JP2512112B2 - 酵素電極を用いる測定方法 - Google Patents

酵素電極を用いる測定方法

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JP2512112B2 JP63277123A JP27712388A JP2512112B2 JP 2512112 B2 JP2512112 B2 JP 2512112B2 JP 63277123 A JP63277123 A JP 63277123A JP 27712388 A JP27712388 A JP 27712388A JP 2512112 B2 JP2512112 B2 JP 2512112B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、過酸化水素生成オキシダーゼを固体電極上
に、直接もしくは選択透過膜を介して固定化した酵素電
極を用いて、緩衝液中に混入された試料中の被検出物質
を酸化し、生成する過酸化水素を検出することにより、
試料中の被検出物質濃度を測定する方法に関する。
従来の技術 固定化酵素作用電極を用いた計測装置は、簡便性、迅
速性および基質特異性等に優れた特徴を有し、臨床分
析、食品分析および環境計測等の広範な分野において、
その応用範囲を広げつつある。なかでも、アンペロメト
リツクな計測を行う装置、すなわち酵素反応によつて生
成または消費される電極活性物質の増減を、定電圧を印
加した作用電極からの電流出力値の変化として捉える形
式の装置は、高感度の測定を容易に行うことができる。
したがつて、このような測定方法に使用される各種の電
極、装置および方法が開発されている。
アンペロメトリツクな測定方法の代表例としては、電
極反応で消費される酸素を、酸素電極によつて計測する
方法と、電極反応で生成される過酸化水素を、過酸化水
素電極によつて測定する方法とがある。この2種の測定
方法は、固定化酵素電極に最もよく用いられているが、
応答速度およびS/N比の点で、固定化過酸化水素生成オ
キシダーゼと過酸化水素電極とを組み合わせた方法が優
れている。
しかしながら、酵素電極の1つの欠点として、使用さ
れる過酸化水素電極が、一般的に固体の白金、金または
カーボン等の固体電極からなるので、固体電極表面の汚
染による感度変動は避けられないことが挙げられる。こ
の汚染の原因は、試料中の被検出物質以外の種々の化合
物や、酵素反応による過酸化水素以外の生成物などであ
り、さらに被検出物質自体が汚染原因となる場合があ
る。このような固体電極表面の汚染は、固体電極上に直
接酵素を固定化した電極では、特に顕著となり、避けら
れない現象である。
また、一般に、過酸化水素電極では、過酸化水素以外
の酸化可能な化合物、たとえばアスコルビン酸や尿酸に
よる測定の妨害を防ぐために、過酸化水素を透過し、こ
れらの妨害物を透過させない選択透過膜を、固体電極表
面に設ける。したがつて、過酸化水素と比べて汚染原因
の分子量が極度に大きい場合は、固体電極表面だけに汚
染が引き起こされることはない。このような比較的大き
な分子による汚染は酵素電極の接液表面、すなわち酵素
を固定した固定化膜の表面に発生し、基質である被検出
物質自体が透過しににくなるなどのトラブルの原因にな
る。現状では試料調製方法を工夫して、予め試料から、
このような分子量の大きな汚染原因を除去し、上記トラ
ブルを避けている。
一方、過酸化水素と同程度の分子量、すなわち比較的
低分子の化合物の中には、選択透過膜を透過し、電極上
で化学反応を行わないながらも、固体電極表面に吸着
し、測定感度を変動させるものがある。したがつて選択
透過膜を設けた場合においても、やはり固体電極表面の
汚染は問題となる。
このような固体電極表面の汚染による感度変動に対し
て、固体電極表面の清浄化を目的として逆電位の印加
(特開昭第57−60255号、特開昭第60−155959号、特開
昭第62−156555号)や三角波電位走査を行う方法(特開
昭第63−122942号)が提案されている。しかしながら、
これらの方法の欠点としては、徐々に感度変動が起きた
場合に、清浄化操作を行う時点を決める判定基準を定め
なければならない点、および電位を変化させる機構を設
ける必要があり、装置自体が複雑化し、装置の作成費用
