JP2530181B2 - アルカリセルラ―ゼ遺伝子を含むdna断片並びに該dna断片を組み込んだ組換えプラスミド及び組換え微生物 - Google Patents

アルカリセルラ―ゼ遺伝子を含むdna断片並びに該dna断片を組み込んだ組換えプラスミド及び組換え微生物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアルカリ側pHに於いて最適な増殖を示す所謂
好アルカリ性(alkalophilic)バチルス(Bacillus)属
細菌由来のアルカリセルラーゼK遺伝子を含むDNA断
片、並びに当該DNA断片を組み込んだ組換えプラスミ
ド、更には当該組換えプラスミドによつて形質転換され
た形質転換体微生物に関する。
〔従来の技術及びその問題点〕
従来、セルラーゼはセルロースをグルコース、又はセ
ロビオース、或いはセロオリゴ糖まで分解する酵素反応
を触媒する複雑な酵素群として理解されており、その作
用機構により、C1酵素、Cx酵素とβ−グルコシダーゼ、
或いはエキソ−β−グルカナーゼ、エンド−β−グルカ
ナーゼ、セロビアーゼなどの名称で呼ばれる酵素を含有
すると言われる。過去数十年のセルラーゼの研究は専ら
バイオマス資源の有効利用を図るという観点から、例え
ばトリコデルマ属、アスペルギルス属、アクレモニウム
属、フミコーラ属等のカビの類にその供給源を求められ
てきた。
最近、セルラーゼの新規な産業的用途として、例えば
衣料用洗浄剤組成物に関するものが開発されつつある
が、上記のカビを含めて微生物が生産するセルラーゼ
は、その大部分が中性乃至酸性pHにおいて最適且つ安定
な酵素活性を有する、所謂中性若しくは酸性セルラーゼ
であつて、衣料用洗浄剤組成物としての要件を満たす、
アルカリ性pHで最高活性を示し、且つ安定な、所謂アル
カリセルラーゼの存在は極めて少ない。即ち、衣料用洗
浄剤組成物として使用し得る可能性を有するアルカリセ
ルラーゼの生産法としては、僅かに、好アルカリ性バチ
ルスに属する細菌を培養して培地よりセルラーゼAを生
産する方法(特公昭50−28515号公報)、セルロモナス
(Cellulomonas)に属する細菌を培養してアルカリセル
ラーゼ301−Aを生産する方法(特開昭58−224686号公
報)、好アルカリ性バチルスNo.1139株を培養してカル
ボキシメチルセルラーゼを生産する方法(Fukumori,F.,
Kudo,T.and Horikoshi,K.,J.Gen.Microbiol.,131,3339,
(1985))及びストレプトマイセス属(Streptomyces)
の一種を用いてアルカリセルラーゼを生産する方法(特
開昭61−19483号公報)が知られているに過ぎない。し
かしながら、これらの生産菌に於いてはその生産性が乏
しく、工業的生産にかなう発酵技術は未だ皆無である。
ところが、ごく最新になつて好アルカリ性細菌の一種で
あるバチルスエスピー(Bacillus sp.)KSM−635(FERM
BP−1485)が衣料用洗浄剤組成物として適したアルカ
リセルラーゼKを著量に生産することが見出され、更に
は、培養方法の検討による生産性の向上も行われ、アル
カリセルラーゼの工業的発酵生産技術の進展を見てい
る。一方、この技術においても、培地のpHをアルカリ性
側に保ちながらセルラーゼ発酵を行わなければならず、
加えて、工業用の実生産のためには、更にその力価の向
上が望まれている。
従つて、遺伝子操作の手法を用いて、好アルカリ性バ
チルス属細菌のアルカリセルラーゼ遺伝子を単離し、適
当なプラスミドベクターに結合した後、中性で生育可能
な微生物に導入する試みは、遺伝学的アプローチによる
育種を考慮した場合、極めて意義のあることである。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者は、好アルカリ性バチルス属細菌の染色体DN
AからアルカリセルラーゼK遺伝子を含むDNA断片を得べ
く、遺伝子操作の手法を用いてアルカリセルラーゼKを
生産する組換えエシエリヒア(Escherichia)属菌株を
調製し、該菌株からアルカリセルラーゼK遺伝子を含む
約4.0KbのDNA断片を単離した。更に、この約4.0KbのDNA
断片中、アルカリセルラーゼ遺伝子が含まれる座位の解
析を行つたところ、当該遺伝子が約2.4KbのDNA断片中に
含まれることが明らかとなり、また更に小さい約1.9Kb
のDNA断片を用いた場合にも、当該遺伝子の発現が認め
られた。そして、これらのDNA断片を、これまでにバチ
ルス属細菌から単離された他のセルラーゼ遺伝子、すな
わち、枯草菌(バチルス スブチリス)のβ−グルカナ
ーゼ遺伝子(Murphy,N.Mc Connell,D.J.and Cantwell,
B.A.,Nucleic Acids Res.,12,5355,(1984))、好アル
カリ性バチルス エスピー N−4株の2種類のアルカ
リセルラーゼ遺伝子(Sashihara,S.,Kudo,T.and Horiko
shi,K.,J.Bacteriol.,158,503,(1984))、枯草菌(バ
チルス スブチリス)のセルラーゼ遺伝子(Koide,Y.,N
akamura,A.,Uozumi,T.and Beppu,T.,Agric.Biol.Chem.,
50,233,(1986))及び好アルカリ性バチルス エスピ
ー No.1139株のアルカリセルラーゼ遺伝子(Fukumori,
F.,Kudo,T.,Narahashi,Y.and Horikoshi,K.,J.Gen.Micr
obiol.132,2329,(1986))の遺伝子と比較した結果、
独自の制限地図を有する新規なDNA断片であることを見
出し、本発明を完成した。
従つて、本発明はアルカリセルラーゼKをコードする
