JP2510644B2 - ポリアクリル酸の接着剤を用いた電池セパレ―タの製法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明の接着剤は、電気化学電池の吸収性材料又はバ
リヤ（Barrier）材料と共に用いるのに特に適してい
る。

電気化学電池、特にアルカリ電解質電池では、吸湿紙
又は不織布をバリヤ材料と組み合わせて用いられてい
る。電池の組立てを通じて、取扱い及び電池への供給を
容易にするため、これ等の材料は接着剤又は熱シール技
術を用いて積層構造とすることが屡々ある。

円筒形の電池の場合、特にアルカリ電解質電池は吸収
性又はバリヤ材料をスパイラル状に巻いてチューブ状に
形成し、接着剤を塗布して形状を保持し、スパイラルの
重なり部を固定することがよく行なわれる。

接着剤又は熱シールを用いると、通常は吸収性又はバ
リヤ材料の孔（pores）を塞いでしまう。このため、電
気抵抗が大きくなり、更には当該材料の電解質吸収能力
や濡れ（wetting）特性が低下することにもなる。その
結果、電池装置の性能は損なわれる。

アルカリ性の電気化学系と適合性があって、吸収材料
又はバリヤ材料の孔を塞ぐという不都合を生じない接着
剤を用いようとする試みがなされている。この接着剤は
長鎖ポリアクリル酸をベースにしたゲル剤を用いてい
る。しかし乍ら、これ等の接着剤は、実用上重大な不都
合があった。即ち、粘度が非常に高いため流れ特性が悪
く、この接着剤を用いるには特別なコーティング又はラ
ミネーション機械を用いる必要があり、接着剤を保存タ
ンクから接着剤コーティングヘッドに移動するにも特別
な装置を必要とする。粘度が高くて流れ特性が悪いた
め、これ等接着剤の塗布速度は遅く、ラミネーション作
業における処理量は少ない。このため、固定費が高くな
って、電池完成品のコストは著しく高くなってしまう。

本発明の目的は、粘度の低い接着剤系及び該接着剤を
使用して電池セパレータを製造する方法を提供すること
にあり、該接着剤は、アルカリ電解質環境の中で用いら
れる吸収材料又は多孔性材料に適用しても孔が塞がれる
ことはない。

接着剤系の素晴らしい特性は、長鎖ポリアクリル酸と
短鎖ポリアクリル酸をブレンドすることによって得られ
ることを見出だしたのである。

本発明は、粘度が比較的低く、簡単な装置を用いて塗
布することが出来、処理量が大きな接着剤を提供するこ
とができる。本発明の接着剤は従来のラミネーション接
着剤や熱接合技術のものよりも電気化学特性に優れてお
り、電池の吸収剤及びセパレータ要素の吸収能力又は濡
れ特性を損なわないこどころか、ラミネート構造のアル
カリ電解質電池のセパレータの濡れ特性を向上させるこ
とすら出来る。

長鎖ポリアクリル酸と短鎖ポリアクリル酸を組み合わ
せることによって、低粘度で素晴らしいゲル特性を備え
た接着剤が形成される。長鎖ポリアクリル酸は枝分かれ
した鎖、即ち側鎖（branched chains）を含むのが望ま
しく、一方短鎖ポリアクリル酸は殆んど直線状の鎖、即
ち直鎖（linear chains）であるか又は極く僅かの側鎖
を含むのが望ましい。枝分かれした長鎖ポリアクリル酸
は、水溶液又はアルカリ溶液中で素晴らしいゲル特性及
び接着特性を示すが、粘度は高い。短鎖ポリアクリル酸
の中のより小さな略直線状の分子は、長鎖分子の間に存
在し、分子性潤滑剤として作用して、これ等相互間の干
渉を小さくする。その結果、混合物の粘度は著しく小さ
くなり、しかも長鎖ポリアクリル酸のゲル特性及び接着
特性を損なうことがない。

長鎖ポリアクリル酸の代表的な分子量（molecular we
ight）は1,250,000乃至5,000,000の範囲内であり、約3,
000,000が望ましい。分子量が低くなるとゲル特性及び
接着特性に不都合が生じ、分子量が高くなると適当な溶
液を形成しにくくなる。

短鎖ポリアクリル酸の分子量は例えば2,000乃至500,0
00の範囲内であり、約250,000が望ましい。ポリアクリ
ル酸は、分子量が大きくても小さくても、全体の粘度を
大きく低下させることはない。

本発明の使用に適した長鎖ポリアクリル酸として、
「Carbopol」（商標名）の範囲にあるもの、特にCarbop
ol941より上にあるものが含まれる、Carbopol934が特に
適していることを見出した。