が高くなる点が挙げられる。
さらに、過酸化水素生成オキシダーゼの中には、酵素
反応の結果、それ自体が固体電極表面を汚染する可能性
がある化合物を生成するものがある。たとえば、低級ア
ルコールの酸化反応を触媒するアルコールオキシダーゼ
は、生成物として、そのアルコールに対応するアルデヒ
ドを生成する。このアルデヒド自体、またアルデヒドの
一部が電極上で酸化されて生成されるカルボン酸は、固
体電極表面に吸着して、測定感度の低下を引き起こす。
このような現象に類似の現象は、乳酸オキシダーゼを
用いた乳酸の定量の際にも認められる。この場合には、
基質である乳酸自体と、電極反応によつて生成されるピ
ルビン酸とによる感度変動が起こり得る。このような問
題点には、これまで有効な解決策が提示されず現在に至
つている。
発明が解決しようとする課題 本発明の目的は、酵素電極を用いる測定を行う際に、
試料中に予め含まれるか、あるいは酵素反応の結果生じ
た低分子の化合物が、白金、金またはカーボン等の固体
電極表面を汚染し、酵素電極の感度低下、あるいは再現
性不良を起こすことを防止し、高精度かつ再現性の良好
な測定を行うことができる酵素電極を用いる測定方法を
提供することである。
課題を解決するための手段 本発明は、緩衝液中に試料を混入し、過酸化水素生成
オキシダーゼを固体電極上に直接固定化した酵素電極を
用いて、試料中の被検出物質を酸化し、生成する過酸化
水素を検出することにより、試料中の被検出物質濃度を
測定する方法において、 前記緩衝液中に、一般式(1)で表される化合物を含
有させ、 R1,R2−CHCOOH …(1) R1がアミノ基および水酸基から成る群から選択された
置換基であり、 R2が水素原子および炭素数が1から4までの間である
アルキル基から成る群から選択された置換基であること
を特徴とする酵素電極を用いる測定方法である。
さらに本発明は、緩衝液中に試料を混入し、過酸化水
素生成オキシダーゼを、過酸化水素を選択的に透過する
選択透過膜を介して固体電極上に固定化した酵素電極を
用いて、試料中の被検出物質を酸化し、生成する過酸化
水素を検出することにより、試料中の被検出物質濃度を
測定する方法において、 前記緩衝液中に、一般式(1)で表される化合物を含
有させ、 R1,R2−CHCOOH …(1) R1がアミノ基および水酸基から成る群から選択された
置換基であり、 R2が水素原子、メチル基およびエチル基から成る群か
ら選択された置換基であることを特徴とする酵素電極を
用いる測定方法である。
作 用 一般的に、清浄な固体電極表面は、各種の化合物によ
り汚染され易く、特にアミン類またはカルボン酸類の汚
染物質によつて著しく汚染されることが知られている。
酵素電極を用いた測定では、測定対象である試料は、臨
床試料、食品試料、あるいは排水等の環境試料であり、
上述した汚染物質を含んでいる。したがつてこれらの汚
染物質によつて、固体電極表面が汚染されることは避け
られない。
本発明者は、特に過酸化水素生成オキシダーゼを固定
化した酵素電極を用いて、酵素電極上で被検出物質を酸
化し、生成する過酸化水素を電気化学的に検出すること
により、被検出物質濃度を測定する方式において、酵素
電極に各種汚染物質を作用させ、その影響を阻止する方
法を検討し、本発明を完成するに至つた。
汚染物質の固体電極表面への吸着を阻止するために、
特定の化合物を使用する場合には、その化合物は、固体
電極表面に到達する必要がある。したがつて、本発明者
は、まず酵素電極を構成する固定化酵素層、もしくは固
体電極表面と固定化酵素層の間に設けられた妨害物を除
去するための選択透過膜を、一部ではあるが透過し、そ
れ自体は電極反応を起こさず、なおかつ固体電極となん
らかの相互作用を行う化合物を探索した。
選択透過膜は、過酸化水素を優先的に透過し、試料中
に共存するアスコルビン酸、尿酸等の還元性物質の透過
を制限するものであり、理想的酵素電極用選択透過膜に
おいては、分子量34の過酸化水素のみが透過され、それ
を越える分子量の化合物は一切透過されないことが望ま
れる。しかし現実には、分子量100前後を境界として、
それ以上の分子量の化合物を透過しにくく、それ以下の
分子量の化合物を透過し易い膜を選択透過膜として用い
ることになる。このような選択透過膜としては、公知の
