JP2514865Y2 - 小径ペン先付筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、プロッター用ペンや製図用ペンに使用する
先端に硬質のペン先を設けた小径ペン先付筆記具に関す
る。

〔従来の技術〕

従来、この種の小径ペン先付筆記具は、硬質材料の小
径パイプ内に金属又は樹脂製の中芯が重りに固着されて
摺動可能に内蔵され、筆記先端を下に向けた時には中芯
の先端が小径パイプの先端より突出する構造となってい
た。

この理由としては、顔料インキにおけるインキの凝固
によりインキ通路が遮断されるのを防ぐ為であった。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし上記した従来のものは、プロッターでのアップ
ダウン時や高速筆記時に重りが摺動するため筆跡のカス
レや筆記線飛び現象が生じて重大な問題となっていた。

そこで本考案は、中芯および重りを廃止することによ
り常に安定したインキ追従が得られる小径ペン先付筆記
具を提供するものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の小径ペン先付筆記具は、インキを貯蔵したイ
ンキタンクの前部に先軸を取り付け、先軸に直接あるい
はホルダーを介して複数の貫通孔あるいは中心より放射
状に枝分かれした断面形状の貫通孔を設けた硬質材質の
小径ペン先を取り付ける。更に前記先軸にジョイントを
一体あるいは固定して形成し、ジョイントにはインキの
流通を良好に行なうために長手方向に伸びた複数の貫通
孔からなるインキ通路を形成するかあるいは貫通孔内に
長手方向に伸びた複数のリブが内方に突出してインキ通
路を形成し、しかもジョイントの前端と小径ペン先のイ
ンキ通路後端は適宜離れてインキ溜まり部が形成された
ことを特徴とするものである。

〔実施例〕

第１図・第２図・第３図および第４図は本考案の第１
実施例の小径ペン先付筆記具を示したもので、染料イン
キを貯蔵したインキタンク１の前部に先軸２を圧入接合
し、該先軸２の外周面には空気入口2Aと連通して内圧を
調整するための複数の環状溝2Bを形成する。この環状溝
2Bには長手方向に伸びて空気通路2Cが形成され、空気入
口2Aより流入された空気は空気路2Cおよび空気出口2Dを
通ってインキタンク１内に流れ込む。尚、先軸２におけ
る内圧を調整するための溝は環状溝2Bに限らず、従来知
られているような螺旋溝を用いても何ら問題はない。こ
こまでの構成は従来一般に実施されている構成なので簡
単な説明に留める。更に先軸２の先端部には合成樹脂製
のホルダー３が圧入により取り付けられ、該ボルダー３
にはセラミック等の硬質材質からなりかつ長手方向に伸
びた複数の貫通孔4Aを有した小径ペン先４が圧入されて
取り付けられる。第２図においては３つの貫通孔4Aによ
り形成された小径ペン先４が示されているが、貫通孔4A
は３つに限定されるものではなく、５個あるいは８個等
種々のものが考えられる。更にホルダー３には小径ペン
先４を保護するためのステンレス等の金属製の保護パイ
プ５が小径ペン先４の外側に外嵌されている。先軸２の
内部にはジョイント６が圧入されて固着され、該ジョイ
ント６の貫通孔6Aにはインキの追従を良好にするために
中心方向に突出した複数のリブ6Bが長手方向に伸びてイ
ンキ通路が形成される。しかもジョイント６のインキ通
路前端6Cと小径ペン先４の後端4Bとは適宜離れてインキ
溜まり部3Aが形成される。このジョイント６と小径ペン
先４の離間距離は好ましくは0.2mm〜5mm程度が好まし
い。

尚、ジョイントのインキ通路は、複数のリブにより形
成するものに限定されるものではなく、第５図に示した
ようにジョイント16に複数の貫通孔16Dを設けてインキ
通路を形成しても何ら問題はない。

第６図は本考案の第２実施例を示したもので、先軸12
の先端部に直接小径ペン先４および小径ペン先４を保護
するための保護パイプ５を取り付けたものである。この
先軸12の内部にジョイント６が圧入されて固着され、小
径ペン先４の後端4Bとジョイント６のインキ通路前端6C
を適宜離してインキ溜まり部12Eを構成したものであ
る。

