JP2519749Y2 - 検体前処理器具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、検体の前処理器具に関する。詳しくは検体
を分析に適した状態に精製、あるいは調製するために用
いる検体の前処理器具に関する。

［従来の技術］ 臨床検査あるいは品質管理のための分析あるいは研究
における分析では分析装置の保護のためあるいは再現性
を確保するため、検体を直接分析する場合は少なく何ら
かの前処理を施してから分析する場合が多い。

特に臨床検査の分野においては検体が血液あるいは尿
など生体由来のものであり分析を行いたい対象成分以外
に種々雑多な成分を含む。近年、臨床検査の分野で新し
く用いられて来つつあるDNA診断、特に感染症のDNA診断
においてはこの種々雑多な成分を含む検体中から純度よ
く目的とするDNAを抽出する必要がある。このためDNA診
断を行う前の検体の前処理としては微生物の溶解及びDN
Aのフェノール抽出及びエタノール沈殿という煩雑な操
作が必要となっている。また、DNA診断の場合に限ら
ず、分析に先だって行う前処理は自動化されておらず手
作業で行う必要がある。

［考案が解決しようとする課題］ 検体を分析する前に行う必要のある前処理のうち特に
感染症のDNA診断を行う前の前処理ではできるだけ不純
物をのぞくため微生物を溶解する前に検体中の微生物を
洗浄、溶解を行う必要があり、これもまた手作業で行わ
なければならない。

［考案の目的］ 本考案の目的は検体の分析を行うに先だって行う手作
業による前処理の作業ステップ数を減少させ前処理の作
業の効率を上げ、また作業者の負担を軽くし、また作業
中のミスを少なくすることである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記課題を解決するため、先端に開口部が
設けられた外筒と、前記外筒内を複数の隔室に区切る内
筒と、前記開口部及び内筒を貫通して移動可能な流路部
とを備えてた検体前処理器具を提供する。

ここで、先端に開口部が設けられた外筒としては、例
えば、通常用いられている使い捨ての注射器を用いるこ
とができるが、これに限定されない。また、外筒内を複
数の隔室に区切るために用いる内筒としては、通常、使
い捨ての注射器の内筒の先端部に用いられているゴム製
のものを用いるがこれに限定されない。

さらに、前記開口部及び内筒を貫通して移動可能な流
路部としては、外径1mm程度の先端が鋭敏なパイプが望
ましいがこれに限定されない。

［作用］ 本考案によれば、流路部を順次各隔室に移動させるこ
とにより、各隔室内の溶液を順次排出することができ
る。

［実施例］ 以下の実施例により本考案のさらに詳細な説明を行う
が、本考案はこれらの実施例によって何等限定されるも
のではない。

尿中に含まれる細菌の検出 第１図は本考案である検体前処理器具の一実施例を示
す構成説明図である。図に示すごとく検体前処理器具１
はプロピレン製の外筒２内にゴム製の内筒３及び４及び
５を有し、内筒５には支持棒７が付設してある。そして
外筒２の開口部８には内側の内筒３に向けて先端が鋭敏
なステンレス製のパイプ６（外径1mm、内径0.5mm）が取
り付けてありこれによって内筒３及び４を貫くことがで
きる構成となっている。また、内筒３と４との間には予
め、界面活性剤0.5％ Tween20及びNonidet P−40を含む
洗浄液５（1ml）を入れておく。また、内筒４と５との
間には予め、１％ドデシル硫酸ナトリウムを含む溶菌液
10（0.2ml）を入れておく。

以下、上記検体前処理器具１を用いた尿中に含まれる
細菌の菌体内成分の採取方法及び検出方法について説明
する。

まず、支持棒７を引き上げ開口部８から検体である尿
（1ml）を検体前処理器具１内に取り込む。次に開口部
８に菌体をトラップすることのできるフィルターユニッ
ト11を取り付ける。支持棒７を押し込むことにより、ま
ず、尿をフィルターユニットに通し、フィルター12で菌
体をトラップし、次に先端に鋭敏なパイプ６で内筒３を
貫く。続いて支持棒７を押し込むことによりパイプ６を
通して洗浄液９をフィルターユニット11に通し、フィル
ターでトラップされた菌体を洗浄液で洗浄する。

その後、続いて支持棒７を押し込みパイプ６を通して
溶菌液10をフィルターユニット11に通す。このときフィ
ルター12上にトラップされていた菌体は溶け、菌体内成
分は溶菌液中に放出されるとともに菌体内成分を含んだ
溶菌液を検体前処理器具から外に取り出すことができ
る。

このようにして得られた溶液をDNAハイブリダイゼー
ションアッセイに付したところ尿中に大腸菌を混在させ
た尿検体について陽性の結果が得られた。

［考案の効果］ 本考案の検体前処理器具を用いれば、尿検体を検体前
処理器具内に取り込んだ後、支持棒７を押すだけで菌体
の洗浄及び溶菌のステップも行うことができる。すなわ
ち、検体の分析に先立って行う手作業による前処理の作
業ステップを減らし前処理の作業の効率を上げ、また作
業者の負担をかるくし、さらに作業者ミスを少なくする
ことができる。

従って、本考案の検体前処理器具は、特に複雑な前処
理を必要とする分析方法においてその有用性は極めて大
なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の検体前処理器具を示す構
成説明図，第２図は、上記実施例で用いるフィルターユ
ニットを示す構成説明図である。 １……検体前処理器具、２……外筒 ３、４、５……内筒、６……パイプ ７……支持棒、８……開口部 ９……洗浄液、10……溶菌液 11……フィルターユニット 12……フィルター

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】先端に開口部が設けられた外筒と、前記外
   筒内を複数の隔室に区切る内筒と、前記開口部及び内筒
   を貫通して移動可能な流路部とを備えてなる検体前処理
   器具