JP2503162B2 - 熱変位防止装置およびそれを備えた工作機械 - Google Patents

熱変位防止装置およびそれを備えた工作機械

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JP2503162B2 JP16460292A JP16460292A JP2503162B2 JP 2503162 B2 JP2503162 B2 JP 2503162B2 JP 16460292 A JP16460292 A JP 16460292A JP 16460292 A JP16460292 A JP 16460292A JP 2503162 B2 JP2503162 B2 JP 2503162B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械に対する熱変
位防止装置およびそれを備えた工作機械に関し、とく
に、熱変位防止装置の熱交換部の構造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械の稼働のために供給された電気
エネルギーの一部は、熱や音などとなって消費され、そ
のうちの大部分を占める熱の影響は、工作機械に熱変位
を及ぼす。この熱変位の度合いは、たとえば、1m当た
りの鉄の伸び率が1℃の温度上昇に対して約0.01m
mにも相当するため、工作機械の加工精度などに大きく
影響する。そこで、従来の工作機械においても、スピン
ドルのベアリング周囲などに設けたオイルジャケット内
部に切削液などのクーラント(媒体)を通し、発生する
熱を除去することによって、工作機械の温度バランスを
調整して、熱変位が発生しにくい構造にしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように、工作機械本体にオイルジャッケットを設けるこ
とは、工作機械の構成が複雑になってしまうという問題
点の他にも、オイルジャケット内部がクーラントによっ
て錆びるという問題点もある。また、オイルジャケット
の形成位置によって冷却可能な部位が限定されるため、
工作機械を配置した環境などによって、工作機械におけ
る温度バランスが変化しても、それに応じて、冷却する
部位を変更できないため、熱変位を充分に緩和すること
ができないという問題点もある。
【0004】 以上の問題点に鑑みて、本発明の課題
は、工作機械の構成を複雑化することなく、熱変位を防
止可能な熱変位防止装置およびそれを備えた工作機械を
実現することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明において講じた手段は、オイルや水などの媒
体に対する加温源および圧送手段を少なくとも備え、加
温した媒体を圧送可能な媒体供給部と、この媒体供給部
に媒体供給通路を介して連結され、媒体供給部側から供
給されて内部を通過する媒体によって、それ自身が配置
された工作機械の所定の部位を加温する熱交換部と、こ
の熱交換部を通過した媒体が排出される媒体排出部と、
熱交換部の内部を通過する媒体量を調整すべき媒体通過
量調整手段とを設けるとともに、熱交換部として、その
内部の媒体量によって膨張した状態および収縮した状態
に変形可能なものを用いた構成にしてある。
【0006】 ここで、加温源に代えて、媒体に対する
冷却源を備えた媒体供給部、または加温源および冷却源
の双方を備えた媒体供給部を採用してもよい。
【0007】 本発明においては、1つの熱変位防止装
置によって、工作機械の複数の部位に対して温度を調節
可能なように、熱交換部を着脱自在なジョイントを介し
て並列または直列に複数個連結しておくことが好まし
い。
【0008】 また、媒体排出部を媒体供給部の側に接
続して、媒体を循環して使用可能にすることが好まし
い。この場合には、交換部を通過する媒体温度を検出す
る温度検出手段と、この温度検出手段による媒体温度の
検出結果に基づいて、媒体供給部において媒体を加熱ま
たは冷却する媒体温度制御手段とを設けることが好まし
い。
【0009】 このような構成の熱変位防止装置は、そ
の熱交換部を工作機械本体における温度分布を均一化し
