JP2513086C - - Google Patents

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JP2513086C
JP2513086C JP2513086C JP 2513086 C JP2513086 C JP 2513086C JP 2513086 C JP2513086 C JP 2513086C
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JP
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chocolate
oil
saturated
hard butter
tempering
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、チョコレート特に巻き加工用に優れたチョコレート、及び巻きチ
ョコレートに関するものである。なおこの発明で「チョコレート」とは、規約(
「チョコレート類の表示に関する公正規約」)乃至法規上の規定により限定され
るものではなく、所謂カカオ代用脂を使用したチョコレート類及び油脂加工食品
をも包含する意味で使用する。 【0002】 【従来の技術】 ケーキ等の装飾に用いられる巻きチョコレートは、板状のチョコレートを手作
業でスプーンなどを用いて削っていたが、これは熟練を要し、均一な製品を得る
ことが困難であることから、近年機械的に量産することが行われるようになって 来た(特開昭59-66842号、特開昭63-263048 号など)。このような機械的処理に
おいても、ベルト上に展延されたチョコレートをスクレーバにより剥離させる工
程または切削刃により削る工程といった巻き工程が存在するが、如何に機械化さ
れたとはいえ、巻き工程における温度管理は極めてシビアであり、また形や大き
さに不揃いが多く、巻き工程における歩留りは通常50〜70% である。さらに巻き
加工したチョコレートの内筒面は、白っぽくなり易く外観上好ましいものではな
い。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 本発明者は、高歩留りで巻き工程を実施できる許容温度範囲を拡げることを主
たる課題として検討を行う中で、チョコレート油分中にジ飽和モノリノレートを
含ませることが有用であることを見出したが、その場合カカオ脂などのSUS 型ハ
ードバターを主成分とするチョコレートだとブルーム防止上テンパリング操作を
してチョコレートを製造することに困難があり、さらに検討を進める中でこの発
明を完成した。 【0004】 【課題を解決するための手段】 この発明は、油分中に10%以上のジ飽和モノリノレート(飽和2残基はパル
ミチン酸基またはステアリン酸基である)及び15%以上の非テンパリング型ハ
ードバターを含有するチョコレートである。 【0005】 ジ飽和モノリノレートは、和脂肪酸(S)2残基とリノール酸(L)1残基が結合
したグリセリド(S2L)で、L がα位に結合したSSL、β位に結合したSLS 及びそれ
らの混合物のいずれでもよい。S2L はともに温度変化に対する物性変化が少ない
が、SSL の方が、SLS よりも広い範囲の温度変化(-20〜25℃)に対する物性変化
がより少ない点で、冷菓や広い温度範囲で処理する可能性のある組合わせ食品等
に利用して有用である。 【0006】 S2L はチョコレート油分中10% 以上好ましくは20% 以上含まれるのが巻き工程 の許容温度範囲を拡げるのによく、S2L に富む油脂をチョコレート中に加配する
ことにより所定量とする(この明細書で%及び部は特にことわらない限り重量基
準で示す)。S2L に富む油脂は、リノール酸を多く含む油脂例えばサフラワー油
、ひまわり油、コーン油、菜種油、大豆油とりわけ前2者の油脂を、飽和脂肪酸
に富むエステルと公知の方法でエステル交換し、必要に応じて分別を行うことに
より得られる。特にエステル交換を、1,3-位に選択性を有するリパーゼを作用さ
せて行い、導入飽和脂肪酸源として、遊離脂肪酸またはその1価アルコールエス
テルを用いるときは、チョコレート油脂中の障害になりやすい炭素数16以上のS
からなるS3成分の生成が少ないので、エステル交換油の分別で除去する必要がな
くコスト上有利である。またパルミチン酸もしくはステアリン酸、またはそれら
の1価アルコールエステルがコスト的に有利なS 源であり、さらにこの発明では
該エステル交換油の低融点画分がチョコレート油脂中に含まれていてもよいので
低融点画分も分別除去する必要がない。 【0007】 この発明ではブルーム防止上S2L 以外にハードバター成分として非テンパリン
グ型ハードバターを用いる。チョコレート中の非テンパリング型ハードバターの
含量は15% 以上好ましくは20% 以上とするのがよく、この量を高めることにより
巻き工程の最適温度範囲を高めるので、後記する低融点グリセリドの量をも調整
することにより巻き工程温度を任意に変化させることが可能になる。該非テンパ
リング型ハードバターはテンパリング型ハードバターに比べて製品にブルーム様
の白さをでにくくする上で効果がある。該非テンパリング型ハードバターとして
は公知のものが使用でき、代表的には、高トランス異性化系またはラウリン系の
ものである。 【0008】 チョコレート油分としてはその他の成分、例えばカカオ脂、シア分別脂、パー
ム油などのいわゆるテンパリング型ハードバターが存在してよく、また上記いず
