JP2503338B2 - スポット溶接部の疲労強度に優れた良加工性高強度冷延鋼板 - Google Patents

スポット溶接部の疲労強度に優れた良加工性高強度冷延鋼板

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JP2503338B2 JP3341214A JP34121491A JP2503338B2 JP 2503338 B2 JP2503338 B2 JP 2503338B2 JP 3341214 A JP3341214 A JP 3341214A JP 34121491 A JP34121491 A JP 34121491A JP 2503338 B2 JP2503338 B2 JP 2503338B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車のパネルや家電製
品に使用される成形性が良好でスポット溶接部の疲労強
度性に優れた高強度冷延鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板の強度を上昇するために、従来
多くの試みが成されている。特に引張り強さが35〜5
0kgf/mm2 を有する鋼板の場合には、Si,Mn,Cr
あるいはPなどを添加し、強度増加を図ってきた。ま
た、最近の技術進歩により極低炭素鋼の溶製が容易とな
り、これをベースにTiやNbを添加して加工性を確保
している。一方、この種の鋼板はプレス加工等で成形し
た部品を組立てる際に、スポット溶接が行われるが、こ
のスポット溶接に関しても多くの技術が提案されてい
る。
【0003】例えば特開昭63−310939号公報に
は、Tiおよび/またはNbを添加した極低炭素鋼板に
おいて、再結晶焼鈍温度、時間を選んで断面組織率で5
〜30%の未再結晶組織を残存させることにより、ナゲ
ット部およびその周辺の硬度分布を最適化することでス
ポット溶接部の継手疲労強度を向上ささせることが開示
されている。しかしこの様な組織を有する鋼板は、伸び
(El)や平均ラングフォド値(r値)が低く、成形性
に問題がある。また、製造条件が狭く、厳しい温度制御
が必要となる。
【0004】また、特開昭63−317647号公報に
は、TiとNbを同時に添加した極低炭素鋼板におい
て、粒径0.05μm以下のTi化合物を析出させるこ
とにより降伏強度(YP)を上昇させてスポット溶接時
の接触抵抗を高めて、溶接部の強度靭性を向上させるこ
とが記述されている。この種の鋼板において微細析出物
はElの劣化を招来する傾向があり、またYPを上昇さ
せることは極低炭素鋼板の基本性能であるプレス時の形
状凍結性を損なうことになる。
【0005】更に特開昭63−317648号公報で
は、Ti−Nb極低炭素鋼板表面にダル加工を施し表面
粗度を大きくすることにより、鋼板と鋼板の接触面積を
小さくして溶接時の接触抵抗を大きくすることで良好な
スポット溶接性を得る発明を提案し、特開昭63−31
7649号公報では、Ti,Nb,Bを適当量添加する
ことによりYPを高くして接触抵抗を高め、かつ溶接後
の組織を微細にし溶接部の強度上昇を図ることを開示し
ている。しかし前者の表面粗度を大きくするには製造コ
ストが高くなり、後者の引張り強度(TS)を上げ高強
度化したときにはYPが更に上昇し、面歪みが懸念され
る。
【0006】なお、最近極低炭素鋼あるいはこれにNb
および、あるいはBを添加したものにおいて、Al/N
バランスおよびO量を適性にすることでスポット溶接継
手の耐疲労特性を良好にすることが特開平2−1633
23号公報により提案されているが、Ti含有極低炭素
鋼板についての開示がなく、またAlを多量に含有する
ので製造コスト上の問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】自動車のパネルなどに
使用される望ましい高強度冷延鋼板は、降伏強度はそれ
ほど高くなく、かつ著しく加工硬化し、さらに塗装焼付
硬化能を合わせ持つ鋼板である。また、プレス成形時に
YP−Elが0.2%以下でストレッチャーストレイン
が発生せず、平均r値(深絞り特性)や伸び(張出特
性)などの加工性にも優れ、かつ2次加工性にも優れる
必要がある。更にはプレス成形部品を組立てる際にはス
ポット溶接性も良くなくてはならない。前記した各先行
技術にはスポット溶接性についての開示はあるが、上記
した加工成形にともなって要求される諸特性を具備する
と共にスポット溶接部に優れた疲労強度を有するものは
見当たらない。
【0008】本発明は、極低炭素鋼に従来固溶体強化元
素として余り用いられていないMn,Crを添加してこ
れらを有効に活用し、更にTi,Nbの少なくとも一種
を含有せしめた極低炭素冷延鋼板であって、降伏強度
(YP)が15〜25kgf/mm2、降伏比(YR=YP/
TS,TS:引張強度)が0.55以下、プレス成形時
に降伏点伸び(YR−El)が0.2%以下、加工硬化
量(WH)が4kgf/mm2以上、塗装焼付時の焼付硬化量
(BH)が2〜5kgf/mm2 で、かつWH+BHかつ6kg
f/mm2 以上、平均r値が1.5以上、T.Elが35%
以上,延性−脆性遷移温度が−50℃以下の優れた2次
加工性を有する成形後の面形状性が良好で、かつ優れた
耐デント性を具備し、しかもスポット溶接部の疲労強度
に優れた高強度冷延鋼板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は以下の構成を要旨とする。即ち重量で、 (1) C :0.0003〜0.01%、 Si:0.005〜0.5%、 Mn:0.3〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、 かつ、Mn+Crを0.5%以上となるようにし、 P :0.001〜0.12%、 S :0.001〜0.015%、 Al:0.005〜0.10%、 B :0.0001〜0.002% さらに、 Ti:0.003〜0.10%および Nb:0.003〜0.10%の一種または二種であ
て、 Ti=T.Ti−3.42Nの時2≦(Ti+0.
