JP2529664Y2 - 懸濁液又は乳濁液の濾過装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、懸濁液又は乳濁液を濾過するための濾過装
置に関するものである。

（従来の技術） 懸濁液又は乳濁液の濾過は、微粒子状の濾過媒体より
成る濾床に懸濁液（又は乳濁液）を濾過させることによ
り行なうことは従来より知られている。濾過媒体は濾過
タンクに封入され、懸濁液は濾床を通って上方に流動す
る一方で、濾過媒体は濾過タンクを通って下方に流動で
きるようになっている。この一連の動作は以下の順序で
行なわれる。この一連の動作は以下の順序で行なわれ
る。即ち、濾床の下方部において浄化されるべき懸濁液
を散布し、濾過媒体の頂部又は上方から浄化液を排出
し、濾床の底部から汚染された濾過媒体を搬送し、それ
を洗浄した後、濾床頂部に返送する。導入された懸濁液
は、濾過媒体とは反対に濾床を上方へ向けて流動し、そ
の浄化液相は濾床の頂部又は上方において排出される。

上述した従来型の濾過装置、例えば特許第1108743号
で開示された濾過装置において、懸濁液は例えばパイプ
などの入り口手段を介して、濾過タンクの底部または底
部付近を通って濾床の下方部に位置する散布器まで搬送
され、そこで濾床内に散布されている。従って、入り口
パイプは濾床の最も汚染された部分を通過しなければな
らないので、汚染粒子によるパイプ詰まりの原因ともな
り故障を生じ易い。

詳述すれば、上記特許において開示された装置は、ハ
ウジングと、装置内を垂直方向に分布した濾床を形成し
ている上記ハウジング内の粒子状濾過媒体の帯域と、濾
過すべき懸濁液又は乳濁液用で、該懸濁液が濾過作業中
濾床を通って上方へ流動するように濾床帯域に対して位
置決めされた入り口手段と、該入り口手段の下方に位置
して濾床帯域と連通し、濾過媒体が濾床帯域を通って下
方向に連続的に供給される領域と、上記濾過帯域の上方
に位置する洗浄装置と、上記空間に供給され濾過により
汚染された濾過媒体を上記洗浄装置まで輸送するための
搬送装置より成っている。更に、上記洗浄装置は洗浄さ
れた濾過媒体を濾床の頂部表面へ返還するための手段を
備えている。

（考案の概要） 本考案は上述した濾過装置、特に上記特許において開
示された濾過装置を改良したものであり、その特徴は濾
過媒体の動作を妨害する可能性、特に上述したバイプ詰
まりの可能性を除去した点にある。更に本考案により達
成される利点は以下の通りである。即ち、 −ハウジングは単純な構造で、例えば入り口箱、上昇パ
イプ等は不要。

−入り口供給手段において振り逆止め弁は不要。

−沈積物を生ずる恐れのある入り口箱は不要。

−ハウジングの底部領域（底部円錐体）において濾過媒
体に対して障害となる上昇パイプは不要。

−単純な排出機構。

−コンクリート基部上に装置を容易に設置可能。

−必要に応じて、ハウジングに対し容易にゴムの塗布が
可能。

−濾過装置間の床上の通路を、より大きな濾過設備内部
に一括して形成することができる。

−利用可能性の向上。

−必要とされる床面積が減少。

上述した利点を達成するための本考案の特徴は請求項
に記載されている。

（実施例） 本考案に基づく濾過装置の実施例について、特に該装
置の作動に必要な関係をやや概略的に示した添付図面を
参照しつつ、以下詳細に説明する。

濾過すべき懸濁液又は乳濁液は、ヘッドパイプから矢
印Ａの方向に、導管即ち供給パイプ２を介して、濾床の
下方部に配設された入り口手段即ち放射状に延びる多数
の連続する散布器３まで供給される。この実施例におい
て各散布器はＶ字形屋根部を有し、該屋根部の下に懸濁
液のためのパイプ口を配設している。この構造によって
パイプ口付近の懸濁媒体が詰まる危険性は減少する。更
に上記構造において、最も汚染された濾過媒体、即ち散
布器３を通過した濾過媒体は下方に移動し続け濾過のた
めに再度利用されることはない。

しかしながらこの部分は、汚染された濾過媒体が詰ま
り易い危険帯域であり、濾過装置のいかなる細部も、濾
過媒体の下方向への均一な流動を妨げる限り、パイプ詰
まりの原因となり得るものである。従って、濾床のこの
部分に懸濁液のための入り口パイプがないということ
は、濾過装置の作動にとって一つの利点と言えよう。更
に濾過媒体の下方向への均一な移動を確保するような構
造を有していることも利点である。例えば、円錐体４の
形状によって、濾過媒体が濾過領域全体に亘って略均一
な速度で移動することを可能にしている。