DNA断片、特に、約4.0Kb、約2.4Kb又は約1.9Kbの塩基対
からなり、第1図、第2図又は第3図に示す制限酵素地
図を有するDNA断片及びこのDNA断片を含有した組換えプ
ラスミド並びに当該プラスミドを有する組換え微生物を
提供するものである。
本発明に於いて、アルカリセルラーゼ遺伝子の供与体
となる微生物としては、例えば、好アルカリ性バチルス
属細菌の一種、バチルス エスピーKSM−635(FERM BP
−1485)が挙げられる。本菌株は本発明者らが栃木県芳
賀郡の土壌により、菌体外の著量のアルカリセルラーゼ
Kを生産する菌株として分離したものであり、微工研条
寄第1485号として寄託されている。当該菌株の分類学的
新規性については、本発明者らによる昭和61年特許願第
257775号(1986年10月28日)に詳述されている。また、
当該菌株によつて培地中に生産されるアルカリセルラー
ゼKの新規性についても本発明者らによる同日付の他の
特許出願に詳しく記載されている。そして、この酵素、
アルカリセルラーゼKは、アルカリ側に至適pHを有し、
カルボキシメチルセルロース(CMC)に作用する所謂CMC
アーゼで代表されるCX酵素活性が主体である。更に、こ
のアルカリセルラーゼKは、その主な構成成分として、
CMCアーゼI及びCMCアーゼIIと称するアルカリ側に至適
pHを有する二酵素を含んでおり、これらはアルカリセル
ラーゼの精製により分離取得され、その物理化学的性質
も下記の如く明らかとなっている。
(1) 基質特異性 カルボキシメチルセルロース、結晶性セルロース、ア
ビセル、セロビオース及びp−ニトロフェニルセロビオ
シドに対して作用する。
(2) 至適pH 9〜10である。
(3) 安定pH 40℃で10分間及び30分間放置した時の安定pHはそれぞ
れ、4.5〜10.5及び6.8〜10である。
(4) 作用温度範囲 10〜65℃の広い範囲で作用する。
(5) 分子量(ゲルクロマトグラフィー法) 180,000±10,000に最大ピークを有する。
供与菌株から染色体DNAを得る方法としては例えばマ
ーマーの方法(Marmur J.,Mol.Biol.,3,208,(1961))
や斎藤及び三浦の方法(Saito,H.and Miura,K.I.,Bioch
im.Biophys.Acta,72,619,(1963))等が挙げられる
が、他の類似な方法を用いることもできる。斯くして得
られた染色体DNAを制限酵素で切断することによつて、
アルカリセルラーゼ遺伝子を含むDNA断片を得ることが
できるが、用いる制限酵素の種類としては、当該遺伝子
がコードされている領域を切断しないものであれば、如
何なるものでも使用できる。最も好ましくはHind IIIを
用いれば当該遺伝子を切断することなく、当該遺伝子を
含む約4.0KbのDNA断片が得られる。更に、この約4.0Kb
のDNA断片を適当な制限酵素或いはヌクレアーゼBal31な
どのエキソヌクレアーゼを用いて切断して得られる各DN
A断片をベクタープラスミドにサブクローニングし、得
られた組換え体微生物のセルラーゼ生産性を調べること
によつて、アルカリセルラーゼ遺伝子が含まれる部位の
検索を行うことにより、約2.4Kb及び約1.9Kbのアルカリ
セルラーゼ遺伝子を含むDNA断片を得ることができる。
すなわち、第1−B図中、aで示す約2.4Kbの長さを有
するDNA断片もアルカリセルラーゼ遺伝子を発現する
し、また、bで示される約1.9KbのDNA断片についても、
やや効率が低下する場合があるものの、当該遺伝子の発
現が認められた。この場合の発現効率の低下について
は、現在のところその原因が明らかではないが、アルカ
リセルラーゼ遺伝子の一部、例えば、プロモーター領域
の一部等を欠失していること等が考えられる。
一方、遺伝子組換えに用いる宿主・ベクター系として
は、宿主菌株が中性pH領域で生育でき、アルカリセルラ
ーゼK遺伝子を発現させることができ、また、ベクター
が宿主菌中で複製可能であり、組み込んだ当該遺伝子を
安定に保持できるものであれば、如何なるものも使用す
ることができる。例えば、エシエリヒア コリ(Escher
ichia coli)K−12系統株を宿主とするEK系やバチルス
スブチリス(Bacillus subtilis)Marburg系統株を宿
主とするBM系等が挙げられるが、好適には、遺伝学的に
最もよく研究されており、ベクターの種類が豊富である
EK系を用いると良い結果が得られる。宿主菌株の具体例
として、EK系ではHB 101株、C 600株、JM 109株等、BM
系ではBD 170株、MI 112株等が挙げられる。ベクターと
しては、上記の記述に加えて、染色体DNAを切断した制
限酵素によつて唯一ケ所で切断されるプラスミドベクタ
ーを用いれば染色体DNA断片との結合の際に便利であ
る。具体的には、染色体DNAをHind IIIで切断した場
合、EK系ではpBR 322やpUC 12、pUC 18等のベクター、
またBM系ではpC 194やpBD 8等のベクターが挙げられ
る。染色体DNAの切断に用いた制限酵素による切断点を
持たない他のベクターについても、結合の際に合成リン
カーを用いる方法やホモポリマー結合法(Nelson,T.and
Brutlag,D.,Methods in Enzymology,68,41,Academic P
ress,(1980))等を用いることによつて、実施するこ
とができる。
上記の染色体DNA断片と制限酵素によつて切断したベ
クターDNAを結合させ、組換えプラスミドを作製する
が、結合の方法としては、例えば、DNAリガーゼを用い
る方法やホモポリマー結合法等が挙げられる。
組換えプラスミドによる宿主菌株の形質転換の方法は