て、その熱変位を緩和可能な位置に配置して使用する。
【0010】
【作用】本発明に係る熱変位防止装置の作用を、媒体供
給部として、媒体に対する加温源および圧送手段を備え
るものを用いた熱変位防止装置を例に説明する。本発明
においては、工作機械の低温度側に熱交換部を配置す
る。この状態で媒体供給部から加温した媒体を熱交換部
に供給すると、それが配置された部位は加温されて、こ
の部位の温度が高まる。その結果、温度分布が均一化さ
れて、工作機械の熱変位が防止される。ここで、熱交換
部は、その内部の媒体量によって膨張した状態および収
縮した状態に変形可能であるため、熱交換部を所定の位
置に配置するにあたっては、まず、熱交換部内の媒体量
を減らして、熱交換部を萎れた状態で工作機械内に挿入
する。次に、熱交換部の内部を通過する媒体量を媒体通
過量調整手段によって調整し、この状態で、熱交換部に
対して媒体を供給すると、熱交換部は膨らんで、工作機
械の内壁面などに密着した状態になり、この状態で周囲
を加温する。このため、熱交換部を工作機械の狭い空間
にも容易にかつ確実に配置でき、しかも、熱交換効率が
高い。また、工作機械の側には、冷却用のオイルジャッ
ケットを設ける必要がないため、工作機械の構成を簡素
化できる。さらに、媒体は工作機械と直接に接すること
がないので、工作機械に錆が発生することもない。ま
た、工作機械の温度分布に合わせて、熱交換部の配置位
置を変更することも容易である。
【0011】
【実施例】つぎに、図面に基づいて、本発明の実施例を
説明する。
【0012】実施例1 (全体構成)図1は、実施例1の熱変位防止装置の構成
を示す概略構成図である。
【0013】 この図に示すとおり、本例の熱変位防止
装置10は、オイル(媒体)を冷却または加温して供給
する媒体供給部11と、この媒体供給部11にチューブ
12(媒体供給通路)を介して連結されて、媒体供給部
11の側から供給されたオイルによって、それ自身が配
置された工作機械本体の所定の部位を冷却または加温す
る袋状の4つ熱交換部13、すなわち、第1の熱交換部
13a、第2の熱交換部13b、第3の熱交換部13c
および第4の熱交換部13dとを有する。これらの熱交
換部13のうち、第4の熱交換部13dの下流側には、
そこを通過したオイルが排出される媒体排出部14を有
し、それには、熱交換部13に供給されるオイル量とそ
こから排出されるオイル量とのバランスを調整して、熱
交換部13の内部を通過するオイル通過量を調節する絞
り弁15(媒体通過量調整手段)が設けられている。
【0014】(媒体供給部の構成)媒体供給部11は、
内部にオイルクーラント装置18を有し、そのオイルタ
ンク181の内部のオイルをプレフィルターコンプリー
ト182で濾過しながら、フッ素ガスを利用した冷却機
能および圧送機能を備えたクーラントポンプ183(冷
却源、圧送手段)によって、オイルを冷却して圧送可能
になっている。ここで、クーラントポンプ183に代え
て、冷却器と圧送ポンプとによって冷却源と圧送手段を
個別に構成してもよい。
【0015】 媒体供給部11の内部には、ヒータ19
(加温源)も設けられており、オイルを加温することも
可能になっている。従って、オイルを加温して使用する
場合には、クーラントポンプ183による冷却を止め
て、ヒータ19を作動させ、クーラントポンプ183
は、単なるポンプとして用いる。ここで、加温されたオ
イルを圧送するポンプを別途設けてもよい。
【0016】 クーラントポンプ183およびヒータ1
9は、制御部184によって制御されており、オイルタ
ンク181の内部のオイル温度が、設定温度、たとえば
気温に比較して低いことをバイメタルなどで感知した場
合には、オイルを冷却せずにそのまま圧送可能である。
逆に、オイルタンク181の内部のオイル温度が設定温
度に比較して高いことを感知した場合には、オイルを加
温せずにそのまま圧送することも可能である。なお、媒
体供給部11には、レベルメータやフロートスイッチ
(いずれも図示せず)も設けてあり、内部のオイル量を
監視可能になっている。クーラントポンプ183に対し
ては、バイパスクリーナー(図示せず)も設けられてい
る。
【0017】 媒体排出部14の下流端たる媒体排出口
