JP2511450B2 - 熱転写記録媒体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［技術分野］ 本発明は、インク層の熱溶融性を利用して記録紙上に
熱転写記録をするための熱転写記録媒体に関するもの
で、コンピュータ、ワードプロセッサ等のプリンタおよ
びバーコードプリンタ等にも応用できるものである。

［従来技術］ パラフィンワックスのような熱可融性物質と染料、顔
料のような着色剤からなる転写層を支持体上に設けた熱
転写媒体が知られているが、パラフィンワックス類は機
械的強度が弱いために、転写画像の耐摩擦性が劣るとい
う欠点がある。

この欠点を改善するために、熱可塑性樹脂を添加した
り、転写層をできるだけ薄くする方法がとられている
が、前者は樹脂成分が多くなると接着力が強くなって転
写しにくくなったり、熱感度が悪くなるという問題があ
り、後者は転写画像の均一性が悪くなり、かつ、画像濃
度が低下するという問題があった。また、樹脂成分が多
くても接着力が強くならないようにするため、水あるい
は溶剤分散型粒子状インクが検討されているが、粒子性
が強すぎると熱感度が悪くなるという問題があった。

［目的］ 本発明は従来技術の上記問題を解決し、記録紙上に高
濃度で均一性に優れた転写画像を得ることができ、しか
も、耐摩擦性に優れた転写画像が得られるような熱転写
記録媒体を提供することを目的としている。

［構成］ 上記の目的を達成するための本発明の熱転写記録媒体
は、次のような構成からなる。

支持体、該支持体上に設けた着色剤、水不溶性樹脂、
ワックスを主体とする熱転写インク層からなり、該熱転
写インク層に下記構造のモルホリン脂肪酸塩が含有され
ていることを特徴とする熱転写記録媒体。

（Ｒは炭素数10〜21の炭化水素基を表わす。） すなわち本発明はモルホリン脂肪酸塩を熱転写性イン
ク層に含有せしめることにより、インクの一部を可溶化
し、粒子性を適度にすることにより転写性と耐摩擦性を
改善するものである。また、モルホリン脂肪酸塩が熱転
写性インク層において、その被転写紙に相対する面近傍
に含有されている場合には、耐ひっかき性も改善するこ
とができさらに好ましい。

本発明の上記熱転写記録媒体から、その熱転写性イン
ク層を被転写紙と重ね、熱転写記録媒体の裏面からの熱
印字によって記録紙上に所望の画像を形成することがで
きる。

本発明における熱転写記録媒体の支持体としては従来
公知の種々のものが適宜使用できる。

それ等を例示すると、ポリエステルフィルム、ポリア
ミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレン
フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィル
ム、ポリスルフォンフィルム、ポリカーボネートフィル
ム等のプラスチックフィルムあるいはコンデンサーペー
パー等がある。

本発明に用いる着色剤としては、印刷インク、塗料等
に用いられている無機及び有機の染顔料を用いることが
できる。具体例としてカーボンブラック、ジスアゾイエ
ロー、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドＣ、フタ
ロシアニンブルー、カヤセットブラックKR（日本化
薬）、オイルイエロー3G（オリエント科学）、カヤセッ
トレッドK-BE（日本化薬）、カヤセットブルーKFL（日
本化薬）等がある。

水不溶性樹脂としては融点もしくは軟化点（環球法JI
S K 2531）60〜140℃の各種樹脂が使用できる。例えば
アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、石油
樹脂、ノボラック樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリアセタール樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系
樹脂、エポキシプレポリマー、あるいはこれらの共重合
体等がある。

また更に、水不溶性樹脂の融点もしくは軟化点を調整
するために可塑剤を必要に応じて使用することもでき
る。例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシ
クロヘキシルフタレート、ジ−２−エチルヘキシルアジ
ペート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ブチル
ステアレート、トリフェニルフォスフェート等である。

熱転写性インク層に用いる水不溶性の融点もしくは軟
化点が60℃より低いと、転写画像の高温環境（50〜60
℃）における耐摩擦性が悪くなり、140℃より高いと熱
転写記録の際のエネルギーだけでは充分定着されにくく
なり、耐摩擦性が劣る、さもなくば高エネルギー記録を
必要とするために記録速度が遅くなったり、サーマルヘ
ッドの寿命が短くなる等の問題が起こる。