特に限定されないが、例えば、EK系宿主菌株の場合、塩
化カルシウム法(Mandel,M.and Higa,A.,J.Mol.Biol.,5
3,159,(1970))や塩化ルビシウム法(Bolivar,F.and
Backman,K.,Method in Enzymology,68,253,Acadmic Pre
ss(1979))等、またBM系宿主菌株の場合には、コンプ
テントセル法(Contente,S.and Dabnau,D.,Mol.Gen.Gen
et.,177,459,(1979))やプロトプラスト法(Chang,S.
and Cohen,S.N.,Mol.Gen.Genet.,168,111,(1978))等
を用いることができる。形質転換株の選択は、先ずベク
タープラスミド上にコードされている抗生物質耐性等の
形質のうち、外来染色体DNAの挿入によつて失活しない
形質を指標としてベクタープラスミドによつて形質転換
されたものを一次選択する。具体的には、例えばベクタ
ープラスミドとしてEK系のpBR 322を用い、このHind II
I部位に染色体DNAのHind III断片を挿入した場合には、
pBR 322のHind III切断部位に外来DNAを挿入することに
よりテトラサイクリン耐性遺伝子が失活することから、
遺伝子中にHind III切断部位を持たないアンピシリン耐
性を指標として一次選択を行えば良い。次にこれを2%
のCMCを含む適当な寒天培地にレプリカ法によつて移植
して、培養を行い、コロニーが出現した後に例えばコン
ゴ・レツド法(Teather,R.M.and Wood,P.J.,Appl.Envir
on.Microbiol.,43,777,(1982))によつてコロニー周
辺のCMCを分解した菌株を目的の形質転換体菌株として
選択することができる。
斯くして得られた形質転換体の組換えプラスミドは通
常のプラスミド調製法(Maniatis,T.et al,Molecular C
loning,Cold Spring Harbor Laboratory,(1982)、高
木康敬編「遺伝子操作マニユアル」講談社(1982)等)
を用いて調製することができ、得られた組換えプラスミ
ドの各種制限酵素による切断パターンを電気泳動法等に
よつて解析することにより、得られた組換えプラスミド
がベクタープラスミドとアルカリセルラーゼ遺伝子を含
むDNA断片が結合したものであることを確認することが
できる。本発明に於けるアルカリセルラーゼ遺伝子は第
1図に示した様にその両端がHind III切断部位である4.
0KbのDNA断片中に含まれている。この4.0KbのDNA断片に
はアガロースゲル電気泳動法により確認できる範囲内で
Bal II、Hpa I、Xba I、Pvu II、Nde I、Bal I及びKpn
Iによる切断部位がそれぞれ1ケ所、またNsi I、Nsp
V、SnaB I及びSsp Iによる切断部位が2ケ所存在し、一
方、BamH I、Cla I、EcoR I、EcoR V、Nru I、Pst I、P
vu I、Sal I、Sca I及びSph Iによる切断部位が存在し
ないことを特徴としている。また、約2.4Kbと約1.9Kbの
2つのDNA断片は、アガロースゲル電気泳動法におい
て、それぞれ第2図及び第3図に示した制限酵素切断点
を有しており、BamH I、Cla I、EcoR I、EcoR V、Nru
I、Pst I、Pvu I、Sal I、Sca I及びSph Iによる切断点
は存在しなかつた。
これまでにバチルス属細菌から単離されたセルラーゼ
遺伝子としては、枯草菌(バチルス スブチリス)のβ
−グルカナーゼ遺伝子(Murphy,N.,McConnell,D.J.and
Cantwell,B.A.,Nucleic Acids Res.,12,5355(198
4))、好アルカリ性バチルス エスピー N−4株の
2種類のアルカリセルラーゼ遺伝子(Sashihara,S.,Kud
o,T.and Horikoshi,K.,J.Bacteriol.,158,503,(198
4))、枯草菌(バチルス スブチリス)のセルラー遺
伝子(Koide,Y.,Nakamura,A.,Uozumi,T.and Beppu,T.,A
gric.Biol.Chem.,50,233,(1986))及び好アルカリ性
バチルス エスピー No.1139株のアルカリセルラーゼ
遺伝子(Fukumori,F.,Kudo,T.,Narahashi,Y.and Horiko
shi,K.,J.Gen.Microbiol.132,2329,(1986))が知られ
ている。本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子を含むDNA
断片の制限地図を上記の遺伝子を含むDNA断片と比較す
ると、いずれも明らかに独自の制限地図を有する新規な
ものであることが判明した。
本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子を含む組換えプラ
スミドの好適な例としては、組換えプラスミドpBC 101
(第4図)、pBC 102(第5図)、pBC 111(第6図)、
pBC 112(第7図)、pBC 113(第8図)、pBC 114(第
9図)等が挙げられる。上記の組み換えプラスミドはい
ずれもベクタープラスミドpBR 322のHind III切断部位
にKSM−635由来のアルカリセルラーゼ遺伝子を含む染色
体DNA断片を挿入したものである。挿入DNA断片は、pBC
101及びpBC 102の場合は第1図に示した約4.0Kbのも
の、pBC 111及びpBC 112では第2図に示した約2.4Kbの
もの、またpBC 113及びpBC 114では第3図に示した約1.