れかのハードバター、上記1,3-位に選択性を有するリパーゼを作用させて得るエ
ステル交換油の低融点画分あるいは他の常温で液状の油脂、等に由来するジ不飽
和モノ飽和グリセリド及びトリ不飽和グリセリドといった低融点トリグリセリド が5乃至30%含まれているのが好ましい。 【0009】 チョコレートはいわゆるノーテンパー型チョコレートの製法により製造するこ
とができる。チョコレート生地は前記油脂成分の他、チョコレートの通常の成分
例えば、ココア、糖類、粉乳、乳化剤、フレーバー、色素等を含むことができ、
またカカオ成分に代えて、アーモンド粉末などの堅果粉末、ピーナツバター、粉
末チーズ等を使用し、チョコレート以外の風味を与えたり、ホワイトチョコレー
トベースに色をつけたいわゆるカラーチョコレートとすることができる。チョコ
レートは溶融した生地を冷却・固化して得られる。 【0010】 このようにして得られるチョコレートは、広い許容温度範囲で巻きチョコレー
トの巻き工程に供することができる。 【0011】 この発明は、油分中にジ飽和モノリノレート及び非テンパリング型ハードバタ
ーを含有するチョコレートを巻き加工することを特徴とする削りチョコレートの
製造法を包含する。 【0012】 巻き工程は、板状に成形したチョコレートをスプーンなどを用いる手作業で削
ったり、切削刃で削る機械的処理であってもよく、或いは、チョコレート生地を
ベルト上に展延し、スクレーバによりチョコレートを剥離させる、といった公知
の方法を採用できる。 【0013】 【実施例】 実施例1乃至4及び比較例 サフラワー油20部、ステアリン酸エチル80部を1,3 位特異性を有するリパーゼ
を用いてエステル交換し、蒸留によりエチルエステル部を除去したもの(油脂No
.1)のトリグリセリド組成は、S2L 48.3%、その他のS2U 6.6%、SU2+U3 44.5%、
S3 0.6% であった。 この油脂とノーテンパー型ハードバターとして高トランス異性化系のもの(商 品名「メラノSTM」:不二製油(株)製、融点36℃、トランス酸含量75%)または
ラウリン系のもの(商品名「パルケナH」:不二製油(株)製、融点35℃)を試
料油として、ココア20.8部、粉糖49.4部、試料油29.8部、レシチン0.5 部及びバ
ニリン0.02部の配合でテンパリング工程なしに2kgの板状に成形固化し、20℃で
1週間エージングした。巻きチョコレート原料の使用に際しては、原料チョコレ
ートを所定の温度域で1日保存後、特開昭63-263048 号明細書に記載の巻きチョ
コレート製造装置にて中央部が膨れた楕円筒状の巻きチョコレートを製造した。 【0014】 また比較の試料油としてカカオ脂(トリグリセリド組成は、S2L 5.9%、その他
のS2U 80.1%、SU2+U3 13.0%、S3 0.9%)を50% 使用のものはテンパリングを実施
せず、100%使用のものはテンパリングを実施してチョコレートを製造したが、50
% 使用のものは5℃で固化した時点ですでにブルームが生じていた。 【0015】 【表1】 【0016】 巻きチョコレートの目視による品質結果を表2に示したが、表中例えば「9」
は歩留り9割以上、「8」は、歩留り8割以上9割未満、「<」は歩留り5割未
満であったことを示す。 【0017】 【表2】 【0018】 上表に示される様に、試料油脂中カカオ脂単独または高トランス異性化系単独
のチョコレートは極めて許容温度範囲が狭く且つ歩留まりが低いのに対して、油
脂No.1の使用量が15% 以上含まれることにより許容温度範囲の拡大及び歩留り向
上があった。 【0019】 実施例 大豆極度硬化油60部とサフラワー油40部をソディウムメチラートを用いてエス
テル交換し、ヘキサンを用いて1段分別して得た低融点画分を収率75% で得た。
この油脂のトリグリセリド組成は、S2L 45.2%、その他のS2U 6.5%、SU2+U3 46.
8%、S3 1.5% であった。 【0020】 これを油脂No.1に代えて使用する他は、実施例2と同様にチョコレートを製造
し、品温18℃で巻き工程を実施したところ歩留り9割以上で製品が得られた。 【0021】 【効果】 本発明のチョコレートはそれを用いて巻きチョコレートを製造すると、巻き工
程処理の許容温度範囲を拡げ、歩留りを高める。また運搬中の破損を低下させる
ことができる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 油分中に10%以上のジ飽和モノリノレート(飽和2残基はパル
    ミチン酸基またはステアリン酸基である)及び15%以上の非テンパリング型ハ
    ードバターを含有するチョコレート。 【請求項2】 非テンパリング型ハードバターが高トランス異性化系またはラウ
    リン系のものである請求項1のチョコレート。 【請求項3】 油分中に10%以上のジ飽和モノリノレート(飽和2残基はパル
    ミチン酸基またはステアリン酸基である)及び15%以上の非テンパリング型ハ
    ードバターを含有するチョコレート生地を、テンパリング処理することなく固化
    させるチョコレートの製造法。 【請求項4】 油分中に10%以上のジ飽和モノリノレート(飽和2残基はパル
    ミチン酸基またはステアリン酸基である)及び15%以上の非テンパリング型ハ
    ードバターを含有するチョコレート生地を、固化後巻き加工することを特徴とす
    る削りチョコレートの製造法。

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