JP2509254B2 - アパタイト被覆体の製造方法 - Google Patents
アパタイト被覆体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は,アパタイト被覆体の製造方法に関する。特
に,整形外科,口腔外科等の外科分野において,人工歯
根,人工骨等の骨修覆用充填材として有用なハイドロキ
シアパタイトの被膜を有する生体材料が極めて容易に得
られるアパタイト被覆体の製造方法に関する。
に,整形外科,口腔外科等の外科分野において,人工歯
根,人工骨等の骨修覆用充填材として有用なハイドロキ
シアパタイトの被膜を有する生体材料が極めて容易に得
られるアパタイト被覆体の製造方法に関する。
[従来の技術] 今日まで,歯科,整形外科分野において,生体材料と
して,有用なハイドロキシアパタイト被膜で金属或いは
セラミックスに被覆しようとする種々の試みが成されて
きた。そのような従来のアパタイト被覆体の製造方法
は,プラズマ容射法,スパッタリング法,固相接合法等
が知られる。然し乍ら,これらの方法は,いずれも高価
な装置を必要とする上に,アパタイト被覆体が基材に付
着よく被覆しないため,生体内でアパタイト被覆体が剥
離するという問題がある。
して,有用なハイドロキシアパタイト被膜で金属或いは
セラミックスに被覆しようとする種々の試みが成されて
きた。そのような従来のアパタイト被覆体の製造方法
は,プラズマ容射法,スパッタリング法,固相接合法等
が知られる。然し乍ら,これらの方法は,いずれも高価
な装置を必要とする上に,アパタイト被覆体が基材に付
着よく被覆しないため,生体内でアパタイト被覆体が剥
離するという問題がある。
従って,従来の方法で製造したアパタイト被覆体の場
合,コストが高価となるばかりでなく,生体材料として
満足できるものではなかった。
合,コストが高価となるばかりでなく,生体材料として
満足できるものではなかった。
[発明が解決しょうとする問題点] 本発明の技術的に解決するための課題は,付着性にす
ぐれ,生体親和性にすぐれたアパタイト被覆体の製造方
法を提供することにある。従って,本発明の目的は,生
体内で被覆体が剥離するということがなく,安全性が高
く,生体毒性がないアパタイト被覆体を提供することで
ある。また,本発明の目的は,生体への適応性にすぐ
れ,かつ骨修復材として有用なアパタイト被覆体の製造
方法を提供することである。。また,本発明の目的は,
骨修復の際に,生体による適応する賦形性がすぐれ,同
時に引っ張り付着強度にもすぐれるアパタイト被覆体を
提供することである。
ぐれ,生体親和性にすぐれたアパタイト被覆体の製造方
法を提供することにある。従って,本発明の目的は,生
体内で被覆体が剥離するということがなく,安全性が高
く,生体毒性がないアパタイト被覆体を提供することで
ある。また,本発明の目的は,生体への適応性にすぐ
れ,かつ骨修復材として有用なアパタイト被覆体の製造
方法を提供することである。。また,本発明の目的は,
骨修復の際に,生体による適応する賦形性がすぐれ,同
時に引っ張り付着強度にもすぐれるアパタイト被覆体を
提供することである。
[発明の構成] [問題点を解決するための手段] 本発明によるアパタイト被覆体の製造方法は、上記の
技術的な課題を解決するために、カルシウムと燐のモル
比が1.66〜1.68であるハイドロキシアパタイトを1350℃
以上の高温で脱水熱分解させ、粉砕して得た、燐酸三カ
ルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四カルシウム[Ca
4O(PO4)2]の混合物に、水若しくは酸及び塩類を少
なくとも1種を添加した水で混練して、混練物を得、該
混練物を金属表面あるいはセラミック表面に塗布し、水
和反応により硬化させ、ハイドロキシアパタイト被覆体
を得ることを特徴とするハイドロキシアパタイト被覆体
の製造方法である。そのハイドロキシアパタイト被覆体
を、更に、高温蒸気反応槽中で水熱処理することが好適
である。また、そのハイドロキシアパタイト被覆体を、
50〜1300℃の温度範囲で熱処理すると、より付着強度の