9Kbのものである。約2.4Kb及び約1.9KbのDNA断片の場
合、それらの一端にはHind III切断部位が存在しない
為、ベクタープラスミドとの結合の際に合成Hind IIIリ
ンカーを付与した。pBC 101とpBC 102、pBC 111とpBC 1
12、pBC 113とpBC 114では、それぞれベクタープラスミ
ドpBR 322に対する挿入DNA断片の方向が逆向きである。
これらいずれの組換えプラスミドを用いた場合も、宿
主菌株中で当該遺伝子を発現させることができる。この
ことは当該遺伝子の発現がベクタープラスミド上にコー
ドされたプロモーター領域、例えばテトラサイクリン遺
伝子のプロモーター領域等によるものではなく、当該遺
伝子固有のプロモーター領域によるものであることを示
している。当該組換えプラスミドによつて形質転換され
た組換え微生物の好適な例としては、エシエリヒア コ
リ HB 101(pBC 101)株、HB 101(pBC 102)株、HB 1
01(pBC 111)株、HB 101(pBC 112)株、HB 101(pBC
113)株、HB 101(pBC 114)株等が挙げられる。これら
の菌株はHB 101株に組換えプラスミドpBC 101、pBC 10
2、pBC 111、pBC 112、pBC 113、pBC 114をそれぞれ導
入したものであり、エシエリヒア属細菌の培養に通常用
いられる培地、例えばLB培地等で培養することにより菌
体内にアルカリセルラーゼを生産する。生産された当該
酵素の最適反応pHは8〜10付近であり、遺伝子の供与菌
株であるバチルス エスピー KSM−635(FERM BP−148
5)が生産するアルカリセルラーゼKのそれと良く一致
し、加えて、両者の生産する当該酵素の免疫学的同一性
は免疫拡散試験によつて確認された。尚、エシエリヒア
コリ(Escherichia coli)HB 101(pBC 101)株は微
工研条寄第1486号(FERM BP−1486)として寄託されて
いる。
組換えプラスミドからアルカリセルラーゼ遺伝子を含
むDNA断片を単離する方法としては、組換えプラスミド
を制限酵素Hind IIIによつて切断した後、アガロースゲ
ル電気泳動法によつて、DNA断片を分離し、ゲルより抽
出・精製することによつて実施できる。ゲルからDNA断
片を抽出・精製する方法としては、電気溶出法(McDonn
ell,M.W.,Simon,M.N.and Studier,F.W.,J.Mol.Biol.,11
0,119,(1977))や低融点アガロースゲルを用いる方法
(Weislander,L.,Anal.Biochem.,98,305,(1979))な
どが挙げられる。用いる組換えプラスミドの種類によつ
て、約4.0Kb、約2.4Kb或いは約1.9KbのDNA断片が得られ
るが、いずれの場合もDNA断片の両端がHind III切断末
端となつているので、同じくHind IIIで切断した他のベ
クターの容易に結合することが可能である。
〔実施例〕
以下、実施例で更に具体的に本発明を説明する。
尚、実施例においてCMCアーゼ活性は以下の様に測定
した。即ち、CMC(2.5%)0.2ml、0.5Mグリシン緩衝液
(pH9.0)0.1ml及び脱イオン水0.1mlからなる基質溶液
に酵素液0.1mlを加え、40℃で反応した後、生成した還
元糖を3,5−ジニトロ−サリチル酸(3,5−dinitro−sal
icylic acid(DNS))法(Sumner,J.R.,and Somers,G.