本発明に用いる水不溶性樹脂は各種樹脂を微粒化（乳
化重合、サンドミル、ボールミル等による湿式分散法、
ジェットミル等による乾式分散法等がある）して得るこ
とができる。

水不溶性樹脂の平均径は10μ以下、とくに５μ以下が
好ましい。10μを越えると熱感度、解像性が悪くなるの
で好ましくない。

これらの水不溶性樹脂の使用量は熱感度、熱転写画像
の耐摩擦性に影響する。水不溶性樹脂の使用割合は転写
層全固形分付着量の10〜80重量％が好ましく、80重量％
を越えると均一な転写画像が得られず、10重量％未満で
は耐摩擦性が悪くなり好ましくない。

本発明に用いるワックスとしては、融点または軟化点
が70〜130℃のものが適当である。

このワックスの融点もしくは軟化点が70℃よりも低い
と、印加された熱エネルギーが該ワックスを溶融するた
めに消費されるために、樹脂を軟化するエネルギーが不
足する。そのためワックスのみが優先的に転写し、転写
層の転写が不充分となり転写画像のカスレを生じ鮮明性
が低下する。また、130℃よりも高いと転写のために高
い熱エネルギーを必要とする。

また、このようなワックスの針入度はJIS K 2530によ
る測定法で25℃において５以下のものであり、針入度が
５より大きいと記録画像の耐ひっかき性が低下する。

具体的にはカルナバワックス、ポリエチレンワック
ス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワック
ス誘導体、硬化ひまし油等が挙げられる。

これらのワックスの使用量は熱感度、熱転写画像の耐
摩擦性に影響する。ワックスの使用割合は転写層の全固
形分付着量の10〜80重量％が好ましく、10重量％未満で
は均一な転写画像が得られず、80重量％を越えると耐摩
擦性が悪くなり好ましくない。

本発明に用いるモルホリン脂肪酸塩を構成する脂肪酸
RCOOHとしてはＲが炭素数４〜30のもので、例えばオレ
イン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、
ベヘン酸等がある。モルホリン脂肪酸塩の使用割合は熱
転写性インク層の全固形分の0.5〜10％である。0.5未満
では優れた転写画像が得られず10％を越えると耐摩擦性
が悪くなる。

本発明の熱転写インクには、その他水溶性樹脂、界面
活性剤等の添加剤も使用することができる。

水溶性樹脂は熱転写性インクのバインダーであり、そ
の使用割合は熱転写性インクの全固形分の２〜20重量％
がよい。２重量％未満では熱転写性インクの結着性が悪
く、20重量％を越えると転写性が悪くなる。具体的には
ポリビニルアルコール、メトキシセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポ
リビニルピロリドンポリアクリルアミド、デンプン、ゼ
ラチン等が挙げられる。

界面活性剤は熱転写性インクの分散液安定化剤であ
り、その使用割合は熱安定性インクの全固形分の５重量
％以下がよい。５重量％を越えるとベタつきが多くな
る。界面活性剤はノニオン系界面活性剤、カチオン界面
活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいず
れでもよい。具体的にはカチオン系界面活性剤としては
オクタデシル・アミン酢酸塩、アルキル（硬化牛脂）ト
リメチル・アンモニウムクロライド、ポリオキシエチレ
ンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレン（牛脂）ア
ミン、高分子アミン等が挙げられる。アニオン系界面活
性剤としては脂肪酸ソーダ石けん、脂肪酸カリ石けん、
ステアリン酸石けん、アルキルエーテルサルフェート
（Na塩）、マッコウアルコール、硫酸エステルナトリウ
ム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキ
ル（牛脂）メチルタウリン酸ナトリウム、オレオイルメ
チルタウリン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸
ナトリウム、高分子型陰イオン等が挙げられる。ノニオ
ン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンオレイルエ
ーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキ
シエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノール
エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエー
テル、ポリオキシエチレンモノラウリレート、ポリオキ
シエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノ
オレエート、ポリエチレングリコール、牛脂脂肪酸エス
テル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパル
ミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモ
ノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタ
ントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステア
レート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエー
ト、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマ
ー、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレ
ンジステアレート等が挙げられる。両性界面活性剤とし
てはジメチルアルキル（ヤシ）ベタイン等が挙げられ
る。

