JP2533612Y2 - グリーストラップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、排水中の油脂分を分
離するグリーストラップに関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、河川や湖沼の水質低下や富栄養化
を防止するため、工業排水のみならず一般排水であって
も浄化処理した後に下水に流出させて水質保全を図る必
要がある。そのため、厨房等から出る排水には油脂分や
残屑等が含まれ、これらを分離・収集するグリーストラ
ップを用いて水質保全が図られている。

【０００３】グリーストラップの基本構造は、槽形状の
槽本体の内部を底壁から間隔を開けて取付けた複数の隔
板で区切り、流入する排水から残屑、油脂を分離させて
下水に排出する。このような構造に好気性微生物が有機
分を分解・吸着する生物酸化作用を利用する浄化能力を
付加したグリーストラップがある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記したグリ
ーストラップでは、槽本体の容積に制限があり、流入す
る排水が好気性微生物と短時間しか接触できないため、
生物酸化作用による浄化処理が不充分なままで排出され
ることが多く浄化性能が悪い。そこで、この考案の課題
は、生物酸化作用を利用したグリーストラップの浄化処
理能力を向上させることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、この考案は、槽本体内部を下端開通の隔板でもっ
て原水流入室と油脂分離室と隔板側に下る底面を有する
排水室とに区分けして設け、前記槽本体水面下には微生
物濾体を設け、前記流入室の流路にはかご形の濾過網を
介在し、前記原水流入室と油脂分離室の水面下には散気
管を配置し、前記油脂分離室の水面には第１気送ポンプ
の吸水口を配置し、排水室側の隔板下方には第２給気ポ
ンプの吸水口を配置して両ポンプの吐水口を前記濾過網
上流に配置してなる構成を採用したのである。

【０００６】

【作用】グリーストラップの槽本体に流入する原水は濾
過網を通過するときに、大型の残屑がこし取られ、網目
を通った細かい有機物が微生物濾体から拡散する好気性
微生物に分離され、または濾体自体に付着される。ま
た、原水が複数の室へ移流するとき油脂、スカムが各室
に浮上して分離される。そして、第１気送ポンプにより
液面に浮遊する油脂、スカムを吸引し、第２気送ポンプ
により排水室の傾斜底下部に自然降下して堆積する沈澱
物を吸引し、濾過網上流に吐出し、微生物濾体とくり返
し接触させて浄化する。

【０００７】

【実施例】グリーストラップ１は、図１に示すようにＦ
ＲＰ製またはステンレス製の本体槽２と、この上口を蓋
する金属製のグレーティング蓋体３とからなり本体槽２
はコンクリート床面に埋設され、床表面と蓋体３表面が
面一状に合致されている。

【０００８】本体槽２は二枚の隔板４、５を底壁２ａか
ら間隔を置いて開通口４ａ、５ａを形成するように設
け、原水流入室６、油脂分離室７、排水室８の三室に区
切られている。

【０００９】原水流入室６には原水が流入する流入口６
ａを設け、ここから流入する原水を濾過するかご形の濾
過網９が槽側壁と第１隔板４に設けられたかご支持部材
によって着脱自在に支持されている。また、この室の水
面下位置に底壁２ａから立設される開通孔１０ａを有す
る保持部材１０で保持される微生物濾体１１を設け、さ
らに槽外のコンプレッサ１２に連結して空気泡を噴出す
る散気管１３が設けてある。油脂分離室７には、原水流
入室６から移流してくる原水に含まれる油脂やスカムが
突き当り上方に導かれる邪魔板２２が立設されている。
また、この室の水面下にも散気管１３が設けてある。さ
らに空気を供給する散気管１３と連通して気泡と共に吸
水する２本の気送ポンプ１４、１５が設けられている。
第１気送ポプン１４の吸水口１４ａは、常に水面に位置
させてある。そのために、吸水口１４ａ部を可撓性を有
する合成樹脂からなる可撓管１６で形成すると共に、フ
ロート１７を取付けてある。第２気送ポンプ１５の吸水
口１５ａは、排水室８と油脂分離室７とを区切る第２隔
板５側の底部に位置させてある。両ポンプ１４、１５は
Ｌ型自在継手１８、１８を介して回動自在に支持される
直線管によって水面に沿って延長され、吐水口１４ｂ、
１５ｂを濾過網９上に位置させてある。また、この室の
水面には、図２に示すようにく字形状の分離フロート１
９が浮上させてある。この分離フロート１９は合成樹脂
製のパイプ材からなり、流入する原水の量に応じて槽壁
に位置を規制されながら上下動し、水面を仕切ってい
る。排水室８には排水口８ａが設けられ、これにトラッ
プ管２０を挿通して図外の下水に処理水を排出するよう
にしてある。また、この室の底部には隔板５側に向って
下方に傾斜する傾斜板２１が設置されている。

