JP2533934B2 - 分離膜モジュ―ル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、混合ガスから特定ガス成分を選択的に分離
可能な分離膜モジュール、特に含湿気体から水分等を分
離する気体の乾燥に適用して好適な分離膜モジュールに
関する。

〔従来の技術〕

含湿空気から水分を選択的に分離除去し、乾燥空気を
得ることができる装置として、中空糸分離膜を内蔵する
分離膜モジュールが知られている。

上記分離膜モジュールは、糸の内側（又は外側）に含
湿空気を通過接触させ、水分を該中空糸分離膜の外側
（又は内側）に透過させることにより、該含湿空気から
水分を分離除去する脱湿を行い、乾燥空気を製するもの
である。

上記分離膜モジュールにおいては、その脱湿性能を維
持するために、上記透過側空気から継続的に水分を排除
する必要があり、そのために製品として得られた乾燥ガ
スの一部をパージ用ガスとして該透過側空間に導入し、
透過した水分を除去（パージ）する方法が採用されてい
る。

上記水分のパージを可能とする分離膜モジュールとし
ては、乾燥空気が製品として排出される側の空間と透過
側空間とを連通する配管をモジュール外に付設し、その
一部に通気量を調整する為の調圧弁を設け、製された乾
燥空気の一部を、上記透過側空間に導入し得るように
し、そこに蓄積された水分の排除を継続することによ
り、脱湿性能を維持するものを用いることができる。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記のように配管や調圧弁を装置外部
に設ける場合には、その部分が装置本体から突出した形
状となるため、分離膜モジュールを他の装置と組み合わ
せて使用したりする場合、コンパクトな状態に組み込む
ことができないという問題があった。

本発明の目的は、製品ガスの一部をパージ用ガスとし
て透過側空間に導入するための調圧手段を備えているた
めに優れた分離性能を有し、しかも装置自体がコンパク
トであるために他の装置と組み合わせる場合もコンパク
トに組み込むことができる分離膜モジュールを提供する
ことにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、以下の分離膜モジュールを提供することに
より、上記目的を達成したものである。

原料ガスの供給口、製品ガスの排出口及び透過側出口
を有する筒状の容器内に中空糸束が収容され、該中空糸
束が、管壁に通気孔を有する芯管と、該芯管の周囲に配
して束ねられた多数本の中空糸分離膜と、芯管及びその
周囲の中空糸分離膜の両端部をそれぞれ一体的に固着し
た樹脂製の第一管板及び第二管板とで形成されている分
離膜モジュールにおいて、 上記第一管板及び第二管板それぞれの外側端面におい
て上記中空糸分離膜が開口され、該中空糸分離膜内部
は、上記第一管板と上記容器の一端との間に位置する第
一空間、及び上記第二管板と上記容器の他端との間に位
置する第二空間の何れにも連通され、 上記芯管の一端は上記第一管板を貫通し且つ他端は上
記第二管板により気密封止され、該芯管の一端部には、
上記第一空間と該芯管内部との間を通過するパージ用ガ
スの通気量を調整する調圧手段が配設されていることを
特徴とする分離膜モジュール。

〔作用〕

本発明においては、容器内に配され且つ該容器の長さ
方向に延びる芯管を介して、排出側空間と透過側空間と
を連通させるとともに、該芯管の一端部に調圧手段を配
設することにより、製品ガスの一部を透過側に導入可能
な分離膜モジュール自体を極めてコンパクトな形状にす
ることができる。

〔実施例〕

以下、本発明を実施例に基づいて具体的に詳述する。

第１図は本発明による一実施例の分離膜モジュールを
示す概略断面図であり、第２図は上記分離膜モジュール
の要部を拡大して示す部分断面図である。

本実施例の分離膜モジュールはパージ弁内蔵型のもの
であり、原料ガスの供給口１、製品ガスの排出口２及び
透過側出口13を有する筒状の容器３内に中空糸束４が収
容され、該中空糸束４が、管壁に形成されている通気孔
５を有する芯管６と、該芯管６の周囲に配して束ねられ
た多数本の中空糸分離膜７と、これら芯管６とその周囲
に配された多数本の中空糸分離膜７の両端部を一体的に
固着した樹脂製の第一管板８及び第二管板９とで形成さ
れ、該両管板８及び９は何れもその周囲で上記容器３の
内周面と密着されている。