141は、媒体供給部11の媒体回収口111の側に接
続されており、オイルを循環して使用することが可能に
なっている。媒体排出部14には、絞り弁15が設けら
れ、この絞り弁15は、媒体排出口141から媒体回収
口111までの間において、オイル通路の開口面積を変
えて、オイルの循環量を調節し、熱交換部13の内部を
通過するオイル量を調節可能である。
【0018】(熱交換部の構成)熱交換部13は、いず
れも低伸縮性材料から構成され、しかも、変形自在な袋
状を呈しているため、その内部のオイル量によって、そ
の形状が膨張した状態および収縮した状態に変化可能で
ある。
【0019】 熱交換部13は、そのオイルの入口側お
よび出口側のいずれの側も着脱自在なエアー配管用など
のジョイント16を介して連結されている。たとえば、
第1の熱交換部13aは、そのオイルの入口側がジョイ
ント16を介して可撓性のチューブ12に連結されて媒
体供給部11の側に接続され、オイルの出口側は、ジョ
イント16を介して可撓性のチューブ131に連結され
て第2の熱交換部13bの側に接続されている。このエ
アー配管用のジョイント(ジョイント16)は、内部に
円筒状のカラーを備え、このカラー内部にチューブを差
し込むだけで、その内部の保持爪がチューブの外周に係
合してチューブとジョイント本体が自動的に連結される
と共に、カラーをジョイント本体の内側に押し込むだけ
で、保持爪が変形し、保持爪とチューブとの係合が自動
的に解除されるようになっている。
【0020】(熱変位防止装置の使用態様)このような
構成の熱変位防止装置10は、たとえば、図2に示す工
作機械に使用される。
【0021】 図2において、工作機械本体20の機脚
ベース21は鋳鉄で構成され、その上部には、主軸台2
2およびスライドテープルユニット23が搭載されてい
る。スライドテーブルユニット23の側方位置には、そ
のテーブルをスライドさせるための送りモータ24が配
置されている。なお、主軸台22およびスライドテーブ
ルユニット23の背後には、主軸台22の主軸221を
回転させるための駆動モータなども搭載されている。こ
こで、工作機械本体20に供給されたエネルギーは、熱
としても消費され、この熱がもたらす熱変位は、加工精
度に大きな影響を及ぼす。そこで、工作機械本体20で
は、たとえば、機脚ベース21などがヒートシンメトリ
ーになるように設計するなどの対策が施されている。ま
た、必要に応じて、主軸221のベアリング周囲にオイ
ルジャケットを設け、そこで発生した熱を除去する設計
になっている。それでも、各構成部分の配置位置などの
制約から、設計面で熱変位を防止するには限界があるた
め、図1に示した熱変位防止装置10が工作機械本体2
0に用いられることになる。
【0022】 工作機械本体20の各部分のうち、発熱
量が最も大きいのが、高速度で回転する主軸221を備
える主軸台22であって、この主軸台22の発熱によっ
て、機脚ベース21のヒートシンメトリーがくずれたと
きに、工作機械本体20に熱変位が生じる。かかる熱変
位を防止する目的に、以下の説明では、機脚ベース21
の低温側を約40℃のオイルで加温する場合を例に説明
する。なお、機脚ベース21には、機脚ベース21の内
側で開放状態にある第1の空洞部211、212と、機
脚ベース21の前面で開口する小さな第2の空洞部21
3、214とがあって、それらのうち、第1の空洞部2
11、212は、機脚ベース21の鋳抜き穴である。第
2の空洞部213、214のうち、第2の空洞部213
は、第1の空洞部211に対して機脚ベース21の内部
で連通し、第2の空洞部214は、第1の空洞部212
に対して機脚ベース21の内部で連通している。
【0023】 本例では、第1の空洞部211、212
および第2の空洞部213、214のいずれにも、熱変
位防止装置10の熱交換部13を配置するため、熱変位
防止装置10では、図1に示すように、4つの熱交換部
13をジョイント16を介して直列接続してある。ここ
で、熱交換部13の数は、工作機械本体20の加温すべ
き部位の数に応じて、追加または削減が可能である。
【0024】 まず、熱交換部13を配置するにあたっ
