JP2528582Y2 - 磁気テープカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、磁気テープカセットに
関し、特にカセットケース内に一対のテープ巻装体を回
転自在に収納し、カセット前方の開口部を開閉する回転
自在なガードパネルを具備した磁気テープカセットに関
するものである。

【０００２】

【従来技術】従来、オーディオ機器やビデオ機器等で
は、一対のハブに巻回された磁気テープをカセットケー
ス内に走行可能に支持して記録再生を行う磁気テープカ
セットが多用されている。

【０００３】これらの磁気テープカセットは、ＡＢＳ等
の合成樹脂で一体成形した上下のカセットハーフによる
カセットケース内に、磁気テープが巻回された一対のテ
ープ巻装体を、回転自在に保持したものである。

【０００４】そして、カセットケース内の磁気テープを
カセット前方の開口部から引き出して記録再生する構成
の磁気テープカセットとして、例えばＶＨＳ方式のカセ
ットに用いられている。これらの磁気テープカセット
は、カセット内への塵埃の進入だけでなくテープ保護の
ために、周知のように前記開口部を開閉する回転自在な
ガードパネルを具備している。

【０００５】図４は、ＶＴＲ用磁気テープカセットのＶ
ＨＳ方式におけるガードパネルの回転支軸およびロック
プレートの部分を示す分解斜視図である。図４に示すガ
ードパネル４０は、カセット前方の開口部分を覆う構造
であり、図示しない前面壁とその両端の側壁４１（片方
のみ図示）及び上面壁により構成されている。そして、
前記ガードパネル４０は、前記両側壁４１に設けられた
回転支軸４６がカセットケース本体側壁５０の軸受け孔
５１に支持され、前記回転支軸４６はその軸心４９を中
心に回動でき、この動きによりカセット開口部分を開閉
できる構造である。

【０００６】また、前記ガードパネル４０は前記カセッ
トケース本体の前方側の側壁５０の内側に配置されたロ
ックプレート５３により係止される。この係止構造は、
前記側壁４１の内側の凹部に前記ロックプレート５３の
プレート部５６に突設された係止突起５６ａが前記側壁
５０を貫通して係合する。一方、この係止解除は、同じ
く前記プレート部５６に設けられた別の解除突起５６ｂ
が、前記側壁４１のカセット後方側に露出しており、こ
の突起を記録再生装置等の解除手段によりカセット内側
に適宜押することにより行われる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】前記ガードパネル４０
の閉じ方向の付勢は、前記支軸４６に装着されたガード
パネルばね４８により行われている。前記ガードパネル
ばね４８は一端が前記支軸４６の半径方向に突出した凸
部４７に係合し、他端がカセット本体の上カセットハー
フに係合することにより、その付勢力が発生するように
装着されている。このような前記ガードパネルばね４８
は、その装着が比較的難しい。

【０００８】そのために、従来においては、前記ガード
パネル４０の装着方法を工夫するなどして対処してお
り、例えば前記ガードパネル４０を上カセットハーフに
装着するときに、予め前記ガードパネルばね４８はその
巻回部４８ａが前記支軸４６に嵌装されかつ係止部４８
ｃが突起４７に係止され、さらに張出部４８ｂが前記ガ
ードパネル４０の前面壁方向に延びた状態で装着され
る。この装着状態にしておいて、前記支軸４６とは反対
側の支軸を前記上カセットハーフに挿入し、しかるのち
に前記支軸４６を上カセットハーフの軸受け孔（実際の
軸孔の半分の開口した状態）に滑り込ませるように組み
上げ、この状態で前記上カセットハーフを下カセットハ
ーフに重ね合わせる。という極めて面倒な組立て方法が
採用され、この組立方法を自動で実施するためにはかな
り複雑な装置が必要であった。

【０００９】また、前記ロックプレート５３は、その回
転支軸５７が図示しないカセット内の壁部によりカセッ
ト前後方向に沿った軸心５４を中心に回転するが、この
ロック方向の付勢力は、前記回転支軸５７に巻きつくよ
うに装着されたロックプレートばね５５により行われ
る。前記ロックプレートばね５５は、その一端が前記プ
レート部５６に所定の箇所に係合し、他端がカセット本
体の適所に係合するように装着される。したがって、前
記ロックプレート５６の装着にときも、前記ロックプレ
ートばね５５を適当に引っ掛けるように装着しなければ
ならないために、その組み込みは極めて難易度の高い作
業であった。