そして、上記第一管板８及び第二管板９それぞれの外
側端面8a及び9aにおいて上記中空糸分離膜７が開口さ
れ、該中空糸分離膜７の内部（中空部）は、上記第一管
板８と上記容器３の一端との間に位置する第一空間11、
及び上記第二管板９と上記容器３の他端との間に位置す
る第二空間12の何れにも連通されている。また、前記透
過側出口13は、容器本体3aの壁部に貫通形成された孔部
として形成され、側方向に突出しない形状になってい
る。

また、上記芯管６の一端は上記第一管板８を貫通し且
つ他端は上記第二管板９により気密封止され、該芯管６
の一端部には、上記第一空間11と該芯管内部6aとの間を
通過するパージ用ガスの通気量を調整するための調圧手
段20が配設されている。

また、本実施例のパージ弁内蔵型分離膜モジュールで
は、第２図に示すように、容器本体3aに容器２の一端を
構成する蓋部3bが、該本体3aに螺合されている締付部材
3cを介して締付け固定されている。

本実施例において、上記調圧手段20は上記芯管６の一
端部に、いわゆるニードル弁が連結された構成からな
る。

上記調圧手段20は、その本体21が上記蓋部3bの先端に
保持固定されてなるもので、該本体21の内側には接続部
材22が螺入されており、該接続部材22の内側下部には弁
体23が容器３の内部に延びるように螺入連結されてい
る。

また、上記弁体23は、上記芯管６の一端に気密に接続
され、該弁体23の先端にはニードル24が挿通する孔部が
形成され、該孔部及びニードル24により弁部が構成され
ている。そして、上記ニードル24は、上記本体21の上端
に螺嵌されている摘み25に接続固定され且つ該本体21か
ら上記弁体23まで挿通延在されている軸26の先端に連設
されており、該摘み25の回転に伴って上下動し、該ニー
ドル24と上記孔部との間の間隙を広狭調節することが可
能になされている。

また、上記弁体23の下端近傍には、その壁部を貫通す
る通気孔27が、また、上記芯間６の上端近傍にもその管
壁を貫通する通気孔28がそれぞれ設けられている。その
結果、上記第一空間11と上記芯管内部6aとは、上記通気
孔28、27及び上記孔部と該孔部を挿通するニードル24と
の間隙を通して互いに連通され、しかも該間隙の広狭を
調節することにより、上記第一空間11及び上記芯間内部
6a間の通気量を任意に調整可能に構成されている。尚、
図中29は、Ｖ−パッキンであり、該Ｖ−パッキン29によ
り上記軸26周囲の中心部における上下方向の通気が完全
に遮断されている。

次に、本実施例の作用を、上記分離膜モジュールを空
気の乾燥処理に適用する場合を具体例にして説明する。

先ず、所定圧力下で、含湿空気（原料ガス）を供給口
１より第二空間12に導入供給する。供給された含湿空気
は矢印方向に流動し、第二管板の外側端面9aに開口され
ている中空糸分離膜７の内部に流入し、該中空糸分離膜
７の内面に接触を繰り返しながらその内部を流通してい
き、反対側（図中上側）の第一管板の外側端面8aに位置
する開口端より上記第一空間11に乾燥空気として流出さ
れ、該乾燥空気は製品ガスとして排出口２から導出さ
れ、所望の用途へ供給される。その際、上記含湿空気中
の水分は、上記接触を通して、中空糸分離膜７の膜面を
透過し、該中空糸分離膜７の外側である透過側に移動す
る。