て、第2の空洞部213、214は、とくに小さいの
で、図1に示すように、熱交換部13を膨らんだ状態の
ままで収納することは不可能である。ここで、熱交換部
13は、いずれも、袋状を呈しているため、内部のオイ
ル量によって、その形状が膨張した状態および収縮した
状態に変化する。そこで、熱交換部13の内部にオイル
がない状態または少ない状態にして、熱交換部13を萎
れた状態にし、かつ、必要な箇所の連結を分断して、第
1の熱交換部13aおよび第4の熱交換部13dをそれ
ぞれ第2の空洞部213、214に収納する。同様に、
萎れた状態の第2の熱交換部13bおよび第3の熱交換
部13cを第1の空洞部211、212に収納する。
【0025】 その後に、図3に示すように、各熱交換
部13をジョイント16およびチューブ131、131
a、131bを介して連結する。この状態で、第2の空
洞部213、214からは、チューブ12および媒体排
出部14のチューブ142が引き出された状態にある。
【0026】 次に、絞り弁15によって、媒体供給部
11からの供給量と、媒体排出部14からのオイルの排
出量とのバランスを調整した状態で、媒体供給部11か
らオイルを送り出すと、いずれの熱交換部13も、内部
のオイルによって膨らんで第1の空洞部211、212
および第2の空洞部213、214の内面壁に密着した
状態になる。そして、熱交換部13に供給されたオイル
によって、第1の空洞部211、212および第2の空
洞部213、214の内面壁は、加温される。このた
め、工作機械本体20の稼働中に、主軸台22の側が発
熱しても、機脚ベース21の低温側が加温され、機脚ベ
ース21のヒートシンメトリイが維持される。それ故、
工作機械本体20の熱変位が、従来に比して少なくとも
25%以下のレベルに緩和されて、その加工精度が高く
維持される。
【0027】 なお、工作機械本体20の高温側に熱交
換部13を配置して、周囲との温度バランスを調整し、
工作機械本体20の熱変位を防止してもよい。
【0028】(実施例1の効果)以上のとおり、工作機
械本体20は、その低温部位が熱交換部13で加温さ
れ、温度バランスが保たれるため、冷却用のオイルジャ
ッケットを設けずとも、あるいは最小限のオイルジャッ
ケットのままで、工作機械本体20の熱変位を緩和でき
る。このとき、オイルは、工作機械本体20に直接触れ
ないので、工作機械本体20が錆びることがない。しか
も、工作機械本体20の設置環境や季節などの変化によ
って、工作機械本体20の温度分布が変わった場合で
も、それに合わせて、熱交換部13を移設して、所定の
部位を加温することができる。さらに、加温機能から冷
却機能に切り換えて、所定の部位を冷却することもでき
る。
【0029】 また、熱交換部13は、低伸縮性材料か
らなる袋状を呈し、内部のオイル量によって膨張および
収縮が可能であるため、熱交換部13を萎れた状態で配
置し、使用するときに、膨らませることができる。従っ
て、熱交換部13は、膨らんだ状態で空洞部211〜2
14の内面に密接するため、狭い空間に容易に配置可能
であり、しかも、熱交換効率が高い。
【0030】 さらに、熱交換部13は、着脱自在なジ
ョイント16によって接続されているため、熱交換部1
3を複数個連結して、一つの熱変位防止装置10によっ
て工作機械本体20の複数の部位を加温または冷却する
のも容易である。また、オイルが循環式になっているの
で、オイルの使用量を削減できると共に、オイルによっ
て周囲が汚れないなど、オイルの扱いが容易である。
【0031】 なお、本例の熱変位防止装置10におい
ては、そのオイル通過量を絞り弁15によって調整する
構成であったが、これに限らず、たとえば、圧送ポンプ
からの圧送量を媒体排出部14からのオイルの排出量に
対応させて調整してもよい。さらに、熱交換部13を複
数個接続するにあたって、それらを並列または直列のい
ずれの接続方法を採用してもよく、熱交換部13の接続
状態や接続個数については、それを用いる工作機械本体
20のサイズや構造などに応じて、設定されるべき性質
のものであって、限定がない。さらに、本例では、熱交
換部13の工作機械本体20に対する配置位置が機脚ベ
ース21の鋳抜き穴であったが、そこに限らず、たとえ