すぐれたハイドロキシアパタイト被覆体を得ることがで
きる。更に、得られたハイドロキシアパタイト被覆体が
多孔質ハイドロキシアパタイトであり、このハイドロキ
シアパタイト被覆体のカルシウムと燐のモル比は、1.66
〜1.68であるものが好適である。そして、得られたハイ
ドロキシアパタイト被覆体の気孔率が30〜80%であるも
のが好適である。
技術的な課題を解決するために、カルシウムと燐のモル
比が1.66〜1.68であるハイドロキシアパタイトを1350℃
以上の高温で脱水熱分解させ、粉砕して得た、燐酸三カ
ルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四カルシウム[Ca
4O(PO4)2]の混合物に、水若しくは酸及び塩類を少
なくとも1種を添加した水で混練して、混練物を得、該
混練物を金属表面あるいはセラミック表面に塗布し、水
和反応により硬化させ、ハイドロキシアパタイト被覆体
を得ることを特徴とするハイドロキシアパタイト被覆体
の製造方法である。そのハイドロキシアパタイト被覆体
を、更に、高温蒸気反応槽中で水熱処理することが好適
である。また、そのハイドロキシアパタイト被覆体を、
50〜1300℃の温度範囲で熱処理すると、より付着強度の
すぐれたハイドロキシアパタイト被覆体を得ることがで
きる。更に、得られたハイドロキシアパタイト被覆体が
多孔質ハイドロキシアパタイトであり、このハイドロキ
シアパタイト被覆体のカルシウムと燐のモル比は、1.66
〜1.68であるものが好適である。そして、得られたハイ
ドロキシアパタイト被覆体の気孔率が30〜80%であるも
のが好適である。
本発明によるアパタイト被覆体の製造方法は,燐酸三
カルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四カルシウム
[Ca4O(PO4)2]の混合物に,水若しくは酸及び塩類
を少なくとも1種添加した水で混練し,金属或いはセラ
ミックスなどの材料に塗布し,水和反応により硬化さ
せ,生体内で使用することのできるアパタイト被覆体を
得ることにである。
カルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四カルシウム
[Ca4O(PO4)2]の混合物に,水若しくは酸及び塩類
を少なくとも1種添加した水で混練し,金属或いはセラ
ミックスなどの材料に塗布し,水和反応により硬化さ
せ,生体内で使用することのできるアパタイト被覆体を
得ることにである。
この製造に用いる燐酸三カルシウムと燐酸四カルシウ
ムからなる混合物は,カルシウムとリンのモル比が1.66
〜1.68であるハイドロキシアパタイトを1350℃以上の高
温で脱水熱分解させ粉砕したものが好適である。
ムからなる混合物は,カルシウムとリンのモル比が1.66
〜1.68であるハイドロキシアパタイトを1350℃以上の高
温で脱水熱分解させ粉砕したものが好適である。
この原料ハイドロキシアパタイトを,大気中好ましく
は窒素若しくはアルゴン等の不活性ガス雰囲気中で1350
℃以上,より好適には1500℃以上の高温で達水熱分解さ
せることにより,得られる燐酸三カルシウムと燐酸四カ
ルシウムの混合物を本発明で用いられる材料の主成分と
する。即ち,燃焼温度が1350℃以下では,完全に分解反
応を起こさせ,ハイドロキシアパタイトを含まない燐酸
三カルシウムと燐酸四カルシウムの混合物を得ることが
できない。
は窒素若しくはアルゴン等の不活性ガス雰囲気中で1350
℃以上,より好適には1500℃以上の高温で達水熱分解さ
せることにより,得られる燐酸三カルシウムと燐酸四カ
ルシウムの混合物を本発明で用いられる材料の主成分と
する。即ち,燃焼温度が1350℃以下では,完全に分解反
応を起こさせ,ハイドロキシアパタイトを含まない燐酸
三カルシウムと燐酸四カルシウムの混合物を得ることが
できない。
このような原料ハイドロキシアパタイトは,公知の湿
式法で製造できる。
式法で製造できる。
本発明に用いる主成分粉体は,上記のハイドロキシア
パタイトを高温で脱水熱分解したものを粉砕したもので
ある。得られた粉体では,燐酸三カルシウムと燐酸四カ