濾過タンクの底部に入り口パイプがないのでタンクの
構造は従来のものより単純化されている。例えば、沈積
物が発生する恐れのあった散布箱付懸濁液用入り口、及
びタンクの底部を通って搬送装置の口部上方までの入り
口パイプは完全に除去されている。

濾過タンクの底部近傍に、搬送装置即ち空気吸い上げ
ポンプ５が位置している。該ポンプは搬送パイプ６より
成り、搬送媒体として空気により作動する。空気は搬送
パイプ６と並んで延伸するパイプ７に沿って上方から供
給し、搬送パイプの下端部にある穴を介して該パイプ内
に導入する。汚染された濾過媒体は、濾床上方に位置す
る洗浄装置８まで空気によって搬送される。ここで濾過
媒体は逆流してくる洗浄液と遭遇することが望ましい。
例えば濾床上方に位置する濾過液相の領域から供給され
洗浄の過程で汚染される洗浄液は、矢印Ｂの方向に排出
する。洗浄された濾過媒体は濾床帯域の頂部表面に返還
される。

実施例によれば、懸濁液用の供給パイプ２は濾床中央
部を通って延伸している。図示実施例において、搬送装
置６も又、濾床中央部に配設されている。懸濁液用の供
給パイプ２は、この場合、搬送装置の周囲に同心的に配
設することが望ましい。

矢印で示したように、濾過媒体は濾床帯域内を下方に
流動し、濾過すべき懸濁液は濾床帯域を通って上方に流
動する。濾床帯域上方の濾過液相は、堰（図示せず）を
介して矢印Ｃの方向に出口まで排出される。濾過媒体と
しては砂が最適であるが、プラスチック粒子或いは粒子
状材料の混合物でもよい。

（考案の効果） 本願考案装置により、濾過媒体の詰まりがないことに
よる濾過媒体の下方向への連続的な供給及び導管手段か
ら入り口手段が直接延びていることに起因する懸濁液ま
たは乳濁液の均等な分配が可能となる。

図から明らかなように、入り口及び出口はすべて濾過
タンク上方に位置している。このため複数の濾過タンク
を相互に隣接して且つ一列に設置することが容易とな
る。又、すべてのタンクを同一の入り口及び出口パイプ
に接続可能であり、必要な床面積も減少し、利用可能性
が向上する。

更に、コンクリート基部におけるタンクの複合配設も
容易に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る濾過装置の一実施例を示す斜視
図である。 1:ハウジング、2:供給パイプ、3:入り口手段（散布
器）、5:空気吸い上げポンプ、6:搬送パイプ、8:洗浄装
置。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】懸濁液又は乳濁液を濾過するための濾過装
   置であって、ハウジングと、該ハウジング内で垂直方向
   に分布した濾床帯域を形成している粒子状濾過媒体と、
   濾過処理中懸濁液が濾床を通って上方に流動できるよう
   に濾床帯域に対して位置決めされている懸濁液又は乳濁
   液用入り口手段と、該入り口手段の下方に位置して濾床
   帯域と連通し、濾床帯域を経由して下方に流れた濾過媒
   体が連続的に供給される領域と、上記濾床帯域の上方に
   位置する洗浄装置と、上記領域に供給され濾過によって
   汚染された濾過媒体を上記洗浄手段まで引き上げる搬送
   装置とから成り、上記洗浄装置には洗浄された濾過媒体
   を濾床の上部表面に戻すための手段が設けられ、ここで
   上記入り口手段は懸濁液又は乳濁液を上記入り口手段
   （３）に供給するために濾床帯域を通って該帯域の上方
   から上記入り口手段（３）へと下方に延びている導管手
   段（２）と接続され、さらに上記導管手段が中央に配さ
   れた濾過装置において、上記入り口手段はそれぞれ放射
   状に上記導管手段（２）から直接延びている多数の連続
   するＶ字形屋根部からなり、上記導管手段（２）の口部
   は上記Ｖ字形屋根部の下方に開口していることを特徴と
   する懸濁液又は乳濁液の濾過装置。
2. 【請求項２】上記搬送装置が中央に配設されてなる濾過
   装置において、上記導管手段（２）は上記搬送装置
   （６）の周囲に同心的に配設されてなることを特徴とす
   る請求項１記載の濾過装置。