そして、予め調圧手段の摘み25を回してニードル弁の
通気量を調整し、上記第一空間11に流出された乾燥空気
の一部（パージ用ガス）を、前記通気孔28及び27を通し
て（便宜上、空気の流れを矢印で右側についてのみ示
す）上記芯管６の内部6aに導入し、上記乾燥空気を前記
通気孔５を通して透過側空間に流出させることにより、
該空間に透過した水分を上記乾燥空気に同伴させて前記
透過側出口13より系外に排出し、該水分を除去（パー
ジ）可能な状態を形成しておく。その結果、上記中空糸
分離膜の脱湿性能を維持することが可能となり、上記分
離膜モジュールによる含湿空気の乾燥処理を連続して行
うことが可能となる。

以上詳述した如く、本実施例のパージ弁内蔵型分離膜
モジュールは、調圧手段20が、装置本体から、その横幅
方向に突出しない極めてコンパクトな形状でありなが
ら、透過側空間に所望量のパージ用ガス（乾燥空気）を
容易且つ確実に導入することができるため、優れた脱湿
性能を維持することが可能である。

以下、本実施例のパージ弁内蔵型分離膜モジュールに
ついて更に詳述する。

前記調圧手段20は、特に制限されないが、製造された
乾燥空気の50％以内の範囲で芯管６の内部6aに対する供
給量を調整可能であることが好ましい。

前記中空糸束４を構成する中空糸分離膜７はポリイミ
ド樹脂製であり、第一管板８及び第二管板９はエポキシ
樹脂で形成されている。但し、上記中空糸分離膜及び上
記両管板は、それぞれ上記樹脂材料からなるものに限ら
れるものでなく、使用目的に応じて種々変更可能である
ことはいうまでもない。

また、芯管６の通気孔５は、第一管板８の内側端から
測って、有効長の1/4以内に設けることが好ましい。但
し、これに限るものでなく、目的に応じて任意に変更で
きることはいうまでもない。ここで、有効長とは、第一
管板８及び第二管板９それぞれの内側端との間に位置す
る芯管の長さである。

また、上記通気孔５の孔径、その数及びその配置等は
任意に変更可能である。

次に、実験例を通して本発明の効果を具体的に示す。

（実験例） 前記第１図及び第２図に示した実施例のものと同様の
パージ弁内蔵型分離膜モジュールを用い、以下の条件の
下で含湿空気の乾燥処理を行い、その結果を第３図のグ
ラフに示した。図中、縦軸は、製された乾燥空気の大気
圧露点、横軸は供給した含湿空気（原料）に対する製さ
れた乾燥空気（製品）の収率（何れも標準状態の体積を
基準）であり、供給空気量100容からそのときのパージ
用空気量を減じた値に略等しい。

尚、比較のために、図示しないが、調圧手段として蓋
部3bと容器本体3aとに調圧弁を備えた配管を付設し、第
一空間11と第一管板８の内側端近傍の透過側空間とを連
通させ、乾燥空気の一部をパージ用として該透過側空間
に導入した以外は前記実施例のものと同構成のパージ弁
内蔵型分離膜モジュール（比較品）を用い、且つ同条件
の下で行った処理結果をも併せて図示した。

図中、黒三角印で示したものが、本発明のパージ弁内
蔵型分離膜モジュールによる結果であり、白三角印で示
したものが比較品による結果である。

実験条件 中空糸束径 ……40mmφ 中空糸分離膜……ポリイミド樹脂製 有効長200mm 膜面積0.4m² 芯管径 ……8mmφ 通気孔径 ……2mmφ 通気孔数 ……第一管板８の内側端より50mmまでの管
に98個が等間隔で分散配置されている。