アセチルセルロース膜、シリコン系膜、アクリル系膜、
さらにタンバク質を利用した膜(特開昭第63−182559
号)等があるが、いずれの膜も同様の特性を有してい
る。
また選択透過膜を設けず、固体電極表面に直接酵素層
を形成した場合においても、基質となる化合物より分子
量が小さい物質は、固体電極表面へ拡散し易く、容易に
固体電極表面に到達することができる。したがつて、目
的とする化合物は、分子量が200程度以下の化合物から
選ばれることになる。
具体的には、固体電極として白金電極をベースとし、
選択透過膜として牛血清アルブミンを用い、グルコース
オキシダーゼを固定化したグルコース測定用電極を、10
0mMリン酸ナトリウム緩衝液中に入れる。次に、その緩
衝液中に、汚染物質として1mMの酢酸を添加し、グルコ
ースを測定するという実験を行う。このような実験で
は、上記緩衝液に酢酸を添加して15分以内に、過酸化水
素に対する電極応答が70%程度に低下し、固体電極表面
が汚染された場合に相当する現象が起こる。予め各種化
合物を、上記緩衝液中に含有させ、上記実験を行い、上
述した感度低下を防止する化合物を探した。
この結果、本発明にかかわる化合物、 R1,R2−CHCOOH …(1) すなわち一般式(1)の構造を有する化合物を加えて
おくと、このような感度低下は認められず、さらにこれ
らの化合物を10mM程度含む緩衝液中に、10mM以上の酢酸
を添加しても感度変動が見られないことが見いだされ
た。
緩衝液中に含まれる化合物は、一般式(1)の構造を
有し、固体電極上に直接酵素を固定化した酵素電極にお
いては、R1がアミノ基もしくは水酸基、R2が水素もしく
は炭素数が1から4までのアルキル基のいずれかから選
ばれるものである。つまり、このような化合物として、
グリコール酸およびその誘導体、グリシン、アラニン等
のアミノ酸、およびその誘導体が好適に用いられる。
また選択透過膜を固体電極上に設け、選択透過膜を介
してその溶液側に酵素を固定化した酵素電極において
は、R1がアミノ基もしくは水酸基、R2が水素、メチル基
またはエチル基のいずれかから選ばれるものである。
このような選択透過膜を有していない電極において
は、比較的分子量の大きな化合物も、固体電極表面に到
達することができる。しかしながら、上記アルキル基の
長さがヘキシル基を越えると、水溶性が低下し、このよ
うな化合物は固体電極表面に油状汚染物として吸着する
恐れがある。したがつてこれらの化合物を緩衝液中に添
加することによつて、逆に感度低下をもたらすことにな
り、分子量の大きな化合物を利用することは困難であ
る。特に良好な結果を得るためには、アルキル基の炭素
数は4以下であることが望まれる。
選択透過膜を固体電極上に設け、選択透過膜を介して
その溶液側に酵素を固定化した電極においては、R1がア
ミノ基また水酸基、R2が水素、メチル基またはエチル基
のいずれかから選ばれるものである。このような場合に
は、選択透過膜をある程度透過し、固体電極表面と相互
作用を行うために、R2に制限が加えられる。
これらの化合物が効果を示す理由は、おそらく電極表
面との相互作用を強めるカルボキシル基、およびアミノ
基または水酸基を有し、さらに妨害物である酢酸等に比
べて大きな原子団が含まれているからだと考えられる。
つまり、一般式(1)で表される化合物は、予め固体電
極表面に吸着することにより、酢酸等の化合物に対して
は、拮坑的にその吸着を阻害するが、側鎖の立体障害か
らその被覆率は低く、過酸化水素程度の分子量のものに
関しては、電極反応を阻害するまでには電極表面を覆い
きらないと考えられる。
これらの化合物は、水溶性が高いために酵素反応に用
いる緩衝液中に加えることは、きわめて容易である。一
般に、緩衝液中に、0.1〜100mM程度、より好ましくは1
〜10mM程度の濃度となるように添加すると効果を示す。
低濃度過ぎる場合には、効果が薄れるし、この範囲を越
える濃度では、緩衝液の緩衝能に影響を与えたり、添加
された化合物自体が温度の変動により析出することがあ
り好ましくない。
また、これらの化合物は、特に酵素反応を阻害する作
用を有さず、その点でも利用しやすい。ただし、過酸化
水素生成オキシダーゼの中で、アミノ酸オキシダーゼを
利用する場合には、たとえばL−アミノ酸オキシダーゼ