【００１０】本考案の課題は、上述のようなガードパネ
ルの付勢構造複雑化に伴う組立性の悪化を改善すべくな
されたものであり、ガードパネルの付勢構造の簡略化、
ならびにロックプレートの付勢構造の簡略化をはかり、
組立て性のよい磁気テープカセットを提供することにあ
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案の上記課題は、カ
セットケース内に磁気テープを巻回した一対のテープ巻
装体を回転自在に収納し、前記磁気テープをカセット前
方に引き出し可能とする開口部を開閉する回転自在なガ
ードパネルおよび該ガードパネルの側壁に係合してガー
ドパネル開動をロックするロックプレートを具備した磁
気テープカセットにおいて、前記ガードパネルの回転支
軸の突起に係合して該ガードパネルを閉じ方向に付勢す
る第一ばね部と、前記ロックプレートのプレート部分に
係合して該プレート部分をロック方向に付勢する第二ば
ね部とが、前記カセットケースに位置決め固定される基
部からカセット厚み方向に張り出すように合成樹脂にて
一体形成された兼用ばねを具備したことを特徴とする磁
気テープカセットにより解決される。

【００１２】

【００１３】

【００１４】

【実施態様】以下、本考案の実施態様について添付図面
を参照して詳細に説明する。図１は本考案に基づくＶＨ
Ｓ方式の磁気テープカセットの概略分解斜視図であり、
図２は図１に示す磁気テープカセットのガードパネルお
よびロックプレートの兼用ばねを装着した状態を示す要
部斜視図である。図３は他の実施態様の要部斜視図であ
り、図２のものとは異なった形状の他の兼用ばねを示
す。

【００１５】図１に示すＶＴＲ用テープカセットは周知
のものであるが、その概略構造は磁気テープ36を巻回し
た一対のテープリール35が、上ハーフケース2 と下ハー
フケース3 とから成るカセットケース内に収容され、こ
のカセットケースの前方のテープ引き出し開口がガード
パネル19によって覆われる。前記ガードパネル19は、カ
セット前方寄りでかつ片側に装着されたロックプレート
53により開動が係止される。前記ロックプレート53の付
勢と前記ガードドパネル19の付勢は兼用ばね20により行
うように構成されている。

【００１６】なお、前記上ハーフケース2 は、窓用開口
15を有する矩形状の上壁面18の周縁に立設された前後側
壁12, 13と左右側壁14,14 から成る箱体であり、射出成
形等により一体成形されると共に前記窓用開口15に透明
な窓部材が溶着されており、その上壁面内側中央部には
前記テープリール35をカセット下方に付勢する板バネが
固定されている。

【００１７】前記下ハーフケース3 は、矩形状の底壁面
６の周縁に立設された前側壁12、後側壁13と左右側壁1
4、14から成る箱体であり、前記底壁面６には記録再生
装置の駆動シャフトを前記テープリール35のリールハブ
に挿入するためのシャフト挿入口７が形成されている。
そして、前記テープリール35は、これを囲むように略円
形に前記上壁面18及び底壁面６に立設された隔壁５によ
ってカセット水平方向に位置規制される。尚、他の組み
込み部材については便宜上図示を省略する。前記上下ハ
ーフケース2 、3 及び前記ガードパネル19はＡＢＳ等の
合成樹脂で一体成形されたものである。

【００１８】本実施態様の特徴は、前記ガードパネル19
と前記ロックプレート53をそれぞれ所望の方向に付勢す
る手段が一つの部材である前記兼用ばね20よって行われ
ていることにある。そして、前記兼用ばね20は例えばポ
リオキシメチレン(POM) 等の合成樹脂により一体成形さ
れている。

【００１９】前記兼用ばね20は、前記ガードパネル19の
回転支軸26の突起28に係合して該ガードパネル19を閉じ
方向に付勢する弾性力のある第一ばね部21と、前記ロッ
クプレート53のプレート部分56に係合して該ロックプレ
ート53をそのロック方向( 矢印Ｂにて示す方向) に付勢
する弾性力のある第二ばね部22とが略コ字状の基部23の
端部にカセット厚み方向に適宜傾斜して張り出した構造
である。

【００２０】また、ケース内壁に位置決め固定される前
記基部23には、前記両ばね部の反対側に位置決めリブ24
が設けられている。そして、前記兼用ばね20は前記基部
23を下にした状態で前記ロックプレート53の脇のスペー
スに落とし込むだけで、前記基部23が前記底壁面6 に接
すると共に前記位置決めリブ24が側壁52に接触した状態
でカセット左右方向において位置決め固定される。カセ
ット上下方向に位置決めは、例えば前記上ハーフケース
2 に前記基部23を押さえる適当な突起を設けておけばよ
く、また前記位置決めリブ24の高さを適宜設定するだけ
でも充分位置決めすることができる。

【００２１】前記兼用ばね20は、前記基部23ならびに前
記位置決めリブ24がケース内壁の適所に接することによ
りカセット内にて適宜位置決めされているので、前記ロ
ックプレート53がロック解除方向( 矢印C 方向) に移動
したとき、あるいは前記ガードパネル19が開動( 矢印Ａ
の反対方向) したときにおける前記各ばね部21、22の撓
みを発生させることができる。なお、前記位置決めリブ
24の一方のものは、すなわち前記プレート部56に形成さ
れた光センサの光路用の開口部分58に対向した前記位置
決めリブ24は、その光路を塞がないように低く構成され
ている。