原料ガス ……大気圧露点が０℃の空気を第二空間12
に20℃、7kg/cm²Ｇ下13lN/min.の流速で供給 第３図に示す結果より明らかなように、本実施例のパ
ージ弁内蔵型分離膜モジュールは、前述したコンパクト
化の効果に加えて、上記比較例のものに比べて脱湿性能
の向上（製品としての乾燥空気の低露点化）の効果も併
せもっていることが判る。

以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明
のパージ弁内蔵型分離膜モジュールは前記実施例に示し
たものに限られるものでない。

例えば、調圧手段としては、ニードル弁により構成さ
れるものに限らず、芯管の一端に連設し、第一空間と芯
管内部との間の通気量を調整可能な構成からなるものあ
れば任意に変更可能である。

また、実施例では、分離膜モジュールのコンパクトな
組み込みを可能とするために、透過側出口13が容器本体
3aの管壁に直接穿設した孔部からなるものを示したが、
これに限るものでなく、その形状は目的に応じて適宜変
更可能であることはいうまでもない。

また、本発明の分離膜モジュールの用途は、空気の乾
燥に限られるものでなく、窒素、酸素、アルゴン等の通
常気体を始めとして、天然ガス又は合成ガス等の気体の
乾燥にも適用できる。また、必ずしも脱湿（水）に限ら
れない。

また、前記実施例では、原料ガスである含湿空気を中
空糸分離膜の内側に供給する分離膜モジュールを示した
が、逆に中空糸分離膜の外側に供給する分離膜モジュー
ルであってもよい。この場合、第１図を利用して説明す
れば、原料ガスの供給口を第一管板９の内側端近傍の容
器３の管壁（実施例の透過側出口13の位置又はその近
傍）に、製品ガスの排出口を第一管板８の内側端近傍の
管壁にそれぞれ設け、第一空間11を密閉し（実施例の排
出口２は不要）、第二空間12に透過側出口を設け（実施
例の供給口１をそのまま利用できる）、その他は前記実
施例の分離膜モジュールと同様の構成にする。尚、その
際、使用目的に合うように装置の具体的構成は適宜変更
されることはいうまでもない。

〔発明の効果〕

本発明の分離膜モジュールは、乾燥空気等の製品ガス
の一部をパージガスとして透過側空間に導入するための
調圧手段を備えているために優れた分離性能を有し、し
かも装置自体がコンパクトであるため他の装置と組み合
わせて使用する場合はコンパクトに組み込むことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による一実施例の分離膜モジュールを示
す概略縦断面図、第２図は上記分離膜モジュールの要部
を拡大して示す部分断面図、第３図は上記分離膜モジュ
ールを用いて行った含湿空気の乾燥処理の結果を示すグ
ラフである。 1;供給口、2;排出口 3;容器、4;中空糸束 5;通気孔、6;芯管 7;中空糸分離膜、8;第一管板 9;第二管板 11;第一空間、12;第二空間 13;透過側出口 20;調圧手段、23;弁体 24;ニードル

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】原料ガスの供給口、製品ガスの排出口及び
   透過側出口を有する筒状の容器内に中空糸束が収容さ
   れ、該中空糸束が、管壁に通気孔を有する芯管と、該芯
   管の周囲に配して束ねられた多数本の中空糸分離膜と、
   芯管及びその周囲の中空糸分離膜の両端部をそれぞれ一
   体的に固着した樹脂製の第一管板及び第二管板とで形成
   されている分離膜モジュールにおいて、 上記第一管板及び第二管板それぞれの外側端面において
   上記中空糸分離膜が開口され、該中空糸分離膜内部は、
   上記第一管板と上記容器の一端との間に位置する第一空
   間、及び上記第二管板と上記容器の他端との間に位置す
   る第二空間の何れにも連通され、 上記芯管の一端は上記第一管板を貫通し且つ他端は上記
   第二管板により気密封止され、該芯管の一端部には、上
   記第一空間と該芯管内部との間を通過するパージ用ガス
   の通気量を調整する調圧手段が配設されていることを特
   徴とする分離膜モジュール。