガラ
ス長繊維を長手方向に入れて補強した熱硬化性樹脂発泡
体からなる敷板が左右のレールの間に敷設され、敷板の
上面とレールの上面との高さがほぼ等しくされている軌
道用踏切構造である。請求項２に記載の考案（以下、本
考案２という）は、上記敷板の表面に砂利が撒布されて
いる本考案１記載の軌道用踏切構造である。 請求項３に
記載の考案（以下、本考案３という）は、ガラス長繊維
を長手方向に入れて補強した熱硬化性樹脂発泡体からな
る敷板が左右のレールの間に敷設され、この敷板の上
に、表面に凹凸模様を施した金属板が設けられ、この金
属板の表面とレールの上面との高さがほぼ等しくされて
いる軌道用踏切構造である。 請求項４に記載の考案（以
下、本考案４という）は、ガラス長繊維を長手方向に入
れて補強した熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板が左右の
レールの間に敷設され、この敷板の上に金属板が設けら
れ、この金属板の表面に金網が設けられ、この金属板の
表面とレールの上面との高さがほぼ等しくされている軌
道用踏切構造である。 請求項５に記載の考案（以下、本
考案５という）は、ガラス長繊維を長手方向に入れて補
強した熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板が左右のレール
の間に敷設され、この敷板の上に、表面に凹凸模様を施
した熱可塑性樹脂板が設けられ、この熱可塑性樹脂板の
表面とレールの上面との高さがほぼ等しくされている軌
道用踏切構造である。

【００１３】本考案に使用するガラス長繊維を長手方向
に入れて補強した熱硬化性樹脂発泡体としては、種々な
ものがあるが、最も一般的なものは、飽和または不飽和
のエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬
化性樹脂の未硬化状態のシロップにガラス 繊維を入
れ、これを発泡させながら、樹脂を硬化させたものであ
って、このガラス長繊維で補強された熱硬化性樹脂発泡
体は、軽く、寸法安定性、耐水性、耐久性、釘の保持
力、耐磨耗性、耐衝撃性に優れたものである。

【００１４】本考案に使用する敷板の耐磨耗性を向上す
るために、本考案２におけるようにこの熱硬化性樹脂発
泡体の敷板の表面に砂利、特に好適には直径２ｍｍ以下
の砂利を撒布したり、本考案３におけるように敷板の上
に、表面に凹凸模様を施した金属板を設けたり、本考案
４におけるように金網を取り付けた金属板を設けるとよ
い。

【００１５】又、本考案５におけるようにこの敷板の表
面に凹凸模様を施した熱可塑性樹脂板を設けてもよい。
本考案３および本考案４に使用する金属板とは鋼板や鋳
物板やアルミニウム板等をいう。又、本考案４に使用す
る金属板の上に取り付ける金網とは、いかなるものでも
い。例を挙げると、通常の亀甲型に編んだ金網や金属線
を縦横に十字型に交差させ、この交点を溶接した金網
や、鉄板に平行な多数の切れ目を施し、この金属板を切
れ目と直角方向に引き延ばしたエキスパンドメタル等が
ある。

【００１６】又、本考案５に使用する熱可塑性樹脂板と
は、塩化ビニル樹脂板やエチレン樹脂板等の熱可塑性樹
脂板をいう。この熱可塑性樹脂板は耐磨耗性、耐衝撃性
等の機械的強度が大きく、ある程度柔軟性があるので、
この上を自動車等が通っても割れ難く、しかも磨耗し難
いので好ましいものである。特に、超高分子エチレン樹
脂板は耐磨耗性が極めて優れているので好ましい。

【００１７】本考案１において、敷板の上面とレールの
上面との高さがほぼ等しいとは、レールと敷板との段差
をなくし、自動車、自転車、人等の交通に支障ないよう
にするためのものであって、従って、この交通に支障が
ない程度の高さの差はほぼ等しい範囲内に入るものであ
る。本考案３及び本考案４において、金属板の表面とレ
ールの上面との高さがほぼ等しい、又、本発明５におい
て、熱可塑性樹脂板の表面とレールの上面との高さがほ
ぼ等しいとは、上記と同様の意味を有するものである。

【００１８】

【作用】本考案では、軌道用踏切に使用する敷板とし
て、従来の木製の敷板に替わり、ガラス長繊維を長手方
向に入れて補強した熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板が
使用される。

【００１９】このガラス長繊維を長手方向に入れて補強
した熱硬化性樹脂発泡体は寸法安定性に優れているか
ら、痩せやひび割れを起こすことがなく、しかも、耐久
性が極めて良く、耐磨耗性は従来の木製の敷板と殆ど変
わらない。