本発明の接着剤の要素は水性溶剤、又はメタノール、
エタノール等の適当な極性有機溶剤の中で分散させられ
る。通常は、有機溶剤を用いることが望ましく、それは
アルカリ電気化学電池に使用される吸収材料及びバリヤ
材料に対してより優れた適合性を備えるからである。こ
れ等は完全にゲル化した分散物を形成し、セルロース材
料を直ちに濡らすことはなく、水を用いたときと同じよ
うに膨脹させる。

接着剤ブレンドは「分散物（dispersion）」として説
明されるが。これは長鎖ポリアクリル酸と短鎖ポリアク
リル酸の量の比率を変えることにより、及び／又は、分
子量を変えることにより、粘度及び流れ特性を相当程度
まで変えることが出来る。これによって接着剤塗布に用
いられる塗布技術に適合させることが出来る。

代表的なラミネーションシステムはマイヤーバー（Me
yer Bar）のアプリケーションヘッドを備え、積層材料
を濡れ状態のままでニップし、その後、例えば強制空気
を用いて乾燥させる。溶剤を用いればより低い温度で乾
燥させることが出来る。これはある種の電池セパレータ
装置の場合、セパレータ材料の損傷を避けるために重要
となる場合がある。

次に、円筒形のアルカリマンガン電池の使用に適した
ラミネート構造のセパレータを製造する場合について説
明する。

セパレータは不織のシート材料、具体的には不織ナイ
ロンを、バッテリーグレードに再生した高純度のセルロ
ースフィルムに積層させる。

このような積層物は、２つのラミネート材料を互いに
接合して形成することができ、その接合には、多種多様
の接着剤系を用いることが出来る。これには、水ベース
のアクリル樹脂、アクリル共重合体、PVA、珪酸ナトリ
ウムベースの接着剤、熱接合接着剤を含んでいる。

これ等接着剤を用いて作られた積層体は濡れイオン抵
抗、濡れ特性及び層剥離性に関して優れている。これ等
接着剤は全て、接着強度が弱いか、又はセパレータの濡
れイオン抵抗が非常に大きくなるために不適当であるこ
とが判った。

メタノール中にCarbopol934（分子量が約300万の長い枝
分かれした鎖のポリアクリル酸）を分散させた接着剤
は、全ての電気化学特性及び濡れ特性に関して優れてお
り、そのようなセパレータ系に使用するのに好適である
ことが判った。しかし、これは粘度が非常に高いため、
実際的に使用する上で容易ではない。

Carbopolの分散物に比較的低分子量（約250,000が望
ましい）のポリアクリル酸を添加することによって、低
分子量のポリアクリル酸を添加せずにCarbopol934を用
いて形成したセパレータと比べ、電気化学特性及び濡れ
特性を全く損なうことなく粘度が予期しなかった程度ま
で低下し、その結果、流れ特性が著しく改善された。粘
度が小さくなり、流れ特性が向上したことによって、長
鎖ポリアクリル酸と短鎖ポリアクリル酸を含んだ接着剤
は、比較的処理量の大きい従来のコーティング技術及び
ラミネーション技術を用いて、ラミネーション構造の電
池セパレータを製造するのに用いることが出来る。

濡れ特性の向上結果は次の表によって明らかである。

別のCarbopolの鎖が長く枝分かれしたポリアクリル酸
を、別の短い線状ポリアクリル酸と共に用いて結果を比
較した。比率は、５パーツのCarbopol934に対して６パ
ーツPAAまででテストした。この値では接着強度に僅か
の低下が認められた。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】分子量が約1250000から5000000である高い
   分子量のポリアクリル酸の少なくとも１種と、 分子量が約2000から500000である低い分子量のポリアク
   リル酸の少なくとも１種とからなるブレンドを溶剤の中
   に含み、高い分子量のポリアクリル酸は側鎖を含み、低
   い分子量のポリアクリル酸は略直鎖状であり、ブレンド
   中の高い分子量のポリアクリル酸と低い分子量のポリア
   クリル酸の量は、１対0.4から１対1.2の比である接着剤
   を、バリヤ材料と、該バリヤ材料に重ねた吸収性の不織
   シートの間に配備し、上記接着剤によってバリヤ材料と
   不織シートとを結合して電池セパレータを製造する方
   法。
2. 【請求項２】電池セパレータは、アルカリ電解質電池に
   組み込まれている請求の範囲第１項の方法。 本発明は、接着剤及び該接着剤を使用して、電池セパ
   レータを製造する方法に関する。具体的には吸収性材料
   又は多孔性材料を互いに又は他の物質に積層又は接合す
   るのに用いられる接着剤に関する。