に対しては、L−アミノ酸は使用できず、D−アミノ酸
を利用するように配慮するか、あるいはグリコール酸系
の化合物を使用するべきである。また、一般に、アミノ
酸系化合物の方が安価であるため利用しやすいが、微生
物汚染による分解等も起き易いため、アミノ酸系化合物
を使用する場合には、各種の殺菌剤、制菌剤を併用する
ことが望ましい。また本発明の化合物を含む緩衝液は、
バツチ測定系でも、フロー型計測装置を用いた計測系で
も、その効果を発揮する。
実施例 以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する
が、もちろん本発明はこれのみに限定されるものではな
い。なお、%は重量%を表す。
実施例1 (1)電極の前処理方法 直径2mmの白金線の側面を熱収縮テフロン(登録商標
名)で被覆し、その白金線の一端をやすりおよび1500番
のエメリー紙で平滑に仕上げた。この白金線を作用極、
1cm角白金板を対極、飽和カロメル電極(以下、SCEと略
称する)を参照電極として、0.1M硫酸中、+1.4Vで10分
間の電解酸化処理を行つた。その後、白金線をよく水洗
した後、40℃で5分間乾燥し、10%γ−アミノプロピル
トリエトキシシランの無水トルエン溶液に1時間浸漬
後、洗浄した。このアミノシラン化した白金線上に酵素
を固定化した。
(2)酵素の固定化方法 アルコールオキシダーゼ(シグマ社製、Pichiapastol
is由来、液状酵素標品)100μlに、牛血清アルブミン
(シグマ社製、Fraction V)5mgを添加し、硫酸アンモ
ニウムを飽和した100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
5)を、氷冷下で1ml添加した。この操作で、溶液は白濁
し、酵素およびアルブミンが不溶化した。この液を、4
℃で20000×g(gは重力過速度を表す)で、10分間遠
心分離した。上清を除き、100mMリン酸ナトリウム緩衝
液(pH7.5)を100μlに加え、沈澱したタンパク質を再
溶解させた。この溶液を再溶解に用いたものと同じ緩衝
液に対して、4℃で1時間透析した。透析後の溶液を、
以下の固定化操作に用いた。透析までの操作により、上
記液状酵素標品に安定化剤として含まれる糖類やグリセ
ロール、さらにタンパク質を沈澱させるのに用いた硫酸
アンモニウムが除去された。
透析後の液に、グルタルアルデヒドを、0.2%になる
ように加えた。この混合液を、手早く先に用意したアミ
ノシラン化白金線上に、3μlのせ、40℃で15分間乾燥
硬化した。その後、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.5)中に室温で保存した。
(3)測定方法 本発明に従う測定方法で使用されるフロー型測定装置
は、第1図に示される。上述のようにして作成された酵
素電極を作用電極6とし、また参照電極として銀・塩化
銀電極8を用い、これらを測定用セル5に取り付けた。
この測定用セル5は、その内容積を40μlとした。作用
電極6および銀・塩化銀電極8は、緩衝液管路を介して
対向して配置されている。対極7として、測定用セル5
からの出口側に取り付けたステンレス管を用いた。
第1図において、緩衝液は、参照電極として用いた銀
・塩化銀電極8の電位を安定化するために、50mM塩化カ
リウムを含み、かつ本発明に係わる化合物としてDL−le
ucic acid ((CH32CHCH2CH(OH)COOH)、すなわち一般式
(1)において、R1=OH,R2=(CH32CHCH2を1mM添加
した100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)であり、緩
衝液リザーバ1から供給される。この緩衝液は、高速液
体クロマトグラフ用ポンプ2によつて、流速1.0ml/分で
送液された。
試料は、5μl用のサンプリングループを装着したレ
オダイン社製7125型試料注入装置3から注入された。注
入された試料を緩衝液と混合および希釈し、かつ温度を
平衡化させるために、たとえば内径0.5mm、長さ1mのテ
フロン管をコイル状に巻いた希釈混合用配管4が設置さ
れている。
注入装置3から測定用セル5までは37±0.2℃に制御
された恒温槽12中に配置されている。測定用セル5を出