F.,Labaratory experiments in biological Chemistry,
Academic Press,New York pp.34,(1944))によつて定
量した。酵素力価は、上記の条件下で1分間に1μmol
のグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を1単
位(1U)とした。また、蛋白定量はバイオ・ラド プロ
テイン アツセイキツト(バイオ・ラド社製)を用いて
行い、牛血清アルブミンを標準蛋白として算出した。
実施例1 アルカリセルラーゼを生産する好アルカリ性バチルス
の一種バチルス エスピー KSM−635(FERM BP−148
5)を5mlのMYG培地(肉エキス(ラブ・レムコパウダー
オキソイド社製)1.0%、酵母エキス(デイフコ社
製)0.5%、NaCl1.0%、KH2PO40.1%、Na2CO31.0%(別
滅菌))に接種し、30℃で2日間振盪培養を行つた後、
これを500mlの同培地に接種して30℃で更に30時間振盪
培養した。この後、遠心分離によつて菌体を集め、斎藤
及び三浦の方法(Saito,H.and Miura,K.I.,Biochim.Bio
phys.Acta,72,619,(1963))に従つて250μgの精製染
色体DNAを得た。
実施例2 実施例1で得られた染色体DNA10μgとベクタープラ
スミドpBR 322(ベーリンガーマハイム社製)1μgを
制限酵素反応液(10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、1
0mM MgCl2、50mM NaCl、1mMジチオスレイトール)に溶
解し、これに制限酵素Hind III(ベーリンガーマンハイ
ム社製)20単位を加えて37℃で2時間反応を行つた。反
応後、フエノール処理によつて制御酵素を除去したの
ち、エタノール沈澱を行い、得られたDNAの沈澱をリガ
ーゼ反応後(20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、10mM
MgCl2、10mMジチオスレイトール、1mM ATP)50μに溶
解した。これにT4 DNAリガーゼ(ベーリンガー マンハ
イム社製)2単位を加え、16℃で12時間反応を行い、染
色体DNA断片とベクタープラスミドを結合させて組換え
プラスミドを作製した。
実施例3 実施例2で作製した組換えプラスミドによる大腸菌の
形質転換は塩化カルシウム法(Mandel,M.and Higa,A.,
J.Mol.Biol.,53,159,(1970))に従つて行つた。宿主
菌株としてはエシエリヒア コリHB 101株(leu,pro,th
i,lacY,ara14,galK2,xyl5,mtl1,strA,recA,supE44,hsd
R,hsdM,end I)を用いた。形質転換処理を行つた菌懸濁
液をアンピシリン(ナトリウム塩、シグマ社製)50μg/
mlを含むLB寒天培地(1.0%トリプトン(デイフコ社
製)、0.5%酵母エキス(デイコフ社製)、1.0%NaCl、
1.5%バクト寒天(デイコフ社製))に塗沫し37℃で24
時間培養した。出現した約10000個の形質転換体のコロ
ニーを50μg/mlアンピシリンと2%CMCを含むLB寒天培
地にレプリカ法によつて移植し、更に37℃で48時間培養
した。培養後、コンゴ・レツド法(Teather,R.M.and Wo
od,P.J.,Appl.Environ.Microbiol.,43,777,(1982))
を用いてコロニー周辺のCMCを分解した菌株を選択する
ことによつて、8菌株を目的の形質転換株として分離し
た。
実施例4 実施例3で得られた形質転換株8株をそれぞれ、アン
ピシリン(50μg/ml)を含む10mlのLB培地(トリプトン
(デイコフ社製)1.0%、酵母エキス(デイコフ社製)
0.5%、NaCl 1.0%)に接種し、37℃で一夜静置培養し
た後、これを1のM9CA培地(0.6%Na2PO4、0.3%KH2P
O4、0.05%NaCl、0.1%NH4Cl、0.2%カザミノ酸(デイ
コフ社製)、2mM MgSO4(別滅菌)、0.1mM CaCl2(別滅
菌)、0.2%グルコース(別滅菌)、50μg/mlアンピシ
リン(除菌)に移植し、37℃で4〜5時間振盪培養し
た。これにクロラムフエニコール170mgを添加し、更に3
7℃で15時間振盪培養した。この培養液より遠心分離に
よつて菌体を集め、アルカリ溶菌法(Birnboim,H.C.and
Doly,J.,Nucleic Acids Res.,7,1513,(1979))とセ
シウム クロライド−エチジウム ブロマイド(cesium
chloride−ethidium bromide)密度勾配遠心法(Radlo
ff,R.,Bauer,W.and Vinograd,J.,Proc.Natl.Acad.Sci.,
57,1514,(1967))を組み合わせた方法(Maniatis,T.e
t al,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laborato
ry,(1982))に従つて、組換えプラスミドを調製し
た。得られた8種類の組換えプラスミドそれぞれ1μg
を制限酵素反応液(10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5)、10mM MgCl2、50mM NaCl、1mMジチオスレイトー
ル)に溶解し、これに制限酵素Hind III(ベーリンガー
マンハイム社製)5単位を加えて37℃で2時間反応を