本発明の熱転写記録媒体と共に用いる被転写紙として
は普通紙、合成紙、プラスチックフィルム等を適宜用い
ることができる。

本発明の熱転写記録媒体は前記の熱転写性インク層形
成成分を水またはこれを溶解しない溶媒と共に適当な方
法で混合し、攪拌機、ボールミル、アトライター等の分
散手段によって前記形成成分の平均粒径が10μｍ以下に
なるように分散せしめて、これを支持体上に全固形分付
着量が１〜10g/m²になるように塗布し、前記形成成分を
融着せしめないように、該成分の軟化点以下の温度で乾
燥することによって作製することができる。

［実施例］ 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。な
お、以下において示す「部」および「％」はいずれも重
量基準である。

（１）カーボンブラック分散液の調製 第１表に示す組成物をボールミルで24時間分散してカ
ーボンブラック分散液を調製した。

（２）水不溶性樹脂分散液の調製 第２表の組成物をボールミルで24時間分散して水不溶
性樹脂分散液を調製した。

（３）ワックス分散液の調製 第３表の組成物をボールミルで24時間分散してワック
ス分散液を調整した。

（４）熱転写性インク層形成用塗布液の調製 熱転写性インク層形成用塗布液No.1〜６を、第４表に
示す組成物を攪拌機で均一に混合することにより調製し
た。

実施例１ 上記塗布液No.1を６μｍ厚のポリエステルフィルム上
に乾燥後の付着量が2g/m²になるようにワイヤーバーを
用いて塗布し、温風（40〜50℃）で乾燥した。

次いで上記塗布面上に塗布液No.4を乾燥後の付着量が
2g/m²になるように同様に塗布、乾燥して熱転写記録媒
体を作製した。

実施例２〜５ 塗布液の組合せを除いて実施例１と同様にして熱転写
記録媒体を作製した。第５表に塗布液の組合せを実施例
１と共に示す。

実施例６ 上記実施例１〜５はモルホリン脂肪酸塩を熱転写記録
媒体における被転写紙に近傍の面のみに含有させるた
め、該脂肪酸塩を含む液とそれを含まない液との２種の
塗布液を使用したものであるが、この実施例はモルホリ
ン脂肪酸塩を含む塗布液のみを使用した場合を説明する
ものである。

すなわち塗布液No.5を乾燥後の付着量が4g/m²になる
ように６μ厚ポリエステルフィルムに塗布、乾燥し熱転
写記録媒体を作製した。

比較例１、２ 塗布液No.2およびNo.6を実施例６と同様にして熱転写
記録媒体を作製した。

比較例３、４ 実施例１〜５と同様にして下記第６表の塗布液を組合
せて熱転写記録媒体を作製した。

以上のようにして作製した熱転写記録媒体を、その転
写層を上質紙表面に密着させて熱転写プリンタを用いて
0.5mJ/dotのエネルギーを与えて印字した。更に印字画
像の耐摩擦性を調べるために、ラボテスター（東洋製機
製）を用いてダンボールに対する耐摩擦性（室温20℃,5
0℃）を試験した。

その結果は下記第７表の通りであった。

［効果］ 以上の説明から明らかなように、本発明の熱転写記録
媒体は、高濃度で均一性に優れた転写画像を得ることが
できると共に耐摩擦性、耐ひっかき性にも優れていると
いう顕著な効果を奏するものである。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支持体、該支持体上に設けた着色剤、水不
   溶性樹脂、ワックスを主体とする熱転写性インク層から
   なり、該熱転写性インク層に下記構造のモルホリン脂肪
   酸塩が含有されていることを特徴とする熱転写記録媒
   体。 （Ｒは炭素数４〜30の炭化水素基を表わす）
2. 【請求項２】モルホリン脂肪酸塩が熱転写性インク層に
   おいて、その被転写紙に相対する面近傍に含有されてい
   る特許請求の範囲第（１）項記載の熱転写記録媒体。