【００２０】かかるガラス長繊維を長手方向に入れて補
強した熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板を敷設した踏切
では、長期間使用していても、痩せやヒビ割れによる凹
凸が生じない。従って、自動車等がこの敷板上を通ると
きの振動は少ない。又、この敷板は腐朽しない。従っ
て、この敷板を取り付けるネジ釘や犬釘やボルト等が緩
むことがないので、敷板が移動することがない。又、こ
の上に、金属板を設けても、この金属板が移動しない。
そのため、レールを流れる電流が短絡しない。しかも、
このガラス長繊維を長手方向に入れて補強した熱硬化性
樹脂発泡体は天然の木材と異なり、品質が一定している
から、本発明に使用する敷板は品質の差による凹凸が生
じない。

【００２１】又、本考案２のように、交通量の多い所で
は、このガラス長繊維を長手方向に入れて補強した熱硬
化性樹脂製発泡体からなる敷板の上に砂利を撒布する
と、耐磨耗性が向上し、磨耗が少なくなる。

【００２２】又、本考案３、本考案４または本考案５に
おけるように、耐磨耗性を向上させるには、このガラス
長繊維を長手方向に入れて補強した熱硬化性樹脂製発泡
体からなる敷板の上に金属板や熱可塑性樹脂製板を設け
るとよい。又、この金属板や熱可塑性樹脂製板は滑り易
くて、この上を歩行していると滑って転ぶことがあるか
ら、この表面に凹凸状模様を施したり、この板の上に金
網を設けるとよい。

【００２３】

【実施例】次に、本考案の実施例を説明する。図１〜５
は本考案のそれぞれ別の実施例を示す踏切の断面図であ
る。

【００２４】図１において、１はレールであり、このレ
ール１は一定の間隔を隔てて２本対になって設けられて
軌道となっているものである。２はガードレールであ
り、このガードレール２はレール１の内側に沿って設け
られ、列車の脱線を防ぐものである。

【００２５】３は枕木であり、この枕木３は木製であ
る。４は小石が多数敷設されたバラスであり、このバラ
ス４の上に枕木３が敷設されている。

【００２６】５は敷板であり、この敷板５は不飽和エス
テル樹脂の硬質発泡体の中にガラス長手繊維が長方向に
設けられて補強されたものである。そして、この敷板５
は２本のレールの間の枕木３の間の枕木の上に敷設され
ている。

【００２７】５１は同じく敷板であり、この敷板５１は
レール１と道路７との間に設けられている。この敷板
５、５１の上面とレール１の上面とはほぼ同じ高さにな
っている。

【００２８】６はネジ釘であり、このネジ釘６で敷板
５、５１が枕木３に固定されている。８は犬釘であり、
この犬釘８でレール１を枕木３に固定するものである。
次に、この軌道用踏切の施工方法および作用について説
明する。

【００２９】レール１を敷設する場所を掘り、バラス４
を敷設し、この上に枕木３を敷設する。次に、この枕木
３の上にレール１およびガードレール２を所定位置に犬
釘８で取り付ける。

【００３０】次に、この枕木３の間に敷板５を、又、枕
木３の外側に敷板５１をそれぞれネジ釘６で取り付け、
道路７と敷板５１との間に土を埋めて、レール１、ガー
ドレール２、敷板５、５１の上面、道路７とをほぼ同じ
高さにして、自動車や歩行に支障がないようにする。

【００３１】このようにして施工された踏切では、ガラ
ス長繊維を長手方向に入れて補強した熱硬化性樹脂発泡
体からなる敷板５を使用しているから、痩せたり、ヒビ
割れが生ぜず、従って、この表面が凹凸状にならず、快
適な踏切となる。

【００３２】次に、図２に示す実施例について説明す
る。図２に示す実施例では、図１に示す実施例の敷板
５、５１の上に平均粒径が１ｍｍの砂利５５を撒布して
いることが、図１に示す実施例と異なる。その他は図１
に示す実施例と同じである。

【００３３】この実施例２では、敷板５、５１の磨耗が
更に向上していて、交通量が多くなっても磨耗が少なか
った。次に、図３に示す実施例について説明する。

【００３４】図３に示す実施例では、図１に示す実施例
の敷板５、５１の上に表面に凹凸模様を施した厚み４．
５ｍｍの鋼板９が敷設され、鋼板９の表面とレール１の
表面とをほぼ等しい高さにし、ネジ釘６ａで鋼板９と敷
板５、５１とが枕木３に固定されていることが図１に示
す実施例と異なる。