52Nb)/C≦20になるように含有し、残部Feお
よび不可避不純物からなることを特徴とするスポット溶
接部の疲労強度に優れた良加工性高強度冷延鋼板であ
り、(2) 上記鋼板に、更に重量でB:0.0001〜
0.002%含有せしめたことを特徴とする成形性およ
びスポット溶接部の疲労強度に優れた良加工性高強度冷
延鋼板である。
【0010】
【作用】本発明者らは、35〜50kgf/mm2 級のTSを
もち、加工性の優れた冷延鋼板を得るのに、加工性が良
好となるTiやNbを単独および複合添加した極低炭素
鋼をベースにして鋭意研究をし、以下に述べるような新
知見を得た。
【0011】第1に、上記ベース鋼に、代表的な固溶体
強化元素であるSi,P,Mn,Crを添加し、冷延、
焼鈍、調質圧延後の引張特性、特に降伏挙動と加工硬化
現象を詳細に調査した。その結果、従来から固溶体強化
元素として多用されているSi,Pは、a)まず微量の
添加で著しく降伏強度を上昇させること、b)その結果
低歪域での加工硬化率が著しく減少することが判明し
た。
【0012】一方、従来固溶体強化元素としてあまり用
いられないMn,Crを添加すると、a)降伏強度は殆
ど上昇せず、b)引張強度が上昇する、c)その結果、
低歪域での加工硬化率がむしろこれらの添加により増加
するという、極めて重要な新知見を得た。これらの機構
についても検討を加えた結果、a)降伏強度はFe元素
と添加したX元素との原子半径の差で決定され、原子半
径の差が大きいほど増加する、b)加工硬化率は転位の
すべり挙動と深く関係し、X元素の添加により積層欠陥
エネルギーが低下すると、転位の交差すべりが困難とな
り加工硬化率が増加する、という基本原理を構築した。
これによれば、Si,PはFeより著しく原子半径が小
さく、従って原子半径差が大きくなるので降伏強度が著
しく上昇し、Mn,Crは原子半径がFeのそれと極め
て近いので殆ど降伏強度を変化させなかったものと理解
できる。一方、積層欠陥エネルギーへの影響に関しては
必ずしも明瞭でないが、初期加工硬化後の転位構造の観
察結果から、Si,Pは調査した添加量の範囲内で殆ど
積層欠陥エネルギーに影響を与えないが、Mn,Crは
これを低下させる傾向のあることが、始めて明らかとな
った。
【0013】以上の機構により、Mn,Crを添加する
と降伏強度は殆ど変化せず、加工硬化率が増加して引張
強度が上昇したものと考える。このような特徴的な挙動
は、上述した本発明の目的、すなわち低YPでかつ高W
Hの特性を達成するためには、従来のSi,Pの添加だ
けでは困難であり、Mn,Crの添加が必須となること
を意味する。従って、本発明ではMn,Crの積極的な
活用を発明の基本的な手段とした。ただしMn,Crの
添加だけでは、所望の強度が得られない場合が発生した
り、製造コストが上昇したりするのでSi,P添加との
併用も考える。
【0014】第2に本発明者らは、Mn,Crの積極的
な添加により塗装焼付硬化性も向上するという新知見も
得た。本発明では、加工性を確保するためにTiやNb
を単独および複合添加した極低炭素鋼をベースにする
が、この場合には一般的にCやNがTiやNbに固定さ
れるので焼付硬化能が無いか、あってもわずかである。
これは、C,NとTi,Nbとの親和力が非常に強いの
で、優れた加工性が得られるように原子%で(Ti+N
b)量を(C+N)量より多くした場合には、固溶(C
+N)が残存し難いためである。しかし、このような場
合でもMn,Crを積極的に添加することによりBH性
が付与できたという新しい事実は、TiCやNbCの溶
解度積に変化の生じたことを示唆している。すなわち、
Mn,CrはCと引力の相互作用を有するため、TiC
やNbCと平衡するマトリックス中の固溶Cをより安定
化し、これらの析出物の溶解度積を増大させる結果、残
存する固溶C量を増加させBH性を向上させたものと考
える。従って、Mn,Crの添加は塗装焼付硬化性を付
与するための新しい手段としても活用できる。
【0015】また、塗装焼付性に寄与する固溶Cは、B
と同様に結晶粒界を強化するので、極低炭素鋼の欠点と
して知られている2次加工脆化の防止手段としても有効