ば、主軸台22の周囲、スライドテーブルユニット23
の隙間、テールストックなど、工作機械本体20の熱変
位を防止可能な部位であれば、その温度分布に応じて設
定されるべき性質のものであって、限定がない。
【0032】 また、本例では、冷却源としてのクーラ
ントポンプ183を利用して、熱交換部13に冷却され
たオイルを圧送可能な構成になっていたが、冷却源の構
成については限定がなく、各種のものを採用することが
できる。また、ヒータ19についても同様に、各種のも
のを採用することができる。さらに、媒体供給部11に
は、冷却源および加温源のいずれをも設けてあったが、
いずれか一方のみを設けてもよい。
【0033】 さらに、媒体供給部11におけるオイル
に対する冷却または加温の制御については、環境温度な
どを基準にしてオイルを冷却または加温する構成の他、
工作機械本体20の側の冷却箇所や加温箇所の温度を連
続的または間欠的に検出して、その温度状況に合わせ
て、オイルの温度を制御してもよい。
【0034】実施例2 図4は、実施例2の熱変位防止装置の構成を示す概略構
成図である。
【0035】 本例の熱変位防止装置50は、媒体
(水)を冷却または加温して供給する媒体供給部51
と、この媒体供給部51に対して、実施例1と同様なチ
ューブ52(媒体供給通路)および着脱自在なジョイン
ト56を介してそれぞれ並列に連結されて、媒体供給部
51の側から冷却または加温された媒体が供給される熱
交換部53(第1〜第4の熱交換部53a〜53d)と
を有する。
【0036】 媒体供給部51には、各熱交換部53に
対して、それぞれ配置されたポンプ61〜64(圧送手
段、媒体通過量調整手段)と、媒体タンク51aとが設
けられ、各熱交換部53に媒体を所定の流量で供給可能
である。媒体タンク51aに対しては、媒体を加温する
ためのヒータ59、攪拌機71および温度センサ72が
設けられている。熱交換部53の下流側たる媒体排出部
54と、媒体タンク51aとの間には、ラジェータ58
が介挿されており、このラジェータ58によって、媒体
を冷却した後に媒体タンク51aに還流することが可能
である。なお、ラジェータ58は、そのモータ扇の回転
数を調整することによって、冷却能力を調整可能であ
る。
【0037】 本例でも、各熱交換部53は、柔軟性の
ある樹脂シート製やゴム製の袋状のものであり、チュー
ブ52も変形可能な樹脂チューブである。ここで、各熱
交換部53は、それ自身が1つの袋状の熱交換体で構成
される場合がある他、本例のように、互いに直列に接続
する複数の袋状の熱交換体530で構成される場合があ
る。
【0038】 各熱交換部53の下流側には、温度セン
サ81〜84がそれぞれ配置されていると共に、媒体供
給部51には、制御部80(媒体温度制御手段)が設け
られており、制御部80は、温度センサ81〜84、7
2(温度検出手段)によって、各熱交換部53を通過す
る前後の媒体温度の変化を監視可能になっている。ま
た、制御部80は、各ポンプ61〜64からの媒体の送
液量を制御可能であるとともに、ヒータ59およびラジ
ェータ58の稼働状態も制御可能になっている。
【0039】 本例では、熱変位防止装置50を、図5
(a)に示すように、旋盤30に用いる場合、または、
図5(b)に示すように、フライス盤35に用いる場合
には、熱交換部53のうち、第1の熱交換部53aを機
体部分41に配置し、第2および第3の熱交換部53
b、53cを機脚ベース42に配置する。また、第4の
熱交換部53dを、図6に示すように、スピンドル部4
3に配置する。ここで、スピンドル部43では、発熱が
著しいため、熱交換部53dを構成する熱交換体530
を内側の熱交換体531および外側の熱交換体532と
して二重に巻き付け、周囲に熱が直接伝わらない構造に
してある。なお、スピンドル部43以外でも、モータ回
り、加工液の回収部回り、または油圧タンク回りのよう
に、発熱が著しい部分には、熱交換部53を二重に巻き
付ける。
【0040】 このように各熱交換部53を配置した状
態で、媒体供給部51から各熱交換部53に所定の温度
の媒体を供給し、スピンドル部43、機体部分41およ
