JP2504028Y2 - シ―トベルト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はたとえばリヤシート等と
いった車両用シートに好適なシートベルト装置に関し、
特にシートベルトアンカーが取付けられる従動側のシー
トスライドレールにおける衝撃荷重作用時の動きを阻止
し得るようにしたシートベルト装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に車両等のシートベルトを車体側に
固定的に取付ける場合には、シートスライド装置を用い
てシートを車体の前後方向に移動調整するのが困難であ
り、シートベルトを適切に使用し得なくなる。そこでシ
ートスライド装置の可動レール側にシートベルトの一端
を固着し、シートの前後方向の移動に対処し得るように
なされたシートベルト装置が提案されている。このよう
なシートベルト装置としては、図４及び図５に示す如
く、シートスライド装置１が固定レール２と該固定レー
ル２に前後摺動可能に嵌合される可動レール３とを備
え、この可動レール３の上端側にシートベルトの一端を
固着したものが知られている。前記固定レール２は略Ｕ
字状の外側部２ａと、この外側部２ａの上端から夫々内
側に向かってＬ字状に屈折形成された一対の上部フラン
ジ部２ｂとから形成されていると共に、この上部フラン
ジ部２ｂ間に空隙部４が形成されている。また前記可動
レール３は固定レール２の外側部２ａの内側に前後摺動
可能に嵌合されたレール部３ａと、このレール部３ａか
ら上方に突出して前記上部フランジ部２ｂ間の空隙部４
より上方に延びる接続フランジ部３ｂとから形成されて
いる。そしてこの接続フランジ部３ｂにリクライニング
機構５のベース６が固着され、該ベース６にシートベル
トアンカー７をボルト８止めする等の方法でシートベル
トが固定されていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】然し乍ら従来の構成に
おいては、衝撃力等の荷重（図中矢印Ｆで示す）が作用
したときにシートベルトが固着された可動レール３がス
ライドしてしまい、乗員を適切に拘束保持することがで
きない欠点を有していた。そのため、固定レール２の上
部フランジ部２ｂに複数の係合穴を設け、この係合穴に
可動レール３のレール部３ａの先端に設けた係合爪を係
合させて可動レール３を固定させることも考えられる
が、左右の上部フランジ部２ｂに係合穴を設けると固定
レール２の強度が弱くなる欠点を有していた。また荷重
Ｆの方向と反対側の上部フランジ部２ｂにのみ係合穴を
設けた場合には、荷重Ｆに耐え切れず可動レール３の接
続フランジ部３ｂや固定レール２の上部フランジ部２ｂ
が変形してしまう虞れを有していた。また上記のような
係止構造を可動レール３側に取付けたアンカーブラケッ
トと、固定レール２側に取付けたロックプレートとを用
いてスライドレールの一側部に設けることも行われてい
るが、部品点数が多く重量化、コストアップとなる欠点
を有していた。本考案の目的は、簡易な構成により衝撃
力等の荷重が作用したときにシートベルトが取付けられ
た可動レールがスライドするのを確実に防止し、然も強
度を有する安全性、経済性に優れたシートベルト装置を
提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は上述せる課題に
鑑みてなされたもので、可動レールのレール部の一側部
の先端が固定レールの上部フランジ部側に屈折形成さ
れ、他側部の先端が固定レールの外側部の底部側に屈折
形成され、衝撃荷重が加わった場合に該レール部の一側
部及び他側部の先端が夫々上部フランジ部側及び外側部
の底部側に係合するようになされていることを特徴とす
る。

【０００５】

【作用】本考案に依れば、シートベルトに対し衝撃荷重
等の負荷が加わると、シートベルトが取付けられた可動
レールのレール部の一側端が固定レールの上部フランジ
部側に、他側端が固定レールの外側部の底部側に夫々係
合し可動レールのスライド動作を拘束することが可能と
なり、これによりシートベルトとしての機能を発揮し得
るものである。

【０００６】

【実施例】以下、本考案を図面に示した実施例を用いて
詳細に説明する。図１乃至図３は本考案に係るシートベ
ルト装置を車両用シートとしてのリヤシートに適用した
場合の一実施例を示すものであり、これらの図におい
て、前述した図４及び図５と同一または相当する部分に
は、同一番号を付して説明は省略する。シートベルト装
置１１は車両等のシートのインナーシートベルト側に設
けられているもので、このインナーシートベルトのバッ
クル１３に連結されるシートベルトは省略されている。
シートスライド装置１５は、脚部１９を介して車両等の
フロアに固着される固定レール１６と、該固定レール１
６に前後摺動可能に取付けられた可動レール１７とから
なり、可動レール１７に図示しないシートクッションが
固着されるようになされている。前記固定レール１６
は、略Ｕ字状の外側部２１と、該外側部２１の上端より
夫々内側に屈折形成された一対の上部フランジ部２２と
から形成されている。また可動レール１７は、前記固定
レール１６の上部フランジ部２２間に形成された空隙部
４より上方に突出する接続フランジ部２４と、該接続フ
ランジ部２４の下端で外方にＬ字状に屈折され、前記固
定レール１６の上部フランジ部２２及び外側部２１と夫
々係合可能なレール部２５とを有する。前記接続フラン
ジ部２４にはシートベルトアンカー７が固着されている
と共に、この接続フランジ部２４は可動レール１７の長
手方向に沿って形成され、且つ接続フランジ部２４には
は２枚の板材を接合した状態に形成されている。尚図中
符号１８は可動レール１７を前後に摺動させるためのロ
ーラーである。