ルシウムは均一に分散混合されており塗布したとき均一
な反応が生じ,均一なハイドロキシアパタイトの生成が
認められ,硬化時間の調整が容易であり,被覆体賦形性
に優れている。
パタイトを高温で脱水熱分解したものを粉砕したもので
ある。得られた粉体では,燐酸三カルシウムと燐酸四カ
ルシウムは均一に分散混合されており塗布したとき均一
な反応が生じ,均一なハイドロキシアパタイトの生成が
認められ,硬化時間の調整が容易であり,被覆体賦形性
に優れている。
本発明に用いる上記の燐酸カルシウム混合物は,ハイ
ドロキシアパタイトを高温で脱水熱分解したものを粉砕
したものであるため,燐酸三カルシウムと燐酸四カルシ
ウムは均一に分散混合されており,塗布したとき均一な
反応が生じ,均一なハイドロキシアパタイトの生成が認
められ,そのために,硬化が容易であり,かつ賦形性に
優れているものである。これに対して,従来用いられた
乾式法で得られる燐酸三カルシウムと燐酸四カルシウム
を混合した燐酸カルシウムでは,反応速度が異なるた
め,塗布したときに,均一な反応が起こらず,反応硬化
時間の調整や被覆体賦形性の点で満足するものが得られ
なかった。
ドロキシアパタイトを高温で脱水熱分解したものを粉砕
したものであるため,燐酸三カルシウムと燐酸四カルシ
ウムは均一に分散混合されており,塗布したとき均一な
反応が生じ,均一なハイドロキシアパタイトの生成が認
められ,そのために,硬化が容易であり,かつ賦形性に
優れているものである。これに対して,従来用いられた
乾式法で得られる燐酸三カルシウムと燐酸四カルシウム
を混合した燐酸カルシウムでは,反応速度が異なるた
め,塗布したときに,均一な反応が起こらず,反応硬化
時間の調整や被覆体賦形性の点で満足するものが得られ
なかった。
この本発明で用いられる燐酸カルシウム混合物粉体の
原料として,カルシウムと燐のモル比が,1.66〜1.68で
あるハイドロキシアパタイトを用いる理由は,熱分解し
て得られるα−Ca3(PO4)2とCa4O(PO4)2の割合が
2対1の時,水和反応後ハイドロキシアパタイトを完全
に生成することができるためである。即ち,Ca/P比が1.6
6以下では,熱分解物のα−Ca3(PO4)2の割合が多く
なり,水和反応後のアパタイト硬化被覆体はカルシウム
欠損型のアパタイトとなる。亦,1.68以上では熱分解物
の中に酸化カルシウムが含まれ,この酸化カルシウムは
生体材料として使用する際に刺激が強く作用することが
できなく臨床適用に困難をきたすものとなる。以上の理
由によりCa/P=1.66〜1.68とした。この本発明に用いら
れる燐酸三カルシウムと燐酸四カルシウムからなる混合
物は,上記のようなハイドロキシアパタイトを焼成し,
脱水熱分解後に,粉砕機を用いて粉砕し,特に88μm以
下の粒径に粒度調整することが好ましい。88μmより粒
度が大きければ,アパタイト熱分解物を金属或いはセラ
ミックス材料の上に塗布した時に,塗りムラが生じ易い
ためである。
原料として,カルシウムと燐のモル比が,1.66〜1.68で
あるハイドロキシアパタイトを用いる理由は,熱分解し
て得られるα−Ca3(PO4)2とCa4O(PO4)2の割合が
2対1の時,水和反応後ハイドロキシアパタイトを完全
に生成することができるためである。即ち,Ca/P比が1.6
6以下では,熱分解物のα−Ca3(PO4)2の割合が多く
なり,水和反応後のアパタイト硬化被覆体はカルシウム
欠損型のアパタイトとなる。亦,1.68以上では熱分解物
の中に酸化カルシウムが含まれ,この酸化カルシウムは
生体材料として使用する際に刺激が強く作用することが
できなく臨床適用に困難をきたすものとなる。以上の理
由によりCa/P=1.66〜1.68とした。この本発明に用いら
れる燐酸三カルシウムと燐酸四カルシウムからなる混合
物は,上記のようなハイドロキシアパタイトを焼成し,
脱水熱分解後に,粉砕機を用いて粉砕し,特に88μm以
下の粒径に粒度調整することが好ましい。88μmより粒
度が大きければ,アパタイト熱分解物を金属或いはセラ
ミックス材料の上に塗布した時に,塗りムラが生じ易い
ためである。
本発明の製造方法によると,このように得られた燐酸
三カルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四カルシウム
[Ca4O(PO4)2]の混合粉体に,水若しくは,酸及び
塩基を少なくとも1種添加された水で混和し,金属或い
はセラミックス体などの材料体の上に塗布し,水和反応
により硬化させて,アパタイト被覆体を得る。この場
合,本発明により,用いられる酸は,塩酸,硫酸,硝
酸,燐酸等の無機酸,若しくは,クエン酸,リンゴ酸,
ギ酸,乳酸,マロン酸などの有機酸が挙げられる。更
に,本発明に使用できる塩類は,塩化ナトリウム,硫酸
ナトリウム,燐酸ナトリウムなどの無機塩,酢酸塩,ク
エン酸塩,ギ酸塩,乳酸塩などの有機酸塩がある。
三カルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四カルシウム
[Ca4O(PO4)2]の混合粉体に,水若しくは,酸及び
塩基を少なくとも1種添加された水で混和し,金属或い
はセラミックス体などの材料体の上に塗布し,水和反応
により硬化させて,アパタイト被覆体を得る。この場
合,本発明により,用いられる酸は,塩酸,硫酸,硝
酸,燐酸等の無機酸,若しくは,クエン酸,リンゴ酸,
ギ酸,乳酸,マロン酸などの有機酸が挙げられる。更
に,本発明に使用できる塩類は,塩化ナトリウム,硫酸
ナトリウム,燐酸ナトリウムなどの無機塩,酢酸塩,ク
エン酸塩,ギ酸塩,乳酸塩などの有機酸塩がある。
本発明によれば,このようにして得られたアパタイト
被覆体を更に高圧上記反応槽中で水熱処理することによ
り,より高強度で,高い付着力を有するアパタイト被覆
体が得られる。この水熱処理は,温度120℃以上,水蒸
気圧1.2kgf/cm2以上の条件が好適である。
被覆体を更に高圧上記反応槽中で水熱処理することによ
り,より高強度で,高い付着力を有するアパタイト被覆
体が得られる。この水熱処理は,温度120℃以上,水蒸
気圧1.2kgf/cm2以上の条件が好適である。
亦,更に,本発明によれば,上記のようにして水和反
応により硬化させて得られたアパタイト被覆体を50℃〜
1300℃の温度範囲において熱処理することにより,より
高い強度を有し,より付着力の高いアパタイト被覆体を
得ることができる。
応により硬化させて得られたアパタイト被覆体を50℃〜
1300℃の温度範囲において熱処理することにより,より
高い強度を有し,より付着力の高いアパタイト被覆体を
得ることができる。
このように,本発明の製法で得られるアパタイト被覆
体は,燐酸三カルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四
カルシウム[Ca4O(PO4)2]の混合粉体を水若しく
は,酸及び塩類を少なくとも1種添加した水で混和した
後,水和反応により硬化させて得るために,多孔性ハイ
ドロキシアパタイトとなる。水,又は酸及び/或いは塩
類を添加した水で混練する場合,該粉体と水との比率
は,1.0〜5.0の範囲が好適である。即ち,この比率範囲
の外では,均一に塗布できないためである。
体は,燐酸三カルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四
カルシウム[Ca4O(PO4)2]の混合粉体を水若しく
は,酸及び塩類を少なくとも1種添加した水で混和した
後,水和反応により硬化させて得るために,多孔性ハイ
ドロキシアパタイトとなる。水,又は酸及び/或いは塩
類を添加した水で混練する場合,該粉体と水との比率
は,1.0〜5.0の範囲が好適である。即ち,この比率範囲
の外では,均一に塗布できないためである。
この混和比率範囲で,得られる本発明によるアパタイ
ト被覆体は,その気孔率が30〜80%である。
ト被覆体は,その気孔率が30〜80%である。
また,本発明による製造されるアパタイト被覆体は,
以上の製造方法によるために,その含有するカルシウム
とリンのモル比が1.66〜1.68であるハイドロキシアパタ
イトである。
以上の製造方法によるために,その含有するカルシウム
とリンのモル比が1.66〜1.68であるハイドロキシアパタ
イトである。
本発明による得られるアパタイト被覆体は,生体親和