行つた後、アガロースゲル電気泳動法によつて切断パタ
ーンの解析を行つた。この結果、8種類の組換えプラス
ミドはpBR 322(4.4Kb)以外に4.0Kbの共通するDNA断片
を有していた。このうち最もサイズの小さい2種類のプ
ラスミドについて常法(Maniatis,T.et al,Molecular C
loning,Cold Spring Harbor Laboratory,(1982)等)
に従つて、制限地図を作製したところ、2つの組換えプ
ラスミドはいずれも第1図に示した4.0KbのDNA断片とベ
クターpBR 322が結合したものであり、両者において挿
入DNA断片のベクターに対する方向性が逆向きであるこ
とがわかつた。この4.0KbのDNA断片にはBgl II、Hpa
I、Xba I、Pvu II、Nsp V、SnaB I、Nde I、Ssp I、Kpn
I、Bal I、及びNsi Iによる切断部位が第1図に示す様
に存在し、一方、BamH I、Cla I、EcoR I、EcoR V、Nru
I、Pst I、Pvu I、Sal I、Sca I及びSph Iに関する切
断点は存在しなかつた。得られた組換えプラスミドをそ
れぞれpBC 101(第4図)、pBC 102(第5図)と命名
し、また、pBC 101及びpBC 102によつて形質転換された
エシエリヒアコリHB101株をそれぞれHB 101(pBC 101)
株及びHB 101(pBC 102)株と命名した。
実施例5 pBC 101 1μgを50μgの10mM MgCl2と1mMジチオスレ
イトールを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解
し、これに制限酵素Kpn 12単位を加えて37℃で2時間反
応させ、pBC 101を直鎖状とした。フエノール処理によ
つてKpn Iを除去し、エタノール沈澱を行つたのち、沈
澱を10mM MgSO4と0.1mMジチオスレイトールを含む50mM
トリス塩酸緩衝液に溶解した。1.25単位のヌクレアーゼ
Bal 31を加えて22℃で15分間反応後、フエノール処理に
よつて反応を停止し、更にエタノール沈澱を行つた。沈
澱を10mM MgCl2、1mMジチオスレイトール及び50mM NaCl
を含む、10mMトリス塩酸緩衝液50μに溶解し、制限酵
素Hind III 1単位を加えて、37℃で2時間反応した後、
アガロースゲル電気泳動法によつて約2.4KbのDNA断片を
単離した。
約1.9KbのDNA断片は次のようにして単離した。pBC 10
1 1μgを10mM MgCl2、1mMジチオスレイトール及び100m
M NaClを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解
し、これに制限酵素Hind IIIとSsp Iをそれぞれ2単位
加え、37℃で2時間反応を行つた後、アガロースゲル電
気泳動法によつて、約1.9KbのDNA断片を単離した。必要
な場合には合成リンカーを結合させた後、これらのDNA
断片をT4DNAリガーゼによつてベクタープラスミドpBR 3
22に再度結合させ、大腸菌HB 101株の形質転換を行つ
た。得られた形質転換株をCMCを含むLB寒天培地にレプ
リカ法によつて移植し、37℃で1〜2日間培養後、コン
ゴー・レツド法によつて、形質転換株のアルカリセルラ
ーゼ生産性の有無を調べた。また、形質転換株から、実
施例4と同様の方法を用いてプラスミドを抽出し、目的
のDNA断片がベクタープラスミドpBR 322に挿入されてい
ることを確認した。この結果、第1−B図に示した様に
約4.0KbのDNA断片のうち、aで示した約2.4KbのDNA断片
或いは、bで示した約1.9KbのDNA断片とベクタープラス
ミドを結合した組換えプラスミドを有する組換え体微生
物は挿入DNA断片の挿入方向に関わらず、セルラーゼの
生産性を示したが、約1.9KbのDNA断片の場合、コンゴー
・レツド法に於ける透明帯が小さく、アルカリセルラー
ゼ遺伝子の発現効率が若干低下していることが示唆され
た。一方、約4.0KbのDNA断片からHind IIIからXba Iま
での約0.3KbのDNA断片或いはNsi IからHind IIIまでの
約2.3KbのDNA断片を取り除いた場合、当該遺伝子の発現
は認められなかつた。以上のことから、アルカリセルラ
ーゼ遺伝子は上述の約2.4Kb或いは約1.9KbのDNA断片中
に含まれ、独自のプロモーター領域によつて発現するこ
とが明らかとなり、一方、Xba I切断部位及びNsi I切断
部位は当該遺伝子中に存在することが示唆された。ま
た、約1.9KbのDNA断片の場合、当該遺伝子の発現が低下
することから、遺伝子の一部、例えばプロモーター領域
の一部を欠失していることも考えられた。約2.4KbのDNA
断片に合成Hind IIIリンカーを付与した後、ベクタープ
ラスミドpBR 322のHind III切断部位に挿入した組換え
プラスミドをpBC III及びpBC 112、約1.9KbのDNA断片に
合成Hind IIIリンカーを付与した後、ベクタープラスミ
ドpBR 322のHind III切断部位に挿入した組換えプラス
ミドをpBC 113及びpBC 114とそれぞれ命名した。以上の
サブクローニングの過程を第10図に示した。また、それ
ぞれの組換えプラスミドによつて形質転換されたエシエ
リヒア コリHB 101株をHB 101(pBC 111)、HB 101(p
BC 112)、HB 101(pBC 113)及びHB 101(pBC 114)と
それぞれ命名した。
実施例6 10mlのLB培地で一晩静置培養したエシエリヒア コリ