第７図は本考案の第３実施例を示したもので、先軸22
内にジョイント26を一体に形成したものである。この先
軸22の先端部にホルダー13を圧入し、該ホルダー13に小
径ペン先４および保護パイプ５を取り付け、小径ペン先
４の後端4Bとジョイント26のインキ通路前端26Cを適宜
離してインキ溜まり部13Aを構成したものである。

以上説明した実施例はすべて小径ペン先に複数の貫通
孔を形成してインキを追従しているが、本考案は複数の
貫通孔を有した小径ペン先に限定されるものではなく、
例えば第８図に示したように小径ペン先14に断面十字形
の貫通孔14Aを形成したりあるいは図示してないが小径
ペン先に断面卍形の貫通孔を形成するような、つまり小
径ペン先に中心より放射状に枝分かれした断面形状の貫
通孔を形成してインキを追従させてももちろん本考案の
目的効果が十分期待できるものである。

実用上においては、筆跡が0.5mm以上のものは複数の
貫通孔を有した小径ペン先のほうが生産性やインキ流量
調節上好ましいが、筆跡が0.5mm以下の細いものは断面
十字形の貫通孔を有した小径ペン先の方が十分なインキ
流量が得られるので好ましい。

尚、図示してないが、先軸にジョイントおよびホルダ
ーを一体に形成しても単なる設計変更の範囲内であり、
何ら本考案の効果を損なうものではない。

〔考案の効果〕

本考案は以上の通りであり、従来のような中芯や重り
がなくなるために、部品点数が少なくしかも組立が非常
に簡略化されるものである。

更に重要な特長は、小径ペン先に複数の貫通孔あるい
は中心より放射状に枝分かれした断面形状の貫通孔を形
成し、かつジョイントに貫通孔からなるインキ通路を形
成し、前記小径ペン先の後端とインキ通路を有するジョ
イントの前端とを適宜離してインキ溜まり部を形成した
点である。

このことにより、ジョイントのインキ通路を伝わった
インキがインキ溜まり部に貯蔵され、筆記を行なうこと
により小径ペン先の貫通孔内を毛管作用により導かれて
インキが消耗すると、消耗した量だけ順次インキ溜まり
部に貯蔵されたインキが小径ペン先の貫通孔に供給され
るものである。

したがって、プロッターのようにアップダウンや振動
の激しい状態でも小径ペン先の貫通孔を伝わってインキ
が確実に導かれるとともに、高速で筆記を行なっても、
インキ溜まり部にインキが充分に貯蔵されるので、小径
ペン先のインキの供給が途切れることがない。

その結果として、筆跡がかすれたり筆記線が飛んだり
することなく常に安定したインキ追従が行なわれ、特に
図面を作画した時の仕上がりが良いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の小径ペン先付筆記具を示す主要部縦断
面図、第２図は第１図のA-A線を示す拡大断面図、第３
図は第１図のB-B線を示す拡大断面図、第４図は第１図
のC-C線を示す断面図、第５図はジョイントにおける他
の実施例を示す拡大断面図、第６図および第７図はそれ
ぞれ本考案の小径ペン先付筆記具の他の実施例を示す主
要部縦断面図、第８図は小径ペン先における他の実施例
を示す拡大断面図である。 １……インキタンク ２・12・22……先軸 ３・13……ホルダー ４・14……小径ペン先 ６・16・26……ジョイント

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インキを貯蔵したインキタンクと、インキ
   タンクの前部に取り付けられた先軸と、直接あるいはホ
   ルダーを介して先軸に取り付けられた硬質の小径ペン先
   と、先軸に一体に形成されるかあるいは固定されたジョ
   イントとからなり、小径ペン先に複数の貫通孔を形成
   し、かつジョイントに貫通孔からなるインキ通路を形成
   し、前記小径ペン先の後端とジョイントのインキ通路前
   端とを適宜離してインキ溜まり部を構成したことを特徴
   とする小径ペン先付筆記具。
2. 【請求項２】インキを貯蔵したインキタンクと、インキ
   タンクの前部に取り付けられた先軸と、直接あるいはホ
   ルダーを介して先軸に取り付けられた硬質の小径ペン先
   と、先軸に一体に形成されるかあるいは固定されたジョ
   イントとからなり、小径ペン先に断面が中心より放射状
   に枝分かれした形状の貫通孔を形成し、かつジョイント
   に貫通孔からなるインキ通路を形成し、前記小径ペン先
   の後端とジョイントのインキ通路前端とを適宜離してイ
   ンキ溜まり部を構成したことを特徴とする小径ペン先付
   筆記具。