性に著しくすぐれ,被覆強度のすぐれた材料であり,例
えば,人工関節ステム部への被覆材料,人工歯根部への
被覆材料などに適用できる。
性に著しくすぐれ,被覆強度のすぐれた材料であり,例
えば,人工関節ステム部への被覆材料,人工歯根部への
被覆材料などに適用できる。
次に本発明によるアパタイト被覆体の製造方法を具体
的に実施例により説明するが,本発明はそれによって限
定されるものではない。
的に実施例により説明するが,本発明はそれによって限
定されるものではない。
[実施例1] 燐酸三カルシウムと燐酸四カルシウムの混合物の製造 公知の(水酸化カルシウム懸濁液に燐酸を滴下する)
湿式法により,水酸化カルシウムスラリーにリン酸水溶
液を滴下してカルシウムとリンのモル比が1.66のハイド
ロキシアパタイトを合成し,濾過洗浄した後,凍結乾燥
し,粒径150μm以下のハイドロキシアパタイト粉末を
得た。そして,このハイドロキシアパタイト粉末をアル
ゴンガスで置換した電気炉中で1500℃,10時間,脱水熱
分解させた。この熱分解物をX線回折により同定し,生
成相が燐酸三カルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四
カルシウム[Ca4O(PO4)2]であることを確認した。
次に,この熱分解物を小型ポットミルにより粉砕し,88
μm以下の粒度に調整した。
湿式法により,水酸化カルシウムスラリーにリン酸水溶
液を滴下してカルシウムとリンのモル比が1.66のハイド
ロキシアパタイトを合成し,濾過洗浄した後,凍結乾燥
し,粒径150μm以下のハイドロキシアパタイト粉末を
得た。そして,このハイドロキシアパタイト粉末をアル
ゴンガスで置換した電気炉中で1500℃,10時間,脱水熱
分解させた。この熱分解物をX線回折により同定し,生
成相が燐酸三カルシウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四
カルシウム[Ca4O(PO4)2]であることを確認した。
次に,この熱分解物を小型ポットミルにより粉砕し,88
μm以下の粒度に調整した。
[実施例2] 本発明によるアパタイト被覆体の製造 実施例1で製造した燐酸三カルシウムと燐酸四カルシ
ウムの混合物粉末と蒸溜水を粉末対液の重量比2.0で1
分間混練し,この混練物を,5重量%NaOH溶液で,80℃,10
分間洗浄し,次に,20重量%H3PO4溶液で,80℃,30分間洗
浄処理したステンレス鋼板上に,ドクターブレード法に
よって,塗布し,その後,50℃で湿度保持気中で,24時間
養生して,アパタイト被覆体を得た。
ウムの混合物粉末と蒸溜水を粉末対液の重量比2.0で1
分間混練し,この混練物を,5重量%NaOH溶液で,80℃,10
分間洗浄し,次に,20重量%H3PO4溶液で,80℃,30分間洗
浄処理したステンレス鋼板上に,ドクターブレード法に
よって,塗布し,その後,50℃で湿度保持気中で,24時間
養生して,アパタイト被覆体を得た。
このアパタイト被覆体は,ステンレス鋼板との間の引
張り付着強度は,11kgf/cm2であった。また,そのアパタ
イト被覆体の気孔率は,45%であった。そして,このア
パタイト被覆体についてX線回折により同定すると,す
べてハイドロキシアパタイトであった。
張り付着強度は,11kgf/cm2であった。また,そのアパタ
イト被覆体の気孔率は,45%であった。そして,このア
パタイト被覆体についてX線回折により同定すると,す
べてハイドロキシアパタイトであった。
[実施例3] 本発明によるアパタイト被覆体の熱処理 実施例2で得たアパタイト被覆体を,150℃,5kgf/cm2
の圧力の高圧蒸気反応槽中で,5時間水熱処理をした。こ
の水熱処理したアパタイト被覆体のステンレス鋼板に対
する引張り付着強度は,32kgf/cm2であった。
の圧力の高圧蒸気反応槽中で,5時間水熱処理をした。こ
の水熱処理したアパタイト被覆体のステンレス鋼板に対
する引張り付着強度は,32kgf/cm2であった。
[発明の効果] 本発明のアパタイト被覆体の製造方法は,燐酸三カル
シウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四カルシウム[Ca4O