び機脚ベース42などの温度の平均化を図る。すなわ
ち、スピンドル部43周囲は、発熱量が大きいため、熱
交換部53d内の媒体によって冷却される。これに対し
て、機脚ベース42自身は、発熱しないため、熱交換部
53b、53c内の媒体によって加温される。従って、
工作機械の各部分の温度分布を均一化でき、工作機械の
熱変位を防止できる。
【0041】 ここで、媒体が各熱交換部53を通過す
る前後の温度変化は、温度センサ81〜84、72によ
って検出できるため、制御部80は、媒体の熱容量を計
算して、循環する媒体の温度を一定に保持するように、
ラジェータ58およびヒータ59を制御する。すなわ
ち、媒体の工作機械側からの吸熱量が工作機械側への放
熱量を上回る場合には、その差に相当する熱量をラジェ
ータ58によって媒体から放熱させる必要があり、その
熱量は、各熱交換部53を通過する前後の温度変化と、
媒体の比熱とからエントロピー変化として求めることが
できる。ここで、媒体から放出させる熱量は、各熱交換
部53におけるエントロピー変化の総和として計算でき
る。従って、制御部80は、その計算結果に基づいて、
媒体の温度を一定に保持するように、ラジェータ58を
動作させる。逆に、媒体の工作機械側への放熱量が工作
機械側からの吸熱量を上回る場合には、その差に相当す
る熱量をヒータ59から媒体に与えて、媒体の温度を一
定に保持する。
【0042】 従って、本例の熱変位防止装置50で
は、工作機械本体に冷却用のオイルジャッケットなどを
設けずとも、熱変位を緩和でき、しかも、熱交換部53
1を萎めることが可能であるため、狭い空間にも配置で
きるなど、実施例1と同様な効果を奏するのに加えて、
制御部80は、温度センサ81〜84、72によって、
熱媒体の放熱量または吸熱量を監視し、その監視結果に
基づいて、媒体を加熱、冷却するため、媒体の温度を一
定に保持できる。それ故、媒体の温度を60°に保持し
た条件で、本例の熱変位防止装置50を用いたところ、
加工精度が約6倍向上できたことが確認できている。
【0043】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の熱変位防止装置
において、加温または冷却された媒体によって、工作機
械本体の所定の部位の温度を調節する熱交換部は、膨張
した状態および収縮した状態に変形可能であることに特
徴を有する。従って、本発明によれば、工作機械の所定
の部位を加温、冷却できるので、冷却用のオイルジャッ
ケットなどを設けずとも、あるいは、最小限のオイルジ
ャッケットで、工作機械本体の熱変位を緩和できる。こ
のとき、媒体は、工作機械本体に対して直接には触れな
いので、工作機械本体が錆びることがない。また、工作
機械の温度分布が環境変化によって変わった場合でも、
それに合わせて、熱交換部の配置を容易に変更すること
ができる。さらに、熱交換部は、膨張および収縮可能で
あるため、それを狭い空間に配置するときには、萎れた
状態で配置し、その後、媒体を供給して膨らませること
ができる。それ故、熱交換部を狭い空間内にも容易に配
置できるため、配置位置に対する制約が少なく、また、
工作機械側に密着した状態で配置できるので、加温また
は冷却の効率が高い。
【0044】 また、熱交換部を着脱自在なジョイント
によって並列状態または直列状態に複数個連結した場合
には、1つの熱変位防止装置によって、工作機械の複数
の部位に対して加温または冷却が可能であり、その切り
換えも容易である。
【0045】 さらに、媒体排出部が媒体供給部側に接
続した場合には、媒体を循環させることが可能になるた
め、媒体の扱いが容易かつ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る熱変位防止装置の構造
を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す熱変位防止装置が使用される工作機
械本体の構成を示す正面図である。
【図3】図1に示す熱変位防止装置の使用態様を示す工
作機械本体の機脚ベース周囲の説明図である。
【図4】本発明の実施例2に係る熱変位防止装置の構造
を示す概略構成図である。
【図5】図4に示す熱変位防止装置を工作機械に配置し