HB 101(pBC 101)株、HB 101(pBC 102)株、HB 101
(pBC 111)株、HB 101(pBC 112)株、HB 101(pBC 11
3)株、HB 101(pBC 114)株のそれぞれの培養液1mlを1
00mlのLB培地(50μg/mlアンピシリンを含む)に接種
し、37℃で24時間振盪培養した。培養後、培養液を遠心
分離し、沈澱した菌体を10mlのリン酸緩衝液(pH7.0)
に懸濁後、超音波破砕を行つた。再度、遠心分離によつ
て不溶物を沈澱として取り除き、得られた上清液を無細
胞抽出液とした。対照としてHB 101(pBR 322)株につ
いても同様に無細胞抽出液を調製し、これらのCMCアー
ゼ活性を測定した。この結果、第1表に示した様にHB 1
01(pBC 101)株、HB 101(pBC 102)株、HB 101(pBC
111)株、HB 101(pBC 112)株、HB 101(pBC 113)株
及びHB 101(pBC 114)株の無細胞抽出液にはCMCアーゼ
活性(グリシン緩衝液;pH9.0中)が認められた。
また、生産された菌体内CMCアーゼの作用pH範囲及び
最適作用pHを求めたところ(第11図)、本酵素はpH4〜1
2の広い範囲で作用し、pH8〜10に最適作用pHを有するこ
とが明らかとなり、遺伝子の供与体であるバチルス エ
スピーKSM−635(FERM BP−1485)株が生産するアルカ
リセルラーゼKの性質と良く一致した。
また、二重免疫拡散法(村松繁ら編、「実験生物学講
座14巻 免疫生物学」等)によつてHB 101(pBC 101)
株の及びHB 101(pBC 102)株のアルカリセルラーゼはK
SM−635株の培養液から精製されたCMCアーゼIIの抗血清
の間に沈降線を形成し、且つCMCアーゼIIによる沈降線
と完全に融合し、両酵素の免疫学的同一性が示された
(第12図)。
参考例 (1) 栃木県芳賀郡市貝町の土壌1gを滅菌生理食塩水
10mlに懸濁し、80℃で30分間熱処理した。この熱処理液
を適当に希釈してマスタープレート(肉エキス(オキソ
イド社製)1%、バクトペプトン(デイフコ社製)1
%、NaCl1%、KH2PO4 0.1%、Na2O3 0.5%(別滅菌)、
バクト寒天1.5%)に塗沫し30℃で3日間培養し、集落
を形成させた。レプリカ法により、マスタープレートと
同じ組成の培地に2%CMCを加えた滅菌寒天培地に移植
し、30℃で3〜4日間培養して集落を形成させた後、コ
ンゴ・レツド色素溶液を流し込み、寒天が赤色化した中
で周囲が染色されない集落を検出した。当該する集落を
マスタープレートから選出し、高力価CMCアーゼ生産菌
をスクリーニングした。
上述の手法により、バチルス エスピーKSM−635(FE
RM BP−1485)を取得した。
(ii) バチルス エスピー KSM−635(FERM BP−148
5)を1.5%肉エキス、0.5%酵母エキス、1%CMC、0.1
%KH2PO4と0.75%Na2CO3(別滅菌)からなる液体培地
中、34℃で2日間好気培養した。その培養上清液1に
対して3の冷エタノール(−10℃)を徐々に加えて蛋
白沈澱を生じさせ、得られる沈澱物を最小量の滅菌脱イ
オン水に溶解し、希酢酸で中和した後、流水に対して15
時間透析し、凍結乾燥粉末としてアルカリセルラーゼK
9.6gを得た。このものの物理化学的性質は後記の通りで
あつた。
(iii) KSM−635株が培地中に生産したアルカリセル
ラーゼKの精製は以下の様に行つた。即ち、培養液から
遠心分離によつて菌体を除いた上清液にストレプトマイ
シン処理、硫安分画(30〜75%飽和沈澱画分)を行つた
後、分取高速液体クロマトグラフイー(SW3000Gカラ
ム、東洋曹達)、DEAE−トヨパール(東洋曹達)クロマ
トグラフイー、ヒドロキシアパタイト(生化学工業)ク
ロマトグラフイー、そして再度DEAE−トヨパールクロマ
トグラフイーを行つた。2回目のDEAE−トヨパールクロ
マトグラフイーの際にNaClの直線濃度勾配(0.25M〜0.3
5M)による溶出を行うことによつて、2種のCMCアーゼ
(CMCアーゼI及びCMCアーゼII)に分画された。両酵素
はデービスの方法(Davis,D.J.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,12
1,404,(1964))に従つて電気泳動を行い、コマシー
ブリリアント ブルーで染色したところ、単一のバンド
を与えた。
CMCアーゼIIの抗血清は常法(日本免疫学会編 免疫
学実験法A,B等)に従つて上記の精製CMCアーゼIIをウサ
ギに注射(1回当たり1mg)することによつて調製し
た。
(アルカリセルラーゼKの物理化学的性質) アルカリセルラーゼKの物理化学的性質は次の通りで
ある。
(1) 作用 カルボキシメチルセルロースに作用するCX酵素活性を
有するほか、弱いC1酵素活性、β−グルコシダーゼ活性
を有する。
(2) 基質特異性 カルボキシメチルセルロース、結晶性セルロース、ア
ビセル、セロビオース及びp−ニトロフエニルセロビオ
キシドに対して作用する。
(3) 作用pH及び至適pH 作用pHは4〜12、至適pHは9〜10である。
(4) 安定pH 40℃で10分間及び30分間放置した時の安定pHはそれぞ
れ、4.5〜10.5及び6.8〜10である。
(5) 作用温度範囲及び作用至適温度 10〜65℃の広い範囲で作用するが、作用至適温度は約
40℃に認められる。
(6) キレート剤の影響 EDTA、EGTA、NTA、STPP及びゼオライトは活性を阻害
しない。