た廃液は、廃液リザーバ11に排出される。また作用電極
6の電位を規制し、電流の検出を行うポテンシオスタツ
ト9によつて、作用電極6には、銀・塩化銀電極8に対
して、+0.45Vの電圧が印加され、また検出された電流
は、電圧変換後、増幅されて記録計10に出力され、これ
によつて出力電流値が記録された。
(4)測定方法および結果 まず、恒温槽の温度が安定した後、0.1mMから4mMの濃
度のエタノール水溶液を5μl注入し、記録計10によつ
て記録された曲線のベースラインからのピークの高さを
計測した。注入されたエタノールの濃度とピークの高さ
(電流値)より、第2図に示される検量線を作成した。
得られたデータは、最小二乗法により直線近似し、その
検量線の勾配を求めた。
次に、実試料としてビールの250倍希釈液5μlを60
回注入し、再び検量線を作成する。この操作を5回繰り
返したところ、検量線の勾配はほとんど変動せず、第3
図中○印で示すように一定であつた。このときの検量線
の勾配の変化はラインl1で示される。なお、DL−leucic
acidを含まない測定系において、標準物質のみの注入
により本酵素電極が熱失活により感度変動しないことは
別途確認しているため、DL−leucic acidの効果はビー
ルに含まれる電極汚染物質、たとえば酢酸等の有機酸に
よる汚染を防いでいるものと考えられる。さらにこの緩
衝液中で、酵素電極を保存しても、リン酸緩衝液のみの
場合と保存安定性に差は認められなかつた。
比較例1 (1)電極の前処理方法 実施例1と同様に電極を処理した。
(2)酵素の固定化方法 実施例1と同様に固定化した。
(3)測定装置 測定に用いる緩衝液からDL−leucic acidを除いた以
外、実施例1と同様の装置を用いた。
(4)測定方法および結果 実施例1と同様の測定を行い電極感度の変動を評価し
た。その結果は第3図において、●印で示されている。
このときの検量線の勾配の変化は、ラインl2で示され
る。これより添加されたDL−leucic acidが、電極感度
には影響を及ぼさず、かつ実試料注入による感度変動を
防いでいることがわかる。
実施例2 (1)電極の前処理方法 実施例1と同様に電極を処理した。
(2)酵素の固定化方法 実施例1と同様に固定化した。
(3)測定装置 測定に用いる緩衝液にDL−leucic acidのかわりに、1
0mMのグリシン、すなわち一般式(1)においてR1=N
H2,R2=H、を加えた以外、実施例1と同様の装置を用
いた。
(4)測定方法および結果 実施例1と同様の測定を行い、電極感度の変動を評価
した。その結果は、第4図において○印で示されてい
る。第4図に示されるように添加されたグリシンが、DL
−leucic acidと同様に電極感度には影響を及ぼさず、
かつ実試料注入による感度変動を防止していることがわ
かる。
実施例3 (1)電極の前処理 実施例1と同様に処理した。
(2)酵素の固定化方法 蒸留水1mlに牛血清アルブミン(シグマ社製、Fractio
n V)2mgを溶解し、氷冷下で0.2%になるように、グル
タルアルデヒドを添加した。この溶液を、前処理の完了
した白金電極上に3μl塗布し、4℃で30分間放置し
た。その後、40℃で15分間加熱処理を行い、架橋反応を
完結し選択透過膜が形成された。次に、牛血清アルブミ
ン(シグマ社製、Fraction V)5mgとグルコースオキシ
ダーゼ(シグマ社製、TypeII、Aspergillus niger由
来)5mgとを、100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)1
mlに溶解し、0.2%になるようにグルタルアルデヒドを
添加した。この溶液3μlを、さきに選択透過膜を形成
した電極上に塗布し、40℃で15分間加熱処理を行い、固
定化酵素層を形成した。その後、100mMリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH6.0)中に保存した。
(3)測定装置 測定に際しては、緩衝液として、50mM塩化カリウム
と、5mMアラニン、すなわち一般式(1)において、R1
=NH2,R2=CH3、とを含む100mMリン酸ナトリウム緩衝液
(pH6.0)を用いた以外は、実施例1と同様の装置を使