【０００７】前記可動レール１７のレール部２５は、シ
ートベルトアンカー７が取付けられている側に向かって
屈折形成された上部のレール部２５ａと、この上部のレ
ール部２５ａと反対側に向かって延び、且つ上部のレー
ル部２５ａより下方に延設されている下部のレール部２
５ｂとを有している。前記ローラー１８は上部のレール
部２５ａの下方と下部のレール部２５ｂの下方及び上方
とに夫々配設されている。本実施例では下部のレール部
２５ｂの下方に樹脂プレート３５を配設しガタ付きを防
止している。上部のレール部２５ａは外側方向に延び、
端部が上方に立ち上がったＬ字状に屈折形成されてお
り、該上部のレール部２５ａが嵌合し得るように前記上
部フランジ部２２の一方が外側部２１の上端から下方に
Ｌ字状に屈折形成されている。上部のレール部２５ａの
上端には長手方向に沿って適宜の間隔で複数の係合爪２
７が突設され、該係合爪２７に対向する位置の前記固定
レール１６の上部フランジ部２２に係合爪２７と同様の
間隔で長手方向に沿って複数の係合穴３１が形成されて
いる。下部のレール部２５ｂは内側方向に延び、端部が
外側部２１の底部側に屈折されたＬ字状に形成されてお
り、その下端に上部のレール部２５ａと同様に複数の係
合爪２９が突設され、またこの係合穴２９に対向する位
置の固定レール１６の外側部２１の底部に複数の係合穴
３３が形成されている。斯る構成において、衝撃荷重Ｆ
が加わった場合、図３に示す如くシートベルトアンカー
７が固着された可動レール１７の接続フランジ部２４が
内側方向に引っ張られ、可動レール１７が傾斜すること
により上部のレール部２５ａの先端は上方に、また下部
のレール部２５ｂの先端は下方に夫々可動し、先端の係
合爪２７，２９が上部フランジ部２２及び外側部２１の
底部の係合穴３１，３３に夫々係入し、可動レール１７
がスライドするのを防止することができる。本実施例で
は接続フランジ部２４の前方の付け根部分に切欠き３７
を形成したので、接続フランジ部２４が容易に変形し係
合爪２７，２９と係合穴３１，３３の係合状態をより容
易に得ることができる。尚、本考案は上述した実施例構
造に限定されず、車両用シートを始め、シートベルト装
置各部の形状、構造などを、必要に応じて適宜変形、変
更することは自由であり、種々の変形例が考えられよ
う。例えば上述の実施例では、係合爪と係合穴とで係合
状態を得るようにしたが、面当接等の適宜の手段を用い
ることができるものである。

【０００８】

【考案の効果】以上説明したように本考案に係るシート
ベルト装置によれば、可動レールのレール部の一側部の
先端が固定レールの上部フランジ部側に屈折形成され、
他側部の先端が固定レールの外側部の底部側に屈折形成
されているので、シートベルトに対し衝撃荷重等の負荷
が加わると、シートベルトが取付けられた可動レールの
レール部の一側端が固定レールの上部フランジ部側に、
他側端が固定レールの外側部の底部側に夫々係合し可動
レールのスライド動作を拘束することが可能となり、こ
れによりシートベルトとしての機能を有効に発揮させ得
ると共に、固定レールの上部フランジ部の両側に係合穴
を形成していないので強度を有し、安全性に優れたシー
トベルト装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るシートベルト装置におけるシート
ベルトアンカー支持部の概略斜視図。

【図２】図１のII−II線断面図。

【図３】衝撃荷重が加わった場合におけるシートベルト
アンカー支持部の断面説明図。

【図４】従来のシートベルト装置の斜視説明図。

【図５】同、断面図。

【符号の説明】

７ シートベルトアンカー １１ シートベルト装置 １５ スライド装置 １６ 固定レール １７ 可動レール ２１ 外側部 ２２ 上部フランジ部 ２４ 接続フランジ部 ２５，２５ａ，２５ｂ レール部 ２７，２９ 係合爪 ３１，３３ 係合穴 ３５ 樹脂プレート ３７ 切欠き

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートスライド装置が固定レールと可動
   レールとを備え、該固定レールが略Ｕ字状の外側部と、
   該外側部の上端より夫々内側に屈折形成された一対の上
   部フランジ部とから形成されていると共に、前記上部フ
   ランジ部間に空隙部が形成され、前記可動レールは前記
   固定レールの外側部の内側に前後摺動可能に嵌合するレ
   ール部と、該レール部より上方に突出し、前記上部フラ
   ンジ部間の空隙部より上方に延びる接続フランジ部とか
   ら形成され、前記可動レールの接続フランジ部にシート
   ベルトアンカーが固着されるようになされたシートベル
   ト装置において、前記レール部は一側部の先端が上部フ
   ランジ部側に屈折形成され、他側部の先端が固定レール
   の外側部の底部側に屈折形成され、衝撃荷重が加わった
   場合に該レール部の一側部及び他側部の先端が夫々上部
   フランジ部側及び外側部の底部側に係合するようになさ
   れていることを特徴とするシートベルト装置。