である。また、2次加工脆化は粒界偏析したPの存在に
より助長されることは良く知られているが、Mn,Cr
はPと引力の相互作用があり、偏析するP量を低減する
ので、2次加工脆化の防止にも有効であるという知見も
得られた。
【0016】自動車などプレス成形部品の組立てには溶
接作業を効率良く行なわなければならず、そのためには
スポット溶接性が優れていることが重要である。一般
に、スポット溶接性は、溶接適性電流下限値が低電流で
あるほど優れていることが知られている。また、溶接適
性電流下限値は、鋼板の降伏強度が高いものほど低くて
済むこともよく知られている。これは鋼板の降伏強度が
高いと、スポット溶接時に電極からの加圧によって局部
変形が起こり難いために、電極と鋼板との接触面積が小
さくなることに起因する。本発明鋼は、上述した通りプ
レス時の耐面歪性の観点からYPを極力低下せしめるよ
う設計されている。しかしながら、WHが非常に高いた
めプレス成形後の降伏強度は通常のPやSiを用いた高
強度冷延鋼板のそれと比べて同程度となり、スポット溶
接性と耐面歪性を両立することができる。
【0017】さらにスポット溶接部には、自動車走行時
の繰り返し応力による疲労破壊が発生することがあり、
スポット溶接後の疲労強度に優れていることも極めて重
要な課題である。本発明鋼においては、Mn,Crを積
極的に添加するので、スポット溶接による変態組織が微
細になり、スポット溶接部の疲労強度に著しく優れるこ
とが判明した。これに対して、従来のようなPやSiを
添加した高強度鋼板においては、スポット溶接性、溶接
後の疲労強度が著しく低い。このような鋼板において
は、降伏強度は高いものの、溶接時の加熱によって著し
く結晶粒が粗大化することが特性劣化の主たる原因であ
ると思われる。
【0018】自動車の車体などの防錆化が進む今日、表
面処理鋼板化の動向は著しい。鋼板の表面処理法は、電
気メッキと溶融メッキに大別される。前者は、一般的に
鋼板の種類を問わずメッキ密着性は良好であるが、厚目
付けが困難で、コスト高となる問題がある。一方後者
は、前者の欠点はないが、鋼板の種類によっては、メッ
キ密着性が劣化したり、Fe−Znの合金化反応が大き
く影響されたりする。本発明者らは、従来鋼において強
化元素として多用されているSi,Pの添加量を抑制
し、Mn,Crを活用する本発明鋼が、とくにゼンジマ
ー方式の連続溶融亜鉛メッキプロセスによる合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板の製造において、次のような長所を有す
る新知見も得た。すなわち、Si,PはZnとFeの合
金化反応を抑制するため、これらの元素を多量に含む鋼
板を製造するときには、ラインスピードを減少させ生産
性を低下せざるをえなかった。また、Siの添加はメッ
キ密着性を劣化し、プレス成形時に種々の問題を生じ
た。一方、Mn,Crの添加は、このような悪影響を持
たないことが判明した。機構は必ずしも明らかでない
が、a)表面に偏析するMnが還元後に残る酸化物の種
類と形態を変え、メッキ密着性を改善したり、b)Mn
やCrがPとの相互作用を通して粒界偏析するP量を低
減し、合金化反応を正常にしたりする役割があるものと
推察される。この点も、従来法の問題点の解決手段とし
て活用した。本発明は、このような思想と新知見に基づ
いて構築されたものである。
【0019】以下に、本発明において成分および特性値
を上述のように限定した理由についてさらに説明する。 C量:Cは成品の材質特性を決定する極めて重要な元素
である。本発明は真空脱ガス処理をした極低炭素鋼を前
提とするが、Cが0.0003%未満になると粒界強度
が低下し、2次加工脆性が発生し、かつ製造コストが著
しく増加する。一方、C量が0.01%超になると強度
は上昇するが、成形性が著しく低下するので、その範囲
を0.0003%〜0.01%とする。
【0020】Si量:Siは、安価に強度を上昇する元
素として知られており、その添加量は狙いとする強度レ
ベルに応じて変化させればよく、下限は0.005でよ
い。一方、添加量を多くするとYPが上昇し過ぎてプレ
ス時に面歪が発生する。更に化成処理性や溶融亜鉛メッ