【００２２】このように、前記磁気テープカセット1 は
一体型の前記兼用ばね20を設けた構成であるので、従来
のように第4 図に示す前記カードパネル40を付勢する専
用のばね48や前記ロックプレート53を付勢する専用のば
ね55を別々に装着する必要がなくなり、組み込み部品点
数が削減できるだけでなく、前記兼用ばね20はその基部
23を土台としてカセットケース内に単に落とし込むよう
な操作や単純な押し込み操作により極めて容易に装着す
ることできる。

【００２３】本考案は前記実施態様に何ら制限されるも
のではなく、兼用ばねの数あるいは形状、基部の形状等
の構成は種々変更できるものである。例えば、第3 図に
示す兼用ばね30は、各ばね部が円錐状であり、一つの第
ばね部31と二個の第二ばね部32を備えており、基部33が
矩形の板部材に構成されている。また、前記底壁面6に
はフック突起38が対向するように設けられている。した
がって、前記兼用ばね30は前記基部33を前記フック突起
38間に押し込むように組み込むことにより、カセット内
に固定することができる。

【００２４】さらに、前記実施態様においては、前記兼
用ばね20、30を同一の合成樹脂により一体成形したが、
この構成に限らず、前記各ばね部を金属として前記基部
を合成樹脂にて形成したインサート成形、あるいは前記
ばね部をPOM 等の弾性のある樹脂で構成し、前記基部を
ABS 等の樹脂にて二色成形により製造された構成であっ
てもよい。

【００２５】

【００２６】

【００２７】

【考案の効果】以上述べたように、本考案の磁気テープ
カセットは、ガードパネルの回転支軸に係合して該ガー
ドパネルを閉じ方向に付勢する第一ばね部と、ロックプ
レートのプレート部分に係合して該ロックプレートをロ
ック方向に付勢する第二ばね部とを備えた一体型の兼用
ばねを設けた構成であるので、従来のように前記カード
パネルを付勢する専用のばねや前記ロックプレートを付
勢する専用のばねを別々に装着する必要がなくなり、組
み込み部品点数が削減できるだけでなく、前記兼用ばね
はカセットケースに位置決め固定される基部を土台とし
てカセットケース内に単に落とし込むような操作や単純
な押し込み操作により極めて容易に装着することできる
ので、カセット組立性を悪くしていた大きな要因を取り
除くことが出来る。

【００２８】したがって、本考案によれば、従来のよう
な前記ガードパネルの付勢構造複雑化に伴う組立性の悪
化が改善され、組立て性がよく生産性のよい磁気テープ
カセットを提供するができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の磁気テープカセットの概略分解斜視図
である。

【図２】磁気テープカセットのガードパネルおよびロッ
クプレートの兼用ばねを装着した状態を示す要部斜視図
である。

【図３】本考案による兼用ばねの他の実施態様を示す要
部斜視図である。

【図４】従来の磁気テープカセットのガードパネルおよ
びロックプレートの部分斜視図である。

【符号の説明】

１ 磁気テープカセット ２ 上ハースケース ３ 下カセットハーフ ５ 隔壁 ６ 底壁面 ７ シャフト挿入口 12 前側壁 13 後側壁 14 カセットケースの側壁 15 窓用開口 18 上壁面 19、40 ガードパネル20、30 兼用ばね 21、31 第一ばね部 22、32 第二ばね部 23、33 基部 24 位置決めリブ 25、41 ガードパネルの側壁 26,27,46 回転支軸 28 回転支軸の突起 35 テープリール 36 磁気テープ 38 フック突起 49 ガードパネルの軸心 50、52 カセット前方側の側壁 51 軸受け孔 53 ロックプレート 54 ロックプレートの軸心 55 ロックプレートばね 56 プレート部 56a 解除突起 56b 係止突起 57 回転支軸 58 開口部分

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 カセットケース内に磁気テープを巻回し
   た一対のテープ巻装体を回転自在に収納し、前記磁気テ
   ープをカセット前方に引き出し可能とする開口部を開閉
   する回転自在なガードパネルおよび該ガードパネルの側
   壁に係合してガードパネル開動をロックするロックプレ
   ートを具備した磁気テープカセットにおいて、前記ガードパネルの回転支軸の突起に係合して該ガード
   パネルを閉じ方向に付勢する第一ばね部と、前記ロック
   プレートのプレート部分に係合して該プレート部分をロ
   ック方向に付勢する第二ばね部とが、前記カセットケー
   スに位置決め固定される基部からカセット厚み方向に張
   り出すように合成樹脂にて一体形成された兼用ばねを具
   備したことを特徴とする磁気テープカセット。