【００３５】その他は図１に示す実施例と同じである。
この踏切は図１、２に示す実施例より更に交通量が多く
なってもよい。次に、図４に示す実施例について説明す
る。

【００３６】図４に示す実施例では、図１に示す実施例
の敷板５、５１の上にエキスパンドメタルからなる金網
９１が表面に溶接された鋼板９ａが敷設され、鋼板９ａ
の表面と枕木３の表面とをほぼ等しい高さにし、ネジ釘
６ａで鋼板９ａと敷板５、５１とが枕木３に固定されて
いることが図１に示す実施例と異なる。

【００３７】その他は図１に示す実施例と同じである。
この踏切では、表面の磨耗は図３にに示す実施例と同じ
であるが、自動車のタイヤとの摩擦が大きく、自動車の
運転し易い踏切である。

【００３８】次に、図５に示す実施例について説明す
る。図５に示す実施例では、図１に示す実施例の敷板
５、５１の上に、表面に凹凸模様が施された厚み５ｍｍ
の超高分子エチレン樹脂板からなる熱可塑性樹脂板９ｂ
が敷設され、超熱可塑性樹脂板９ｂの表面とレール１の
表面とをほぼ等しい高さにし、ネジ釘６ａで熱可塑性樹
脂板９ｂと敷板５、５１とが枕木３に固定されているこ
とが図１に示す実施例と異なる。

【００３９】その他は図１と同じである。

【００４０】

【考案の効果】本考案では、踏切の敷板として、従来、
木製の敷板に替わり、ガラス長繊維を長手方向に入れて
補強した熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板が使用される
から、長期間使用しても、痩せたり、ヒビ割れ、腐朽が
生ぜず、又、品質のばらつきもない。従って、表面が凹
凸になったり、敷板と敷板との間に隙間が生ずることが
なく、極めて快適で、且つ、危険のない踏切となる。

【００４１】又、本考案２〜本考案５におけるように、
この敷板の上に砂利を撒布したり、表面に凹凸模様を施
した金属板や金網が取り付けられた金属板や熱可塑性樹
脂板を取り付けると、表面が磨耗し難くなるから、更
に、快適な踏切となる。

【００４２】このように、本考案の軌道用踏切構造は極
めて安全で価値あるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案軌道用踏切の一実施例を示す断面
図である。

【図２】図２は本考案軌道用踏切の他の実施例を示す断
面図である。

【図３】図３は本考案軌道用踏切の別の実施例を示す断
面図である。

【図４】図４は本考案軌道用踏切の又別の実施例を示す
断面図である。

【図５】図５は本考案軌道用踏切のその又別の実施例を
示す断面図である。

【符号の説明】

１ レール ２ ガードレール ３ 枕木 ４ バラス ５ レール間に敷設された敷板 ５１ レールの外に敷設された敷板 ６、６ａ ネジ釘 ８ 犬釘 ９ 表面に凹凸模様を施した鋼板 ９ａ 金網が取り付けられる鋼板 ９ｂ 熱可塑性樹脂板 ９１ 金網

Claims (5)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガラス長繊維を長手方向に入れて補強し
   た熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板が左右のレールの間
   に敷設され、敷板の上面とレールの上面との高さがほぼ
   等しくされていることを特徴とする軌道用踏切構造。
2. 【請求項２】 上記敷板の表面に砂利が撒布されている
   ことを特徴とする請求項１記載の軌道用踏切構造。
3. 【請求項３】 ガラス長繊維を長手方向に入れて補強し
   た熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板が左右のレールの間
   に敷設され、この敷板の上に、表面に凹凸模様を施した
   金属板が設けられ、この金属板の表面とレールの上面と
   の高さがほぼ等しくされていることを特徴とする軌道用
   踏切構造。
4. 【請求項４】 ガラス長繊維を長手方向に入れて補強し
   た熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板が左右のレールの間
   に敷設され、この敷板の上に金属板が設けられ、この金
   属板の表面に金網が設けられ、この金属板の表面とレー
   ルの上面との高さがほぼ等しくされていることを特徴と
   する軌道用踏切構造。
5. 【請求項５】 ガラス長繊維を長手方向に入れて補強し
   た熱硬化性樹脂発泡体からなる敷板が左右のレールの間
   に敷設され、この敷板の上に、表面に凹凸模様を施した
   熱可塑性樹脂板が設けられ、この熱可塑性樹脂板の表面
   とレールの上面との高さがほぼ等しくされていることを
   特徴とする軌道用踏切構造。