キの密着性の低下、合金反応の遅延による生産性の低下
などの問題が発生する。また、スポット溶接部の耐疲労
特性を劣化させる。従ってその上限を0.8%とした。
【0021】Mn量:Mnは、降伏強度をあまり上昇さ
せず強度を増加させる有効な固溶体強化元素であり、か
つ焼付硬化能を付与したり、2次加工脆性を防止した
り、更にはスポット溶接部の耐疲労特性を向上させ、か
つ化成処理性や溶融亜鉛メッキ性を改善する効果も有す
るので、本発明では積極的に添加する。しかし余り多量
に添加すると、降伏強度が著しく増加したり延性が低下
したりするので、その上限を3.0%とする。下限はC
r含有量との兼ね合いで決めるが0.3%以上は必要で
ある。
【0022】Cr量:CrもMnも同様、降伏強度をほ
とんど上昇させず強度を増加させる有効な元素であり、
かつ焼付硬化能を付与したり、2次加工脆性を防止する
だけでなく、スポット溶接後の疲労強度を向上させるの
で、本発明では積極的に利用する。しかしCrが多くな
ると熱延板の酸洗性が低下したり、製品板の化成処理性
が劣化したりするので、上限を3%とする。上記したM
nとCrは同様の機能目的で添加するが、これらの元素
による適切な諸特性をうるためにはMn+Crを0.5
%以上とすることが好ましい。
【0023】P量:Pは安価に強度を上昇する元素とし
て知られており、従来の固溶体強化した高強度鋼板にお
いては多用されている。しかし添加量が0.12%超に
なると、たとえ本発明のようにMn,Crを積極的に添
加しても、a)降伏強度が上昇しすぎてプレス時に面形
状不良を引き起こしたり、b)2次加工脆化が生じたり
する。また、c)連続溶融亜鉛メッキ時に合金化反応が
極めて遅くなり、生産性が低下する。さらに、d)スポ
ット溶接後の疲労強度が著しく低下する。従って、その
上限値を0.12%とする。
【0024】S量:Sは低い方が好ましいが、0.00
1%未満になると製造コストが上昇するので、これを下
限値とする。一方、0.015%超になるとMnSやT
iSなどの硫化物が数多く析出し、加工性が劣化するの
で、これを上限値とする。
【0025】Al量:Alは脱酸調整に使用するが、
0.005%未満ではTiの添加歩留が低下する。一
方、0.1%超になるとコスト上昇を招く。
【0026】Ti,Nb量:Ti,Nbは、C,Nの一
部あるいは全部をTiC,TiN,あるいはNb(C
N)として固定することにより、極低炭素鋼の加工性と
非時効性を確保する役割を有する。そのためにTi
T.Ti−3.42Nとしたときに、2≦(Ti
0.52Nb)/C≦20とする事が好ましい。その
際、各元素の含有範囲は0.003〜0.15%とする
のがよく、0.005%未満ではその添加効果が現れ
ず、一方、0.1%以上となると著しい合金コストの上
昇を招くからである。
【0027】なお、N量は特に規定しないが低い方が好
ましい。その量が多くなると過剰のTiやAlの添加が
必要になったり、加工性が劣化したりするので、0.0
060%以下とする。また本発明においてBは、必要に
応じて添加してもよく、この際Nが事前に固定されてい
る場合には結晶粒界に偏析し、2次加工脆化の防止に有
効である。しかし0.0001%未満では、その効果が
不充分であるり、0.0020%超になると添加コスト
の上昇やスラブ割れの原因となるので添加する場合はこ
の範囲とするのがよい。
【0028】本発明は以上のような成分構成の高強度冷
延鋼板は熱間圧延、冷間圧延、焼鈍等各工程を通常の方
法で経て製造される。しかし、スラブを熱延するに際し
ては、その仕上げ温度を、成品板の加工性を確保すると
いう観点からAr3 −100℃以上とし、また、巻き取
り温度を室温から750℃とするのが好ましい。
【0029】この様にして本発明によれば、35〜50
kgf/mm2 の引張り強さ(TS)を有し、降伏強度(Y
P)を15〜25kgf/mm2 、降伏比(YR=YP/T
S)を0.55以下の低YRとし、平均r値が1.5以
上、伸び(T.El)が35%以上で、プレス成形時の
YP−Elが0.2%以下であり、また加工時あるいは
加工後の衝撃に因る割れ発生がない2次加工性に優れ、