た状態を示す説明図である。
【図6】図4に示す熱変位防止装置の熱交換部を工作機
械のスピンドル部に配置した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10、50・・・熱変位防止装置 11、51・・・媒体供給部 12、52・・・チューブ(媒体供給通路) 13、53・・・熱交換部 14、54・・・媒体排出部 15・・・絞り弁(媒体通過量調整手段) 16、56・・・ジョイント 20・・・工作機械本体 21、42・・・機脚ベース 58・・・ラジェータ(冷却源) 61、62、63、64・・・ポンプ(圧送手段、媒体
通過量調整手段) 71、81、82、83、84・・・温度センサ(温度
検知手段) 80、184・・・制御部 183・・・クーラントポンプ(冷却源、圧送手段)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 媒体に対する加温源および圧送手段を備
    え、加温した媒体を圧送可能な媒体供給部と、この媒体
    供給部に媒体供給通路を介して連結され、前記媒体供給
    部側から供給されて内部を通過する媒体によって、それ
    自身が配置された工作機械の所定の部位を加温する熱交
    換部と、この熱交換部を通過した媒体が排出される媒体
    排出部と、前記熱交換部の内部を通過する媒体量を調整
    する媒体通過量調整手段とを有し、前記熱交換部は、そ
    の内部の媒体量によって膨張した状態および収縮した状
    態に変形可能であることを特徴とする熱変位防止装置。
  2. 【請求項2】 媒体に対する冷却源および圧送手段を備
    え、冷却した媒体を圧送可能な媒体供給部と、この媒体
    供給部に媒体供給通路を介して連結され、前記媒体供給
    部側から供給されて内部を通過する媒体によって、それ
    自身が配置された工作機械の所定の部位を冷却する熱交
    換部と、この熱交換部を通過した媒体が排出される媒体
    排出部と、前記熱交換部の内部を通過する媒体量を調整
    する媒体通過量調整手段とを有し、前記熱交換部は、そ
    の内部の媒体量によって膨張した状態および収縮した状
    態に変形可能であることを特徴とする熱変位防止装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記熱交換
    部は、着脱自在なジョイントを介して複数連結されてい
    ることを特徴とする熱変位防止装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2において、前記熱交換
    部は、直列に複数接続されていることを特徴とする熱変
    位防止装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または2において、前記熱交換
    部は、並列に複数接続されていることを特徴とする熱変
    位防止装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかの項におい
    て、前記媒体排出部は、前記媒体供給部側に接続されて
    いることを特徴とする熱変位防止装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記熱交換部を通過
    する媒体温度を検出する温度検出手段と、この温度検出
    手段による媒体温度の検出結果に基づいて、前記媒体供
    給部において媒体を加熱または冷却する媒体温度制御手
    段とを有することを特徴とする熱変位防止装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかの項に規定
    された熱変位防止装置を備える工作機械であって、前記
    熱交換部が、工作機械本体における温度分布を均一化し
    てその熱変位を防止可能な部位に配置されていることを
    特徴とする熱変位防止装置を備えた工作機械。
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