(PO4)2]の混合物に,水若しくは,酸及び/或いは
塩類を添加した水で,混和し,金属面或いはセラミック
ス面に塗布し,水和反応により硬化させたアパタイト被
覆体を被覆させるもので,従来の製造方法のような高価
な装置を必要とせず,しかも,極めて容易にアパタイト
被覆体を得ることのできる製造方法を提供するものであ
る。また,付着強度の高く,金属板面に引っ張り付着強
度のすぐれたアパタイト被覆体を作製することのできる
方法を提供するものである。以上のような種々の顕著な
技術的効果が得られた。
シウム[α−Ca3(PO4)2]と燐酸四カルシウム[Ca4O
(PO4)2]の混合物に,水若しくは,酸及び/或いは
塩類を添加した水で,混和し,金属面或いはセラミック
ス面に塗布し,水和反応により硬化させたアパタイト被
覆体を被覆させるもので,従来の製造方法のような高価
な装置を必要とせず,しかも,極めて容易にアパタイト
被覆体を得ることのできる製造方法を提供するものであ
る。また,付着強度の高く,金属板面に引っ張り付着強
度のすぐれたアパタイト被覆体を作製することのできる
方法を提供するものである。以上のような種々の顕著な
技術的効果が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宍倉 勉 千葉県千葉市源町208番3号 (56)参考文献 特開 昭62−91479(JP,A) 特開 昭62−221359(JP,A) 特開 昭63−24952(JP,A)
Claims (5)
- 【請求項1】カルシウムと燐のモル比が1.66〜1.68であ
るハイドロキシアパタイトを1350℃以上の高温で脱水熱
分解させ、粉砕して得た、燐酸三カルシウム[α−Ca3
(PO4)2]と燐酸四カルシウム[Ca4O(PO4)2]の混
合物に、水若しくは酸及び塩類を少なくとも1種を添加
した水で混練して、混練物を得、該混練物を金属表面あ
るいはセラミックス表面に塗布し、水和反応により硬化
させ、ハイドロキシアパタイト被覆体を得ることを特徴
とするハイドロキシアパタイト被覆体の製造方法。 - 【請求項2】前記ハイドロキシアパタイト被覆体を、更
に、高圧蒸気反応槽中で水熱処理することを特徴とする
特許請求の範囲第1項のハイドロキシアパタイト被覆体
の製造方法。 - 【請求項3】前記ハイドロキシアパタイト被覆体を、50
〜1300℃の温度範囲で熱処理することを特徴とする特許
請求の範囲第1項のハイドロキシアパタイト被覆体の製
造方法。 - 【請求項4】得られたハイドロキシアパタイト被覆体
は、多孔質ハイドロキシアパタイトであり、このハイド
ロキシアパタイト被覆体のカルシウムと燐のモル比は、
1.66〜1.68であることを特徴とする特許請求の範囲第1
項のハイドロキシアパタイト被覆体の製造方法。 - 【請求項5】得られたハイドロキシアパタイト被覆体の
気孔率は、30〜80%であることを特徴とする特許請求の
範囲第1項のハイドロキシアパタイト被覆体の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62258239A JP2509254B2 (ja) | 1987-10-15 | 1987-10-15 | アパタイト被覆体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62258239A JP2509254B2 (ja) | 1987-10-15 | 1987-10-15 | アパタイト被覆体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01101977A JPH01101977A (ja) | 1989-04-19 |
JP2509254B2 true JP2509254B2 (ja) | 1996-06-19 |
Family
ID=17317460
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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