用した。
(4)測定方法および結果 恒温槽12の温度平衡に達してから、10mMグルコース標
準液の応答値を記録し、市販缶入りオレンジジユースの
20倍希釈液を試料とし、1日当り500回の注入を行つ
た。翌日、同じくグルコース標準液の応答値を記録し、
再びジユース希釈液の注入を繰り返した。以後10日目ま
で、この測定を繰り返し、1日目の標準液に対する応答
値を100%としたときの10日目までの相対感度を第5図
中○印で示した。第5図からわかるように、感度の変動
は、±2%の範囲であり、実質的に感度低下は起きてい
ない。
比較例2 (1)電極の前処理 実施例3と同様に処理した。
(2)酵素の固定化方法 実施例3と同様に固定化した。
(3)測定装置 測定に用いる緩衝液から、アラニンを除いた以外、実
施例3と同様の装置を用いて測定した。
(4)測定方法および結果 実施例3と同様に、繰り返し測定を行い、1日目の標
準液に対する応答値を100%としたときの10日目までの
相対感度を、第5図において●印で示した。第5図から
わかるように、アラニンを含まない緩衝液を用いたとき
には10日間に、約15%の感度低下が認められた。さら
に、この感度低下した固定化酵素作用電極に、銀・塩化
銀電極8に対して、−0.1Vから+0.7Vの範囲で三角波電
位走査を100回繰り返し行うことにより、感度が回復す
ることを確認した。したがつて、アラニンの効果は、酵
素の安定化に寄与しているわけではなく、固体電極の汚
染を防止していることがわかる。
上述した実施例においては、このような測定に、通常
使用される緩衝液に、一般式(1)で示される各化合物
を添加しておけば、測定感度の低下を防止することがで
きるので、測定装置のハードウエアを特に改善する必要
もなく、電位走査法等と比べて、きわめて簡便に実施す
ることができる。
発明の効果 以上説明したように、本発明によれば、固定化酵素作
用電極を用いて測定を行う際、高精度かつ安定な測定結
果を容易に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例におけるフロー型測定装置を
示す系統図、第2図は本発明の実施例1における検量線
を示すグラフ、第3図は実施例1と比較例1の結果を示
すグラフ、第4図は実施例2の結果を示すグラフ、第5
図は実施例3と比較例2の結果を示すグラフである。 1……緩衝液リザーバ、2……ポンプ、3……注入装
置、4……希釈混合用配管、5……測定用セル、6……
固定化酵素作用電極、7……対極、8……参照電極、9
……ポテンシオスタツト、10……記録計、11……廃液リ
ザーバ、12……恒温槽

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緩衝液中に試料を混入し、過酸化水素生成
    オキシダーゼを固体電極上に直接固定化した酵素電極を
    用いて、試料中の被検出物質を酸化し、生成する過酸化
    水素を検出することにより、試料中の被検出物質濃度を
    測定する方法において、 前記緩衝液中に、一般式(1)で表される化合物を含有
    させ、 R1,R2−CHCOOH …(1) R1がアミノ基および水酸基から成る群から選択された置
    換基であり、 R2が水素原子および炭素数が1から4までの間であるア
    ルキル基から成る群から選択された置換基であることを
    特徴とする酵素電極を用いる測定方法。
  2. 【請求項2】緩衝液中に試料を混入し、過酸化水素生成
    オキシダーゼを、過酸化水素を選択的に透過する選択透
    過膜を介して固体電極上に固定化した酵素電極を用い
    て、試料中の被検出物質を酸化し、生成する過酸化水素
    を検出することにより、試料中の被検出物質濃度を測定
    する方法において、 前記緩衝液中に、一般式(1)で表される化合物を含有
    させ、 R1,R2−CHCOOH …(1) R1がアミノ基および水酸基から成る群から選択された置
    換基であり、 R2が水素原子、メチル基およびエチル基から成る群から
    選択された置換基であることを特徴とする酵素電極を用
    いる測定方法。
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