かつ塗装焼付時の焼付硬化量(BH)が2〜5kgf/mm2
であり、成形後面形状性が良好で、さらに優れた耐デン
ト性を具備し、しかもスポット溶接部の疲労強度に優れ
た高強度冷延鋼板を得ることができる。
【0030】
【実施例】表1に示す組成を有する鋼を溶製し、スラブ
加熱温度1150℃、仕上げ温度910℃、巻き取り温
度を650℃で熱延圧延し、得られた鋼板を圧下率80
%で冷間圧延してから840℃で焼鈍、調質圧延し製品
とした。この冷延鋼板よりJIS5号引張試験片を採取
し引張試験に供した。またスポット溶接を施した時の溶
接適性電流下限値は、2%の引張変形を与えた材料を用
いて評価した。溶接強度は、溶接時間:8サイクル、加
圧力:190kgf ,電流8kAの条件で溶接後、引張剪断
強度によって評価した。さらに疲労特性は、スポット溶
接条件を調節することによりナゲット径がすべて5.0
mmとなるようにして、引張剪断疲労試験片を作製し、こ
れを完全片振りの疲労試験に供した。得られた結果を表
2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】 表2から明らかなように、本発明鋼板は、従来材に比
し、降伏強度(YP)が低く、伸び(El)や平均r値
が高い。また、BH性や2次加工性にも優れている。さ
らに、スポット溶接性、ならびにスポット溶接後の疲労
強度にも優れていることが分かる。これに対して本発明
範囲を外れた比較鋼では、各機械的性質、スポット溶接
性および溶接後の耐疲労特性に劣っていた。
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によればMn,Cr等を有効に活用したTi,Nb含有
極低炭素鋼板賭することにより、従来にない加工性と共
にスポット溶接部の疲労強度に優れた高強度冷延鋼板が
得られる。また、本発明の鋼板は、BH性や2次加工性
に優れ自動車のフレームや容器用材料等に広範囲に使用
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−163323(JP,A) 特開 昭63−317649(JP,A) 特開 昭63−317648(JP,A) 特開 昭63−310939(JP,A) 特開 平2−163318(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で C :0.0003〜0.01%、 Si:0.005〜0.8%、 Mn:0.3〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、 かつ、Mn+Crを0.5%以上となるようにし、 P :0.001〜0.12%、 S :0.001〜0.015%、 Al:0.005〜0.10%、 さらに、 Ti:0.003〜0.10%および Nb:0.003〜0.10%の一種または二種であ
    て、 Ti=T.Ti−3.42Nの時2≦(Ti+0.
    52Nb)/C≦20になるように含有し、残部Feお
    よび不可避不純物からなることを特徴とするスポット溶
    接部の疲労強度に優れた良加工性高強度冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 重量で C :0.0003〜0.01%、 Si:0.005〜0.5%、 Mn:0.3〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、 かつ、Mn+Crを0.5%以上となるようにし、 P :0.001〜0.12%、 S :0.001〜0.015%、 Al:0.005〜0.10%、 B :0.0001〜0.002% さらに、 Ti:0.003〜0.10%および Nb:0.003〜0.10%の一種または二種であ
    て、 Ti=T.Ti−3.42Nの時2≦(Ti+0.
    52Nb)/C≦20になるように含有し、残部Feお
    よび不可避不純物からなることを特徴とするスポット溶
    接部の疲労強度に優れた良加工性高強度冷延鋼板。
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