【００１０】この考案に係るグリーストラップ１は上記
のような構成からなるため、流入口６ａから濾過網９内
に流入した原水は、大型の残屑を残留させて流出し、微
生物濾体１１から拡散する好気性微生物によって有機物
が分解または濾体１１自体に付着して浄化され、散気管
１３から噴出する気泡によって酸素が供給されると共
に、撹拌されて第１隔板４の開通口４ａと濾体保持部材
１０の開通孔１０ａを通じて油脂分離室７に移流する。
この際、原水に含まれる油脂、スカム等の浮遊性の汚物
は邪魔板２２に突き当って上方に導びかれて浮上し分離
フロート１９によって下流に移流するのを防止されてい
る。また、原水に含まれる比重が大きい沈澱物は散気管
１３によって移流されて原水流入室６から油脂分離室７
を経て第２隔板５の開通口５ａを通って排水室８に移動
し、この室の底部に設置した傾斜板２１によって自然に
降下させられ傾斜下部に集中して堆積するようにしてあ
る。そして、第１気送ポンプ１４によって油脂、スカム
をフロート１７と可撓管１６とで構成して常に水面に位
置させた吸水口１４ａから吸引し、濾過網９上に位置さ
せた吐水口１４ｂより吐出させる。また第２気送ポンプ
１５の吸水口１５ａは傾斜板２１の下部に位置させてあ
るので堆積している沈澱物を吸引して第１気送ポンプ１
４と同様に濾過網９上に位置する吐水口１５ｂより吐出
する。このように原水中の汚物は循環して微生物濾体１
１と繰り返し接触するので生物酸化作用による浄化処理
が充分に行なわれる。

【００１１】

【考案の効果】この考案は、以上説明したように気送ポ
ンプによって原水に含まれる汚物が吸引されて循環し、
微生物濾体とくり返し接触するので、原水は生物酸化作
用が充分に行なわれ、グリーストラップに付加した排水
浄化能力が向上し、水質保全に貢献することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の断面図

【図２】同上の平面図

【符号の説明】

１ グリーストラップ ２ 本体槽 ３ 蓋体 ４ 第１隔板 ４ａ 第１隔板の開通口 ５ 第２隔板 ５ａ 第２隔板の開通口 ６ 原水流入室 ７ 油脂分離室 ８ 排水室 ９ 濾過網 １１ 微生物濾体 １３ 散気管 １４ 第１気送ポンプ １４ａ 第１気送ポンプの吸水口 １４ｂ 第１気送ポンプの吐水口 １５ 第２気送ポンプ １５ａ 第２気送ポンプの吸水口 １５ｂ 第２気送ポンプの吐水口 ２１ 傾斜板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 槽本体内部を下端開通の隔板でもって原
   水流入室と油脂分離室と隔板側に下る底面を有する排水
   室とに区分けして設け、前記槽本体水面下には微生物濾
   体を設け、前記流入室の流路にはかご形の濾過網を介在
   し、前記原水流入室と油脂分離室の水面下には散気管を
   配置し、前記油脂分離室の水面には第１気送ポンプの吸
   水口を配置し、排水室側の隔板下方には第２気送ポンプ
   の吸水口を配置して両ポンプの吐水口を前記濾過網上流
   に配置してなるグリーストラップ。