(7) 界面活性剤の影響 線状アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LA
S)、アルキル硫酸エステルナトリウム塩(ES)、ポリ
オキシエチレンアルキル硫酸エステルナトリウム塩(E
S)、α−オレフインスルホン酸ナトリウム(AOS)、α
−スルフオン化脂肪酸エステルナトリウム塩(α−SF
E)、アルキルスルホン酸ナトリウム(SAS)、ポリオキ
シエチレンセカンダリ−アルキルエーテル、脂肪酸塩
(ナトリウム塩)及びジメチルジアルキルアンモニウム
クロライド等の界面活性剤によつて殆んど活性阻害は受
けなかつた。
(8) プロテアーゼの影響 プロテアーゼに対し、強い耐性を有する。
(9) 分子量(ゲルクロマトグラフイー法) 180,000±10,000に最大ピークを有する。
【図面の簡単な説明】
第1−A図は、アルカリセルラーゼ遺伝子を含む約4.0K
bのDNA断片の制限地図であり、また、第1−B図は、当
該断片から得られる各種のDNA断片のアルカリセルラー
ゼ遺伝子の発現の有無を示す図面である。 第2図は、アルカリセルラーゼ遺伝子を含む約2.4KbのD
NA断片の制限地図である。 第3図は、アルカリセルラーゼ遺伝子を含む約1.9KbのD
NA断片の制限地図である。 第4図、第5図、第6図、第7図、第8図及び第9図
は、それぞれ組換えプラスミドpBC 101、pBC 102、pBC
111、pBC 112、pBC 113及びpBC 114の制限地図であり、
白抜き部分はベクターpBR 322由来、網かけ部分はバチ
ルス エスピー KSM−635 由来のDNA断片を示してい
る。 第10図は、サブクローニングの過程を示す図面である。 第11図は、HB 101(pBC 101)及びHB 101(pBC 102)各
株が菌体内に生産するアルカリセルラーゼの作用pH範囲
及び最適作用pHを示す図面である。 第12図は、HB 101(pBC 101)のアルカリセルラーゼと
バチルス エスピー KSM−635の精製CMCアーゼIIとの
二重免疫拡散試験の結果を示す図面であり、1は精製CM
CアーゼIIの抗血清、2は精製CMCアーゼII、3及び4は
それぞれHB 101(pBC 101)株及びHB 101(pBC 102)株
が生産したアルカリセルラーゼである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/20 C12R 1:07) C12R 1:07) (C12N 9/42 (C12N 9/42 C12R 1:07) C12R 1:07) ) (72)発明者 伊藤 進 栃木県宇都宮市東峰町3341―64 (72)発明者 岡本 暉公彦 埼玉県越谷市七左町1―229―8

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)下記の制限酵素地図を有する約4.0K
    bの塩基対、 (b)下記の制限酵素地図を有する約2.4Kbの塩基対、
    または (c)下記の制限酵素地図を有する約1.9Kbの塩基対 からなり、次の性質を有するアルカリセルラーゼKをコ
    ードするDNA断片。 (1) 基質特異性 カルボキシメチルセルロース、結晶性セルロース、アビ
    セル、セロビオース及びp−ニトロフェニルセロビオシ
    ドに対して作用する。 (2) 至適pH 9〜10である。 (3) 安定pH 40℃で10分間及び30分間放置した時の安定pHはそれぞ
    れ、4.5〜10.5及び6.8〜10である。 (4) 作用温度範囲 10〜65℃の広い範囲で作用する。 (5) 分子量(ゲルクロマトグラフィー法) 180,000±10,000に最大ピークを有する。
  2. 【請求項2】(a)下記の制限酵素地図を有する約4.0K
    bの塩基対、 (b)下記の制限酵素地図を有する約2.4Kbの塩基対、
    または (c)下記の制限酵素地図を有する約1.9Kbの塩基対 からなり、次の性質をするアルカリセルラーゼKをコー
    ドするDNA断片を含有する組換えプラスミド。 (1) 基質特異性 カルボキシメチルセルロース、結晶性セルロース、アビ
    セル、セロビオース及びp−ニトロフェニルセロビオシ
    ドに対して作用する。 (2) 至適pH 9〜10である。 (3) 安定pH 40℃で10分間及び30分間放置した時の安定pHはそれぞ
    れ、4.5〜10.5及び6.8〜10である。 (4) 作用温度範囲 10〜65℃の広い範囲で作用する。 (5) 分子量(ゲルクロマトグラフィー法) 180,000±10,000に最大ピークを有する。」
  3. 【請求項3】(a)下記の制限酵素地図を有する約4.0K
    bの塩基対、 (b)下記の制限酵素地図を有する約2.4Kbの塩基対、
    または (c)下記の制限酵素地図を有する約1.9Kbの塩基対 からなり、次の性質をするアルカリセルラーゼKをコー
    ドするDNA断片を含有する組換えプラスミドを有する組
    換え微生物。 (1) 基質特異性 カルボキシメチルセルロース、結晶性セルロース、アビ
    セル、セロビオース及びp−ニトロフェニルセロビオシ
    ドに対して作用する。 (2) 至適pH 9〜10である。 (3) 安定pH 40℃で10分間及び30分間放置した時の安定pHはそれぞ
    れ、4.5〜10.5及び6.8〜10である。 (4) 作用温度範囲 10〜65℃の広い範囲で作用する。 (5) 分子量(ゲルクロマトグラフィー法) 180,000±10,000に最大ピークを有する。
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